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No.25786の一覧
[0] 普通の先生が頑張ります (更新再開…かな?[ソーイ](2011/06/08 19:02)
[1] 普通の先生が頑張ります 0話[ソーイ](2011/04/10 19:06)
[2] 普通の先生が頑張ります 1話[ソーイ](2011/04/10 16:49)
[3] 普通の先生が頑張ります 2話[ソーイ](2011/04/08 22:17)
[4] 普通の先生が頑張ります 3話[ソーイ](2011/04/08 22:52)
[5] 普通の先生が頑張ります 4話[ソーイ](2011/04/08 23:22)
[6] 普通の先生が頑張ります 5話[ソーイ](2011/04/08 23:43)
[7] 普通の先生が頑張ります 6話[ソーイ](2011/04/09 10:03)
[8] 普通の先生が頑張ります 7話[ソーイ](2011/04/09 10:16)
[9] 普通の先生が頑張ります 8話[ソーイ](2011/04/09 10:36)
[10] 普通の先生が頑張ります 9話[ソーイ](2011/04/09 13:58)
[11] 普通の先生が頑張ります 10話[ソーイ](2011/04/09 14:38)
[12] 普通の先生が頑張ります 11話[ソーイ](2011/04/09 15:24)
[13] 普通の先生が頑張ります 12話[ソーイ](2011/04/09 18:20)
[14] 普通の先生が頑張ります 13話[ソーイ](2011/04/09 22:23)
[15] 普通の先生が頑張ります 14話[ソーイ](2011/04/09 23:12)
[16] 普通の先生が頑張ります 15話[ソーイ](2011/04/09 23:47)
[17] 普通の先生が頑張ります 16話[ソーイ](2011/04/10 16:45)
[18] 普通の先生が頑張ります 17話[ソーイ](2011/04/10 19:05)
[19] 普通の先生が頑張ります 18話[ソーイ](2011/04/11 21:15)
[20] 普通の先生が頑張ります 19話[ソーイ](2011/04/11 21:53)
[21] 普通の先生が頑張ります 20話[ソーイ](2011/02/27 23:23)
[22] 普通の先生が頑張ります 21話[ソーイ](2011/02/27 23:21)
[23] 普通の先生が頑張ります 22話[ソーイ](2011/02/27 23:19)
[24] 普通の先生が頑張ります 23話[ソーイ](2011/02/27 23:18)
[25] 普通の先生が頑張ります 24話[ソーイ](2011/02/26 22:34)
[26] 普通の先生が頑張ります 25話[ソーイ](2011/02/27 23:14)
[27] 普通の先生が頑張ります 26話[ソーイ](2011/02/28 23:34)
[28] 普通の先生が頑張ります 27話[ソーイ](2011/03/01 23:20)
[29] 普通の先生が頑張ります 28話[ソーイ](2011/03/02 22:39)
[30] 普通の先生が頑張ります 29話[ソーイ](2011/03/04 22:42)
[31] 普通の先生が頑張ります 30話[ソーイ](2011/03/08 00:19)
[32] 普通の先生が頑張ります 31話[ソーイ](2011/03/07 23:33)
[33] 普通の先生が頑張ります 32話[ソーイ](2011/03/10 00:37)
[34] 普通の先生が頑張ります 33話[ソーイ](2011/03/09 23:47)
[35] 普通の先生が頑張ります 34話[ソーイ](2011/03/10 23:15)
[36] 普通の先生が頑張ります 35話[ソーイ](2011/03/13 23:11)
[37] 普通の先生が頑張ります 36話[ソーイ](2011/03/14 22:47)
[38] 普通の先生が頑張ります 37話[ソーイ](2011/03/15 23:56)
[39] 普通の先生が頑張ります 38話[ソーイ](2011/03/16 23:15)
[40] 普通の先生が頑張ります 39話[ソーイ](2011/03/17 23:03)
[41] 普通の先生が頑張ります 40話[ソーイ](2011/03/18 22:46)
[42] 普通の先生が頑張ります 41話[ソーイ](2011/03/19 23:49)
[43] 普通の先生が頑張ります 42話[ソーイ](2011/03/20 23:12)
[44] 普通の先生が頑張ります 43話[ソーイ](2011/03/21 22:44)
[45] 普通の先生が頑張ります 間幕[ソーイ](2011/03/23 07:49)
[46] 普通の先生が頑張ります 44話[ソーイ](2011/03/23 23:24)
[47] 普通の先生が頑張ります 45話[ソーイ](2011/03/25 23:20)
[48] 普通の先生が頑張ります 46話[ソーイ](2011/03/26 23:23)
[49] 普通の先生が頑張ります 47話[ソーイ](2011/03/28 00:29)
[50] 普通の先生が頑張ります 48話[ソーイ](2011/03/28 23:24)
[51] 普通の先生が頑張ります 49話[ソーイ](2011/03/30 00:25)
[52] 普通の先生が頑張ります 50話[ソーイ](2011/03/31 00:03)
[53] 普通の先生が頑張ります 閑話[ソーイ](2011/04/01 00:36)
[54] 普通の先生が頑張ります 51話[ソーイ](2011/04/01 23:50)
[55] 普通の先生が頑張ります 52話[ソーイ](2011/04/03 00:22)
[56] 普通の先生が頑張ります 53話[ソーイ](2011/04/04 23:45)
[57] 普通の先生が頑張ります 54話[ソーイ](2011/04/05 23:24)
[58] 普通の先生が頑張ります 55話[ソーイ](2011/04/06 22:31)
[59] 普通の先生が頑張ります 56話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:46)
[60] 普通の先生が頑張ります 57話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:47)
[61] 普通の先生が頑張ります 58話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:47)
[62] 普通の先生が頑張ります 59話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:47)
[63] 普通の先生が頑張ります 60話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:47)
[64] 普通の先生が頑張ります 61話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:48)
[65] 普通の先生が頑張ります 62話(修正前[ソーイ](2011/04/27 22:48)
[70] 普通の先生が頑張ります 56話(修正版[ソーイ](2011/04/28 23:46)
[71] 普通の先生が頑張ります 57話(修正版[ソーイ](2011/04/28 23:27)
[72] 普通の先生が頑張ります 58話(修正版[ソーイ](2011/04/30 22:52)
[73] 普通の先生が頑張ります 59話(修正版[ソーイ](2011/05/18 23:24)
[74] 普通の先生が頑張ります 短編 【茶々丸】 [ソーイ](2011/05/23 23:47)
[75] 普通の先生が頑張ります 短編 【エヴァンジェリン】 [ソーイ](2011/05/23 23:42)
[76] 普通の先生が頑張ります 短編 【エヴァンジェリン】 2[ソーイ](2011/05/25 23:21)
[77] 普通の先生が頑張ります 短編 【月詠】 [ソーイ](2011/06/08 23:06)
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[25786] 普通の先生が頑張ります 10話
Name: ソーイ◆9368f55d ID:052e1609 前を表示する / 次を表示する
Date: 2011/04/09 14:38

「先生、何してはるんですか?」

 春休み。
 実家に帰る事もなく、麻帆良の中をのんびりと散歩していたら声を掛けられた。
 ……着物姿の近衛に。

「おー……近衛か?」

 着物姿の女の子なんて成人式以来なので、少し自信は無かったが。
 この独特の話し方は、間違いないだろう。

「ややわー、うち以外に誰に見えます?」

「いやー、着物姿なんて初めて見たからなぁ」

 どうしたんだ? と聞くと曖昧に笑われた。

「良く似合ってるなぁ」

「おおきにー」

 そう言ってクルリと一回転。
 うん。いつもの近衛だ。

「神楽坂は?」

「明日菜は今日は他の皆と遊んどるえ」

「そうか。今日はなんか用事でもあるのか?」

「うん。今からちょっと学校の方に」

 学校?

「春休みで閉まってるぞ?」

「大丈夫。おじーちゃんからの用事やから」

 お爺さんって……。

「学園長?」

「そやー……もう、朝から憂鬱やわぁ」

「憂鬱って」

 その顔が、目に見えて曇る。
 まったく――まぁ、この年代だと用事って嫌がるよな。
 俺も身内からの用事とか結構嫌ってたし。
 せっかく綺麗な着物なのに、勿体無い。

「時間があるなら、なんか飲むか?」

 ジュースくらいなら奢ってやるぞ、と言うと笑われた。

「着物姿の女の子にジュースは無いですよ」

「はは――」

 確かに、そうかもなぁ。
 だとすると、どう誘えば良いのか――。

「この先に、あんみつの美味いお店があるんですけど、どうですか?」

 なるほどなぁ。

「うーむ、そう誘えば良かったのか」

「そうですえ。で、どうです?」

 どうやら、逆に誘われてしまったらしい。
 まぁ、時間はあるから良いんだが。

「でも、先生と一緒に居たら折角の休日が勿体無いぞ?」

「奢ってもらうから大丈夫です」

 あー、そう。
 そう言う事ね。
 結構ちゃっかりしてるのな、近衛。
 でもまぁ、その笑顔が見れたから良い……かなぁ?
 そう苦笑してしまう。

「お昼まで時間ありますから、ええでしょ?」

「判った判った」

 ま、良いか。
 そんな綺麗な着物を着て、暗い顔をされるよりは、マシだろう。
 うん。







「先生、良く散歩とかされてはるんですか?」

「んー……まぁ、時間がある時はなぁ」

 大体は、部屋で本の虫だぞ、と言うと笑われた。
 うん。折角の着物姿なんだ、笑ってないとな。
 しかし。

「良く入るなぁ」

「甘いものは別腹ですえ」

 ……ダイエットとかとは無縁なんだろうなぁ、この食べっぷりだと。
 そんな失礼な事を考えながら、頼んでいた抹茶アイスを食べる。

「そんなに食べて、昼は入るのか?」

「お昼は――今日はそう食べまへんから」

「そうか」

 まぁ、近衛がそう言うんなら別に良いが。

「三食ちゃんと食べろよ? 体に悪いからな?」

「判ってますえ」

 ま、三食コンビニにお世話になってる俺が言うのも変だがなぁ、と。
 また小さく笑われ、アイスを口に含む。

「着物姿は初めて見たけど、学園長の用事って結構あるのか?」

「へ?」

「いや、初めてってわけじゃないみたいだし」

 憂鬱だって言ってたし、用事の内容も知ってるって事だろう。

「ま。あんみつ奢ってやったんだから、学園長の言う事、ちゃんと聞くんだぞ?」

「……むー。先生はおじーちゃんの味方ですか?」

「おー。綺麗な着物着て憂鬱な顔じゃ学園長も困るだろ」

 学園長が関わってるなら、俺が出る幕もないだろうしなぁ。
 出来る事ってこれくらいしかないのが、一教師の辛い所か。

「先生は酷い人ですなぁ」

「う……そんなに嫌なのか?」

 まさか、あんみつ奢ってまで酷い人言われるとは思わなかった。
 学園長……一体何させようとしてるんですか?

「あ、店員さん。あんみつおかわりお願いしますー」

「まだ食うのか」

「別腹ですえ」

 ……よっぽど、その用事が嫌なんだろうか?

「ねぇ、せんせー」

「んー?」

 うーむ。まぁ、昼まで付き合うか。
 と腹を括ったら、

「おじーちゃん、お見合いが趣味なんですよ」

「そ、そうか」

 という爆弾を投げられた。
 そんなの、身内じゃない俺にどう答えろと?
 ……しかし、まだ中学生なのにお見合いって。
 副担してるから忘れがちだが、やっぱり近衛って学園長のお孫さんだから、こういうのってあるんだな。
 流石に、これはなぁ……。

「お昼から、お見合い用の写真を撮る事になってるんです」

 どう答えて良いか判らずに黙ってしまうと、余計に気まずくなってしまう。
 けど、こういうのはそう簡単にも答えられるものでもないだろう……いくら近衛が中学生でも、だ。

「いっつも無理やりなんですよー」

 そう言った所で、追加で注文したあんみつがくる。
 助かった……と言えるのか。
 しかし、お見合いかぁ。
 それはなぁ。経験無いし。
 どう答えたものかなぁ、と。

「先生。良い断り方知りません?」

「あー、そう言う事な」

 良かった。
 見合い相手の相談とかだったらどうしようかと思ったぞ。
 ……でも、断り方ねぇ。
 それはそれで問題だな。
 ドラマとかだと、好きな人が攫いに来たり、とかするんだろうけど。

「近衛は、好きな人とかは……」

「おりませんよぅ」

「だよなぁ」

 女子校だしなぁ。
 まぁ、だからこそ学園長がお見合いなんて勧めてるんだろうが。

「相手はうちの倍の歳の人とかも居るんですよ?」

「そ、それは、ちょっと考えるな……」

 倍かぁ……流石にそれはなぁ。
 しかし、学園長って、どういう基準で相手選んでるんだろう?
 それとも、そう言う役職だから、向こうから来るんだろうか?
 うーん――断る方法ねぇ。

「誰か気になる人でも居ないのか?」

「それが、男の子の知り合いって……ネギ君くらいやし」

「……あー、そうかぁ」

 この年頃で、しかも女子校生なら、知り合う接点が無いしなぁ。
 だからと言って、ネギ先生を勧めるわけにもいかないし。

「それに、そう言うウソっておじーちゃんすぐ判るんですよ」

「勘が良いんだなぁ」

「そうなんですよ。今日会ったのも何かの縁と言う事で、良い案ありません?」

 だがなぁ。

「そんなにお見合いは嫌なのか?」

「はいっ」

 即答されてしまった。

「ウチ、まだ子供やのに……こういうの早いと思うんですっ」

「……そ、そうだな」

 握り拳作って、力説されてもなぁ。

「そんなに嫌なら、きちんと嫌だと言うしかないんじゃないか?」

「え?」

「嫌な理由をちゃんと話してな。さっき言った、自分にはまだ早い、って」

 まぁ、それでも駄目ならもうお手上げだが。
 流石に、本気で嫌がってる相手にお見合い勧める人じゃないと思うし……学園長も。

「そんなんで止めてくれますやろか?」

「学園長だって、近衛が心配だから、そういう事をするんだと思うし」

 うん。
 やっぱり、孫娘が心配でそういう事をするんだと思う。
 まぁ、俺には孫どころか娘も居ないけど……。
 けど、居たらきっと、心配だと思うし。

「だから、きちんと嫌な理由を説明すれば、ちゃんと判ってくれるって」

「本当にですか?」

「……多分」

 締まらへんなぁ、と言う苦笑い交じりの声が耳に痛い。
 結局、その問題は家庭の問題だからなぁ。
 俺なんかが勝手に口を出すのも――きっと間違いなんだと思う。
 学園長が間違えている訳じゃないと思うから、余計に。

「学園長が近衛の事を気にしてるのは……まぁ、割と聞く話だし。大丈夫だと思うが」

 公私混合だと思わなくもないが、でも自分の孫だし可愛くて仕方が無いんだろう。

「そうやろか……」

「どんな人かも知らない。声も知らない人じゃ、流石に好きにはなれないだろうしな」

「そうですえ。おじーちゃんは、そこん所を判ってくれへん」

「はは、厳しいな」

 そう言って怒る近衛は、きっと本気で怒ってる訳ではないのだろう。
 あんみつを食べながら、そう言って一緒に運ばれてきていたお茶を飲む。

「本当に、真剣に言って――それでも止めないなら。
 きっとそれだけ、近衛の事を心配してるってことだと思うぞ」

「……先生は、ちょっと違うんですね」

 違う? 何が?
 そう聞くと、笑ってあんみつを口に運ぶ。

「先生は、お見合いとかした事あるんですか?」

「無いなぁ」

 というか、結婚とか……まだそういう歳じゃないし。うん。
 いや、別に独身でも構わないし。
 そう言うと、同僚の皆さんからは肩を叩かれるんだが……。
 もうそろそろ、そう言うのを考えるべきなんだろうか?
 ……まぁ、別に結婚できなくったって……困らないだろうし、うん。

「恋人は?」

「居たら、きっと近衛じゃなくてその恋人と一緒にあんみつを食べてるな」

「ひどいですえー」

「はは……近衛も、そういう相手が出来ると良いな」

「はいー。やっぱり、結婚するなら好きな人が良いですわぁ」

 しかし、この歳で結婚という単語が出るとは……やっぱり、学園長の孫ともなると、そうなんだろうか?
 俺でも、その辺りはぼんやりとしか考えていないのに……。
 まぁ、俺は俺で、少し問題なのかもしれないけど。
 結婚、ねぇ。

「近衛は誰とでもすぐ仲良くなれるし、きっとそういう相手もすぐ出来るさ」

「そうでしょうか?」

「おー。ネギ先生とも、次の日には仲良くなってたじゃないか」

「良く覚えてますねぇ」

「先生だからなぁ」

 ちゃんと、生徒の事は見てるんだぞ。
 そう言って笑うと、近衛も笑う。

「そんなら、来年もよろしくお願いしますね」

「おー。まぁ、折角の休みなんだし、学校の事は忘れて……遊べ、って言うのも変か」

「今からお見合い用の写真撮りますからなぁ」

 しかも、あんまり乗り気じゃないしな。

「頑張れ、で良いのか?」

「うーん……まぁ、ええんとちゃいます?」

「そうだな。せっかく綺麗な着物着て写真撮るんだ、頑張って綺麗に写ってこい」

 上手く言いましたなぁ、と言われ、苦笑して立ち上がる。
 それじゃ、勘定しますか。







 近衛と別れ、散歩を再開すると

「何をやってるんだ、絡繰?」

 人ごみから少し外れた場所で、猫に囲まれている絡繰を見つけた。
 しかも、今回は鳥も少し居る……よっぽど動物に好かれるんだな、羨ましい。

「先生。こんにちは」

「おー……また増えてないか?」

「はい。困りました」

 はいはい。
 肩と頭に乗っていた猫を取ってやる。
 鳴くな鳴くな……まったく、懐かれてるなぁ。

「しばらく来ないうちに、よくぞここまで」

「……ありがとうございます」

「ああ」

 しかし、

「エサ代もこれじゃバカにならないんじゃないのか?」

「超包子の方の残り物を少々」

「なら、良いけど」

 最初は2匹だけだったのに……もう両手の指じゃ足らないな、この数は。
 その猫を撫でようと手を伸ばし、逃げられた。
 やっぱり毎日来ないと駄目なんだろうか?
 くそう。
 諦めきれずに再度手を伸ばすが、また逃げられた。

「……どうぞ」

「お」

 差し出されたのは、まだ小さな白い猫。
 おー。

「撫でて大丈夫なのか?」

「はい」

 その白い猫を受け取ると、逃げない。
 逃げないので撫でる。
 はぁ。

「先生、楽しそうです」

「そうか?」

「はい」

 まぁ、楽しいからなぁ。

「そうだ」

「……どうかしましたか?」

「マクダウェルはどうしてる?」

 春休みだからって、また遅くまで起きてるんじゃないだろうな?
 そう聞くと、首肯された。

「昼を摂られてから、おそらくまた寝ておられるかと」

「はぁ……そうか」

 新学期から大丈夫か、アイツ。
 また朝起きれないんじゃないだろうな……。

「絡繰、あんまり朝遅いようならマクダウェルを起こしてくれよ?」

「……どのくらいの時間に起こせばいいでしょうか?」

 そうだなぁ……。

「遅くても、朝の9時くらいには起こしていいと思うけど」

「かしこまりました」

「まぁ、絡繰が起こさないと、って思った時間で起こしてくれ」

「はい」

 あんまり遅くまで寝てると、学校が始まってから起きれないからな、と。
 というか、本当にあいつ朝は弱いのなぁ。

「あいつ、ちゃんと勉強やってるか?」

「判りません。遅くまでは、起きられているようですが」

「……そうか」

 ま、そこはマクダウェルを信用するか。
 ちゃんとしてなかったら……まぁ、また残して皆で勉強会でも。
 その辺りは、ネギ先生と話し合って決めるかぁ。

「先生は――」

「ん?」

 猫を撫でてたら、珍しく、絡繰から話しかけられた。

「先生は、今日は何をなさってたんですか?」

「ん? いや、散歩してた」

 暇だったんでなぁ、というと――その目が、俺に向く。
 何か変な事言ったっけ?

「いつも、忙しそうなイメージがありましたので」

「そうか?」

 結構楽してる方だと思うけどなぁ。

「はい。高畑先生が担任だった時も、今も」

「あ、あー……そんなに忙しそうだったか?」

「はい」

 そーなのかー……そう感じてなかったが、そう見えてたのかな?
 そのまま、一瞬の無言。

「絡繰は、今日は何してたんだ?」

「お掃除と、マスターの食事の準備を」

「休みなのに偉いなぁ」

「いえ――」

 ……そう言えば、俺部屋の掃除しようとして全然してないな。
 うむぅ。

「どかしましたか?」

「いや、そう言えば部屋の掃除をしないとなぁ、と」

「そうですか」

 明日するか……どうして、掃除しようとするとやる気が無くなるんだろう?
 やり始めたら楽しいんだけどなぁ。

「先生、ネギ先生です」

「お……う?」

 何か、物凄い勢いでこっちに走ってきていた。
 元気なもんだなぁ。流石に、走るほどの元気は無いんで羨ましい。

「ネギ先生、どうしたんですか?」

「え!? あ、先生っ」

 …………ん?
 立ち上がって声を掛けると、進行方向がこちらに向く。

「ネギ先生っ!!」

「ひっ!?」

 ……雪広に――ウチのクラスの連中か?
 結構な人数、十人前後くらいか? も一緒にこっちへ走ってきていた。

「はいはい、もう正式に担任なんですからそう人の後ろに隠れないで下さい」

 そう言って、後ろに隠れようとしていたネギ先生の肩を持ち、俺の前に出す。
 さて、どういう事だ?

「おらー、落ち着けお前ら」

 パンパン、と手を叩き、その注意をネギ先生からこっちに向ける。
 そんな、息切れするまで全力で追わなくても。

「それで、どうしたんですか?」

「ネギ先生が人生のパートナーを探していると聞きましたのでっ」

「――なに?」

 人生のパートナー?
 今日はよくお見合いやらパートナーやら出てくるなぁ。
 しっかし、本当に少し落ち着け、雪広。
 結構怖いぞ……。

「ち、ちち違いますよっ」

「……らしいぞ?」

「えー」

「でも、誰だったっけ? ネギ先生が恋人探しに日本に来たって」

 最初は鳴滝姉妹か……なるほど、これで信憑性が低くなった訳だが。
 それに、本人は完全に否定してるし。
 少し落ち着いて冷静になったのか、先頭の雪広の笑顔が、若干引き攣っている。

「まーた、お前達の勘違いか?」

「ぅ」

「雪広……お前もネギ先生の事になると落ち着きが無くなるなぁ」

「す、すみません……」

 まぁ、年相応と言うなら年相応で、そう悪くもないんだが。
 相手がなにせネギ先生……10歳だからなぁ。

「佐々木と宮崎もか?」

「わ、私は面白そうだったから」

「わ、わ、私は……」

「まぁ、春休みだからそう多くはは言わないでおくけど、変な噂に騙されたら痛い目見るからな?」

 気をつけろよー、と釘を刺しておく。
 そうそう変な噂に飛び付く事も……無いと思う。うん。
 偶に注意するようにした方が良いかもしんないな……。
 気を付けとこう。

「もうすぐ学校始まるけど、ちゃんと勉強はしてるんだろうな?」

「「「そ、それじゃー」」」

 それだけで半数以上が散っていった。
 まったく。
 期末テストで最下位脱出したから、気が緩んでるんだろうか?
 ……次のテストで、また再開になる可能性があるって、判ってるのかな?
 はぁ。
 ま、勉強させるのは俺とネギ先生の仕事か。

「それでは、私達もこれで」

「もう3年生なんだ。落ち着いて行動した方が良いぞ? 大人らしくてネギ先生も嬉しいでしょ?」

「そ、そうですね。それ――」

「わ、判りましたっ」

 判り易いなぁ。
 こういうやり方は卑怯かな? とも思うが、以前の雪広に戻ってもらうためだ。
 そのまま残りが大人しく戻っていったのを確認して、

「どうしてこうなったんですか?」

「いえ……お姉ちゃんから手紙が来たんですが」

 手紙?

「良かったですね」

「ありがとうございます」

 やっぱり、日本に一人じゃ心細いだろうしなぁ。
 ご家族の方も心配なんだろうな。

「あ、それでですね。そのなかに、その、まぁ、さっき言ってたような人が見つかったか、って」

 それを木乃香さんが、と。

「近衛もアレで、結構いたずら好きですからねぇ」

「あ、あはは……」

 まぁ、でも

「違う事は違うって、ちゃんと言わないと駄目ですよ? またさっきみたいになりますから」

「は、はい」

「……あの数に追われたら、流石に怖いでしょうけど」

「は、はは……」

 コン、とその低い位置にある頭に軽く握った手を置く。

「さっきも言いましたが、正式な担任になるんですから、もっと堂々と構えましょう」

 高畑先生なんて、どんなに詰め寄られても笑顔でしたよ、と。

「は、はい。今度は気をつけます」

「はい。気を付けて下さい」

 そのまま、握った手をほどき、ポン、と軽く頭を撫で、視線を下へ。
 ……あの騒ぎでも逃げない猫って、凄いなぁ。
 腰を下ろし、相変わらず撫でさせてくれる白ネコをネギ先生に差し出す。

「撫でていきませんか? 落ち着きますよ」

「あ、す、すいません……茶々丸さん?」

「こんにちは、ネギ先生」

「おー、こっちこいー」

 って、他に撫でさせてくれる猫が居ないじゃないか。
 ……。

「飲み物買ってきますけど、なに飲みます?」

「え!? いえ、出しますよっ」

「いいですよ。走って喉乾いてるんじゃないですか?」

「ぅ、それじゃミルクティーで」

「はい。絡繰は?」

「……私も良いのですか?」

 おー、猫撫でさせてくれたからな、と。

「……先生と、同じ物で良いです」

「コーヒーで?」

「はい」

 そうかー。
 さて、自販機はどこかなぁ、っと。







 缶ジュースを買って戻ると……ネギ先生も猫に囲まれていた
 なんでだ?

「また、凄い事になってますね」

「あ、あんまり払い除けられなくて……」

「それで猫に登られた、と」

 絡繰ですか、あなたは。
 でも、それが年相応に見えて、苦笑してしまう。
 ……まだ10歳なんだよなぁ。担任だけど。

「ほら、絡繰」

「……ありがとうございます」

「ネギ先生も」

 ジュースを渡し、空いた手でネギ先生に乗っていた猫を退かしてやる。
 はいはい、ごめんなー。

「うぅ、ありがとうございます」

「いえいえ」

 そのまま3人でのんびりと時間を潰し、絡繰が用事があると言う事で解散。
 うーん、今日は中々に良い一日だなぁ。
 絡繰も、ネギ先生の事はそう悪く見てないみたいだし、何かあったらフォローしてくれるかもな。
 四六時中、俺も見れる訳じゃないからなぁ。

「うーん」

 軽く伸びをし、行きつけのコンビニに足を運ぶ。
 それじゃ、少し早いけど晩飯でも買ってゆっくりするか。
 もうすぐ新学期だ――この調子で上手くいけばいいんだけどなぁ。
 そんな事を考えていたら、ふとマクダウェルの“予言”を思い出してしまった。

「……はぁ」

 苦労、なぁ。
 マクダウェルの予言は何か、当たりそうで怖いんだよな。
 ――ま、別に俺が苦労して皆がちゃんと卒業できるんなら、どうでも良いんだけど。

「さって」

 それじゃ、帰ってゆっくりするか。
 もうすぐ忙しくなるしなぁ。


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