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No.25786の一覧
[0] 普通の先生が頑張ります (更新再開…かな?[ソーイ](2011/06/08 19:02)
[1] 普通の先生が頑張ります 0話[ソーイ](2011/04/10 19:06)
[2] 普通の先生が頑張ります 1話[ソーイ](2011/04/10 16:49)
[3] 普通の先生が頑張ります 2話[ソーイ](2011/04/08 22:17)
[4] 普通の先生が頑張ります 3話[ソーイ](2011/04/08 22:52)
[5] 普通の先生が頑張ります 4話[ソーイ](2011/04/08 23:22)
[6] 普通の先生が頑張ります 5話[ソーイ](2011/04/08 23:43)
[7] 普通の先生が頑張ります 6話[ソーイ](2011/04/09 10:03)
[8] 普通の先生が頑張ります 7話[ソーイ](2011/04/09 10:16)
[9] 普通の先生が頑張ります 8話[ソーイ](2011/04/09 10:36)
[10] 普通の先生が頑張ります 9話[ソーイ](2011/04/09 13:58)
[11] 普通の先生が頑張ります 10話[ソーイ](2011/04/09 14:38)
[12] 普通の先生が頑張ります 11話[ソーイ](2011/04/09 15:24)
[13] 普通の先生が頑張ります 12話[ソーイ](2011/04/09 18:20)
[14] 普通の先生が頑張ります 13話[ソーイ](2011/04/09 22:23)
[15] 普通の先生が頑張ります 14話[ソーイ](2011/04/09 23:12)
[16] 普通の先生が頑張ります 15話[ソーイ](2011/04/09 23:47)
[17] 普通の先生が頑張ります 16話[ソーイ](2011/04/10 16:45)
[18] 普通の先生が頑張ります 17話[ソーイ](2011/04/10 19:05)
[19] 普通の先生が頑張ります 18話[ソーイ](2011/04/11 21:15)
[20] 普通の先生が頑張ります 19話[ソーイ](2011/04/11 21:53)
[21] 普通の先生が頑張ります 20話[ソーイ](2011/02/27 23:23)
[22] 普通の先生が頑張ります 21話[ソーイ](2011/02/27 23:21)
[23] 普通の先生が頑張ります 22話[ソーイ](2011/02/27 23:19)
[24] 普通の先生が頑張ります 23話[ソーイ](2011/02/27 23:18)
[25] 普通の先生が頑張ります 24話[ソーイ](2011/02/26 22:34)
[26] 普通の先生が頑張ります 25話[ソーイ](2011/02/27 23:14)
[27] 普通の先生が頑張ります 26話[ソーイ](2011/02/28 23:34)
[28] 普通の先生が頑張ります 27話[ソーイ](2011/03/01 23:20)
[29] 普通の先生が頑張ります 28話[ソーイ](2011/03/02 22:39)
[30] 普通の先生が頑張ります 29話[ソーイ](2011/03/04 22:42)
[31] 普通の先生が頑張ります 30話[ソーイ](2011/03/08 00:19)
[32] 普通の先生が頑張ります 31話[ソーイ](2011/03/07 23:33)
[33] 普通の先生が頑張ります 32話[ソーイ](2011/03/10 00:37)
[34] 普通の先生が頑張ります 33話[ソーイ](2011/03/09 23:47)
[35] 普通の先生が頑張ります 34話[ソーイ](2011/03/10 23:15)
[36] 普通の先生が頑張ります 35話[ソーイ](2011/03/13 23:11)
[37] 普通の先生が頑張ります 36話[ソーイ](2011/03/14 22:47)
[38] 普通の先生が頑張ります 37話[ソーイ](2011/03/15 23:56)
[39] 普通の先生が頑張ります 38話[ソーイ](2011/03/16 23:15)
[40] 普通の先生が頑張ります 39話[ソーイ](2011/03/17 23:03)
[41] 普通の先生が頑張ります 40話[ソーイ](2011/03/18 22:46)
[42] 普通の先生が頑張ります 41話[ソーイ](2011/03/19 23:49)
[43] 普通の先生が頑張ります 42話[ソーイ](2011/03/20 23:12)
[44] 普通の先生が頑張ります 43話[ソーイ](2011/03/21 22:44)
[45] 普通の先生が頑張ります 間幕[ソーイ](2011/03/23 07:49)
[46] 普通の先生が頑張ります 44話[ソーイ](2011/03/23 23:24)
[47] 普通の先生が頑張ります 45話[ソーイ](2011/03/25 23:20)
[48] 普通の先生が頑張ります 46話[ソーイ](2011/03/26 23:23)
[49] 普通の先生が頑張ります 47話[ソーイ](2011/03/28 00:29)
[50] 普通の先生が頑張ります 48話[ソーイ](2011/03/28 23:24)
[51] 普通の先生が頑張ります 49話[ソーイ](2011/03/30 00:25)
[52] 普通の先生が頑張ります 50話[ソーイ](2011/03/31 00:03)
[53] 普通の先生が頑張ります 閑話[ソーイ](2011/04/01 00:36)
[54] 普通の先生が頑張ります 51話[ソーイ](2011/04/01 23:50)
[55] 普通の先生が頑張ります 52話[ソーイ](2011/04/03 00:22)
[56] 普通の先生が頑張ります 53話[ソーイ](2011/04/04 23:45)
[57] 普通の先生が頑張ります 54話[ソーイ](2011/04/05 23:24)
[58] 普通の先生が頑張ります 55話[ソーイ](2011/04/06 22:31)
[59] 普通の先生が頑張ります 56話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:46)
[60] 普通の先生が頑張ります 57話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:47)
[61] 普通の先生が頑張ります 58話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:47)
[62] 普通の先生が頑張ります 59話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:47)
[63] 普通の先生が頑張ります 60話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:47)
[64] 普通の先生が頑張ります 61話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:48)
[65] 普通の先生が頑張ります 62話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:48)
[70] 普通の先生が頑張ります 56話(修正版[ソーイ](2011/04/28 23:46)
[71] 普通の先生が頑張ります 57話(修正版[ソーイ](2011/04/28 23:27)
[72] 普通の先生が頑張ります 58話(修正版[ソーイ](2011/04/30 22:52)
[73] 普通の先生が頑張ります 59話(修正版[ソーイ](2011/05/18 23:24)
[74] 普通の先生が頑張ります 短編 【茶々丸】 [ソーイ](2011/05/23 23:47)
[75] 普通の先生が頑張ります 短編 【エヴァンジェリン】 [ソーイ](2011/05/23 23:42)
[76] 普通の先生が頑張ります 短編 【エヴァンジェリン】 2[ソーイ](2011/05/25 23:21)
[77] 普通の先生が頑張ります 短編 【月詠】 [ソーイ](2011/06/08 23:06)
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[25786] 普通の先生が頑張ります 35話
Name: ソーイ◆9368f55d ID:052e1609 前を表示する / 次を表示する
Date: 2011/03/13 23:11

 チリン、と言う鈴の音が聞こえた。

「ん?」

 いや、それ自体は別段珍しい事じゃない。
 街中を歩いていたら偶に聞こえるし、神楽坂に至っては何時も鈴のアクセサリを持ってるし。
 だから、その音だと思い、挨拶でもしようと振り返った。
 ここは通学路だし。

「あれ?」

「どうした、先生?」

 えっと……と、周囲を見渡し、

「今日は神楽坂と一緒じゃないのか?」

「? ああ。おはよう、先生」

「おー。おはよう、マクダウェル、絡繰」

「おはようございます、先生」

 気のせいだったのかな、と思いながらマクダウェルと並び……。
 チリン、とまた乾いた鈴の音。

「携帯買ったのか?」

「ああ。昨日な」

 その手に、見慣れない物があった。
 携帯電話である。
 ……いや、今の時代には当たり前な物なんだけどさ。

「昨日、明日菜さんと」

「要らん事は言わんでいいっ」

「そうか、良かったなぁ」

 ポン、とその頭に手を乗せると、間髪いれず払われた。
 だがまぁ、機嫌が良さそうで何よりだ。

「一通りは使えるようになったか?」

「……ふん」

 返事は無く、その指がぎこちなく動いている。
 メールか?

「よそ見してると、怪我するぞー」

「しょうがないだろ、明日菜からメールが来るんだから」

「……学園で話せるだろうに」

 と言うか、学園はもう目の前なんだけど。
 なんで学生と言うのは、こう携帯を使いたがるかね。
 学校やら学園やらで話せるだろうに……まったく。
 なんか、初めてのおもちゃに夢中な子供だな、と。
 そう心中で呟き、視線をその隣に向ける。

「昨日からこの調子なのか?」

「正確には、昨日の夜からです」

 何をやってるんだか、と。

「ま、よそ見して怪我しないようにな?」

「判ってるよ」

 全然信用できないんだがなぁ。

「あんまり目立つようなら、取り上げなきゃいけないからな?」

「む……」

 そう言うと、その顔が携帯から上がり、こちらを見上げてくる。
 まぁ、別にそう厳しくするつもりも今は無い。
 流石に授業中とかだったら、言わないといけないけど。

「ほどほどにな?」

「判った」

 メールを打ち終わったのか、ポケットにしまいながら、呟く。

「気を付けるよ」

「そうしてくれると助かる」

 しかしまぁ、マクダウェルが携帯ねぇ。
 何と言うか……。

「楽しいのは判るが、授業はちゃんと受けてくれよ?」

「……楽しくなんかない。面倒なだけだ」

「そうかそうか」

 そりゃ大変だな、と。

「ふん」

 そう鼻で笑われた。
 いやはや、楽しそうな事で。

「おはよう、先生」

 そんな事を考えていたら、後ろから声。

「おー……おはよう、龍宮」

「おはようございます、真名さん」

「おや、今日は朝からご機嫌だね、エヴァ」

「……別に、いつも通りだ」

 そう言われ、肩をすくめる龍宮に苦笑してしまう。

「聞いたよ、携帯買ったんだって?」

「あのバカ……」

 楽しそうだな、と。
 そう内心で苦笑し、その場を静かに離れる。
 こんな時には、教師は居ない方が良いだろう、と。

「……先生」

「ん?」

 そう思ったんだけど、絡繰には気付かれてしまった。
 むう……ま、自分がこんな気配りが上手な方っては思ってないからしょうがないんだけど。

「今日のお昼はどうなされるのでしょうか?」

「昼?」

 そう聞かれても、

「あー……まぁ、今日もコンビニの弁当だ」

 と答える事しか出来ない訳だけど。
 料理が出来る訳でもないし、今日もいつも通りの幕の内弁当である。

「……そうですか」

「えっと……」

「それでは、失礼します」

「お、おー……」

 ふと、思い出したのは昨日の出来事。
 昨日も絡繰と昼に会って……同じような事を聞かれたな、と。
 ――いや、まさかな。
 そう苦笑し、先ほどよりも若干ゆっくりと歩く。

「弁当、なー」

「どうしたんです、せんせ?」

「―――っ」

 あ、あー……びっくりしたぁ。

「おはよう、近衛、桜咲」

「おはようございます、せんせ」

「おはようございます。それで、どうかなさったのですか?」

 いや、と答え先を歩くマクダウェル達を指差す。

「なんか、携帯買ったらしくてな」

「あ、もう聞いたんですか?」

「なんだ、桜咲は知ってたのか」

「ウチも知ってますえ」

「ん?」

「昨日一緒に買いに行きました」

 なるほどなぁ。
 うん。何だかんだ言っても、ちゃんとクラスメイトと遊んだりしたりしてるんじゃないか。

「そか。近衛と桜咲も、マクダウェルと仲良くしてくれな?」

「はい」

「もちろんですえ」

 そんな事を話しながら、並んで歩き、

「せんせ、エヴァちゃんの事そんなに気になるんですか?」

「ん?」

 唐突に、そんな事を聞かれた。
 気になる?

「どうだろうな? まぁ、何だかんだ言っても、1年の時と2年の時はサボりの常習犯だったからな」

「あ、あはは……なるほど」

 でもまぁ、今年は大丈夫だろうけど。
 ……あんなに、楽しそうだし。

「ウチもサボろうかな……」

「ボソッと怖い事を言わないでくれ」

 そんな事になったら、学園長に何て言われるか……。
 考えるだけでも、胃が痛くなってくる。
 取りあえず、確実に学園長室に直行は間違いないだろう。

「桜咲、近衛がサボらないように見ててくれな?」

「はは……はい」

「じょ、冗談ですえ、冗談」

 まぁ、それは判ってるけど。
 そう手を大きく広げて、全身を使って否定をしなくても。
 これでも、冗談は判る方だと思うんだけどなぁ。

「ま、近衛はそんな事はしないって信じてるからな?」

「……ぅ、はい」

 しかし、まぁ。

「今日は良い天気だなぁ」

 無意識に、欠伸が出てしまいそうなくらいに、空が高い。
 こんな日に布団なんかほしたら、気持ち良いんだろうな。

「でも、今週末からは雨らしいです」

「う……そうなのか」

 今日の天気しか見てなかったけど、週末から雨かぁ。
 夏が近づいてくるなぁ。まぁ、もう少し先だけど。

「せんせは、晴れは好きですか?」

「んー?」

 晴れ?

「そうだなー……でも、雨も好きだな」

「そなんですか?」

「おー。なんか楽しい気分になる」

 子供っぽいですね、と二人に笑われた。
 いやまぁ、そう言われると、その通りなんだけど。
 俺も苦笑してしまう。

「うちは晴れが好きです」

「そうだな。気持ち良いし」

「はいっ」

 こんな日は、洗濯物干したくなります、と。
 その物言いに笑ってしまい――その顔が、見上げてくる。

「なんか、主婦みたいな事言うんだな」

「――――――」

 そう言うと、真っ赤になって俯いてしまった。
 あ、あれ? そこは笑って否定する所じゃないかな? と思ってしまう。
 むぅ……デリカシーが無かったかな?
 ここは主婦じゃなくて、もっとこー……。
 でも、オバチャンとか言ったら怒られるよな、絶対。
 難しいなぁ。
 そのまましばらく無言で歩き、

「それじゃ、HRでな?」

「あ、は、はいっ」

「それでは、失礼します」

 今度からは、うかつに喋らない方が良いかも。
 ……やっぱり、女子中学生の相手は難しい。






――――――エヴァンジェリン

「エヴァー、お昼一緒に食べよ」

「ああ。教室で食べるか?」

「んー……天気良いし、屋上で食べる?」

 ――常々思うが、絶対コイツ私を吸血鬼だなんて思って無いだろうな、と。
 なんで吸血鬼を天気が良いからって屋上に誘うんだ。
 まぁ、陽の下を堂々と歩いている私も私だが。

「判った。茶々丸、行くぞ」

「かしこまりました」

 私の分の弁当も茶々丸が持っているので、茶々丸を連れて教室を出る。
 廊下には食堂に向かう者や、購買に向かう者、外に食べに出る者で一杯だった。

「木乃香も一緒にどう?」

「ええよー、せっちゃん行こ」

「う、うん」

 しかし、刹那も早く手を引かれる事に慣れれば良いのに、と思ってしまう。
 京都からずっと、木乃香は良く刹那の手を握って引いていく。
 それが一緒に行く為か、離さない為かは判らないが。
 だが、それにいまだに戸惑っている姿は……微笑ましいと言うか、何と言うか。

「あれ? 茶々丸さん、今日は結構多荷物やね」

「はい」

 そう言われて、初めて茶々丸の弁当用のバッグがいつもより若干大きい事に気付いた。
 優に三人分、いや四人分くらいはある。

「どうしたんだ?」

 流石に、そんなには食べないぞ、と。

「いえ……少々予定が外れてしまいました」

「予定? 茶々丸さん、なんか用事あった?」

「いえ、用事ではありません」

 なんだそれは。
 何か、今日はあったかな?
 そんな事を考えながら、内心で首を傾げる。

「用事?」

「はい」

「私は何も聞いていないが」

「はい。マスターには関わりの無い事だと思いましたので」

 ほう、と。

「まーまー、茶々丸さんにだって、色々用事があるんでしょ」

「いや、別に怒ってはいないが……」

 そう明日菜に言われて、そう答える。
 怒ってはいない。どちらかと言うと……驚いた、というのが正しいのか?
 何と言うか……。

「最近、何してるんだ?」

「何、ですか?」

「ああ」

 ……ここ最近の茶々丸が何をしているのか、良く知らないな、と。
 ふと思った。
 まぁ、以前より一緒に居る時間が減っているのは確実だろう。
 放課後とか休日に、別行動をする時間も増えたと思うし。
 それが悪いか、と言われたら悪くは無いんだが。

「特に何かをしている訳では」

「そうなん?」

「はい」

 ふぅん。

「強いてあげるなら、猫さんの世話を良くしています」

「それは知っているが……」

「猫!?」

 あ、また何か変なのが反応した。

「木乃香さん、猫さんは好きですか?」

「うんー。かわええよねぇ」

「木乃香、可愛いの好きだもんね」

「うんー」

 そう言って幸せそうに笑う木乃香を横目で見る。
 ……実物も見てないのに、幸せそうだなぁ、と。

「見に来られますか?」

「へ?」

「休みの日に、猫さん達を見に来られますか?」

「ええの?」

「はい」

 やったー、とはしゃぐ木乃香と、それを嗜める刹那。

「お前からそんな事を言うなんて珍しいな」

「そうでしょうか?」

 ああ、と。
 記憶している限り、これが初めてじゃないか?
 魔法関係以外で、お前から誰かに何かを提案するのは。
 ふむ……。

「どうしてそう思ったんだ?」

「好きなら、休日にお誘いしても問題無いと判断しました」

「なに?」

「好き、というのはそう言うものではないのでしょうか?」

 ……また、誰かの入れ知恵か?
 まぁ、そう間違いでもない……のかもしれないが。

「やっとついたー」

 そんな事を考えていたら、明日菜が屋上へ続くドアを開け、涼しい風が髪をさらった。

「良い天気だな」

「はい。今週末までは、この天気が続くかと」

 そうか、と。

「それじゃ、早速食べましょうっ」

「判った判った。落ち着け、明日菜」

 まったく、犬か何かか、お前は。
 絶対尻尾なんかが付いてたら、振られてるんだろうな、と想像して笑ってしまう。

「ん? 何よ?」

「いや、何でも無い」

 そう言い、適当な所の埃を軽く魔法の風で飛ばし、腰を下ろす。。
 明日菜達もそれに習い、腰を下ろす。

「はー……そんな使い方もあるんかぁ」

「便利ねぇ」

「こう言う時はな」

 これくらいなら、そうそう魔法だなんて気付く奴も居ないだろう。
 居るとしたら、それこそもう関係者だけだ。

「しっかし、こう天気が良いと、お腹が膨らんだら寝そうだわ」

「ああ、判ります」

「刹那さんも眠くとかなるんだ」

「あとで膝枕してあげよか?」

「……こ、ここのちゃん」

 何を言ってるんだか。
 そう心中で溜息を吐き、茶々丸から弁当を受け取る。
 ――なんで、3つ出てくるんだ?

「お前は食事は要らんだろう?」

「はい、必要ありません」

 まぁ、確かに最近は明日菜がどうしてもと言うから茶々丸用の弁当を作らせていたが、それも一人分だ。
 なんで私の分を抜いても2人分……しかも、片方はやたらと大きいし。
 2人分くらいはあるぞ。

「……だったら、何で弁当箱が3つなんだ?」

「予定が狂ってしまいましたので」

 そう言えば、さっきもそんな事を言っていたな。

「誰かにお弁当作ってきたん?」

「はい」

 ああ、なるほど。
 誰かに弁当を作ってきたのか……。

「なに?」

「へー、誰に誰に?」

「先生にです」

 ……な、なに?

「へ、へぇ」

「いつもマスターがお世話になっておりますので」

「別に最近は世話になんかなってないっ」

「……前はお世話になってたんだ」 

「少し黙ってろ、明日菜」

「は、はぁい」

 次また変な事言ったら、その頬をまた引っ張るからな? まったく。
 弁当を広げながら、溜息を一つ。

「だからと言って、弁当なんか作ってきても受け取らんだろう?」

「はい」

 だろうな、と思ってしまう。
 生徒から、というのを受け取らないだろうな、と。
 良く聞く調理実習とかなら、まぁ判らないが……生徒の手製の弁当なんかは、まぁ、無理だろうな。
 ……堅物だからなぁ。

「で、どうして弁当なんだ?」

「食生活が、あまり宜しくないとお聞きしましたので」

「な、なるほどなぁ」

 どうしてそこで感心するんだ、木乃香。
 あとソワソワするな、刹那。

「それで、弁当、と」

「はい。お礼を申し上げても、あまり喜んではいただけませんでしたので」

「そ、そか……」

 ……私の知らない所で、何をやってるんだか。
 それが悪い事か、と言われたら悪い事ではないんだが。

「うっわー。手作りのお弁当を断るんだ……」

 と、感心したような声は明日菜。
 まぁ、お前はそれ以前にそこまで行動してないみたいだがな、とは言わないでおく。
 きっと未来は似たようなもんだ。

「いえ」

「え?」

「今日はコンビニのお弁当をお買いになられてましたので」

「……なに?」

 お買いになられてました……?
 その言い方が、引っかかった。

「お前、もしかして弁当を作ってきた事を伝えてないのか?」

「はい。御迷惑になるかと思いまして」

「迷惑って……迷惑なんて、思わないんじゃないかな?」

 ……………それは、何と言うか。

「それはアカン。それはあかんえ、茶々丸さんっ」

「ですが、お礼なのに迷惑を掛ける訳には」

 それはそうだが……何と言うか、何かが違うと思う。
 ……私も、誰かに弁当を作った事が無いから何とも言えないが。

「作ってきた事伝えな、作ってきた事気付いてもらえへんよ?」

「そうだよ。それに、先生なら作ってきたって言えば食べてくれるって」

「そうですね。その辺りは、キチンとしてくれそうですし」

 まー……そうだろうけどな。
 何だかんだ言っても、一番喜びそうだからなぁ。

「よし、それじゃ早速職員室にっ」

「行ってどうするんだ。もう昼休みになってから、結構な時間が経ってるぞ?」

 大体、もう昼休みに入って随分な時間が経っている。
 そろそろ先生も昼ご飯は食べ終わった頃だろう。

「う」

「そうやねぇ」

「そのお弁当、どうしましょうか?」

 どうするかなぁ、と。
 まぁ、ここまで来たら、選択肢は一つなんだが。

「皆で食うか」

「だね」

「やなぁ」

「はい」

 しょうがないだろう。勿体無いし。

「申し訳ありません」

「ええのええの。しかし……むぅ」

「このちゃん?」

「あ、何でも無いよ?」

 何を感心しているんだか。
 相手は教師だぞ、教師。
 あまりこう言うのは良くないと思うんだがなぁ……ま、言ってもどうにもならんか。

「……なんか、やけに肉料理が多くないか?」

 しかも、弁当箱も、私のより倍近くあるし。
 ボリュームもあり、彩りも良い。
 これ、絶対事情を知らない教師に見られたら勘繰られるんじゃないだろうか……?

「はい。男性はお肉がお好きだとお聞きしましたので」

「……誰から聞いたんだ?」

「美砂さんです」

 柿崎か……まったく、要らん事を。

「凄いボリュームねぇ」

「それに、栄養も考えてある……やりますね、茶々丸さん」

「どうしてそこに気付けるの、刹那さん」

 どこの評論家だ、お前は。まったく
 そして、無言で弁当箱の中を見ている木乃香。

「どうしたんだ、木乃香?」

「んー……そう言えば、先生の好きな料理って聞いて無いなぁ、って」

「……そんなのを聞いてどうするんだ、お前は」

 何回も言うが、教師だぞ、教師。
 下手したら注意されるぞ……まぁ、しないだろうが。

「だって、せっかく作るなら喜んでもらいたいし?」

「作るな。相手は教師だぞ?」

「いやいやいや、そう言えば、まだウチもお礼してないし」

 何のお礼なんだか……。

「うっし、ちょっと気合入った」

「おー。これは今晩と明日のお弁当が期待できそうね」

「うん。任しといてー」

 何をやってるんだか。
 しかしまぁ……。

「よくもまぁ、こんなに作ったもんだな」

「はい。お弁当を作るのは楽しいです」

 楽しい、ねぇ。
 そんな事を言ったのは、初めてじゃないだろうか?
 そう思い、苦笑してしまう。

「変わったな」

「私がですか?」

「ああ」

 そうでしょうか、と。
 そう無表情なのに、不思議そうに首を傾げる茶々丸が可笑しくて、また小さく笑ってしまう。
 なんとまぁ、こんなに顕著な変化が現れるとは。

「……判りません」

「なるほど」

 自分の変化に、まだ感情が追い付いていないのか。
 ――本当に、子供みたいだな、と。

「しかし、これは作り過ぎじゃないか?」

 流石に、自分の弁当を食べた後にこの量は……肉が多いし。

「明日はちゃんと弁当を作ってきたと伝えろ。良いな?」

「……かしこまりました」

 どう、表現すればいいのか。
 表情に変化は無いはずだ。
 きっと、その感情がなんなのかも理解出来ていないはずだ。
 なのに――茶々丸は、恥ずかしそうな声で、確かにそう頷いた。
 しかし、これだけ食べると……午後の授業は、寝てしまいそうだな。




――――――

 くぁ、と欠伸を一つ。
 今日も良い天気だなぁ、と心中で呟きながら職員寮から出て学園に向かう。

「おはよう、先生」

「んあ?」

 その声に反射的に振り替えると

「マクダウェルと絡繰? おはよう、どうした?」

「……おはようございます、先生」

 寮の入り口の陰になる所に、見慣れた2人が経っていた。

「何かあったか?」

「いや、そうじゃない」

 ん?
 いや、用があって居るんじゃないのか、と。

「用はあるが……」

「? とりあえず、歩かないか?」

「そうだな」

 はて?
 今日は何かあったかな……特に、何かあった訳でもないようだし。
 いつも通りの2人だからこそ、何故職員寮の前で、と。
 とにかく、聞くしかないか。

「それで、どうかしたのか?」

「用があるのはこっちだ」

 ん?

「絡繰、どうした?」

「いえ……」

 そう言い……沈黙。
 なに? 全く話が見えないんだけど?

「どうしたんだ、マクダウェル?」

「ふん――まぁ、なんだ」

「うん」

「…………茶々丸、さっさと言え」

 そこでまた絡繰に振るのか。
 なんなんだ? 俺、何かしたかな?
 昨日は3-Aに授業は無かったから、会ったのはHRくらいなんだが……。
 そんな事を考えていたら、小さな着信音。
 俺のじゃないな、と考えていたらマクダウェルが携帯を取り出した。

「さっさと言えよ」

「はい」

 そう言って、また携帯を操作し……どうやら、またメールのようだ。

「前見て歩かないと事故するぞ?」

「ふん。そんなヘマはしない」

「事故した奴は、大体そう言うんだよ」

 まったく。
 溜息を一つし……チリン、とその鈴の音が耳に届く。

「お、その鈴付けてたのか」

「……今頃気づいたのか」

「いや、お前の携帯見るの2回目なんだが……」

 それは、京都で良い事がありますように、と買った鈴だった。
 確か――随求桜鈴、だったか?
 桜の意匠が可愛らしい開運の鈴だ。

「ふん」

「ありゃ」

 そこでへそを曲げられてもなぁ、と苦笑してしまう。
 流石に、1回目では気付けんだろ、と。
 しかし、今日は何で寮の前まで来たんだろうか?

「絡繰、今日はどうしたんだ?」

「いえ――先生には、いつもお世話になっていますので」

「いや、そんなのは気にしなくて良いんだが……」

 マクダウェルは携帯を弄ってるし、絡繰は相変わらず。
 むぅ……全く判らないんだが。
 しかし、何と言うか。

「毎日この時間に登校してくれると助かるんだがな、マクダウェル?」

「……朝は苦手なんだよ。今日は特別だ」

「ふぅん」

 一体、何があったのやら。
 そんな事を考えながら、のんびりと学園に向かって歩く。
 今日も良い天気だなぁ、と。
 そうこうしているうちに神楽坂達と合流し、また、静かにその集団から離れる。
 しかし一体、今日は何で寮の前まで来たんだろうか?
 コンビニで弁当を買い忘れた俺は、久し振りに出前を頼みながら首を傾げるばかりである。

「こら、寝るな」

 午後から3-Aで授業が入ってたんだが……マクダウェル、神楽坂、近衛、桜咲は良く寝てるし。
 ……はぁ。

「申し訳ありません」

「いや、絡繰が謝る事じゃないだろ」

 寝ているのが悪い、と。
 まったく。

「この色ボケが……」

「そう言う元気があるなら、前に出て黒板の問題解いてみろ」

「……はぁ」

 溜息を吐きたいのはこっちだ、まったく。







――――――チャチャゼロさんとオコジョ――――――

「暇っすねぇ」

「ダナァ」

 エヴァの姐さん宅で、のんびりと日向ぼっこ中。

「平和ダナァ」

「っすねぇ」

 ああ……静かだなぁ。

「オ前、何カ芸ヤレヨ」

「……え?」

 またいきなりの無茶振りっすね……。

「じゃあ、オレっち得意のオコジョ魔法を」

「オオー」

「なんと、人の好感度が測れると言うっ」

「……面白ソウダナ、ヤレ」

 うっす。
 誰を測るかなぁ……やっぱ兄貴が無難かな?







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