【推奨BGM:『宇宙戦艦ヤマト 復活篇』より《若者たち》】第一受令室で懐かしい二人と別れた篠田は、さらにエレベーターで階下に降り、最下層にして最終目的地である第三艦橋へ向かった。電算室とプローブ発射口へと大幅な改装を遂げたヤマト、グラスドームで覆われて視界に優れた『武蔵』と比べて、『シナノ』の第三艦橋は外見上は改装前と大きな変化は無いように思われる。あえて外見上の変更点を挙げるならば、第三艦橋の底がパテ盛りしたように一段分厚くなっている点だろう。エレベーターのドアが開くと、正面は硬化テクタイト製のガラス張りで、ブルワークと下部一番主砲の砲塔が視界の上半分を占めていた。下半分にはアマールの広大な海が青々と輝いている。しかし、そんな美しい風景の手前には、結界とも言うべき異様な空間が広がっていた。第三艦橋要員、高野明日夏はじめ5名は、全員が年頃のうら若き女性である。待機時間に入った彼女達に緊張感は無く、ガールズトークに花を咲かせている。その内容は美容の話からアマールのお勧めスイーツに至るまで、多種多様だ。勤務時間中に……と思わなくもないが、男が一人もいない、ましてや同年代の女性しかいない職場は、いつの時代もこんなものだ。一般的な独身男性、もしくはある程度以上の年齢の男ならば尻ごみしそうな雰囲気。だが篠田は一向に臆することなく、エレベーターを降りて高野が座るオペレーター席へと向かった。かつてかまびすしい義妹二人に挟まれて苦労した経験は篠田に、女の園に真顔で侵入するだけの度胸を付けていた。「艦長代理!?どうしてこちらへ?」会話に夢中になっていた高野が篠田に気付いたのは、すぐ真後ろにまで近づいてからだった。篠田は慌てて立ち上がって敬礼しようとする5人を手で制す。「待機時間を利用しての艦内視察だ。待機時間にサボっている奴がいないかと、巡回して回っているところだ」「申し訳ありません!」一気に羞恥に顔が赤くなる乙女たちに、篠田は口元が綻びそうになった。「それと、高野にあの時の礼を言いたいと思ってな」「私に、ですか?」自分の名が出て思わず顔を上げた高野に、篠田は真剣な表情を作る。「ああ。あの時、艦を救ってくれてありがとう。君のおかげで、『シナノ』は助かった」第一艦橋が機能不全に陥る中、高野は第三艦橋から艦を操作し、『ネトロン』の射線から艦を避難させてくれた。俺達は気絶してしまって当時の詳しい状況は知らないが、その時の彼女の心情は察するに余りある。砲弾が雨霰と吹きつけてきてみるみるうちに艦体は穴だらけ、いつ第三艦橋に被弾して自分が戦死するかもしれない状況で、彼女は勇気を振り絞って見事に操艦してみせたのだ。いくら軍人の訓練を受けた宇宙戦士でも、あれだけの絶望的な状況下で訓練通りの行動ができる人はなかなかいない。「い、いえ、艦長代理。私は当たり前のことをしただけで、そんなお礼を言われるような!」高野は真っ赤な顔のまま、両手をパタパタと振った。彼女の太い眉が弱々しく八の字に下がるり、両手に合わせてミディアムストレートの赤毛がふわふわと舞いあがった。似ても似つかないのだが、見た目は勝気な性格に見えるのにワタワタと慌てふためく姿がなぜか昔のあかねを思い出す。右の耳元で小さく編まれた三つ編みがふらふら揺れているのを見ていると、微笑ましく思えてくる。「謙遜しなくていい。それだけのことを君はやったんだ。素直に礼を受け取ってくれ」「こ、光栄です……」動揺が頂点に達したのか、そう言うなり高野は恐縮して俯いてしまった。瞬間、会話が途切れて気まずい沈黙が訪れる。ふと気付けば、周りの四人が何やら意味ありげな俺と高野を交互に見ている。その視線から、何やら彼女たちが年頃の女子が好きそうな事を想像しているだろうことを長年の経験から察した篠田は、すばやく話題を変えた。「ところで、波動防楯の運用は万全か?」高野ではなく、あえて四人へと視線を向けて無言で牽制する。「はい。手順は頭の中に入っています」高野に続いて、四人も頷いて同調した。「ただ……テストすらしたことのない兵器を使うのは、ちょっと怖い気もします。説明書を読んでもあまりピンと来ないというのもあるんですけど」「ふむ……まぁ、バリアミサイルみたいなものだと思ってくれればいい。基本構造は全く一緒だ」篠田の言う「波動防楯」とは、アマール本土防衛戦を教訓に地球防衛軍が新たに開発した防御兵器だ。バリアミサイルの拡大発展版ともいうべきもので、艦の前方にタキオン粒子で大きな一枚のバリアを形成することで、衝撃砲やミサイルのみならずデスラー砲やニュートロンビーム砲のような大型決戦兵器の一撃を受け止めることを目的としている。具体的には、第三艦橋の底面に新たに埋設された板状のタキオンフィールド発生グリッドから展開されたタキオンフィールドが、艦首波動砲口から放出されたタキオン粒子を前方500メートルで半径100メートルのえ大きなバリアに成形する。波動エンジンから直接タキオン粒子が提供されるので、バリアミサイルとは比べ物にならないほどに厚く大きなバリアを張ることができるのだ。空間磁力メッキのように、どの方向からやってくる攻撃も反射して相手に送り返してしまう便利さはないが、エンジン内に波動エネルギーが残っているかぎり何度でも使えるのが大きな特徴だ。ちなみに波動系兵器は、材料である波動エネルギーを艦のエンジンから無尽蔵に取り出せるので、艦内スペースを圧迫することなく装備できる点が強みだ。「でも、波動砲ほどの大出力の兵器でタキオンフィールドを形成するなんて、前代未聞です。いくらなんでも、焦り過ぎなような気がします。もう少しテストを重ねた方がいいのでは?」「そう言ってくれるな。昔はその場で開発、すぐさま実戦投入なんて事があったくらいだ」対ハイパー放射ミサイル艦首ビーム砲がぶっつけ本番で動いたのは、完璧超人な真田さんだからこそできた荒業だけどな、とは言わないでおく。「そもそも、波動エネルギーを盾に使おうって発想が生まれたのがつい最近だ。まだまだ試験段階なのは仕方のない事なんだ」そもそも波動砲の拡大運用は、波動エンジンの到来以来20年近くにわたって絶えず研究され続けてきた。その成果は拡散波動砲や拡大波動砲、ホーミング波動砲といった直系進化のほか、波動カートリッジ弾や波動爆雷のような通常弾に波動エネルギーを充填した傍系進化として現れているが、その歩みは攻撃兵器に特化してきた。それはタキオン粒子の特殊性にも起因しているが、そもそも地球防衛軍のドクトリンが長射程の波動砲によるアウトレンジ攻撃をベースにしていたため、敵が先んじて戦略級兵器を撃ってくるという事態を想定してこなかったことが一番の原因であろう。2010年に竣工した波動実験艦『武蔵』が数々の実験を経て得た多くの観測データは、研究者たちに波動エネルギーをただ破壊エネルギーとして放出するだけでなく、さまざまなアレンジを加えて多方面にわたって運用するという発想を生み出した。タキオンフィールドの誕生である。そこから最初に考案されたのは、トランスドライブシステムだった。これは、タキオン粒子で自艦と敵艦の間に細長い漏斗のような形状のフィールドを形成し、その中に収束型波動砲を注入して過剰収束させる。本来ならば限界濃度を越えた波動バースト奔流は四散して拡散波動砲になってしまうのだが、タキオンフィールドの中で強引に凝縮された波動砲は針のように細長い光線となって、収束型よりも威力が高く、かつ敵の弱点をピンポイントで正確に狙撃することができるという補助兵装だ。しかし、アマール本土防衛戦で『シナノ』が波動砲過剰収束モードを撃った際に、艦体が大破するほどまで波動エンジンが激しく損壊してしまったことからわかるように、波動エネルギーの収束というものは非常に危険を伴うものだった。実際、改装によって波動砲口にトランスドライブシステムを試験的に装備した『武蔵』も、その危険性ゆえに波動エネルギーの実験は随分前に中止している。この間の実戦投入は、本当に異例中の異例だったのだ。研究者たちの興味は、タキオン粒子による波動エネルギーの制御に移った。その結果、2015年に誕生したのがホーミング波動砲、すなわち波動バースト奔流をタキオンフィールドによって任意の方向へ針路変更させる技術だった。しかし、いざ完成したホーミング波動砲は、普通の波動エンジンの出力では到底運用不可能な代物になってしまった。波動バースト奔流を絞り込むだけのトランスドライブシステムと違って、ホーミング波動砲はタキオンフィールドで強引に波動バースト奔流を捻じ曲げる。さらには移動する敵の位置に応じて常にフィールドの展開位置を変え続けなければならないため、タキオンフィールドだけで波動砲一発分のタキオン粒子が必要となってしまった。これが意味するのは、艦船にホーミング波動砲を搭載するには、航行用エンジン、波動砲用エンジン、タキオンフィールド用エンジンの3つを搭載しなければいけないということだ。ブルーノア級戦闘空母がアンドロメダⅡ級を上回る全長450メートルの巨艦として造られた本当の理由は、主砲を10基搭載するためでも両翼を艦載機格納庫にしたためでもなく、波動エンジンを三基搭載してホーミング波動砲を装備し、運用実績を造るためだった。当然ドレッドノート級、スーパーアンドロメダ級といった、全長が300メートルに満たない量産型の宇宙戦艦に波動エンジンを三基搭載するなどできるはずもない。結果的にホーミング波動砲を装備できるのはブルーノア級のみとなり、その特徴的な外見とともにブルーノア級の代名詞となりつつある。「それでも……やっぱり、私はあまり好きにはなれません」しゅんとした顔で、弱気なことを言う。篠田は彼女の不安を払拭させようと、胸を張って答えた。「軍人なら与えられた任務をきちんとこなせ。それに、試験こそしていないが、性能と安全性は保障するぞ?何せ、地球随一の頭脳が設計したんだからな」長年にわたる攻撃系兵器偏重の流れを断ち切ったのが、科学局長官の真田さんだった。真田さんはヤマト時代に空間磁力メッキ、対ハイパー放射ミサイル艦首ビーム砲といった非波動系防御兵器を開発していたが、タキオンフィールドの技術が十分に発達したことを受けて、タキオン粒子を使った防御兵器の開発を科学局に指示したのだ。既存の波動カートリッジ弾の構造を参考に、ミサイル弾頭内にバリア展開用とフィールド制御用のタキオン粒子を分けて充填することでバリアミサイルが完成したのが、カスケードブラックホールの地球直撃が不可避となり、アマールへの移民計画が視野に入り始めた2018年のこと。真田さんは多忙の中ヤマト再就役に向けて自らトランジッション波動砲の開発を進める一方で波動防楯の開発も進めており、翌2219年には設計図が完成していたらしい。ホーミング波動砲のように一度に大量のタキオン粒子を必要としない構造になっていることを考えると、地球防衛軍の艦艇に標準装備することを想定していたようだ。しかし、いよいよアマールへの移民に向けて本業が繁忙になると、さすがの彼も研究開発に取れる時間が無くなり、結局波動防楯の試作はおろかヤマトの波動砲全弾発射モードの問題も解決できないまま、タイムリミットを迎える。彼の研究結果は科学局の研究者に引き継がれて、アマールへと運ばれた。そして、ウルップ星間国家連合の加盟国であるエトス星へと危険な偵察任務に赴くことになった『シナノ』に、試験運用を兼ねて搭載されることになったのだった。「……はい」それでも不満げな高野に、篠田も思わず語気を強める。「高野、そんなことでは困る。もしも波動防楯を使うことになったら、タキオンフィールド発生グリッドを管轄する君が、起動と制御の統制を担当するんだ。実戦証明されていない兵器への不安は分かるが、それでもやってもらわければならない」言うなれば、波動防楯は真田さんの「遺作」となる兵器だ。つい先日、病院のベッドの上で波動防楯の存在を聞かされた南部さんが呟いた、「彼の集大成とも言うべきものが人を殺す兵器でなく人を守る兵器だったというのは、地球を守ることに心血を注いだ真田さんらしいじゃないか」という言葉に、篠田は波動防楯への思いをより一層強くしていた。そんな篠田にとって、波動防楯の運用に懐疑的な高野の態度は見逃せないものだったのだ。篠田の視線に押されて、高野はおずおずと口を開いた。「だって、バリアミサイルと違って、波動防楯って波動砲口から直接バリアを展開するんですよね?」「そうなるが、それが?」「………………だって、」「?」「なんだかエリンギみたいで、あまり強そうに見えないじゃないですか!」――――――場の空気が、凍りつく。「明日夏……あんたってホントに」「艦長代理を相手に何てバカなこと……彼氏が生きてるって分かった途端に、コレなんだから」「あの時はあんなにカッコ良かったのに、なんで普段はこんななのかしら?」「明日夏先輩、スゴイです!ある意味尊敬します!」高野の後ろに控える四人から次々と漏れる呆れた声、そして何故か一人だけ憧れる声。「………………」さすがの篠田も、これには閉口するしかなかった。◇「これより、本艦隊はエトス星に向けて発進する。目標宙域では何が起こるか分からず、戦闘が発生する可能性は高いと言わざるを得ない。各員、警戒を緩めず、また臨機応変に対処してもらいたい」艦隊司令の訓示を、シナノクルーの一同は起立不動で傾注する。遅れて上がってきた艦隊と合流して、遣エトス艦隊は編成を完了した。艦の選定に際しては、特に即応力と生存性が重視されている。旗艦はブルーノア級宇宙空母の4番艦『ブルーオーシャン』。早々に修理が完了して、アマール宙域の警備に携わっていた船だ。『ブルーアース』再就役に伴い遣エトス艦隊旗艦に転属されたこの艦は、最新鋭大出力の波動エンジンを搭載しており、アマールの技術に依らずとも安全に波動砲をコントロールすることができる。タキオンフィールドによって波動バースト奔流の射出方向を任意に向けられる、「ホーミング波動砲」も運用可能だ。以下、スーパーアンドロメダ級『ブリスベーン』『ヴァスコ・ダ・ガマ』、ドレッドノート級『デ・ゼーヴェン・プロヴィンシェン』『セティス』『アラン』『エイズヴォルト』、空母『シナノ』『紀伊』、巡洋艦『ラハヴ』『メジディイェ』『ネツァウァルコヨトル』『ブランコ・エンカラダ』が単縦陣を組む。移民船団護衛戦における反省を踏まえて、通常航行時には絶えず早期警戒機と邀撃機を飛ばすことになった。最初のローテーションは『シナノ』航空隊の予定だ。「いよいよですね、艦長代理!」「…………」訓示が終わって振り返った優衣の声に、篠田は何故か呆として答えない。「艦長代理?」「……?ああ、俺か」「そうですよ。今の技師長は艦長代理なんですから、しっかりしてください」顔を膨れさせてむくれる優衣に、篠田は苦笑いする。「分かっている。別に、艦長代理であることを忘れていたわけじゃない」「それじゃ、何を考えていらしたんです?」優衣に続いて、有紀が問う。皆に着席するよう促すと、自分も艦長隻の椅子にどっかりと座りこんで中空を見上げた。ふう……と大きく息を吐くと、表情が安らかなものに変わった。「ああ……この船に関わって10年以上になるが、まさか俺が艦長代理なんて役に就くとは思わなかった、と思ってな」【推奨BGM:『宇宙戦艦ヤマト2199』より《虚空の邂逅》】瞼を閉じる。設計、建造、就役、戦闘、損傷、沈没……およそ軍艦が経験するであろう出来事、その全てに篠田は当事者として関わってきた。篠田の人生の半分は、『シナノ』と共にあったと言っても過言ではない。その思い出の一つ一つの積み重ねの果てに、今があるのだ。「艦長も艦長代理も、設計から運用までずっとシナノに付きっきりなんですね」「ああ。俺にとっては、大事な相棒だよ。庄田にとっては、この船は何だ?」「……私にとっては、この船は大切な故郷でもあります。帰るところも家族も亡くした私には、シナノは郷里、クルーは家族です」そう言ったきり、有紀は俯いてしまう。だが、その声に悲嘆の色はだいぶ薄らいでいた。有紀の家族は、第一次移民船団に全員行方不明―――事実上の死亡扱いだ―――になっている。それを知らされた当初は目の下に隈が出来るほどに泣き腫らし、優衣と真貴のサポートがなければまともに職務もこなせないような有様だった。彼女の悲しみは、30年ほど前に自分も経験したものだ。だが、あの時の自分のように、有紀も一人じゃなかった。彼女が「家族」と呼ぶクルー達が彼女を慰め、励まし、立ち直らせてくれた。皆の献身が、今の彼女を形作っているのだ。「そう、ですね。この船に乗って、もう一年になります」「そうか……俺達、そんなに一緒だったのか」「一年も顔を突き合わせていれば、そりゃ家族だよな」政一、健吾、達也もつられて、短くも濃厚だった一年間に想いを馳せる。彼らも、この短い間で成長した。物ごころついたときには大きな戦乱は収まっていた、いわゆる戦後世代である三人も、二度の大きな戦闘を経て、立派な宇宙戦士になった。それは技術とか経験だけの話じゃない。心の有り様が、覚悟が、我らが偉大なる先達のそれに追いついたのだ。身が引き裂かれるほどの激しい悲しみを味わい、それでも咀嚼し、飲み込んで、恐怖する自分を肯定し、それでも前へ足を踏み出せるように。彼ら彼女らの成長に、俺や南部さんも貢献できていたなら……それはどんなに素晴らしい事だろう。「ハハ、それじゃ、南部さんが親父か?本人が聞いたら怒るだろうな」篠田はそんな内心を隠して、あえて軽い調子で彼らの話に乗ってやる。政一と達也の二人が、素早いレスポンスを返す。「じゃあ俺、長男やります!」「俺二男!」「……え?じゃあ俺、三男?」ワンテンポ出遅れた健吾は、自動的に末っ子に指定されていた。彼らのお陰で、しんみりしていた雰囲気が霧散されていく。そんな三人のコントのようなやりとりを苦笑いして見守っていた赤城が、よせばいいのに話に加わるが、「じゃあ、俺や艦長代理はどうなるんだい?」「えっと………………叔父さん?」「聞かなきゃよかったぁ!」優衣の残酷で無邪気な発言を受けて、頭を抱えて叫んでいた。「赤城さん、後で艦内マラソンの刑っす」「なんでだよ篠田!悪いのは佐藤だろう!?」「余計なことを言うからですよ!」何故か俺までもらい事故を受けているのだから、当然だ。「ねぇねぇ、健吾さん!」「なんだ、真貴?」「わ、私、親子とか兄弟の他にも、家族の形ってあると思うんです!」「従兄弟とか甥ってことか?」「…………ハァ」技術班席でずっと壁の花を演じていた長田が、そんな二人の噛み合わない会話を聞いて、「なんて、生野暮薄鈍」ぼそっと呟いたことに気付いた者は、誰もいなかったという。あとがき輸送艦によってレプタポーダ星へ移送される反政府分子の皆さん、こんにちは。親衛隊の夏月です。外伝13を投稿します。今回は外伝12の続き、出撃前の篠田によるシナノ散歩。新兵器の目玉、波動防循(仮)が登場しました。これはHYPER WEAPON2011に出てくる、YAMATO2520のブルーノアが装備している兵器です。これがどのような場面で活躍するか、どうぞご期待下さい。本年の投稿はこれが最後になります。気づけば投稿を初めて丸四年、ついに五年目に突入しました。相変わらず遅々として進まない本作ですが、来年もよろしくお願いいたします。今年もいい事いやな事いろいろありましたが、来年があなたにとって良い年でありますように。 夏月拝