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No.25065の一覧
[0] 【読み切りネタ】 ゼロのゆうしゃ (ゼロの使い魔×シャドウゲイト)[石ころ](2010/12/24 21:49)
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[25065] 【読み切りネタ】 ゼロのゆうしゃ (ゼロの使い魔×シャドウゲイト)
Name: 石ころ◆3b8a8997 ID:ecb31cdf
Date: 2010/12/24 21:49

 注意。
 この作品は、『シャドウゲイト』のネタがわからないとほとんど楽しめない……と思います、たぶん。
 そういうわけで、元ネタを知らない方は、ぜひ一度ググってみてください。



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 魔王ワーロックを倒し世界を救った私はその功績を称えられ、キング・オットーから王位を譲り受けて、ウエストランドの領主となっていた。
 最大の栄誉! そして最高の富! 誰もが私の待遇を満足の行くものだと思っているだろう。
 ……だが実を言うと、何か足りぬように思えてならないのだ。
 私は心地のよいベッドに身を預け、ふとシャドウゲイトでの体験を思い返す。
 あの城で出会った魔物はどれも強敵で、仕掛けられた罠はほんの些細なミスでも死と繋がるようなものだった!
 我ながらよくあの城から生きて出られたと思う。私は真の勇者として己の力を自負しているが、それでもこうして安らかな時を過ごせているのは強運に恵まれていたからだろう!
 私は様々なことを思い巡らしながらも、もう眠ろうと決めた。これから王として成すべきことも多いだろう。ゆっくりと目を閉じる……しかしなかなか睡魔は訪れない。
 なぜ? どうして?
 私はすぐにその原因を理解できた。先程まで生と死が隣り合わせのシャドウゲイトでの出来事を回想していたからだ。
 あそこで味わった恐怖心は、裏返せば好奇心でもあった。恐ろしい魔物を葬った後の高揚感! 苛烈な罠を潜り抜けた後の安堵感!
 そう、私はやはり勇者だったのだ。いつの間にか、私の心の中で「冒険の虫」が騒ぎ始めている。
 もう一度、あの時のような「苦悩の末の勝利」を味わってみたい……!
 気が付くと、私は旅の準備をしていた。シャドウゲイトで手に入れた剣、魔法のような薬「ミガルナール」、熱を防いでくれるマント、預言書を読めるようになる魔法のめがね、そして暗闇の探索には欠かせないたいまつ……。
 まったくせっかちな人間だ、私という男は。何も今すぐ旅に出るというわけでもないのに。私は無意識の荷造りに苦笑をした。
 王位を譲ったと言っても、オットー卿はまだ老いていると言うには程遠い。事情を話せば彼はきっと理解してくれるだろう。なぜなら彼は私が「勇者」であることを誰よりも知っているからだ。
 まあ、とりあえずは当分安らかな時を過ごそう。今はワーロックの滅亡で国内は歓喜で沸き立っている。いずれは落ち着いた頃に……。
 そうしてベッドへ戻ろうとした瞬間! 目の前に突如として巨大な鏡が現れた!
 なんだ、これは!?
 不可解な現象に私は戸惑った。どうすればいいんだ!?


・つかう>つるぎ>セルフ


 あまりの混乱に、私は自分でも理解しがたい行動に出てしまった。
 傍にあった剣の刃を自分の左胸に突いたのだ! ドクドクと血が湧き出てくる!
 ああ! なんて愚かなのだ。自分の命を自分で絶ってしまうとは!
 私は苦痛に呻きながら床にくずおれた。やがて視界の光は消え……。


【ざんねん! わたしの ぼうけんは これで おわってしまった!】


 →CONTINUE


・しらべる>かがみ


 私は緊張しながらもその鏡を睨むように見つめた。だが、なんの変化も起きない。
 うーむ、とくに害をもたらすというわけでもなさそうだ。しかしこのまま放っておくわけにもいかないな……。
 ここに鎮座させておくのはとても邪魔なので、なんとかどかせないかと鏡に手をかける。
 すると、どうだろう。鏡面に私の手が、まるで水面であるかのように沈み込んだではないか!
 しかも吸い込まれているようだ。なんてこったい!
 私は必死に手を伸ばし、何かを掴んだ。


・とる>つるぎ


 これは……剣だ。もしこの鏡の先が魑魅魍魎の巣窟であったのなら、私はこの剣一本で生き残らなければならないのか!
 必死で安全を祈りながら、私は鏡の中へ吸い込まれていった……。


   ◇


 ……やがて、私は意識を取り戻した。周りからざわめきが聞こえる。ここはどこだろう? 声の主は魔物たちであろうか……?
 私は恐る恐る目を開けた。すると目の前にいたのは、予想外のものだった。
 子供だ! 桃色がかったブロンドの、顔立ちのよい女の子。だが本来かわいらしいはずのその顔は、なぜか不満で歪められている。

「あんた誰?」

 少女はとげのある声で問うた。だが質問はむしろこちらがしたい。ここはどこなのか? どうして私はここにいるのか?
 とはいえ、このままいつまでも考えてはいられまい。私は覚悟を決めた。


・つかう>つるぎ>しょうじょ


 私は唐突に少女に斬りかかった!
 そう、勇者としての勘が告げている。ここは魔境、この穏やかそうに見える風景も幻、眼前の少女も恐ろしい異形の魔物が姿を変えているに過ぎない!
 この私を騙し、油断しきったところで胃の中に入れてしまおうという魂胆なのだろう。だが、この私を甘く見るなよ!
 ためらいなく全力で振るった剣は少女の首を切り裂いた。だが次の瞬間、私は全てを焼き尽くす火炎によって絶叫した。
 痛みは長く続かなかったのが幸いであろう。私は永劫の闇を彷徨うことになった……。


【ざんねん! わたしの ぼうけんは これで おわってしまった!】


 →CONTINUE


・はなす>しょうじょ


 私は警戒を保ちながら少女に我が身について話した。
 己の名前。ウエストランドの統治する身分。私室で眠ろうとベッドに入り込もうとしたら、いきなり鏡が現れて引きずり込まれてしまったこと。
 だが少女は私の話を聞くにつれて、訳がわからぬという顔をする。私は内心で首をひねった。もしかしたら、ここはとんでもなく彼方の地ではなかろうか……。

「ウエストランド? どこよそれ。それにあんたみたいな冴えない顔の男が王様なんて、冗談もほどほどにして」

 後半の発言には少し顔をしかめたが、今はそれどころではない。
 念のためにカルタス地方やワーロック、シャドウゲイトという言葉に聞き覚えがないかと尋ねたが、結果は変わらない。やはりここは私の知る地ではないようだ。
 私がさらに質問を浴びせようとすると、少女はうんざりとした様子で「ミスタ・コルベール!」と誰かの名を呼んだ。
 一人の中年男性が歩み寄ってくる。その禿頭に視線を向けた瞬間、私は強烈な陽光の反射に目を細めた。まるで呪文「ヒカレタイヨウ」を唱えた時のようだ!

「ミスタ・コルベール。召喚のやり直しを……」

 私は二人の会話に耳を傾けたが、まるで理解できないものだった。使い魔? 神聖な儀式? 平民? いったい何を言っているのだ!

「これは伝統なんだ。ミス・ヴァリエール。例外は認められない」

 どうやらヴァリエールという少女はとうとう折れたようだ。彼女は至極不服な顔で私の前に近寄った。鳶色の双眸が私を見つめる……というよりも、睨む。

「あんた、感謝しなさいよね。貴族にこんなことされるなんて、普通は一生ないんだから」

 少女は私が一国の王であるということを全くのでたらめだと思っているらしい。
 ……たしかに、私室だったのでそれほど華美な服装をしていなかったし、「勇者」である私を歴戦の傭兵か何かと間違えてしまうというのは仕方ないかもしれない。
 だが、この対応はなんなのだ! 私はずっと置いてきぼりを食らってしまっている!
 私は不満の声を上げようとしたが、その前に少女は呪文のような言葉を紡いでいた。

「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール。五つの力を司るペンタゴン。この者に祝福を与え、我の使い魔となせ」

 長々しい詠唱を終えて少女が取った行動を、私は避けることができなかった。……いったい誰がいきなり接吻をされると思うだろうか?
 双方の口が離れた後も、私は呆然としていた。話を聞かぬことといい、今のことといい、頭が痛くなりそうだ……。
 ――だが、痛みは別のところに現れた。左手に猛烈な痛みが走ったのだ!
 いたい! だれか! たすけてくれっ!
 勇者らしからぬ? 痛いのだから仕方ないだろう! 私は狂人のように地面をのた打ち回った。周りの人間は哀れむような目で私を見下ろしている……。
 本当に発狂しかけた時、痛みはやっと引いてくれた。


・はなす>しょうじょ


 私は抗議を口にしたが、少女は不遜な態度で見下すばかりである。
 私が憤然としていると、中年男性が近寄ってきて私の左手の甲を確認する。そこで私は気付いた。文字のようなものが刻まれている!

「ふむ……珍しいルーンだな」

 彼が興味深げにそれを見ている一方で、私はただ唖然としていた。説明しようとはつゆも思っていないらしい。もう何を言っても無駄のようだ……。

「さてと、じゃあ皆教室に戻るぞ」

 次に起こった光景に私は目を剥いた。なんと男や周囲の少年少女たちが一斉に浮いたのだ! ミガルナールのような薬か、それとも未知の魔法か……。

「ルイズ、お前は歩いてこいよ!」
「あいつ『フライ』はおろか、『レビテーション』さえまともにできないんだぜ」
「その平民、あんたの使い魔にお似合いよ!」

 そんな言葉を残して彼らは去っていった。ルイズという名前と思われる少女は、悔しげに空飛ぶ彼らを睨むように見ている。

「……学院に戻るわよ。付いてきなさい」

 ルイズは私の言葉を待たずに、勝手に城のような建物へ向かって歩き始めた。

「何突っ立ってんのよ。早く来なさい!」

 思考が追いつかない私はぼんやりと立ち尽くしていた。いきなり見知らぬ地に連れてこられ、平民呼ばわりをされ、烙印のようなものを刻まれ、挙句一つの話を聞こうともしない……。わけがわからない!


・つかう>つるぎ>セルフ


 私はふと思い至った。そうだ、これは夢なのだ!
 きっとシャドウゲイトでのことを思い出していたせいで、いつの間やら寝入った私はこのような荒唐無稽な夢を見てしまったに違いない。
 夢ならば、どうすれば覚めるだろうか?
 簡単なことだ。私は剣を己の胸に突き刺した。血があふれ出てくる……。
 い、いたい! どういうことだ! これは夢ではないのか!?
 私は激痛に顔を歪めながら、最期にこれは非情な現実であることを悟った……。


【ざんねん! わたしの ぼうけんは これで おわってしまった!】


 →CONTINUE


・いどう>トリステインまほうがくいん


 私はとりあえずルイズに付いていくことにした。道中で、私はようやくいくつかの質問を許された。
 城のような建築物はトリステイン魔法学院。そこは若き“メイジ”の養成機関であり、他国からの留学生も多いのだとか。
 念のために“他国”についても尋ねたが、やはり聞いたことのない国名であった。
 ふと召喚する魔法があるなら送還する魔法もあるのでは、と思いつき尋ねたが、そのようなものは全くないらしい。
 私は顔を暗くした。たしかに未見の地を旅するのは悪くはない。だが、一生故郷に戻れぬというのでは話が別だ。

「感謝しなさいよね。田舎物の平民がメイジに……」

 何やらよくわからぬことをルイズは言うが、暗澹たる心持ちである私の耳には入らなかった……。


   ◇


「私はちょっとすることがあるから、先に中に入ってなさい」

 学院内の女子寮。その中の、自分の部屋の前まで案内しおえたルイズは、そう言ってどこかへ行ってしまった。困惑している私にお構いなしだ。


・あける>ルイズのへやのドア


 いろいろと不満はあるが、このまま突っ立っているわけにもいかないので、私はドアを開けることにした。


・いどう>ルイズのへや


 ルイズの部屋に入った私は、その豪華さに思わず感嘆の声を上げてしまった。これが一生徒の私室だというのか!
 だが私は、この学院の生徒は皆貴族であるというのを思い出した。さらにルイズの家は貴族の中でも最上位にあたる家系。たしかに、それなら納得かもしれないが……。
 私はしばらく室内を見回していたが、急に眠気が襲ってきた。そういえば、私は寝ようとする寸前にここに喚び出されてしまったのだ。
 朦朧とする意識の中、ベッドを認めた私はすぐにそこへ倒れこんだ。考えることは後回しだ。今はゆっくりと眠ろう……。


   ◇


 いきなり頬を叩かれて、私は飛び起きた。ゴツン! 前額を何者かにぶつけてしまう。

「いったいじゃない! 何すんのよ!」

 おでこを抑えているルイズは涙目で私を非難する。あんな起こし方をするほうが悪いと思うのだが……。しかし言い返しても仕方ないので、私は素直に謝罪をした。
 ルイズは渋々私を許したが、今度は別件で怒りはじめてしまった。

「というか、なんであんたが私のベッド使ってるのよ!」

 じつにせわしない娘だ。私は内心で呆れながらも、丁寧に睡眠を取っていなかったことを説明した。さすがにこれには諒としてくれたが、

「ま、今回のことは見逃してあげるわ。次からは、ソコ」

 と、ルイズは床を指差した。私が理解できずに眉をひそめていると、彼女は毛布を一枚こちらへ投げた。……私に床で寝ろと言うのか!
 これには黙っていられない。私は文句を言うが、ルイズは悠然と却下した。

「あのねえ。まさか人間が召喚されるなんて思わなかったんだから、仕方ないでしょ。明日からはなんとかしてあげる。けど、今日はご主人様の命令に従いなさい」

 ご主人様……。その言葉は学院への道中で何度も聞かされたが、いまだに納得がいかない。
 たしかに現状ではどうすることもできないので、当分はここで世話になるしかない。だから、「使い魔」となることを受け入れたのだ。
 ルイズのほうも使い魔がいなければ留年になりかねないということだったので、利害は一致……するはずなのだが、彼女は不満を隠さない。
 どうやら「平民」というのが気に食わないらしい。本当は貴族……というか王族であるのだが、こんなところでそれを主張しても証明するものが一つもないので、私は平民であることの否定は諦めていた。
 どうしたものか、と思案していると、ルイズは窓際のテーブルを指差して私に言った。

「そこに食堂から貰ってきたものがあるから、食べなさい」

 繊指の先にはパンが数個乗った皿があった。私のために持ってきてくれたようだ。なんだかんだ言って、それなりの気遣いはしてくれているのだろうか……?
 私は短く感謝を述べると、窓辺へ歩み寄った。カーテンは開いており、月光が入っているので明るく……。ん? おかしいぞ。明るすぎではないか?
 

・あける>まど


 私は疑問を浮かべながら窓を開けた。身を乗り出し、首を上げて天を仰ぐと……。
 ば、ばかな! どうして月が二つあるんだ!?
 私は混乱の極みに至り、うっかり支えとして窓台に置いていた手を滑らせてしまった。まずい!
 顔を出しすぎていた私は、もう引き戻すことができなかった。私はそのまま窓外へ落下し、頭を地に強く打ってしまった。
 ああ、なんと綺麗な月なのだろう……!
 私が最期に見たのは、美しく大地を照らす異界の双月であった……。


【ざんねん! わたしの ぼうけんは これで おわってしまった!】


 →CONTINUE


 なんとなく疑問を抱いたが、私はひとまず食事にありつこうと椅子に腰を下ろした。


・とる>パン


 私はパンを一齧りし、ふうと息をついた。多少の睡眠は取ったが、それでも理解しがたい状況に置かれているせいで疲労はあまり取れていない。
 暗鬱な気分のまま、私はふと窓の外に目を向けた。先程の異様な明るさを確かめるためだ。
 するとそこには……。なんと!? 月が二つあるではないか!
 私は思わず口の中のパンを喉に詰まらせ、むせてしまう。そんな私を見て、ルイズは呆れたような顔をした。

「あんた……何やってんの?」


・はなす>ルイズ


 私は、己の故郷では月が一つしかなく、このような光景はありえないと狼狽しながら訴えた。だがルイズはますますわけがわからないという様子だ。
 それから私はさまざまなことを詳しく話してルイズに確認をしたが、やはりここは私のいるところとまるで違うようだ。
 なんということだ! ここは「地球」ではないのか……!
 私はがっくりと膝をついた。これではどれだけ歩き続けても故郷に帰ることは成らない……。
 魔王ワーロックの討伐も、守るべき、帰るべき場所があったからこそ恐れを乗り越えて達成できたのだ。
 戻ることのできない旅……私は異郷で朽ち果てるのか……。

「ねえ……気を落とさないでよ。その、あんたが言う『異世界』だけど……わたしも調べるだけ調べてみるから。できることなら手伝うわ」

 ルイズは初めて優しげな声で私にそう言った。それほどまでに私は悲壮な様子だったようだ……。
 私はゆっくりと呼吸を整え、ルイズに感謝を述べた。
 そうだ、完全に希望が途絶えたとは限らない。
 ここにはアカデミーなる魔法研究所があるらしいが、それを頼れば、ひょっとしたら送還魔法を新しく生み出してもらえるかもしれない。
 それにエルフが住まうという「東方」については未知のことが多く、そこにも帰還のためのヒントが隠されているかもしれない。
 そうだ! こんな簡単に諦めるなど、私らしくもない!
 なぜなら私は――


・しらべる>セルフ


 わたしこそ しんの ゆうしゃだ!!

 勇者たる私は、どんなものにも打ち克たなくてはならない! こんな苦境、なんだというのだ!
 必ず帰る道を見つけ出して、私は故郷へ戻るのだ!
 私はそう心を決め、立ち上がった。
 今はこの世界において私は無知である。だから、しばらくはルイズに世話にならなくてはならないだろう。


・はなす>ルイズ


 私はルイズに自分の決意を熱く語った。すると彼女は、「あー、はいはい。わかったから……」と私の考えを受け入れてくれた!
 私が喜悦を顔に浮かべる一方、ルイズは妙にうんざりした表情でため息をつきながら、服に手をかけた。
 ルイズの次の行動に、私は目を剥いた。
 な、なんと! 彼女は私が前にいるにもかかわらず服を脱ぎはじめたのだ!
 私は一瞬混乱したが、すぐに理解した。そうか……! やはりこの真の勇者に早々と惚れ込んでしまったのだな……!
 いやあ、それならば仕方のないことだ。まあ私には彼女のような幼い身体に欲情する趣味はないのだが……。

「……あ、あんた何じろじろ見てんの? あっち向いてなさい!」

 いきなりルイズはそんなことを言ってきた。どうしたのだろう? 見境のない野獣を前にしたような警戒をしているが……。

「……ほんとは使い魔は自分の世話をさせるものだけど、あんたはやんなくていいわ。なんか……危ないし」

 な、なんて言い草なのだろう!
 ほんの少し勘違いした私も悪いのかもしれないが、彼女には常識的な行動をしてもらいたいものだ。この私のように!
 ……とはいっても、相手はまだ子供だ。勇者たるもの、些細なことで怒ってはならない!
 私はルイズが着替えてベッドに潜り込むまで、紳士的に窓のほうを向いていた。

「ふあぁ……今日は疲れたわ……。カーテンを閉じてもらえる? 明かりはわたしが消すから」

 私はルイズの言いまわしに疑問を抱いた。
 明かりとは室内にいくつかあるランプのことだろうが、すでに彼女はベッドで完全に寝る姿勢である。いったいどうやって、その状態で明かりを消すというのだろうか?
 私は首を傾げながらも、カーテンを閉じることにした。


・しめる>カーテン


 窓から射し込む月光を遮ると、部屋の中はかなり暗くなってしまった。ランプの灯火がなければ、足元さえ危ういであろう。

「ご苦労さま。それじゃ、お休みなさい」

 ベッドの中でルイズはそのようなことを口にした。
 ん? 明かりを消すのはどうしたというのだ!
 私はそのことを尋ねようとした瞬間、パチリ、とルイズは指を鳴らした。
 すると……


 ああっ、光が!?
 頼みの綱のランプが消えてしまった。暗い! 見渡すかぎり真っ暗闇だ!
 私は明かりを求めて、手探りで移動しようとした。
 ゴンッ!!
 その途端、足が滑り、壁に強烈に叩きつけられてしまった。


【ざんねん! わたしの ぼうけんは これで おわってしまった!】









                      --- だい2わ おわり ---


















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 この作品、じつは一年半近く前に8割ほど書いたまま放置しちゃってたものでした。
 しかしまあ、なんだかもったいないのでこの機会に投稿させていただきました。
 全体的にやたらと怪しい文章なのはご容赦ください(;´ω`)


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