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No.25706の一覧
[0] 空を駆ける鳥(境界線上のホライゾン・短編)[MD](2011/01/30 14:12)
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[25706] 空を駆ける鳥(境界線上のホライゾン・短編)
Name: MD◆ee07b577 ID:ff1c2ba1
Date: 2011/01/30 14:12
 
 一羽の鳥が空を駈ける。

 川を滑り、山を撫で、空に舞い、縦横無尽に駆け抜ける。

 鳥は世界は我の物だと言わんばかりに、羽を大きく羽ばたかせ、滑空する。

 空に浮かぶ二つの月、優しく鳥を包むかのように青く輝きを放っている。

―――通りませ―――

 遙か彼方の空

 どこまでも透き通るような詩が

 咲いた

―――通りませ―――

 音は
 
 ゆっくりと身体に染み渡る。


 月夜の光に、身を抱かれ、空を駈けた鳥は行く。
 この詩は何なのか?
 目指す先は分からない。

 それ故に、鳥は空を行く。 
 森を越え、街を越え、空気の断層を越え、鳥は行く。
 
 駈けた先に浮かぶは薄い雲の群。
 音は近い。
 雲は高い所にあるが、いけなくはない。
 
 翼を広げ、大きく羽ばたく
 
 ―――行く。

 体を小さく、鋭角に。
 本能赴くまま、速さを求め、高さを求める。
 受ける風は、送る風となり、去っていく。

 ―――負けるものか。

 雲に入っても速度は衰えない。
 寒い?苦しい?
 関係がない。 
 もう歌しか聞えない。
 無我夢中で空を昇る。

 ―――抜けた。

 雲を抜ければ、そこは静寂な夜の世界。
 そこに――――いた。
 
 月の光に身を任せた、巨大なバハムートが。

 だが――そこまでだった。
 慣れない長距離飛行と高度飛行は鳥の力を容赦なく奪い去った。
 鳥は墜ちて行く。自ら意識が落ちていくのを感じながら……。

 墜ちゆく中、鳥はバハムートを見た。
 そして間違いを知った。

 あれはバハムートなんかではなく、レヴァイアサンであるということに。
 また、歌っていたのは一人の自動人形だったということに。


 意識が落ちる最後に、自動人形と目が合ったような気がしたが、もうどうにもならない。

 ――あぁ、満足――

 空の自由を満喫し、音の正体を知った鳥。

 意識を手放し、高度を手放し、落ちて、墜ちていく……。

 ◆

「あ、ホライゾンどうかしましたか?」
「Jud.。空から鳥が墜ちてきました。天の恵みでしょう―――たぶん」
「わあー、夜食は焼き鳥ですね。って! 違いますよね!? まだ生きてますよね、その鳥!?」


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