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No.24886の一覧
[0] 「とある金髪と危険な仲間達」【とある魔術の禁書目録 TS 憑依?】[カニカマ](2012/01/31 15:53)
[1] 第零話「プロローグ」[カニカマ](2011/04/28 14:54)
[2] 第一話「私こと藤田 真はまだ元気です」[カニカマ](2011/04/28 14:56)
[3] 第二話「ファーストコンタクト」[カニカマ](2011/09/08 00:08)
[4] 幕間1「フレンダという名」[カニカマ](2011/09/08 00:09)
[5] 第三話「Nice Communication」[カニカマ](2010/12/12 07:46)
[6] 第四話「とある奴隷の日常生活」[カニカマ](2011/04/28 14:59)
[7] 第五話「今日も元気に奉仕日和」[カニカマ](2011/04/28 14:59)
[8] 第六話「ルート確定余裕でした」[カニカマ](2011/04/28 15:00)
[9] 第七話「  闇  」[カニカマ](2011/04/28 15:00)
[10] 幕間2「私の所有物」[カニカマ](2011/04/28 15:01)
[11] 幕間3「『道具(アイテム)』は闇へ……」[カニカマ](2011/04/28 15:01)
[12] 第八話「この台詞二回目ですね!」[カニカマ](2011/04/28 15:02)
[13] 第九話「暗部の常識? 知らぬぅ!」[カニカマ](2011/09/08 00:16)
[14] 第十話「『俺』の生き方は『私』が決める」[カニカマ](2011/09/08 00:18)
[15] 幕間4「知らぬ所で交錯するっていう話」[カニカマ](2011/04/28 15:04)
[16] 第十一話「原作キャラ可愛すぎです」[カニカマ](2011/04/28 15:05)
[17] 第十二話「友達が増えたよ!」[カニカマ](2011/04/28 15:06)
[18] 第十三話「来てしまった今日」[カニカマ](2011/04/28 15:07)
[19] 第十四話「とある金髪の戦闘行動(バトルアクション)」[カニカマ](2011/04/28 15:07)
[20] 第十五話「幻想御手と無能力者」[カニカマ](2011/04/28 15:08)
[21] 第十六話「話をしよう」[カニカマ](2011/04/28 15:08)
[22] 第十七話「電磁崩し」 幻想御手編 完結[カニカマ](2011/04/28 15:10)
[23] 予告編『絶対能力進化計画』[カニカマ](2011/02/10 17:36)
[24] 第十八話「とあるお国のお姫様」[カニカマ](2011/04/28 15:10)
[25] 第十九話「とあるお国のお友達」[カニカマ](2011/04/28 15:11)
[26] 第二十話「予想外」[カニカマ](2011/04/28 15:12)
[27] 第二十一話「やるしかない事」[カニカマ](2011/04/28 15:12)
[28] 幕間5「認めたくない過去、認められない未来」[カニカマ](2011/04/28 15:13)
[29] 第二十二話「フレンダですが、部屋内の空気が最悪です」[カニカマ](2011/04/28 15:14)
[30] 第二十三話「偽善」[カニカマ](2011/04/28 15:14)
[31] 第二十四話「覚悟完了」[カニカマ](2011/04/28 15:15)
[32] 第二十五話「最高の危機」[カニカマ](2011/04/28 15:15)
[33] 幕間6「それぞれの戦い・前篇」[カニカマ](2011/04/28 15:16)
[34] 幕間7「それぞれの戦い・後篇」[カニカマ](2011/04/28 15:25)
[35] 第二十六話「戦いの終わりに」『絶対能力進化計画』編 完結[カニカマ](2011/04/29 09:21)
[36] 第二十七話「お見舞い×お見舞い」[カニカマ](2011/05/23 01:07)
[37] 予告編『最終信号』編[カニカマ](2011/05/23 01:10)
[38] 第二十八話「復活ッッッ!」[カニカマ](2011/06/05 12:46)
[39] 第二十九話「俺、故郷に帰ったら結婚するんだ……」[カニカマ](2011/06/29 20:01)
[40] 第三十話「白と毛布とイレギュラー」[カニカマ](2011/07/16 15:41)
[41] 第三十一話「(話の)流れに身を任せ同化する」[カニカマ](2011/07/17 23:48)
[42] 第三十二話「朝一番」[カニカマ](2011/11/24 02:37)
[43] 第三十三話「ミサカネットワーク」[カニカマ](2012/01/31 15:49)
[44] 第三十四話「逃げたいけれど」[カニカマ](2012/01/31 15:52)
[45] *「簡単なキャラクター紹介」*キャラ追加&文追加[カニカマ](2011/11/24 02:37)
[46] 番外1「とある首輪と風紀委員」[カニカマ](2011/04/28 15:18)
[47] 番外2「転属願い届け出中」[カニカマ](2011/04/28 15:19)
[48] 番外3「二人のお馬鹿さんと一人の才女」[カニカマ](2011/04/28 15:19)
[49] 番外4「とある部隊の不幸体験」[カニカマ](2011/04/28 15:19)
[50] 番外5「宝物」[カニカマ](2011/04/28 15:20)
[51] 番外6「寝顔シリーズ」<『妹達』、佐天さん追加>[カニカマ](2011/06/25 16:11)
[52] 番外シリーズ1「『学園都市』の平和な一日・朝」[カニカマ](2011/04/28 15:21)
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[24886] 第十二話「友達が増えたよ!」
Name: カニカマ◆b465aa7c ID:500ae757 前を表示する / 次を表示する
Date: 2011/04/28 15:06
「友達が増えたよ!」



「へぇ、そんな事があったんですか。超意外な縁ですね」
「私も驚きました、あの時白井さんを助けてくれた人とこんな所で出会えるなんて思ってもいませんでしたから」

 現在、席が空いてきたので窓際の八人全員が座れる席に移動して会話が進んでいます。気をまわしてくれた店員さんマジ良い人。この店はやはり拠点に最適だわ。
 絹旗の意外そうな声とは裏腹に初春はほんわかとした声でそう言った後、麦のんに向かって頭を下げる。そんな初春の礼に対し、麦のんは苦笑しながら口を開いた。

「あの時はただ犯人がムカついただけよ。だから気にしないでってば」
「そういう訳にはいきませんよ。友達を助けてくれたから、お礼が言いたかったんてす」
「わたくしからも改めて感謝致しますわ」

 ちなみに会話の流れから言うとこうだ。アニメ・漫画版超電磁砲の話の一つにあった郵便局強盗事件の際、麦のんはその場に偶然居合わせたらしい。これだけなら別に良かったんだけど、どんな流れか詳しくは分からないが麦のんは事件解決に一役買っちゃったらしいのだ。原作だと御坂の超電磁砲で危機を救われるんだったっけな? ちょっとした原作剥離だけれど、これくらいなら大丈夫……だよね?

「でもあの時は驚きましたわ。助けて下さった方が『超能力者』と名乗った時は、心臓が止まると思いましたもの」
「むぎの、名乗ったんだ」

 滝壺の言葉には多少非難めいた響きがある。まぁ、麦のんが名前を出すと色々派手な事になるからね。暗部の活動に差し支えたら、それは麦のんだけじゃなくて他のメンバーの事でも不味い事になるし。

「大丈夫よ、それ以外は言ってないから」

 麦のんがひそひそ声で滝壺に返すと、滝壺も納得したらしくいつもの穏やかな表情に戻る。暗部はおっかない所だからなぁ……油断するとすぐに足元すくわれそうだしね、警戒するに越したことはないか。

「『超能力者』……麦野さんって、確か第四位だっけ?」
「えぇ、そうね。アンタに抜かされた第四位よ、『超電磁砲』」
「む……」

 む、麦のんが喧嘩売っておられる。いや、今のは御坂の言い方にも問題があったけどね。高能力者になればなるほど自分の能力に絶対的な自信を持つし、能力だけが自分の生きる道と勘違いしてる奴も大勢いる。『学園都市』の性質上どうしようもないことなんだけど、この傾向どうにかなんないかなぁ。仕事で他の奴と組む時も、能力者と組むとやりにくくて堪らないのよね(サボリ的な意味で)。かといって無能力者だと、一緒にいる滝壺に対して突っかかってくるのでマジめんどい。
 麦のんの言葉に御坂は不機嫌そうな視線を向け、対する麦のんは挑発的な目で御坂を見やる。その様子に佐天さんと初春はオロオロしているが、他のメンバーはどこ吹く風といった感じだ。俺を含む『アイテム』のメンバーは麦のんの機嫌や危ない状態なんて把握できてるし、黒子は……きっと気配とかで分かるんだろう、うん。
 やがて御坂が折れたらしく、軽く溜息を吐いて笑顔を浮かべた。対する麦のんもニヤリと微笑む。ちなみに今の笑い方は機嫌の良い笑い方です、危ない時はニヤリじゃなくてニヤァ、になります。

「御免、私の言い方が悪かったわね」
「気にしてないわ。序列は確かに大事だけど、抜かされたから喧嘩売ってたんじゃ底が浅いわ。それを実力で抜き返してこそ本物の能力者、でしょ?」
「へぇ……気が合いそうね。改めて自己紹介させてもらうわ、『超電磁砲』の御坂 美琴よ、よろしくね麦野さん」
「『原子崩し』の麦野 沈利、よろしくね……御坂って呼び捨てにしてもいいかしら?」
「勿論!」

 おぉ……原作じゃ有り得ない組み合わせが誕生してしまった。しかし、この関係の構築は非常に良い感じですよ。前も言ったけど、俺は『絶対能力進化計画』の時に御坂と戦うのは絶対に嫌なんです! 確かに俺が受けたくないと言えば仕事を受けない方向で行くと思うけど、不安材料を取っ払うに越した事はないだろう。いや、御坂が来るって知らないから意味ないかもしれないけどね……もしかして御坂だって分かれば手を引いてくれるかも……あまり期待しないでおこう。

「で、アンタ達は一体どこに行くつもりだったの?」
「これからセブンスミストに行ってぶらぶらする予定でしたの。特に行く場所は決まってないのですが……」
「ウインドウショッピングって奴です!」

 白井の言葉に元気良く補足する佐天さんを見ながら、麦のんは微笑んでこちらに視線を向ける。あの視線は……とりあえず俺はOKの意を示した視線を返し、滝壺と絹旗も同様の視線で返す。視線で返すとか意味分かんないと思うけど、これってかなり重要だったりします。暗部とかで盗聴を警戒した時にアイコンタクトする機会が多く、これが出来る出来ないだとかなーり違うのですよ。ちなみに俺は間違えた事が殆どないです! 伊達に麦のんと何年も過ごしてきた訳じゃないって訳よ。加えて滝壺や絹旗からのアイコンタクトも大体分かります。
 俺達の視線を受けとった麦のんは軽く頷くと、黒子へ視線を向けて口を開いた。

「どうせなら私達と一緒に行かない?」
「え、いいんですか?」
「えぇ、私達も適当に歩こうと思ってた所なのよ。要するに暇なワケ」
「私は全然構いませんよ! 御坂さん達はどうですか?」
「勿論私は大賛成よ」
「私もです! ほら、白井さんファイト!!」
「わわわWA、わたくしも勿論オールオッケーですわ!」

 うぉ、何でこんなに黒子は力が入ってんの? ぶっちゃけ声がでかすぎて周囲の客の迷惑になるし、俺は照れ屋なので目立つのは嫌いだから静かにして欲しいですわ。そしてそれを微笑ましく見守る初春と、若干笑いに影のある御坂。本当に一体何なんですかねぇ?





 『セブンスミスト』、学生を中心とした服やアクセサリー、様々な物を集めた娯楽の区画である。普段能力開発や勉強で努力している学生達は自分の好きな物を見たり、買ったりして日々のストレスを発散している。また学生以外でも、教師や働いている研究者もここを多く利用する。つまりは『学園都市』で最も物流が盛んな場所であり、また一般人が多い場所でもある。そんな場所で今俺が何をさせられているのかと言いますと……

「うわぁ、これも可愛いですね!」
「次は超コッチ着て下さいフレンダ」
「フレンダ、このスカート履いてみて」

 はい、現在佐天さん、絹旗、滝壺の三名よる公開処刑を受けております。今の俺はまさしく着せ替え人形の名が相応しく、店員さんもやる気満々で俺に服を渡しまくってきます。いや、俺はそんなに買えるほどお金持ってないから。

「フレンダさんって、本当に何を着ても似合うんですね。西洋人形みたいだし、どんな服でも無理なく着れてますよ!」

 それ褒めてる? というかまさしく着せ替え人形の気分なんだってばよ。

「超美人の私も服の着こなしには自信がありますが、フレンダには超負けます」
「ふれんだ、可愛い」

 だから絹旗それ褒めて(ry あ、滝壺は褒めてくれてありがと。だからそろそろ解放して欲しいんだけど。そういった気持ちを込めて視線を向けるが、滝壺の視線はまさしくこう応えていた。

『だが断る(滝壺の顔でJOJ○風に)』

 アイコンタクトって便利だけど、ここまで進化しちゃうといぢめが発生すると思うんですよね。周りに声とか聞こえないしね! こういう状態の滝壺に逆らっても無駄だと分かり切ってる俺は、仕方ないので渡されたスカートを履きますっと。ついでに渡された服も……って、上着だけで四万円!? あ、相変わらず恐ろしい物持ってくるな。汚さない様に注意しないと……
 着終わった俺は改めて鏡で姿を確認する。上は上品な感じの青をベースにしたブラウスに、下はクリーム色のスカートだ。帽子はいつも通りのを被っているので色合いが少し合ってないがフレンダの容姿を完全に活かしきってる位似合ってる。もう何年も付き合ってるけど、容姿だけなら最高の転生先にいるよなと認識させられるわ。立場が危うい上に死亡フラグ立ってるのだけは勘弁してほしいけど。さて、待たせてる方達に姿を見せないとな。

「おまたせ、どうかな?」
「……ぉぅ」
「うむ、超完璧ですね」
「……」ゴソゴソ、パシャッ

 絶句してる佐天さんに、一人で納得してる絹旗、そしておもむろに携帯電話を取り出して写真を撮る滝壺さん。人に写真撮る時は挨拶と写真良いですかって聞かなきゃ駄目ですよ。それに一定の場所以外での撮影は禁止ですからね! ……あれ、何か違ったか?

「うぅ、似合いすぎて言葉も出ない……」
「フレンダはモデルでもやっていけそうですね」
「無理無理、私上がり症だからカメラ向けられたら変な表情するしね」

 対人関係恐怖症(フラグ的な関係で)の俺が初対面の人間に明るく振舞うのは無理です。なのでいきなりカメラマンとかに来られたら、パニックで表情が固まるぞ。それにフレンダは可愛いけど、中身は平凡大学生なので、どこかでボロが出そうですね。だから無理です。

「フレンダ、この服買わないの?」
「いやいや、無理だよ。この服すっごい高いもん」

 給料一杯な滝壺達と違って、俺は平均的な暗部構成員位の給料しかもらってないのです。家事に必要なものとか食材は麦のんが出してくれてるけど、それ以外の私物は自分で買ってる。流石に全部麦のんに頼る訳にもいかんしね。という訳で俺はそれほど貯金がないのです。

「私にこんな高い服似合わないしね~、今日はブラシでも買おうと思ってたし無駄遣いは出来ないよ」
「ふれんだ、私が買ってあげる」

 へ、何故にwhy?

「いや、こんなに高い物買ってもらう訳にいかないよ」
「ううん、私が買ってあげたいの。駄目?」

 むう……こうなった滝壺はテコでも動かんのよね。間違いなく、俺が良いよと言うまでこの服を離さないに違いない。絹旗の方へ視線を向けると、「良いじゃないですか?」と言いたげな視線を向けてた。佐天さんも大体そんな感じの事を言いたげだ。うーむ、仕方ない。本意ではないがここは甘えるとしますか。

「分かった、今回は甘えさせてもらうね。今度何かで返すよ」
「ううん、大丈夫だよ。臨時収入が入る予定だから」

 へぇ、何か実験でもこなしてお金に余裕があるのかしら? それならそうと言ってくれれば甘えやすかったのに。
 俺から服を受け取り、滝壺はレジへと向かっていく。絹旗と佐天さんもとりあえず俺弄りを止めたらしく、近くにあった髪飾りを二人で眺めていた。ふむ、俺も暇になったし向こうの様子でも見に行くかな、と考えて下着&寝巻売り場へと向かう。
 到着した俺を待っていたのは、ブラを胸に当てて選んでいる麦のんの姿だった。そういえば最近ブラがきつくなってきたと申しておった。ちなみに俺は平均よりやや小さめといった感じで、麦のんや滝壺とは比べ物にならない程ちっぱいを維持しております。泣きたい。
 ちなみにそんな麦のんを見て悔しい思いをしているのは俺だけではないらしく、御坂が恨むような視線を背中に向けてます。というか御坂も中学生にしてはある方だと思うんだけどな……よく貧乳ネタにされてるけど。多分近くにいる佐天さんというおっぱいのせいだな、うん。
 そんな二人の様子を見守ってる黒子は、何かこう……形容しがたい表情で唸っていました。血走った視線で二人を見てる姿は、その…怖いんですけど。

「あの、白井さん。何してるんですか?」
「ハッ!?」

 怖かったけど、様子が可笑しいので心配して声をかけたらギョッとして姿勢を正しました。本当に何なんだろうねこの子は。

「い、いいいいいつからそこに?」
「いつって……ついさっきだよ。白井さんは何してるの?」
「わ、わたくしはお二人の買い物に付き合っている所ですのよ」
「そ、そうなんだ」

 その割には目が血走ってて怖いですよ、とは言えない。女性に対しては常に紳士であるのですよワタクシは。そんな俺の様子には構わず、黒子はまた麦のん達へ視線を戻した。本当に何なのかしらね。
 と、その時俺の携帯電話が鳴り響く。誰かな? と思って名前を見たら、見覚えのある名前でした。特に静かにとか電話をしてはいけないというルールがある場所でもないので、ここで出てもいいか。とりあえず通話ボタンを押してっと。

「もしもし~?」
『あ、フレンダお姉ちゃん? 今大丈夫ですか?』
「大丈夫だよ~、何かあった?」

 ん、誰と話しているかって? この子は二年くらい前に暗部で保護した女の子でありますよぅ。何でそんな子が俺に連絡してきてるのかというと、この子は『アイテム』が保護し、そして私がしばらく面倒を見て、その後田辺さんに任せた子だからです。いや、暗部って根っからの悪人が結構いて、その中でも特に多いのが『学園都市』にいる『置き去り』を誘拐して外へ売り払おうとする連中なんですよ。それで麦のんと取り決めたんですが、保護した子は上層部へは引き渡さずに、田辺さんの施設で面倒見てもらおうと言う事になったんです。いや、だって引き渡したら絶対に碌な事にならないだろうし、『置き去り』の現状を知っている身としては少しでも助けてあげたいと思ったんですよね。それにこれ位ならやっても、物語に影響するとは思えないからね。
 んで、何で電話がかかってきたのかと言いますと、これは田辺さんからの申し出により預けた子供達全員に俺の電話番号を渡してあります。何かあった時の為に、という名目なんだけど、ぶっちゃけ俺の番号なんてもらってどうするのか分かりません。すぐに忘れるか、電話なんてしないまま終わるでしょ、とか考えてたのでかるーい気持ちで田辺さんの提案を受け入れちゃいました。
 ところがどっこい、何と二日に一回は誰かから電話がかかってくるわ、ほぼ毎日何通かメールが来る感じになっちゃいました。これは予想外。そして田辺さんが俺に頼んだ理由も分かりましたよ。麦のんとか滝壺、絹旗じゃ実験とかで忙しい時も多いから、大体暇な俺の電話番号を教えたのですね! 麦のんとかじゃいざという時に電話に出れないしね。俺ならその点問題なし、だって顔と肩で携帯挟みながら料理とか出来るし、そのせいで電話しながら良く家事やってます。

『何もないんだけど、フレンダお姉ちゃんの声が聞きたくなっちゃって……』
「その理由だと何も無い訳ないでしょ~? 学校で何かあった?」
『……うん、実はお友達からお出かけしようって誘われて……』
「良い事じゃない、何か問題でもあるの?」
『わ、私不細工だから……皆に迷惑かけたりしないかな? それで見捨てられたりしないかな? ふ、不安になっちゃって……うううぅ゛』

 ああ、この子そういえば親に捨てられたのがトラウマになってるんだったね。それが自分が不細工なせいだって何度も言ってたし。ちなみにこの子、前髪が長くて目元が隠れてるおかっぱって感じの髪型なんだけれど、その下の顔はすげぇ可愛いです。例を上げるとすると、目がぱっちりしてる滝壺って感じかな? ちなみに『強能力者』の『電撃使い(エレクトロマスター)』だった筈。ちなみに、電話に入ってる子達は名前や能力、好きなもの位は完璧に記憶してます。田辺さんから頼まれたことだし、これ位の事は完璧に覚えておかないとね。暗部で役に立ててないし。

「そっか、心配で私に電話しちゃった訳だ」
『う、ん……ぐすっ』
「成程成程、とりあえず私から言える事は一つだけかな?」
『どうすればいいの……?』
「いつも通り、自分らしく、胸張って行きなさい。それで大丈夫だから」
『で、でも』
「あれ、私の事が信用出来ない?」
『だって私、不細工で……』
「それでも良いじゃない。本当の友達は、そんな事絶対に気にしない。だからいつも通りの自分で行けば、必ず上手くいくよ」
『……』
「私が保証してあげるから、いつも通りの自分で行ってみなさい。大丈夫、私は冗談は言っても嘘は吐かないから」
『……うん。私、頑張るね!』

 く、くさっ……! 自分でも臭い台詞言ってるのは分かるんだけど、この子を勇気づけるのに思いついた台詞がコレなんですよね、中二病乙。そして嘘を吐かないとか、早速嘘吐いてごめんなさい。で、でもこの子に嘘吐いた事ないから、今回はノーカンで良いですよね? 駄目ですかそうですか。とと、最後に一個フォローしとかないと……

「それにね」
『?』
「貴方は美人だよ、だって私が最初見惚れた位だからね」
『ッ……! き、切りますね! また今度電話します!』

 ピッ、という音と共に通話が切れる。うーむ、最後のは余計だったかしら? 不細工という事を否定しなかった事についてお詫びのつもりだったんだけど……怒らせちゃったかな?
 軽く息を吐いて携帯をポケットにしまう。と、その時見られている感覚感じ、その方向に向くと黒子が訝しげな視線を向けていました。貴方さっきまで麦のんと御坂を凝視してたけど、それは終わったのかい?

「フレンダさん、貴方今どなたとお話されてましたの?」
「へ? どうしたの急に」
「いえ、会話が聞こえてしまたのですが、友人と会話するには妙な会話だなぁと思いまして……」

 ありゃ、さっきの話聞かれてたのか。意外と大きな声で話しちゃってたのかなぁ? というか黒子よ、人の電話を聞き、なお且つその内容に触れるなんてマナー違反ですよマナー違反。『風紀委員』の仕事上、不審な会話は気になる性質なんでしょうかね。隠す内容でもないから良いけど。

「んー、そうだなぁ……娘、違うな。妹……? みたいな子の相談に乗ってあげてたんだ」
「妹……? 何で疑問形なんですの」
「私と一緒の施設の後輩だし、良く遊んであげてたから妹みたいなものかなぁと思って」
「……施設?」
「うん、私『置き去り』だからね」

 嘘は言ってない。間違いなく同じ施設(退所済み)にいるし、そして遊んであげてた(一時期面倒見てただけ)のも間違いじゃないしね。相談に乗ってあげてるっていうのも嘘ではないだろう。
 それを聞いた黒子は最初茫然としてたけど、徐々に顔を青くして震え始めた。百面相だのぅ、赤くなったり青くなったり忙しい奴め。麦のんにオシオキされてる俺はこれ以上に百面租らしいけど、詳しく覚えてないんだよね。怖すぎる。

「も、申し訳ありませんの! わ、わたくし何と無神経な……」
「え、何が?」
「勝手に人の会話を詮索し、あまつさえこんな事を聞いてしまう事になるなんて……」

 あー、確かに人から『置き去り』だなんて聞いたら気まずくなるか。これはいかん、俺も配慮が足りなかったか。

「私は気にしてないよ、逆に気を使われると嫌だなぁ」
「し、しかし……」
「これは私だけの考えかも知れないけど、『置き去り』にとって一番辛いのが、『置き去り』として同情される事だと思うの。私達は今を楽しんで生きてるのに、それを含めて同情されるっていうのは今の人生を否定された気になるんだよ? だから気にしないで」

 これは経験論。今まで結構な人数の『置き去り』を保護してきたんだけど、同情はマイナス要因になる事が多かったのよね。例え同情されても、お前に俺の何が分かるんだよみたいな? 実際俺もそう感じる部分はあるし。
 それを聞いて黒子はしばらく黙っていたが、やがて軽く息を吐きこちらに真っすぐ視線を向けた。先程の弱気な視線と違って何とも輝いた瞳になってますね。アニメでの黒子はこんな感じだった気がする。

「そうですわね、本当に失礼しました」
「いえいえ~」

 よし、これにて一件落着。互いに変な感情を持つと後々尾を引く事になりかねないし、会う度に気まずくなるなんてゴメンです。黒子は好きなキャラだから……なんてことはないよ、本当だよ!
 さて、どうやら麦のんと御坂も下着選びを終えたらしく、後はお会計するだけみたい。それが終わったら他の場所へ行く事になると思うからのんびり待ってようかね。とりあえず次は食料品売り場に行きたいなぁ……

「あの……フレンダさん」
「どしたの、何か用?」
「一つ聞きたい事があるのですが」

 黒子がモジモジしながら声をかけてきたでござる。何の用でござるか?

「そ、その……その首輪はご自分でお付けになってらっしゃいますの?」
「え? うーん……今はそうだけど、最初は違うよ」
「へ? で、では……」
「これ、最初は麦野さんからプレゼントされて付けたんだよ~(笑)」

 まぁ隠す事でもないし、黄泉川先生も知ってる事だし教えても良いよね。知られたからといって困る事ではないと思うし。麦のんの尊厳は知らぬ。

「…………麦野さんが?」
「そ、麦野さんが」
「s、そそそそそそそそそそそれはどどどどとどういう」
「お待たせー……って、フレンダ来てたのか。言えば良かったのに」
「黒子、お待たせ。って、どうしたの?」

 おっと、二人が買い物を終えたみたいですね。それと同時に黒子は凄い顔で制止したけれど、一体何が聞きたかったの……気になるから今度聞いてみよう。





「はぁ~、楽しかったですねぇ」
「久しぶりに超充実した休日でした。礼を言います」
「こちらこそですよー」

 セブンスミストを出た後、俺達はゲーセンに向かって遊びまくってました。麦のんがパンチングマシーンで新記録出してたり、佐天さんが超スピードで音ゲーやってたり、滝壺がひたすらクレーンのお菓子狙ってたり、色々と楽しかったですわ。俺? 貧乏性な俺はずっとメダルゲームやってましたよ。百枚くらい増やしたので預けてきました。

「この後どうする? 御坂達もいるし、久しぶりに外食にでも行こうか?」
「あー、ゴメン! そろそろ門限なのよ」
「まだ五時くらいなのに?」
「常盤台は門限や服装に厳しいんですの。普段は制服姿でいるという校則もありますわ」
「超面倒ですね、服くらい自由にさせて欲しいです」

 ああ、そういえば常盤台……しかも寮は門限厳しいとかいう設定だったか。あそこの寮監怖そうだし、確かにここで帰った方がいいのかな。麦のんと寮監戦わせてみてぇ……いや、決して寮監に普段の鬱憤を晴らしてもらおうとか考えてませんって。本当ですよ?

「門限なんて破る為にあるものじゃないの?」
「むぎの、無理強いは駄目だよ」
「あははは、今日はとりあえず帰るわね。また今度お昼御飯でも食べに行きましょ」
「はいはい……っと御坂、携帯出しな」
「お、忘れてたわ」

 そう言って携帯を出す両者。『学園都市』の携帯電話はかなり離れていても通信が出来るので、二人は特に携帯を近付ける事もなくデータを送信する。麦のんと御坂はそのまま素早く指を動かし、データをその場にいる全ての人間に送信した。とりあえず俺もそれにならって携帯を操作してデータを送信する。

「よし、これで全員分ね。用事があったら適当にメールでもしてきなさい、暇なら相手してあげるわ」
「そっちこそ、寂しかったらメールしてきてもいいんだから。ただ学校の時は止めてよ、没収されても困るし」
「よっし、皆のアドレスゲットだぜー」
「ふむ、アドレス帳の内容が増えるのは超久しぶりですね」
「これからもよろしくお願いしますー」
「よろしくね」
「む、麦野さんのアドレス……麦野さんの……」
「白井さん……どしたの?」
「な、何でもありませんわ! アドレス交換ありがぶっ……!」

 あ、舌噛んだな。超痛そう。
 とりあえず、偶然とはいえども『超電磁砲』のキャラと交流開始かぁ……この四人が揃っているという事は、原作の展開が近い証拠か。まだまだ先とはいえ暗部反乱も一年ないのか……うぐ、そう考えると寒気が走るな。どうにかして死亡フラグは回避しないとね。
 まぁ、とりあえず……

「フレンダ、帰るわよ」
「今日の御飯は超何にしますか? 私お腹空きましたよ」
「お鍋が良いな、鶏団子一杯入れて」

 帰って今日の晩飯とお風呂の準備しないとね。



 おまけ

「むぎの、これ……」
「こ、この写真……いつ撮ったの?」
「ひ み つ。どうする、買う?」
「……いくらよ?」
「この服にかかった半分で」
「買った!」
「売った」



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