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No.24886の一覧
[0] 「とある金髪と危険な仲間達」【とある魔術の禁書目録 TS 憑依?】[カニカマ](2012/01/31 15:53)
[1] 第零話「プロローグ」[カニカマ](2011/04/28 14:54)
[2] 第一話「私こと藤田 真はまだ元気です」[カニカマ](2011/04/28 14:56)
[3] 第二話「ファーストコンタクト」[カニカマ](2011/09/08 00:08)
[4] 幕間1「フレンダという名」[カニカマ](2011/09/08 00:09)
[5] 第三話「Nice Communication」[カニカマ](2010/12/12 07:46)
[6] 第四話「とある奴隷の日常生活」[カニカマ](2011/04/28 14:59)
[7] 第五話「今日も元気に奉仕日和」[カニカマ](2011/04/28 14:59)
[8] 第六話「ルート確定余裕でした」[カニカマ](2011/04/28 15:00)
[9] 第七話「  闇  」[カニカマ](2011/04/28 15:00)
[10] 幕間2「私の所有物」[カニカマ](2011/04/28 15:01)
[11] 幕間3「『道具(アイテム)』は闇へ……」[カニカマ](2011/04/28 15:01)
[12] 第八話「この台詞二回目ですね!」[カニカマ](2011/04/28 15:02)
[13] 第九話「暗部の常識? 知らぬぅ!」[カニカマ](2011/09/08 00:16)
[14] 第十話「『俺』の生き方は『私』が決める」[カニカマ](2011/09/08 00:18)
[15] 幕間4「知らぬ所で交錯するっていう話」[カニカマ](2011/04/28 15:04)
[16] 第十一話「原作キャラ可愛すぎです」[カニカマ](2011/04/28 15:05)
[17] 第十二話「友達が増えたよ!」[カニカマ](2011/04/28 15:06)
[18] 第十三話「来てしまった今日」[カニカマ](2011/04/28 15:07)
[19] 第十四話「とある金髪の戦闘行動(バトルアクション)」[カニカマ](2011/04/28 15:07)
[20] 第十五話「幻想御手と無能力者」[カニカマ](2011/04/28 15:08)
[21] 第十六話「話をしよう」[カニカマ](2011/04/28 15:08)
[22] 第十七話「電磁崩し」 幻想御手編 完結[カニカマ](2011/04/28 15:10)
[23] 予告編『絶対能力進化計画』[カニカマ](2011/02/10 17:36)
[24] 第十八話「とあるお国のお姫様」[カニカマ](2011/04/28 15:10)
[25] 第十九話「とあるお国のお友達」[カニカマ](2011/04/28 15:11)
[26] 第二十話「予想外」[カニカマ](2011/04/28 15:12)
[27] 第二十一話「やるしかない事」[カニカマ](2011/04/28 15:12)
[28] 幕間5「認めたくない過去、認められない未来」[カニカマ](2011/04/28 15:13)
[29] 第二十二話「フレンダですが、部屋内の空気が最悪です」[カニカマ](2011/04/28 15:14)
[30] 第二十三話「偽善」[カニカマ](2011/04/28 15:14)
[31] 第二十四話「覚悟完了」[カニカマ](2011/04/28 15:15)
[32] 第二十五話「最高の危機」[カニカマ](2011/04/28 15:15)
[33] 幕間6「それぞれの戦い・前篇」[カニカマ](2011/04/28 15:16)
[34] 幕間7「それぞれの戦い・後篇」[カニカマ](2011/04/28 15:25)
[35] 第二十六話「戦いの終わりに」『絶対能力進化計画』編 完結[カニカマ](2011/04/29 09:21)
[36] 第二十七話「お見舞い×お見舞い」[カニカマ](2011/05/23 01:07)
[37] 予告編『最終信号』編[カニカマ](2011/05/23 01:10)
[38] 第二十八話「復活ッッッ!」[カニカマ](2011/06/05 12:46)
[39] 第二十九話「俺、故郷に帰ったら結婚するんだ……」[カニカマ](2011/06/29 20:01)
[40] 第三十話「白と毛布とイレギュラー」[カニカマ](2011/07/16 15:41)
[41] 第三十一話「(話の)流れに身を任せ同化する」[カニカマ](2011/07/17 23:48)
[42] 第三十二話「朝一番」[カニカマ](2011/11/24 02:37)
[43] 第三十三話「ミサカネットワーク」[カニカマ](2012/01/31 15:49)
[44] 第三十四話「逃げたいけれど」[カニカマ](2012/01/31 15:52)
[45] *「簡単なキャラクター紹介」*キャラ追加&文追加[カニカマ](2011/11/24 02:37)
[46] 番外1「とある首輪と風紀委員」[カニカマ](2011/04/28 15:18)
[47] 番外2「転属願い届け出中」[カニカマ](2011/04/28 15:19)
[48] 番外3「二人のお馬鹿さんと一人の才女」[カニカマ](2011/04/28 15:19)
[49] 番外4「とある部隊の不幸体験」[カニカマ](2011/04/28 15:19)
[50] 番外5「宝物」[カニカマ](2011/04/28 15:20)
[51] 番外6「寝顔シリーズ」<『妹達』、佐天さん追加>[カニカマ](2011/06/25 16:11)
[52] 番外シリーズ1「『学園都市』の平和な一日・朝」[カニカマ](2011/04/28 15:21)
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[24886] 第二十二話「フレンダですが、部屋内の空気が最悪です」
Name: カニカマ◆b465aa7c ID:500ae757 前を表示する / 次を表示する
Date: 2011/04/28 15:14
「フレンダですが、部屋内の空気が最悪です」



 淀む空気、凄まじいまでの緊張感……それを感じつつ俺は台所でお茶を用意しています。やばいやばい、空気がおかしい。今までも相手をとっ捕まえて情報吐かせたりする事はあったけど、こんな空気になった事はないです。大抵談笑しながら麦のんが脅しをかけて、それで終了って場面が多かったんですよね。暗部の人間は薄情な奴も多いので、簡単に情報吐くし。
 だらだらと汗をかいたままお盆にお茶を乗せてリビングに向かう。正直リビングに戻った瞬間に泣かなかった自分を激しく褒めてあげたいくらいですよ……
 リビングにはソファーに座っている麦のん、窓の前に立つ絹旗、麦のんを治療し終えて治療箱をしまう滝壺。そして……両手両足を縛られて猿轡を噛まされた布束さん。
 いや、俺は外してあげてもいいと思ったんですけど、絹旗が断固として認めてくれませんでした。あの体勢辛いと思うし、俺個人としても布束さんみたいに良い人をこのままにしておくのは辛いんですよね。普通いないって、『妹達』助けようとする科学者……学生か? まぁ、関係者という事にしておきますか。芳川さんですら、名前をつけたりする事はあっても助けようと積極的に動いた感じはなかったしね。
 麦のんは俺から受け取ったお茶を飲んで一息吐くと、視線を布束さんへ向ける。絹旗に視線で合図したと思ったら、絹旗は布束さんに近付き、乱暴な動作で猿轡を外しました。うぁ、口元切れちゃってる……もう少し優しく外して上げましょうよ。顔は女の命なんですから。

「さて、これからアンタにはいくつか聞く事があるんだけど」

 麦のんが高圧的な態度のまま言い放つと、布束さんはキッ、と睨みつけてそれに応えた。が、麦のんはそんな事気にしていない様子でのんびりと口を開く。

「余計な事は言うな、私が聞いた事だけ答えれば良いから。拒否権は無しよ」

 ひぃぃ……麦のんが超怖い……というか滝壺と絹旗もすげぇ怖い! 普段の怒ってたりスイッチ入ってる時も相当怖いけれど、今の怖さはそれ以上かも。冷たくて、下手な事するとぶっ殺されそうな感じがするぜよ。

「とは言っても、大まかな事は知ってるのよね。『絶対能力進化計画』に御坂のクローンが使われてるって事。そしてこの実験に『一方通行』が関わってるって事……」

 『一方通行』の名前が出た瞬間、絹旗の表情が多少の変化を見せる。あんまりよく覚えてないんだけど、確か絹旗がいた施設でやった実験も『一方通行』絡みなんだっけか? 暗闇の何ちゃらだか何だか……名前忘れてしもうた……

「とりあえず、あの施設は放棄されるみたいだったし、私が機材ブッ壊しちゃったけど実験はストップするのかしら?」
「……」

 麦野の問いかけに、布束さんは睨みつけたまま微動だにせず応えない。その姿勢に麦のんは何を感じたのか分からないけれど、口元を軽く歪めて嗤った。なんつー顔……長年一緒にいる俺でもゾッ、とする顔だったわ。原作の浜面追っかけてた時はああいう顔してたかもしれない。とか俺がのんびり考えていたら、突如麦のんが『原子崩し』を放った。それはいつもよりも細い一撃だったけれど、『原子崩し』は威力が弱くても大抵のものは貫通する。慌てて布束さんに視線を移すと、そこには血に塗れた布束さんの姿が……!
 いや、死んでないんだけどね。どうやら麦のん、右肩に掠らせたみたい。血に塗れてると言っても、肩に掠った『原子崩し』のせいで少しだけ出てるだけです。流石は麦のん、とりあえず脅しとしては一級品と言えるでしょう! いきなり直撃させるなんて真似は……

「あら、耳を吹っ飛ばすつもりだったんだけど狙いが逸れたわね」

 む、麦のぉぉぉぉぉぉん!!? い、いきなりスプラッタな事実を告げられて俺はガクブルしているのですよ……! 今までの暗部生活の中で人が死んだりしたのは見た事あるし、虐待されてきた『置き去り』も見た事があるからグロ耐性はあるんだけど、知ってるキャラクターが目の前で耳を吹っ飛ばされれるなんて光景見て平静でいられる程、俺は耐性無いぞ? 今のは流石に布束さんもびびったらしく、顔が青ざめている。俺だったら失神してるわ!

「もう一度言うわね。私達はもう基本的な情報は握ってるの、だから別に手前ぇをブッ<ピー>しても構わねぇんだよ」
「っ……」
「それを踏まえてもう一度だけ聞くわ。実験はストップするの?」

 あれは本気だ……次に余計な事言ったら、マジで耳……じゃないな。頭ぶち抜く気だわ。どうやら三人とも余程布束さんの事が嫌いらしい。というか、冷静に考えてみれば事情を知ってる俺というイレギュラーは別として、普通に見れば布束さんも実験に関わっている科学者に見えても仕方ない。というか、そうとしか見えないよね。御坂はクレジットカードとかの件で知ってたけれど、麦のん達がそれを知っているとは到底思えないし……あれ、やばくね?

「……ないわ」
「あ゛?」
「貴方達は噂に聞く暗部という奴でしょう? なら、この実験については教える事が出来ないわ。何を企んでいるとも、分からないから……」
「へぇ……いい度胸してるじゃないの」

 麦のんのこめかみに血管が浮き上がり、口元を歪めて獰猛な笑みを浮かべている……スイッチというか、激怒してますよ……マジこえぇ。そしてそんな麦のんを目の前にして怯えることなく啖呵を切る布束さんもマジパネェ。

「私は……あの子達を助けなきゃならない」
「……」
「because……言う訳にはいかないの」
「……強情ね。だけど、時と場合を考えた方が良いと思うわよっ!」

 麦のんの頭上に『原子崩し』が顕現する。うぉ、まぶしっ! 太陽を直視し気持ちになれるですよ……って、そんなもの撃ったら布束さんが確実に死ぬでしょうが! 目の前で人間消失のマジック(種も仕掛けもありません)なんて見たくねぇよ!

「む、麦野さん! ちょっと待って!」
「アンタ達は下がってな……そうすりゃすぐに終わる!」
「そういう、事じゃなくて! ちょっとそれ納めて!」
「あ゛ぁ゛!?」

 ひぃぃ! 怖すぎる……だ、だけどここで退く訳にはいかんよ!

「この人、助けなきゃって言ってる。それがどういう意味なのか分からないけど、話を聞いた方が良いと思うんだ」
「情報は大体知ってるって言ったでしょ。本当なら聞くことなんてないわ。コイツを連れてきたのは、ただ脅し目的よ。コイツの死体を使ってさぁ!」

 って、ああああもぉぉぉ!
 今にも『原子崩し』を布束さんに撃ちこもうとしていた麦のんと布束さんの間に体を滑り込ませる。麦のん……というか三人全員が驚愕の眼差しを俺に向け、後ろの布束さんからは息を飲む音が聞こえた。徐々に光を失っていく『原子崩し』に対して、俺は内心ホッとしているのでありますよ。流石に仲間ごと撃ち抜くほど我を失ってなかったか……下手したら死んでたよね、俺。

「フレンダ!? 超何をしてるんですか!」
「見ての通りだよ絹旗、ここでこの人を殺させる訳にはいかない」
「そいつは御坂を苦しめている実験の科学者よ。何で庇うのよ……?」

 麦のんは怒りとも悲しみともつかない表情で俺に問いかけてきました。俺だって涙が出そうですよ(恐怖的な意味で)! とりあえず、何とか納得してもらわない事には布束さんが殺されてしまう。それだけは何とかして避けたい。

「確かに、関わっていたとは思う。だけどあの時、この人は逃げたりする準備をしないであの部屋にいた。そうだよね絹旗?」
「む、確かにそうですが……しかし火事場泥棒みたいに情報を盗んだり、何かしようとしていたのかもしれませんよ?」
「確かにそう。どんな事だってある可能性がある。だけどもしかしたら、この人は御坂さんを助けようとしていたのかもしれないじゃない?」

 その言葉に絹旗と麦のんは眉を顰める。どうやら俺の言葉でも信用できていない様で、キツイ視線をこちらに向けています。あまりにも怖すぎるでしょう? えぇい、どうにか納得してくれい! 目の前で名前あり人物がスプラッタなんて絶対嫌なんだよ!

「私達は、どうにかして御坂さんを助けないといけない。それなら利用するものは何でも利用した方が良いよ」
「利用……?」
「うん。この人が本当に実験に協力していた科学者でも、何かしら利用価値があるかもしれないでしょ?」
「それは……」
「ただでさえ今回の相手はどれ程大きい相手か想像も出来ない。手はいくつも持っておいた方が良いよ。それに……」
「それに、超何ですか?」
「さっき「助けなきゃ」、って言ったこの人の目は、嘘を吐いてる様に見えなかった。だから私はこの人を信じる」

 うわっ……くっさ! 言ってる事が真面目すぎる上に寒いので、言ってる自分に鳥肌が立ってるのですよ。いや、恐怖で鳥肌が立ってる部分もあるんですけどね。で、でもここでくらいかっこつけたいのですよ! 我慢我慢。
 で、しばらく場は静寂に包まれていたのですが、やがて今まで一度も口を開かなかった滝壺がゆっくりとこちらに歩いてきて、隣に来たと思ったら麦のん達へ向き直ってくれました。

「滝壺……」
「むぎの、ふれんだが言ってる事は正しいと思う。利用できる物は何でも使った方が良いよ。みさかを助ける為ならね」

 さ、流石は滝壺さんやでぇ……! よし、これで状況は二対二! これで絹旗か麦のんのどちらかが俺に賛同してくれれば……

「それに、ふれんだがこう言って信用した相手が悪い人だった事がないから信用しても良いと思うんだ」

 え……? い、いやぁ、単純に主要人物だから性格というか、考えを知っていただけなんだけどね。普段から知らない人を信頼しまくってるみたいな、そういう人を誤解させる発言は慎んで下さいよ猿渡さ……じゃなくて滝壺さん!

「……はぁ~、アホらし。私が真面目にやってたのが馬鹿みたいじゃないのよ」
「フレンダはいつでも超フレンダですね。全く、無茶ばかり……」

 ……あれ? 俺っていつの間にかディスられてる? そ、そんなまさか……体張ってこの話を納めたというのに、そんな馬鹿な話がある筈ないですよね。と、考えて滝壺に視線を向けたら優しい顔で滝壺は口を開いた。

「大丈夫だよ、私はそんな単純でみんなに呆れられてるふれんだを応援してる」

 ちくせう……





「「「「(超)いただきます」」」」
「……」

 はい、何故か現在御飯タイムに突入している所であります。催眠術とかそんな……このネタはもう良いか。
 いや、腹が空いては戦は出来ぬ……という諺もあるし、とりあえずお腹空いたから食事にしませんかという意見を出したんですよね。緊迫した空気をほぐしたかったのもあるし、本当にお腹空いてたし。んで、冷凍庫にパックにいれて仕舞っていたハンバーグを人数分と、御飯早炊き(学園都市製炊飯器)で速攻で御飯炊いて、およそ二十分で準備を完了したんですよね。汁物がないのが個人的に不満ですが、これはもう仕方ないと思うしかないな。

「フレンダのハンバーグは冷凍しても超美味しいですね」
「フレンダ、お茶」
「……」モグモグガツガツムシャムシャ

 はい、相変わらず自分でお茶注がない麦のんなのでございます。そして褒めてくれたのが絹旗だけという件について。滝壺は無言で御飯掻き込んでるし。相変わらず食べ過ぎでしょ……御飯は五合炊いたけど、足りるかしら? 足りろ。

「really、不思議ね……貴方達は」
「ん?」

 そう言った布束さんに視線を向けると、箸を止めておりました。え、何か美味しくなかった? 自信作なのに……ショックなのですよ!

「一応、私も暗部と何度か遭遇した事もあるし、仕事の内容も見た事がある。自分の事を差し置いて言うのもなんだけれど、虫唾が走ったわ」
「まぁ、碌な奴がいないしね。それは認めるわよ」
「だけど貴方達からはそれが感じられない。それどころか彼女を救おうとしているくらい。まるで暗部の人間じゃないみたいにね」

 その言葉に全員が食事を止めて聞き入る。布束さんは一度目をつぶり、何かを思案した後でゆっくりと口を開いた。

「indistinctness……だから理解出来ない。暗部の貴方達が何故、御坂 美琴を救おうとしているのかが」

 布束さんがそう言うと、絹旗が拍子抜けした様子で口を開く。

「簡単ですよ。友達だから……何て言葉は私達に超似合いませんけどね。それがたった一つの理由です」
「うん、みさかは友達だから助けたい。それだけだよ」

 絹旗と滝壺の言葉に、布束さんは軽く笑みを浮かべました。うわぁぁ……超可愛いんですけど。普段目に影があって恐い感じがしてたんだけど、笑うと正直言って麦のん達に勝るとも劣らない美人だということが分かりました。惚れちゃいそうです。
 布束さんはやがて表情を引き締めると、麦のんに視線を向けて口を開く。

「先程の質問なのだけれど、実験は止まらないわ。むしろ、今まで以上に激しく行われていくと思う」
「へぇ、どうして?」
「彼女が沢山の施設を襲撃し、上層部は利権を分けるのと同時に大量の施設に機材や情報を分散させた。今までの様に他の施設に隠す必要性が無くなるのだから、実験はどんどん進む事になるわ」
「……超皮肉なことですね。止めようとした御坂の考えが、逆に実験を超加速させる事になるなんて……」

 そういう背景もあったのか。原作では流石に裏側まで見れないからどういう感じになっているのかは分からなかったからなぁ。

「ちょっと待って」

 おや、滝壺さんが何か言いたいようでござるな。

「何とかして情報を攪乱させて、相手の動きを鈍らせる事は出来ないのかな?」
「攪乱? 具体的にはどんな感じに?」
「『樹形図の設計者』」

 滝壺の言葉に、麦のんと絹旗の表情が更に引き締まる。

「勿論、私達だけじゃあれどうにかする事は出来ないけれど……御坂の力なら少しは操作できるかも知れない」
「何とかこの作戦を御坂に伝えて、私達はそのフォロー、か……悪くはないと思うけれど」
「そうですね。どうせ暗部の私達、これ以上超堕ちた所で問題は無いでしょうし」

 か、かっこいいタル~! 絹旗の言葉が御坂に伝われば、正直感動ものになって御坂が号泣しちゃうのではないでしょうか? まぁ、暗部という事は伝えられないし無理なんですけどね。あと、時期的にもしかしてこの作戦って……

「無理よ」

 その布束さんの言葉に、麦のん達は不思議そうな視線を向ける。あ、この流れは……

「『樹形図の設計者』は、少し前に破壊されてるの。今情報を攪乱した所で、実験は止まらないし変更もない。不可能なのよ」
「『樹形図の設計者』が……?」
「ニュースにもなってないですし、超隠してるんですか。残骸だけでも外からすれば宝みたいなものですしね」

 絹旗は平静な感じで言ってる様に聞こえたけど、悔しそうに眉を顰めているのが分かる。ていうか、俺としては『樹形図の設計者』が無事だったとしても手を出すのは反対ですよ! 絶対上層部に目を着けられるでしょうが……

「情報を攪乱した所で意味はない、か……」

 麦のんが難しい顔して考え込むように腕を組む。布束さんはそんな様子を見ながら口を開いた。

「besides、上層部は襲撃に対して過敏になってるわ。単純な破壊工作じゃ、実験を止める事は出来ない……」
「私達の真骨頂なんですけどね、超破壊活動」

 うん、そうなんだけどね。頻繁に麦のんが色々と壊したりしてるくらいだし。というか実験は止めらないよね……上条さんが『一方通行』を撃破してくれない限りは……

「一先ず、一旦休みましょう。ここで全ての問題が解決する訳じゃないわ、各自で調べる事も忘れずにしましょう」

 そういって麦のんは立ち上がる。ふむ、確かに働いた後の上にもう遅い。ここは一旦休む事が最善であると言えるよね。流石は麦のんやでぇ。

「アンタ、えっと……名前は?」
「「布束 砥信」よ」
「布束、アンタはここから出る事は許さないわよ。信用してない訳じゃない……けど、無償で完璧に信用する程私も馬鹿じゃないわ。アンタはリビングで寝ろ」
「oh dear、布団はくれるのかしら?」
「はぁ? ソファーと毛布で寝ろ……」

 いやいや麦のん、女性にそれはちょっと有り得ないよ。それくらい出して上げますよ。

「私の部屋に予備があるから出しますね。麦野さんもそんな事言ったら駄目ですよ」
「ぬ、ぐっ……」

 はっはっはっ、麦のんめ。ぐぅの音も出ないですかな? 人には優しくしなきゃいけないでしょうよ……しかもこの人優しい人なんだからさ。さぁ、また明日から普通の生活が始まるのですよ。この事件は上条さんが解決してくれるしねー。





 翌日、朝食を作ってみんなで食べた後、俺は部屋を追い出されました。

「どういうことなの……」

 いや、単純にこれから全員で情報収集。かつ俺はそっち方面で特に役立てないから適当に出かけて来いって追い出されただけなんだけどね。絹旗も滝壺も何かしらで調べてるみたいだし、俺ってマジで役立たず過ぎる……下部組織の亭塔さん達も調べてくれてたみたいだしね。
 仕方ないから、俺は今日の晩御飯のおかずを調達している所なんですよ。いや、晩御飯までには帰れ、と言われているからね。どんだけ俺に御飯作らせたいんだよって話。
 で、今はスーパーにいます。いつもなら市場のおっちゃん達の所に行くんだけど、たまには遠出しようと思って激安が売りと噂のスーパーに来てみたんてすが、中々安いね。流石に物は良くないけれど、それでも色々と安いから結構利用出来そうです。ただ、遠いというのが最大の問題なのよね。それさえなければ……

『お客様へ申し上げます。只今より、卵のタイムセールを実施致します。おひとり様一つまで……』
「ほほぅ、タイムセールとな」

 呟いて卵売り場へ向かう。安く手に入るならば、それはそれで越した事はないしね……そんな甘い考え(幻想)は、卵売り場ですぐにぶち殺されました。

「くそ、それは俺のだ!」
「イタタッ、足踏むな!」
「もーらい!」
「おいィ! その卵取りチートでしょ? 俺のシマじゃノーカンだから」
「……」ナギッ
「……うわぁ」

 何というか、卵に何でそこまで必死になれるの? ってくらいの取り合いでした。いやいやいや、何か良く分からない波動とか能力が飛び交ってるんですけど。あそこには『超能力者』ですら入り込めないんじゃないかなぁ……と思わせられるくらいでした。無論、俺なんかが入りこめる筈ナッシン。
 仕方なしに遠巻きに見守ってたら、少しずつ人が引いてきた。何か突撃した割には持って来なかった人達がいるんだけど、あれか? 一度でも倒れたら卵を取ってはいけないとかいう決まりでもあるんだろうか? やがて完全に人が引きそのカオス空間は終了する。

「あれ?」

 中央に一パック残ってるし。なんで誰も持っていかなかったんだろう? とりあえず店員さんにあれ買って良いのか、と確認したら全然良いですよ。と言ってくれました。マジで持っていかなかった人達の意味が分かりません。
 とりあえず、取れる者は取ろう。と、自分が持つ籠に入れた瞬間でした。

「ああぁぁ! 最後の卵がぁー!」
「ふぇ!?」

 いきなり聞こえてきた声に、俺はつい声を上げてそちらを見てしまったのですよ。そこにいたのは真っ黒な髪をツンツンとした状態にしている一人の男子学生。今はorz状態になっているけれど、それは紛れもなく上条さんでした。

「くそぅ、今日こそは間に会ったと思ったのに……」

 ブツブツと何かを呟いております。いや、目の前に知り合いの女性がいるんだから、先に声をかけなさいよ。そんなんじゃ卵譲ってあげないよ? 仕方なく、こちらから声をかける事にしました。

「上条君じゃん、久しぶりー」

 その俺の言葉に、ハッとした様子で上条さんが顔を上げる。何かやたらと汗を掻いてるけど、どうした上条さん。とか考えてたら、あはは、と愛想笑いを浮かべて上条さんは口を開く。

「あ? え、えっと……誰でしたっけ? なんて~、あはは……」

 ……あ、そうじゃん。上条さん記憶ないじゃん! 俺バカス。



<おまけ>

『あー、もう! 分かったわよ! 確かに私としてもこの実験に成功されると、色々と困るしね。こっちは何とかしておいて上げるから、そっちは上手くやりなさいよ!』

 そう言って『連絡人』は通信を切った。麦野はその光景を満足げに見た後、後ろにいた布束へと振り返る。布束は呆れた様子で溜息を吐くと、ゆっくりと口を開く。

「呆れたわ。まさかこんな方法で行くなんて……」
「政治的に潰すなんざ、私達の権力じゃ不可能。なら、こうするしかないでしょ?」
「……勝算はあるの?」
「滝壺と私がいれば0じゃないわ。後は上手くやるだけよ」

 そう言って、麦野は部屋の中にいる滝壺と絹旗へ視線をやる。それに対して滝壺はコクリと頷き、絹旗も緊張した様子で頷く。

「あの子には伝えないの?」
「作戦前には伝えるわ。ただビビリだし、本質的に殺しは嫌いみたいだからね。ここにいると五月蠅いから今日は居なくなってもらったのよ」
「……素直じゃないわね」
「ほっとけ」

 そう言って麦野は軽く息を吐く。そして一度気合いを入れるように頬を叩き、ゆっくりと口を開いた。

「さぁ、『アイテム』始まって以来の大仕事よ。第一位……『一方通行』を、殺すなんてね」


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