ミッドチルダからほど近い次元世界。
この世界は魔法こそ存在するのものの、科学の発展スピードは遅く、人々は生活の中で魔法を用いながらも牧歌的な生を営んでいる。
そんな世界の森の奥深くで、この世界どころかどこの世界でも浮いてそうな青いタイツに身を包んだ短髪の女性と長髪の少女が並んで歩
いていた。
「チンク姉、本当にこんなとこにドクターの目当てのモノがあるもんなの?」
背の低く、くすんだ銀の長い髪にマントを羽織った少女にそう尋ねた
翡翠色にショートの女性はどこか気だるげな表情を浮かべていた。
手帳程の大きさのPDAを持った右手を覗きながら、尋ねられた少女は答える。
「なんでも、この先に先史時代の遺跡があるのだそうだ」
「遺跡、ねぇ……二人もいらなかったんじゃないの?」
二人には保護者とも、製作者とも呼べるものがいたが、今回その彼から言い渡された仕事は研究に必要なロストロギアの調達。
今までは彼のパトロンから回されてきたもので行っていた研究だが、回されてきたものは安定しすぎていて味がないという
なんとも研究者らしいのかよくわからない理由から、管理局でさえ手出ししないようなモノを手に入れる事となったのである。
それは旧暦より遥か昔からあるものだった。
誰が作ったのか、そもそも人が作ったものかさえあやふやだが、膨大なエネルギー供給能力を秘めた結晶体であるソレは
時には宗教の偶像として、時には人の生活を支える魔法技術のエネルギー源として、そして一瞬で多くの人間を殺す兵器として用いられ
た。
もっとも、今となってはその結晶体を用いる術はほぼ失われていると言っていい。ただ一人だけ、用いる術を知っている彼を除けばだった
が。
「コレはね、いわば仮想のリンカーコアのようなものなんだ。魔力というのは個人で波長が微妙に違うのは知ってるね?
術式とデバイスでよく似た魔力を作る事は出来るが、そこで多少劣化してしまう。疑似リンカーコアでさえその問題点は完全にはなくなっ
ていない。
ところがこのレリックというのは、完璧にコピー出来るんだよ、人の魔力やエネルギーを。
もちろん全ての人の魔力をコピーできるというわけではない。レリックごとに波長に差異があるし
それに適合する人間も見つけなければいけないわけだけど、その確率はそれほど低いわけじゃない。
むしろ、コピーした魔力を際限なく吐き出し続けるのを制御するジェネレータの構築の方が難しくてね……」
などと言っていた彼だったが、それを聞いていた彼の作品達で話を全て理解出来たのは長女と四女だけだった。
とにかく、同じ波長ばかりの支給品に飽きた彼が次に求めたのは、出力も膨大なら波長もピーキーなレリックだったわけである。
「それがそうもいかないらしい。Aランクの戦闘魔導師を含んだ管理局の調査隊が途中で負傷して逃げ出す羽目になったらしくてな。
こんなところに盗掘に来る者もいないだろうということで、管理局でも簡単な警報装置を増設してそのまま安置しているらしい」
「うわ、なにそれ…バケモノでも出るとか?」
「アレから漏れて淀み溜まった残留魔力に釣られて有象無象の魔法生物はいる。もちろん高ランクのものもいる可能性もいる。
そしてこれが最大の理由なんだが、どうもトラップが大量に仕掛けられているらしいのだ。
それも非魔力のものから魔力探知式まで様々なシロモノが」
「非魔力というと?」
「調査隊の報告には矢が飛んで来たり槍衾があったらしい」
「でもそれくらい防御魔法とバリアジャケットとかでどうにでもなるんじゃないの?」
「それがそうもいかなかったらしい。対人式の罠とは思えない程大がかりなのだとか」
「つまりバリアジャケットで防ぐどころの問題じゃない、と?」
「あぁ。最後には地下の一本道で小山程もある巨石が転がってきて追いかけられたとか」
「えげつないなぁ…で、それを避けるために私がいるわけだ」
「そういうことだ」
「私が回避でチンク姉が突破、このタッグなら問題ないだろうしね」
「ドクターはワクワクもロマンも感じない冒険になりそうで嫌なんだけどとおっしゃっていたが」
「そりゃ仕事イコールロマンの人間だからねぇ」
魔法考古学冒険活劇、インディアナ・ナンバーズがはじまるかも。
スクライア一族に受け継がれるいにしえに伝わりし秘宝だとか
圧倒的な力を秘めていると伝わる棺をめぐる軍事帝国の特殊部隊との戦闘とか
なんだろう、クロスさせちゃいけない予感しかしないけど楽しそうな気がしたんだろうな、書いた当時の私ってば。
お久しぶりです。になろうの方で読専やってたりしたら
完全に放置状態になってました。
まぁなんというか、温泉編が終わるくらいまでは下書きあったりするので
またぼちぼち書きあがったら上げていこうかなと。
べ、別に、になろうの方でお気に入りにさせてもらってる方が
なのはの二次書き始めてふと思い出したとかそんな訳じゃないんだからっ!!
うちのヴェル君は金髪巨乳にクマーされる事はないだろうなぁ。
いまさらながらに思う、枯れすぎだろこの主人公。