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No.25741の一覧
[0] 人妖都市・海鳴 (リリなの×あやかしびと×東出祐一郎) 弾丸執事編、開始[散々雨](2012/08/03 18:44)
[1] 序章『人妖都市・海鳴』[散々雨](2011/02/16 23:29)
[2] 【人妖編・第一話】『人妖先生と月村という少女(前編)』[散々雨](2011/02/08 11:53)
[3] 【人妖編・第二話】『人妖先生と月村という少女(後編)』[散々雨](2011/02/08 01:21)
[4] 【人妖編・第三話】『月村すずかと高町なのは』[散々雨](2011/02/16 23:22)
[5] 【閑話休題】『名も無き従者‐ネームレス‐』[散々雨](2011/02/20 19:45)
[6] 【人妖編・第四話】『人妖先生と狼な少女(前篇)』[散々雨](2011/02/16 23:27)
[7] 【人妖編・第五話】『人妖先生と狼な少女(中編)』[散々雨](2011/02/20 19:38)
[8] 【人妖編・第六話】『人妖先生と狼な少女(後編)』[散々雨](2011/02/24 00:24)
[9] 【閑話休題】『朽ち果てし神の戦器‐エメス・トラブラム‐』[散々雨](2012/07/03 15:08)
[10] 【人妖編・第七話】『人妖都市・海鳴の休日』[散々雨](2011/03/29 22:08)
[11] 【人妖編・第八話】『少女‐高町なのは‐』[散々雨](2011/03/27 15:23)
[12] 【人妖編・第九話】『人妖‐友達‐』[散々雨](2011/03/29 22:06)
[13] 【人妖編・第十話】『人間‐魔女‐』[散々雨](2011/04/06 00:13)
[14] 【人妖編・第十一話】『人間‐教師‐』[散々雨](2011/04/08 00:12)
[15] 【人妖編・第十二話】『海鳴‐みんな‐』[散々雨](2011/04/14 20:50)
[16] 【人妖編・最終話】『虚空のシズク』[散々雨](2012/07/03 00:16)
[17] 【人妖編・後日談】[散々雨](2011/04/14 21:19)
[18] 【閑話休題】『人狼少女と必殺技』[散々雨](2011/04/29 00:29)
[19] 【人造編・第一話】『川赤子な教師』[散々雨](2011/05/27 17:16)
[20] 【人造編・第二話】『負け犬な魔女』[散々雨](2011/05/27 17:17)
[21] 【人造編・第三話】『複雑な彼女達』[散々雨](2011/05/27 17:17)
[22] 【人造編・第四話】『金色な屍』[散々雨](2011/05/27 17:17)
[23] 【人造編・第五話】『弾無な銃撃手』[散々雨](2012/03/14 03:54)
[24] 【人造編・第六話】『Snow of Summer』[散々雨](2011/06/08 15:56)
[25] 【閑話休題】『マジカルステッキは男性用~第一次魔法中年事件~』[散々雨](2012/03/14 21:29)
[26] 【人造編・第七話】『無意味な不安』[散々雨](2012/03/14 21:33)
[27] 【人造編・第八話】『偽りな歯車』[散々雨](2012/04/05 05:19)
[28] 【人造編・第九話】『当たり前な決意』[散々雨](2012/06/21 20:08)
[29] 【人造編・第十話】『決戦な血戦』[散々雨](2012/07/02 23:55)
[30] 【人造編・最終話】『幸福な怪物』[散々雨](2012/07/02 23:56)
[31] 【人造編・後日談】[散々雨](2012/07/03 00:16)
[32] 【弾丸執事編・序章】『Beginning』[散々雨](2012/08/03 18:43)
[33] 人物設定 [散々雨](2013/06/07 07:38)
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[25741] 【閑話休題】『人狼少女と必殺技』
Name: 散々雨◆ba287995 ID:862230c3 前を表示する / 次を表示する
Date: 2011/04/29 00:29
炎の体育教師、ボソンジャンプよりも早く現地に到着するお兄さんみたいな声をした加藤虎太郎という教師が来て数ヶ月。
家庭訪問という名の襲撃事件、マイナス思考のなんちゃって吸血鬼少女のクラス復帰。
それが引き金となったかのように巻き起こる事件の数々。
孤独な狼少女に友達が出来たり、月村家のメイドの名前が実は反対になってる事に気づかなかったり、二面性がある少女がヤンデレになったり、ネームレスの題名が実はネイムレスだった事に気づいたり、眼鏡教頭が熱血したり、狼少女の戦闘シーンがカットさりたり、白髪隻眼の人外オヤジが大活躍したり、フラグ満載魔女っ子(二百○歳)の悪巧みを予定調和の様に終わらせたりと、なんだかんだで丸く収まった気がするような事件が終わり、数か月。
色々な事があった時間にも一つの区切りがある。
騒がしくもあり、悲しくもあり、それでも微かな希望に繋ぎとめられて紡がれる物語は少しだけ前に進み、季節は梅雨のジメジメとした空気を乗り切り、蝉達のオーケストラの限定講演が始まる。
夏だ。
文句なく、夏だ。
一つの物語に区切りがついて始まる夏は少女達にとって初めて友達と一緒に過ごす夏となる。
思い出が生まれるだろう。
忘れられない夏の記憶が生まれる。
そんな夏。
そして、今日は少女達の夏の本番を告げる終業式。
教頭の長ったらしい話に生活指導の先生の厳しいお言葉。元気よく挨拶しようとしてキバって死んだ校長。校長を回収して何事もなく進行する式。
それが終われば今度は通信簿。
ある者は喜び、ある者は嘆き、ある者は不満だと声を上げて拳骨を喰らい、ある者はお返しとばかりに総合評価最悪の通信簿を昨日の内に製作して虎太郎に渡して、二発目の拳骨を喰らう。
「夏休みだね」
「うん、すっごく楽しみ」
なのはとすずかは通信簿を見せ合いっこしながら明日からの夏休みを想像して笑い合う。その横で二発の拳骨を喰らって撃沈しているアリサ。止せばいいのに決行した勇敢なる馬鹿者の事を普通にスルー(無視ともいう)して勉強を一緒にやろう、海に行こう、夏祭りにいこうと、ワクワクしていた。
「はしゃぐのはいいが、勉強もちゃんとするんだぞ」
一応釘は刺すが、とうせ聞いてはいないだろうなと虎太郎は苦笑するかない。もっとも、虎太郎の家に居候しているなのはは必然的に勉強をちゃんとやる事を強制されているため、問題はないだろう。
問題は、そこでノビている金髪少女だ。
「今の内に言っておくが、バニングスを遊びに誘う際にはちゃんと勉強が進んでいるか確認しろよ?コイツのことだから、絶対にサボる」
「そんな心配はないと思うけど……」
一応は優等生なアリサ。だが、どうもこの少女は虎太郎に対しては優等生のゆの字も見せない問題児。
「大丈夫だよ、なのはちゃん、虎太郎先生。アリサちゃんだってそこら辺はちゃんとわかってと思うよ」
「そうだといいがな……まぁ、いいさ。その時はその時。起きたら伝えておけ――――夏休み明けに課題を一つでも忘れたら拳骨じゃすまさんとな」
割と本気だから笑えない。
「…………大丈夫だよね?」
「…………まぁ、私達が怒られるわけじゃないから」
「それもそうだね――――あ、そうだ。この後で私の家に遊びにこない?お茶会しようよ、お茶会」
「あ、いいね、それ!!」
あっさりと会話を再開したなのはとすずかを見て、クラスメイトは「コイツ等、本当に友達なのかな?」と本気で疑問に思っていた。







【閑話休題】『人狼少女と必殺技』








「必殺技が必要だと思うのッ!!」



「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
「…………」
月村家にて、皆が楽しくお茶を飲んでいる最中、アリサは叫んだ。
無論、周りはぽか~んとした顔をして、
「――――すずかちゃん、この子猫の名前は?」
「その子はね、メロっていうの」
「メロはやんちゃで困るのよね。この間なんて、私のラボに勝手に入って部屋を滅茶苦茶にするし、いたるところでおしっこはするし」
「ですが、メロも少しは言う事を聞いてくれるようになりましたよ。私やファリンの言う事もちゃんと理解できるようですし、頭の良い子です」
「そうですね。とても良い子ですよ」
そして、何事も無かった様にお茶会を再開する。
「…………必殺技が必要だと思うのッ!!」
「昨日のドラマなんだけど、見逃しちゃって」
「それだったら録画しているから、見る?」
「やったぁ!!」
「ちょっと、人の話を聞きなさいよ。私はね、必殺技が必要だと言ってるのよ」
「姉さん。今日の夕食の準備ですが……」
「それはなら下準備は出来てるわ」
「だからさ、私の話を――――」
「すずか、頼むから私の変な噂を先生に流すの止めてくれない?最近、先生の眼が痛いのよ」
「でも、本当だし……」
「あの、だからさ――――」
「それを言うなら忍様。お願いですから庭にある警備ロボットを何とかしてくれませんか?庭を滅茶苦茶にするわ、郵便の方に攻撃するわで」
「えぇ~。いいじゃん、いいじゃん」
「そんな事ばかりしてるから、虎太郎様に変な眼で見られるのでは?」
「必殺技……」
完全に無視され、
「アリサちゃん、なんか言った?」
「…………ううん、何でも無い」
凹んだ。
だが、諦めないのがアリサ・バニングス。
今度はすずかの部屋で録画したドラマを見ている最中に、
「私、必殺技が欲しいと思うのよ」
「アリサちゃん、今良い所だから黙って」
「すみません」
ドラマが終わり、今度こそと口を開く。
「必殺技――――」
「なのはちゃん、今日のお菓子余ってるから持って帰る?」
「いいの?なら、私と九鬼さんと虎太郎先生の分もいいかな?」
「もちろんだよ」

「いい加減に人の話を聞きなさいよッ!!」

涙目で叫ぶと、ようやく二人はアリサを見て、
「あ、まだ言ってたんだ。アリサちゃん、すずかちゃんの家で五月蠅くしちゃ迷惑だよ」
「アリサちゃん、また頭の病気?良いお医者さん紹介するから、行って来れば?」
「アンタ等、本当に私の友達?」
「だって、ねぇ」
呆れ顔ですずかはなのはを見て、なのはも頷く。
「時々、アリサちゃんって…………馬鹿になるから」
「馬鹿になるって何よ!?」
「気づいてなかったんだ……あのね、この間もなのはちゃんと話してたんだけど、アリサちゃんって普段は大人びてるけど、時々子供になるっていうか、子供みたいな大人になるというか、大人として駄目な大人というか――――ともかく、駄目なアリサちゃんになるんだよ」
「駄目なアリサって何!?」
まさかの評価に叫ぶアリサ。だが、友達の二人の口撃は止まらない。
まずは、なのは。
「この際だから言うけどさ、アリサちゃん。とりあえず、授業中にノートにカッコいい台詞とか書くの止めた方が良いよ?」
アリサの顔が真っ赤になる。
続いて、すずか。
「それは私も同感かなぁ……前にアリサちゃんにノート借りた時に見たんだけどね。えっと、なんだかわからないけど魔法の呪文が沢山書いてたよね。エターナルフォースブリザードっている魔法の呪文」
「へぇ、どんな呪文なの?」
「難しい漢字が多くてわかんなかったけど、最後の方にその魔法の効果で、相手は凍って必ず死ぬって書いてあった」
真っ赤な顔が蒼く染まる。
「そういえば、前に右手に包帯巻いてきた時があったけど、別に怪我とかしてなかったよ、満月だったし。どうしたのかなって思ってたんだけど、小声で「封じられた右手が疼くわ」って言ってたの聞いた」
「あ、私も聞いたよ、それ」
撃沈。
「――――そんな私達の意見を聞いて、感想をどうぞ」
「馬鹿なアリサでごめんなさい――――っていうか、そんなの知らないわよ馬鹿!!」
「うわぁ、逆ギレだよ、すずかちゃん」
「逆ギレだね、なのはちゃん」
目の前の二人が悪魔に見えてきた。
「ともかく、そんな事いいの!!今、私が問題としてあげてるのは、私の問題についてよ」
アリサは言う。
「――――私ね、最近自分に足りないのは何かと考えてたの」
「頭じゃない?」
「違うよ、なのはちゃん。常識だよ」
「どっちもあるわよ!!むしろ、友達にそんな酷い言葉を吐けるアンタ達こそ頭も常識も無いでしょうに!!」
コイツには言われたくない、という顔をする二人。
本当に彼女達は友達関係なのか、疑問である。
「ともかく、それをずっと考えたのよ。そしたら、ある事に気づいたの」
「なのはちゃん、自由研究は何にするの?」
「人の話を聞け」
「時間の無駄だと思うんだけどなぁ」
「なのはも黙れ」
どうしてだろう。
四月の頃にはあんなに純粋な子だったはずの二人が、何時からこんな悪魔みたいな子になってしまったのか。
「時間が経てば人は変わるんだよ、アリサちゃん」
「変わり過ぎよ。前回の話から見た人が誤解するくらいに変わり過ぎじゃない」
「ギャグルートだし」
「メタな発言禁止」
頭が痛くなってきた。
「アンタ等、私の話を真面目に聞く気あるの?」
「あるわけ無いじゃん、面倒くせぇし」
「ぶっちゃけウザイ」
「言動まで変わってる!?」
「――――もぅ、しょうがないなぁ。すずかちゃん、それじゃ今から四月の頃のキャラでいこっか」
「そうだね。じゃないと話が進まないし」



「ひとのはなしをちゃんときないこはね、わるいこなんだよ?なのはは良い子だから、ちゃんとはなしをきいて、えらいよね?ね?ね?」
「私、化物だから……友達なんて」
「駄目な方向に戻ってる!?」

閑話休題

「ふぅ、そろそろキツイから止めっか」
「ボケって辛いね。アリサちゃんの苦労が良くわかるよ」
「私は自分をボケだと思った事は一度もないわよ。まったく、ここまで六ページも使っちゃったじゃないのよ」
「へぇ、それは意外というか、お気の毒さまと言うか」
「もう黙れ、話が進まない」
ようやく二人は諦めてアリサの話を聞く気になったのだろう。
すずかはヘッドフォンを装着。
なのははベッドに寝っ転がって漫画を読みながら、
「「さ、どうぞ」」
「………私ね、最近自分に足りないのは何かと考えてたの」
「あ、スルーされた」
「あぅ、残念」
アリサは語りだす。
「なんていうか、私って基本は地味じゃない?地味なのはどうして、地味なのを脱出するにはどうすればいいか。それを見つければ、自分に足りない物が何か見つかる気がするの」
「アリサちゃんで地味だって言われたら、他の人はどうすればいいのかな?」
「わからないけど……とりあえず、アリサちゃんは地味じゃないと思うよ」
「いいえ、地味だわ」
何処が地味なのかわからず、首を傾げる二人。
「その証拠に、ちょっとこれを見なさい」
そう言ってアリサはどこからともなくノートPCを取りだした。
「…………なんで持ってるの?どっから出したの?」
「その時点でどの口が地味だというのか、私は心底疑問だよ」
二人のツッコミを無視して、アリサはPCを起動する。
「この画面を見なさい」





拳には拳を。
己が信じる、長年連れ添った信じるべき拳を全力で叩きこむ。



「八咫雷天流――――砕鬼ッ!!」



拳と拳が激突する。



「虎太郎先生だね」
「そう、虎太郎よ。その次はこれよ」




「剣士の真似事は金輪際しない事だな……そして、」
左腕を突き出し、右腕を引き絞る。ただし、その手は何時もの掌ではなく貫手に様に構え、



―――九鬼流絶招 肆式名山 内の弐――――

        焔錐


影の身体を突き刺した。




「今度は九鬼さんだね」
「カッコいいなぁ」
アリサは黙ってPCを閉じる。
「わかったかしら?」
「全然わからないけど」
「とりあえず、最終回の話をまんまコピペしたのだけはわかったよ」
「だからメタ発言禁止―――――いい?このオッサン二人と私の違いはコレなのよ」
アリサは拳を振るわせ、クワッと目を見開く。

「必殺技があるのよッ!!」

力強く言うのは良いが、二人はポカ~ンとするしかない。確かにあの二人には必殺技がある。だが、それが一体どうしたというのかわからない。
「必殺技よ?必殺技。誰もが一度は憧れる、少年少女が一度はやってみたい漫画の中の世界……それをあのオッサン共はこうして具現化している。その現実を前に、なのは。アンタはどう思う?」
「別に」
「つまらない子ね。それじゃ、すずか、アンタはどう?」
「特に感じる所はないけど……」
「まったく、それでもアンタ等は私の友達なの?」
呆れ顔のアリサに、二人はちょっと友達辞めようかなと思ったが、口には出さないでおいた。
「ともかく、オッサン共には必殺技があるの。行間を三つも開けて技名を言うとか、口には出してないけどしっかり技の名前が表記されるとか、そういう特典があるのが必殺技なの」
「えっと、つまり……どういう事?」
「これが私に足りない物、という事よ」
「必殺技が?」
「必殺技が」
言葉に詰まる二人。
目の前で自信満々に言うのはいいのだが、こちらはさっぱり理解できない。
「別に必殺技が無くてもいいんじゃないかな?」
というすずかの発言に、
「馬鹿言ってんじゃないわよッ!!」
アリサは叫ぶ。
「何処の世界に必殺技がないバトル漫画、バトルアニメ、バトル小説があるっていうのよ!?」
はい、とすずかが手を上げる。
「確か、バトル小説だと餓○伝には必殺技はないです」
「意外と渋いの読んでるのね、アンタ……ともかく、余所の話はいいの。今は私の話をするの」
アリサは窓の外、遠い空を見つめる。
「やっぱりさ、必殺技が必要だと思うのよ。私なんてずっとパンチとキックだけよ。時々投擲とかしてるけど、基本的にパンチとキック……パンチとキック……地味じゃない」
「地味だとは思うけど」
「特に気にする所じゃないんじゃないの?」
「それが人を駄目にする原因になってるのよ、この現代っ子!!」
「アリサちゃんも現代っ子だと思うんだけど……」
なのはの意見は無視して先に進める。
「欲しいじゃない、必殺技。ゲーム化した時に技はパンチとキック。コマンド入れてもパンチとキック。ファイナル○ァイトだって市長だけは技っぽいのがあったけど、恋人は私と同じパンチとキック……地味じゃない」
「ゲームと現実を混同されてもなぁ」
「人間だもの。生れたからには一度くらいは手から何かが出してみたいじゃない。レイジングススーム、烈風拳、ダブル烈風拳―――出してみたいじゃない!?」
「とりあえず、アリサちゃんがS○Kが好きだって事はわかったよ。ハワードさんが好きだって事はわかったよ。でも、別に出なくてもいいと私は思うけど……ねぇ、すずかちゃん」
「うん、私もそう思うよ。どんなに地味でもアリサちゃんはアリサちゃんだし」
例え、必殺技が出せなくとも。
例え、頭が若干悪くても。
例え、友達ですって紹介し辛くても。
彼女は友達だ。
アリサ・バニングスは、自分達の大切な友達なのだ。
それだけは嘘じゃない。
世界がそれを否定しようとも、自分達は否定しない。



アリサ・バニングスは――――かけがえの無い友達だ









次回『教育実習生とバトル高校』









「終わらせないわよ」
「え、次回予告まで入ったのに止めるの?」
「もういいよ。飽きたよ。面倒だよ」
「必殺技がほ~し~い~の~!!私もハンマーコックとかやって44マグナムとかしたいの~!!」
とうとう駄々までこねだす始末に、流石に頭が痛くなってきた。
「どうしよっか、なのはちゃん」
「そう言われても……別に私達的にはどうでもいいし、面倒だし……」
「必殺技がほ~し~い~!!」
「うぅ、こういう時に虎太郎先生がいてくれたらアリサちゃんを止めてくれるのに」
「困ったね」
駄々をこねるアリサを見て、すずかは本気で悩む。本音で言えば帰ってくれるとかなり有難いのだが、この調子では帰る事はなさそうだ。
「…………うん、わかったよ」
なのははアリサの肩を叩き、微笑んだ。
「アリサちゃんがそこまで言うのなら、私【達】も協力するよ」
「なのは……」
「え?私も?」
「友達だもん。友達が困った時は助け合うのが友達だから」
「あ、ありがとう……アンタ【等】、やっぱり私の最高の友達よッ!!」
「あれ、ちゃっかりアリサちゃんも私を数に入れてる?」
「なのは!!」
「アリサちゃん!!」
感動の抱擁シーンだった。
「…………」
そんな感動のシーンを見ながら、すずかは思う。

友達、ちゃんと選ばなくちゃ駄目だ――――と



翌日。
虎太郎の部屋の部屋には、
「第一回、アリサ・バニングスの必殺技を考えよう会議ぃぃいいいいいいいいいいいッ!!」
テンションの高いアリサと。
「わ~、パチパチ」
拍手するなのは。
「…………夏休みの初日から何をやってるんだか」
新聞を読みながらやれやれと首を振る九鬼。
「あれ、すずかは?」
「なんか急用が出来たから来れないって……残念がってたよ」
「そう、残念ね」
九鬼は二人に聞こえない様に小さく、
「どう考えても逃げたんだろうな」
と呟いたが、当然二人には届かない。
「それじゃ、さっそく始めましょうか」
「三人もいればきっと良い必殺技が出来るよ」
「―――――ん、俺も数に入ってるのか?」
「九鬼さん、今日は休みだから暇だって言ってたじゃないですか。だったら私達に協力してくださいよ」
「そうよ。こんな平日の昼間から仕事もしてない無職なんだから、少しは私の役に立ちなさい」
別に無職なわけではなく、有給を消化しろという会社からの命令だから、仕方なく休みを取っただけなのだが、どうしてこんな理不尽な事を、しかも子供に言われなければいけないのか疑問だ。
「そういえば虎太郎は?」
「学校でプールの監視だって」
「ふ~ん。まぁ、いいわ。邪魔者はいなくて結構よ」
「…………」
仕事してれば良かったと、九鬼は後悔した。
そんな九鬼を無視して会議は始まった。
「それじゃ、まず――――どういう必殺技にするかを決めるわ」
「やっぱり飛び道具系かな?王道だし」
「確かに王道だけど、あんなの出せないわよ。そもそも、私の人妖能力ってそういう技が出来そうな能力じゃないしね」
ここで説明しよう。
この馬鹿―――ではなく、アリサ・バニングスの能力は、月の満ち欠けによって身体能力が変化するという能力なのだ。満月の時は百メートルを二秒で走り、車を殴り飛ばし、ダンプに轢かれても死なない。反対に新月の日だとそこら辺にいる子供とまったくかわらないという何とも面倒な能力なのだ。
「となる、よ。やっぱり打撃技とか投げ技、関節技といったところかしら」
「突撃系も捨てがたいよね」
「突撃系もいいけど、あれって私みたいな身体強化の能力じゃちょっと地味よね。炎を出しながら突撃とか、氷に乗って突撃とか出来ないし……しかも突撃系って防御されたらすぐに投げられるちゃうからなぁ」
「ベ○のサイコクラッシャーみたいにガードしてもダメージを与えて、そのまま相手の後ろに行く感じなのは少ないよね」
「そうなると関節技も駄目ね。地味だし」
「西○四朗みたいに座って、脱出不可能な投げ技ってのもあるけど?」
「修羅の技で脱出されるから駄目よ」
「そっか――――あ、そうだ。修羅の技といえば、アレがあったよ!!打撃技だけど防護不能のトンデモ技」
「打撃技で防御不能…………あぁ、アレね!!」
干した布団に拳を当てて、撃ち抜く練習をすると撃った瞬間に振動波を出せる技である。
「それだけじゃないよ、アリサちゃん。あの漫画だと脚を交差させて真空波を出す技もあるよ。それをパクっちゃえば」
「それは駄目」
突然の拒絶。
「え、なんで?」
「パクっちゃ駄目でしょ、パクっちゃ。いい、必殺技は似た様なのはあるけど、私が欲しいのは私だけの必殺技よ。一子相伝とかならいいけど、他人からパクるのは私のプライドが許さないわ」
「そっか……残念だなぁ」
はぁ、と同時に溜息を吐くなのはとアリサ。
それを見ていた九鬼は何とも言えない顔をする。
どうして自分はこんな馬鹿な会議の一員にされてるのか、疑問でしょうがない。
「ねぇ、九鬼さん。何か良い案ある?」
しかも振られる。
「知らん」
「知らんとか禁止よ。この会議のルールは必ず一人は一つの意見を出すっていう決まりよ」
「そもそも、参加するとも言ってないだろうが」
「そんな事を言わないでさ、九鬼さんも何か案を出してよ」
「…………はぁ。まったく……いいか、なのは。そもそもの話。必殺技とはそういう風にして編み出す物ではなく、辛い修行やアイディアで生まれる物だ。話し合いで生まれるわけないだろう?」
「それは確かにそうだけど……」
「それ以外の何物でもないさ。わかったら、話し合いをする前にまずは自身を鍛える努力をするべきだ」
もっともな意見だ。
だが、残念な事に必要とされているのはもっともな意見ではなく、アリサを満足させる意見だ。
「なのは。そんな必殺技を持ってる奴の意見なんて期待しても無駄よ」
「だったら数に入れるな」
「シャラップ!!役に立たないオッサンはもういいわ。そんなオッサン無視して話を進めるわよ」
九鬼は心の中で虎太郎を誉めた。
こんな生意気なガキを前にしても手を出さないなんて教師という職業に就く者の忍耐力は凄まじいのだな、と。
無論、それは勘違いの何物でもない。
「でもアリサちゃん。私達だけでアイディアを出すよりも、九鬼さんみたいに必殺技を持ってる人の意見も必要だろ思うよ?」
「…………」
必殺技という単語に燃える歳でも無い九鬼にしてみれば、自分の九鬼流の技が必殺技と呼ばれる事に不満があるが、口には出さない。
「いいのよ。使えない奴は……」
そして、この言い草だ。
「―――――ちょっと出てくる」
逃げる様に九鬼は外出する。
「まったく、付き合ってられん」
とりあえず、アリサが帰るまで、もしくは飽きるまで何処かで暇を潰す事にしようと決めた九鬼は、蝉の声を聞きながら繁華街に向かって歩き出す。



一時間後。
「行き詰ったわね」
「行き詰ったね」
一向に良いアイディアが出ない。
古今東西のゲームや漫画からアイディアを出そうとしたが、どれも現実的ではない――というより、基本的にパクリになってしまうのが駄目だ。
「でも、アリサちゃん。よくよく考えてみればなんだけど、必殺技ってどれも似たり寄ったりなのばっかりじゃないかな?」
「それは、そうだけど……」
オリジナリティ溢れる必殺技を考える事は、予想以上に難関だった。改めて考えてみれば、どの作品の必殺技も基本的には似た様なのが多い。違うのは精々名前だけ―――と、ここでアリサは気づいた。
「名前……そうよ、名前よ!!」
「名前?」
天命を得た、みたいな顔でアリサは立ち上がる。
「確かに似た様な必殺技は多いわ。でも、それぞれが個性を出しているのは必殺技の系統ではなく、必殺技の名前!!パワーウェイブと烈風拳、パワーゲイザーとレイジングストーム……それぞれが似た技だけど名前だけで違うモノになってるじゃない!!」
「ほ、本当だ!!凄いよ、アリサちゃん!!その通りだよ!!」
仮にこの場に誰かがいたのなら、そんなの最初から気づけよとツッコンでいただろう。だが、残念な事にそれを指摘する、ツッコミを担う者はいない。
ツッコミがいないというのは実は酷な話だ。
「私のパンチだって、パンチって言葉を使えば唯のパンチ。でも、それに技名をつければ一気に必殺技に様変わり――――つまり、必要なのは名前。カッコいい技名なのよ!!」
「光が見えたね、アリサちゃん」
「えぇ、この時間は無駄ではなかったという事よ」
無駄だろ、どう考えても―――と、言う者が居ない事が嘆かわしい。
「そうとわかれば、名前を考えるわよ」
「うん、そうだね」
「名前はやっぱり派手な方がいいわね。特に表記は漢字よ漢字。漢字の技の方がカッコいい気がする」
「そうかな?私としてはカタカタ表記がいいと思うけど……」
甘いな、とアリサは笑う。
「カタカナ表記も確かに良いわ。でもね、カタカナ表記にはとんでもない問題があるのよ」
「とんでもない問題?」
唾を飲むなのは。
アリサはワザとらしく間を貯めて、



「カタカナ表記は―――――誤字になる可能性が高いッ!!



「な、なんだってぇぇぇぇええええええええええええええ――――!!」
行間の無駄使いだった。
「文字で変換する際に、カタカナ表記は普通は変換キーで変換できないわ。例えばここでソニックブームをカタカナに変換するとして、実際やってみると、」

そにっくぶーむ

変換

ソニックブーム

「あ、普通に変換された」
「駄目じゃん!?」
まさかの普通に変換されてしまった。
「ま、待ちなさい。今度は、今度はカイザーウェイブよ!!」

かいざーうぇいぶ

変換

カイザーウェイブ

「………また、普通に変換されたね」
「どうして―――――ハッ!?」
アリサは気づいた。
「そうか、さっきまで私はずっと未だした技を普通に文章に使ってたから、ソフトがそれを学習してしまったのよ!!」
「そうか、その可能性が大だね!!まさかの作者もびっくりだよ」
「えぇ、びっくりしてるでしょうね。ここで普通に技名のカタカタ変換に失敗する例を出そうとして、普通に変換されてしまった――――この展開は誰にも予想できないわ」
「ネタじゃなくてマジなのが笑えないね」
まったくだ。
「あれ?でもソニックブームは初めて入れたのに、普通に変換されたよね……なんで?」
「大方、どっかの魔法少女物を書いてて、魔法名にソニックブームなんてのがあって、それで変換し慣れてるんでしょう」
「な、なるほど……でも、何故かその魔法名にデジャブを覚えるのはどうしてかな?」
「そんなの知らないわよ。どっかでそんな作品でも見たんじゃないの」
「う~ん、そうなのかな……」
気のせいである。
「ともかく、例題には失敗したけど、これは確かにある事よ。カタカナ表記は間違えやすいのよ」
「大発見だね、アリサちゃん」
「えぇ、大発見よ。論文で発表したいわ。そういうわけで、漢字よ、漢字。日本人たるもの、やっぱり漢字でなくちゃ燃えないわ」
見た目は外人、中味はオタク、それがアリサ・バニングス。
「というわけで、カッコいい漢字を選ぶわよ」
「そうだね……なら、アリサちゃんって犬っていうか狼っぽいから―――」

餓狼拳

「とか、どうかな?」
「おぉ、いいわね。最初の方の伏字がまるで無意味になっちゃった気がするけど、良い感じ――――いや、良い漢字よ。流石ね、なのは」
こうして、ツッコミ不在の会議は続く。
「パンチだけじゃなくて、キックも必要だから――――」

狼蹴撃

「とかもいいわね。なんか聞いた事があるような気がするけど」
「ただのキックとは思わないよね―――あ、そうだ。こんなのはどうかな?」

雷狼

「雷みたいに凄い速さで蹴るとか、もしくは雷みたいな威力の蹴りとか。実際に雷は出ないのが残念だけど」
「構わないわ。こういうのは言ったもん勝ちだからね」
テンションが上がり続ける二人は止まらない。
「そうだ!!いっそのこと、技名をもっと長くしたらどうかな?」
「技名を長く……そうね、それもいいかも。それなら技の応用、もしくは技の進化系として作れるわ」

餓狼滅牙弾

「狼と牙、二つを合わせてみたわ。しかも弾という事で弾丸みたいな速度、という意味も含まれてる」
「カッコいいよ、アリサちゃん!!」
「うんうん、そう思うわ。ほら、なのはもどんどん案を上げて」
「わかった。それじゃ―――」

神狼撃牙

「神キタァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!」
「神っていう漢字を付けるだけで、なんかすごそうだよね?ね?」
「なのは……アンタ天才だわ、最高よ」
「ふふふ、まだまだ止まらないよ、アリサちゃん!!今度はもっと長いのでいくよ!!」

天狼疾風烈牙
滅牙狼王蹴撃殺

「天きた天!!滅までもきた!!」
「やっぱり天と滅は外せないよね!!」
「必殺技っぽいわ……これよ、これこそ私が探していた、私が求めていた必殺技というものなのよッ!!
だが、如何に技名が派手だろうと、結局はただのパンチとキックである。
「――――あ、そうだッ!!アリサちゃん、漢字の羅列もいいけど、ひらがなも入れても良いんじゃないかな?」
「ひらがな?」
「そう、こんな感じッ!!」

断罪の牙

「そ、そうか……~の、とか付けると更に無限の可能性がッ!!」
もう一度言うが、パンチとキックである。
「だ、だったさ、こんなのどう?」

秘儀・悪滅の牙

「…………いい、いいよアリサちゃん。・とか付ければ奥義とか必殺とかも出来るし、悪滅っていうとヒーローっぽさが出てるねッ!!」
「出てきた出てきた、私の頭の中に色々な必殺技の名前がでてきたわ」
「私もだよ……あぁ、自分の才能が怖いの」
文字の羅列に酔いしれる九歳は、傍から見ればジャンキーにしか見えない。
「――――――――あ、」
「――――――――あ、」
そして、等々二人はある結論に至ってしまった。
ある意味、それはもっとも美しく、もっともカッコいい技名だった――-ただし、本人達からすれば、である。
「アリサちゃん。私……気づいちゃった」
「私もよ、なのは……」
歴史的発見をした偉人の様な顔をして、二人は顔を見合わせる。
「私達、間違ってた……確かに漢字はカッコいいし、カタカタみたいに誤字もない」
「だけど、カタカタにはカタカナの良さが在る……」
「漢字はカッコいいけど!!」
「カタカナもカッコいいわ!!」
そして、二人は結論に至った。
「【電磁抜刀】と書いて【レールガン】と読む」
「【約束された勝利の剣】と書いて【エクスカリバー】と読む」
「【一喰い】と書いて【イーティングワン】と読む」
「【十字天雷】と書いて【ヴァニッシュクロス】と読む」



漢字の読み方にカタカナを使用するという結論に。



まぁ、だからどうしたという話なのだが。





一方その頃。
学校のプールは夏休みという事で生徒達に解放され、沢山の生徒達がプールの中で遊んでいた。
「なんだ、月村。お前、泳げないのか?」
「はい……出来れば、みんなで海に行くまでに泳げるようになりたいなって」
プールの監視担当になった虎太郎。
学校指定の水着を着たすずか。
「わかった。なら、俺が教えてやる」
「ありがとうございます」
虎太郎はすずかの手を取り、すずかはバタ足の練習を開始する。
「は、放しちゃ駄目ですからね……」
「わかってるって。ほら、人間の身体はこんな風に浮くから、怖くないだろ?」
元々運動神経が桁外れなすずか。これを十分続けただけですぐにバタ足をマスターした。
「ところで月村。お前、今日はなのは―――高町とバニングスと一緒に遊ぶんじゃなかったのか?」
「その予定だったんですけど……なんか、嫌な予感がしたんで」
「嫌な予感?」
すずかは空を見上げながら、
「遠くに、行っちゃいそうな気がして……」
「遠くに?」



大好きな友達二人が遠くに行ってしまう―――そんな予感がしたからだ。








時間はそこから二時間ほど進み、場所は昨日と同じ月村家。
「あの、忍様」
「ん?どうしたの、ノエル?」
優雅に午後のティータイムを堪能していた忍に、ノエルは非常に言い難そうに、
「実は、アリサ様が……」
「アリサちゃんがどうかした?」
「はい。なんでも前回のリベンジをするから、防犯システムと戦わせろと言ってきてますが」
「…………ふ~ん、良いんじゃないの?」
「良いのでしょうか?以前、アリサ様はそれで結構な傷を負ってますが」
「自業自得でしょう?叔父様にもその事を言ったら、別に問題ないから使いたい時に使かわせてくれってお願いされてるしね」
そう言って忍は紅茶を口に含む。
「ま、お手並み拝見ってところかしら」
防犯システムという名の防衛システムが始動する音を聞いた。

月村家の玄関を飛び越え、アリサは不敵な笑みを浮かべる。
「ふふふ、今日の私は前回の私とは違うわ」
「頑張ってね、アリサちゃん!!」
なのはは柵の向こうから応援している。
「任せなさい!!アンタと私で生み出した最高の必殺技で、華麗にカッコよく勝って見せるわ」
コンディションは前回と同じ状態。
満月に比べれば身体能力は格段に堕ちているが、不安要素にはならない。
「行くわよッ!!」
アリサは疾走する。
目指すは月村家の玄関。
そこまで行けばアリサの勝ちなのだが、その前に発動する無数の防衛システム。その全てを打倒してこそ、真の勝利となるのだ。
アリサの前に無数の銃口を持ったガトリングガン(ゴム弾)四つの脚を持った鉄の巨人(機体名:サイクロプス)が立ちはだかる。
ガトリングガンから射出される弾丸を避け、巨人の前に立つ。前回はこの巨人に敗北したが、今回は違う。
何故なら、アリサには必殺技があるのだ。
アリサは拳を握り、



「奥義……【究極・天狼牙神滅殺撃‐アルティメット・ウルフファングブレイカー‐】!!」



必殺技を炸裂させた。
「―――――――」
「―――――――」
巨人の身体に微かな凹みを作らせ、アリサはゆっくりと顔を上げる。
効いてない。
まったく効いて無かった。
「――――――――あれ?」
ガガガガガガガとゴム弾を全て身体に喰らう。
バキバキゴキと巨人にしこたま殴られる。
チュドーンと何か爆発した。
ヒューと飛んで行くアリサ。
それを見つめるなのは。
「……………まぁ、ただのパンチだしなぁ」
正直、最初からわかっていた。
どれだけ漢字の羅列を多くしたり、読み方をカタカナにしようとも、結局はただのパンチである。それには気づいてはいたが、テンションがマックスになっていたアリサに言いだせず、月村家の防犯システムに挑むという無謀を止められなかった。
天高く飛ばされたアリサがグシャリと音を立てて地面に堕ちた。
「…………」
「…………」
なのははアリサに近寄り、問いかける。
「ねぇ、アリサちゃん」
「…………なによ?」
「必殺技…………まだ欲しい?」
「…………もう、いい……必殺技……いらない……」
「だよね~」



こうして、夏休みの初日は終わるのだった。





次回『川赤子な教師』






あとがき
ども、得意なコマンド入力はレイジングストーム。苦手なコマンドはデッドリーウェーブです。
というわけでノリだけで書いたらこうなった、後悔はしてる。
ギャグだけの話とか書いてみたかったんですけど、駄目ですね。
ちなみに、この三人娘の役割分担として、
アリサ:ボケ八割、ツッコミ二割
すずか:ボケ二割、ツッコミ八割
なのは:ボケ五割、ツッコミ五割
こんな感じです。
アリサは基本的にボケです。すずかはツッコミです。なのはは腹黒です。
なんかキャラが崩壊してますけど、気にしちゃだめですよ?
僕の中の最高の格闘ゲームはDOA2です。
やりこみましたけど、周りに誰もやる人がいなかったので、一人で永遠とサバイバル。
そして、DOA2のせいで2D格闘ゲームでガードが出来なくなった病気を八年間も患ってます。
今はブレイブルーが好きです。
そんな感じで、教育実習生編で会いましょう!!


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