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No.24886の一覧
[0] 「とある金髪と危険な仲間達」【とある魔術の禁書目録 TS 憑依?】[カニカマ](2012/01/31 15:53)
[1] 第零話「プロローグ」[カニカマ](2011/04/28 14:54)
[2] 第一話「私こと藤田 真はまだ元気です」[カニカマ](2011/04/28 14:56)
[3] 第二話「ファーストコンタクト」[カニカマ](2011/09/08 00:08)
[4] 幕間1「フレンダという名」[カニカマ](2011/09/08 00:09)
[5] 第三話「Nice Communication」[カニカマ](2010/12/12 07:46)
[6] 第四話「とある奴隷の日常生活」[カニカマ](2011/04/28 14:59)
[7] 第五話「今日も元気に奉仕日和」[カニカマ](2011/04/28 14:59)
[8] 第六話「ルート確定余裕でした」[カニカマ](2011/04/28 15:00)
[9] 第七話「  闇  」[カニカマ](2011/04/28 15:00)
[10] 幕間2「私の所有物」[カニカマ](2011/04/28 15:01)
[11] 幕間3「『道具(アイテム)』は闇へ……」[カニカマ](2011/04/28 15:01)
[12] 第八話「この台詞二回目ですね!」[カニカマ](2011/04/28 15:02)
[13] 第九話「暗部の常識? 知らぬぅ!」[カニカマ](2011/09/08 00:16)
[14] 第十話「『俺』の生き方は『私』が決める」[カニカマ](2011/09/08 00:18)
[15] 幕間4「知らぬ所で交錯するっていう話」[カニカマ](2011/04/28 15:04)
[16] 第十一話「原作キャラ可愛すぎです」[カニカマ](2011/04/28 15:05)
[17] 第十二話「友達が増えたよ!」[カニカマ](2011/04/28 15:06)
[18] 第十三話「来てしまった今日」[カニカマ](2011/04/28 15:07)
[19] 第十四話「とある金髪の戦闘行動(バトルアクション)」[カニカマ](2011/04/28 15:07)
[20] 第十五話「幻想御手と無能力者」[カニカマ](2011/04/28 15:08)
[21] 第十六話「話をしよう」[カニカマ](2011/04/28 15:08)
[22] 第十七話「電磁崩し」 幻想御手編 完結[カニカマ](2011/04/28 15:10)
[23] 予告編『絶対能力進化計画』[カニカマ](2011/02/10 17:36)
[24] 第十八話「とあるお国のお姫様」[カニカマ](2011/04/28 15:10)
[25] 第十九話「とあるお国のお友達」[カニカマ](2011/04/28 15:11)
[26] 第二十話「予想外」[カニカマ](2011/04/28 15:12)
[27] 第二十一話「やるしかない事」[カニカマ](2011/04/28 15:12)
[28] 幕間5「認めたくない過去、認められない未来」[カニカマ](2011/04/28 15:13)
[29] 第二十二話「フレンダですが、部屋内の空気が最悪です」[カニカマ](2011/04/28 15:14)
[30] 第二十三話「偽善」[カニカマ](2011/04/28 15:14)
[31] 第二十四話「覚悟完了」[カニカマ](2011/04/28 15:15)
[32] 第二十五話「最高の危機」[カニカマ](2011/04/28 15:15)
[33] 幕間6「それぞれの戦い・前篇」[カニカマ](2011/04/28 15:16)
[34] 幕間7「それぞれの戦い・後篇」[カニカマ](2011/04/28 15:25)
[35] 第二十六話「戦いの終わりに」『絶対能力進化計画』編 完結[カニカマ](2011/04/29 09:21)
[36] 第二十七話「お見舞い×お見舞い」[カニカマ](2011/05/23 01:07)
[37] 予告編『最終信号』編[カニカマ](2011/05/23 01:10)
[38] 第二十八話「復活ッッッ!」[カニカマ](2011/06/05 12:46)
[39] 第二十九話「俺、故郷に帰ったら結婚するんだ……」[カニカマ](2011/06/29 20:01)
[40] 第三十話「白と毛布とイレギュラー」[カニカマ](2011/07/16 15:41)
[41] 第三十一話「(話の)流れに身を任せ同化する」[カニカマ](2011/07/17 23:48)
[42] 第三十二話「朝一番」[カニカマ](2011/11/24 02:37)
[43] 第三十三話「ミサカネットワーク」[カニカマ](2012/01/31 15:49)
[44] 第三十四話「逃げたいけれど」[カニカマ](2012/01/31 15:52)
[45] *「簡単なキャラクター紹介」*キャラ追加&文追加[カニカマ](2011/11/24 02:37)
[46] 番外1「とある首輪と風紀委員」[カニカマ](2011/04/28 15:18)
[47] 番外2「転属願い届け出中」[カニカマ](2011/04/28 15:19)
[48] 番外3「二人のお馬鹿さんと一人の才女」[カニカマ](2011/04/28 15:19)
[49] 番外4「とある部隊の不幸体験」[カニカマ](2011/04/28 15:19)
[50] 番外5「宝物」[カニカマ](2011/04/28 15:20)
[51] 番外6「寝顔シリーズ」<『妹達』、佐天さん追加>[カニカマ](2011/06/25 16:11)
[52] 番外シリーズ1「『学園都市』の平和な一日・朝」[カニカマ](2011/04/28 15:21)
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[24886] 第十七話「電磁崩し」 幻想御手編 完結
Name: カニカマ◆b465aa7c ID:500ae757 前を表示する / 次を表示する
Date: 2011/04/28 15:10
「電磁崩し」



 皆さん、おはこんばんちわ! フレンダもとい俺です。
 あれから二日経ちました。いやー、『幻想御手』の事件ってどれくらいで解決したのか全然覚えてないので、個人的には今現在かなりビクビクして過ごしています。佐天さんが倒れてからそれほど時間が経たずに解決されたのは覚えているので、多分そろそろだと思うんだけどね。
 今日は前回、紅茶とか飲んだりお菓子貰っておきながらさっさっと帰ってしまったお詫びも兼ねて詰め所に自作のアップルパイ(初作成)とお茶を持って向かっているところです。いやー、全体的にスイーツって難しいね。作るの自体は出来るんだけど、美味しく仕上がってくれないのですよ。という訳で、麦のん達に食べさせる前に毒味をして貰うのです。俺外道。
 そして詰め所に向かってるのは良いんだけど、途中で出会ったとある少女が何か鼻息荒いんだけど、どうしたんだろう? 心配だし声かけておくか。

「ミキちゃん、何か息が荒いけど大丈夫? 具合悪かったら無理しなくていいんだよ?」
「全っ然! 大丈夫ですから、早く詰め所に行ってそれ食べましょう……ってワケよ!」

 いやー、暗部入りしてから一番最初に出会った少女がここまで大きくなるとは思いもしませなんだ。身長は下手すると180cm近くて、スラッと痩せてて足も長いのでモデル体型です。髪は昔見たままでボサボサの茶髪なんですが、これって実験の影響なのかもしれないね。後、おっぱいが……とても小さいです……それだけで俺は優しい心になれるンだァ。

「でも、ミキちゃん仕事中だったんじゃないの? 一緒にいた人も警邏中って言ってたし」
「そんなもんよりおねえちゃんのお菓子が大事ゲフンゲフン、か弱い少女であるおねえちゃんを詰め所に送り届けるのも一つの仕事なワケです」
「む、私はミキちゃんのおねえちゃんなのにー。自分の身くらい自分で守れるよ」
「分かってますよー、でも心配なワケよ」

 むぅ、こうして真摯な瞳で見つめられると怒りづらい……自然とやっているのなら何という魔性の女……ミキちゃん、恐ろしい子! まぁ、一人で詰め所に向かうのも寂しかったし良いんですけどね。ただミキちゃんが怒られるのが忍びないです。
 しばらく二人で歩き続ける。その間にも雑談とか、施設が今どんな感じなのかとか聞いてたけど、相変わらず陸君が可笑しい事になってるな。いや、前々告白されたんですけどかなり困ったので苦笑したら、陸君が麦のんに……どうなったんだっけ? あれ、完全に記憶から抜け落ちてる。た、多分麦のんにオシオキされて記憶がデリートされているんだろうか? や、やっぱりオシオキコワイオシオキコワイ……

「おねえちゃん、おねえちゃん」
「ハッ……! な、何?」

 い、いかんいかん。いつもの如く我を失っていた。というか、この癖どうにかならないものか……いつか仕事で致命的なミスを仕出かしてしまいそうでおっかないんですけど。とりあえずミキちゃんの話に耳を傾けようか。

「最近、お仕事の方はどうですか? ……って、ワケよ」
「仕事……?」
「おねえちゃん、いつも危ない事してるから心配です。私を助けたみたいな事、いつもしてるのかなって思って……」

 ああー、暗部の仕事の事か。あの事を汚れ仕事だって事を、俺はミキちゃんとかには伝えてないから正義の仕事とでも思ってるのかな? 実際子供達は助けれてるけど、それの他には結構悪い事もしてるんだよね。『風紀委員』になったミキちゃんには言えないし、なってなくても言えないけどね。心配してくれたみたいだし、笑顔で返そうか。

「大丈夫だよー、最近はそんなに凄い事やってないし。このまま大して危ない事もなくいけそうだしねー」
「……そっか、それなら良かったです。おねえちゃん、いっつも無理して心配ですからってワケよ」
「……ねぇ、ミキちゃん。いつも思うんだけど、その口調無理して使ってるなら使わない方が良いよ? 結構地が出てるし……」
「私の理想の口調なので、どうにか自然にいけるように努力中ってワケよ。だからおねえちゃんに言われても治せないってワケ!」

 あぁ、確かにあの時は興奮してて結構使ってた気がする……自らの黒歴史が一人の少女の人生を狂わせてしまった事に、俺は色々な意味で後悔しておりますです。今はマジで反省しているってばよ。





「おじゃましまーす」
「おじゃましますってワケよ」
「あら、フレンダさんいらしゃいまし。そちらの方は……あら、『風紀委員』でしたの?」
「初めまして、つい最近『風紀委員』になりましたミキと言いますってワケよ」
「……妙な口調ですのね。わたくしは白井 黒子、同じ『風紀委員』として共に頑張っていきましょう」
「はいってワケよ!」

 いや、黒子に変な口調って言われたくないと思う、とかいう無粋なツッコミは止めておこう。

「ちなみに、今日はどういったご用件ですの? あ、あと麦野さんは来てらっしゃいますか?」
「麦野さん達はちょっと用事で来れなかったんだ。用件は、ただお菓子作ったから一緒に食べない? と思って」
「いらっしゃいませんの……? あ、いえ……だ、だからといってフレンダさんだけで残念だなんて、失礼な考えはしていませんのよ! い、今お茶を用意しますわ」
「あ、お茶も持ってきたんだ」

 そう言って、奥にあるお客さんを待たせる場所へ向かう。というか、こういう所を私的に使うのは相当不味いよね? 固法先輩が気にしてない様子だから良いけど、他の詰め所で厳しい人がいたら追い出されてるんじゃないだろうか。まぁ、何も言われないのであれば気にせず使わせて頂くけどね。とか考えてたら、先客さんから声をかけられた。

「あ、フレンダさん! こんにちは」
「二日ぶりかしら?」

 佐天さんと御坂です。この二人は常にここに入り浸ってるんだろうか? ある意味では迷惑な存在ですよね!

「あれ、二人とも来てたの?」
「はい、『幻想御手』を提出したのは私ですし、何か出来る事がないかって思って……」
「私も、とりあえずこの事件が終わるまではしばらく通うつもりよ」

 なるなる。とりあえずこれが終わるまでは御坂には入り浸ってもらわないと困るしオーケー。佐天さんは別にいなくても大丈夫だろうけど、居たとしても問題ないから大丈夫だね。ついでに俺が作ったアップルパイの毒味をしてもらおうじゃないか。

「じゃーん、手製のアップルパイですー」
「おおおおー」
「へぇ、美味しそうね。黒子ー、固法さーん! フレンダさんがアップルパイ持ってきてくれたわよー」
「おねえちゃん手製のアップルパイ……私だけ食べれて陸ざまぁ(笑)」

 ふむ、見た感じの評価は良い感じね。後は味が一番心配なんだけど……というか。

「あれ、初春さんは?」
「初春はちょっと仕事で出てますの。しばらくは帰ってきませんわね」

 フォークやら取り皿やらを持ってきた黒子がそう言う。ありゃ、それは残念。せっかくなら大勢で食べた方が美味しいってもんなのにね。まぁ、いないのであれば仕方ないか。

「初めてだから、あんまり美味しくないかもしれないけど……」
「おねえちゃんが作る物に不味い物なんてないってワケよ(キリッ)」
「フレンダさんの作った食べ物、食べるのは二回目ですねー。あの時の朝御飯も美味しかったですし、期待大! ですよ」

 佐天さんはプレッシャーをはなっている! 思わず俺のPPが二つ減る所でしたが、何とか耐えます。うう、やはり初めて作る物を食べてもらう時は緊張するな……麦のんにフルボッコにされてへこんだ事も、一度や二度じゃないしね。

「「「いただきまーす」」」

 全員が一斉にフォークを突き刺し、アップルパイを口へと運ぶ。俺? 俺は緊張のあまりそれをジッ、と眺めている状態ですよ。ぶっちゃけて食べるの忘れてた、すまん!
 しばらく全員がアップルパイを咀嚼していたが、やがて飲み込んだミキちゃんが輝く視線をこちらに向けて口を開いた。

「相変わらず美味しいってワケよ! おねえちゃんはそういう食べ物のお店で働くべきそうするべき」
「ほんと、初めて作ってこれ? お店で売ってるのとクオリティ変わらないわよ」
「美味しいですわね。わたくしはこの控え目な甘さがちょうどいいですわ」
「ウマウマです!」

 おぉ、とりあえず全員から美味しいという評価が来ましたですね。固法先輩も笑顔で食べてくれてるし、とりあえず味に問題はなさそう。これで初春がいれば良かったんだけど、いないのならば仕方ないですよね? 今度何か持ってきてあげるとしましょう。

「紅茶も美味しいですわね。淹れたてという訳でもないですのに……流石麦野さんが認める腕という事でしょうか?」
「麦野さんにはまだまだって言われてるけどねー。これからも精進しなきゃ駄目なのさ」

 麦のんは本当に厳しいお方……特に紅茶に関してはすげぇ厳しくて、何度も何度も淹れて最近やっと飲めるレベルになったそうです。お陰で紅茶の淹れ方にはやたらと詳しくなってしまったのですよ。あんま嬉しくねぇ。

「でも、フレンダさんが麦野さん達と一緒にいないだなんて珍しいわね。一体どうしたの?」
「麦野さん、滝壺さん、絹旗はちょっとお仕事が入っちゃったんだ。本当なら今日も一緒に来る予定だったんだけど、急用だったからね」

 実は昨日の夜にお仕事だったのですよ。仕事の内容は最近大流行の『幻想御手』を使用して調子に乗ってしまった連中の始末、もしくは無力化。いやね、ただ単純に暴れ回るだけなら『警備員』とか『風紀委員』の出番なんだろうけど、人間強い力を持つと無謀な事がしたくなるらしくて、暗部に喧嘩売ってくる『武装無能力集団』がいるんですよ。ぶっちゃけて無謀どころのレベルじゃないんですけどね。『未元物質』に『原子崩し』、他にも『心理定規』やら諸々、考え付くだけでも反則級の能力や力を持つ奴らがズラリ。そんな相手に喧嘩を挑むとか……命がいらないのでしょうかね?
 と、まぁそんな事でお仕事をして、あっさり終える事が出来たのですが……色々あって後始末しなきゃ駄目だったんですよね。それで就寝が遅くなりまして、麦のん達は朝早くに起きる事が出来ず遅刻です。俺? 俺は早起き慣れてるからどうってことないのです。かなり早起きしてからアップルパイ仕込んでましたよ。クソ眠い。

「あ、フレンダさん。もう一つもらってもいいですか?」
「ん? どぞどぞ、残しても勿体ないしねー」
「ありがとうございます!」

 そう言って笑顔でアップルパイを頬張る佐天さん。可愛すぎるだろ、ふぅ……冗談は抜きとして、これから何してようかなー。麦のん達が来るまで暇だし、やる事も特にないのですよね。と言う訳で、ここは固法先輩の仕事具合でも観察すると致しましょう。よくよく考えると、固法先輩とあんまり話した事ないし、良い機会かもね。

「固法さん、今何をしてるんですか?」
「あ、フレンダさん? ちょっとデータを纏めてたの」
「『幻想御手』絡みのデータですか?」
「まぁ、そうなるわ。解析する事が出来たら一気に進展すると思うのだけれど……」

 なるなる、こういう作業も『風紀委員』には必要なのだね。というか、こういう作業を陸君が出来ると思えねぇ……! いや、馬鹿にしてるわけじゃなくて本当に出来ると思えないんですって。使わせたら電子レンジ壊すくらいの機械オンチだったしな。それって『学園都市』にいてどうなの……?

「これだわ!」
「って、うぉう!? ど、どうかしましたか固法さん?」
「データの解析が終わりそうなの! 白井さん、こっちに来てもらえる?」
「はいですの!」

 おぉ、どうやら仕事が一気に進んだみたいね。俺が話しかけた効果だったとしたら、俺って結構凄いですよね!? 調子に乗りましたすみません。
 というか、呼ばれたの黒子だけなのに御坂も佐天さんもミキちゃんも全員こっちに来てるし。『風紀委員』の仕事って盗み見ても良い物なんだろうかね? 固法先輩が特に何も言わないから俺も言わないけど。俺も盗み見てる様なもんだし。
 さて、『幻想御手』編もそろそろ集結しそうだし、これでハッピーエンドですね(俺的に)! しばらくは科学側で大きな事件も起きなかったはずだし、これでしばらくはのんびり出来るよ! やったね俺!


 そんな考えをしていた自分を殴りたいです。殴り殺してしまいたいです。

「登録者名……「木山 春生」……!?」
「そんな、木山先生が……」

 今調べてたの脳波パターンの事でしたのね? という事はここでやっと犯人が木山先生だと分かり、ここから一気に事件解決になると。そして、今ここに初春が居ない理由は木山先生の所に行ってるからと。
 慌てた様子で黒子が初春に電話かけてるみたいだけど、どうやら出ないらしくて顔を青ざめさせている。この状況でも慌てずに『警護員』へ連絡を取る固法先輩は流石ですな。ミキちゃんは何があったか詳しく分からずとも、どうやら固法先輩をサポートする気らしくて話しかけている。そんな子に育って俺は嬉しいです。
 何でだ、どうしてこうなった!? いや、全部俺の責任だっていうのは理解してます申し訳ありません。期日とかしっかり覚えていれば、こんなイベントに鉢合わせないようにしたのにぃぃぃ! 『連続虚空爆破事件』の時もそうだったけど、俺の行動は間が悪すぎるだろ!? あれか、何か呪いでもかかってるのかしら。と、とりあえずどうしよう……

「う、初春……」

 あ、佐天さんが震えている……っていうか、これは震えてるというか倒れる一歩手前な感じだよ!? 焦点は合ってないし、顔も死人のように青くなってる。こ、これはあかん!

「佐天さん!」
「へ、わっ……ふ、ふれんださん……?」
「よしよし、落ち着いて」

 何も思いつかなかったので、とりあえず施設の子供達にやるように抱きしめて見ました。うん、ぶっちゃけ効果があるとは思ってないですが、これしか思いつかなかったのよね。本当に俺のボキャブラリーは貧困ってレベルやないでぇ……! 何か固法先輩の方角から羨ましそうな視線を向けてる大きい娘がいるが、今は気にしてる暇はないのですよ。

「佐天さん、パニックになってもどうにもならない。まずは大きく深呼吸してー」
「ふぇ……? す、すー……」
「吐いてー」
「はー……」
「……落ち着いた?」
「は、はい……フレンダさん、ありがとう、ございます」

 ふむ、とりああえずさっきみたいに危うい感じはしないけど、まだ具合悪そうだな。こんな時に倒れられたら、御坂が気になって気になって仕方なくなるだろうし、それが勝負の結果に繋がったら死ねるぜ。しばらくは俺が一緒に居た方がいいね。

「黒子、私は初春さんを助けに行くわ!」
「なっ、お姉さま!? どこに木山 春生がいるか分かりませんわよ!?」
「『警備員』が場所を把握してるでしょ? 私の能力でハッキングするわ!」

 それ、軽犯罪に入らないかな? まぁ、この街で気にしたら負けな事ではあるけど。実際原作ではどうやって居場所特定してたっけか? 気にする所じゃないけどね。

「しかし……」
「アンタは最近多発してる事件のせいで怪我まみれ、固法先輩はここから離れる訳にはいかないでしょ? 大丈夫、無理だけはしないわ」
「……信用してもよろしいので?」
「任せて、絶対に約束する」

 この後、御坂はハチャメチャバトルを行うのですが、ツッコミは野暮ですね。俺は麦のん達が来るまで待って、ここで待機して事件の解決を祈るとしましょう。佐天さんの様子も心配だs

「わ、私も……連れて行って下さい!」

 ……what?

「駄目よ、佐天さん。何があるか分からないし……何か嫌な予感がするのよね」
「そうですわ、それにそんな体では足手纏いになります。佐天さんはわたくし達とここで」
「初春は友達です!!」

 佐天さんの大声に、場が静寂に包まれる。御坂も黒子も佐天さんの大声に驚いた様子で、目を見開いたまま制止してる。いや、俺も佐天さんの隣にいたから耳が痛い。

「大切な、かけがえのない友達なんです! 私が何の役に立てない事は分かってます……『無能力者』の私が着いて行こうだなんて、おこがましい考えかもしれません! でも、でも……初春が心配、なんです……!」

 ポロポロと涙を零しながら訴える佐天さんに、御坂と黒子が困った視線を向けた。そりゃあ、御坂からしたら戦うかも知れないのに連れていく訳にはいかないだろうし、何よりこんな体調じゃあいざという時気になって仕方ないだろう。黒子としても一般人で、かつ自分の身を守る力を持たない佐天さんを向かわせる訳にもいかない。だけど今の佐天さんはそんな事で諦めるとは思えないな……いざとなれば這ってでも着いていきそうな気迫だもん。
 ……ああああああ、もーう!!

「御坂さん、私も着いていくよ」
「フ、フレンダさんまで!?」

 うっさい! 俺だって本当は着いて行きたくなんてないやい!

「このまま押し問答してても、時間は過ぎていくだけだよ。急いで向かわないと手遅れになるかもしれない」

 御坂が『警備員』と戦う木山先生を補足しないと、原作を大きく狂わせてしまう。あそこを悠々と突破されちゃ話にならんしな。

「大丈夫、私は佐天さんのサポートに徹するよ。御坂さんもそれなら気兼ねなくいけるでしょ?」
「ふ、フレンダさん……」
「佐天さん、無理だけはしたら駄目だよ?」

 にひひ、と笑ってそう言うと、佐天さんは顔を真っ赤に染めて俯いてしまった。全く、怒られて恥ずかしいのなら最初から無理しない! お陰で俺までこんな事になってしまったですよ!

「フレンダさん、本当に大丈夫?」
「へーきへーき、急ごう。時間は待ってくれない」
「……分かったわ、行きましょう!」

 部屋から一気に飛びたしていく御坂。俺も佐天さんを支えながら部屋の外へと出て、詰め所出口へと向かう。

「おねえちゃん!」

 っと、ミキちゃんが追いかけてきたわ。どうしたの?

「ミキちゃん、どうしたの?」
「おねえちゃん……危ないから行かないで、なんて言っても聞かないのは分かってます……ってワケよ……」

 いや、本当なら着いていきたくありません。だけど、佐天さんを放っておくわけにはいかないので仕方なくですよ。仕方なく。

「だから、無理だけはしないで下さい。おねえちゃんに何かあったら、私……」
「大丈夫、心配しないで。無理だけはしないから」
「うん……気を付けて……」
「分かってる。麦野さん達が来たら、私は御坂さんと一緒に行ったって言っておいて」
「分かりました、伝えます……」

 そう言って背を向けて外に向かう。外では御坂がタクシーを止めて、既に乗車していた。俺と佐天さんも後ろの座席に急いで乗り込む。御坂は手元にある端末を操作しながら、運転手に行き先を告げていた。あれで『警備員』の情報見る気かね? 確かこの前絹旗が似たようなの使ってた気がする。

「初春……」

 隣で何かを堪えるように両手を祈る様に組んでいる佐天さんを見て、俺は優しく頭を撫でて上げた。それで少しは落ち着いたのか、佐天さんの手に入る力が少しだけ緩む。
 まさかこんな事になるなんて……絶対にこういう危ないイベントは避けようと考えてたのになぁ……今度から主要キャラに絡む時は、本当に注意して絡むとしよう。とりあえず御坂の頑張りに期待しつつ、佐天さんのサポートを頑張るとしましょうかね。





 タクシーが止まるのと同時に、御坂が外へと飛び出していった。俺と佐天さんも運転手にお礼を言って車の外へ出る。
 右手側には高速道路らしきものがあり、その上は死角になってて確認出来ないけれど、煙の様なものが上がってるのが確認できた。どうやら原作に間に合った……のかな? 上でドンパチやってる様な音もするし、まだ『警備員』と木山先生は戦ってる最中みたい。良かった良かった、これで原作通りに話が進むわ。

「初春……」
「大丈夫だよ佐天さん、御坂さんは強い。絶対に初春さんを助け出してくれる筈だよ」
「……はい」

 ここまで来れば結果は御坂の勝ちの筈。少なくとも、木山先生程度の相手に負ける事はないでしょうや。距離も詰めなきゃそんなに危険じゃないだろうし、AIMバーストが出たら本格的に距離をとらなきゃ駄目かもね。
 って、考えてたら道路が落ちました。ふむ、これで戦いの場が下に移りましたか。驚愕の表情を浮かべて見ている佐天さんに肩を貸し、俺はその場へ向かう。
 ん? さっき近付かないって言ったじゃないって? いや、確かにそうなんだけど、それはあくまで被害が出ない距離でって事なのです。それよりも俺は初めて見る事が出来る木山先生と、あの台詞を聞きたくて聞きたくて溜まりませんのですよ。アニメで見ていた時でもグッ、ときた台詞、あれが本場で聞くとどうなるのか少し楽しみなのです。





「君に何が分かるっ!!」

 木山先生の叫びが木霊する。いや、原作でも鬼気迫るというか、想いが籠った言葉だったけれど、目の前で聞くとそれ以上に重みを感じますね。御坂や佐天さんも、敵だったにも関わらずに聞きいっちゃってる位だし。ん? 戦闘? 何かバリバリ光ったり空き缶が爆発したり御坂が抱きついてビリビリしてたりしました。いや、ぶっちゃけ戦闘内容が凄過ぎて、俺の言葉じゃ表現しきれません。木山先生、絶対そこいらの『大能力者』よりは強くなってたはずだな。げに恐ろしきは『自分だけの現実』と言うべきか。

「あの子達を救うためなら、私は何だってする……!」

 天を仰ぐように、木山先生が顔を上に向ける。御坂の電撃を受けた後だ、相当体もきついだろうに……

「この街の全てを敵に回しても、止める訳にはいかないんだあぁぁぁぁぁ!!」

 その言葉に、思わず息を飲んだ。だって、凄すぎる。言霊っていうのは聞いたことがあるけれど、木山先生のこの言葉はまさしく魂が籠った一言だった。それと同時に木山先生が苦しみだし、その場に倒れ伏す。それと同時に感じる寒気……これは嫌な予感を感じるときに来る奴ですな!

「佐天さんっ! 様子がおかしい、下がって!」
「な、何あれ……?」

 木山先生の後頭部から、何かが這い出る様に浮かびあがる。それは空中で静止すると、ゆっくりとその形を作っていった。それはまるで胎児の様な形……目の前で見るとすげぇ気持ち悪いな。これがAIMバースト……って、初春が階段から下りてきたし。テレビでも思ってたけど、タイミングばっちりだね。

「何、あれっ……?」
「初春さん! 下がった方がいいかも、様子がおかしい!」

 とりあえず離れないとマジで危ない。ここは御坂に一任……というか、あんなもん『超能力者』でもない限りどうにか出来るか!

『『fjwf寂kv;vjiie::憎nhfihrivjrilvji;rd;!!』』
「うぉっ……?」
「きゃっ……!」
「ひぃ……!」

 うるせえええぇぇぇ! 何か意味分かんない奇声上げおってからに! いや、そこまででかくないんだけど、すげぇ脳に響く感じの音でした。しかも何か気持ち悪い。実際、初春と佐天さんは完全がに怯えた様子でバーストを見ている。
 しかし、改めて観察すると胎児とも言えるけど、頭の上に浮かんでる輪っかのせいで天使とも言えなくはないな。『ヒューズ=カザキリ』の事もあるし、実際に人工天使に近いものなのかもしれな……まさか、スターさんはその事も考えて木山先生の事放置していたんじゃないだろうな? それが事実なら何でも見透かしすぎだし、利用されてた木山先生が可哀想過ぎるので考えたくはないけど。

『『f;fiohafpwkfojic助huefgoip生ehef;e;qkde 楽』』
「だああぁ! うるさぁぁい!」

 辺り構わず能力を撒き散らしまくってる。流石に『超能力者』級の破壊力はないけれど、それでも『大能力者』級の力は持ってるっぽい。しかも『多重能力』のおまけ付き。まさに『幻想御手』が生んだ怪物ってところだなぁ。

「初春、初春ぅぅぅ! 無事で良かったよぉぉぉぉ!」
「さ、佐天さん!? どうしてここに……って、今はそれどころじゃ」

 うん、とりあえず君が先程木山先生に預かった(筈だよね?)音楽ソフトを『学園都市』中に発信しないと、あれがどんどん大きくなるとですよ? いや、まずは木山先生と会話しないとアカンのでしたか。急げ急げ。

「ちっ……! もう、何なのよアイツ!?」
「御坂さん、無事で良かった!」
「追ってこないね」

 まぁ、目的があって暴れてる訳じゃないだろうから当然だけど。しかし、紛い物とはいえども『人口天使』を作り上げた木山先生は、間違いなく大天才になるのかなぁ? 偶然だからそういう訳でもないのか……

「フレンダさん冷静ね。何か対処法とか思いつかない?」
「うーん……流石にあんな物を見た事も聞いた事もないし、一先ず作った本人に聞いてみるしかない。木山せ……さんはどこに?」

 俺がそう言うと、全員で周囲を見回す。先程倒れた場所に居ない所を見ると……あ、いた。高架下の柱に背を預けて笑ってる。自嘲的な笑みだけれどね。
 全員で木山先生の方へ移動すると、自嘲気味に笑いながら呟く声が聞こえてきました。

「ネットワークは私の管理下を離れ、あの子達を回復させる事も叶わなくなったな……お終いだな……」

 ……あ、やばい。何かジーンときちゃった。いや、本当にこの人は良い人過ぎる。『一方通行』も木山先生みたいな人と出会えたら、きっと人生は変わってたんだろうな。勿論、今まで成り行きとはいえども助けてきたミキちゃんとかみたいな子供達もね。

「諦めないでください!」

 初春が前に歩み出て、木山先生にそう告げる。木山先生は驚いた視線を初春へと向け、初春はそんな視線を真っ向から睨み返した。
 そこから話は進む。治療プログラムとか、木山先生と初春の話とか、色々あったけれどとりあえずこれで、後は初春がプログラムを起動させてくれれば勝ちか。長かった……

「急ぎたまえ……それ以外に治療プログラムは既に存在しない。破損してしまえば、それまでだ」
「はい、分かりました!」
「上になら『警備員』の人達が使ってた車があるよね……? 初春、それを使おう!」
「アイツは私が何とかする……初春さん達はプログラムをお願いっ!」

 そう言って走って行く御坂。初春と佐天さんと俺も、近くにある高架へ昇る階段へと向かう。よし、初春が転んだりしないように注意しないと「危ない、伏せるんだ!」

「へっ?」

 木山先生の言葉に反応して横へと視線を向けると、AIMバーストの触手が迫ってきていました☆ え、ええええ!? 原作でこんな事ありましたっけ!? 初春と佐天さんも気がついたみたいだけど、このままじゃ全員巻き込まれる。って、これだけの勢いの触手がぶつかったら、治療プログラム壊れたりしないか? そ、それだけは不味い!

「うおおおおお! 間に会えええええ!」

 目の前にいた佐天さんと初春を思い切り押し倒す。二人は成すすべなく思い切り転ぶが、避けるのが遅れた俺に向かって突っ込んでくる触手。
 
 瞬間、衝撃。

 一瞬だけ上下の感覚がなくなって、次いで襲い掛かる激痛。どうやら直撃はしなかったみたいだけど、風圧で思いっきり吹っ飛ばされたみたい。遅れてきた激痛は、地面に叩きつけられたものだ。意識が飛びかけるが、激痛がそれを許してくれずに俺は呻きを上げる。半端な衝撃だったみたいで、気絶出来ない。いてぇぇ……

「ぐ、ぎっ……」

 無理やり上体だけ起こして周囲を確認すると、電撃がAIMバーストに襲い掛かっているのが見えた。どうやら御坂が気を引いてくれてるみたいなので、昇るのなら今しかない……!

「フレンダさん、フレンダさぁん!」
「だ、大丈夫……とまでは言わないけど、死んでないから安心して……」

 こちらに駆け寄ってきた佐天さんに対し、俺はそう言って笑顔を見せる。佐天さんは涙が溢れた瞳を拭おうともせず、俺を起こそうと手をかけた。いったい! 超痛い! 無理!

「さ、佐天さん。私立てないみたい……悪いけど、初春さんと二人で上まで……」
「う、初春が……」
「……初春さんがどうしたの?」
「あ、足捻って……た、立てないって……私、どうしたら……!」

 えええええ!? あ、あの時強く押しすぎたかな? でも俺はれそれ以上に痛くて動けないので、どうにかして二人で行ってもらうしかない。

「佐天さん、私もちょっと動けそうにない……初春さんを支えて上まで……」
「い、嫌ですっ! 怖いです……! フレンダさんも一緒に……」

 怖いとか何言ってんの!? こちとら痛すぎて話してるのも億劫な位なんですよ……佐天さん、びびりまくってる上に、混乱して状況掴めてない。って、痛い痛い! 手を引っ張るな! あーーもう!

「甘ったれるな!」
「ひっ……」

 怯える佐天さんを見るのは心が痛むけれど、これしか方法がない。荒療治でいかせてもらう。

「大丈夫……佐天さんなら出来る……!」
「む、無理です……怖いぃ……!」
「私を信じて!」

 掴まれていた腕を掴み返す。弱弱しくしかつかめなかったけど、これで少しは安心してくれると嬉しいな。ぐうう、痛くて口調に気を使ってる暇すらないのが本音だけどな!

「佐天さんは、友達を思ってここまで来れた。その勇気は本物だ」
「で、でも……」
「大丈夫、佐天さんは強い」
「……」
「「俺」を信じろ、佐天さんなら絶対に出来るっ……!」

 その言葉と同時に佐天さんはしばらく俯いていたが、やがてポケットからお守りらしき物を取り出して一度強く握りしめると、勢いを込めて立ち上がった。

「やります……やってみます! フレンダさんはそこで安静にしてて下さい、すぐに戻ります!」
「がんばれー……」

 走って初春に近付き、肩を貸して階段を上っていく佐天さん達を見て、俺は胸を撫でおろす。後は野となれ山となれ。いや、実際に大変な事になったら困るので、御坂には是が非でも勝ってもらわないといかんのだけれど。
 そう考えていたら、頭上から何かパラパラと落ちてきた。視線を向けると、そこにはひび割れて今にも落ちそうな大きいコンクリート片が☆
 い、いやいやいやいや! ちょっと待って! こ、これはいくら何でも酷くないか……せっかくここまで頑張ってきたのに、こんな所で死んだら死んでも死にきれない。か、体が痛いけれどすぐにでも移動しないと死ぬ。凄い大きい訳じゃないけど、あの高さから落ちたコンクリートなんかに当たったら死ぬって! と、考える俺の意見を無視するかのように、重力に負けて落下するコンクリート片。徐々に迫ってくるその映像の恐怖に負け、俺は強く目を瞑ってその時を待った。

 「とある金髪と危険な仲間達」 BAD END……

















「超間一髪でしたね、遅れたと思うと超ゾッとします」
「ふれんだ、大丈夫……!?」

 その声と同時に、俺の全身から力が抜ける。いや……本当に今までで一番やばかったかもしれない。だからこういうイベントに首を突っ込むのは嫌なんだぁぁ。

「ありがとう、滝壺さん、絹旗。本当に助かった……」
「お礼を言われるほどの事じゃありません。滝壺さん、フレンダは超大丈夫ですか?」
「……強く体を打ってるみたいだけど、大丈夫そう。骨は折れてないみたい。だけど病院で詳しく見てもらわないと分からないかな」

 どうやら落ちてきたコンクリートを、絹旗が砕いてくれたみたい。マジで間一髪だったのね……恐らくだけど、絹旗達に報せてくれたミキちゃんに感謝感激。
 そして、それと同時にありとあらゆるスピーカーから響く音楽。聞いていると落ち着く音色と、不思議と心休まるメロディだ。どうやら佐天さん達は成功してくれたらしい。

「いい音楽ですね、超落ち着きます」
「……ふぅん」

 絹旗が電話をしながらそう言い、滝壺が妙な声を上げたけど、気にしないでおこう。そんなこと気にしてる程余裕ないしね。でも、とりあえずはこれで事件も終わりか……
 瞬間だった。
 恐らく御坂が戦っている方角から、とてつもない閃光が迸る。それは発電所に接近していたAIMバーストを易々と飲み込むと、彼方へと消えていった。あれって……

「麦野さん……?」





「フレンダさんぅぅぅ! 良かったあぁぁぁあ!」

 泣きながら救急車に乗せられる俺に抱きついてくる佐天さん。俺は苦笑しながらその頭を撫でてあげる事くらいしか出来ないのでありますよ。そんな様子を見て微笑む初春や滝壺。絹旗は……何か嫉妬入り混じる視線な気がするけど……気のせいだよね?

「フレンダ」
「あ、麦野さん……」

 麦のんがこちらに近づいてきて、頬を撫でてくれました。ふぅ、相変わらず麦のんの手は冷たくて気持ちいいですよ。毎回毎回こうしてくれたら……って、いててててて!!?
 気付いたら、頬を撫でていた手が抓る手に変貌しておりました。うああああ、俺のもち肌ほっぺがあああ!

「出かける度に無茶ばっかしてんじゃないわよ! このアホ!」
「むぎのひゃん! いひゃい、いひゃい!」
「あーあーきこえなーい」

 周囲の人間に助けを求めて視線を向けるけど、みんな笑ってるだけで助けてくれない! せ、せっかく『幻想御手』の事件も集結して、やっと落ち着いたのに、こんなオチはあんまりだ!
 あの時の自分を殴り殺すだけじゃ足りない! これからはもっと考えて行動する! だから、だから今だけは……

「ふひょう(不幸)だー!」



<おまけ>

 AIMバーストは御坂の電撃を浴びつつも、その進みを決して止める事はない。そんな様子に御坂は舌打ちするが、そんな御坂を無視するかのような閃光がAIMバーストに襲い掛かった。『警備員』の一斉射撃で殆ど効果がなかった相手の体が、その光に当たる度に抉り取られていく。そんな光を放った人物に、御坂はゆっくりと視線を向けた。

「遅れてきた割に、随分と派手な攻撃するじゃない」
「うっさい。大して利いてない攻撃なんか意味無いわ」

 御坂の軽口に女性、麦野はイライラした様子で応えて前方を睨みつける。御坂も同じ方向へ視線を向けると、そこには再生を終えたAIMバーストの姿が見えた。

「面倒な相手ね、いい的ではあるけれど」
「怖い事言うわね……でも、麦野さんが来てくれて助かったわ。私一人だと施設を守り切るの大変だったの」
「礼なら『風紀委員』の奴らに言いな。あいつ等がいなきゃ多分間に会ってない」

 AIMバーストが原子力発電所へと近づき、御坂も覚悟を決めた瞬間の援軍だった。御坂よりも数段破壊力で勝る麦野の『原子崩し』は、怪物に対して絶大な効果を上げている。ただ、現状では決定打になり得ていないのだが。

「せめてあの再生力だけでも鈍ってくれればね……」
「全く、面倒……っと、電話だ。御坂、しばらくよろしく」
「え、ちょ!? ……もうっ……って、あら?」

 突如、AIMバーストの動きが鈍る。先程まで再生していた触手も、その動きを止めていた。それを見た御坂がニヤリと微笑む。

「初春さん達、どうやら上手くいったみたいね。これで逆転よ!」
「あー、御坂御坂」
「へっ、何?」

 御坂が麦野へと視線を向けると、そこにはまさしく「私怒ってます」、と言いたげな麦野の表情があった。よくよく見ると手に持っている携帯電話もヒビがはいており、御坂は本能的な恐怖を感じて若干後ずさる。麦野はそんな御坂の様子を気にも留めずに口を開いた。

「アイツは私にやらせろ」
「え、うん……いいけど」
「それと、御坂に一つ頼みがあるわ」
「な、何?」
「アイツに向かって、一定の方向へ進む磁場みたいな物を作ってくれないかしら」
「それくらいならお安い御用だけど……」
「出来るだけ大きくね」

 その言葉に御坂は頷き、AIMバーストへ向けて電気の道を構成する。それと同時に、麦野は『原子崩し』を発動した。御坂が作り上げて道にそって、どんどん膨れ上がっていく光に、御坂の表情が少しだけ引き攣る。

「こ、これって……」
「私だけじゃ、これだけの出力を使うのは危なくてね。御坂の力を使わせてもらうわよ」
「あ、あははは、凄いわね」
「私だけの力じゃないわ、御坂の力もよ」
「ふぅん、褒めてくれてる?」

 光は限界まで輝きを増し、周囲へと広がって行く。

「『超能力者』が協力して放つ攻撃なんざ、今まで初めてかもしれないわね」
「ふふ、やっちゃえ麦野さん!」
「OK……見やがれ怪物、そして元居た場所に帰りな」

 限界まで高められた『原子崩し』が発動する。その光はAIMバーストを文字通り、「跡形もなく」消し飛ばしていく。

「さしずめ、『電磁崩し』ってところかしらね」

 麦野がそう言ったのを最後に、AMバーストは消滅した。



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