ある日の夜、俺こと高間知寿男(30)はいつものように自室で女の子とラブでちゅっちゅするゲームをしていた。
「フフwwwフフフwww可愛すぎるだろ常考www」
24インチの画面の中では頭部と目が大きいいわゆる「二次元美少女」という奴が
主人公―プレイヤーの視点に向かって甘い台詞を吐いたりつっけんどんな態度を取ったりしている。
「フフwwwこれは確実に人気出るわwww……ん?」
一瞬カーテンで閉じられた外が明るく光り、すぐに暗くなったのを感じた。ヘッドホンを外してカーテンの向こうを覗いたが特に何もない。
だが、今日は一日晴天だとネットの天気予報で見たし、日中仕事に出かけていた時も晴れていたはずで、雷雲なんてなかった筈である。
なにより、光ってからもう10秒以上経っているのに雷鳴が聞こえない。
「なんだ今の?結構近くで光ったみたいだったが……?」
特に気にする必要もなさそうだと思ったが、一応部屋の外を見るかと表に出る。
住んでいるのは築16年のアパートだが、隣や上の階の人間は何故か深夜にならないと帰ってこない。
他に確かめに出た人もいないようだったので、窓から見える位置に、自分の部屋の裏に回る。
「……なんだこれ?」
落ちていたのは青い石。どことなく光っているようにも見えるそれは、何故かⅡと刻印がついている。
「宝石って訳でもないだろうし。っていうかこんな所に落ちてるのも変だよな…まさかさっき光ったのはこれか?」
なんて考える。
「不思議な石の力で厨二能力を手に入れた俺(キリッ だっておwwwwww」
そう冗談半分でつぶやいた瞬間、俺は光に包まれ、意識を失う瞬間、青い髪を持つ少年の姿を一瞬見たような気がした。
「私の魔力がほぼ回復したからそろそろ実体化してみようと思うのよ」
いつもの夢の中で氷の女王ことレティニアが唐突にそんな事を言った。
年明け後も何事もなく進級し、今は新暦65年春。
何事もなく自分は三年生に進級したが、今年は原作開始の年である。
だが無印は自分には何の関連性もなく、関わる理由もない。
A'sのある秋以降からのヴォルケンリッターの蒐集やら、グレアムの復讐やらに巻き込まれる可能性はあるが、今は気楽なものである。
「ほう、とうとう回復したか。んじゃ明日とりあえず森行ってみるか」
「えぇ、といっても全部回復はしていないから、試運転みたいなものなのだけど」
「お前がいなくなれば俺はただの凍結変換資質持ちに戻れるからな」
「あら、私はヴェルから離れる予定はないわよ?」
「……まぁ、狙われてるかもしれんのに戦力低下するのは得策じゃないな」
「ふふ、そうよ。だからヴェルは死ぬまで私と一心同体。実体化したら楽しみにしてるといいわ」
「言ってろショタコン」
なんてやり取りをして、翌日になり、俺はレティニアの実体化を試すために森に来ていたのだが
『じゃあ、行くわよ?』
「あぁ」
『ん…っと…ここが…ふっ…ん…こうなっ…て…こう…だから…あんっ』
「お前は俺の中で何をしてるんだ……?」
『…んっ…ずっと…埋まってたから…癒着して…るのを…離すのが…んあっ』
「……なぁ、頼むから俺のリンカーコアこれ以上汚したりしないでくれよ」
『だい…じょうぶ…よっ…流石に…あふ…この程度で…汁とか液とか…出ない…からぁ……ひゃんっ」
脳内にレティニアのピンク色の声を響かせながら森の中に立ってる俺。…死にたくなってきた。
『……んっ。よし、これで9割方ヴェルのリンカーコアから私を剥がしたわ。それじゃ実体化してみるわね』
そう言うと、自分の胸の中からリンカーコアが出てきて、そこから女性の手が生えてきた。うわぁホラーっぽい。
「こわっ…そしてなんかグロっ…」
「あら、失礼ね…いきなり出ると負荷がかかるから、ゆっくり出てきてるのよ?」
「さよか……」
そして手から肩、そして上半身が伸び、そして全体が出て、レティニアが外に出てきた。
リンカーコアはそのまま胸の中へと戻ったが、俺の目には胸から一本の紺色の線が伸びて、それがレティニアの黒い髪の毛と繋がってるのが見えた。
「レティニア、これって?」
「私とヴェルのリンカーコアを繋ぐ線が可視化してるのよ。他の人には見えないし、伸ばそうと思えばかなり伸ばせるから大丈夫よ」
そう言ってレティニアは久しぶりの外の空気を吸って
「あんまりこの世界の空気って美味しくないのよねぇ…やっぱりヴェルの中が一番よ」
「そんなもんか」
「そんなものよ。それで、それなりに力も回復したし、こうして実体化も出来たからヴェルには何かお礼しなくちゃいけないわね?」
「あー…気分が高まってる所悪いが、頼むから未成年を喰うのはお礼にならないからやめてくれよ」
「あら、残念。そうねぇ…それ以外となると…あ、次元魔法を見せてあげましょうか?」
「次元魔法ってお前の世界の?」
「えぇ、世界を渡る魔法。そうね、試しに一回飛んで見せましょう」
「いや、別に他の世界に飛ぶ必要は「それじゃあ行くわよ」あぁもう勝手にどこへなりとも飛んでけ」
「ふふ、久しぶりだから少し気合入れて…って、あら?」
「そこはかとなく嫌な予感のする"あら"だが一応聞く。どうした?」
「なんか引っ張られてるわね…私の魔力ごと強引に。これは…召喚系かしら?あ、ダメだわ、止められない」
「いや、そこは気合でなんとか「無理よ、私の魔力も使われてるものこれ」…もうどうにでもなぁれ」
なんて事を言っているうちに俺とレティニアを中心に六芒星の魔法陣が足元と頭の上に現れ、俺達は光に包まれた。
一瞬の浮遊感を感じ、目を閉じた間に既に転移したらしく、足が地面に着いた感触がした。
「うお眩し…って、どこだよ此処……?」
『さぁ?』
「あ、誰か倒れてる…って……ッ!?」
『どうしたの?』
「な……この街並み…この人の服装…まさか……」
『ここは…街なのかしら?ヴェルの住んでいた所と少し似た街並みだけれど』
「いや、待て…いやいやいや……」
『どうしたのヴェル?心当たりがあるのかしら?』
「……なんてこった。ここは、地球か」
夜の闇に慣れた目が映した光景は建物の裏と思われる場所。
塀を挟んで隣に建っている一般的な日本建築。そして電信柱と街灯。
自分がかつて生きていた世界を彷彿とさせるそれは、この場所がミッドチルダではないと考えるには十分だった。
後書き
結果から言うと、A'sからの介入を希望する方が7名、無印が次いで多く5名となりました。
その他の例もかなりの数を頂戴し、すごく参考になりました。
てなわけで、無印にもA'sにも介入させることに決めました。
そうと決まれば話は早い。
主人公の死因を「海鳴死」にさせる勢いで叩き込みました。
そして初の主人公以外の視点で書いたキャラクター「高間知寿男」
彼の得た力とは!?30歳にして魔法使いとなった彼の運命は!?
例えその先に待っているのが主人公のナデポニコポだとか、幼女との混浴イベントみたいなチャチなものだとしても力尽きるまでは突っ走らせていただきます。
Chaosさまからあった喫煙云々のお話ですが
私自体喫煙者で自分の寿命をマッハで縮めていると自覚しております。
この主人公は未成年ですから、タバコなんてまだ吸いません。
そして原作の終了時点で19歳。まだ吸えません。
吸ったとしても原作終了からですね。
そこまで続くかどうかすら分かりませんけどw