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No.25786の一覧
[0] 普通の先生が頑張ります (更新再開…かな?[ソーイ](2011/06/08 19:02)
[1] 普通の先生が頑張ります 0話[ソーイ](2011/04/10 19:06)
[2] 普通の先生が頑張ります 1話[ソーイ](2011/04/10 16:49)
[3] 普通の先生が頑張ります 2話[ソーイ](2011/04/08 22:17)
[4] 普通の先生が頑張ります 3話[ソーイ](2011/04/08 22:52)
[5] 普通の先生が頑張ります 4話[ソーイ](2011/04/08 23:22)
[6] 普通の先生が頑張ります 5話[ソーイ](2011/04/08 23:43)
[7] 普通の先生が頑張ります 6話[ソーイ](2011/04/09 10:03)
[8] 普通の先生が頑張ります 7話[ソーイ](2011/04/09 10:16)
[9] 普通の先生が頑張ります 8話[ソーイ](2011/04/09 10:36)
[10] 普通の先生が頑張ります 9話[ソーイ](2011/04/09 13:58)
[11] 普通の先生が頑張ります 10話[ソーイ](2011/04/09 14:38)
[12] 普通の先生が頑張ります 11話[ソーイ](2011/04/09 15:24)
[13] 普通の先生が頑張ります 12話[ソーイ](2011/04/09 18:20)
[14] 普通の先生が頑張ります 13話[ソーイ](2011/04/09 22:23)
[15] 普通の先生が頑張ります 14話[ソーイ](2011/04/09 23:12)
[16] 普通の先生が頑張ります 15話[ソーイ](2011/04/09 23:47)
[17] 普通の先生が頑張ります 16話[ソーイ](2011/04/10 16:45)
[18] 普通の先生が頑張ります 17話[ソーイ](2011/04/10 19:05)
[19] 普通の先生が頑張ります 18話[ソーイ](2011/04/11 21:15)
[20] 普通の先生が頑張ります 19話[ソーイ](2011/04/11 21:53)
[21] 普通の先生が頑張ります 20話[ソーイ](2011/02/27 23:23)
[22] 普通の先生が頑張ります 21話[ソーイ](2011/02/27 23:21)
[23] 普通の先生が頑張ります 22話[ソーイ](2011/02/27 23:19)
[24] 普通の先生が頑張ります 23話[ソーイ](2011/02/27 23:18)
[25] 普通の先生が頑張ります 24話[ソーイ](2011/02/26 22:34)
[26] 普通の先生が頑張ります 25話[ソーイ](2011/02/27 23:14)
[27] 普通の先生が頑張ります 26話[ソーイ](2011/02/28 23:34)
[28] 普通の先生が頑張ります 27話[ソーイ](2011/03/01 23:20)
[29] 普通の先生が頑張ります 28話[ソーイ](2011/03/02 22:39)
[30] 普通の先生が頑張ります 29話[ソーイ](2011/03/04 22:42)
[31] 普通の先生が頑張ります 30話[ソーイ](2011/03/08 00:19)
[32] 普通の先生が頑張ります 31話[ソーイ](2011/03/07 23:33)
[33] 普通の先生が頑張ります 32話[ソーイ](2011/03/10 00:37)
[34] 普通の先生が頑張ります 33話[ソーイ](2011/03/09 23:47)
[35] 普通の先生が頑張ります 34話[ソーイ](2011/03/10 23:15)
[36] 普通の先生が頑張ります 35話[ソーイ](2011/03/13 23:11)
[37] 普通の先生が頑張ります 36話[ソーイ](2011/03/14 22:47)
[38] 普通の先生が頑張ります 37話[ソーイ](2011/03/15 23:56)
[39] 普通の先生が頑張ります 38話[ソーイ](2011/03/16 23:15)
[40] 普通の先生が頑張ります 39話[ソーイ](2011/03/17 23:03)
[41] 普通の先生が頑張ります 40話[ソーイ](2011/03/18 22:46)
[42] 普通の先生が頑張ります 41話[ソーイ](2011/03/19 23:49)
[43] 普通の先生が頑張ります 42話[ソーイ](2011/03/20 23:12)
[44] 普通の先生が頑張ります 43話[ソーイ](2011/03/21 22:44)
[45] 普通の先生が頑張ります 間幕[ソーイ](2011/03/23 07:49)
[46] 普通の先生が頑張ります 44話[ソーイ](2011/03/23 23:24)
[47] 普通の先生が頑張ります 45話[ソーイ](2011/03/25 23:20)
[48] 普通の先生が頑張ります 46話[ソーイ](2011/03/26 23:23)
[49] 普通の先生が頑張ります 47話[ソーイ](2011/03/28 00:29)
[50] 普通の先生が頑張ります 48話[ソーイ](2011/03/28 23:24)
[51] 普通の先生が頑張ります 49話[ソーイ](2011/03/30 00:25)
[52] 普通の先生が頑張ります 50話[ソーイ](2011/03/31 00:03)
[53] 普通の先生が頑張ります 閑話[ソーイ](2011/04/01 00:36)
[54] 普通の先生が頑張ります 51話[ソーイ](2011/04/01 23:50)
[55] 普通の先生が頑張ります 52話[ソーイ](2011/04/03 00:22)
[56] 普通の先生が頑張ります 53話[ソーイ](2011/04/04 23:45)
[57] 普通の先生が頑張ります 54話[ソーイ](2011/04/05 23:24)
[58] 普通の先生が頑張ります 55話[ソーイ](2011/04/06 22:31)
[59] 普通の先生が頑張ります 56話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:46)
[60] 普通の先生が頑張ります 57話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:47)
[61] 普通の先生が頑張ります 58話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:47)
[62] 普通の先生が頑張ります 59話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:47)
[63] 普通の先生が頑張ります 60話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:47)
[64] 普通の先生が頑張ります 61話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:48)
[65] 普通の先生が頑張ります 62話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:48)
[70] 普通の先生が頑張ります 56話(修正版[ソーイ](2011/04/28 23:46)
[71] 普通の先生が頑張ります 57話(修正版[ソーイ](2011/04/28 23:27)
[72] 普通の先生が頑張ります 58話(修正版[ソーイ](2011/04/30 22:52)
[73] 普通の先生が頑張ります 59話(修正版[ソーイ](2011/05/18 23:24)
[74] 普通の先生が頑張ります 短編 【茶々丸】 [ソーイ](2011/05/23 23:47)
[75] 普通の先生が頑張ります 短編 【エヴァンジェリン】 [ソーイ](2011/05/23 23:42)
[76] 普通の先生が頑張ります 短編 【エヴァンジェリン】 2[ソーイ](2011/05/25 23:21)
[77] 普通の先生が頑張ります 短編 【月詠】 [ソーイ](2011/06/08 23:06)
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[25786] 普通の先生が頑張ります 25話
Name: ソーイ◆9368f55d ID:052e1609 前を表示する / 次を表示する
Date: 2011/02/27 23:14

 ふあ、と欠伸を一つ。
 ……物凄く眠い。

「ねむ」

 確か今日は、完全に一日自由行動日――なのだが、教師はそうじゃないんだよな。
 どうするかな……まぁ、朝食の後に班長に何処に行くか大まかな所だけは聞いておくけど。
 布団の上で上半身を起したまま、そう考える事数秒。
 ……このままじゃこの体勢で眠れそうなくらい、眠い。
 昨日も結局寝たのは日付変わってたし、純粋な睡眠不足か。
 ギリギリまで休むなら、本当はあと4~50分くらいは寝てられるんだけど、折角の旅先だ。
 しかも昼間はあんまり自由時間取れないから、昨日と同じようにここでしか出来ない事をしたくもある。
 思い付いたのは、朝風呂。
 ――行くか?
 折角の露天風呂だ、じっくりと味わいたい――が、少し考える。
 確か、ここの露天風呂って混浴だったんだよなぁ。
 流石に時間外に入って問題起こしたら、なぁ。
 溜息を一つ。
 諦めるか……。
 はぁ。

「顔洗って、散歩でもするか」

 浴衣姿のまま、部屋から出、半分寝惚けた頭で廊下を歩く。
 顔洗って、また旅館の周りでも散歩するかなぁ――っと。

「おはよう、龍宮」

 そんな事を考えていたら、龍宮を見かけたので声を掛ける。

「おはよ、先生」

「おー、早いなぁ」

「目が覚めてね。先生こそどうしたんだい?」

 生徒なら、後1時間くらいは寝てられるだろうに。
 挨拶をするとこちらを振り向き――。

「なんで龍宮がその人形を持ってるんだ?」

「ん? 先生、チャチャゼロの事を知ってるのかい?」

「ああ。マクダウェルの手作り人形だろ?」

 それを、何で龍宮が持ってるんだ?
 絡繰が持ってるなら、まだ判るんだが。

「良く出来た人形だったからね、エヴァに言って借りたんだ」

「ふぅん。龍宮も人形に興味があるのか?」

「――どうだろうね? エヴァの人形には、少し興味があるかな?」

「そっか。アイツ友達少ないから、仲良くしてやってくれ」

 そう言うと驚いたような顔をし――笑われた。
 しかも腹を抱えると言った表現がぴったりの……声は控えめだが。

「は、はは……わ、判ったよ。出来るだけ仲良くするよ」

「おー」

 そう笑われると、何だかなぁ、と。
 そんなにマクダウェルの心配をするのは変か?

「しかし、先生は随分エヴァを気にしてるようだね?」

「そうか?」

 ……そんな事はないと思うがなぁ。
 うーん、まぁ、そう見えるのかもな。

「そう見えるか?」

「そりゃね。いきなり仲良くしてくれなんて言うの、兄貴か親くらいだよ」

「――そりゃ確かに、変だな」

 俺は兄でも親でもないしな、と。
 少しお節介が過ぎたかな? 気を付けないと。

「あ、先生おはよー」

 ん?

「おはよう朝倉……お前は、もう少し身嗜みをだな」

「あ、ごめんごめん」

 ……はぁ。
 一応、俺も男なんだがなぁ。
 そう指摘すると寝起きで肌蹴た浴衣の前を直す。
 まったく、目の毒だ。
 目を逸らしながら、そう心中で呟く。

「先生、朝から眼福じゃないか」

「……あと5年、だな」

「酷いっ!?」

 勘弁してくれ。
 流石に生徒をそんな目で見れるか、はぁ。

「それで先生、真名と何話してたの?」

「ん? ただの世間話だぞ? その人形の事で」

「人形? 真名、その人形買ったの?」

「まさか。友達の私物だよ」

 あ、マクダウェルのって言うのは隠すのか。
 ……まぁ、朝倉の事は苦手そうだしな。
 どこでネタにされるか判ったもんでもないだろうし。

「朝倉は早いな。何かあったのか?」

「ん? まぁ、目が覚めたからもう準備済まそうかなって」

「そりゃ良い心掛けだ、助かる」

 今日も忙しくなるんだろうなぁ、と。
 そう言う予感がしてしまう。

「そう言えば先生」

「んー?」

 そんな事を考えていたら、朝倉から声を掛けられた。

「なんだ?」

「今日は誰かと一緒に回るの?」

「いや?」

 と言うか、折角の自由行動に教師同伴は嫌じゃないか?

「それは別に良いんだけど」

 良いんだ。

「子供先生は誰かと回るだろうから、先生もかな、って」

「ああ。ネギ先生は……どうだろうな?」

 まぁ、誘われるだろうが――雪広と宮崎から。
 でもまぁ、教師だし出来れば見回り優先で行動してほしいとは思う。
 ただでさえ今日は旅先での自由行動なのだ、問題があったら大変だ。
 しかも丸一日。とてもじゃないが、俺一人で3-A全員は無理がある。

「そう? あの子、押しに弱いじゃない」

「担任をあの子って言うなよ」

 苦笑してそう言うが、やっぱり新聞部だな、良く見てる。
 そう。押しに弱いんだよなぁ、ネギ先生。
 宮崎はそうでもないが、雪広は本当に押すからなぁ。

「大変だね、副担任も」

「別に、大変なのは良いんだけどな」

 それが仕事だしな、と。

「まぁ、まだ10歳なんだ。そっちでも助けてやってくれよ?」

「ネタにならない事なら助けるよ」

「現金な事だなぁ」

「ジャーナリストだからね」

 まだ中学生だろうが、と。
 この根性は見習うべき、なのかなぁ。
 龍宮も苦笑してるし。 

「それじゃ先生、また後でねー」

「おー、朝食の時になー」

 遅れるなよー、と歩いていくその背に声を掛ける。
 マイペースと言うか、何と言うか。

「で、先生はこんな時間にどうしたんだい?」

 そう言えば、話の途中だったな。

「ん、まぁこっちも目が覚めてな。早く起きれたんで、散歩でもって」

「それは良いね。景色も綺麗だし、目も覚める」

 う、そんなに眠そうな顔してるかな?
 まぁ、俺自身まだかなり眠いし、そうかもな。

「それじゃ、先生。また朝食の時に」

「おー、二度寝して寝坊しないようにな?」

「……気を付けるよ」

 ちなみに、俺は今二度寝したら確実に次はギリギリになる自信がある。
 龍宮と別れ、もう一度欠伸をする。

「ふぁ」

 結構話してたけど、まだ散歩の時間はあるな。







「おはようございます、先生」

「おー、おはよう絡繰」

 実は俺のクラスって、早起きな生徒が多いんだろうか?
 まぁ、旅先だからだろうなぁ。
 今日もまた旅館の庭で絡繰と会い、そのまま世間話をする。
 流石に近衛は今日は一緒じゃないか。
 ま、桜咲との仲も直ったみたいだし、もう気を張る必要も無いんだろう。

「相変わらず早いなぁ」

「そうでしょうか?」

 でもまぁ、絡繰は早起き慣れてそうだよな。
 いつもマクダウェルを起こしてるみたいだし。朝食の準備もだろ……。
 近くにあったベンチに座り、のんびりと空を見上げる。
 今日も良い天気だなぁ。

「絡繰って、いつも何時くらいに起きてるんだ?」

「……私ですか?」

 ふと気になったから聞いてみた。

「起床――活動は朝の5時からです」

「……早いなぁ」

 それからマスターの朝食の用意と、お掃除を、と。
 流石従者、凄い。
 それから学校で勉強だろ?

「そうでしょうか?」

「俺が中学の時は、朝は一秒でも長く寝ときたかったもんだ」

 と言うか、学生は大体そんなもんじゃないだろうか?

「先生は朝は何時くらいに起きられてるのでしょうか?」

「俺か?」

 あー、と。

「……6時くらいかな?」

 生徒より遅いとはなぁ……墓穴掘った。
 はぁ。

「どうかなされましたか?」

「いや、何でも無い」

 何も言ってこない絡繰の優しさが痛い。

「今日は猫さんが来てません」

「ん? 猫?」

 猫……ああ。

「昨日の?」

「はい。親猫さんも居ないようでしたので……」

「まぁ、流石に探す訳にもいかんだろ」

「はい」

 しかし、

「動物が好きなんだなぁ」

「そうでしょうか?」

「へ?」

 まさか、そう返ってくるとは思わなかった。

「麻帆良でも野良猫とか鳥の相手してただろ? そうじゃないのか?」

「……どうでしょうか」

 ん?
 何かあったのかな?

「ずっと付いてこられるので餌をあげたのですが、それは好き、と言えるのでしょうか?」

「ずっと……?」

 ……そう言えば、初めて猫に懐かれてた時、そんな事を言ってたような。
 何だったかな……細かな部分まで覚えてないな。

「餌を上げたから懐かれました。これは好きと言えるのでしょうか?」

「また難しい言い回しだなぁ」

 そう苦笑し、

「嫌いならまず餌をやらないと思うんだが」

「……なるほど」

 そこでそう納得されてもなぁ。

「絡繰ー、自分の事なんだから自分で判るだろ?」

「そうでしょうか?」

 あれ?
 そう返されても困るんだけど。

「――いえ、何でもありません」

 ん?
 それは、一瞬の変化。
 まるで――さっきの一瞬だけ……どう言えば良いのか。
 そう、まるで“絡繰らしくない”と言うか。

「申し訳ありません。部屋に戻ります」

「お、おー……また朝食の時にな」

「はい。失礼します」

 そう言って足早に去っていくのも……今までの絡繰には無い事。
 なんか変な事言ったかな?
 さっきの会話を思い返すが――特に言ってないよな、と。
 ……後で謝った方が良いんだろうか?
 でも理由も判らないし、どう謝ったもんか。
 うーん。







「おい、先生」

「……教師をおいとか呼ぶのはどうかと思うぞ?」

「気にするな」

 気にするよ。
 特に他の先生達にしてないか。
 はぁ、と溜息を吐き振り返る。
 そこに居たのは案の定――と言うより、教師にこんな事を言うのは一人だけなんだが。

「どうした、マクダウェル? また今日も一緒とか言ったら問答無用で雪広に預けるからな?」

「……そんな事は言わん」

 なら良いか。

「それで、どうしたんだ?」

「いや、今日はじじいの用事があってな」

 またそう呼ぶし。

「学園長な? ……それで、学園長がどうしたんだ?」

「ああ、ぼーやと木乃香、刹那を借りて良いか?」

「……何?」

「と言うか、ぼーやの用事に私達が付き合うんだが」

 余計に訳が判らなくなる。
 えっと……。

「学園長の用事で今日一日?」

「いや、昼過ぎ――まぁ、夕方には戻る」

「……ネギ先生と近衛達も?」

「ああ」

 頭痛を抑える為に、目頭を押さえる、
 んー。

「どう言う事だ?」

「じじいがな、木乃香の父親に手紙を書いたんだ」

 手紙て。
 また何と言うか――メールとか電話とかじゃ駄目なんだろうか?
 ……まぁ、駄目だから手紙なんだろうなぁ。

「それを届けるついでに、木乃香の父親に挨拶でもな」

「いや、ちょっと待って」

 えーっと……少し考える時間が欲しい。
 と言うか、何で修学旅行の自由行動で近衛のお父さん?

「今日一日自由行動だから、良いだろ?」

「いや、えっと……良い、のかな?」

 普通自由時間って、京都の町とか回らないか?
 なんで友達の実家? 
 まぁ、自由行動だから自由なんだろうけど……良い、んだろうか?

「ちょっと、新田先生に言ってくるから待っててくれ」

 と言うか、相談してくるから。
 流石に俺の一存じゃ決められない。
 修学旅行の自由行動で友達の実家って――聞いた事も無いし。

「新田先生の方にはもう報告してある」

「……あ、そうなのか?」

 良いんだ、新田先生。
 ――頭抱えたんだろうなぁ。後で謝っとこう。
 アレなら昼ご飯も奢ろう。ちょっと良い店で。

「すまないな」

「…………ん?」

 あれ?

「何がだ?」

「いや、じじいの事で迷惑を掛けるな、と」

「………………」

 あれ? マクダウェルが俺に済まないとか言うの、初めてじゃないか?
 そんな場違いな事を考えてみる。

「何か言えよ、先生」

「あ、ああ……まぁ、気を付けていくんだぞ?」

 車とか、知らない人とか。

「あと、何かあったらすぐ連絡入れろよ?」

「……子供じゃないんだから、大丈夫だ」

 いや、凄い心配なんだが。
 お前とネギ先生の組み合わせの時点で……失礼だとは俺も思うけど。

「絡繰の言う事を良く聞くんだぞ?」

「……茶々丸は置いていく」

「へ? 大丈夫なのか?」

「大丈夫だっ」

 う、怒らせた。

「でも、いつも一緒だからな……」

「ふん。折角の自由行動だ、アイツにも少しは時間をやるさ」

「おー……」

 久しぶりに、マクダウェルが主人っぽい。

「何だその顔は? ん?」

「いやいや」

 しかし……心配だ。心配しかない。

「どうせ手紙を届けるだけだ。それが終わったらすぐ戻る」

 話す事も無いしな、と。
 なら良いけど……。

「あんまり迷惑かけるなよ?」

「掛けるかっ」

「警察の番号は判るか?」

「……せ、ん、せ、い?」

 う。

「だってなぁ」

 修学旅行の自由行動でいきなり友達の家に行きますなんて言われてみろ?
 正直、どうして良いか判らん。

「……まぁ、そうだろうなぁ」

「いや、今から行くのにそこで同意するなよ」

「ふん」

 怒らせてしまった。

「気を付けてな?」

「……判ってる」

 はぁ、と小さく溜息。

「謝って損した」

「ん?」

「何でも無いっ」

 こりゃ、相当ご立腹なようで。
 まぁ謝ってくれたって事は、一応悪いって思ってくれてるんだろうな。
 そう考えると、まぁ、近衛の実家がどこかは判らないが――まぁ。

「ネギ先生の言う事を、良く聞くんだぞ?」

「――はぁ」

 溜息吐くなよ、こっちが不安になるんだから。
 他の子達の自由行動も不安だけど、お前達も不安だよ。

「あ、エヴァー」

「……また面倒なのが」

「そう言ってやるなよ」

 その聞き慣れた声は、神楽坂。
 
「今日何処行くー?」

「はぁ」

「何でいきなり溜息!?」

「また説明しなきゃならんのか……」

「ん? 何の事?」

 さて、それじゃ先に他の班員達に何処行くか聞いてくるかね。







 困った。やっぱり基本的に、みんなバラバラだよなぁ。
 自由行動の行動場所を書いてもらった紙を見ながら、溜息を一つ。
 他のクラスは担任と副担任の2人掛り――まぁ、これもキツイんだろうけど。
 俺は一人で見て回るのか……もう溜息しか出ない。
 でもまぁ、ネギ先生も学園長の用事だから、どうしようもないんだよなぁ。
 ……ここで腐っててもしょうがないか。

「さ、って」

 今日も一日頑張りますかね。
 まだ旅館に居るのは神楽咲達と明石達の班か。
 確か神楽坂達はゲーセン巡りとか……ちょっと教師としては考えさせられる移動だったな。
 もっと重要文化財とか見て回れよ、と。
 まぁ、午後からは全部の班がシネマ村に集まるみたいだから、問題は午前中――今から約4時間である。
 6班あるから6か所回るのか……運が悪いと、その倍以上だろうな。
 ――修学旅行って大変だなぁ。

「先生、移動なさいますか?」

「いや、絡繰は神楽坂達の班だろ?」

「はい」

 じゃあ何で付いてくるんだ、と。
 そう言ってるうちに何でか神楽坂達も集まってきた。
 班長の神楽坂に綾瀬、早乙女、宮崎、絡繰の5人。
 本当ならこれに近衛とマクダウェルも入ってる大所帯である。

「あ、先生移動する?」

「するけど……お前たちはゲーセン巡りじゃないのか?」

「うん。そうだけど、途中まで一緒に行こうかなって」

 どうしてそうなる?
 まぁ、見回りが楽って言えば楽なんだが。

「それでは早速行くです」

「行きましょう、先生」

 どうやら、本当に俺についてくる気らしい。
 ……修学旅行の自由行動で教師と一緒だなんて。
 俺の考えが間違ってるのかな?
 最近、少し自信が無くなってきたなぁ。

「おー、車に気を付けてな?」

「先生。子供じゃないんだから……」

 ……俺から見れば、まだ子供なんだよ。
 親御さんからお子さんを預かってる立場だし。

「大丈夫です」

「はい」

 あと、もう少しなんか喋らないか、綾瀬、宮崎。
 そう言えば、

「絡繰は、本当にマクダウェルについていかなくて良かったのか?」

「はい。マスターからは皆さんと一緒に居るようにと」

「そうかー……なら、今日一日マクダウェルの分まで楽しまないとな」

「――――はい」

 ま、深くは考えない方が良いか。
 今日は忙しいんだし。
 ……明日までもつんだろうか?
 少し不安なんだが……今日こそ目覚まし買おう。

「それじゃ、行くかー」

「おー、しゅっぱーつ!」

「いくぞー!」

 そう言って右の握り拳を突き上げる4人。
 テンション高いなぁ、早乙女と神楽坂。
 綾瀬と宮崎もそれに合わせてるし。
 流石に、絡繰は付き合わないのな。
 その事に苦笑し、旅館から先に出る。

「先生、ノリ悪いなぁ」

「もうそんなに若くないんだよ」

「……先生、今何歳です?」

 聞くのか、ソレを。

「26」

「四捨五入したら30かー」

 酷い……。
 ちょっとへこみそうだ。







「先生って大変なんだねー」

「そりゃなぁ」

 というか、

「結局付いてきたな……ゲーセン巡りは良かったのか?」

 そう。結局神楽坂達の班は俺の見回りについて来ていた。
 正直、一つの所に止まって無いから面白くないと思うんだが。
 それに、動きっぱなしだし。

「そう何度も聞かないで良いです。皆でシネマ村に集まる前の時間潰しの為でしたし」

「あ、だから午後は全員シネマ村なのか」

 なるほどなぁ。

「先生、シネマ村って着物とか借りれるらしいよ?」

「ほー……」

 そりゃ凄い。
 しかし、それレンタル料とか掛るんじゃないのか?

「う、どうだろ……」

 基本は掛るだろうけど……ああ言うのって、どれくらいの値段なんだろう?

「その辺りはいいんちょが出してくれるそうです」

「そう、言ってました」

「はー……」

 さすがクラス委員。そして、言っては悪いが金持ちの御令嬢。
 クラスの為に一肌脱いだのか……甲斐性があると言うか、何と言うか。

「それじゃ、昼はシネマ村で食べるか?」

「え? シネマ村って食べる所あるのです?」

「そりゃ、団子とかあるんじゃないの?」

 綾瀬の質問に答えたのは早乙女。
 うん、と頷き、

「それにラーメン屋とかカフェもあるらしいぞ」

「……近代的だなぁ」

「まったくです」

 だなぁ、と皆で頷きあうが――まぁ、それも人気の一つなんだろう。

「宮崎、大丈夫か? 疲れたなら、少し座っていくか?」

「い、いえ。大丈夫です」

 そうか? 疲れたなら遠慮しなくて良いからな?

「は、はい」

「あ、ごめんねのどか」

「いえ……」

 でもまぁ、こう言う時は心配されると逆に辛いんだよなぁ。
 しょうがない。

「それじゃ、急いで行って、昼にするか」

 そのまま、少し休憩しても良いだろう。
 さて、と。バスの時間は。

「あと14分後です」

「……早いなぁ」

 まだダイヤル確認しようとしてた所なんだが。

「絡繰は良かったのか? 特に見れてないと思うけど」

 回った場所は多いけど。

「いえ、それで十分ですので」

「そうか?」

 まぁ、本人がそう言うなら、そうとしか言えないんだが。

「ま、疲れたりしたら言って良いからな?」

「……はい」

 ふむ。
 やっぱり、マクダウェルが近くに居ないと不安なのかな?
 少し元気が無いように見えるし。
 それを今言ってもどうしようもないんだが。

「先生」

「んー? 何だ宮崎?」

「……えと、一つ聞いて、良いですか?」

 ?

「ああ、どうした?」

 何でそんなに畏まってるんだ?
 ……綾瀬? 早乙女?
 何でそんなに力んでるんだ?

「せ、せせ……」

 せ?

「…………い、いえ……」

「いや、そこまで言ったなら何か言ってくれよ」

 逆に気になるじゃないか、と。
 隣の絡繰に視線を向けると、こちらも首を捻っていた。
 まぁそりゃそうだ。

「いえ、その……昨日、ネギ、先生」

 昨日? ネギ先生?
 ……相談の事か?

「何か飲むか?」

「い、いえ……」

「ほら、のどか。頑張んなさいよっ」

 そう言って神楽坂は宮崎の背を押し、一歩、踏み出した格好で硬直する。
 何なんだ?

「あ、」

 あ?

「ありがとう、ございましたっ」

 そう言って逃げた。
 ……はい?

「何故逃げるっ!?」

「のどかー、待つですー」

 …………何なんだ?
 残されたのは俺と神楽坂、絡繰の3人。
 うーん。

「宮崎はどうしたんだ?」

 まぁ、昨日のネギ先生の相談……その事を聞いたのかな?
 しかも、俺に相談したとか言ったのかもな。
 ……何も言わないなら、もっと格好良いでしょうに、ネギ先生。

「あー……また今度」

 しかも、次があるのか。
 少し離れた位置で固まってる3人組に視線を向ける。
 ま、仲好き事は良き哉、って所か。
 そんな事を考えていたら、バスが来た。







 はー、と。
 溜息にも似た、息が漏れた。
 いやはや。

「これだけ揃うと、壮観だなぁ」

「もっとこー……他に無いの、先生?」

「んー……似合ってるぞ、神楽坂?」

「気持ちが籠って無いっ」

 そう言われてもなぁ。

「でも実際、似合ってるぞ?」

「はぁ。駄目駄目だね、先生」

「駄目駄目か?」

「うん。100点満点中3点くらい」

 そこまでか。
 でもまぁ、他に言い様が無いんだが……似合ってると思うし。
 難しい。
 ちなみに、何故か着物連中の中に貴婦人姿の那波や忍者姿の長瀬、鳴滝姉妹。
 ……統一性無いなぁ。流石3-A。

「気持ちが籠って無いんだよ、気持ちが」

「難しいんだなぁ」

「凄い投げ遣り!?」

 そして、朝倉にダメ出しされる俺。
 あ、瀬流彦先生と葛葉先生だ。

「どうも」

「両手の花どころの騒ぎじゃないみたいだね」

「は、はは……」

 確かになぁ、と思わなくも無い。
 皆今は思い思いに写真とか取ってるし。

「あまり、ハメを外し過ぎないように」

「き、気を付けます」

 そう言う葛葉先生も、スーツに飾り気の無い刀と、仮装してるけど。
 ……似合ってるから良いか。
 確か、何とかって剣術を習ってたとか言ってたし。

「なにか?」

「いえ……」

 だからって、その手に持った刀をチラつかせないで下さい。
 割と怖いですから……言わないけど。

「刀子先生も着物を着れば良いのに、って?」

「言ってませんよっ!?」

「……どうせ、私には似合いませんよ」

 しかも拗ねた!?
 えー……ちょ、瀬流彦先生口笛吹いてないで、フォローして下さいよ。

「前々回のお見合いの時、着物だったらしいよ」

 小声でそんな重要情報を今言わないで下さい。
 アレか、着物は地雷ですか?
 まさかここでこんな情報……要らないと言うのに。
 どーやって誤魔化したものか、と頭を悩ませていたら

「先生」

「……ん?」

 そう声を掛けられた。

「どうした、絡繰?」

 振り返ると、着物姿の絡繰。
 以前――そう茶道部の時とはまた違った着物姿。まぁ当たり前だが。
 この前見た時も綺麗だったが、

「やっぱり良く似合うなぁ、絡繰」

 髪を纏めて上げ、舞妓、っていうんだろうか?
 白地に淡い青――空色に白色の花弁の模様の入った着物姿。
 足には草鞋とはまた違う、底の高い履物をしているので身長も俺に近い。
 と言うか、ほぼ俺と変わらない。

「ありがとうございます」

 そう言って一礼。
 そして去っていくその背を、目で追う。
 ……何?
 俺、絡繰に何かしたかな?
 いつもなら、もう少し会話が続くんだが……。
 そういえば、朝も何か様子が違ったな。
 怒ってるとか、避けられてる訳じゃないみたいなんだが……。

「どうかしたのかい、先生?」

「え、あ。いえ」

 流石に、生徒の事で相談するのは……最終手段だよなぁ。
 ま、もう少し様子を見るか。
 ちなみに、この時代劇の着物の着替え――1万以上するらしい。
 これ、クラス全員だろ?
 ……凄いな、雪広。
 しかし、こう、着物の女の子達に囲まれるのってかなり恥ずかしい。
 シネマ村の中は移動して良いらしいし、このままなんだろうなぁ。
 どうせみんな集まってるし、別行動しよう。

「はー……着飾ると、中々どうして」

 生徒相手にイカンイカンと首を振り、頭を覚ます為にシネマ村を見て回る事にする。

「時代劇の場所なのに、ヒーローショーとかもあるのか」

 しかも、展示場にも、仮面ライダーとか飾ってあるし。
 ……何だかなぁ、と苦笑してしまう。
 色々あるんだなぁ……お化け屋敷もあるのか。
 もうここまで来ると純日本製の遊園地だな。

「ふむ」

 とりあえず、目に付いた印籠焼きと言うのを一つ買ってみる。
 おお、

「タイ焼きに似てるな」

 風情の無い事を言ってしまったなぁ、と後悔。
 でも結構美味いな。安いし。
 このまま、少し食べ歩きでもするかなぁ、と。
 ちらほら見るクラスの子らを気にしながら、シネマ村を見て回る事にする。

「今日は楽出来そうだなぁ」

 この調子なら、帰りもある程度固まって帰ってくれるだろうし。
 そう少し油断したら、欠伸が出た。
 うぅ、眠い。
 こりゃ、座って目を閉じたら寝れるな。
 そう他人事のように考えながら、歩く。
 ふぁ――今日も良い天気で平和なもんだ。








――――――チャチャゼロさんとオコジョ――――――

「兄貴、姐さん、このままなにも無いまま関西の総本山についちゃいますぜ」

「何も無いなら、その方が良いだろうが」

 そりゃそーだけど。
 今までの事を考えると、どーにもしっくりこねぇ。

「それより少しは景色を楽しめ。中々悪くない」

「……私はお前のように豪胆にはなれそうにない」

「それは勿体無いな」

「エヴァンジェリンさん……」

 兄貴も神経すり減らしてるってのに、流石姐さん。

「ケケケ、ドウセ来ルッテ判ッテルンダ、モット胸張ッテレバ良インダヨ」

「そう言うものでしょうか?」

 ああ、兄貴が青い顔して……このままじゃプレッシャーに潰されちまうぜ。

「でもよ、この道どこまで続いてるんだ?」

「そりゃ、敵までだろうよ」

 へ?
 そう思った瞬間、空からドデカイ蜘蛛が落ちてきた。
 な、なにぃ!?

「ほら、来たぞ」

「なんや――最初からバレてたんかい」

「当たり前だ、小娘。そっちこそ今度はマトモに戦える数を揃えたんだろうな?」

 うお!?
 姐さん、怖っ!?
 最初から殺るき満々ですかっ。

「ふん――舐めた口もここまでや。ガキ四人でこの先に行ける思うなや」

 その蜘蛛の背から降りてきたのは――あっちも四人。

「月詠――っ」

「先輩、今日は最後まで一緒に踊りましょー」

「へぇ、アレが英雄の息子ってやつかいな」

「イキノ良イノバッカリミタイダナぁ」

「さて、この数でどこまでやれるか……」

「訂正。一人ハ死人ダナ」

 ……あれ? オレっちって戦えたっけ?

 ……あれ、オレっち

 ……あれ?




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