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No.24734の一覧
[0] 【正式採用決定】(末期戦モノ)幼女戦記Tuez-les tous, Dieu reconnaitra les siens[カルロ・ゼン](2013/08/04 06:42)
[1] プロローグ・ベータ版[カルロ・ゼン](2012/03/30 23:57)
[2] 第一話 学校生活[カルロ・ゼン](2012/04/22 18:35)
[3] 第二話 良い一日。[カルロ・ゼン](2012/04/12 00:29)
[4] 第三話[カルロ・ゼン](2012/04/12 00:30)
[5] 第四話[カルロ・ゼン](2012/05/31 00:08)
[6] 第五話[カルロ・ゼン](2012/04/12 00:33)
[7] 第六話[カルロ・ゼン](2012/04/12 00:35)
[8] 第七話[カルロ・ゼン](2012/04/12 00:36)
[9] 第八話[カルロ・ゼン](2012/04/12 00:38)
[10] 第九話[カルロ・ゼン](2012/04/12 00:40)
[11] 第十話[カルロ・ゼン](2012/04/12 00:42)
[12] 第十一話[カルロ・ゼン](2012/04/22 18:36)
[13] 第一二話[カルロ・ゼン](2012/04/12 00:55)
[14] 第一三話[カルロ・ゼン](2012/04/12 00:56)
[15] 第一四話[カルロ・ゼン](2012/04/12 00:59)
[16] 第一五話[カルロ・ゼン](2017/01/29 16:26)
[17] 第一六話[カルロ・ゼン](2012/04/12 01:17)
[18] 第一七話[カルロ・ゼン](2012/04/12 01:18)
[19] 第一八話[カルロ・ゼン](2012/04/22 18:37)
[20] 第一九話[カルロ・ゼン](2012/04/12 01:21)
[21] 第二〇話[カルロ・ゼン](2012/04/12 01:23)
[22] 第二一話[カルロ・ゼン](2012/04/12 01:24)
[23] 第二二話[カルロ・ゼン](2012/04/12 01:27)
[24] 第二三話[カルロ・ゼン](2012/04/12 01:30)
[25] 第二四話[カルロ・ゼン](2012/04/12 01:33)
[26] 第二五話[カルロ・ゼン](2012/04/12 01:48)
[27] 第二六話[カルロ・ゼン](2012/04/12 01:50)
[28] 第二七話[カルロ・ゼン](2012/04/12 01:52)
[29] 第二八話(外伝①)[カルロ・ゼン](2012/04/12 01:54)
[30] 第二九話[カルロ・ゼン](2012/04/12 01:56)
[31] 第三〇話[カルロ・ゼン](2012/04/12 01:58)
[32] 第三十一話(外伝②)[カルロ・ゼン](2012/04/12 02:15)
[33] 第三十二話[カルロ・ゼン](2012/04/12 02:17)
[34] 第三十三話[カルロ・ゼン](2012/04/12 02:18)
[35] 第三十四話[カルロ・ゼン](2012/04/12 02:20)
[36] 第三十五話[カルロ・ゼン](2012/04/12 02:20)
[37] 第三十六話[カルロ・ゼン](2012/04/12 02:12)
[38] 第三十七話[カルロ・ゼン](2012/04/12 02:12)
[39] 第三十八話[カルロ・ゼン](2012/04/12 02:11)
[40] 第三十九話[カルロ・ゼン](2012/04/12 02:09)
[41] 第四〇話(外伝追加)[カルロ・ゼン](2011/11/13 23:03)
[42] 第四一話[カルロ・ゼン](2012/04/12 02:07)
[43] 第四二話[カルロ・ゼン](2012/04/12 02:06)
[44] 第四三話[カルロ・ゼン](2012/04/12 02:06)
[45] 第四四話[カルロ・ゼン](2012/03/08 22:55)
[46] 第四五話[カルロ・ゼン](2012/04/12 02:06)
[47] 第四六話(外伝3)[カルロ・ゼン](2012/04/12 02:05)
[48] 第四七話[カルロ・ゼン](2012/04/12 02:04)
[49] 第四八話[カルロ・ゼン](2012/04/12 02:04)
[50] 第四九話[カルロ・ゼン](2011/11/25 02:02)
[51] 第五〇話[カルロ・ゼン](2012/04/12 02:03)
[52] 第五一話[カルロ・ゼン](2012/04/12 02:01)
[53] 第五二話[カルロ・ゼン](2012/04/12 02:00)
[54] 第五三話(時系列的には第五二話前の外伝)[カルロ・ゼン](2012/04/12 01:46)
[55] 第五四話[カルロ・ゼン](2012/04/12 01:44)
[56] 第五五話[カルロ・ゼン](2012/04/12 01:43)
[57] 第五六話[カルロ・ゼン](2012/04/12 01:42)
[58] 第五七話(外伝追加)[カルロ・ゼン](2012/04/12 01:41)
[59] 第五八話[カルロ・ゼン](2012/04/12 01:41)
[60] 第五九話[カルロ・ゼン](2012/04/12 01:39)
[61] 第六〇話[カルロ・ゼン](2012/04/12 01:38)
[62] 第六一話[カルロ・ゼン](2012/04/12 01:37)
[63] 第六二話[カルロ・ゼン](2012/01/15 05:00)
[64] 第六三話[カルロ・ゼン](2012/04/12 01:35)
[65] 第六四話[カルロ・ゼン](2012/04/12 01:34)
[66] 第六五話[カルロ・ゼン](2012/04/12 01:13)
[67] 第六六話[カルロ・ゼン](2012/03/17 23:56)
[68] 第六七話[カルロ・ゼン](2012/04/12 01:12)
[69] 第六八話[カルロ・ゼン](2012/04/12 01:12)
[70] 第六九話[カルロ・ゼン](2012/04/12 01:11)
[71] 第七〇話[カルロ・ゼン](2012/04/12 01:10)
[72] 第七一話[カルロ・ゼン](2012/04/12 01:10)
[73] 第七二話[カルロ・ゼン](2012/04/12 01:09)
[74] 第七三話[カルロ・ゼン](2012/03/16 22:14)
[75] 第七四話[カルロ・ゼン](2012/04/12 01:09)
[76] 第七五話[カルロ・ゼン](2012/04/12 01:08)
[77] 第七六話[カルロ・ゼン](2012/04/12 01:07)
[78] 第七七話[カルロ・ゼン](2012/04/12 01:07)
[79] 第七八話[カルロ・ゼン](2012/04/12 01:06)
[80] 第七九話[カルロ・ゼン](2012/04/12 01:05)
[81] 第八〇話[カルロ・ゼン](2012/04/12 01:04)
[82] 第八一話[カルロ・ゼン](2012/04/12 01:03)
[83] 第八二話[カルロ・ゼン](2012/04/18 01:19)
[84] 第八三話[カルロ・ゼン](2012/04/18 01:20)
[85] 第八四話[カルロ・ゼン](2012/04/22 20:41)
[86] 第八五話[カルロ・ゼン](2012/05/11 02:16)
[87] 第八六話[カルロ・ゼン](2012/05/13 18:13)
[88] 第八七話[カルロ・ゼン](2012/05/18 00:55)
[89] 第八八話[カルロ・ゼン](2012/05/31 00:33)
[90] 第八九話[カルロ・ゼン](2012/05/31 00:03)
[91] 第九〇話[カルロ・ゼン](2012/07/02 04:25)
[92] 第九一話[カルロ・ゼン](2013/06/06 20:38)
[93] 第九二話[カルロ・ゼン](2013/06/06 20:32)
[94] 第九三話[カルロ・ゼン](2017/01/29 16:29)
[95] 第九四話[カルロ・ゼン](2013/06/06 20:36)
[96] 第九五話[カルロ・ゼン](2017/01/29 16:28)
[97] 第九六話[カルロ・ゼン](2017/01/29 16:27)
[98] 第九七話[カルロ・ゼン](2012/09/02 12:59)
[99] 第九八話[カルロ・ゼン](2012/09/02 16:01)
[100] 第九九話[カルロ・ゼン](2017/01/29 16:26)
[101] 第一〇〇話[カルロ・ゼン](2012/09/22 01:53)
[102] 番外編的な何か。 という名の、泣き言的な何か。[カルロ・ゼン](2012/09/23 20:17)
[103] 番外編1 『ライヒの守護者』[カルロ・ゼン](2012/09/28 05:02)
[104] 番外編2 『ラインの食卓』[カルロ・ゼン](2017/01/29 16:25)
[105] 番外編3 『203は何処にありや?』[カルロ・ゼン](2012/10/25 22:20)
[106] 番外編4 『ルナティック・ルナリアン』[カルロ・ゼン](2012/11/07 09:34)
[107] 番外編5 『毒麦のたとえ』[カルロ・ゼン](2017/01/29 16:24)
[108] あとがき(+ちょっとした戯言)[カルロ・ゼン](2012/12/17 01:20)
[109] The Day Before Great War 1:ノルデン北方哨戒任務[カルロ・ゼン](2012/12/24 11:11)
[110] The Day Before Great War 2:ノルデン北方哨戒任務[カルロ・ゼン](2012/12/24 11:11)
[111] The Day Before Great War 3:ノルデン北方哨戒任務[カルロ・ゼン](2013/01/29 01:14)
[112] The Day Before Great War 4:ノルデン北方哨戒任務[カルロ・ゼン](2013/01/28 22:00)
[113] The Day Before Great War 5:ノルデン北方哨戒任務[カルロ・ゼン](2013/08/04 08:53)
[114] The Day Before Great War 6: 秋津島戦役[カルロ・ゼン](2013/06/06 20:30)
[115] The Day Before Great War 7: 秋津島戦役[カルロ・ゼン](2013/06/06 21:33)
[116] The Day Before Great War 8: 秋津島戦役[カルロ・ゼン](2013/08/04 06:45)
[117] 『おしらせ』[カルロ・ゼン](2013/01/28 22:19)
[118] 番外編6 『とある戦場伝説』[カルロ・ゼン](2013/09/25 01:57)
[119] 番外編7 『ラインの…オムツ』[カルロ・ゼン](2013/09/25 02:13)
[120] 番外編8 『喰らうた肉』[カルロ・ゼン](2013/09/25 01:55)
[121] 番外編9 『総力戦問題1』:農務省、人手を求める[カルロ・ゼン](2014/03/10 21:47)
[122] The Day Before Great War 9: 秋津島戦役[カルロ・ゼン](2013/10/07 16:12)
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[24734] プロローグ・ベータ版
Name: カルロ・ゼン◆ae1c9415 ID:ed47b356 前を表示する / 次を表示する
Date: 2012/03/30 23:57
僕からしたら、人生とは栄達と挫折の混合物であった。
ついでにいうと、離人症じみた、若干現実味のない世界でもあった。
人並み以上の頭は有った。良くも悪くも、小学校では学校で一番の頭があり、其の時は幸せでいられた。
中学の時、私立の進学校に合格した時、初めての躓きを経験した。

進学校の中でも、本物の進学校とは、数多ある小学校で一番程度の頭では、平凡程度の評価しか与えられない。
中高一貫校故に、僕は努力した。6年も、落ちこぼれを見下してきて、6年見下されることになれるのは耐えられない。
だが、辛うじて中位の上程度にまでは喰い込むことができたが、逆に言えばそれが限界であった。

僕から、一人称が、私に変わるころに、限界をいよいよ痛感し始めた。

大学は、有数の名門校に入れた。嗤うべきかもしれないが、進学校の中では、それが当然だ。
ごく少数の、本当の天才は、大学どころか、一芸の世界に道を見つけたようだが。
ともかく、一般的なエリートとして僕は歩み始めた。

まあ、屈折した内面だろう。
なにしろ、学歴エリートという存在は、プライドが高い。
当然のように、周りの愚鈍な連中を見下すことで、自分を保ってきた。
すこしは、角も丸くなるにしても、当然のように心のどこかには残っている。
自分がてっぺんならばともかく、誰かの下に置かれるのは、耐えがたい。

何かへの、逃避。
それは、当然のこととして、惹き起こされる。
高学歴どもに、オタクが多い?当たり前だ。
僕自身を含めて、世間でどうふるまうかを常識として知っている学歴エリートの素顔なんて、そんなものだ。

政治学・法律学・経済学について、大学ではごくごく当然のこととして学んでいる澄ました連中。
そいつらは、頭が二つの世界に生きているといってよい。
一つは、現実の世界。もう一つは、妄想の世界。
大学で、はっちゃけて楽しい人生を送ろうとすることができるのも、少なくはない。
だが、多いわけでもないのだ。

人間関係は、まあ、無難にこなす。
逆に言えば、自分のテリトリーに踏み込ませない程度の距離感を保つ。
公と私の空間の区別があまりにも明確だ。
はっきりと言えば、自分の側に人がいると寝られない。
自分が、無防備なところを晒すのは、正直言って怖い。

まあ、天下国家を論じ、政治に悲憤慷慨するということも、あった。
だが、醒めているのだ。自分自身が一番かわいいというのは議論の余地がない。
もちろん、ここまで社会的に恵まれた立場を享受させてくれている両親へは感謝している。
できれば、親孝行をして、楽な老後をとも思う。
まあ、両親は共に高給取り。放っておいても、すでに老後の安泰は約束されているようなものだ。
できることは、まず心配をかけないことだ。

オタクであることは、秘密に。
大学では、勤勉な学生を。
サークルでは、ほどほどに拘束されない文科系を。
友人は、高校時代のものと、それに加えて類は友を呼んだの類。
あとは、コネと能力を構築して、社会に出るまでのモラトリアムを過ごす。
当然、人的資本投資に勤しみ、シグナル理論も併せ持って、世間では評価される学生が出来上がる。

さて、こういった人間の使い道は社会では意外と多い。
就職不況も、さしたる逆風にはならなかった。
なにしろ、スタートラインが違うのだ。事実として述べるならば、ハンデ戦だ。初めから、約束されたようなものだ。
OB・OG達への訪問は、当たり前。どころか、人事部の採用担当者と飲みに行く学生は、少ない。
其の先輩が、中高一貫校の同門で、大学のOBともなると、もっと少ないかもしれない。
だが、少ないだけでゼロで無いのだ。
ゼミでは、わざわざ先輩がリクルーターとしていらしてくださった。
業界の裏側をあっさりと説明いただき、レクチャーを受ける。

曰く、あの会社の人事部はこういう人材を求める。
こういった面接が望ましいなどなど。
大学というツールと、名門高校というツールを組み合わせれば、無能でもそこそこに行ける。
人並みであれば、確実極まりない。

そこで、僕は、私という一人称にいつしか、一人称を切り替えていた。

そこに、子供じみた性格とは程遠いつまらない精神を注ぎ込めば、少なくとも、企業にとっては戦力足りえる。
働きがい?自分らしさ?報酬が正当な労働対価である限り、なんら問題ではないと、断言できる。
必然、最良の企業人になれる。忠実なのだ。限りなく、企業の理屈に従い、率先して利益を追い求める。
そういう、企業の狗として、人生を送り始めた。

仕事において、情は、必要以上には関心を払わない。
心がない?サイボーグ?ドライ?
違う、ただ、そういった他の事に関心がないのだ。
そして、趣味と仕事の世界にいる。これに、満足している。
たとえばPS3を買う時、それでFPSを楽しむことを考える。
同時に、その原価計算を行い、ライバル企業に赤字を与えられるかどうか真剣に考えているのだ。
当然、仕事は効率的に行い、企業の求めるところに従い、正当なトレードが成立してきた。

だが、人生とは、上手くいくことがないのが定石だ。
30代に足を踏み入れ、ようやく報酬が両親の額に迫り、出世コースに確実に乗った時のことだ。
人事部長から、誘われ、人事部に入ったことが面倒事の始まりである。

「なんで、私なんですか!」

費用対効果が悪いからに決まっているではないか。
そう答えたいのをこらえて、しぶしぶ可能な限りの丁重さをもって答える。
慇懃無礼?大変結構。それは、法で禁じられていない。
録音され、訴えられることが有るというが、実に理不尽だ。
企業は、利潤追求団体であり、社会的無能の扶養組織ではないのだが。
とはいえ、これも仕事だ。裁判官の心証を鑑み、ごくごく穏やかな口調で応じておく。

「馬鹿にしないでください!」

「いえ、ですから、業績の悪化という事態があり、我々といたしましても・・・。」

疲れるのだ。果てしなく、啼き散らし、喚き散らし、組織に依存しようとする連中を相手にするのは、疲れる。
泣いて結果が変わるなら、結構だ。営業の一環としてその戦術は、アリだ。
だが、無駄だとわかっているではないのか。
散々、人のことを、感情の無い化け物だの、ボスの狗だの、サイボーグだの言っておいて、いざとなってこれとは。

自分という人間が、劣っているというのは自覚している。
天才どもには、比肩できず、努力で秀才たちに及ばない。
人格は、歪みまくっている。なにしろ、屈折したコンプレックスの塊だ。
本当の善意の人間は、眩しい。
偽善に関してならば、社会全体で良識あるとされる水準にあるが、それだけに、偽善だとわかる頭が、あざ笑う。

だが、これほど醜悪な自分であっても、なお、この目の前で喚く無能よりはましだと驕る心がある。
なにしろ、費用対効果という点では、自分は優秀な成績を保っているからだ。
だから、系列会社の、整理統合対象となった部門でリストラを行うのも、面倒ではあるが、きっちりとやる。
そして、本社に業績を引っ提げて帰ればよいはずだった。

ところがだ。
人の感情は、倫理や、禁忌に優先する物らしい。
所詮、学歴エリートこと良い子ちゃんたちの集団と異なり、感情に身を任せる人間が、多いというべきだろうか?
部長から、駅では背後に注意するように、と忠告された意味を理解できていなかった。
後は、物流網を肉片で混乱させたとのみ、申し上げよう。

そして、気がつけばだ。

「御主ら、本当に生身の生物か?」

「失礼、どちら様だろうか?」

テンプレ小説で良く見る老翁が、ため息をつきつつこちらを観察している。
答えは三つに一つ。
一、私は奇跡的に一命を取り留め、医者が私を診察している。で、私の眼か脳に深刻な障害が生じた。
二、私は死につつあり、妄想か幻覚を見ている。
三、私は、胡蝶之夢を経験し、現実の世界で起こされた。

「・・・つくづく、人間性の狂った連中だ。つまらんことを考える。」

こちらの胸中を読んだ?
事実であれば、プライバシーと、機密保全上、極めて、好ましくない不快な行為だ。

「その通り。御主ら、他者への共感力のない連中の心を読むのは、不快だがな。」

「驚いた・・・。悪魔が実在したとは。」

「何を言うかと思えば。」

この世の理を外れうるのは神か悪魔である。
神がいるならば、世の不条理を放置するはずもなし。
故に、世界に神はいない。
よって、存在Xは悪魔である。
証明終了。

「・・・創造主を、過労死させるつもりか貴様ら。」

貴様ら?複数形。つまりは、自分に加えてその他の存在。
私の仲間が多いという事実は、慰めになるだろうか?
微妙だろう。自分という存在を、私は本質的に嫌いではないが、別に愛してもいない。

「最近多いのだよ。そなたらのような狂った魂は。何故、人間性の進歩で、解脱せん?涅槃に至りたくないのか?」

「人間性が、社会の進歩に伴い、そうなるからでしょうな。」

ロールズの正義論は、結構極まりないが、現実に適用するには、無理がある。
人間は、すでに、持っている者と、そうでない者として区切られているのだから。
悪いが、持っているものを他者のために投げ出すことはできない。
未来よりも、明らかに現世利益追求が当然ではないか。

しかし、だからといってどうせよというのだ。
私が死んだならば、魂はどうなると?
建設的な議論をしよう。これからの事の方が大切だ。

「輪廻に戻し、転生させるまでだ。」

神と自称する存在Xからの解答は、実にシンプルであった。
なるほど、これが説明責任の全うというものか。
仕事とは、なるほど、手を抜くべきものではない。
私も、説明責任と法令順守の重要さは、良くわかる。
例え、不快であっても、社会の一員、組織の一員として、踏むべき手続きには、理解を示すべきだろう。

「結構です。では、よろしくお願いします。」

さしあたり、次の人生では背中に気をつけることにしよう。

「・・・、もうこりごりなのだが。」

だが、微妙に、呟かれた言葉に困惑することになる。

「は?」

「貴様ら、いい加減にできぬのか。どいつもこいつも、解脱して涅槃にいたるどころか、信仰心のかけらすらない。」

と言われても、困るのだが。
正直に言って、目の前の存在X(神と自称)が、何に憤りを感じているのかわからない。
老人が短気な事は理解しているつもりだ。
だが、微妙なことに、それなりに地位のありそうな人間が激怒していると、判断に困る。
アニメなら、ギャグですむが、実社会では冗談ではすまないことも多い。

「最近の、人間は世の理から外れすぎだ!物事の理非をしらん!」

いや、存在Xに世の理を説かれても困るのだが。
そもそも、世の理とやらがあるなら、予め告知してくれないと困る。
さすがに、僕らであっても、言葉にされないことは理解できないのだが。
テレパシー能力に目覚めたり、ニュータイプになった記憶もない。

「十戒を定めたであろう!!」

1. わたしのほかに神があってはならない。
2. あなたの神、主の名をみだりに唱えてはならない。
3. 主の日を心にとどめ、これを聖とせよ。
4. あなたの父母を敬え。
5. 殺してはならない。
6. 姦淫してはならない。
7. 盗んではならない。
8. 隣人に関して偽証してはならない。
9. 隣人の妻を欲してはならない。
10. 隣人の財産を欲してはならない。

無理に、心にテレパシーか何かで流しこまれてくるものの、うん、その、困る。
一応、多神教圏に生まれて、宗教の寛容性という名の適当さになれている。
一神教とか言われてもね?ほら。困惑してしまうとしか、言えない。

それに、父母は敬っているし、人を殺したことはない。
男だ。性本能は、生物学的に組み込まれている。
自分を自分で、設計したならばともかく、私達を設計したのは、自分自身ではないはずだ。

「生涯痛恨の過ちであったわ!」

神の一生とはいかなるものなのだろうか?
純粋に、学術的な観点から、関心がわく。

それと、殺人願望も、殺人衝動もないはずだ。
ああ、FPSでヘッドショットを決めた時は爽快だが、別段、殺人願望が人並み以上というわけでもない。
動物愛護にも協力し、保健所の捕殺が減るように努力する運動のポスターくらいは、もらっていたはずなのだが。

「やってないだけで、殺す行為は楽しんでおろう!?」

盗んだことはないし、他人に関して、偽証したことも、略奪愛を楽しんだこともない。
なにより、誠実な一人間として生きてきた。
職責に忠実であり、法に忠実であり、人間としての行動規定に積極的に背いた覚えもないのだが。

戦争に行けば、パラシュート降下中にエビの養殖に励むべしという神の啓示も得られるかもしれないが。
残念ながら、軍役の経験はオンライン限定だ。
みんな大好きドラッケン族の前衛
主要成分
* ギギナニウム:100% 
* オモイヤリン:不足 
* ヤサシニウム:無配合 
* 心、魂:皆無
を後方から援護する腐れ眼鏡そっくりのキャラだったが。


「結構だ!どうあっても、反省しないというなら、相応のペナルティーを科すほかにない!」

言いがかりにも、程があると思いたい。
何故、私が?

「いや、お待ちいただきたい。」

「うっさいわ!」

キレないでいただきたいのだが。
まがりなりにも、超上の存在と称するなら、もっと精神の円熟を。
あるいは、その偽装でも結構なので、求めたいところだ。
知人の弁護士など、法廷と、オンラインでの姿が全くの別人同然だが、社会生活はできている。
彼くらい完璧になれとはいわんが、もう少しだね・・・。

「六十億の管理など、オーバーワークなのだ!」

産めよ、増えよ、地に満ちよ
と聖書にあるのだが。
教養の範疇で、間違いなく、この事実を人類はおそらく忠実に守っている。
さすがに、管理職なら自分の指示くらいは、覚えておいてほしい。
それすらできねば部下から軽蔑され、リストラ対象になりやすいのだが。

そして、自分の出した指示の結果には、しっかりと責任をとってほしい。
なにしろ、それが、あるべき倫理というものだ。
そうは、思いませんかな?

「き、貴様らのように信仰心のかけらもない連中ばかりで、赤字なのだ!」

ビジネスモデルの欠陥では?
ボスコンかThe Firmに見てもらうことをお勧めしますが。

「契約を破っておいて良く言う!貴様らが、解脱する機会を欲したのがそもそもではないか!!」

知りませんがな。告知してくれなきゃ、わからん。
内容証明郵便で送るのが重要なものだったら常識で、契約書ならそもそも直接手渡しのはずだが。

「超上の理にひれ伏しただろう!」

いや、今や科学の進歩がまるで魔法ですからな。
発展しすぎた科学は、まるで魔法というし、自然科学万歳。
世の事は、すべからく、問題無かりし。
満ち足りた世の中で、切迫していなければ、危機感も、信仰も生まれません。
縋る、という行為は、窮地に追い込まれなければ、宗教に縋らないのですからな。

「・・・つまり、それは、あれか?」

わかりませんがな。
だいぶ、存在Xへの対処が適当になりつつあるのは、いたしかたない。
だが、会話できないのは、さすがに、困る。
どうしたものだろうか?
翻訳代行サービスであれば、契約したいところだ。

「貴様は、信仰が足りず、性欲に駆られ、我を恐れず、さらには倫理観もかけらもない。」

異議あり!
そこまでではない。
すくなくとも、屑ではあっても、さすがに、それほどでもないのだ。
道徳的に、社会規範的にみた場合は、決してそう悪く言われるほどでもない!

「黙らんか!貴様らがそうだから、毎回毎回手間をかけて輪廻に戻しても、すぐこうなる。」

いや、ですから、人口増加が問題であって、少なくとも人類全体の寿命は上がってますが。
平均寿命なる概念がありまして。いや、もちろん、マルサスの人口論もありますが。
お読みになっていない?
ネズミ算式に増えていくから、まあ、大変でしょうが。
我々は、特に、何かをしているわけではないので、コンサルティングすると、ビジネスモデルの欠陥かと。

「その分、信仰が増えれば、事足りるのだ!」

ああ、ですから、それはビジネスモデルの欠陥です。
消費者の心理分析が甘かったとしか、言いようがない。
消費行動分析を、きっちりとやって、もう少し、採算性を考慮すべきでしたな。

「その原因は、貴様の場合は、科学の世界で、男で、戦争を知らず、追い詰められていないからだな?」

・・・アレ?ん?なんか、マズッた気がする。

OK.落ち着け。今の存在Xは、他社に、たたき上げ技術職を大量に引き抜かれた時の人事部長並みに危険だ。
状況は把握。
対応も、検討。

「ならば、その状況にぶち込めば、貴様でも、信仰心に目覚めるのだな?」

いや、その結論は端的に過ぎませんか?
落ち着きましょう。確かに、私は、進みすぎた科学は信仰を曖昧にすると言いました。
ですが、神様。落ち着いてください。そう、落ち着いて。

ですから、神の恩寵を実感出来れば、問題ないのです。
いえ、もちろん、わかりますよ?こうして、我々を管理していただいているのは、良くわかります。
ええ、わかりますから、その手を下していただけますか?
それと、戦争を知らないというのは、誤解でして。

「今さら、媚びても遅いわ!」

いや、主よ。思い出してください。
魔法使いなる人種は、この世界にいませんし、自称しているやつらは神を信じておりません。
魔法の存在だって、そう言うものですよ!

それに、性欲は男女、関係なくあるものにきまっています!

「もう、良い。分かった、ともかく、試してやる。」

「はい?」

「貴様で試してやろうというのだ!!!!」



んで、

「おんぎゃーー!おんぎゃーー!!おんぎゃーーーーーーーーーーーーーーーー!!??」(どうして、こうなった!?)

コンクリの上、何故か、バスケットの中で、身動きできずに泣く羽目になっていた。
まさに、劇的な運命。ついでに言うと、良い笑顔の自称神のサムズアップが眼をつぶると瞼の下に。
何?コミカルで、最高に、MADな一生を送れ?
どうしろと?
いや、テンプレなのか?
そうか、そうなのか?
いやな予感しかしないのだが。






おーけ、落ち着け。戦場では、慌てた奴から死んでいく。いいか、生き残るのは、臆病で冷静な奴だ。
だから、恐怖は抱いて良い。だが、落ち着こう。
うん、身動きできん。そして、先ほどの会話を思い出そう。

『その原因は、貴様の場合は、科学の世界で、男で、戦争を知らず、追い詰められていないからだな?』

ここは、科学の世界ではなく、魔法の世界で、
相互確証破壊理論で、平和だった世界ではなく、戦争の真っただ中で、
ひょっとして、股間の例の戦友がいない世界なのだろうか?


いや、落ち着け。
うん、ロールズの正義論を出したはず。
ついでに言うと、持たざる者になりたくないと・・・。


「おぎゃぁあああああああああああ!?」




さて、皆様に近況報告をば。

我が名はターニャ・デグレチャフ。命名は、信じるならば、神と称する存在Xによる凶行。
うん、この前ターニャさんなる人物、対物ライフル、デグちゃんに撃ち抜かれてましたよね?
いや、さすがに中二アニメは、嗜んだ程度なので、はっきりとは覚えてませんが。
死ねという悪意を感じるのですが。
ちなみに、なぜ、名前がわかるかというと置手紙が。
絶対、この世界では存在しないハズの両親が、僕を捨てる経緯を涙ながらに記した手紙にお名前が。
発見した人達曰く、良いお名前だったので採用とのこと。

うん、孤児なんだ。
それも、捨て子。

パパは軍人。
うん、戦死しているらしいのだ。
で、ママは、パパと婚姻前にみーを身ごもったと。
そして、ママンの、パパンに責められて、哀れ、僕は捨て子になりにけり。
そして、やっぱりちょくちょく耳にする限りでは、ここは、魔法の世界なのだ。

2歳の誕生日(なんでも、生後1歳の誕生日に捨てられたらしい。)に
僕を抱き上げた院長さんが、手紙を読んで、くれた。
意味は分からないだろうけど、貴女のご両親は、決して貴女を見捨てたのではないですよ云々と。

心温まる思いですた。
本当に、ありがたく、思わず、涙を流してしまいました。
マジ、マジで勘弁してください。

・・神様、ごめんなさい。謝るので、許してください。
許してくれませんか、そうですか。
そう思いつつ、今日も今日とて、孤児院でシスターたちの有りがたいお祈りに交じる2歳児。

うん、ごくたまに、すごくごくたまに、忌々しい気配がするんだ。
なんか、すごく不本意極まりない上に、むかつくことこの上ないけど。
でも、交渉するには、まずなにごとも、交渉相手を見つけなくてはならない。
だから、嫌でも、嫌であっても、とにかく相手をしなくてはいけない。

いや、よちよち歩きだから、年配のシスターに抱いて連れてきてもらっているのだけどね?
取りあえず、コミュニケーションの重要さを良く理解した。
ひたすら、大泣きして、聖堂の前で泣きやみ、中に入るとようやくね?
言葉一つとっても、口が動かない。
『聖堂に入れてほしい』なんて、『せ』がはっきりと発音できずにつまずく始末。
ほんと、うん、死にたい。
いや、誰だって幼少期の記憶をなくしたいはず。
まともなら、おしめ一つとっても屈辱ものだ。

しかも、なんか、呪いでもかけられている傾向がある。
間違いなく、悪意によってだが、この世界の魔法の才能が与えられているらしい。
それも、中途半端に。
そう、中途半端に。
大切だから、二回言ったが、そう、この世界はワールドアットウォー!!!の可能性が濃厚なのだ。

でね、どうも、この世界、というか、私の生まれた国は、帝国で、拡張主義国家で、ついでに、軍国主義らしい。


うん、大事な事だから、繰り返して言わせてもらおう。
軍国主義国家なんだ。それも、国民皆兵制で、男女平等主義という、妙なところだけリベラルな。
またの名を、男女が平等に、徴兵される世界ということである。

そして、帝国は、周辺国と同盟を結んだり、戦争をしたりと、とにかく、戦争が大好きときた。
もちろん、国民は、平時には兵役を2年済ませれば、御役目ごめんとなるけどね?

いやいや、この世界、かなり、生存のハードルが高い。

私のような、知的インテリゲンツィアが、生き延びるのには、組織が必要なのだ。
忌々しいことに、文系の身では、技術職と異なり、腕一本で食っていくのは、難しい。
まあ、この世界の技術体系が、私の知るそれとかなり異なっているようではあるが。
ともかく、今から、理系に転向するならば、それ相応の教育を受けねばならない。

そう、教育だ。

だが、教育を受けるというのは、生活が安定していなければ、ならないのだ。
この、孤児院は、所謂宗教系の団体が善意で経営しているとはいえ、極めて貧しい。
養子の貰い手が見つかるか、義務教育の小学校に相当する学校を卒業すれば、自動的に卒院だ。

それから先は、自前で生活していかねばならない。
うん、この世界は、児童福祉とかに優しい世界ではないのでね。
授業料一つとっても、頼る大人のいない子供一人、それも言いたくないが、幼女では、払えるものじゃない。

必然、低賃金労働者にならざるを得ない。

ところが、戦争ばかりやっていると、世の中は、不景気。
植民地では、多少景気が良いとのことで、一旗組が、よく出ていくようだ。
・・・大半は、夢破れて、没落し、ごくまれに一部が成功するだけのようだが。
ともかく、こんな世情だ。
仕事一つとっても、そうそう、簡単に有りつけるものではない。

たとえ、魔法の才能があっても訓練せねば、使い物にならないのは、当然のこと。
魔導師の給与水準は、極めて高いとはいえ、それは、教育投資費用が莫大だからだ。
一介の孤児に用意できる額では到底ない。

つまり、現状では、宝の持ち腐れ。

ところが、世の中には、奇特な学校があってね?
授業料は、全額無料。
衣・食・住が保証されて、これも、無料。
在学中の医療は無料で、最先端治療が24時間受けられる。
高価な教材も使い放題で、魔法の教育にも極めて熱心。
その他の教育も、帝国どころか、この世界でも有数の高水準。
教師陣も、帝国の優秀どころがかき集められている。

それに飽き足らず、学生に、給費まで、支給される学校があったりする。

この、就職氷河期において卒業生の就職率は100%。
もちろん、社会のエリートとして受け入れられる。
一度、この学校を卒業してしまえば、天下り先まで、約束されるというから、破格の待遇だ。
しかも、頑張りによっては、大学へも、さらに好待遇の条件で入れてくれるという。
内容も、完全な、実力主義。
望めば、他国の大学に、留学に行く費用も成績次第では出してくれるという。


こんなに、素晴らしい学校だが、何と世界各国にあるというのだから、世の中は上手くできている。

ちなみに、我が国にあるのは、そのままである。

帝国軍士官学校である。





・・・・・・軍国主義国家に、転生させられる。
そして、将来の進路が、士官学校一つしかないような、条件。
ああ、一応、陸か海か空か、魔導か、選べるらしいが。


うん、これは、戦争があると考えるほかにない。
そして、たぶん、士官学校にかなくても、戦争になる。
で、戦争になれば、当然、帝国臣民は、戦争にとられる。
つまり、一兵卒として、お国のために、行ってこなくてはいけないのだ。




神よ、我を、見捨てたもうたか。
それとも、神なぞそもそもいなのか。


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本作は、ネタとネタと、純然たる趣味によって形成されております。
誤字もあったりします。
修正しました。
ZAPしました。


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