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No.25786の一覧
[0] 普通の先生が頑張ります (更新再開…かな?[ソーイ](2011/06/08 19:02)
[1] 普通の先生が頑張ります 0話[ソーイ](2011/04/10 19:06)
[2] 普通の先生が頑張ります 1話[ソーイ](2011/04/10 16:49)
[3] 普通の先生が頑張ります 2話[ソーイ](2011/04/08 22:17)
[4] 普通の先生が頑張ります 3話[ソーイ](2011/04/08 22:52)
[5] 普通の先生が頑張ります 4話[ソーイ](2011/04/08 23:22)
[6] 普通の先生が頑張ります 5話[ソーイ](2011/04/08 23:43)
[7] 普通の先生が頑張ります 6話[ソーイ](2011/04/09 10:03)
[8] 普通の先生が頑張ります 7話[ソーイ](2011/04/09 10:16)
[9] 普通の先生が頑張ります 8話[ソーイ](2011/04/09 10:36)
[10] 普通の先生が頑張ります 9話[ソーイ](2011/04/09 13:58)
[11] 普通の先生が頑張ります 10話[ソーイ](2011/04/09 14:38)
[12] 普通の先生が頑張ります 11話[ソーイ](2011/04/09 15:24)
[13] 普通の先生が頑張ります 12話[ソーイ](2011/04/09 18:20)
[14] 普通の先生が頑張ります 13話[ソーイ](2011/04/09 22:23)
[15] 普通の先生が頑張ります 14話[ソーイ](2011/04/09 23:12)
[16] 普通の先生が頑張ります 15話[ソーイ](2011/04/09 23:47)
[17] 普通の先生が頑張ります 16話[ソーイ](2011/04/10 16:45)
[18] 普通の先生が頑張ります 17話[ソーイ](2011/04/10 19:05)
[19] 普通の先生が頑張ります 18話[ソーイ](2011/04/11 21:15)
[20] 普通の先生が頑張ります 19話[ソーイ](2011/04/11 21:53)
[21] 普通の先生が頑張ります 20話[ソーイ](2011/02/27 23:23)
[22] 普通の先生が頑張ります 21話[ソーイ](2011/02/27 23:21)
[23] 普通の先生が頑張ります 22話[ソーイ](2011/02/27 23:19)
[24] 普通の先生が頑張ります 23話[ソーイ](2011/02/27 23:18)
[25] 普通の先生が頑張ります 24話[ソーイ](2011/02/26 22:34)
[26] 普通の先生が頑張ります 25話[ソーイ](2011/02/27 23:14)
[27] 普通の先生が頑張ります 26話[ソーイ](2011/02/28 23:34)
[28] 普通の先生が頑張ります 27話[ソーイ](2011/03/01 23:20)
[29] 普通の先生が頑張ります 28話[ソーイ](2011/03/02 22:39)
[30] 普通の先生が頑張ります 29話[ソーイ](2011/03/04 22:42)
[31] 普通の先生が頑張ります 30話[ソーイ](2011/03/08 00:19)
[32] 普通の先生が頑張ります 31話[ソーイ](2011/03/07 23:33)
[33] 普通の先生が頑張ります 32話[ソーイ](2011/03/10 00:37)
[34] 普通の先生が頑張ります 33話[ソーイ](2011/03/09 23:47)
[35] 普通の先生が頑張ります 34話[ソーイ](2011/03/10 23:15)
[36] 普通の先生が頑張ります 35話[ソーイ](2011/03/13 23:11)
[37] 普通の先生が頑張ります 36話[ソーイ](2011/03/14 22:47)
[38] 普通の先生が頑張ります 37話[ソーイ](2011/03/15 23:56)
[39] 普通の先生が頑張ります 38話[ソーイ](2011/03/16 23:15)
[40] 普通の先生が頑張ります 39話[ソーイ](2011/03/17 23:03)
[41] 普通の先生が頑張ります 40話[ソーイ](2011/03/18 22:46)
[42] 普通の先生が頑張ります 41話[ソーイ](2011/03/19 23:49)
[43] 普通の先生が頑張ります 42話[ソーイ](2011/03/20 23:12)
[44] 普通の先生が頑張ります 43話[ソーイ](2011/03/21 22:44)
[45] 普通の先生が頑張ります 間幕[ソーイ](2011/03/23 07:49)
[46] 普通の先生が頑張ります 44話[ソーイ](2011/03/23 23:24)
[47] 普通の先生が頑張ります 45話[ソーイ](2011/03/25 23:20)
[48] 普通の先生が頑張ります 46話[ソーイ](2011/03/26 23:23)
[49] 普通の先生が頑張ります 47話[ソーイ](2011/03/28 00:29)
[50] 普通の先生が頑張ります 48話[ソーイ](2011/03/28 23:24)
[51] 普通の先生が頑張ります 49話[ソーイ](2011/03/30 00:25)
[52] 普通の先生が頑張ります 50話[ソーイ](2011/03/31 00:03)
[53] 普通の先生が頑張ります 閑話[ソーイ](2011/04/01 00:36)
[54] 普通の先生が頑張ります 51話[ソーイ](2011/04/01 23:50)
[55] 普通の先生が頑張ります 52話[ソーイ](2011/04/03 00:22)
[56] 普通の先生が頑張ります 53話[ソーイ](2011/04/04 23:45)
[57] 普通の先生が頑張ります 54話[ソーイ](2011/04/05 23:24)
[58] 普通の先生が頑張ります 55話[ソーイ](2011/04/06 22:31)
[59] 普通の先生が頑張ります 56話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:46)
[60] 普通の先生が頑張ります 57話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:47)
[61] 普通の先生が頑張ります 58話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:47)
[62] 普通の先生が頑張ります 59話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:47)
[63] 普通の先生が頑張ります 60話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:47)
[64] 普通の先生が頑張ります 61話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:48)
[65] 普通の先生が頑張ります 62話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:48)
[70] 普通の先生が頑張ります 56話(修正版[ソーイ](2011/04/28 23:46)
[71] 普通の先生が頑張ります 57話(修正版[ソーイ](2011/04/28 23:27)
[72] 普通の先生が頑張ります 58話(修正版[ソーイ](2011/04/30 22:52)
[73] 普通の先生が頑張ります 59話(修正版[ソーイ](2011/05/18 23:24)
[74] 普通の先生が頑張ります 短編 【茶々丸】 [ソーイ](2011/05/23 23:47)
[75] 普通の先生が頑張ります 短編 【エヴァンジェリン】 [ソーイ](2011/05/23 23:42)
[76] 普通の先生が頑張ります 短編 【エヴァンジェリン】 2[ソーイ](2011/05/25 23:21)
[77] 普通の先生が頑張ります 短編 【月詠】 [ソーイ](2011/06/08 23:06)
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[25786] 普通の先生が頑張ります 27話
Name: ソーイ◆9368f55d ID:052e1609 前を表示する / 次を表示する
Date: 2011/03/01 23:20

――――――エヴァンジェリン

「貴女が結界の外に出られるなんて、夢にも思いませんでしたよ」

「ふん。お前は、しばらく見ないうちに老けたな」

「時間が経つのは早いものですね」

 そうだな、と。
 満開の桜が咲き乱れる庭を一望できる場所での、静かな時間。
 いつ手に入るか判らないとさえ思っていた小さな自由。
 それをのんびりと受け入れながら、用意されていた茶を飲む。

「どうですか、久し振りの外は?」

「存外悪くない。人の世界も住みやすくなったものだ」

 時間に置いていかれた様な疎外感。
 知っている物が無くなり、新しい物に変わっている世界。
 そして、

「……本当に、老けたなぁ」

「そうしみじみ言わないで下さいよ」

 まぁ、お前の娘が私と同じ所に通っているんだもんなぁ、と。

「そうですね。どうです、学園は楽しいですか?」

「それなりにな」

 今はまぁ、そう退屈はしていない、と。
 今までのように誰も傍に居ない時間じゃない、毎日誰かが居る時間。
 そんな時間は――きっと、私が生きた時間の中で、そう多くない。
 そして、こうやって桜を眺めながら旧知の者と茶を飲む時間も――それなりに、楽しい。

「木乃香はどうですか? 向こうでは」

「他の連中と仲良くやっているようだぞ」

「――そうですか」

 そう言って、二人して茶を飲む。
 ふぅ。

「近況は、一応知らせてもらってるんですが」

「お前が一端の親になるとはなぁ」

「はは。貴女にもその内判りますよ」

 子を持つと心配性になるものです、と。
 そういうものかね……。
 一緒に用意されていた茶菓子を一口で食べ、咀嚼する。

「……時間が経つのは早いな」

「貴女にとっては、特にそう感じるでしょうね」

 桜を見ながら、そうぼんやりと。
 一瞬、まるで本当に世界に置いていかれたような錯覚。
 そうか、人間は歳をとるんだったなぁ、と。
 知っていた事。
 でも気にしていなかった事。
 それを、気付かされた気分。
 ――この桜があまりにも綺麗で、感傷的な気分にさせられる。

「親書に書いてありましたが、封印を解くそうですね?」

「ああ。……何でそんな事を書いてるんだ、あのじじいは?」

 まったく。
 いくら東西の長が身内同士とはいえ、そんな事書くなよ。
 呆れ交じりに溜息を吐く。

「そうですね。きっと――」

 そこで言葉を止め、こちらを見てくる。
 ふん。

「こちらが小さいからと、そう見下ろされると腹が立つんだがな」

「それは失礼」

 少し、騒がしい。
 どうやら、ウチの連中が何やら騒いでいるようだ。
 いつも思うが、もう少し静かに出来ないものか。

「元気ですね」

「女はもう少しお淑やかな方が良いと思うがな」

「そうですか? 子供は元気なのが一番ですよ」

「……それもそうだな」

 アイツらがいきなり静かになったら怖いしな。
 そう考えると、元気なのも悪くはないのかもしれん。

「詠春、お前は下の者をちゃんと押さえろよ」

「耳に痛い」

 そう、苦笑。

「親書の方にもそう書いてありましたよ」

「今回娘と私達を巻き込んだのは、お前の落ち度だと言う事だ」

「……申し訳ありません」

「ふん」

 ま、それももういいがな。
 終わった事だ。
 旅行も後一日ある――最後の日は何の気兼ねもなく、過ごせる訳だ。
 そう考えると気分も軽くなる。

「荒事には慣れてる……が、尻拭いは苦手だからな?」

「はい。後はこっちで何とかしますよ」

 だと良いがな。
 やっと手に入った小さな自由なんだ――これ以上乱さないでほしいものだ。

「エヴァ」

 静かな声だった。
 穏やかで、安心しきったような……そんな声。

「何だ?」

「木乃香をよろしくお願いします」

 そう言われた時、一瞬ピンとこなかった。
 何を言っているんだ、とそう思いさえした。

「私は悪の魔法使いだぞ?」

「……ふふ」

 何故そこで笑う?

「貴女の傍が、一番安全でしょうしね」

「おいおい。吸血鬼の傍に居たら、血を吸ってしまうぞ?」

「そうですか?」

 ま、私は女子供は襲わん主義だがな、と。
 そう言うとまた小さく笑う。
 まったく。

「変わりましたね」

「……お前もか」

 小さく、だが聞こえるように、溜息。
 はぁ――そんなにお前達は、私は変わったように言うのか。

「も?」

「フェイトとか言う小僧。さっき話したヤツだ。ソレもそう言ってたな」

「……ふむ」

 まぁ、知っている事は全部報告したぞ。

「それは良いのですが……」

「ふん」

 冷めてしまった茶を飲み干す。

「私は私だ。これまでも、今も、そしてこれからも、だ」

「そうですね」

 ――また、笑う。
 穏やかな、静かな笑み。
 以前会った時も、そうまで感情的にはならないヤツだったが、今はそれに輪を掛けて――。

「私は変わらない」

「……そうかもしれませんね」

 ふん。

「かも、じゃない。変わらないんだ」

 成長する事もなく、ただ静かに、時間に置いていかれる。
 この600年がそうであったように。
 これから先の600年もそうなのだ。

「詠春。ぼーやにナギの隠れ家を教えてやってくれ」

「判っていますよ」

 ――そうか。
 満開に咲き誇る桜を、見る。
 この光景があまりに美しく――散る花弁が可憐だから、こうも感傷的になるのだろう。
 今までを振り返り、そしてこれからを考えてしまうのは――桜の所為だ。

「帰る」

「気を付けて」

 ――ふん。







 旅館が目に見える場所に戻った時には、陽が完全に傾いていた。
 はぁ。結局今日一日を全部使ってしまったか。

「ハー、ヤット御役御免カァ」

「喋るな、アホ」

「ヘイヘイ」

 誰かに聞かれたらどうするんだ、と。
 まぁ周りには誰も居ないのは判っているんだが。

「すみませんでした、エヴァンジェリンさん」

「ん?」

 突然、ぼーやから謝られた。
 何の事だ?

「僕がもっと強かったら……」

「ぼーやごときがどれだけ強かろうが、こう言うのは大して変わらんよ」

 一人で出来る事なんかたかが知れているのだ。
 それこそ、ナギのような力と影響力があれば個人でもどうにかできるんだろうが。
 人と人の争いほど面倒な事はない。

「でも――」

「知らん。そう思うなら強くなれ」

 私が言えるのは、それくらいだ。

「どうせ、今日は何もできなかったからと落ち込んでいるんだろう?」

「え、そうなん?」

 ソレにはぼーやではなく、先を歩いていた木乃香が反応した。
 また面倒な。

「ネギ君、凄い頑張ってたやん」

 あの女の人倒してたし、と。
 まぁそうだな。
 アレも、今のぼーやにとったら格上だろう。
 魔力量ではなく、経験的に。

「はい。天ヶ崎は相応の使い手です。それを倒したのですから」

「でも」

 ふむ。
 それを聞いても、ぼーやの表情は晴れない。

「何を考えてるのかは知らんが、自分の意思を貫きたいなら、強くなれ」

 弱者は悪。強者が正義。これが世界の根底なのだから。
 これは、誰にも変えられない事だ。
 だから私は強くなった。
 魔法を覚え、従者を造り、恐れられるほどにまで――強くなったのだ。

「それが出来ないなら、自分より強いヤツに従うんだな」

「……エヴァンジェリン。それは言い過ぎだ」

「あのなぁ……」

 言い過ぎなものか。
 ぼーやはもう実戦を経験した。
 今回は運良く生き残れたが、次また生き残れるかはぼーや次第なのだ。
 強くなる意思が無いのなら、強いヤツに従ってでも生きる方が良いと思うがな。

「自分達が死なないとでも勘違いしているのか?」

「ぅ」

「木乃香もだ。修学旅行が終わったら、一通りは教えてやる」

 そこから先は、自分で考えろ。
 面倒は見ると言ったが、当面だけだ。
 その後はじじいにでも任せるか。

「よろしくお願いしますね、エヴァちゃん」

「……ああ」

 この女は、魔法を覚えると言う事をどう考えているのか。
 日常を捨てると言う事。
 普通に戻れなくなる事。
 いつか必ず――後悔すると言う事。

「ん? なに?」

「いや」

 何でも無い、と。
 しかしその面倒臭いのもそれで終わりだ。
 修学旅行を楽しんで、後は呪いを解く。
 その先はどうするかな……。
 歩きながら、ぼんやりとそんな事を考える。
 何をするか――それすら今の私には無い。

「ネギ先生、大丈夫ですからそう落ち込まないで下さい」

「……はい」

 まったく。

「ん?」

 旅館の前に集まって何してるんだ?

「おい」

 旅館につくと、その入り口に2人。
 ――知った顔があった。

「神楽坂明日菜、何をしているんだ?」

「へ? ああ、お帰りエヴァ」

 いや、それは良いんだが。

「あれ? エヴァンジェリンさん何処か行ってたの?」

「ああ……それで?」

 佐々木からの質問に適当に応え、視線を下に向ける。
 そこには――猫が居た。
 麻帆良でもそう言えば茶々丸が世話してたなぁ、と。

「飼い猫か?」

「ううん。野良だって」

 ふぅん。
 こう見ると可愛いもんだな。

「ほら、来い」

 その2人に混ざり、私も手を出すが……寄り付きもしない。
 ちっ、だから動物は嫌いなんだ。

「エヴァも動物から嫌われてるんだー」

「うるさいな……」

 ……ん?

「私も?」

「うん」

 ふむ。私以外にも嫌われ者がいたか。
 可哀想な事だな。

「マスター、御無事でしたか?」

「ああ――それで、お前は何をしてるんだ?」

 声の方に振り返ると、ミルクと空の食器を持った茶々丸が立っていた。
 ……まぁ、聞かなくても判るが。

「猫さんに餌を」

「そうか」

 そうだろうな、と。
 まぁ良いか。
 どうせ自由時間だ。

「お前はよく懐かれるなぁ」

「そうでしょうか?」

 ま、いいがな。
 さて、と。

「あ、もう行くの?」

「私は嫌われてるようだからな」

「そっかな?」

「今まで動物に懐かれた事もない」

「うわぁ」

 そんな声を出すな。余計に悲しくなる。
 くそ。

「あ、そうだ」

「……今度はなんだ?」

「明日は一緒に回れる?」

 …………はぁ。

「ちゃんと班分けしてあるだろうが」

「だって、エヴァ今日も用事で居なかったじゃない。折角の自由行動なんだから」

 初日も何だかんだ言って一人で行動が多かったし、と。
 はぁ。
 まぁ、それはこっちが悪いから何とも言えんが。

「気が向いたらな」

「うんっ」

 まったく、と。

「あまり私に関わるなと言ったはずだがな」

「そうだっけ?」

 ……はぁ。
 何でこんなにこの女は楽しそうなんだか。
 ああ、修学旅行だからか。

「なになに、何の話?」

「なんでもない、なんでもない」

 佐々木まき絵を軽く流す神楽坂明日菜から離れる。
 ――まぁ、気が向いたら、一緒に行動するか。
 そんな事を考えながら旅館に入ると、入り口近くの椅子に座っている見慣れた背が目に入った。

「先生」

「ん? おー、ネギ先生達と一緒じゃなかったんだな」

 ネギ先生達はもう帰ってきたぞ、と。

「ああ。そこで猫を見てた」

「絡繰に懐いてるヤツか」

 懐いてるのか。
 呆れたように溜息が出てしまう。
 よくもまぁ、動物に好かれるやつだ。
 そんな事を考えながら背を向け、
 そうだ、と言う声。

「おかえり、マクダウェル」

「ただいま、先生」

「今日は楽しかったか?」

「……そうでもない」

 そう言うと、小さく笑う。

「ま、学園長からのお使いだしな」

「ふん」

 判ってるじゃないか。
 しかも、観光所巡りも全然できてないしな。

「明日は大丈夫なのか?」

「ああ。明日は自由時間を満喫するさ」

「それは良かった」

 ――ふん。

「先生は何をしていたんだ?」

「ん? ほら、猫の餌やり、外でしてるから見てないとな」

 なるほどな。
 先生にならうように視線を外に向ける。
 まぁ、何かあっても茶々丸が居るから大丈夫だろうが。

「疲れただろうから晩ご飯まではゆっくりしてろ」

「言われなくてもそうさせてもらうよ」

 そう声を返し、ロビーを後にする。
 さて、晩ご飯まではゆっくりするかな。
 もう気を張る理由も――まぁ、あまり油断し過ぎも問題だが。
 昨日までほどは張らなくても良いだろう。
 旅館周りには今も結界が張ってある。
 ――修学旅行も、明日一日しかないのだし。

「ふむ」

 ……そう言えば、ただいまなんて言ったのはいつ以来だったか。
 麻帆良に来て、じじいに住みかを与えられてもチャチャゼロは喋れなかったし。
 茶々丸には、そう言う事を言った記憶は無い。
 なら、麻帆良に来てからは使った事は無いのかもな。

「ま、いいか」

 だからどうした、と言うだけなのだが。
 さっさと着替えてのんびりしよう。
 疲れた。






――――――

「また来てるのか」

「はい」

 少女達の輪を上から覗き込むように見ると、先日見た子猫がまたミルクを飲んでいた。
 ……俺たちが旅行から帰っても、大丈夫かな?
 とも思うが、そこまで面倒も見きれないだろう。

「あ、先生。さっきエヴァ帰ってきてたよ」

「おー。会ったぞ」

「何か言ってた?」

「疲れただとさ」

 いつも通りのマクダウェルの答えに苦笑してしまう。
 まぁ、明日は大丈夫だと言っていたから――楽しめるだろうけど。

「この子可愛いねー」

「だがな、佐々木。連れては帰れないからな?」

「えー」

「連れて帰って、誰が面倒をみるんだ?」

「うー」

 まったく、と。

「それより、そろそろ中に入れよ? もう結構な時間だからな」

「はーい」

 もう日も落ちてきた、外に居るのは何かと問題があるだろう。

「あ、先生」

「ん? どうした神楽坂?」

 猫と遊んでいた神楽坂が……なんかこう、困ったような顔でこっちを向く。
 うん。嫌な予感しかしない。

「明日の自由行動、エヴァって一緒なのかな?」

「あ、そっちか」

「へ?」

 いや、と。

「一緒じゃないのか? 流石に、最終日まで用事は――無いと思うぞ?」

 さっきは何も言ってなかったし。

「ほんと?」

「ああ……というか、俺に聞くくらいなら自分で聞いたらどうだ?」

「いやー。さっきも言ったんだけど、気が向いたらって言われて」

 そうか?
 アイツ、気が向いたらって言ったら大抵の事はやってくれるから大丈夫だと思うけど。
 まぁ、大丈夫だろ。
 何だかんだ言って、神楽坂とよく一緒に居るし。

「大丈夫だと思います」

「絡繰もそう思うか?」

「はい」

 なら大丈夫だろ、と。

「ありがとー、茶々丸さんっ」

「……いえ」

「明日菜って、エヴァちゃんと仲良いよねー」

「そう?」

「うん。だって、ちょっと怖い所あるじゃない」

「あー、喋り方とかこー……難しい言い方するもんねー」

「うんー」

 そこか。
 まぁ、神楽坂と佐々木らしいと言うか。
 微笑ましくて苦笑してしまう。

「ほらほら、話は中ですれば良いだろー」

 ぱんぱん、と小さく手を叩く。

「「はーい」」

 まったく。
 一つ話題が出来れば、前の事を忘れるのはどうにかならないものか。
 それが一つ、問題だなぁ。

「先生」

 ん?

「絡繰も早く中に入れよ? 猫が使った容器は返しとくから」

「いえ――それより」

「なんだ?」

 どうにも、今日は色々聞いてくるなぁ。
 シネマ村でも何度か聞かれたし。
 ……そのうち答えきれない事聞かれたら、と思うと少し怖いんだが。

「今日も御迷惑をおかけしました」

「マクダウェルか?」

「はい」

 うーん。

「でもまぁ、先生だからなぁ」

 それに、今回のは悪いのは学園長だし。
 まぁ悪くは言わないけど。
 きっと大事な用だったんだろうし。

「マクダウェルがやりたい事なら、なるだけ叶えてやりたいしな」

 本人は、今日は乗り気じゃなかったみたいだけど、と。
 それでも自分からネギ先生についていくって言った事は、何かしら理由があったんだろう。

「マスターが先生の生徒だからですか?」

「おー」

 しかし、この猫良くミルク飲むなぁ。
 将来は大きくなるかもな。

「絡繰も何かやりたい事があったら言って良いからなー」

 頑張れるだけ頑張ってはみるから、と。
 だがまぁ、そんな格好良い事を言っても、出来る事は殆ど無いのだが。
 良くてワガママを聞いて振り回されるのが関の山か。
 はぁ……何も出来る事が無いなぁ、俺。

「…………」

 さて、と。

「それじゃ、戻るかー」

 またなー、とミルクを飲み終え背を向けた子猫に声を掛ける。
 返事はない。
 まぁ、当たり前か。
 そう苦笑して立ち上がり

「先生」

「んー?」

「その時はよろしくお願いします」

 そう頭を下げられた。
 む……そう返されるとは予想してなかった。
 もっと軽い感じで来ると思ったのに。

「ま、出来れば簡単なので頼むなー」

「はい」

 絡繰はそう無茶な事言わないだろう、と思うけど。
 そこは心配しないで良いから、安心だな。




――――――チャチャゼロさんとオコジョ――――――

「うわ、このオコジョ禿げてるアル」

「……クーフェイ、あまり言ってやらない方が良いでござる」

「ストレスでしょうか? ネギ先生のペットなんて羨ま――ゲフン」

「ペットのストレスって、どう解消すればいいのかな? ゆえゆえ」

「適度な運動じゃないです?」

 うう、うううう………ッ。

『ケケケ、大人気ジャネーカ』

 ウワーーーーーーン。
 チャチャゼロさんのアホーーーっ。




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