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No.24918の一覧
[0] 5/19外伝公開(sage更新)ヤンデルイズ(ルイズヤンデレ逆行?もの2スレ目)【完結】[YY](2011/05/19 20:19)
[1] 第九十八話【禁忌】[YY](2010/12/21 17:25)
[2] 第九十九話【憤怒】[YY](2010/12/17 20:56)
[3] 第百話【黒幕】[YY](2010/12/21 17:29)
[4] 第百一話【探索】[YY](2011/01/14 18:02)
[5] 第百二話【蜜月】[YY](2011/01/09 00:03)
[6] 第百三話【金髪】[YY](2011/01/21 17:56)
[7] 第百四話【序曲】[YY](2011/02/03 17:31)
[8] 第百五話【誘拐】[YY](2011/02/03 17:39)
[9] 第百六話【崩壊】[YY](2011/02/08 17:23)
[10] 第百七話【再怪】[YY](2011/02/21 17:45)
[11] 第百八話【忘却】[YY](2011/02/22 17:35)
[12] 第百九話【狂王】[YY](2011/03/08 19:07)
[13] 第百十話【不殺】[YY](2011/03/08 19:09)
[14] 第百十一話【不眠】[YY](2011/03/16 00:15)
[15] 第百十二話【事実】[YY](2011/03/28 23:39)
[16] 第百十三話【動乱】[YY](2011/05/01 06:34)
[17] 第百十四話【愛比】[YY](2011/05/01 06:35)
[18] 第百十五話【先住】[YY](2011/05/01 06:36)
[19] 第百十六話【爆炎】[YY](2011/05/01 06:36)
[20] 第百十七話【激怒】[YY](2011/05/01 06:37)
[21] プロローグにしてエピローグ[YY](2011/05/01 06:38)
[22] 外伝1【それからのとある日常】[YY](2016/01/03 22:00)
[23] 外伝 【END EPISODE ~終章~】[YY](2011/05/19 20:14)
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[24918] 第百六話【崩壊】
Name: YY◆90a32a80 ID:041859d1 前を表示する / 次を表示する
Date: 2011/02/08 17:23
第百六話【崩壊】


 たった一人の少女の怒りによって無限に広がる蒼天は割け、硬くずっしりとした地は割れる。

 浮遊の名を冠す大陸がみるみる崩れ落ち、例外なく落下の一途を辿る。

 まさに破滅、滅亡、地獄。

 世界の終わりさえ想像させるそれはある意味開闢の時と言っても差し支えない。

 崩れ、砕け、塵と化し、他を巻き込んでそれすらも破壊の権化の仲間入りをさせていく。

 破壊は破壊を呼び、さらなる破壊を生み出して、崩壊への足がけをねずみ算式に増やして加速していく。

 それはまさにこの世の終わり、大陸の崩壊だった──────────



「……それで?」

 紅いロングヘアーを揺らして、褐色の肌を惜しげも無く晒す少女、キュルケ・アウグスタ・フレデリカ・フォン・アンハルツ・ツェルプストーは、呆れたような視線を目前の少年に向けた。

「いや、それでって……本当に“それぐらい”大変だったんだよ!!」

 少年、ギーシュ・ド・グラモンはやや立腹気味に声を荒げるが、その姿は酷くみっともない……もといボロボロだった。

 片目は腫れ上がって見えなくなっており、あちらこちらにも青黒い内出血のアザが見られ、頬は膨れあがり、開いた口には何本か歯が無くなっていて、ここに来た時は新品だったマントは無惨にも見るに堪えない……平民ですらこれはもう着ないと言うほどの有様だった。

「大変だったのはこの“惨状”を見ればわかるけど、今の話を聞くと実際の襲撃があった時貴方は寝てたんでしょう?それなら本当に大変だったのはミスタ・コル……ジャンと元皇太子サマじゃないの。だいたい何が“大陸の崩壊”よ、大げさにも程があるわ」

「君は実際に“彼女”に相対してないから大げさだなんて言えるのさ。正直、僕はサウスゴータで一番槍を果たした時、つまりこの腕を失った時よりも死を強く覚悟したよ」

「それにしたって“大陸”は言い過ぎよ。いくらなんでも“ルイズ”にそこまで出来るとは思えないわ」

 キュルケは、ギーシュから事の顛末を聞いていた。

 彼女たちが戻ってきたのは翌々日の昼過ぎだった。

 戻ってきてみると、それこそ戦争があったのではいかと勘繰りたくなるほどの戦闘の跡があった。

 ティファニアの家は無事のようだが、家の中からは人の叫び声のような“音”が断続的に響いている。

 これはただごとではないと女性三人は慌てて家の中に駆け込んだのだ。

 声の主はルイズだった。

 彼女は“音”としか形容できぬ声を張り上げ、暴れながら外へ出て行こうとし、その度に魔法で眠らされて寝室に連れていかれていた。

 だが、何故かすぐに目を覚ましてまた同じ行動を繰り返す。

 コルベールやエレオノールには信じられなかった。

 いくら効きが弱かったり浅かったりしても、これほどすぐに目を覚ませる物でも無い筈なのだ。

 考え難い事だが、ルイズは“並大抵ではない眠りに対しての耐性”が出来ているのではないか、というのがコルベールとエレオノールの共通見解だった。

「キュルケ、戦場に出てもあれほどの恐怖はそう無いよ。本当に、本当にルイズは“やばかった”んだ。あれに比べたらその寝てた時に見た夢……“モンモランシーに良く研いだノコギリで足を切断されるという悪夢”も可愛いものさ」

「って言われてもねぇ……」

 キュルケにはイマイチ信じられなかった。

 確かにルイズの異常性を感じることはあった。

 だが、“大陸”を一つ崩壊させるほどの力などあるようには思えない。

 もっと言えば、この世にそんな事が出来る“個人”など居るとは到底思えない。

 彼女の“溺愛”している使い魔が攫われたというのは聞いている。

 あれだけの溺愛ぶりだったのだから、取り乱し、怒り狂うのも無理はない。

 それでもキュルケにとってのギーシュの言葉は“大げさ”の一言に尽きた。

 と、そこに疲れた顔をしたコルベールが戻ってきた。

 コルベールもまた、ギーシュほどではないにしろ満身創痍を思わせる出で立ちだった。

「ミスタ!! どうですか、ルイズの様子は」

「今、ここに来ますよ。ようやく、少しだけなら話が出来るほど落ち着いたようです。いえ、あれを落ち着いたと言えるなら、ですが……」

 そこまで話して、すぐに背後からエレオノールとルイズが顔を出して来た。

 エレオノールには流石に何も無かったようだが、ルイズの目は血走り、目の下には深い隈を作って、頬がやや痩せていた。

 あれだけ綺麗で枝毛の一つも見えなかった桃色のロングヘアーも、あちこちが跳ね、薄汚れている。

 両の拳は傷だらけで、血がこびり付いていた。

 キュルケは息を呑んだ。

 ルイズはいつも、それこそ生まれのせいか“高貴さ”を全身から纏っていた。

 それが今はどうだろう。

 高貴さなどはなりを潜め、見る物全てを敵と認識するようなギョロリとした目は、とても公爵家令嬢とは思えない。

 だが、そんな“彼女を彼女とも思えない現在の姿”などは、まだ“些細な事”だった。

 問題なのは……圧倒的な“重圧感”

 有無を言わせぬ脅迫に似たプレッシャーが、今のルイズからは迸っていた。

「ミズダ、約束でず。早ぐ話を」

 やや掠れ、枯れた声でルイズが口を開く。

 いや、果たしてそれは声だったのだろうか。

 そう疑問を持つほどに、彼女の声は“異様”の一言に尽きた。

「わかっていますミス・ヴァリエール。しかしまずは何か飲み物を頂きなさい。そのままでは喉が壊れてしまう」

「早ぐ、早ぐじないど……!!」

「大丈夫、大丈夫です。先程も言った通りまだサイト君は無事な筈です」

 コルベールの説得のような言葉に、ルイズはしぶしぶ従い、コップの水を飲む。

 これが、彼女があの晩以降始めて口にした物だった。

 ルイズは水を一気にあおるとすぐにコルベールを睨む。

 そんなルイズにコルベールは内心で溜息を吐いた。

 今のルイズの喉は凄絶な叫び声の影響と、長時間の渇水のせいで火傷に似た状態と言っても良い。

 本来なら水分でさえ喉に通せば激痛が奔る筈なのだ。

 それがそんな素振りすら見せない。

 (今の彼女は怒りで肉体の痛みを忘れて……いや遮断している。今はそれでいいかもしれないが、いざ我に返った時、彼女はどれだけのしっぺ返しが来ることになるか……) 
 
 本当ならコルベールはルイズには休養を命じたい所なのだが、休養が必要に成る程暴れた原因が“彼”な以上、それは無理という物だ。

 安静の為に眠らせるというある意味での最終手段は効果が薄い以上、彼女自身の為にはむしろ彼女の望むことをやらせた方がマシな状況まで来てしまった。

 その為、コルベールは自身が気付き、考えていたことと“彼への希望”を話すことにしたのだ。

 その条件としてルイズは一旦大人しくなることを強制させられた。

 今は応じているが、話が終わった時彼女がどう行動するかは想像に難くない。

 それでも、今は彼女に話をするほか手が無いことをコルベールは恥じつつ、しかし何かの対策を考えながらもルイズとの約束通り説明しだした。

「話によると前の襲撃ではサイト君は命を狙われたそうですな。それが今回は誘拐、となれば相手方には“サイト君を生きたまま捉える理由”が出来た事になります。そうでないならサイト君は即座に殺されていてもおかしくないし誘拐するメリットが無い」

 コルベールは時間をかけ、順序立てて説明していく。

 もっとも、その辺の事はすでにルイズも想像していたようだった。

「ぞんな事はわがっでいまず。問題はザイトがいつまで無事か、何処に連れで行がれたがです」

「その通りです。貴方は当初どうするつもりだったのですか?」 

「逃げた方向を片っ端がら追いがげ、怪じい物は全部潰じます……“全部”」

 場の空気が凍る。

 ルイズは大真面目だった。

 いがいがとした声なのに、背筋が凍りそうになるほどに鋭い刃を思わせる深い一言だった。

「気持ちはわかりますがそれはいけません。冷静さを失ってはいけませんよ」

「私は冷静です。ぞれより行ぎ先の心当だりを早ぐ教えで下ざい、約束……破りまぜんよね?」

 ルイズの抑揚の無い声が、コルベールをヒヤリとさせる。

「っ!! そうですか、それは失礼しました。さて、私の気付いた事ですが……ミス・タバサのことです」

 コルベールはシェフィールドの言葉から一つの仮説を立てた。

 シェフィールドが言った『ガーゴイル娘』とはタバサの事ではないのか、と。

 もしそうならタバサの故郷、それもタバサに近しい所にサイトは誘拐されている恐れがある。

 コルベールは事の顛末を説明しながら、ここらでタバサの事を調べるために学院に戻ろうと提案するつもりだった。

 同時に学院ならばルイズをどうにか出来るかもしれないと思ったのだが、その思惑は彼女、キュルケによって壊される。

「なんですって!? タバサが!? それじゃあ“ガリア王”が絡んでるってこと!?」

 言ってからハッとする。

 ルイズがキュルケを真っ黒な目で見つめていた。

 続きを、と無言の圧力がかかり、とても“逆らえない”

「わ、私も詳しくは知らないわ。でもタバサはガリア王家の人間なのよ。たしか現国王の弟の娘って聞いたわ。タバサのお父様は兄弟同士での覇権争いで亡くなっていて、そのせいでタバサはいろいろあるようなの」

 それを聞いていたコルベールは、何となくタバサが何をし、どうなったのか想像が付いてきた。

 話を聞いていたエレオノールは思うことがあったのか、ルイズに心配そうに言う。

「ルイズ? 貴方まさかガリアに行こうなんて言い出さないわよね?」

「行ぎます」

「危険だわ!! 相手は国なのよ!? せっかく戦争で生き残れた奇跡をここで捨ててしまうつもり!? 私やお父様お母様、カトレアだって貴方のことはとても心配していたのよ、ここは実家に帰ってゆっくり養生して使い魔の事はお父様にでも働きかけてもらえば……!!」

 エレオノールは即答したルイズを止めようと声を大にし、同じくルイズの言葉を聞いたキュルケも声を荒げた。

「もし今までの推測が正しいなら相手は大国ガリアの王家よ!? 貴方一人でどうにかできるわけ無いじゃない!! 万が一出来たとしてそれは王家に喧嘩を売ったのと変わらない事になりかねないわ!! そんな事になれば火の粉は貴方だけじゃない、トリステインやガリア国民にだってかかって来る恐れがあるのよ!!」

 この時キュルケは、ルイズの言葉は軽く、何も考えていないとしか思わなかった。

 その声を聞くまでは。



「───────────だから?」



「なっ!?」

先程までの掠れた声ではないどうどうとした声で。



「“そんなこと”は“どうでもいい”のよ。サイトさえ、サイトさえ無事なら」



ルイズのその言葉に、反論を重ねる事の出来る者はいなかった。

あまりに暗く、あまりに重く、あまりに“黒い”

絶句する以外、出来る術の無いギャラリーは、彼女の深淵の一端を見た気がした。



「トリステインとか、ガリアとか、そんな“国程度”のものなんてサイトとは比べられないもの。サイトの為なら国なんて“イラナイ”わ」



この時、キュルケは何故か、ギーシュの言が大げさでは無かったと感覚的に理解した。

彼女は、本当にやる……いや、“やってしまう”と。




***




ルイズが家を出て行ってからすぐ、一人、また一人と突き動かされるようにルイズを追いかけ出し、みるみる人がいなくなった。

結局、役目があると言うアニエス、もともとの住人のティファニアとウェールズという三人を残し、皆が居なくなる。

住人が急に増え、また減ったこの家。

そんな家に、ルイズ達が旅立って数日が経ったある日、純白のドレスを纏う美女が訪れた。


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