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No.25031の一覧
[0] 【短編+中編】 覇王と守護獣 その他2編(ザフィーラ×アインス)[GDI](2011/12/02 17:45)
[1] 覇王と守護獣 中編[GDI](2010/12/23 17:44)
[2] 覇王と守護獣 後編[GDI](2010/12/26 21:48)
[3] 祝福の風と守護獣 (Ifの世界) 前編[GDI](2011/01/04 08:12)
[4] 祝福の風と守護獣 (Ifの世界) 後編[GDI](2011/01/05 20:42)
[5] その日、機動六課(IFの世界) その1[GDI](2011/01/15 23:33)
[6] その日、機動六課(IFの世界) その2[GDI](2011/01/15 23:57)
[7] その日、機動六課(IFの世界) その3[GDI](2011/01/16 00:15)
[8] その日、機動六課(IFの世界) その4[GDI](2011/01/17 15:03)
[9] その日、機動六課(IFの世界) その5[GDI](2011/01/16 01:56)
[10] その日、機動六課(IFの世界) その6(完結)[GDI](2011/01/20 21:32)
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[25031] 【短編+中編】 覇王と守護獣 その他2編(ザフィーラ×アインス)
Name: GDI◆9ddb8c33 ID:4c237944 次を表示する
Date: 2011/12/02 17:45
 覇王と守護獣  前編


 聖ヒルデ魔法学院中等科1年生、アインハルト・ストラトスはクラナガン市街を歩いていた。

 特に目的は無い、彼女に普段から散歩の趣味があるわけではなく、どこか目的地に行く途中というわけでもない。今日は学校が休みで、これと言った予定もないから外出しただけだ。
 
 彼女はおとなしい外見とは裏腹に身体を動かすのが好きだ。一見インドア派のような見た目の彼女だが、その身の中では常に覇王の遺志を果たすべく燃える闘志がある。

 以前は通り魔的な行為を行ってしまったが、良き人たちに巡り会ったおかげで、現在はそのような凶行におよんではいない。彼女自身にとっても、今思い返してもアレは無いな、と反省すべき過去である。

 電柱に立って、バイザーで顔隠してストリートファイトを強要。

 文字にしてみて省みれば、顔が真っ赤になるほどの黒歴史だろう。今時パフォーマーだって、そこまでのマネはしない。もし学校のクラスメイトにでも知られようなものなら、その日から不登校決定だ。ただでさえ普段からあまり人と喋らないため、友人が少ない彼女である。そんな噂が立ったら引篭もってしまうかもしれない。

 そんな近い過去に黒歴史を抱えてしまった彼女は、少し遠出をして、今は一人で海岸沿いの道を歩いていた。今日は年下の友人達は学校のレクレーションの準備とかで予定が入っている。そういえば、初等部にはそんな事があったな、とアインハルトは初等部の行事について思い出していた。

 そんな事情で一人で散歩。ここ最近の休日といえば、初等部の友人3人と格闘術の練習が多い。その場合、ノーヴェ・ナカジマを初めとした誰かしらの年長者が付いていて、時に助言を(チンク、ディエチ)、時に相手をしてくれて(ギンガ、スバル)、時に邪魔をする(ウェンディ)というのがパターンだ。それまでは一人でいた彼女にとっては、騒がしいが充実した時間をすごしていたのだが、今日は一人だ。

 もともと彼女は一人で練習を続けていたのだから、誰かがいなければ練習できないなどということは無い。しかし、一人の練習はどこか足りないものがあり、気分を変えるために街を歩いていた。

 アインハルトが今いるのは、彼女にとって見覚えがある場所だった。彼女の記憶によれば、確かここは八神家に行くと途中に通った道で、海岸沿いのそこには一人の少女が格闘術の練習をしていた場所があったはずだ。

 記憶を頼りに歩いていくと、以前少女が練習していた場所には確かに子供が格闘術の型の打ち込みをやっていた。

 しかしそれは以前の少女ではなく、自分より年下であろう見た目の少年である。褐色の肌に、白い髪をした少年だ。実はもっと印象的な特徴があるのだが、その姿を見ているうちにアインハルトはつい思考を止めて魅入ってしまった。

 その理由は、少年が演じている型が、ミッドチルダで一般的なストライクアーツではなく、近代ベルカ式の総合格闘術でもなく、古代ベルカ式の武術だったからである。己が遣う覇王流とは異なるが、間違いなくそれは古代ベルカの武術だ。

 (いったいあの子は何者……)

 自分は覇王流の練習を一日たりとて欠かしたことは無いという自負がある。だから古代ベルカ式の遣い手として、年上の人物ならともかく同年代に自分と同じ力量の古式ベルカの遣い手はいない、と思うくらいの自信はあった。

 己には覇王イングヴァルトの血と記憶を受け継いでいる。彼が果たせなかった悲願を果たすために積んだ鍛錬は、彼女の自信と誇りに繋がっている。

 しかし、目の前の光景は彼女のそんな自信を揺らがせていた。少年が演じている型打ちは自分のソレよりも洗練されて、かつ力強いものだったのだ。

 アインハルトはその場に立ち尽くし、少年が型打ちを終えるまでただじっと見つめていた。











 アインハルト・ストラトスがその場所に着いた時から少し時計の針を戻す。

 海岸の、普段から子供達がたくさん集まり格闘術の練習している場所で、一人の男性が格闘術の打ち込みの練習台を新しく作っていた。

 その人物は褐色の肌に逞しい体つきで、赤い瞳に見事な白い髪が似合っている整った顔の美丈夫だが、何よりも目に惹くのはその犬耳と尻尾だろう。しかし彼は別に特殊な趣味があってこの格好をしている訳ではない。

 彼は八神はやてに仕える盾の守護獣ザフィーラ、この姿は彼の自然体である。

 変身魔法の応用を用いれば犬耳と尻尾を見えなくさせることはできる。かつて海鳴にいたときは何度かそういう事があったが、ミッドチルダに移住してからは一切していない。彼は守護獣であることに強い誇りを持っているので、理由も無く姿を変える事はしないのだ。 

 ザフィーラはあまり人型にならない。狼型の方が落ち着くが別に人型を嫌っているわけではなく、そこには確固とした理由がある。八神家は女性ばかりで男性は彼だけであることに気を遣っていることもあり、主が犬を飼うことに憧れを持っていたという理由がなにより大きい。

 主のためならば、たとえ愛犬扱いも厭わない、誇り高い狼は、つまらない意地と誇りを履き違えたりはしないのだ。断じて主にモフモフされるのが気持ちいいからではない。

 それ以外に仕事でのこともある。彼は局員IDこそ持っているが、固定された役職は無く、魔導師ランクも推定でしかない。そのため部隊のランク保有制限に引っかからない裏技的存在なので、さまざまな部隊に出向に行き重宝されている。

 しかしその際の条件が『狼形態であること』なので、仕事中は人型になれないという制限がある。狼形態の方が魔力使用の効率がよく、拠点防衛や、広域の防御結界の展開には向いているが、攻撃には向かないという弱点がある。しかし、彼一人いれば防衛に割く人数を全て他に回せるということで、出向先からは大変ありがたがれている。

 ゆえに彼が人型でいるのは、八神道場の弟子達に格闘術を教えるときくらいだろう。今までザフィーラ接した人物の中には彼が人型に成れる事を知らない人物も多い。

 本日彼がここにいる理由は、先日弟子の一人が練習台を壊してしまったので、新しい物を作りにきたのだ。弟子が壊してしまったことに対しては、怒られると思ったのかビクビクしている弟子を、よく成長したな、と褒めてやると大変喜んでくれた。基本的に穏やかな彼は滅多なことで怒る事は無い。それが子供に好かれる要因の一つかもしれない。

 しばらく作成作業を黙々と続けていた時に、ふと弟子達が使う前に強度を試してみる必要があるな、と思い至った。今回の練習台に用いている木は、以前の物よりしなやかで弾力性に富んでいるものなので、そう簡単に壊れはしないだろうが、念のためにやっておくべきだろう。

 そして練習台が完成し、いざ試しに打ち込もうとしたが、自分が全力でやれば壊れる。間違いなく壊れる、完膚なきまで粉砕される。手加減しようにも、力加減が強ければやはり壊れる。そもそも自分の身長ではなく、子供達の身長に合わせて作ったので打ち込みづらい。

 今日は八神道場は休みなので誰かを呼ぶわけにも行かない、折角の休日のなかを呼び出す気は彼には無い。ではどうしたものかと思案していると、ふと妙案が浮かんだ。

 以前自分と同じ守護の獣であるアルフに伝授された術式がある。”こいぬフォーム”をさらに人型にアレンジした”子供フォーム”だ。伝授したアルフ自身は、主にかかる負担を減らすために常にこのスタイルでいる。そのため彼女は無限書庫のマスコット的存在として有名だ。

 そのため、常にアルフと一緒に仕事しているユーノ・スクライア司書長に幼児偏愛者の噂が立ってしまっている。追い打ちをかけるように昔彼が面倒を見ていた高町ヴィヴィオとその友人たちが、頻繁にお遊びに来たりしていたので余計に噂に拍車がかかってきている。(その噂は主も一枚噛んでいるようだ)

 しかし、ユーノが中性的、というより女性ような容貌と体つきなので、噂はあくまで面白半分だ。これがもしユーノが男らしい顔と身体だったら違ったかもしれない。

 そもそもユーノ・スクライアはヴィヴィオの義母である高町なのはと恋仲なのだ。本人達がそう明言しているわけではないが、2人の間にある空気は夫婦に近いものがある、とザフィーラは思っている。

 それを考えると、己の主八神はやても良縁が無いものかと思ってしまう。贔屓目ではなく、主は器量も良く人格も素晴らしい。しかし男性とはあまり縁が無い。ナカジマ三佐などは申し分ないが、彼は今でも亡き妻を愛しているので無理だろう、残念だ。

 それに八神家のほかの女性にしてもそうだ、彼女達は既にプログラム体ではなく使い魔のような魔法生物と同じ生命体になっている。だから一人の女性としての幸せも掴んでも良いのだ。シグナムにはヴァイスという男がいる、ザフィーラも認めている好青年だ。彼にならシグナムを任せられると思う。

 残念ながらヴィータとシャマルにはそういう候補となる相手はいない。ヴィータは容姿的に難しいかもしれないが、シャマルは申し分ない器量と性格を持っているのに、何故だろうとザフィーラは首をかしげる。

 融合騎であるツヴァイとアギトは難しいか。

 ―――お前の分も、ツヴァイには幸せでいて欲しいものだがな―――

 既にこの世にいない、しかし忘れもしない大事な友を思い、彼女も生きていれば一人の女性としての幸せをつかめただろうか、という思いを抱き、詮無いことを、と苦笑した。

 そしてもの思いから頭を離し、変身に集中することにした。 

 彼自身試したのは伝授された時のわずか一回だが、一度覚えた術式を簡単に忘れるようでは夜天の主の守護獣は名乗れない。例え同じ守護騎士でうっかり属性を持っている医務官でも、やるときはきちんとやるのだから。

 ”子供フォーム”になればちょうどたった今完成したばかりの練習台と身長が合う。それに、今後子供達と組み手をするのに最適かもしれない。どうして今まで思いつかなかったのか、と内心苦笑したほどだった。

 そして術を展開する。ザフィーラの足元にベルカ式の魔方陣が浮かび、彼自身の魔力光である白い光が彼を包む。

 その一瞬後には、そこに見た目9、10歳ほどの少年が立っていた。黒いランニングシャツにハーフパンツという格好で、先ほどまでのザフィーラの姿に近い白い髪に赤い瞳、何よりもその犬耳と尻尾という特徴が少年がザフィーラであることを示している。

 変わった自分の姿を見下ろし、軽く手を握ったり閉じたりし、また軽く足踏みをしたりして身体の調子を確認してみる。特に異常が無いことを確認した後、海の方へ行き、水面で自分の姿を確認してみる。

 (ふむ、外見はヴィータやツヴァイと同じ位の歳か、皆が見たらなんと言うだろうか)

 以前アルフに教わった時は他に誰もおらず、また”子供フォーム”になれることは誰にも言ってないので、自分のこの姿を見た者も知る者もアルフ以外はいない。そして自分もアルフに”ちゃんと出来ているよ”という言葉だけで己の姿を確認していなかった。

 (シグナムは特に何もいわんだろうな。ヴィータやツヴァイ、それにアギトは案外喜ぶかも知れん、同じ子供の外見仲間が出来たことを。シャマルや主は……なにやら嫌な予感がする)

 なんとなく、色々な服装をさせられそうな気がする。悪ノリした2人の様子が目に浮かぶ、そしてそれを止められる者は存在しない。

 (ミウラをはじめ、子供達もおそらく喜んでくれるだろう)

 今の形態で子供達と組み手をしている光景を想像すると、無意識に口元が緩んだ。

 (さて、では一通り型を打ち込んでみるか)

 いつまでも想像にふけっていても仕方が無い。ザフィーラは再び練習台の元に戻り、構えをとった。そして上段、中断、下段の型を試していく。低い視点、短いリーチ、全体的に弱体化した身体能力、最初はどれも慣れずに違和感があったが、2度3度と型を繰り返すうちに、だんだんこの形態になじんで来た。

 「はあぁ!!」

 そして全力の一撃を放つ。その威力は本来の1/3ほども出ていないが、型の流れは綺麗に決まった。おそらくミウラの全力の一撃と同じかそれより少し上くらいの威力だろう。

 「よし、これなら子供達が打ってもそう簡単には壊れんだろう」

 練習台の強度も確認されたことだし、もとに戻ろうかと思ったザフィーラだったが、今の姿で子供達と組み手するには、もう少し慣らしておいたほうが良いだろう、と思いなおし何度も型を繰り返す。魔法の方も試して見たかったが、ここで攻撃魔法の行使は禁じられているので、今度専用の施設で練習してみよう、と予定を立ててみる。

 仮想敵にヴィータを見立て、イメージトレーニングをする。結果は全敗だったがそれは当然だろう。しかし最後に一撃を与えることは出来たので、及第点は取れただろう、と自己採点をする。

 そして、ふと誰かの視線に気づいた。今まで訓練に没頭していたため気づかなかったが、確実に誰かが自分を見ている。この近所ではここで子供達が格闘術の訓練をしていることは知っているから、自分がこうしていてもそれほど奇異には写らないだろう。しかしこの視線はそういった類のものではない。もっと真剣な視線だ。

 視線を感じているほうに目を向けると、そこには虹彩異色の瞳の少女が立っていた。








 

 アインハルトはじっと少年の動きを見ていた。それは観察と言えるほどのものではなく、ただ目が離せないという理由からだったが、その動きの中に己の技を高めるヒントのようなものがあれば、即座に頭のなかでシミュレーションすることは忘れていなかった。

 しかし、やはり忘我の心地でいたことは間違いなく、型を中断した少年が自分の方を見ていることに気付くのに少々遅れてしまった。

 そのことにアインハルトは少し戸惑った。やはり黙って見ていたことは失礼だっただろうか、ここはきちんと誤るべきだろうか、と頭はめまぐるしく回転しているものの、まったく言葉には出てこない。これは人付き合いが苦手な彼女が嵌ってしまうパターンだ。

 かけるべき言葉は何が良いだろうかと、アインハルトの中で12パターンくらいのセリフを考えていると、そんな彼女の様子(内心は焦っているが、外見はほぼ無表情のまま黙っているように見える)をどう思ったかは分からないが、少年のほうから声をかけてきた。

 「私に何か用だろうか」

 声そのものは少年らしい高い声だが、その口調は落ち着いたもので、気分を害している様子はない。そのことにアインハルトは安堵したが、同時に少年の外見と口調の差にすこし疑問を感じた。しかし、それは彼の姿を改めて見たときに答えが出たように思えた。

 獣耳と尻尾、ようやくながらこの特徴に気付いた彼女は目の前の少年の年齢が、見た目相応ではないだろうと察した。そして相手の物腰に彼女も焦っていた気持ちを落ち着け、少年に言葉を返す。

 「だまって見ていてしまって申し訳ありません」

 「いや、別段構わん。ここは別に立ち入り禁止の場所というわけでもないから、お前・・・…、いや君が謝る必要はないだろう」

 お前、といおうとして君と言いなおしたのは、初対面であることを考慮したのか、とりあえず思ったとおりに相手の精神年齢は見た目よりずっと高そうだ。

 「有難う御座います。それと、話し方はべつに気を遣ってくださらなくても大丈夫です」

 「そうか、すまんな。では私の普段の口調で話させてもらおう」

 「はい」

 「一つ問うが、なぜ私のことを見ていたのだ?」

 彼が普通の少年でないことは分かっても、年下の少年の外見と声で重厚な口調で話されると、どこかチグハグな印象を持ってしまう。なので彼女はまずその点を聞いてみることにした。

 「すみません、その前に一つ答えてもらってよいですか?」

 「何だろうか」

 「あなたは守護獣なのでしょうか?」

 「……………」

 彼女の質問に少年は沈黙した。何か答えられないような問いをしてしまっただろうか。とアインハルトが内心で戸惑っていると、少年が口を開いた。

 「違ったらすまないが、お前は聖王教会の関係者か、もしくは古代ベルカ式の遣い手か?」

 アインハルトは驚いた。なぜ彼は分かったのだろうか、確かに自分は古代ベルカの、覇王流の遣い手だ。それと聖王教会と直接関係はないが、”聖王”との交流はある。そのことにわずかながら警戒心が生まれる

 「……はい、私は古代ベルカ式の遣い手、もっともまだまだ未熟者ではありますが。どうしてそれが分ったのですか?」

 「私のような者を『守護獣』と呼ぶ者は今の時代そうはいない。せいぜいが聖王教会の教会騎士か、数少ない古代ベルカ式の遣い手だけだ。それゆえに、お前がどちらかではないかと思ったのだ、他意はない」

 アインハルトが警戒心を抱いたことを悟ったのか、少年は最後に薄く微笑んだ。その笑みは実に年下の少年らしくないものだったが、不思議と違和感はなかった。

 「では、やはりあなたは」

 「いかにも。盾の守護獣ザフィーラ、古代ベルカの時代に生まれた狼だ」

 少年の言葉は予想外のものだった。守護獣だということは予想できたが、数少ない古代ベルカ式の騎士の守護獣だと思っていたので、まさか古代ベルカから生きている守護獣だとは思わなかったのである。それならば年齢は数百を超えるだろう、口調が重厚で大人びているのも納得できる。

 「古代ベルカから生きている守護獣なのですか……」

 「いや、私はその間ずっとこの世に在り続けたていたわけではない。実際に活動していたのは、百年ほどだろうか」

 それでも十分な年齢だ、とアインハルトは思う。それに今の言葉は気になる内容ではあったが、少年から漂う雰囲気からそのことを聞くのは憚られた。あまりやすやすと聞いて良いことではなさそうだ。

 「そうなのですか…… それにしても貴方の型は見事でした。このミッドチルダでは古代ベルカ式の格闘術は滅多に見れません、それでつい見入ってしまったのです」

 「そうか、お前も古代ベルカの武術をやるのか」

 「はい」

 今はほとんど伝わっていない覇王流。それを編み出したイングヴァルトの果たせず遺した想い。覇王流を以って最強を証明すること、それがアインハルトの悲願。ヴィヴィオたちと出会いすこし前とは考え方も変わってはきたが、その根底は変わらない。

 「ならば、もし良ければだが少し練習に付き合ってもらっていいだろうか? この姿はまだ慣れていないので、組み手相手がいれば助かる。それが古式ベルカ武術の使い手ならば尚更だ」

 願っても無い誘いだった。彼女自身、この少年(の姿をした守護獣)と打ち合ってみたかったのだ。口下手な彼女としては、どう切り出そうか悩んでいたところだったのだから。

 「はい、こちらこそ是非お願いします」

 
 ある昼下がりの海岸で、古代ベルカの覇王の末裔と、盾の守護獣は出会い、ともに練習を始めた。この少し後、アインハルトが出場する予定のインターミドルチャンピオンシップに、ザフィーラの弟子であるミウラも出ることを考えれば、これは奇縁といえる出会いであったかもしれない。 

 

 ―――――――――――――――――――――


 アインハルトが古代ベルカの武術の遣い手なのに、同じ古代ベルカの近接の専門家のザフィーラが出ないというのはどういうことだ、オイ! どうなってんだコンプエース、藤真、都築! などど馬鹿なことを言ってた時にミウラと一緒に人型ザッフィー出てきたときは超歓喜しました。さらに特別編で人型ザッフィー再登場時は本屋でガッツポーズしました。いままで流し読みで、かつコミックスは買ってなかったけど、3巻は必ず買うとその場で誓いました。そしてせっかくだから1,2巻も買いました。
 一応この話は前後編なので、そのうち後編も書きます。いつになるかは分かりませんが…… この話を読んで下さった方々にはありがとうございます。ザフィーラはもっと評価されていいと思うんだ。そして出番が増えてもいいと思うんだ。

 あと、ニコニコ動画にある「ICE DOG」は神MAD。タグで「ザフィーラ」で検索すれば出てきます。ザフィーラ好きならば必ず見るべし。ザフィーラ好きじゃなくても見てザフィーラを好きになるべし。


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