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No.25786の一覧
[0] 普通の先生が頑張ります (更新再開…かな?[ソーイ](2011/06/08 19:02)
[1] 普通の先生が頑張ります 0話[ソーイ](2011/04/10 19:06)
[2] 普通の先生が頑張ります 1話[ソーイ](2011/04/10 16:49)
[3] 普通の先生が頑張ります 2話[ソーイ](2011/04/08 22:17)
[4] 普通の先生が頑張ります 3話[ソーイ](2011/04/08 22:52)
[5] 普通の先生が頑張ります 4話[ソーイ](2011/04/08 23:22)
[6] 普通の先生が頑張ります 5話[ソーイ](2011/04/08 23:43)
[7] 普通の先生が頑張ります 6話[ソーイ](2011/04/09 10:03)
[8] 普通の先生が頑張ります 7話[ソーイ](2011/04/09 10:16)
[9] 普通の先生が頑張ります 8話[ソーイ](2011/04/09 10:36)
[10] 普通の先生が頑張ります 9話[ソーイ](2011/04/09 13:58)
[11] 普通の先生が頑張ります 10話[ソーイ](2011/04/09 14:38)
[12] 普通の先生が頑張ります 11話[ソーイ](2011/04/09 15:24)
[13] 普通の先生が頑張ります 12話[ソーイ](2011/04/09 18:20)
[14] 普通の先生が頑張ります 13話[ソーイ](2011/04/09 22:23)
[15] 普通の先生が頑張ります 14話[ソーイ](2011/04/09 23:12)
[16] 普通の先生が頑張ります 15話[ソーイ](2011/04/09 23:47)
[17] 普通の先生が頑張ります 16話[ソーイ](2011/04/10 16:45)
[18] 普通の先生が頑張ります 17話[ソーイ](2011/04/10 19:05)
[19] 普通の先生が頑張ります 18話[ソーイ](2011/04/11 21:15)
[20] 普通の先生が頑張ります 19話[ソーイ](2011/04/11 21:53)
[21] 普通の先生が頑張ります 20話[ソーイ](2011/02/27 23:23)
[22] 普通の先生が頑張ります 21話[ソーイ](2011/02/27 23:21)
[23] 普通の先生が頑張ります 22話[ソーイ](2011/02/27 23:19)
[24] 普通の先生が頑張ります 23話[ソーイ](2011/02/27 23:18)
[25] 普通の先生が頑張ります 24話[ソーイ](2011/02/26 22:34)
[26] 普通の先生が頑張ります 25話[ソーイ](2011/02/27 23:14)
[27] 普通の先生が頑張ります 26話[ソーイ](2011/02/28 23:34)
[28] 普通の先生が頑張ります 27話[ソーイ](2011/03/01 23:20)
[29] 普通の先生が頑張ります 28話[ソーイ](2011/03/02 22:39)
[30] 普通の先生が頑張ります 29話[ソーイ](2011/03/04 22:42)
[31] 普通の先生が頑張ります 30話[ソーイ](2011/03/08 00:19)
[32] 普通の先生が頑張ります 31話[ソーイ](2011/03/07 23:33)
[33] 普通の先生が頑張ります 32話[ソーイ](2011/03/10 00:37)
[34] 普通の先生が頑張ります 33話[ソーイ](2011/03/09 23:47)
[35] 普通の先生が頑張ります 34話[ソーイ](2011/03/10 23:15)
[36] 普通の先生が頑張ります 35話[ソーイ](2011/03/13 23:11)
[37] 普通の先生が頑張ります 36話[ソーイ](2011/03/14 22:47)
[38] 普通の先生が頑張ります 37話[ソーイ](2011/03/15 23:56)
[39] 普通の先生が頑張ります 38話[ソーイ](2011/03/16 23:15)
[40] 普通の先生が頑張ります 39話[ソーイ](2011/03/17 23:03)
[41] 普通の先生が頑張ります 40話[ソーイ](2011/03/18 22:46)
[42] 普通の先生が頑張ります 41話[ソーイ](2011/03/19 23:49)
[43] 普通の先生が頑張ります 42話[ソーイ](2011/03/20 23:12)
[44] 普通の先生が頑張ります 43話[ソーイ](2011/03/21 22:44)
[45] 普通の先生が頑張ります 間幕[ソーイ](2011/03/23 07:49)
[46] 普通の先生が頑張ります 44話[ソーイ](2011/03/23 23:24)
[47] 普通の先生が頑張ります 45話[ソーイ](2011/03/25 23:20)
[48] 普通の先生が頑張ります 46話[ソーイ](2011/03/26 23:23)
[49] 普通の先生が頑張ります 47話[ソーイ](2011/03/28 00:29)
[50] 普通の先生が頑張ります 48話[ソーイ](2011/03/28 23:24)
[51] 普通の先生が頑張ります 49話[ソーイ](2011/03/30 00:25)
[52] 普通の先生が頑張ります 50話[ソーイ](2011/03/31 00:03)
[53] 普通の先生が頑張ります 閑話[ソーイ](2011/04/01 00:36)
[54] 普通の先生が頑張ります 51話[ソーイ](2011/04/01 23:50)
[55] 普通の先生が頑張ります 52話[ソーイ](2011/04/03 00:22)
[56] 普通の先生が頑張ります 53話[ソーイ](2011/04/04 23:45)
[57] 普通の先生が頑張ります 54話[ソーイ](2011/04/05 23:24)
[58] 普通の先生が頑張ります 55話[ソーイ](2011/04/06 22:31)
[59] 普通の先生が頑張ります 56話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:46)
[60] 普通の先生が頑張ります 57話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:47)
[61] 普通の先生が頑張ります 58話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:47)
[62] 普通の先生が頑張ります 59話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:47)
[63] 普通の先生が頑張ります 60話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:47)
[64] 普通の先生が頑張ります 61話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:48)
[65] 普通の先生が頑張ります 62話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:48)
[70] 普通の先生が頑張ります 56話(修正版[ソーイ](2011/04/28 23:46)
[71] 普通の先生が頑張ります 57話(修正版[ソーイ](2011/04/28 23:27)
[72] 普通の先生が頑張ります 58話(修正版[ソーイ](2011/04/30 22:52)
[73] 普通の先生が頑張ります 59話(修正版[ソーイ](2011/05/18 23:24)
[74] 普通の先生が頑張ります 短編 【茶々丸】 [ソーイ](2011/05/23 23:47)
[75] 普通の先生が頑張ります 短編 【エヴァンジェリン】 [ソーイ](2011/05/23 23:42)
[76] 普通の先生が頑張ります 短編 【エヴァンジェリン】 2[ソーイ](2011/05/25 23:21)
[77] 普通の先生が頑張ります 短編 【月詠】 [ソーイ](2011/06/08 23:06)
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[25786] 普通の先生が頑張ります 3話
Name: ソーイ◆9368f55d ID:052e1609 前を表示する / 次を表示する
Date: 2011/04/08 22:52

「それじゃ、別に何もしてなかったんだな?」

「はい」

 まぁ、木に隠れてただけだし。
 ……いや、暗くなる時間に木に隠れてるだけでも十分怪しいんだけどさ。
 職員室に桜咲を呼び出してはみたけど、特に注意する事も無いんだよなぁ。
 何かやってた訳でもないし。
 クラス名簿の桜咲の隣の欄をボールペンで突きながら、もう一度その顔を見る。

「あーいうのは勘違いされるから、今後は気をつけるようにな?」

「ぅ……申し訳ありませんでした」

「んじゃ、もう戻って良いぞー」

 失礼しました、と礼儀正しく礼をして職員室から出ていく背を見送り、溜息を一つ。
 散歩の途中でクラスメイトを見つけて、まだ制服姿だったのが恥ずかしくて隠れた、ねぇ。
 そりゃ無いだろ。と思うのだが、ここで詳しくも聞けないよなぁ。
 素行も良いし、問題も起こしてない、優等生って言えば優等生。
 あまり目立つのも好きじゃないみたいだし、職員室も居心地が悪そうだったしな。

「ま、もう少し様子見た方が良いか」

 そのまま、何も書かずに名簿を閉じる。
 なんだかんだで、ウチのクラスってよく怒られてるけど問題はそう起こしてないんだよな。

「桜咲さん、どうかしたんですか?」

「いえ、まぁ、昨日の夕方に制服でうろついてたんで。せめて制服は止めろ、と」

「……結構落ち着いているようですけど、彼女もそう言う年頃なんですねぇ」

 ははは、まぁ、全部ウソじゃないよな。
 そう言うと、源先生が机にコーヒーの入ったカップを置いてくれた。

「ああ、すいません」

「長くなりそうでしたけど、そうでも無かったですね」

「いやー、自分に生徒指導とかは難しいってのは判りましたけどね」

 こういう時は、多分もう少し厳しく言わないといけないんだと思うんだけど。
 そのコーヒーを一啜り。
 うん、苦い。砂糖、砂糖っと。

「あ、どうぞ」

「すいません」

 弐集院先生も一服しませんかー、と声を掛けて、小さじ一杯の砂糖を入れる。
 ……もう一杯。
 もう授業中なので、他に先生たちも居ないし、少しゆっくりしますかね。

「そう言えば、この前の小テストなんですけど」

 はい?

「2-Aの皆さん、最近調子良いみたいですね」

「おー、そうですか?」

 最近点数上がってきてたって思ってたけど、そうかそうかぁ。
 これじゃ本当に、次の期末は結構いけるんじゃないか?
 今までが今までだから、余計に期待してしまうな。

「次の期末で、最下位脱出できるか……」

「頑張ってますね、先生」

 おぅ、声に出てました?
 口にすると、なんかこう言うのって逃げてく気がするから気をつけないと。

「神楽坂達が頑張ってくれてますからねぇ、今の調子を維持してくれると良いんですが」

「ウチのクラスもそう簡単に負けませんよ?」

 あ、弐集院先生。

「いや、今回はウチ調子良いですからね」

 あわよくば最下位脱出どころか、もう少しいけるかも……?
 って、高望みしすぎか。

「まぁ、でも。今は生徒が自主的に頑張って成績を上げてくれてるのが、一番嬉しいですね」

 やっぱり、ウチのクラスは褒めて伸ばすのが性に合ってるんだろうか?
 問題出して、ヒントを与えてから自分の力で解かせて褒める。
 褒めてもらえると嬉しいし、自分でもやれると思うから、勉強も苦にならない。
 そしたら、次はヒント無しで自分だけで出来るように努力する……らしい。本の受け売りだけど。
 最近の小テストも良い点取ってるし。しばらくはこの方法で行ってみるかなぁ。
 こうやって2-Aの皆が他の先生に褒められてると、俺も嬉しいし。

「でも、来月の末には新しい先生もきますし、3学期なのに考える事が多いんじゃないかしら?」

 はぁ。あまり考えたくない事をイキナリ言ってきますね、源先生。
 それには苦笑を浮かべるしかないですよ……はは。

「は、はは……まぁ、引き継ぎは高畑先生が引き受けてくれてますし」

「高畑先生も出張が多くて、忙しいだろうね」

 そうですねぇ。
 人気もあるし、仕事も出来ますから、しょうがないですよ、と。

「そうだね、まぁその分先生の腕の見せどころじゃないかい? 次の期末テストは」

「自分に出来る事なんて、授業で公式教える程度ですよ」

「覚えるのは生徒の仕事、覚えさせれるかは教師の仕事だよ」

 難しいですねぇ。
 そうだねー、そうですねぇと3人で笑い合ってコーヒーを一啜り。

「年も明けたばっかりだって言うのに、全然楽にならないなぁ」

「しょうがないですよ、教職なんですから」

「むしろ、勤めれば勤めるだけ難しくなるかもねぇ」

 それだけは勘弁してほしいものだ。
 でも今の状況では全く笑えない事に思えるのはなんでだろう?







 数日後の日曜日、天気も良かったので何となく散歩していた。
 いや、結構良いもんだね、散歩。
 部屋でゴロゴロしてるより、よっぽどのんびり出来てる気がする。
 そして、新しい発見も。
 結構休みの日でも生徒を見かけるんもんだなぁ。 

「休日まで先生に会うなんて、最悪だにゃー」

「明石ー、そんな事言われたら先生傷つくからやめようなー」

 笑顔で言われてもヘコむ事はヘコむぞー、まったく。
 
「でも実際、先生と休みの日に会うのって初めてだよね」

「せやねぇ」

 私服の先生って初めて見た、とまで言われてしまった。
 でも副担の私服なんか見ても別に何も無いだろ。
 そのまま散歩の休憩に着飾った神楽坂、近衛、明石の三人の少女に囲まれてお喋りの時間にするかね。
 いやー、こう言うのは女子校勤務の役得かね。

「先生って、休みの日何してんの?」

「ん? …………まぁ、本読んだり、勉強したり?」

 あれ? 俺って休みの日って結構動いてない?
 自分ではもう少し運動してた気がするんだが、そう言うのが思い浮かばないんだけど。

「先生ってインドア派なんだ」

「そんな事は無いんだが、最近は休みの日はゴロゴロしてたなぁ」

 ああ、そうか。
 ここ最近はマクダウェル宅まで歩いてたから、休みの日は動けなかったんだ。疲れて。
 ほぼ2週間、毎日だったからな。
 ……我ながら、危ない橋を渡ってるもんだ。
 これ絶対、他の人に知られたら問題になるよな……。

「っていうか、先生でも勉強するの!?」

「そりゃするさ。神楽坂は教師を何だと思ってるんだ?」

 高畑先生だってしてると思うぞー、と付け加えておく。
 ちなみに神楽坂の事は……教師としては応援できないが、まぁ楽しむ分には良いだろうと思ってる。
 あの人には結構困らされてるし。出張多いし。
 まぁ、本人気付いてないみたいだけどなぁ。

「……先生って、勉強好き?」

 いや、多分そこまで好きじゃない。
 と答えようとして、生徒に答えるような事じゃないよな、と思い直す。
 うーん。

「勉強が好きやから、教師になりはったんと違うんですか?」

「どうだろうな。どう答えたら良いかなぁ」

 近衛の言葉に苦笑したが……それ以上に、上手い言葉が浮かばなかった。
 勉強が好きだから、だとなるのは教師じゃなくて学者だな、と。
 だから、勉強が好きだから教師になった――は、違う、と言えた。
 どう答えたもんかなぁ。
 教師になりたかったから、教師になった。
 きっと、それが一番しっくりくる答えだろう。
 憧れた。
 それが、俺が教師を目指した理由なのだから。
 ……まぁ、そう言うのは恥ずかしくて、とても口にはできないんだけどさ。

「近衛は教師に興味があるのか?」

「どうでしょ? 先生見てると楽しそうなんやけど、教えるのはどうかなぁ」

「木乃香は教師とか保育園の先生とか似合いそうだよねー」

「そう?」

 楽しそうに笑うなぁ。
 俺が中学の時って、こんなに笑ってたかな? と思ってしまうくらいに楽しそうに笑う。
 ……ああ、年取ったんだなぁ、と実感させられる。
 ちょっと俺の笑顔は引き攣ってると思う。

「まぁ、将来なんてまだ決めるには早いだろ」

 だってまだ、中学2年だし。
 進学か就職か決めるには早過ぎる。

「うちはやっぱ先生なりたいかもなぁ」

「あたしは就職かなぁ」

「じゃあ私も就職でー」

 じゃあってなんだよ、じゃあって。まったく。
 ウチのクラスは……何というか、自由だなぁ、と苦笑い。

「昼、何か食うか? 折角だし奢るぞ?」

「え、ホント!?」

「おー、暇だしな」

 やったー、とそれだけ喜ぶ顔を見てるとこっちも嬉しくなるもんだ。

「でも、あんまし高いのは勘弁な」

「最後はキまらへん先生やなぁ」

「公務員だからなぁ」

 答えになって無い答えを口にし、4人で並んで歩いていく。
 中学生って、歩くの速いのなぁ。
 これで、俺はまた一つ勉強になった訳だ。







「えー、この前言ったように来月の頭から新しい先生が来る事になってます」

 その瞬間、教室の窓割れるんじゃないかってくらいの声が響いた。
 全体的にはそうだった的な意味で。
 うん、今日もウチのクラスは元気だ。良き哉良き哉。
 あとでまた新田先生と葛葉先生に怒られるんだろうなぁ……まぁ、しょうがないか。
 内心で諦めの溜息を吐きながら、続ける。

「まぁ、詳しい紹介はその先生が来た時にするから……朝倉、落ちつけ」

 さっきからお前、瞬きしてないぞ。
 怖い、あと鼻息荒い。
 女の子がそんなでどうする。

「先生っ」

「出身はイギリス、向こうの学校じゃ天才みたいに言われてた、まだ若いらしいぞ」

 ちなみに、残ってた手持ちの情報はここで出しきります。
 これで、今週は何も言われないだろう。
 しきりにさっき言った事をメモ帳に書きながら、それでもその目はチラチラとこっちに向いている。
 正直こういう時の朝倉は怖い。
 さすがジャーナリスト志望。ネタへの欲望が凄い。ある意味尊敬できる。
 ……真似しようとは思わないけど。

「先生っ」

「顔写真も履歴書もまだ届いてないから、顔は判らないぞ。でも、学園長が一押しするくらいだから相当優秀な先生だと思われる」

「そんな信じられない話があるかっ」

「本当なんだからしょうがないだろー」

 あと、先生にタメ口か。
 今日の数学の時間は当ててやるから覚悟しとけよ。
 ちなみに、朝倉が言った事は俺も学園長に言いました。タメ口じゃなかったけど。
 どうにも送った書類が別の所に届いたらしい。
 まぁ、人事とかそう言うのは学園長とかもっと上の役職の仕事だから、俺はそう困らないけど。

「名前は?」

「ネギ先生らしい」

「美味しそうな名前だねー」

 まったくだ。
 鍋とかに合う名前だなー、とは俺が初めて聞いた時の感想だ。

「ネギ=スプリングフィールド先生。まぁ、赴任して来られた時、また紹介するけど」

「春野菜?」

「ネギは冬野菜だ」

 野菜言うな、失礼な。

「格好良いのかなぁ?」

「どうなんですか、先生?」

「まぁ、天才らしいしどうだろうな?」

「天は二物も三物も与えるかもって事かー」

 鳴滝姉妹には注意しといたほうが良いかな?
 まぁ、教師にだし、そう無茶はしないと思うけど。
 個人的にはメガネは掛けてると思う。イメージ的に。

「そんな所だ。高畑先生からは、何かありますか?」

「んー、言わなきゃいけない事は先生が言ってくれたからね」

 そうですか、と。まぁいつもの流れである。
 後は特に無かったよな。

「それじゃ、HR終わり。一時間目は移動教室だから、遅れないようにしろよー」

 ちなみに、高畑先生が担任から外れるとはまだ伝えていない。
 いや、神楽坂がどういう行動に出るかもう判るし……。
 これも一つの問題なんだろうなぁ。高畑先生、どうにかしてくれないかな?

「ん?」

「いえ」

 どうにもしてくれない気がするなぁ。
 だってまず、神楽坂の気持ちに気付いてないし。
 だから安心して、神楽坂を見てられるんだけど。







 最近はちゃんと授業受けてくれてたと思ったんだがなぁ。
 というのが、最初の感想。
 そして、職員室まで報告に来てくれた雪広に聞こえないように、心中で小さく溜息を一つ。

「すまなかったな、雪広」

「いえ、クラス委員ですから」

 うーん。
 また早退か。

「次の授業の準備があるだろ? 急いで戻れよー」

「はい、失礼しました」

 でも廊下は走るなよー、と声を掛けクラス名簿を開く。
 えーっと、確かあと……何日休めたんだっけ?

「またエヴァンジェリンですか?」

 あ、新田先生。

「はは、彼女は気紛れな所がありますから」

 っと、あったあった。
 あと2日かぁ。

「最近は真面目に登校してきてたようでしたけど」

「ええ、まぁ明日はちゃんと来てくれますよ」

「だと良いんですが」

 今朝は普段通りだったと思ったんだが……絡繰は、ちゃんと残ってるんだよな。
 一人で帰ったらしいし。何かあったのかな?
 注意しとかないとな、やっぱり。
 そこは明日の朝で良いか。

「まぁ、彼女にも事情があるんですよ」

 へ? ああ、瀬流彦先生。
 いきなり後ろから話しかけられたんで、少しびっくりした。
 って、それどっかでも聞いたような……。

「そう言えば、高畑先生もそう言ってました」

「ちょっと家庭の事情が複雑なんですよ、彼女は」

 …………俺、そう言うの全然聞いてないんですけど。
 担任の高畑先生が知ってるから、別に良いのかな?

「どう言いう事情なんですか?」

「さぁ、それは……僕の口からは、ちょっと」

「そうですか」

 ふむ。やっぱり、根本的な問題はその“事情”が関係してるんだろうな。
 その事情が解決すればきちんと登校してくれるようになる、可能性は低くは無いんだろうけど。

「そっかぁ」

 どーしたものかなぁ。
 家庭の事情かぁ、やっぱり。
 あんな大きな家に絡繰と二人で暮らしてるし。
 聞き辛くはあるよなぁ……そう言えば、関係無いとか言われたし。

「あまり悩まない方が良いですよ」

「そういう訳にもいきませんよ」

 一応、あんまり役に立てないんだろうけど彼女の副担任ですからね。

「……まぁ、ほどほどに」

 そんな瀬流彦先生の声を聞くと、やっぱり、マクダウェルは学校に来させないといけない、と思ってしまう。
 口は悪いし、態度も悪いけど……生徒なんだから。
 教師にさ……悪く思われっぱなしって言うのは、やっぱりどうかと思う。
 それに――俺は、彼女の副担任なのだ。
 なら、やっぱり自分の生徒はちゃんと見てもらいたい。
 あの子にだって、きっと良い所はあるんだから。

「明日からはまた来てくれますよ」

「――先生は肩の力を抜かない方が良いのかもしれないですね」

「いや、抜かせて下さいよ」

 何という事を言いますか。
 はいそこ、笑わないで下さいよ新田先生も。





――――――エヴァンジェリン

「おはよう、マクダウェル」

 制服に着替えリビングに降りていくと、ここ最近で聞き慣れた声がまた聞こえた。
 自然と、頭痛でもしたように頭を抱えてしまう。

「……いい加減言うのも飽きたが、また来たのか」

 そして、その男の後ろに控えている茶々丸を一瞥し……溜息を一つ。
 しょうがないだろう。
 溜息を吐きたくもなるさ。
 ――その光景が、見慣れたモノになりつつあるのだから。

「昨日はなんで早退したんだ?」

「先生には関係ない事だよ」

 明日辺り、チャチャゼロもくわえてやるのも良いかもな、と思いながら茶々丸が引いた席に座る。

「まぁ、日数……本当にギリギリだから気をつけろよ?」

「判ってるよ。大丈夫だ」

 本当だと良いんだけどなぁ、という声を無視して用意された紅茶を一口。
 ふむ。

「しかし、昨日話してた新任の先生の話は前から出てたのか?」

「んあ?」

 何だ、その顔は?
 どうせ私から話題を振ったのが意外だったんだろうがな。

「いや、えーっと……去年の暮れには言われてたかな?」

「そうか」

 あのくそじじい、私にナギの息子の事を隠してたな……まったく。
 まぁ、隠したくなる気持ちも判るが。
 ナギ――私を、麻帆良に縛った張本人。
 はぁ、と自然と溜息が出る。

「そういえば、マクダウェルと絡繰が休んでた時にその事言ったのかもな」

「…………そうだったのか」

 基本、私が休んだら茶々丸も一緒に休んでいたからな。
 今度からは極力茶々丸は学校の方に行かせた方が良いかもしれないな。

「やっぱり、マクダウェルも新任の先生ってのは気になるか?」

「何だその顔は。別に――天才と言っていたが、どれほどのものかと思っただけだ」

「そうかそうか」

 何嬉しそうにしてるんだ、この男は。
 ああ――さっさと諦めてくれないものか。
 朝は苦手なんだよ……もっと、静かでゆっくりとした朝が、私は好きなのだ。

「絡繰も気になるか、やっぱり?」

「いえ、私は気にしません」

 そうかぁ、と今度は頭を落として落ち込むし。
 判りやすい奴だな、と。呆れてしまう。

「しかし、これで先生ともお別れだな」

 このよく判らない関係も、もう数週間だけだと思うと……嬉しくて仕方が無いな。
 最後の日くらいは、朝食を食わせてやっても良いかもな、と思えるくらいに。

「ん?」

「何故そんな不思議そうな顔をする?」

 ネギ=スプリングフィールドは副担任になるんだろう? と言うと、ああ、とまた可笑しそうに笑う。
 何だ?

「高畑先生と入れ替わり。ネギ先生は君らの担任だよ」

「なに?」

 たん、にん……?
 ネギ=スプリングフィールドが?
 ナギの息子が、担任?

「副担任は?」

「俺」

「本当にか?」

「……そんなに嫌か」

 ええい、大の大人がそう簡単に落ち込むなっ。
 まったく。

「本当に副担任は先生なんだな?」

「……ああ、そうだよ」

「別にそうまで嫌じゃないから落ち込むな、鬱陶しい」

「絡繰、お前のご主人さまが酷い……」

「しょうがありません。マスターの口の悪さは先生も判っておられるはずです」

 うるさい、ボケロボ。
 しかし――そうか。
 ネギ=スプリングフィールドが担任で、先生が副担任か。
 そうか、そうか。

「タカミチは2-Aのクラスから外れるわけだ」

「高畑先生なー」

 無視。

「はぁ」

「気を落とさないで下さい、先生。お茶のおかわりをどうぞ」

「おお、すまないな絡繰」

 あー、鬱陶しい。
 少しは静かに出来ないのか、この先生は。

「来月の頭から、だったな」

「そうだな。情報だけ来て、書類がまだ無いから前後するかもしれないが」

「ふん――来るのが判ってるなら良いさ」

 英雄の息子の情報だ、間違いは無いだろうさ。
 ――ああ、その日が早く来ないものか。
 停まってしまった心臓が、心が、まるで高鳴るような錯覚。
 ナギの息子が来ると言う事。
 タカミチが私の監視から外れると言う事。
 それはきっと、じじいの考えの内なんだと判る……が。

「茶々丸、登校の準備をしろ」

「かしこまりました。先生、カップはまた置いておいて下さい」

「ん、判った」

 もしかしたら、と思ってしまう。
 もしかしたら、この身を縛る呪い――蝕む“毒”とも言えるソレを、解く事が出来るのでは、と。

「嬉しそうだなぁ」

「最高の気分だよ」

 ああ――こんなにも“その時”を楽しみにするのは……12年ぶりか。

「それじゃ、その調子でちゃんと進級できるよう頑張ってくれな」

「……気が向いたらな」

 もう少しで授業を受ける意味もなくなるからな。
 最後くらいは、言う事を聞いてやるのも良いかもな……と思ってしまうのは、ここ最近に慣れてしまったからか。
 やはり、少し慣れ合いが過ぎたのかもしれんなぁ。

「先生」

「ん?」

 ……………………

「そろそろ出ないと、遅刻してしまうぞ」

「おー、そうだな」

 絡繰ー、と呼ぶ声を聞きながら――何も知らないから、そう呼べる先生の背を、目で追った。
 


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