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No.25786の一覧
[0] 普通の先生が頑張ります (更新再開…かな?[ソーイ](2011/06/08 19:02)
[1] 普通の先生が頑張ります 0話[ソーイ](2011/04/10 19:06)
[2] 普通の先生が頑張ります 1話[ソーイ](2011/04/10 16:49)
[3] 普通の先生が頑張ります 2話[ソーイ](2011/04/08 22:17)
[4] 普通の先生が頑張ります 3話[ソーイ](2011/04/08 22:52)
[5] 普通の先生が頑張ります 4話[ソーイ](2011/04/08 23:22)
[6] 普通の先生が頑張ります 5話[ソーイ](2011/04/08 23:43)
[7] 普通の先生が頑張ります 6話[ソーイ](2011/04/09 10:03)
[8] 普通の先生が頑張ります 7話[ソーイ](2011/04/09 10:16)
[9] 普通の先生が頑張ります 8話[ソーイ](2011/04/09 10:36)
[10] 普通の先生が頑張ります 9話[ソーイ](2011/04/09 13:58)
[11] 普通の先生が頑張ります 10話[ソーイ](2011/04/09 14:38)
[12] 普通の先生が頑張ります 11話[ソーイ](2011/04/09 15:24)
[13] 普通の先生が頑張ります 12話[ソーイ](2011/04/09 18:20)
[14] 普通の先生が頑張ります 13話[ソーイ](2011/04/09 22:23)
[15] 普通の先生が頑張ります 14話[ソーイ](2011/04/09 23:12)
[16] 普通の先生が頑張ります 15話[ソーイ](2011/04/09 23:47)
[17] 普通の先生が頑張ります 16話[ソーイ](2011/04/10 16:45)
[18] 普通の先生が頑張ります 17話[ソーイ](2011/04/10 19:05)
[19] 普通の先生が頑張ります 18話[ソーイ](2011/04/11 21:15)
[20] 普通の先生が頑張ります 19話[ソーイ](2011/04/11 21:53)
[21] 普通の先生が頑張ります 20話[ソーイ](2011/02/27 23:23)
[22] 普通の先生が頑張ります 21話[ソーイ](2011/02/27 23:21)
[23] 普通の先生が頑張ります 22話[ソーイ](2011/02/27 23:19)
[24] 普通の先生が頑張ります 23話[ソーイ](2011/02/27 23:18)
[25] 普通の先生が頑張ります 24話[ソーイ](2011/02/26 22:34)
[26] 普通の先生が頑張ります 25話[ソーイ](2011/02/27 23:14)
[27] 普通の先生が頑張ります 26話[ソーイ](2011/02/28 23:34)
[28] 普通の先生が頑張ります 27話[ソーイ](2011/03/01 23:20)
[29] 普通の先生が頑張ります 28話[ソーイ](2011/03/02 22:39)
[30] 普通の先生が頑張ります 29話[ソーイ](2011/03/04 22:42)
[31] 普通の先生が頑張ります 30話[ソーイ](2011/03/08 00:19)
[32] 普通の先生が頑張ります 31話[ソーイ](2011/03/07 23:33)
[33] 普通の先生が頑張ります 32話[ソーイ](2011/03/10 00:37)
[34] 普通の先生が頑張ります 33話[ソーイ](2011/03/09 23:47)
[35] 普通の先生が頑張ります 34話[ソーイ](2011/03/10 23:15)
[36] 普通の先生が頑張ります 35話[ソーイ](2011/03/13 23:11)
[37] 普通の先生が頑張ります 36話[ソーイ](2011/03/14 22:47)
[38] 普通の先生が頑張ります 37話[ソーイ](2011/03/15 23:56)
[39] 普通の先生が頑張ります 38話[ソーイ](2011/03/16 23:15)
[40] 普通の先生が頑張ります 39話[ソーイ](2011/03/17 23:03)
[41] 普通の先生が頑張ります 40話[ソーイ](2011/03/18 22:46)
[42] 普通の先生が頑張ります 41話[ソーイ](2011/03/19 23:49)
[43] 普通の先生が頑張ります 42話[ソーイ](2011/03/20 23:12)
[44] 普通の先生が頑張ります 43話[ソーイ](2011/03/21 22:44)
[45] 普通の先生が頑張ります 間幕[ソーイ](2011/03/23 07:49)
[46] 普通の先生が頑張ります 44話[ソーイ](2011/03/23 23:24)
[47] 普通の先生が頑張ります 45話[ソーイ](2011/03/25 23:20)
[48] 普通の先生が頑張ります 46話[ソーイ](2011/03/26 23:23)
[49] 普通の先生が頑張ります 47話[ソーイ](2011/03/28 00:29)
[50] 普通の先生が頑張ります 48話[ソーイ](2011/03/28 23:24)
[51] 普通の先生が頑張ります 49話[ソーイ](2011/03/30 00:25)
[52] 普通の先生が頑張ります 50話[ソーイ](2011/03/31 00:03)
[53] 普通の先生が頑張ります 閑話[ソーイ](2011/04/01 00:36)
[54] 普通の先生が頑張ります 51話[ソーイ](2011/04/01 23:50)
[55] 普通の先生が頑張ります 52話[ソーイ](2011/04/03 00:22)
[56] 普通の先生が頑張ります 53話[ソーイ](2011/04/04 23:45)
[57] 普通の先生が頑張ります 54話[ソーイ](2011/04/05 23:24)
[58] 普通の先生が頑張ります 55話[ソーイ](2011/04/06 22:31)
[59] 普通の先生が頑張ります 56話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:46)
[60] 普通の先生が頑張ります 57話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:47)
[61] 普通の先生が頑張ります 58話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:47)
[62] 普通の先生が頑張ります 59話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:47)
[63] 普通の先生が頑張ります 60話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:47)
[64] 普通の先生が頑張ります 61話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:48)
[65] 普通の先生が頑張ります 62話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:48)
[70] 普通の先生が頑張ります 56話(修正版[ソーイ](2011/04/28 23:46)
[71] 普通の先生が頑張ります 57話(修正版[ソーイ](2011/04/28 23:27)
[72] 普通の先生が頑張ります 58話(修正版[ソーイ](2011/04/30 22:52)
[73] 普通の先生が頑張ります 59話(修正版[ソーイ](2011/05/18 23:24)
[74] 普通の先生が頑張ります 短編 【茶々丸】 [ソーイ](2011/05/23 23:47)
[75] 普通の先生が頑張ります 短編 【エヴァンジェリン】 [ソーイ](2011/05/23 23:42)
[76] 普通の先生が頑張ります 短編 【エヴァンジェリン】 2[ソーイ](2011/05/25 23:21)
[77] 普通の先生が頑張ります 短編 【月詠】 [ソーイ](2011/06/08 23:06)
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[25786] 普通の先生が頑張ります 1話
Name: ソーイ◆9368f55d ID:052e1609 前を表示する / 次を表示する
Date: 2011/04/10 16:49
「先生、どうぞ」

 そう言って見るからに高価と判るテーブルに置かれた紅茶から、良い香りが漂う。
 ……良い茶葉を使ってるんだろうなぁ。判らないけど。
 とりあえず、差し出されたので、一口啜る。
 確か、音をたてないのがマナーだったか?
 紅茶はあまり飲まないので、その辺りは全く判らない。
 俺はコーヒー派なのだ。

「マクダウェルは?」

「マスターの起床はあと13分後です」

 何その細かい数字。
 いつも、決まった時間に起こしてるんだろうか?
 細かいなぁ。

「まぁ、学校に間に合えばいいか」

「はい。昨日は起きられませんでしたが、本日は先生が居られますので、大丈夫かと」

 起きなかったって……遅刻とか仮病以前に、学校に行く気が無かったか。

「だと良いけどなぁ」

 あと、その物凄く畏まった言い方止めないか? と。
 そう言っても、やんわりと断られた。
 ……マスターとか言ってるし、根っからの従者体質?
  先祖からマクダウェル家に仕えてるとか?
 んなアホな。
 自分のボケに心の中でツッコミ、紅茶をもう一啜り。

「絡繰は、朝食はいいのか?」

「はい。私は特に、朝食は必要としていません」

「……朝から食べないで、大丈夫か?」

「問題ありません」

 そうかぁ?
 まぁ、こんな所が男と女の違いなのかもなぁ。
 あんまり強く言ってもアレだし、この話はここで終わりにする事にする。
 話題も、続かないし。

「絡繰、お前紅茶入れるの上手いな」

「ありがとうございます。調理・飲料のデータは一通り揃えてあります」

「……一通り出来るって事か?」

「はい」

 言い回しが独特すぎて、俺は早速挫けそうだ。
 うーん、ちゃんと上手くいくかなぁ。
 そう思いながら、紅茶をもう一啜り。あ。

「お注ぎします」

「すまん」

 はぁ。
 空になっていたカップに、絡繰が再度紅茶を注いでくれる。
 良い香りが、鼻孔を擽る。
 ……うーむ。
 紅茶も結構良いかもなぁ。

「絡繰」

「はい」

「座らないか?」

 そう声を掛ける。
 ずっと立ってるのである、後ろに。
 この場合控えてる、って言った方が良いのか?
 まぁ、どっちにしろ……非常に、気まずい。

「いえ、もうすぐマスターの起床時間ですので、起こしに行ってきます」

 そ、そうか……。
 マクダウェルって、金持ちの家の娘?
 そんなの聞いてないんだが……家、デカイしなぁ。
 それに、絡繰みたいなメイドさんが居るし。
 だからあんなにワガママなのか、と言うのは言い過ぎか。
 可愛らしい人形と、高価な家具で飾られた客間を見やる。
 明らかに、金かかってるよなぁ。
 飾られてる人形だって、一体どれくらいするんだろう?

「おい、茶々丸」

 そんな事を考えてたら、2階からそんな声が聞こえた。
 その声の方を見上げると、長い金色の髪を掻き上げる少女が居た。
 マクダウェルだ。

「どうして、家に、先生が居るんだ?」

 そんな一言一言を区切りながら言うな。
 ちょっと怖いから。

「マスターの出席日数の事で、お話があるそうです」

「こんな朝からか?」

「最近、欠席が目立ったからでは?」

「……ふん」

 そう言いながら、2階から降りてくる。

「何だ、今日は大丈夫だったみたいだな」

「ん? ああ、そろそろ出席日数もギリギリだろうからな」

 ……何だ。判ってたのか。
 それだと、俺の心配って結構意味無かったんだろうか?
 まぁ、ここで油断すると危ないから、今はそう考えないでおこう。

「判ってたのか」

「ふん、スケジュールとも言えんが、その辺りは茶々丸に管理させている。
進級できないと困るのは、私も一緒でね」

 どうしてそんなに偉そうなんだ、お前は?
 そこまで俺は気にしないけどさ、他の先生達にあんまり良い顔されないだろうに。

「それなら、そんなギリギリの生活をしないで、ちゃんと出てこいよ」

「―――断る」

「断るなよ」

 そう即答され、小さく溜息。
 ソファに腰を下ろした少女の前にも、いつの間に淹れたのか、紅茶が一杯。

「なんか、学校であったのか?」

「……はっ」

 鼻で笑われた。
 そして、用意されていた暖かな紅茶を一口啜る。

「先生に言っても判らんさ」

 そんな、当たり前みたいに言わなくてもさぁ。
 やっぱ、イジメ、とか……?

「先生は知らなくて良い事だよ」

 そして一言、そう突き放された。
 うぅむ。

「そうかぁ」

 と言う事は、精神的な問題、って事になるのかな?
 酷く挫けそうなので、その言葉から目を逸らし、別の理由で考えてみる。
 イジメ、ではないのだろうと思う。
 そう言う事なら、もっとこう……荒れる、と思うし。
 それに、ウチのクラスの子達が、とも考えられない。
 他のクラスの子達もだ。
 だったら、他に理由があるのか――




「あの子にも少し、事情があってね」




 ふと、その言葉を思い出した。
 それを聞いたのは、何日前だったか。
 ――って、不登校の言葉を真に受けすぎるのも変か。
 
「んじゃ、学校に行くか」

「……本当に、私を連れに来ただけなのか」

 出来れば、不登校の原因とか聞きたかったんだけどなぁ。
 そっちはおいおい頑張るか――本音は、この調子で毎日来てくれると嬉しいんだけど。
 はいはい、そんな呆れた顔をしないでくれ。
 自分でだってやり過ぎだって判ってるから。

「しょうがない、先生だからなぁ」

「ふん」

 そして、呆れ顔から、どこか人を小馬鹿にしたような――そんな、笑み。

「私達のクラスの副担とは、同情するよ、先生」

「同情するなら、ちゃんと登校してくれ」

 本当に。
 それが一番嬉しいから。

「“登校”はしているさ。茶々丸、荷物を用意しろ」

 マクダウェルの後ろに控えていた絡繰が、静かに一礼して二階に登っていく。
 それを目で追いながら、

「登校だけじゃなく、きちんと授業も受けてくれよ」

「そこまでの義理も無かろう?」

「それは、国語と古文の成績もちゃんと取れるようになってから言ってくれ」

 この2教科だけなら、あの5人に近いからなぁ。
 他のは、英語は学年トップクラスなのになぁ、と。
 そこまで言って、マクダウェルの笑顔が、小さく、でも確実に――固まる。
 はっはっは、これでも一応、君らの副担なんでね。
 笑顔が怖いぞぉ、マクダウェル。
 正直、お前本当に中学生かー?

「そこまで言ってくれたのは、私が麻帆良に来て、先生が二人目だよ」

 あ、そうなんだ?
 一人目は?

「タカミチさ」

 ふぅん。

「ちゃんと、高畑先生って言おうな?」

「……ふん」

 はぁ。
 これは本当に、先が長そうだ。



――――エヴァンジェリン

 朝と言うのは、憂鬱だ。
 それは私が、吸血鬼だからか。
 それとも……あのムカツク様に輝く太陽が気に食わないからか。
 きっとその両方だろう。
 朝は苦手だ。本当に。

「ほら、急ぐぞマクダウェル」

「まだHRには時間があるだろう、先生」

 それに今朝は、いつもに輪を掛けて憂鬱だ。
 まさか、先生が私を連れに来るとは……。
 流石にサボり過ぎたか。
 そう内心で溜息を吐く。
 最低限進級できるだけの出席日数で行けば“呪い”も大丈夫だと思ったんだが、変なのに目をつけられてしまった。
 はぁ。
 ただでさえ面倒だと言うのに。

「先生はHRの前に、教師のHRがあるんだよ」

「……だったら私なんか放っておけよ」

「そういう訳にはいかんだろ」

 まったく、と。
 その男は、困ったように、でも確かに笑って、そう言った。
 別に置いていけばいいじゃないか。
 人間と言うのは、そう言う生き方しか出来ないものだ。
 口ではどう言おうが、だ。

「何が可笑しい?」

「ん? ああ、いや」

 急ぐと言った割には、ゆっくりと、私の歩幅に合わせながら歩く。
 何と言うか、のんびりした奴だな。
 それが、私のこの先生への第一印象だった。

「今日はクラスの全員が揃うなぁ、と」

「何だそれは?」

 変なことで喜ぶ奴だな。
 そんなの……まぁ、私が登校しなければ全員は揃わないのか。
 しかし、そんな事が嬉しいか?
 別に、そんなのは誰も気にしないと思うんだがなぁ。

「マスターが出席なさらなければ、クラス全員が揃う事はありません」

「そんな事判っとるわ!」

 一々言わなくて良い、と言うと、

「おいおい、絡繰にあたるなよ」

「朝は機嫌が悪いんでね」

 茶々丸も、もう生まれて1年以上だが、機微と言うか、そう言うのが足りん。
 葉加瀬が言うには、そう言うのも含めて“成長”するらしいが。
 機械が成長、と言うのもおかしな話だと思う。
 まぁ、それが人間の夢、と葉加瀬は言うが。
 ……チャチャゼロのように魔法仕掛け、と言う訳でもないしな。
 コイツがどこまで“成長”することやら。

「おぉ、怖い怖い」

「ふん。本気で怖がっていない者の恐怖ほど、私をイラつかせるモノは無い」

「なんだそりゃ?」

 ふん――恐怖の代名詞であるバケモノが、今はこのザマか。
 内心で溜息。
 ……まったく。
 本当に、面倒な呪いだ。
 
「絡繰は学校の成績良いよなぁ」

 不意に、先を歩く先生がそう言った。
 なんだいきなり?
 それがあまりに突拍子も無くて、首を傾げてしまう。

「そうですね。一通りの知識は葉加瀬によって与えられています」

「んあ?」

 馬鹿か、コイツは。
 一般人にそう言っても、伝わらんだろうに。
 ……やはり、こう言う所は本当に学習しないな。

「葉加瀬と仲良いのか?」

「――はい。いつもお世話になっています」

「へぇ」

 その言い回しを、どうやら葉加瀬と茶々丸が仲が良いと解釈したらしい。
 ふぅん、なかなか頭は回るようじゃないか。
 ほとんどの教師は、茶々丸の言い回しに混乱してあまり話をしなくなるんだが。

「マクダウェルに国語と古文教えてやってくれないか?」

「ぶっ」

 なん、だと?

「どうしてこの私がっ、よりによって茶々丸に!?」

「だって、お前絡繰と仲良いだろ?」

「クラス内では、マスターの会話した回数は私が一番です」

「だろ?」

「要らん事を言うな、茶々丸!」

 まったく――。

「ふん、期末も近いからな、どうせテストの点稼ぎが目的か」

「……いやぁ、あ、あはは」

「教師だろう? ちゃんと教えれば問題無いんだ」

「うっ」

 まぁ、ウチのクラスは特別なんだろうがな。
 神楽坂明日菜を筆頭としたバカレンジャーが居るから。
 あまりクラスと関わらない私ですら、その存在を知っているような馬鹿達を思い浮かべる。

「それで、どうして私なんだ? 問題なのは、5人だろ?」

「お前、自覚なかったのか?」

「……なに?」

 はぁ、と呆れたように溜息を一つ。
 ――殴り倒してやろうか、コイツ。

「マスターの成績は、バカレンジャーの次席という位置です」

「――――なに?」

「ありがとう絡繰。言い難い事をスッパリと」

「いえ」

 おい、何だって?
 後なんでお前ら判り合ってます、って雰囲気してる。

「そこまで悪くないはずだぞ?」

「お前は自分のテストの成績も把握しとらんのか」

 んな!?
 こ、の、私に向かってっ!?

「神楽坂達は雪広……は仲がアレだが、那波やら近衛に聞いて最近成績上げてきてるからな」

「ふん。それで?」

「言わなきゃならんか?」

「先生だろ?」

 ハッキリ言え、ハッキリと。
 そう先を促す。

「……お前は平行線だ」

「英語は完璧だ」

「他は並み。国語と古文は致命的だろうが」

 そう言って、溜息。
 おい、なんだその顔は!?

「判らない所、聞き辛いだろ?」

「……ふん」

 だから茶々丸か。
 まったく、私に成績なんか関係無いんだがな。
 どうせ後一年で忘れられる訳だしな。
 ……慣れたとはいえ、どうにも複雑な気分だ。本当に。
 はぁ。

「どうでも良い」

「そう言ってくれるなよ」

「ふん」

 この私が、茶々丸に聞けるか。
 まったく。
 今日は、厄日だ。
 今までこんな事は無かったというのに――。

「―――――」

「どうした?」

 そう言えば、今まで無かったな、と。
 今までは誰でも煙たがり、注意しても話を聞かない私から距離をとったんだがなぁ。
 そう考えると、どうにもこの先生は、その辺りは他の教師とは違うんだろう。

「いや」

 それに、私には関わらないように、じじいかタカミチの方から話が行くなり、魔法制約が掛かるなりする筈なんだが。
 どう言う事だ?
 ただのお人好しが過ぎるのか、それともまた違う要因があるのか。
 ……この先生が、他の一般人以上に他人に関わる、というのは何となく理解できるが。
 何せこの私に進んで関わってくるわけだからな。

「先生」

「ん?」

 ――魔法、と聞こうとして止めた。
 この私が記憶を弄るのも、面倒臭い。
 後でじじいに文句の一つでも言ってやるか。

「HRは大丈夫なのか?」

「あー……」

 ふん、その顔でよく判ったよ。

「さっさと行った方が良いんじゃないか、先生?」

「う、む」

 私は、殊更ゆっくりと足を進める。
 さっさと置いて行け。目障りな“人間”――。
 今までの誰もがそうだったように。

「……先に行かれないのですか、先生?」

「ああ、いい。今日は寝坊した事にする」

 十数秒たって、それでも先生は私のちょっと先に居た。
 歩幅はそのままで。

「置いていかないぞ」

「――そうか」

 はぁ。
 とんだ馬鹿に目を付けられたもんだ。

「だって、お前ここからUターンしそうだし」

「先生が私をどう見ているか、よぅっく判ったよ」




――――

「おはよう、皆」

「「「おはよー、せんせー」」」

 おー、良い返事だなぁ。
 さっきまで葛葉先生に絞られてた傷心に染み入るぞー。

「ちょっと時間押してるから、さっそく点呼取るなー」

 こうやって、今日も一日が始まる。
 ちなみに、今日は宮崎が軽い風邪で欠席だった。
 ……本当、全員出席させるのって難しい。







「んで、ここがこーなる訳だが、っと」

 さっき教えていた公式の応用式を黒板に1つ書き

「神楽坂、解いてみてくれ」

「は、はい!?」

 なんでそんな驚いた声出すかなぁ。

「か、ぐ、ら、ざ、か?」

「は、はいっ」

 本当に聞いていたのか?
 応用だから、聞いていたら答えれる問題なんだが。

「ええっと」

「まずは、自力で解いてみろ」

 黒板に向かう神楽坂にそう言い、クラスの皆に向き直る。

「皆も解いてみてくれ。それと、マクダウェルと春日は次当てるからな、ちゃんと理解しろよー」

「なんだと!?」

「はい」

 春日は良い返事だなぁ。
 うん。

「ほら、喋ってないでさっさと解けよー」

 そこまで言うと、次は神楽坂と一緒に黒板に向く。

「神楽坂、ここは、だ」

 っと。
 その手からチョークを取り、数字を丸で囲んでいく。

「こことここを割って」

 話して公式を覚えさせきれないなら、今度は見て覚えさせてみる。
 ついでに、見せて、自分で解かせてみる。
 これで、少なくとも一回は“自分で解いた”事になる。
 自分で解いたという事は、それだけ脳に残るらしい。
 なら、こうすれば覚えやすいのでは――と思うが。

「できた!」

「ああ、正解だ」

 おめでとう、と。

「やれば出来るんだから、ちゃんと復習を忘れるなよ?」

「は、はぁい」

 まぁ、新聞配達のバイトとかもあるしなぁ。
 ……先生としては、バイトより学業に精を出して欲しいのが本音なんだが、そうも言えないか。
 身体を壊さないように、気を付けてほしいものだ。

「頑張れよー」

「は、はは」

 さて、と。

「これが正解だ。ちゃんと合ってたか?」

 クラスを見渡し、書き直しているのは数人。
 その動きが止まるのを待ち、問題を消す。
 次は、二問。

「春日、マクダウェル。次解いてみろ」

 しばらくは、このやり方で行ってみるか。
 ……数学なんて、ちょっと悪い言い方をすれば公式を応用できるかどうかだからな。
 公式を覚えないと話にならないし。







「はぁ」

「どうしたんですか、源先生?」

 溜息なんて珍しい。
 昼休み、昼食を取ろうと喫煙所に行くと、源先生が湯呑み片手に溜息を吐いていた。
 どうしたんだろう?

「いえ、今朝は寝坊してお弁当が」

 あ、なるほど。
 そういえば、弁当持ってませんね。

「外に食べに出ます?」

「それも、給料日前ですし」

 まぁ、外食なんて高いですしねぇ。
 新田先生は、相変わらずコンビニ弁当2個。
 ちなみに俺も。

「カップ麺で良かったら、食べます?」

「良いんですか?」

「どうぞどうぞ。たまには美味いですよ、こー言うのも」

 ちなみに、俺はほぼ毎日食べてるんでほぼ飽きてます。
 カップ麺業者、及び弁当業者。
 早く新商品を出してくれ。
 俺と新田先生は、切に願ってるぞー。

「あれ? 今日は源先生、お弁当は?」

「弐集院先生。今日はちょっと寝坊しまして」

 と言って現れたのは、変わらず愛妻弁当持参の弐集院先生――と、コンビニ弁当の葛葉先生。
 ちなみに、料理が出来ない訳ではないらしい。
 赴任当初は弁当だったらしいが、最近は、ちょっと、楽に……してるらしい。うん。
 その辺りは教員の暗黙の了解と言うやつだ。
 ちなみに、身をもって知りました。はい。

「さ、てと。午後の授業の準備しますかねぇ」

「ははは、それじゃ先生、頑張って下さい」

 うへ、睨まれてるよ。
 怖い怖い。絶対朝の事、この後また言われるからな。
 葛葉先生、真面目だけど、真面目すぎて苦手です。
 他の先生たちはそれが良いって言ってるけど、俺はどっちかと言ったら優しい人が良いです。
 そう思いながら、さっさと弁当片付けて、職員室を後にするのだった。まる。
 弐集院先生、新田先生、笑いすぎです。







 次の日。
 今日も昨日に続きマクダウェル宅へ。
 実は教員寮からだと、行ったり来たりで結構な距離を歩くことになったりする。
 まぁ、良い運動だと思っておこう。実際、最近運動不足だったし。
 今日は2-Aは数学無かったし、明日は1日空くから抜き打ちで小テストも良いかもなぁ。
 そんな事を考えながら歩いていたら、一軒のログハウスが見えてきた。

「おー、おはよう、絡繰ー」

 その軒先で昨日と同じように掃除していた絡繰に声を掛ける。

「おはようございます、先生」

「おー」

 ふぅ、疲れた……運動不足だな、完全に。
 今度から、休みは少し歩くかなぁ。
 これじゃ、授業の前に体力が無くなってしまいそうだ。
 そこまで、運動不足だとは思ってなかっただけに、マクダウェル宅への訪問は、結構な運動になっている。
 お陰で昨夜は、良く眠れたもんだ。

「マクダウェルは?」

「……起こしてまいります」

 あれ?
 今日は後何分とかはないのか。

「いいのか?」

「はい、今日は起こすなと言われていませんので」

「そ、そうか」

 そう言うもんなのかな……昨日より30分くらい早いんだが。
 そう言って家に戻る絡繰を目で追いながら、大きく深呼吸。
 はぁ、落ち着いた。
 さって

「先生、お茶を淹れますので中でお待ち下さい」

「おう、すまないなぁ」

 そんなやり取りをして十数分、2階から降りてきたマクダウェルが一言。

「何故居る?」

「いや、これ以上お前に休まれると出席日数免除の追試受けてもらわないといけないし」

「そういう意味じゃ無くてだなっ」

 朝から機嫌悪いなぁ。
 二階から降りてきたマクダウェルは、昨日より機嫌が悪かった。
 多分、俺が一日で諦めるとか思ったのかもしれない。

「あのくそじじいっ」

「先生、女の子がその言葉遣いはどうかと思うぞー」

 うるさいっ、と少女の怒声を聞きながら、今日も1日が始まる。
 というか、そのお爺さんって誰だ?
 そう聞いたら、怒られた。
 ……うーむ。



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