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No.25786の一覧
[0] 普通の先生が頑張ります (更新再開…かな?[ソーイ](2011/06/08 19:02)
[1] 普通の先生が頑張ります 0話[ソーイ](2011/04/10 19:06)
[2] 普通の先生が頑張ります 1話[ソーイ](2011/04/10 16:49)
[3] 普通の先生が頑張ります 2話[ソーイ](2011/04/08 22:17)
[4] 普通の先生が頑張ります 3話[ソーイ](2011/04/08 22:52)
[5] 普通の先生が頑張ります 4話[ソーイ](2011/04/08 23:22)
[6] 普通の先生が頑張ります 5話[ソーイ](2011/04/08 23:43)
[7] 普通の先生が頑張ります 6話[ソーイ](2011/04/09 10:03)
[8] 普通の先生が頑張ります 7話[ソーイ](2011/04/09 10:16)
[9] 普通の先生が頑張ります 8話[ソーイ](2011/04/09 10:36)
[10] 普通の先生が頑張ります 9話[ソーイ](2011/04/09 13:58)
[11] 普通の先生が頑張ります 10話[ソーイ](2011/04/09 14:38)
[12] 普通の先生が頑張ります 11話[ソーイ](2011/04/09 15:24)
[13] 普通の先生が頑張ります 12話[ソーイ](2011/04/09 18:20)
[14] 普通の先生が頑張ります 13話[ソーイ](2011/04/09 22:23)
[15] 普通の先生が頑張ります 14話[ソーイ](2011/04/09 23:12)
[16] 普通の先生が頑張ります 15話[ソーイ](2011/04/09 23:47)
[17] 普通の先生が頑張ります 16話[ソーイ](2011/04/10 16:45)
[18] 普通の先生が頑張ります 17話[ソーイ](2011/04/10 19:05)
[19] 普通の先生が頑張ります 18話[ソーイ](2011/04/11 21:15)
[20] 普通の先生が頑張ります 19話[ソーイ](2011/04/11 21:53)
[21] 普通の先生が頑張ります 20話[ソーイ](2011/02/27 23:23)
[22] 普通の先生が頑張ります 21話[ソーイ](2011/02/27 23:21)
[23] 普通の先生が頑張ります 22話[ソーイ](2011/02/27 23:19)
[24] 普通の先生が頑張ります 23話[ソーイ](2011/02/27 23:18)
[25] 普通の先生が頑張ります 24話[ソーイ](2011/02/26 22:34)
[26] 普通の先生が頑張ります 25話[ソーイ](2011/02/27 23:14)
[27] 普通の先生が頑張ります 26話[ソーイ](2011/02/28 23:34)
[28] 普通の先生が頑張ります 27話[ソーイ](2011/03/01 23:20)
[29] 普通の先生が頑張ります 28話[ソーイ](2011/03/02 22:39)
[30] 普通の先生が頑張ります 29話[ソーイ](2011/03/04 22:42)
[31] 普通の先生が頑張ります 30話[ソーイ](2011/03/08 00:19)
[32] 普通の先生が頑張ります 31話[ソーイ](2011/03/07 23:33)
[33] 普通の先生が頑張ります 32話[ソーイ](2011/03/10 00:37)
[34] 普通の先生が頑張ります 33話[ソーイ](2011/03/09 23:47)
[35] 普通の先生が頑張ります 34話[ソーイ](2011/03/10 23:15)
[36] 普通の先生が頑張ります 35話[ソーイ](2011/03/13 23:11)
[37] 普通の先生が頑張ります 36話[ソーイ](2011/03/14 22:47)
[38] 普通の先生が頑張ります 37話[ソーイ](2011/03/15 23:56)
[39] 普通の先生が頑張ります 38話[ソーイ](2011/03/16 23:15)
[40] 普通の先生が頑張ります 39話[ソーイ](2011/03/17 23:03)
[41] 普通の先生が頑張ります 40話[ソーイ](2011/03/18 22:46)
[42] 普通の先生が頑張ります 41話[ソーイ](2011/03/19 23:49)
[43] 普通の先生が頑張ります 42話[ソーイ](2011/03/20 23:12)
[44] 普通の先生が頑張ります 43話[ソーイ](2011/03/21 22:44)
[45] 普通の先生が頑張ります 間幕[ソーイ](2011/03/23 07:49)
[46] 普通の先生が頑張ります 44話[ソーイ](2011/03/23 23:24)
[47] 普通の先生が頑張ります 45話[ソーイ](2011/03/25 23:20)
[48] 普通の先生が頑張ります 46話[ソーイ](2011/03/26 23:23)
[49] 普通の先生が頑張ります 47話[ソーイ](2011/03/28 00:29)
[50] 普通の先生が頑張ります 48話[ソーイ](2011/03/28 23:24)
[51] 普通の先生が頑張ります 49話[ソーイ](2011/03/30 00:25)
[52] 普通の先生が頑張ります 50話[ソーイ](2011/03/31 00:03)
[53] 普通の先生が頑張ります 閑話[ソーイ](2011/04/01 00:36)
[54] 普通の先生が頑張ります 51話[ソーイ](2011/04/01 23:50)
[55] 普通の先生が頑張ります 52話[ソーイ](2011/04/03 00:22)
[56] 普通の先生が頑張ります 53話[ソーイ](2011/04/04 23:45)
[57] 普通の先生が頑張ります 54話[ソーイ](2011/04/05 23:24)
[58] 普通の先生が頑張ります 55話[ソーイ](2011/04/06 22:31)
[59] 普通の先生が頑張ります 56話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:46)
[60] 普通の先生が頑張ります 57話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:47)
[61] 普通の先生が頑張ります 58話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:47)
[62] 普通の先生が頑張ります 59話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:47)
[63] 普通の先生が頑張ります 60話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:47)
[64] 普通の先生が頑張ります 61話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:48)
[65] 普通の先生が頑張ります 62話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:48)
[70] 普通の先生が頑張ります 56話(修正版[ソーイ](2011/04/28 23:46)
[71] 普通の先生が頑張ります 57話(修正版[ソーイ](2011/04/28 23:27)
[72] 普通の先生が頑張ります 58話(修正版[ソーイ](2011/04/30 22:52)
[73] 普通の先生が頑張ります 59話(修正版[ソーイ](2011/05/18 23:24)
[74] 普通の先生が頑張ります 短編 【茶々丸】 [ソーイ](2011/05/23 23:47)
[75] 普通の先生が頑張ります 短編 【エヴァンジェリン】 [ソーイ](2011/05/23 23:42)
[76] 普通の先生が頑張ります 短編 【エヴァンジェリン】 2[ソーイ](2011/05/25 23:21)
[77] 普通の先生が頑張ります 短編 【月詠】 [ソーイ](2011/06/08 23:06)
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[25786] 普通の先生が頑張ります 31話
Name: ソーイ◆9368f55d ID:052e1609 前を表示する / 次を表示する
Date: 2011/03/07 23:33
「おはようございます、ネギ先生」

 学園への通勤途中に、珍しくネギ先生と神楽坂、近衛……それに、桜咲と龍宮の姿を見つけたので声を掛ける。
 前は3人での登校が多かったようなのに、それに2人増えていた。
 それが今日だけなのか、それともここ最近ずっとなのかは判らないが。

「おはようございます、先生」

「はい。神楽坂達も、おはよう」

「おはようございます、先生」

「おはよーです、せんせ」

「おはようございます」

「おはよう、先生」

 一人で寂しい通勤が一気に華やかになったなぁ。
 そう内心で思いながら、ネギ先生に向き直る。

「昨日はあの後大丈夫でしたか?」

「はいっ、昨日はありがとうございましたっ」

「礼を言うような事は」

 その真面目さに苦笑してしまう。
 眩しいと言うか、何と言うか。
 まっすぐ、と言えば良いのか。

「ネギ君、昨日は凄ぅ楽しそうやったもんね」

「はいっ」

 そんな握り拳まで作らなくても。
 でも、そうまで喜んでもらえるとこっちも嬉しいもんだ。

「なら、今度また行きましょうか?」

「是非お願いします」

 判りました、と。
 まぁ、そう頻繁に行くようなもんでもないし、今度は麻帆良祭前にでも場を設けるかな。

「昨日、何かあったのかい?」

「ん? いや、晩御飯に誘ったんだ」

 えっと……新田先生に瀬流彦先生、源先生と葛葉先生か。
 人数を指折り数えて、

「6人で」

「とても楽しかったですっ」

「それは良かったです」

 誘った甲斐もありました、と。

「なるほどねぇ」

「でも、超包子だったんでしょ?」

「安くて美味いからなぁ」

 四葉には感謝し過ぎても、感謝し足りないくらいである。
 京都で少し舌が肥えたせいか、最近はコンビニ弁当を味気なく感じるしなぁ。
 早く舌を元に戻さないと。

「でも、外食ばかりで……栄養考えんと駄目ですえ?」

「耳に痛いなぁ」

 だがまぁ、正論なのでしょうがない。
 ……生徒から正論とか教師としてどうか、とも思うが。
 料理ばっかりはなぁ……やった方が良いって言うのは判ってるんだが、どうにも。
 頬を掻きながら近衛から目を逸らし、どうしたもんか、と苦笑してしまう。

「せんせ、おべんと、今日もコンビニのなんですか?」

「おー」

 そう応え、いつも持ち歩いているバッグを軽く持ち上げる。
 通勤途中に買ったそれは、今日は初心に還って幕の内弁当とおにぎり一個である。

「健康に悪いですえ」

「りょ、料理には厳しいな、近衛」

 あれ? 何で俺って近衛から怒られてるんだろう?
 ……いや、俺が悪いんだけどさ。

「はは、先生も料理に関してはタジタジなんだね」

「う……そう言う龍宮は?」

「……学生は、朝の時間は貴重なんだよ」

「それは大人だって変わらない」

 つまり、龍宮はこちら側と言う訳だ。
 よかった、俺一人じゃなくて。
 ……教師としてどうかとは思うけど。

「神楽坂と桜咲は」

「あー……私は、作れますよ?」

 作らないだけなんです、と。
 うん、判った。

「バイトも忙しいもんな」

「そう、それです」

 桜咲は……何でか赤面していた。
 え? なんで?

「せっちゃんの分も、ウチが作ってますえ」

「大変だなぁ、朝から」

「3人分も4人分も変わりませんから」

 そう言うもんなのかなぁ。
 料理をしないからアレだけど、料理をする人からは良くそう聞くな。
 源先生も葛葉先生もそう言ってたし。

「あ」

 そう話していたら、ふいに神楽坂が声を上げた。
 ん?
 その視線を辿ると、

「げ」

「おはよー、エヴァ」

 何と言う声を出してるんだ、お前は。
 まったく。そう苦笑してしまう。
 前は、そんな声も出してなかったんだよなぁ、と。

「……おはよう」

「おはようございます、皆さん」

 マクダウェルはまさに渋々と言った感じに、絡繰は軽く一礼してからの挨拶。
 本当に対照的な2人だよなぁ。

「ねーねー、エヴァのお弁当って茶々丸さんが作ってるんだよね?」

「……なんだ、藪から棒に?」

 さっきまで話していた事を簡単に説明する。
 と言っても、弁当の話しかしてないんだけど。

「ふん。そうだな、私の分は何時も茶々丸に用意させている」

 だから、何でお前はそんなに偉そうなんだよ……。
 まぁ、マクダウェルらしいって言えば、マクダウェルらしいんだけど。
 そうマクダウェルが言うと、絡繰が軽く一礼して応える。

「茶々丸さんも大変ねぇ」

「いえ」

「そだ、今度皆でお弁当作ってきて食べへん」

「……なに?」

「なるほど、それは楽しそうだ」

 その話題の中、マクダウェルが一人、固まる。
 さっきの話だと、自作だろうしなぁ。
 悪い、とは思ったが、笑ってしまう。
 きっと顔にも出てしまっているだろう。
 ……でもまぁ、マクダウェルが困った顔なんて、初めて見たのだ。
 それくらいは許して欲しい。

「えっと……」

「もちろん、ネギ君もや」

「ええ!?」

 楽しそうだなぁ、と。
 一歩離れた位置でその様子を眺め、目を細める。
 うん。朝からこんなのが見れるなんて、今日はツいてるなぁ。

「……おい、何を笑ってる?」

 見付かってしまったか。
 その一団から気付かれないようにこっちに来るのは、マクダウェル。

「いや、楽しそうだなぁ、と」

「ふん――どこがだ」

 そうか?
 俺には、お前も十分楽しそう……いや、この会話を、十分楽しんでるように見えるんだけど。
 けど、そうは言わない。
 きっと、そう言ったらこの照れ屋の少女は照れ隠しに悪態を吐いてくるだろうから。
 それが判るくらいには、俺もマクダウェルの事は知ってるし。

「何をニヤニヤしている?」

「そんな顔してるか?」

 そりゃいかん。
 カバンを持っていない方の手で頬を揉み、そのニヤニヤを消す。

「……ふん」

「そう怒るなよ」

 その柔らかな髪に、手を乗せる。
 撫でるように優しく叩く。

「きっと楽しいさ」

「――ふん」

 手を払われた。
 うーむ。

「ねー、エヴァって料理できるの?」

「出来る」

 おー、即答か。
 羨ましいもんだ。
 そして、手を引かれながら、また一団へ。
 ……神楽坂も、マクダウェルの扱いに慣れてきたなぁ。







 その日の昼休み、相も変わらずコンビニ弁当を新田先生と仲良く突いていた。

「修学旅行は危ないですね」

「まったくだ」

 舌が肥えてしまってるのである。
 ……どうして旅行に行くと、御当地のグルメを食べてしまうんだろう?
 まぁ、普段食べられないから、という簡単な答えが出るんだけど。
 うーむ。

「どうしたんですか?」

「あ、弐集院先生」

 そんな事を話していたら、弁当を持った弐集院先生と源先生が。

「いえ。修学旅行先で舌が肥えてしまいまして」

「はは――良い物ばかり食べたんでしょう?」

「いやぁ、言い返せないですね」

「毎年の悩みだよ、まったく」

 贅沢な悩みだなぁ。
 でもまぁ、その通りなので、苦笑するしかない。
 しかし、旅館の料理は美味かった。

「そう言えば、さっきエヴァンジェリンさんと話しましたよ」

 はい?

「マクダウェルですか?」

「うん。挨拶したら、挨拶を返されたよ」

「はは。そりゃ、いくらマクダウェルでも、挨拶を返すくらいするでしょ」

 何言ってるんですか、弐集院先生、と。
 自分で淹れたお茶を一口飲み、そう笑ってしまう。
 しかし、渋い。
 茶葉を入れ過ぎた。新田先生は笑ってくれたけど……うーむ。

「うん、そうだね――挨拶をしたら、返すんだねぇ」

 そうしみじみと言われてしまった。
 はあ、と。
 そう言われてもなぁ。

「先生、お茶のおかわりは?」

「へ? あ、良いんですか葛葉先生?」

「ふふ――これでも、お茶には少々自信が」

 正直、羨ましいです。
 お茶すら満足に淹れられない俺って……はぁ。
 そう言い、給湯室の方に歩いていく葛葉先生。

「最近機嫌良いですね」

「そうだね」

 横目で弐集院先生の弁当を確認すると、色とりどりだった。
 うーむ、美味そうだ。
 そして、自分のコンビニ弁当に。
 ……弁当業者には悪いが、ちょっと考えてしまう。
 でも作る気が起きないのは、どうしようもない。
 早起きよりは、弁当を我慢しよう。

「きっと良い事があったんじゃないかな?」

「そうですな」

「ですねぇ」

 新田先生は新聞を広げ、俺も食べ終えた弁当をゴミ箱に捨てる。
 のんびりとした昼休みである。
 今日は特にする事もないし、午後からの授業も6時間目に一つだけ。
 うーん、今日は久しぶりに少し時間があるなぁ。
 授業の準備はもうしてあるし。
 こんな時にガンドルフィーニ先生が来てくれると助かるんだけど……どうにも今日は来る気配無いしなぁ。

「何か、楽しそうな話題は載ってますか?」

 隣で新聞を読んでいる新田先生に声を掛ける。
 チラリ、と横目で見るとテレビ欄だった。
 新聞読む時、最初ってテレビ欄から見るよなぁ、と。
 意味もなく共感してしまった。

「さて、どうかな」

「最近は、平和なもんですね」

「はは、そうですね」

 この麻帆良は、治安良いですからね、と。

「どうぞ、先生。新田先生と弐集院先生も」

「ありがとうございます」

「あ、すまないね、葛葉先生」

 そんな事を離していたら、機嫌の良い葛葉先生が戻ってきて、隣で弁当を広げ出す。
 見ないようにしとこう。俺は弁当より睡眠が欲しいのだ。
 そう誘惑しないでほしい。







 はて? と。

「先生、紅茶はお好きですかな?」

 どうしてこうなったんだろう?
 目の前に置かれた紅茶から、鼻孔を擽る良い香り。
 うん。とても美味しそうである。
 出来れば、この紅茶を飲んだら早々に退室したいくらいに。
 
「す、すみません。用意してもらって」

「なに。こちらから呼んだんじゃ、持て成すのが礼儀じゃろうて」

「……は、はぁ」

 何で俺は、学園長室に呼ばれたのか、いまだに良く理解出来ていない。
 いや、葛葉先生経由で学園長が俺を呼んでいるから、と言うのは判ってる。
 判ってはいるんだが……お茶に茶菓子も用意されているのである。
 これじゃ長く話す気満々じゃないか。
 前回呼ばれた時の近衛の話を思い出してしまう。
 ――アレは、長かった。
 ちなみに、紅茶を用意しているのは源先生である。
 あんなに昨日は酔っていたのに、今朝はもうピンピンしていた。
 酒に強いな、羨ましい。

「それで、どういった話でしょうか……?」

 解雇通告、とかじゃないとは思うが、まずそこを聞く。
 いや、学園長室に呼び出しとか、嫌な想像しか出来ないし。
 内心冷や汗流してたりする。

「いやの、また先生の話を聞きたくなってのぅ」

「私の話、ですか?」

 また……と言う事は、ネギ先生とマクダウェル、近衛の事か。
 ふぅ、と気付かれないように安堵の溜息。
 良かった、とりあえずクビではないらしい。

「えっと……京都の時の、事でよろしいのでしょうか?」

「うむ。婿殿――木乃香の父親からも少し話は聞いておるんじゃが」

 どうやら俺からも、と言う事らしい。
 ……本当に近衛の事が好きなんだなぁ、と。
 子供とか孫が出来たら、皆こうなんだろうか?
 いや、そこはもう前回で良く判ってはいるんだけど……やっぱり、役職とのギャップと言うか。
 内心で苦笑してしまう。

「学園長は、木乃香さんの事は目に入れても痛くないほどですからね」

「何を言っておる。当たり前じゃろうが」

「……はは」

 そう言ってもらえると、近衛も嬉しい事だろう。
 自然と笑ってしまい、コホン、と咳を一つ。

「そうですね――そう、近衛と言えば、桜咲と以前から親交があったらしいですね」

「――なんじゃ、先生知っておったのか?」

「はい。近衛から修学旅行前に相談を受けまして」

「……ほぅ」

 そこは学園長も知っていた事なのだろう、別段驚きは無い。
 でも、目付きが鋭くなるのは何でだろう?
 ……胃に悪い。

「京都に行った際に、また元のように仲良くなれたようで」

「その様じゃのぅ。あの子も……まぁ、訳有りじゃが、また昔のように仲良くしてくれればよいが」

「そこは大丈夫でしょう」

 訳有り? それが、近衛と桜咲が仲違いした理由か?
 ふむ――。

「近衛は友達を大事にする子です。そこは心配ないと思います」

「……うむ、そうじゃな」

 まぁ、その理由が何であれ、今の2人を見ていれば判る。
 大丈夫だ、と。
 そう断言できる。
 そう言うと、学園長も嬉しそうに頷いてくれた。
 俺より近衛を知っている人だ。見てきた人だ。
 心配だろうけど――俺よりきっと信じてると思う。

「刹那君とは、彼女の両親と婿殿が仲が良くての」

「そうだったんですか」

 近衛と桜咲は、親同士の付き合いだったのか。
 近衛の実家って、もしかしたら剣術の家なのかな?
 今日取って、そんなイメージがあるし。
 まぁ、俺の先入観でしかないんだけど。
 でも、近衛はどっちかと言ったら、茶道のイメージがあるな。

「彼女の剣術も、婿殿が手解きしたものじゃ」

「そうなんですか?」

 そう言えば、桜咲は剣道部だったな。
 ……剣道と剣術って、やっぱり違うのかな?
 それは、今度調べてみるか。それとも、桜咲に聞いてみるのも良いかもな。

「そう言えば、申し訳なかったの」

「はい?」

 いや、いきなり謝られても。
 何か謝られるようなことしたっけ……。

「修学旅行の時に、一つ用事を頼んでおったじゃろう?」

「ああ」

 えっと、確か近衛の実家に手紙を、って。

「いえ。ネギ先生にも良い経験になったでしょうし」

 大人の居ない自分達だけでの行動。
 ちょっと……と言うには少し心臓に悪いくらい心配したけど。

「そう言ってもらえると助かるよ」

「はは」

 そのまま、二三雑談を交わす。
 京都での近衛はどうだった、ネギ先生はどうだった、と。
 桜咲の事も聞かれた。
 聞かれた事に答え、学園長がそれに頷くという流れ。
 そんなゆったりとした時間。
 源先生もどことなく嬉しそうで――ああ、こう言う時間も良いもんだなぁ、と。

「それと先生、エヴァの事なんじゃが」

「マクダウェルですか?」

 そう言えば、マクダウェルの事は聞かれなかったな、と。
 紅茶で喉を潤し、次に備える。
 さて、何を聞かれるのやら。

「最近、随分と丸くなったようじゃの」

「はは、そうですね」

 最近は良く、他の先生方からも言われます、と。
 学園長の耳にも届いていたのか。

「修学旅行の時は、良く神楽坂と一緒に回っていたようですし」

 きっと、彼女のおかげでしょう、と。
 そう言うと、また学園長は嬉しそうに笑う。
 近衛達の事を聞いていた時のように。
 マクダウェルも、近衛達と同じように見ているかのように。
 きっと、この人にとっては、この学園の生徒全員が大事なんだろうな。
 何となく、そう思ってしまう。
 そして、それが凄く嬉しい。

「のぅ、先生?」

「なんですか、学園長?」

 だから、声を掛けられたら、そう自然に応えられた。
 笑顔。
 本当に、楽しそうに、学園長は笑っていた。

「エヴァは変われるかの?」

「はい?」

 変われるか?
 ……それは、

「それは、これからのマクダウェル次第だと思います」

「そうじゃの」

 マクダウェルが神楽坂をどう受け止めるのか。
 そして、周囲の変化をどう見るのか。
 こんなにも周りは変わってきてる事を、彼女はどう感じるのか。
 俺だけじゃない、新田先生も、葛葉先生も、皆があの子を“見”はじめてる。
 その事に、気付いているんだろうか?

「そうじゃな」

「はい」

 しん、と一瞬だけ学園長室が静まり、

「先生、感謝しておるよ」

「え?」

 しかし、そう言った学園長は何時も通りの何処かくえない顔。
 聞き間違えか、とも思えるような感じで

「あの子に“機会”を作ってくれて」

「機会、ですか?」

 それは、何の、と。

「あの子が皆に見てもらえる“機会”じゃ」

「いえ、それを作ったのは自分じゃないですよ」

 ゆっくりと、首を横に振る。
 俺はそんな大層な事は、と。

「そうかの?」

「はい」

 教師が出来る事なんて、たかが知れている。
 勉強を教えて、悪い事をしたら注意する。
 たったそれだけ。
 俺が出来る事、してやれる事なんて、それくらいなのだ。
 だからきっと――その“機会”は、マクダウェルが自分で作ったんだ、と。
 そう思うと自分の生徒が誇らしく思えてくる。
 俺はきっと、良い生徒に恵まれているんだ、と。

「そうは思えんがのぅ」

「買い被り過ぎですよ」

 照れくさくて、頬を掻いて視線を逸らす。
 まさか、学園長からそう言われるとは思わなかった。

「あの子は、変われんと思っておった」

「……はあ」

「色々と、あの子の過去は複雑での」

 過去?
 それは、妙な言い方だと思った。
 たった15歳の少女に使うには――あまりに、引っかかる言い方だ、と。
 普通は昔とか、以前とか……もっと、んー、何か引っ掛かる。
 それが、マクダウェルの“事情”と言うやつか?

「のぅ、先生?」

「な、なんですか?」

 それも、いつか聞けるのだろうか?
 マクダウェルの口から。
 ……きっと、難しいんだろうな、と苦笑してしまう。
 でも、神楽坂には言うのかな?
 だと良いな、と。そう思う。
 もうアイツは友達が居るんだから。

「先生、恋人は居るのかの?」

「はい?」

 い、いきなり話が飛びましたね。
 えっと

「……居ませんけど」

「そうかそうか」

 いや、そこでそう嬉しそうにされても。
 俺としては非常に、そう、何と言いますか……複雑なんですが。

「先生、木乃香の婿にならんか?」

「―――はい?」

「あら」

 いきなり何を、とか、そんな事も考え付かなかった。
 というか、まだ近衛のお見合いってしてたんだ、と場違いにも考えてしまう。
 いや、現実逃避とか判ってるけどさ。

「器量良し、料理も出来る、家事全般得意じゃ」

 お買い得じゃぞ、と。
 いや、孫をお買い得とか言わないで下さい。
 あと源先生、なんでそんなに嬉しそうなんですか?
 助けて下さいよ、と視線を向けるが――どうやら助けは来ないらしい。
 はぁ。

「……いえ、流石に歳の差とか」

「10くらいなんじゃ。歳をとれば気にならんじゃろ」

「…………近衛は、歳の近い人が良いと言ってましたよ?」

「なんと!?」

 そこで驚くんですか?
 確か、以前相談された時にそんな事を言ってたような言って無いような。
 流石に、もう細かな所までは覚えて無いけど。

「うーむ。ネギ君を、とも考えておったんじゃが」

「まだ早いんじゃないですか?」

「こう言うのは、早い方が良いと思うんじゃがのぅ」

「学園長? 女の子は出会いのムードが大切なんですよ」

 作った出会いって判ってたら、盛り上がりません、とは源先生。
 何を語ってるんですか、貴女は。
 まったく。

「ま、今度木乃香にも聞いてみるかの」

「止めて下さい」

 気まずくなりますから。
 本当に。




――――――エヴァンジェリン


「海、だと?」

「うん、そう。それで、今度の週末にどう?」

 ……深い、深い溜息を一つ。
 何を考えているんだ、このバカは。

「あのなぁ……」

「今度のゴールデンウィークに」

「おい、ちょっと耳を貸せ、バカ」

 問答無用で、その耳を指でつまんで、引っ張ってやる。
 いたいいたいちぎれるー、とか言ってるが無視。

「吸血鬼を海に誘うバカがどこに居るっ!」

 クラスの中なので小声で、だがちゃんと聞こえるように言ってやる。
 まったく、と指を離してやる。

「いたいー」

「当たり前だ、痛くしたんだからな」

「痛い、エヴァ」

「おー、可哀想に」

 あまり甘やかすな、龍宮真名。
 そいつは甘やかしたら、すぐ調子に乗るからな。

「はぁ……それで、どうしてそうなったんだ?」

「いや、いいんちょがネギを誘ってたから」

 見とかないと危ないから、と。
 ……はぁ。
 何でこのクラスには、こんなに残念なヤツしかいないんだ?

「断る」

「何でよ?」

「……さっき理由を言っただろうが」

 吸血鬼が海にとか……どんな冗談だ。
 まったく。
 話は終わりだ、とカバンを持って席を立つ。

「用はそれだけか?」

「うー」

「どんなに唸っても、答えは変わらんからな?」

「はは、残念だったね、明日菜」

 用があると言うから残っていたら、こんな事か。

「あ、今から帰る?」

「……切り替わりが、相変わらず早いな」

「いや、エヴァって一回言ったら梃子でも動かないし」

 ――褒められてる気がしないのは、何故だろう?
 とりあえず、むかついたので椅子に座って丁度良い高さになっている頭にゲンコツを落とす。

「いたい……」

「ちゃんと手加減は下からな?」

「はは、相変わらず仲良いねぇ」

「茶々丸、行くぞ」

 何処をどう見たらそう見えるんだか。
 眼科に行け、と言い残して教室を出る。
 ……だから、何で追ってくるんだ、この二人は。

「あれ? 木乃香達は?」

「……今日は、私の別荘の使用許可を出してるから、そっちだ」

 チャチャゼロに監督させてるし、大丈夫だろう。

「あれ? エヴァは帰らないの?」

「……部活だ」

 何でいちいち聞くかなぁ。

「茶道部の方かい?」

「ああ……龍宮真名、お前は部活は?」

「いや、こっちが楽しそうだし。茶道部なら茶菓子くらい出るかな、と」

 舐めてるのか、お前は。
 あと明日菜、茶菓子に反応するな。
 はぁ。

「静かにしていろよ?」

「はーい」

「判ってるって」

 ――――――はぁ。

「マスター、楽しそう」

 黙れ、ボケロボ。
 くそ……私の静かな時間が。





――――――チャチャゼロさんとオコジョ――――――

「最近御主人様モ丸クナッタモンダ」

「っすね」

「そうなん?」

「オー。昔ハモット怖カッタモンダ」

 伊達に600万ドルの賞金首じゃないっすからねぇ。
 まさか、あの闇の福音が普通の中学生生活だなんて……魔法界の誰も想像できないって。

「せっちゃんもお茶しないー?」

「あ、はい」

 しかし……平和だ。
 オレっち、もう姐さんの所に住まわせてもらおうかなぁ……。
 女子寮って怖い所なんだぜ?
 昔のオレっちに言ってやりてーぜ。



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