◆Fate DS night◆
D.Sは次はライダーと模擬戦をやろうとしていた。
D.Sは円の中に入っていく、それを見たライダーが不満そうに言葉を吐いた。
「私の場合も、その円から出ないで勝つつもりですか・・・?」
「俺様は贔屓はしない主義なんでな・・・いつでもいいぜ」
距離は十メートル程離れている。
ライダーにとって見れば、この程度の距離などあって無いようなものである。
ライダーはその間合いを詰めて、意表をついてD.Sが呪文を喚起する前に仕掛けた。
十メートルの距離が瞬きをする瞬間に、なくなりライダーは手に持っている鉄杭で攻撃をD.Sに仕掛けたが、その攻撃は空を切るだけであった。
「ったく。あぶねえなもう少し遅かったら、食らってたぜ」
ライダーの頭上から、声が聞こえてくる。見るとD.Sは漫画や御伽話に出てくる魔法使いのように空に浮かんでいた。
其処でD.Sは一言言って空中に去っていった。
「俺様は女をいじめるのは閨の時だけって、決めてるんでな、じゃあな」
「待ちなさい!!」
ライダーの静止の声にも関らず、DSは天空に逃げていった。
確かに、円から出ていないしDSは自分で決めたルールは破ってなどいなかった。
その後の時が経過して、DSが空から降りてきた。
ニヤリと笑みをこぼして。
「俺様の勝ちだな」
確かに勝ちは勝ちである。
円からは出ていないし、空に逃げただけである。
そんなDSにライダーは、拳を握ってプルプルと肩を震わせて。
「・・・納得がいきません」
「・・・ああ、どう考えても俺様の勝ちだろうが」
自信満々に宣言するDSに対してライダーは珍しく声を張り上げた。
「何処が、貴方の勝ちなのです!!貴方は唯、空に逃げただけではないですか!!アレの何処が戦いなのです!?
確かに貴方は円の外から出てはいません!!しかしやり方というものがあるのではないのしょうか?」
ライダーとメディアは負けず嫌いであった。
最もDSは負けるぐらいなら死を選ぶであろうが、それとは違う悔しさであった。
ライダーとメディアはDSの知恵に敗れたのであって、純粋な力の差で敗れたわけではないのである。
それが二人の悔しさであった。
それを見たDSは面倒臭そうに頭を掻いた。
「うるせえな。お前等は俺様に敗れたんだよ。そんなに悔しいなら今度は二人で来やがれ」
「その言葉に依存はありませんね」
「あら、それなら私も遠慮なく行かせてもらおうかしら」
ライダーとメディアの二人がそのDSの言葉に賛同すると、二人が同時に掛かってきた。
メディアは上空を押さえて雷の雷撃を仕掛け、背後からはライダーの鉄杭がDSに襲い掛かってきていた。
「即席にしては、中々のコンビーネーションだな」
DSが、素直に感想を述べる。
「だが、超絶美形の俺様には通用しねえよ」
DSが、両手をバッと広げると黒い制空権のような丸い塊がDSの周囲に展開された。
それに軌道を逸らされて、雷撃は地面に命中して、さらにライダーの鉄杭は上空に逸れていった。
「空間歪曲(ディスートション)・・・」
メディアが忌々しげに呟いた。
「貴方はそんな代物まで使えるのですか・・・?」
DSはメディアとライダーの攻撃を空間を捻じ曲げて逸らしたのだった。
つまり、このDSの作り出したこの空間内にいる限り、あらゆる攻撃は通用しないという事になる。
「ああ、俺様を誰だと思っていやがる」
((・・・馬鹿・・・))
ライダーとメディアは二人して頭に浮かべた。
「こら!!今、お前等、俺様の事を馬鹿にしただろう!!」
DSが指を指して、ライダーとメディアの思考を的確に突いた。
二人とも黙していたと思うと、
「少しいいかしら」
DSから離れてライダーとメディアは二人して相談し始めた。
「ですから、思うに私は・・・・・・」
「私もそう思うのだけれど・・・・・・」
相談する事、約三十分・・・・・・
「さあ、準備はできたわよ!!」
勝気な顔をしたメディアと少しばかり、唇を不適に歪めたライダーが立ち上がっていた。
・・・・・・が其処には誰もいなかった・・・・・・
「何処かに行ったようですが・・・・・・」
ライダーの的確な突っ込みが横からメディアに入る。
「はあ・・・あの男はしょうがないわね。ライダー探してきて頂戴」
「何故?私が探しに行かなければならないのです。そもそも相談を持ちかけたのは貴方ではないですか?」
「あら?どうして私が、そんな事を言われなければいけないのかしら?責任を私一人に押し付けないでくれるかしら」
「押し付けているわけではありません、事実を述べているだけですが・・・・・・」
「それを、押し付けていると言っているのよ、そんな事も分からないのかしら」
そんなこんなでライダーとメディアの罵り合いが、暫くの間続いていた・・・・・・
「ったく、やっていられるか」
DSは愚痴を吐いて、天空を飛んでいた。
正直言って彼、DSは女と戦うのは余り好みではない。むしろ何処の世界に一度抱いた女性と嬉々として戦う奴がいるのだろうか?
そんな中で彼は、くぐもりのような声を聞いた。
――――――死にたくない――――――
DSと言えども感覚を研ぎ澄ませなければ、聞こえないほどの微かな願いにも似た声だった。だがそれは確かに聞こていた。
―――死にたくない―――
DSは意識を瞑想させて、五感を集中させて第六感までも駆使させるほどに研ぎ澄ました。
「あそこか」
声のする場所に気付き其処に向かった。それは人が死ぬ時に漏らす感情・・・・・・
生きたいと願う意思である。何度も聞いてきた声ではあるが、せめて死に間際ぐらいは見に行ってやろうとの唯のDSの好奇心だった。
一度に二つの更新です。
どうぞ見てください。
少しペースを上げようと思ってます。
それでは