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No.25786の一覧
[0] 普通の先生が頑張ります (更新再開…かな?[ソーイ](2011/06/08 19:02)
[1] 普通の先生が頑張ります 0話[ソーイ](2011/04/10 19:06)
[2] 普通の先生が頑張ります 1話[ソーイ](2011/04/10 16:49)
[3] 普通の先生が頑張ります 2話[ソーイ](2011/04/08 22:17)
[4] 普通の先生が頑張ります 3話[ソーイ](2011/04/08 22:52)
[5] 普通の先生が頑張ります 4話[ソーイ](2011/04/08 23:22)
[6] 普通の先生が頑張ります 5話[ソーイ](2011/04/08 23:43)
[7] 普通の先生が頑張ります 6話[ソーイ](2011/04/09 10:03)
[8] 普通の先生が頑張ります 7話[ソーイ](2011/04/09 10:16)
[9] 普通の先生が頑張ります 8話[ソーイ](2011/04/09 10:36)
[10] 普通の先生が頑張ります 9話[ソーイ](2011/04/09 13:58)
[11] 普通の先生が頑張ります 10話[ソーイ](2011/04/09 14:38)
[12] 普通の先生が頑張ります 11話[ソーイ](2011/04/09 15:24)
[13] 普通の先生が頑張ります 12話[ソーイ](2011/04/09 18:20)
[14] 普通の先生が頑張ります 13話[ソーイ](2011/04/09 22:23)
[15] 普通の先生が頑張ります 14話[ソーイ](2011/04/09 23:12)
[16] 普通の先生が頑張ります 15話[ソーイ](2011/04/09 23:47)
[17] 普通の先生が頑張ります 16話[ソーイ](2011/04/10 16:45)
[18] 普通の先生が頑張ります 17話[ソーイ](2011/04/10 19:05)
[19] 普通の先生が頑張ります 18話[ソーイ](2011/04/11 21:15)
[20] 普通の先生が頑張ります 19話[ソーイ](2011/04/11 21:53)
[21] 普通の先生が頑張ります 20話[ソーイ](2011/02/27 23:23)
[22] 普通の先生が頑張ります 21話[ソーイ](2011/02/27 23:21)
[23] 普通の先生が頑張ります 22話[ソーイ](2011/02/27 23:19)
[24] 普通の先生が頑張ります 23話[ソーイ](2011/02/27 23:18)
[25] 普通の先生が頑張ります 24話[ソーイ](2011/02/26 22:34)
[26] 普通の先生が頑張ります 25話[ソーイ](2011/02/27 23:14)
[27] 普通の先生が頑張ります 26話[ソーイ](2011/02/28 23:34)
[28] 普通の先生が頑張ります 27話[ソーイ](2011/03/01 23:20)
[29] 普通の先生が頑張ります 28話[ソーイ](2011/03/02 22:39)
[30] 普通の先生が頑張ります 29話[ソーイ](2011/03/04 22:42)
[31] 普通の先生が頑張ります 30話[ソーイ](2011/03/08 00:19)
[32] 普通の先生が頑張ります 31話[ソーイ](2011/03/07 23:33)
[33] 普通の先生が頑張ります 32話[ソーイ](2011/03/10 00:37)
[34] 普通の先生が頑張ります 33話[ソーイ](2011/03/09 23:47)
[35] 普通の先生が頑張ります 34話[ソーイ](2011/03/10 23:15)
[36] 普通の先生が頑張ります 35話[ソーイ](2011/03/13 23:11)
[37] 普通の先生が頑張ります 36話[ソーイ](2011/03/14 22:47)
[38] 普通の先生が頑張ります 37話[ソーイ](2011/03/15 23:56)
[39] 普通の先生が頑張ります 38話[ソーイ](2011/03/16 23:15)
[40] 普通の先生が頑張ります 39話[ソーイ](2011/03/17 23:03)
[41] 普通の先生が頑張ります 40話[ソーイ](2011/03/18 22:46)
[42] 普通の先生が頑張ります 41話[ソーイ](2011/03/19 23:49)
[43] 普通の先生が頑張ります 42話[ソーイ](2011/03/20 23:12)
[44] 普通の先生が頑張ります 43話[ソーイ](2011/03/21 22:44)
[45] 普通の先生が頑張ります 間幕[ソーイ](2011/03/23 07:49)
[46] 普通の先生が頑張ります 44話[ソーイ](2011/03/23 23:24)
[47] 普通の先生が頑張ります 45話[ソーイ](2011/03/25 23:20)
[48] 普通の先生が頑張ります 46話[ソーイ](2011/03/26 23:23)
[49] 普通の先生が頑張ります 47話[ソーイ](2011/03/28 00:29)
[50] 普通の先生が頑張ります 48話[ソーイ](2011/03/28 23:24)
[51] 普通の先生が頑張ります 49話[ソーイ](2011/03/30 00:25)
[52] 普通の先生が頑張ります 50話[ソーイ](2011/03/31 00:03)
[53] 普通の先生が頑張ります 閑話[ソーイ](2011/04/01 00:36)
[54] 普通の先生が頑張ります 51話[ソーイ](2011/04/01 23:50)
[55] 普通の先生が頑張ります 52話[ソーイ](2011/04/03 00:22)
[56] 普通の先生が頑張ります 53話[ソーイ](2011/04/04 23:45)
[57] 普通の先生が頑張ります 54話[ソーイ](2011/04/05 23:24)
[58] 普通の先生が頑張ります 55話[ソーイ](2011/04/06 22:31)
[59] 普通の先生が頑張ります 56話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:46)
[60] 普通の先生が頑張ります 57話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:47)
[61] 普通の先生が頑張ります 58話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:47)
[62] 普通の先生が頑張ります 59話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:47)
[63] 普通の先生が頑張ります 60話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:47)
[64] 普通の先生が頑張ります 61話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:48)
[65] 普通の先生が頑張ります 62話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:48)
[70] 普通の先生が頑張ります 56話(修正版[ソーイ](2011/04/28 23:46)
[71] 普通の先生が頑張ります 57話(修正版[ソーイ](2011/04/28 23:27)
[72] 普通の先生が頑張ります 58話(修正版[ソーイ](2011/04/30 22:52)
[73] 普通の先生が頑張ります 59話(修正版[ソーイ](2011/05/18 23:24)
[74] 普通の先生が頑張ります 短編 【茶々丸】 [ソーイ](2011/05/23 23:47)
[75] 普通の先生が頑張ります 短編 【エヴァンジェリン】 [ソーイ](2011/05/23 23:42)
[76] 普通の先生が頑張ります 短編 【エヴァンジェリン】 2[ソーイ](2011/05/25 23:21)
[77] 普通の先生が頑張ります 短編 【月詠】 [ソーイ](2011/06/08 23:06)
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[25786] 普通の先生が頑張ります 20話
Name: ソーイ◆9368f55d ID:052e1609 前を表示する / 次を表示する
Date: 2011/02/27 23:23
 ふはぁ。
 バスから降りて、最初に出たのは溜息のような呼吸だった。
 疲れたような、そうじゃないような。
 そんな事を考えながら3-Aを乗せてきたバスから、続いてネギ先生が下りてくる。

「わー、ここが清水寺ですかっ」

「ええ。さて、と……」

 まずは点呼取って、班ごとに分けて、と。
 やる事は決まってるんだが、なにぶん初めてなのでどうにも要領良く出来ない。
 クラスの子たちも早く移動しようとして、こっちの話半分しか聞いてないみたいだし。
 思い出すのはバスに乗る時の事。
 席の場所と言うだけでも他のクラスより揉めたものだ・
 ……新田先生達は本当に凄いと思う。
 皆ちゃんと言う事聞いてたし。

「それじゃ、班ごとに点呼取って、先生に教えてくれ」

 バスから降りた少女達にそう言い、修学旅行のしおりを開く。
 一応内容は大まかに覚えているけど、もう一度確認。
 このまま夕方までここか。
 そして、次は旅館、と。
 ……ここを乗り切れば、今日は大丈夫……かな?
 ――こいつらが旅館で大人しくしててくれると良いんだけど。
 苦笑し、各班長からの報告を受ける。

「夕方の4時まで自由時間です。ちゃんと節度をもった行動をするようにお願いしますっ」

「判りましたっ」

 相変わらず、雪広は元気が良いなぁ。
 律義に手まで上げてアピールしてるが、その姿は何時もの優等生然としたものじゃない。
 ……ま、修学旅行だし。少しくらい羽目をはずすのも、アリなのかな。

「見回りの先生達もいるし、目を付けられたら旅館で大変だからな?」

 はーい、と言う元気な声。
 まったく……新幹線の中と言い、元気なもんだ。

「それでは、今から自由時間です。皆さん楽しんで下さいね」

「それではネギ先生っ、一緒に回りませんかっ!」

「……雪広?」

「あ」

 またか、お前は。
 頭痛を感じ、目頭を指で押さえる。
 他のクラスの皆も苦笑している。

「またいいんちょはぁ」

「あやかったら」

「那波、長谷川、よろしく頼むな」

「ええっ!?」

 ネギ先生を後ろに隠し、同じ班の那波と長谷川に雪広を任せる。
 俺たち教師もある程度自由に動けるが、流石に同じ生徒につきっきりと言う訳にもいかないしな。
 でも、雪広のその行動で皆が和んだしそう悪くは思えないよなぁ。

「何かあったら、ちゃんとネギ先生の携帯に連絡するようにな?」

「わかったアル」

「それじゃ」

 そう元気良くバスの周りから移動する少女たちの背を見送る。
 はぁ。

「疲れてるようだね」

「あ、はは」

 そう声を掛けてきたのは、普段通りと思える新田先生だった。
 元気と言うより、慣れかな?
 俺もこうありたいもんだ。

「皆元気で」

「そうみたいで」

 苦笑されてしまった。
 ちなみに、ネギ先生は気付いたら居ない。
 多分誰かに連れていかれたんだろう。
 大丈夫かなぁ、とも思うが折角の修学旅行だ――ネギ先生も楽しんでくれると良いな。

「折角の修学旅行なんですから、楽しんだら良いのに」

「いやー、どうにも」

 葛葉先生も。
 心配されてるなぁ……恥ずかしい。
 どのくらいまで注意して良いのか、測りかねている。
 注意し過ぎても楽しくないだろうし、でも注意しないと悪乗りするし。
 伸びを一つして、息を深く吐く。

「始まったばかりですから、もっと余裕を持った方が良いですよ?」

「教師が先生一人ってわけでもないんですから」

 そう言われてしまった。
 あー……なんか、今日はこの二人の先輩に迷惑しか掛けてないような気がする。

「はい、頑張ります」

「よろしい。それでは、見回りを頑張って下さい」

 現金なものだな、と。
 不安、ではある。
 だけど、こうやって葛葉先生に一つの指示を出してもらうと、少し楽になる。
 まずは見回りを頑張るか。

「はっはっは、若いって良いですなぁ」

「いやー、若いって言うほどでも……」

「ほぅ」

 あ。
 ちなみに、俺は25で、葛葉先生は――。







「京都ぉーっ」

「ここがあの有名な」

 元気だなぁ、本当に。
 清水の舞台――清水寺の本堂でそう叫んでいるのは鳴滝姉妹。
 それを遠目に眺めている少女達の一団に混じる。

「うは、凄い眺めだなぁ」

「高いです」

 だなぁ、と。
 気付いたら隣に綾瀬とザジが居た。

「………………」

「いや、何だ?」

 流石に、ここでもジェスチャーとは。
 ええっと……。
 本堂の方指して、何? 踊るの?

「……ここで踊る?」

 首が縦に振られる。

「いや、踊ったら他の人に迷惑だからな?」

 横に振られた。
 なんだ、ザジが踊るんじゃないのか。
 ええっと……。

「ここで誰か踊るのか?」

 頷く。
 と言う事は、だ。

「ここで、昔の人は踊ってた?」

「正解……」

 おお、喋った。
 いや喋れる事は知ってるけど、ちょっとした感動だな。

「……凄いです」

 どうやら、綾瀬は正解出来なかったらしい。

「……そう?」

 いや、判りにくいから、ザジ。
 でも自分でも凄いと思う。
 まさか正解とは。

「ちなみに、本来は本尊の観音様に能や踊りを楽しんでもらうための装置です」

「……綾瀬も凄いな」

 褒めたら嬉しそうだった。
 ふぅん、こんな表情も出来るんだな。俺もちょっと嬉しい。

「有名な「清水から飛び降りる気持ちで――」というのは、生存率は85%らしいです」

「確率良いんだな、以外と」

「…………」

 隣でザジも頷いている。
 案外大丈夫なもんなんだな……下を見たら、足がすくみそうなくらい高いんだけど。
 怖っ。

「ちなみに、この舞台は139本のケヤキの木で造られているぞ」

「……博識だな、3人とも」

 そう綾瀬の後ろから現れたのはマクダウェル。
 その後ろには、絡繰。
 中学生の歴史ってそんな事まで勉強したっけ?

「綾瀬さんとマスターは日本の歴史が得意ですので」

「あー、うん」

 それは判ってるけど、それにしても詳し過ぎだろう。

「うわ、マニアだよ、マニア」

「誰がだっ!」

「……不本意です」

 それは言い過ぎだろ、明石。
 反論する二人に苦笑し、もう一度景色に視線を向ける。
 はぁ、綺麗なもんだ。
 綺麗なモノを見ると、人って溜息出るのかもなぁ。

「いやぁ、高いなぁ」

「そうか?」

 いや、高いだろ。
 隣で神楽坂が青い顔してるんだけど。

「怖いなら端に来なけりゃ良いのに」

「うぅ……いや、ここから飛び降りる気持ちでってのを経験しとこうかと」

「ああ、そう」

 教師としては勧められない事なんだろうけど、この姿見てるとなぁ。
 高畑先生、どうするんだろ?
 こうなる前に断っといた方が……って、そこは俺じゃどうしようもない事か。

「まったく。ほら、こっちに来い」

「あ、ごめん」

 そう言って手を引いていくマクダウェル。
 ふぅん。

「先生、楽しそうです」

「おー」

 いや、やっぱりいいコンビだな、あの二人。

「あ、先生」

 っと。

「どうした朝倉?」

「シャッター押してもらって良い?」

 ああ。

「良いぞー」

 えっと、朝倉と早乙女と佐々木に大河内か。

「茶々丸さんも一緒にどう?」

「いえ、私は」

「写ったらどうだ? 折角の旅行なんだ」

 記念になるぞ、と。
 そして一瞬悩み

「判りました」

「おー、それじゃ並んでくれ」

 清水の舞台の端に立ち、真ん中に佐々木が来るように5人が並ぶ。
 しかし、こうやって並ぶと大河内と絡繰は本当に背が高いな。
 俺とあんまり変わらないからなぁ。

「それじゃ、いくぞー」

 カメラ越しに5人を見ながら、そう言う。
 うむ

「絡繰ー、大河内ー、笑えー」

「……こうでしょうか?」

 いや、全然表情変わらないぞー、と。
 大河内は……まぁ、笑顔が若干引き攣ってるが、良いか。
 これはこれで面白いし。

「……やはり、私には難しいです」

「まぁ、雰囲気は楽しそうだから良いんじゃない?」

「さ、バシッといっちゃって先生っ」

「お願いします」

 はい、チーズ、と。
 お決まりの事を言ってシャッターを切る。
 うん。
 デジカメなので、さっき撮った写真を確認する。
 素人ながら、それなりに綺麗に取れたもんだ。

「ありがと、先生」

「おー。また何かあったら言ってくれ」

「はーい」

 そう言って駆けていく四人を目で追い、

「絡繰は行かないのか?」

「はい。マスターも明日菜さんと行かれましたので」

「ん? クラスの皆と遊べばいいじゃないか」

 いえ、と。
 その視線は少し遠く――ああ。

「大丈夫だと思うか?」

「……先生はどう思われますか?」

 俺?
 遠く――やはりどこかぎこちなく話す近衛と桜咲を見ながら、考える。
 遠目でもそう見えるのだから、本人達もそう感じてるんだろうな、と。

「大丈夫だと、信じたいな」

「なら、大丈夫だと思います」

「そうか?」

「はい」

 そうかな、と。
 そうだといいな、と。
 やっぱり、友達同士仲良いほうがいいよな。

「先生は、ご友人の方は?」

「みんな余所に出ちゃったからなぁ……もうずいぶん会って無いなぁ」

 中学、高校、大学……近くに居る友達もいるけど、忙しくて全然会ってない。
 それもあるのかもな、あの二人を仲直りさせたいのは。
 友達って言うのは、やっぱり凄く大事だと思うから。

「絡繰も、友達は大事にしろよ?」

 喧嘩なんてするもんじゃないぞ、と。

「はい、判りました」

 それじゃ、次は何処を見回るかなぁ。







 見慣れた制服が集まっているのを見つけ、近寄って見る。
 ええっと……縁結びの神、恋占いの石?
 そんなのもあるんだ。

「……大丈夫なのか?」

「いたいよー」

「も、もう一歩でしたのにっ」

 まぁ、大丈夫そうだな。

「落とし穴が掘ってあったです」

「……また、地味なイタズラだな」

 しかし、誰にも気付かれずにとは……才能の無駄遣いというか。
 どうしてうちのクラスに迷惑かけるかなぁ。

「ほら、雪広、佐々木、掴まれ」

 両手を差し出し、片手ずつで二人を支える。

「ありがとー、先生」

「申し訳ありませんですわ」

「怪我はないか?」

 まぁ、見た感じ浅いし、痛がってもいないから大丈夫そうだけど。

「はい。大丈夫ですわ」

「目を瞑ってたから、避けきれなかったー」

 大丈夫そうだな。
 ふむ。

「埋めた方が良いのかな?」

「……埋める分の土は何処から?」

 あ。

「怒られないと良いけど」

「それは大丈夫だろ。掘ったのこっちじゃないし」

 とは龍宮。

「しかし、地味だね」

「まぁ、清水寺に何か思う所でもあるんだろうな」

「……そうなると、恋占いに何か思う所があるのかもな」

 そうか。そう言う考え方もあるか。

「何を騒いでるんですか?」

「葛葉先生」

 どう説明したものか……まぁ、恋占いしようとしたら落とし穴が掘ってあったんだけど。
 こんな馬鹿な事をする人が居るとはなぁ。しかも京都のお寺に。
 暖かい季節だし、そう言う人が多いんだろうな。

「恋占いの石の前に落とし穴が掘ってあったらしいんですよ」

「……はい?」

 まぁ、普通はそういう反応ですよね。
 俺も雪広と佐々木が落ちてる所見て無かったら、そう言う反応すると思うし。
 あっちです、と指差すとまだ埋められてない穴が一つ。
 一応他にはないか、と生徒達が周囲を踏んで回ってるが、アレ一つだけらしい。

「……本当ですね」

「でしょう?」

 どうしましょうか? と。
 二人で頭を抱えるが、どうしようもない。
 何せ埋めるための土が無いのだから。

「先生、恋占いをしたいのですが。早急に」

「雪広、危ないからやめとけ……」

 落ちて怪我したらどうするんだ、まったく。

「ですがっ、折角の恋占いですのにっ」

「……は、はぁ」

 そう言えば、この年頃ってそう言うの好きだよなぁ。
 占いなんて当たるも八卦、当たらぬも八卦だと思うのは、俺が男だからかな。

「そんなに大事か? 怪我するぞ?」

「折角ネギ先生との恋が成就すると言いますのにっ」

「よし、次行くぞー」

 ぱんぱんと手を叩いて、集まっていた生徒達を散らす。
 3-A以外にも居た生徒達も、事情を察してくれて他の所に行ってくれる。
 残ったのは、俺と葛葉先生と雪広と龍宮。

「……酷い」

「教師が、先生との交際を認める訳にもいかんだろ」

「正論だね」

「正論ですね」

 肩を落として落ち込む雪広。
 まぁ、すまん。
 葛葉先生が居なかったら、あと落とし穴が無かったら別に止めないんだが。

「ま、そう落ち込まない」

 ぽん、と龍宮がその肩を叩く。
 楽しそうだなぁ。

「ちゃんと、あやかの仇はとってやるから」

「……ありがとうございます」

 いや、犯人判らないけどな。







 ふと土産屋の方に視線を向けると、近衛と桜咲の後ろ姿が見えた。
 ……はぁ。

「2人とも、元気か?」

「あ、先生」

「……お疲れ様です、先生」

 お節介だとマクダウェルにまた言われるかな、と。
 小さく苦笑し二人に話しかける。

「あっちこっちで色々変な事が起きてるよーですね」

「そうなのか?」

「はい。恋占いの石に落とし穴、音羽の滝にお酒が混ざってたり、色々です」

 なんだそりゃ?
 っていうか、酒?

「お酒は、ネギ先生が先に気付いて……犠牲者はネギ先生だけのようですが」

「……酒飲んだのか」

「はい。源先生が付き添いでバスの方に」

 後で様子見に行くかぁ。
 しかし、何で今日に限ってこんな変なイタズラが……。

「大丈夫ですか、先生?」

「おー。2人は何も無かったか?」

「カエルに襲われましたけど、せっちゃんが追い払ってくれましたえ」

 またカエルか。
 頭が痛くなり、目頭を指で押さえる。
 今日は厄日だなぁ。

「それより、何見てたんだ?」

「お土産ですえ。でも、初日やから何買おうかな、って」

「なるほどなぁ」

 しかし、どうして京都の土産屋には木刀が売ってあるんだろう?
 俺が学生の時も見たような気がする。
 一本手に取り見てみるが、やっぱり意味が判らない。

「先生、剣に興味が?」

「いや、何で京都の土産屋って木刀があるのかな、って」

「古いイメージがありますから。その名残でしょうね」

 なるほどなぁ。

「先生、木刀買いはるんです?」

「いや、流石にもうそんな年じゃないしな」

 苦笑し、元あった場所に戻す。
 さてと。

「お土産決まったか?」

「どれにしましょうか?」

「先生、どれがええです?」

 俺か?
 そうだなぁ。

「八つ橋とかは在り来たりだしなぁ……誰に買うんだ?」

「お爺ちゃんとか、ハワイに行った友達とか」

 ふぅん。

「お嬢様、これなんかはどうでしょうか?」

 と差し出したのは綺麗に塗られた茶器だった。
 ……いや、ちょっと待て。
 少し視線をずらし、その値段を見る。
 ――――高いよ。

「うわぁ、せっちゃんそれはちょっと」

「そうですか?」

「値段がなぁ」

 だよなぁ。
 中学生に買える値段じゃないと思う。具体的に言うと四桁。
 修学旅行の買い物じゃないな。
 そして3人で店内を見て回り

「お守りなんかどうだ?」

 京都らしいし、と。
 しかも、かなりの種類がある。

「なるほど」

「先生、ええ案ですね」

 そうか?
 ぱっと目に付いたのは、良縁のお守り、というもの。
 結婚、親友に、と。
 一個千円は……どうかな?
 学生には結構な値段だなぁ。
 他にはないかなぁ、と。
 なんか、こうやって探してると楽しくなってくるな。

「あ、これ良い」

 ん?

「星座のお守りか」

 ……星座って西洋の見方じゃなかったっけ?
 まぁ、今そう言うのは無粋かなぁ。

「せっちゃん、これどうえ?」

「良いと思います、お嬢様」

 その言葉に気を良くしたのか、お守りを二つ手に取る。
 ああ。

「お、お嬢様……」

「せっちゃん山羊座やったよね?」

「……覚えて、下さったんですか?」

「当たり前や。友達やもん」

 ……あ、俺邪魔だな。
 あーまったく、嬉しいならそう言えば良いのに、と思ってしまう俺はこの場には居ない方が良いんだろうなぁ。
 苦笑して、その場を後にしようとし……ふと、お守りの一つに目が行った。
 ふむ。


――――――エヴァンジェリン

 はぁ。

「大丈夫か、ぼーや」

「はいー」

 まぁ、一般人を巻き込まなかったのは褒めてやるか。
 しかし、音羽の滝に酒とは――無粋な。
 折角の修学旅行が台無しだ。
 新幹線の件もある……どうしてやろうか。

「まったく、子供のいたずらねぇ」

 誰がしたのかしら、とはぼーやの看病をしている源しずな。
 まったくだな。

「ある意味、子供以下だ」

「は、あはは」

 もう一度、溜息。

「気持ち悪くないか?」

「だいじょぶですー」

 呂律も回ってるし、意識もしっかりしてる。
 慣れない酒に気分を悪くしてるだけか。

「エヴァンジェリンさん、ネギ先生は私が見てるから、見学に戻って良いわよ?」

「ああ。そうさせてもらうよ」

 あの酒に魔術的な効果は無いようだしな。
 一応様子を見に来たが、大丈夫のようだ。
 ……本当に、関西の連中は何がしたいんだ?
 バスから降り、首を傾げる。
 油断を誘ってるんだろうか?

「ま、葛葉刀子にも後で見せておくか」

 東洋呪術は私も専門じゃないしな、何かあるかもしれん。
 それに、今は昼だ。
 私の時間じゃない。
 後は何処を見るかな……時間も、もうあまりないし。

「あ、マクダウェル」

 っと。

「なんだ、先生じゃないか」

「ネギ先生は中?」

「ああ。なんだ、聞いたのか?」

「おー。なんか、音羽の滝に酒が混ざってたって聞いたんだが」

 その表情は、どこか信じられない、と言ったよう。
 まぁ、確かに信じられないだろうな。お寺の水に酒を混ぜるなんて。
 正直正気を疑うな。

「本当なのか」

「本当だ」

 この調子だと、本当に一般人関係無しかもな……どうしたものか。
 ここまで過激派だとは。こっちも手段を選べんかもなぁ。

「あ、そうだ」

 そうそう、と。

「どうした、先生?」

「ほら、お守り」

 と、一つの鈴を渡された。
 お守り?

「開運のお守りだって」

「ソレを、どうして私に?」

 そのお守りを眼前に翳し、チリン、と鳴らす。
 ふぅん。

「良い趣味じゃないか」

「そりゃ良かった」

 もう一度、鳴らす。
 ……ふぅん。

「なーんか、折角の修学旅行の幸先が悪いからなぁ」

「そうだな」

 さっさとゴタゴタを終わらせてしまわないと、観光もマトモにできはしない。
 はぁ。

「修学旅行、楽しみにしてたみたいだしな」

 開運って言うくらいだし、そのお守りで良い事あればいいな、と。
 そう言ってバスに乗る。
 その背を、ただぼんやりと、何となく目で追い……。

「――ふぅん」

 チリン、ともう一度、鈴を鳴らした。
 随求桜鈴。
 桜の花びらを模した装飾のなされた鈴。
 開運のお守り。
 ……なかなか良い趣味じゃないか、先生。
 チリン。
 チリン。
 ――チリン。

「あ、エヴァ」

 ん?

「なんだ、神楽坂明日菜?」

「いや、何眺めてるの?」

「なんでもない」

 その鈴を落とさないように仕舞い、歩き出す。

「ほら、さっさと他の所を見て回るぞ」

 時間も無いしな。

「あれ?」

「……なんだ?」

 私はまだ満足してないんだ、早く回るぞ、と。

「一緒に回って良いの?」

「駄目と言っても付いてくるだろうが……」

 はぁ、と溜息を吐き再度歩き出す。
 今度はちゃんと付いて来るので、そのまま歩き

「なんか機嫌良いね」

「そうか?」

 私は何時も通りだと思うがな。





――――――今日のオコジョ――――――

 あれ? 姉御? 皆?
 ――って、ネギの兄貴も寝てるし。
 皆オレっちを置いて行くなんてひどいぜ……。
 ……寂しいなぁ。

「あら、可愛い子ね」

 わーい。


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