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No.25157の一覧
[0] 絆―幾つもの繋がり―[(爆)](2010/12/29 18:21)
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[25157] 絆―幾つもの繋がり―
Name: (爆)◆6a81e900 ID:78eb343d
Date: 2010/12/29 18:21
 普通ならば誰しもが持って産まれる魔力、それが彼には僅かにも無かった。その所為で疎外される事なんて日常的で、家族にすら白い目で見られるのも慣れたものである。
 そんな彼にも優しくしてくれた人が居た。旅の途中で村に立ち寄った魔法使いで、人当たりの良い、とても綺麗な女性だった。
 その魔法使いは彼に言ってくれたのだ。例え魔力が無くても、その力を使う事は出来るのだと、そう教えてくれたのである。
 喜んだ彼は当然に、その方法を女性へと聞いた。しかし女性は口を滑らせたと苦笑いし、彼の頭を数度ばかり撫でた後、その力を使うには覚悟が必要だと言った。失敗すれば死ぬと、そう言い切った。
 それで彼は諦めると思ったのだろうが、所が彼は構わないなどと言い始めて彼女を困らせた。それ程に今の生活は、彼を追い詰めつつあったのだ。

「坊や、本当に死んでしまうかもしれないのよ?」

「構うもんか!どうせ悲しむのは姉ちゃんだけなんだッ、死んだって良い!だから――」

 何と悲しい事を言う子供なのだろうか。素直に女性は、そう思って口元を隠し涙を流した。
 では自分は、この少年に何がして上げられるだろうか。力の使い方を教えるべきか、それとも失敗して屍となった少年を抱き締めて咽び泣くか、何も言わずに村を出立するべきか。
 悩み、苦悩の末に彼女が出した答えに、少年は両手を上げて喜んだ。

「お姉さんとの約束……。絶対に……死なないでね」

 女性の言葉に少年は笑って応え、そして儀式は行われる。魔法使いと従者を結ぶ契約は、既に廃れた禁断の儀式だ。それが今、二人の間で行われた。
 魔法使いが保有する魔力を従者に供給する事で、その従者は供給された魔力を糧に力を行使する事が可能となる。しかし、それには一つの問題が有った。魔力を供給された従者は悉くが変調をきたし、回復の予兆が見られないまま死亡して逝ったのだ。
 この理由は多くの魔法使いが議論され、そして出された答えは至極簡潔な、自然界に於いては当然なものとなった。
 異物である魔法使いの魔力が入り込んだ為に、従者自身の魔力が正常な働きをしなくなってしまったのだろう。そう見なされ、高名な魔法使い達もが頷いた後、数十年前に禁断の儀式と認定されて使用を禁止されたのだ。
 まだ二十代後半と見える彼女が何故、そんな物を知っているのかは分からない。だが現に彼女は行使し、少年との契約を済ませようとしている。
 女性が描いた魔方陣に立つ少年の手の甲に現れた刺青の様な契約の印は腕を這う様に伸び、肩へと達し、やがて首をも過ぎて少年の頬に達すると幾何学模様を描き、何事も無かったかの様に消え去った。
 少年に変調は見られない、まず第一段階は成功である。本題は、ここからだ。女性の魔力を少年へと、儀式で繋いだパイプで流し込まなければならない。

「覚悟は……良い?」

「何時でも!」

 そして、女性の魔力が少年へと流し込まれた。




あとがき

例え馬鹿にされても頑張りたい。そして何時か、認めさせてみせる。


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