<このWebサイトはアフィリエイト広告を使用しています。> SS投稿掲示板

SS投稿掲示板


[広告]


No.25786の一覧
[0] 普通の先生が頑張ります (更新再開…かな?[ソーイ](2011/06/08 19:02)
[1] 普通の先生が頑張ります 0話[ソーイ](2011/04/10 19:06)
[2] 普通の先生が頑張ります 1話[ソーイ](2011/04/10 16:49)
[3] 普通の先生が頑張ります 2話[ソーイ](2011/04/08 22:17)
[4] 普通の先生が頑張ります 3話[ソーイ](2011/04/08 22:52)
[5] 普通の先生が頑張ります 4話[ソーイ](2011/04/08 23:22)
[6] 普通の先生が頑張ります 5話[ソーイ](2011/04/08 23:43)
[7] 普通の先生が頑張ります 6話[ソーイ](2011/04/09 10:03)
[8] 普通の先生が頑張ります 7話[ソーイ](2011/04/09 10:16)
[9] 普通の先生が頑張ります 8話[ソーイ](2011/04/09 10:36)
[10] 普通の先生が頑張ります 9話[ソーイ](2011/04/09 13:58)
[11] 普通の先生が頑張ります 10話[ソーイ](2011/04/09 14:38)
[12] 普通の先生が頑張ります 11話[ソーイ](2011/04/09 15:24)
[13] 普通の先生が頑張ります 12話[ソーイ](2011/04/09 18:20)
[14] 普通の先生が頑張ります 13話[ソーイ](2011/04/09 22:23)
[15] 普通の先生が頑張ります 14話[ソーイ](2011/04/09 23:12)
[16] 普通の先生が頑張ります 15話[ソーイ](2011/04/09 23:47)
[17] 普通の先生が頑張ります 16話[ソーイ](2011/04/10 16:45)
[18] 普通の先生が頑張ります 17話[ソーイ](2011/04/10 19:05)
[19] 普通の先生が頑張ります 18話[ソーイ](2011/04/11 21:15)
[20] 普通の先生が頑張ります 19話[ソーイ](2011/04/11 21:53)
[21] 普通の先生が頑張ります 20話[ソーイ](2011/02/27 23:23)
[22] 普通の先生が頑張ります 21話[ソーイ](2011/02/27 23:21)
[23] 普通の先生が頑張ります 22話[ソーイ](2011/02/27 23:19)
[24] 普通の先生が頑張ります 23話[ソーイ](2011/02/27 23:18)
[25] 普通の先生が頑張ります 24話[ソーイ](2011/02/26 22:34)
[26] 普通の先生が頑張ります 25話[ソーイ](2011/02/27 23:14)
[27] 普通の先生が頑張ります 26話[ソーイ](2011/02/28 23:34)
[28] 普通の先生が頑張ります 27話[ソーイ](2011/03/01 23:20)
[29] 普通の先生が頑張ります 28話[ソーイ](2011/03/02 22:39)
[30] 普通の先生が頑張ります 29話[ソーイ](2011/03/04 22:42)
[31] 普通の先生が頑張ります 30話[ソーイ](2011/03/08 00:19)
[32] 普通の先生が頑張ります 31話[ソーイ](2011/03/07 23:33)
[33] 普通の先生が頑張ります 32話[ソーイ](2011/03/10 00:37)
[34] 普通の先生が頑張ります 33話[ソーイ](2011/03/09 23:47)
[35] 普通の先生が頑張ります 34話[ソーイ](2011/03/10 23:15)
[36] 普通の先生が頑張ります 35話[ソーイ](2011/03/13 23:11)
[37] 普通の先生が頑張ります 36話[ソーイ](2011/03/14 22:47)
[38] 普通の先生が頑張ります 37話[ソーイ](2011/03/15 23:56)
[39] 普通の先生が頑張ります 38話[ソーイ](2011/03/16 23:15)
[40] 普通の先生が頑張ります 39話[ソーイ](2011/03/17 23:03)
[41] 普通の先生が頑張ります 40話[ソーイ](2011/03/18 22:46)
[42] 普通の先生が頑張ります 41話[ソーイ](2011/03/19 23:49)
[43] 普通の先生が頑張ります 42話[ソーイ](2011/03/20 23:12)
[44] 普通の先生が頑張ります 43話[ソーイ](2011/03/21 22:44)
[45] 普通の先生が頑張ります 間幕[ソーイ](2011/03/23 07:49)
[46] 普通の先生が頑張ります 44話[ソーイ](2011/03/23 23:24)
[47] 普通の先生が頑張ります 45話[ソーイ](2011/03/25 23:20)
[48] 普通の先生が頑張ります 46話[ソーイ](2011/03/26 23:23)
[49] 普通の先生が頑張ります 47話[ソーイ](2011/03/28 00:29)
[50] 普通の先生が頑張ります 48話[ソーイ](2011/03/28 23:24)
[51] 普通の先生が頑張ります 49話[ソーイ](2011/03/30 00:25)
[52] 普通の先生が頑張ります 50話[ソーイ](2011/03/31 00:03)
[53] 普通の先生が頑張ります 閑話[ソーイ](2011/04/01 00:36)
[54] 普通の先生が頑張ります 51話[ソーイ](2011/04/01 23:50)
[55] 普通の先生が頑張ります 52話[ソーイ](2011/04/03 00:22)
[56] 普通の先生が頑張ります 53話[ソーイ](2011/04/04 23:45)
[57] 普通の先生が頑張ります 54話[ソーイ](2011/04/05 23:24)
[58] 普通の先生が頑張ります 55話[ソーイ](2011/04/06 22:31)
[59] 普通の先生が頑張ります 56話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:46)
[60] 普通の先生が頑張ります 57話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:47)
[61] 普通の先生が頑張ります 58話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:47)
[62] 普通の先生が頑張ります 59話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:47)
[63] 普通の先生が頑張ります 60話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:47)
[64] 普通の先生が頑張ります 61話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:48)
[65] 普通の先生が頑張ります 62話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:48)
[70] 普通の先生が頑張ります 56話(修正版[ソーイ](2011/04/28 23:46)
[71] 普通の先生が頑張ります 57話(修正版[ソーイ](2011/04/28 23:27)
[72] 普通の先生が頑張ります 58話(修正版[ソーイ](2011/04/30 22:52)
[73] 普通の先生が頑張ります 59話(修正版[ソーイ](2011/05/18 23:24)
[74] 普通の先生が頑張ります 短編 【茶々丸】 [ソーイ](2011/05/23 23:47)
[75] 普通の先生が頑張ります 短編 【エヴァンジェリン】 [ソーイ](2011/05/23 23:42)
[76] 普通の先生が頑張ります 短編 【エヴァンジェリン】 2[ソーイ](2011/05/25 23:21)
[77] 普通の先生が頑張ります 短編 【月詠】 [ソーイ](2011/06/08 23:06)
感想掲示板 全件表示 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

[25786] 普通の先生が頑張ります 30話
Name: ソーイ◆9368f55d ID:052e1609 前を表示する / 次を表示する
Date: 2011/03/08 00:19
「こんにちは、先生」

 小テストの採点をしていた時、そう、背後から声を掛けられた。
 ……だから、何故この人は俺の背後から声を掛けるんだろうか?
 残念ながら、俺は気配を読むとかそんな事は出来ないので、満足のいく反応は返せないと思うんだけど。

「く、葛葉先生……驚かせないで下さいよ」

「ふふ、それは失礼しました」

 全然悪く思ってないでしょ……まったく。
 振り返ると笑顔の葛葉先生。
 どうやら相当機嫌が良いようである。

「何かあったんですか?」

「はい?」

「いえ、機嫌が良さそうなので」

「……私だって、いつも機嫌が悪い訳では……」

 う、それは失礼しました。
 そう心中で謝罪し、椅子を回して向き直る。
 しかし、機嫌が良さそうだ。
 きっと何か良い事があったんだろう。主に彼氏関係で。
 ……惚気だけは勘弁してほしいんだが。
 まぁ、いくらなんでも、職場でそれは無いか。

「それで、どうかしましたか?」

「ネギ先生を知りませんか?」

「ネギ先生ですか?」

 えっと……。

「少し用事があるとかで、席を外してます」

 後1時間くらいで帰ってくると思いますけど、と。

「そうですか」

「ネギ先生がどうかしましたか?」

 携帯に連絡入れましょうか? と。
 俺の知ってる範囲でだけど、特に最近はミスは無かったと思うし――。
 そう顔に出たのか、

「いえ、最近調子が悪そうでしたので、少し話でも、と」

「あ……そうでしたか。すみません、気を使っていただいて」

 申し訳ありません、と頭を下げる。
 折角の放課後に時間を取っていただいて、と。

「そんな――」

「失礼します」

 そんな折、

「こちらに3-Aの副担任の……」

 そう言って入ってきたのは、先日話した高等部の

「ガンドルフィーニ先生?」

「ああ、居られましたか」

 どうも、と頭を下げられた。
 はて……ネギ先生の様子でも見に来られたんだろうか?
 葛葉先生も心配してるし――もしかしたら、結構広まっているのかも。
 ただでさえ10歳の先生と言う事で注目を集めてるのだ。
 ……でもまぁ、俺が聞いても答えてくれなかったんだよな。
 今も一人で悩んでるのかもしれない。
 だが、相談してもらえない事にはどうにもできないのも事実なので、

「少しお時間をよろしいかな?」

 っと。
 考え事に没頭するのは失礼だな。

「あ、はい」

 採点は途中だったが、それを束ねて机の引出しにしまう。
 ……そろそろ、机の中も整理しないとなぁ。
 どうにも掃除やら整理となると、ヤル気が……一旦始めると一気にしてしまう性分なんだが。

「それじゃ……」

「生徒指導室で良いかな?」

 はい?

「生徒指導室ですか? ……は、はぁ」

 ちょうど職員室の喫煙所で他の先生達と一緒に居た新田先生に声を掛ける。
 ちなみに、喫煙所とは名ばかりで、麻帆良の中等部で喫煙するのは高畑先生だけだったりする。
 まぁ実質の生徒からは目の届かない雑談場所である。

「いま生徒指導室って大丈夫ですか?」

「ええ。今日は今の所使う予定は無いですよ」

 なら、と。

「ガンドルフィーニ先生、何か飲まれますか?」

「いえ、結構。それより」

「ガンドルフィーニ先生」

 ん?
 それでは、と職員室の外に出ようとしたら葛葉先生の声が掛る。
 あれ?

「どうしました、葛葉先生?」

 ……目付きが怖いんですけど。
 さっきの笑顔は何処に行ったんだろうか?
 …………返ってきてほしいんだが、笑顔に。
 いや、笑顔って言えば笑顔なんだけど……違う。根本的なのがなんか違う。

「高等部の校舎はこちらではないのですけれど?」

「私も少々、最近のネギ先生の事が気になりましたので」

「……あれ?」

 えっと……。

「もしかして、仲悪いんですか?」

 その場から離れ、新田先生と談笑していた瀬流彦先生に聞いてみる。
 もちろん、聞こえないように小声でだ。

「うーん……前はそこまでじゃなかったんだけどねぇ」

「前?」

「ネギ先生が赴任してくる前」

 そうなんですか? と。
 そうなると……ネギ先生の事で、仲違い?

「ほら、ネギ先生って――その、まだ子供でしょ?」

「は、はぁ」

 まぁ、まだ10歳ですしね、と。

「それで、どういう……まぁ、教育方針で行くか、って」

 な、なるほど……。
 いや、全然納得できないけど、一応頷いておく。
 そう言うのって、多分ネギ先生が選ぶんじゃないんだろうか?
 なんか自分の子供の教育で言い合う親……って言ったら、睨まれそうだからやめておこう。

「そこは、ネギ先生本人に聞いた方が……」

「ま、そうだね」

 そう言って大袈裟に頷く瀬流彦先生。
 どうやら、瀬流彦先生はネギ先生の……まぁ、教育方針には自主性を重要視しているらしい。
 よく見たら、新田先生も無言で頷き、源先生は苦笑。
 ……どうやら、この中で知らなかったのは俺だけのようである。
 むぅ。
 しかし、ネギ先生の教育かぁ……。

「ちなみに、僕達はネギ先生の自主性に任せてる」

「はぁ」

 そうですか、と。

「先生にも期待してるよ?」

「はい?」

 何でそこで俺の事が出るんだろう? まぁ、俺もネギ先生の自主性第一だと思うけど。
 自主性に任せる、と言ってもそうなってくると学年主任とか、学園長とかになるんじゃないだろうか?
 ……けっして嫌という訳ではないのだけれど。
 というか、副担任である、という事を引いても手伝おうとは思うし。

「はは、そう身構えなくても良いよ」

「……は、はぁ」

「別に、今まで通りにやってれば良いと思うけど?」

「いや、教育って言うならちゃんとしないと……」

 俺が教えれる事なんて、書類の書き方と授業の流れくらいなんですけど。
 それももうあらかた教えた、と言うよりもちゃんと出来るようになってきてるし。

「そう難しく考えなくていいと思うよ? ネギ先生、優秀だし」

 まさか、あの歳で一端の教師の仕事が出来るなんてねぇ、と。
 いや、そこには同意しますけど。

「というか、教師の教育を教師がするっていうのがおかしいし」

「は、はぁ」

 それはそうですけど……ちらり、と言い争う、と言うにはあまりに静か。
 なのにどうにも声を掛ける事に躊躇われる二人に視線を向ける。
 ……うーん。
 もう苦笑するしかない。

「仲が良いんだか悪いんだか」

「は、はは」

「先生、長くなりそうですし何か飲みますか?」

 あーなったら、長いですよぉ、と源先生。
 どうやら経験が御有りのようで。

「……コーヒーをお願いしても良いですか?」

「はい。新田先生はお茶のおかわりは?」

「それじゃ、一緒にお願いしようかな」

 それから十数分の間、静かな攻防を横目に雑談していたら、再度職員室のドアが開く。

「失礼します」

 入ってきたのは……見慣れない少女だった。
 来ている制服は――。

「ガンドルフィーニ先生」

「む……」

 そう、静かな声でガンドルフィーニ先生を呼ぶ。
 それなりに静かだった職員室だけど、良く透る声だなぁ、と言うのが第一印象。
 綺麗な金髪に、黒色の制服――聖ウルスラの制服である。

「高音君か、どうした?」

「いえ……図書館島の方に、もう皆集まってるのですが?」

「……なに?」

 あ、終わった。
 何が、と聞かれたら……まぁ、胃に悪い時間がだ。
 そう言われたガンドルフィーニ先生が腕時計に視線を移し、次いでこちらに。

「む――先生、済まないがまた今度、時間を取ってもらって良いだろうか?」

「はい。いつでもよろしいので、時間が出来たらまた」

「ああ。そう言ってもらえて嬉しいよ」

 そう言って退室していく先生と……。

「……………………」

「……………………?」

 こっちを見てる?
 ……な、何かしたっけ?
 残念ながらウルスラの生徒と……ああ。

「もしかして、ドッジ部だったり……?」

「いえ、違います」

 ……違ったか。
 俺と聖ウルスラの面識なんて、ウチのクラスの昼休みのドッジボールくらいしか思い浮かばないんだが。
 俺の気にし過ぎかなぁ?

「高音君。君は行かないのかい?」

「瀬流彦先生……そちらの方が?」

「そ、噂の先生だよ」

 俺置き去りで話が進んでるし。
 と言うか、噂ってなんだ?

「噂?」

「気難しい3-Aを纏め上げてる先生、って」

 なんですか、それは。
 その不相応な噂に苦笑し、

「頑張ってるのはネギ先生ですよ?」

 2年までは高畑先生が頑張ってられましたから、と。
 俺なんて偶に相談受けたり、振り回されたりしてるだけみたいな気がするんだけどなぁ。
 それに、あの年頃は何かと気難しい。
 その点も俺よりもネギ先生が向いている、と言える。
 一回りも年上の教師より、年下の方が親しみやすいだろうし。

「はは、でも僕達は担任と副担任をセットで見るからねぇ」

「そ、そう言って貰えると……」

 今日まで頑張ってきて良かったなぁ、と思ってしまう。
 ちょっと、と言うか凄く嬉しい。
 コーヒーを飲んで場を濁す。
 ――ちょっとニヤけてるかも。早く治さないと。

「どうやって……」

「……ん?」

 そんな事を考えていたら、声。
 それは……俺の勘違いじゃないなら、

「どうやって、彼女を……?」

 彼女?
 って……

「高音君、行くぞ?」

「あ、はい……先生、それでは」

 そう一礼して去っていくその背を、目で追う。
 ……彼女? 
 誰?
 頭に浮かぶのは最近話した近衛とか桜咲とか。
 と言うか、ウルスラに関係してるんだろ……雪広か神楽坂かな?

「高音君は相変わらず真面目だねぇ」

「……そうなんですか?」

「うん。ほら、雰囲気も先生のクラスの……あやか君に近いんじゃないかな?」

「そ、そうですか?」

 ……雪広は、まぁ……ネギ先生が絡まないなら、なぁ。
 そこは違うだろうけど、雪広みたいな子か。
 真面目なんだろうなぁ。

「ところで、あの子が言ってた彼女って判ります?」

「ん? ……さぁ、誰だろうね?」

 ――ふむ。
 そう眼を逸らされると、気になってしまうんですが……まぁ、必要ならまた聞きに来るだろう、と。
 その時に聞けば良いか。
 答えられる事なら良いけど。
 ……しかし。

「ネギ先生って、もしかして高等部でも人気あるんです?」

 同学年の他のクラスなら、何度かそんな話を聞いた事があるけど。
 そう言えば、よくドッジボールやってるウルスラの子達もネギ先生の事気に入ってたなぁ。
 ……やっぱり、10歳の先生と言うのは気になるのかな。

「うーん。高等部はあまり行かないけど……ネギ先生、可愛いからねぇ」

「私もそう思います」

「……いや、源先生は……」

「何か?」

「いえ」

 でも、教師としては“可愛い”はどうなんだろうか?
 そう苦笑し、

「スイマセン源先生。コーヒーありがとうございました」

「いえいえ」

 仕事に戻る事にする。
 小テストの採点して、パソコンに点数打ち込んで、明日の教材用意して……。
 修学旅行の報告書も……はぁ、それは家で仕上げるか。
 アレも来週の頭に提出しないと移動費が経費で降りないんだよなぁ。
 ああ、する事が多いなぁ。ま、報告書はまだ時間があるから良いか。
 ちゃんとレシートとかも取ってるし。
 でもまぁ、こういった細かい事してないと色々と面倒なのだ。お役所仕事は。
 特に授業の準備の方はちゃんとしてないと、明日バタバタしないといけないし。
 それは2年の時で良く判ってるので、ここは手を抜けない。
 
「……先生、忙しいですか?」

「えっと……ネギ先生の事ですか?」

「それもあるんですが」

 それも?

「どうか――」

 しましたか、と聞こうとしたら。

「先生。今日、また飲みに行きませんか?」

「今日ですか?」

 源先生から声が掛った。
 えっと……。

「ええ、予定はありませんから大丈夫ですけど」

「葛葉先生も、聞きたい事はそこでどうですか?」

 う、もしかして気を使ってもらった……?
 ……悪いことしたな。

「そうですね」

「それじゃ、今日は――」

「すみません、戻りました」

 あ、

「お帰りなさい、ネギ先生。さっきガンドルフィーニ先生が会いに来られましたよ」

「ええ!?」

 そう話していた所で、ちょうどネギ先生が戻ってきた。
 タイミングが良いと言うか、何と言うか。

「――今日は、超包子にしましょうか?」

「そうですね」

「……今日はお酒は無しですか……」

 残念そうですね、源先生。
 しかも物凄く。
 でも流石に、未成年同伴で飲酒は拙いでしょ、と苦笑してしまう。

「えっと……?」

 職員室の入り口で置いてきぼりになっているネギ先生に、さっき話していた事を簡単に伝える。
 この後、晩御飯を食べに行きませんか、と。

「あ、はい。それじゃ、木乃香さんに伝えとかないと」

 そう言って、早速携帯を取り出すネギ先生。

「大丈夫ですか?」

「はいっ。それに、そう言うのに少し憧れてましたから」

 そう言えば、ネギ先生誘うのって初めてかもしれない……。

「それじゃ、もう一頑張りしましょうか?」

「――はいっ」

 ……ふむ。
 悩み事は、少しは進展したのかな?
 今朝と比べたら、随分元気が良いようだし。
 その辺りも聞けたら良いんだけど。
 そんな事を考えながら、机から半分ほど採点の残った小テストを取り出した。







 静かに流れる風が、頬を擽る。
 その感触が心地良くて――

「先生、寝ないで下さい」

「いや、寝てない」

 ――危なかったけど。
 しかし……源先生にも困ったもんだ。
 まさか、念を押したにも拘らず酒を用意しているとは。
 どうやらよっぽど――色々あったらしい。
 なにか酔って色々言っていたし。聞き取れなかったけど。
 その源先生も、葛葉先生が連れて帰っていった。
 同じ教員寮住まいなので、助かった。
 いつもはちゃんとした大人の女性なんだが……偶に羽目を外すからなぁ。
 そして、ネギ先生と超、葉加瀬、四葉は瀬流彦先生と新田先生が送っていった。
 ……まぁ、ネギ先生は同じ女子寮に暮らしてるんだが。
 そんな事をぼんやりと考えながら――。

「先生、寝ないで下さい」

「大丈夫だ。流石に歩きながら寝れるような特技は持ってない」

 ……あの人は、人の飲み物にどれだけ酒を混ぜたんだろう。
 最初は自分一人で楽しんでいたんだが、酔いが回り始めた所から怪しかったからな。
 それに気付かなかった俺も悪いけど。
 でもまぁ、ネギ先生の悩みが解決した、と言う事を聞けただけでも良かったと言うか。
 しかし、何に悩んでいたんだろうか……それも、いつか話してもらえると良いんだけど。

「絡繰、寒くないか?」

「大丈夫です」

 そうかぁ、と。
 ぼんやりと空を眺める。
 星が遠い。
 星座とかは判らないので何とも言えないけど、偶にはこうやって星を見るのも良いかもなぁ、と。

「申し訳ありません、手間を取らせてしまって」

「そんな事は気にしなくて良いぞー」

 のんびりと、並んで歩く。
 ……教師と生徒が、と言う事を考えると拙いんだろうけど。
 まぁ、新田先生達にもちゃんと説明したし、うん。
 誰かに見られて、変な誤解だけは勘弁してほしいもんだ。

「しかし、マクダウェルと絡繰は寮住まいはしないんだな」

「はい。色々と問題がありますので」

「そうかー」

 ……色々かー、と。
 それは、いつか聞いた“家庭の事情”というのだろう。

「先生は、聞かれないのですか?」

「ん?」

 それは、

「その、色々を、か?」

「はい」

 んー。
 隣を歩く絡繰に視線を向け、もう一度空を見上げる。
 星が遠い。

「…………」

 聞きたい、と言うのが本音なんだろう。
 けど聞けない。
 聞いてはいけない、と何故か思ってしまう。
 ……それは、どうしてか。
 どうして聞こうとしないのか。
 マクダウェルや絡繰の事を考えるなら――ここは聞くべきなのでは?
 自分の中の矛盾。
 なのに、その矛盾に何一つ疑問を持っていない。
 まるで、星だな、と思った。
 遠い。
 答えてくれる絡繰はすぐ隣に居るのに。
 星のように遠くに感じる。

「絡繰は、聞いて……いや」

 首を振る。
 聞いてはいけない、とそう思ってしまう。
 どうしてだろう?
 それがとても自然な事に思えてしまう。
 だから、ゆっくりと――のんびりと、絡繰をマクダウェル宅に送る。

「……結界」

「ん?」

「いえ――忘れて下さい」

「おー、判った」

 今、何と言ったのか。
 よく聞き取れなかったが――まぁ、必要ならまた言ってくれるだろう、と。

「先生」

「ん?」

 続きは、無い。
 そのまま、無言で歩く。

「どうして、マスターと関わりになったのですか?」

「マクダウェル?」

 それは……何処かで聞いたような質問。
 どこだったか――。
 そんな事を考えながら、欠伸を一つ。
 ……絡繰に言われたからじゃないが、このままじゃ歩いてても眠れそうだな。

「しょうがない……俺はアイツの先生だからなぁ」

 とてもじゃないが、まだまだ目を離せない、と。
 まぁそれでも、神楽坂が居るから随分楽になったんだが。
 ……マクダウェルは、神楽坂と知り合ってから変わった。
 今では職員室での評判も良いし、出席日数も点数も良くなった。
 ――それが嬉しくあり、誇らしくある。
 日に日に変わっていくのを見ている気分と言うか……。
 それでも、あの言葉遣いだけはいまだに変わらないんだが。

「マスターは、今、毎日が楽しそうです」

「そうかー」

「――ありがとうございます」

 んー。

「なんか、礼を言われる事をしたか?」

 正直、思い浮かばない。
 ……そう言えば、あの時、茶道部の活動に呼ばれた時もそうだったな。
 あの時は、マクダウェルと神楽坂が友達になった、と。
 なら今度は?
 毎日が楽しそう、か。
 ――そりゃ良かった。
 自然と、笑みが零れる。

「どうでしょうか」

「まぁ、マクダウェルが毎日楽しいなら、良いか」

「……そうですね」

 そんな事を話していたら、マクダウェル宅が見えてきた。
 うー、これから歩いて帰るのか……まぁ、まだそこまで遅い時間じゃないから、大丈夫か・
 問題は、まだ仕事が残っている、と言う事なんだが。
 それも時間はまだあるから――明日にするかなぁ、と。

「ありがとうございます」

「礼なんか言わなくて良いぞ?」

 俺がした事なんて、特に無いんだし、と。
 した事って言えば……ちゃんと登校するように、声掛けたくらいか。
 あと呼びに行った事。
 これくらいか。
 だから、礼を言われるような事じゃない。
 マクダウェルが楽しいのは、マクダウェルが変わったからだ。

「はい」

 それじゃ、帰るかな。

「ここまでで良いか?」

「マスターに会っては?」

「流石に、こんな時間に生徒の家に顔出すのも……マクダウェルも嫌だろ」

 苦笑してしまう。
 ただでさえ……嫌われてるのかな?
 そうじゃない、と言い切れると良いんだが、あの口調じゃなぁ。

「…………………」

「ん?」

 そう言うと、絡繰はその胸に自身の指を添え――不思議そうに、首を傾げた。
 微かな街灯に照らされ、静かな夜の中にある。
 いつもの西洋人形みたいな綺麗な表情が――微かに綻んだ気がした。

「どうした?」

「寂しいです」

 それでは、と。
 その別れの言葉が、遠い。
 ……えっと。
 それは、誰が、と言うのか。

「いやいやいやいや」

 ないないない。
 無いから。
 ――――ん?

「寂しい?」

 ふと、ひっかかった。
 それは何処かで俺が絡繰に言った……。

「ああ」

 修学旅行の時にか。
 そう言えば、あの時も不思議そうな顔してたなぁ。
 まるで――そう、まるで。

「……子供みたいなヤツだな」

 まるで、覚えたての言葉を使ってる。
 そんな印象を受けた。

「びっくりしたなぁ」

 無いから、そう言う事は。うん。
 ……びっくりしたぁ。






――――――チャチャゼロさんとオコジョ――――――

「ただいま帰りました」

「オー、遅カッタナ」

「すみません」

「よう嬢ちゃん」

「オコジョさん?」

 なんでそこで……いや、オレっちが居るのは変だよね、うん。
 でもさぁ――なんかチャチャゼロさんと話してたらこんな時間になったんだよなぁ。
 晩ご飯食べたら帰ろ。

「夕食の準備をしますので、もう少し待っていて下さい」

「判ったー」

「食ッテイクノカヨ」

 だって、美味いし。
 エヴァの姐さんも二階に行って何も言わないし。

「それでは、少々お待ち下さい」

 ん?

「なんか良い事あったのかい?」

「……私がですか?」

「機嫌良イミタイジャネーカ」

「そうですか?」

 バイト先で何かあったのかな?
 それにしても……こりゃ、晩飯は期待できるな。
 今日はツいてるぜ。




前を表示する / 次を表示する
感想掲示板 全件表示 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

SS-BBS SCRIPT for CONTRIBUTION --- Scratched by MAI
0.030557870864868