◆Fate DS night◆
旅から戻り、和室で一息ついているD.Sにメディアとライダーが話をしていた。
「D.S貴方に言いたいことがあるのだけれど、いいかしら?」
「アンだよ、急に」
腕を組み、不機嫌そうに答えるD.S。
「私たちを人間扱いしてくれるのはいいのだけれど、真名を他のサーヴァントの前で言うのを止めて欲しいのよ」
「勿論、貴方ならこの意味を分かるわよね・・・?」
メディアとライダーはサーヴァントの真名を曝け出す意味をしっかりと説明していた。
それこそ二人係でステレオで右から左からと、その時のD.Sのうんざりする様な表情をしていた。
そして、会話の流れでここに至っている。
だが・・・
そんな事はD.Sという男には全く関係なかった。
D.Sは踏ん反り帰って、口を尖らせて言った。
「・・・・・・嫌だ」
「聞こえなかったわ・・・何て言ったのかしら?」
「私も聞こえませんでした。何と言ったのですか?」
「聞こえなかったのか、嫌だって言ったんだ」
メディアとライダーの顔に青筋の怒りマークがいっぱい出来た気がするが気のせいではない気がした。
「コレだけ言っても、まだ解らないのかしら」
「貴方は、今まで何を聞いていたのですか・・・いいですかサーヴァントの真名を晒すという事は・・・」
「そうよサーヴァ・・・」
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
三十分後・・・
メディアとライダーの二人が息を絶え絶えにしていた。
「・・・解ったかしら・・・?」
「解りましたか?」
「・・・全然わからねえ」
「・・・!!」
メディアとライダーの二人は溜息を吐いた。
そしてこの後のD.Sの一言は彼女らの怒りを沸騰させた。
「だってよ、オマエ等、俺様より弱えじゃねえか・・・・・・ったく俺様に意見するなら。俺様より強くなってからにしろってんだよ」
さすがにその言葉は聞き捨てならなかったのか、ギギギと人形のようにメディアとライダーが口に笑みを浮かべて口を開いた。
「聞き捨てなら無いわね、誰が貴方より弱いのかしら・・・?」
「ええ、私も今の言葉は聞き捨てなりません。誰が貴方より弱いのですか・・・?」
メディアとライダーもサーヴァントであって一人の人間より弱い等と言われた事がなかったのだろう。
そんなD.Sの無神経な一言には彼女らのプライドの炎に火を燈すのは十分だった。D.Sは面白そうに笑みを浮かべると。
「面しれえ、じゃあ勝負すっか。お前等と俺様の実力がどれくらい離れてるか見せてやるよ」
「望む所よ」
「望む所です」
D.S達は柳洞寺の中庭に出て行った。
◆◆◆
「たしかルールはこうだったわね。宝具とC級以上の攻撃は禁止だったわね。それで制限時間は十分。私たちが一撃を入れたら勝ち。
貴方はそれまで逃げ切ったら勝ち。そして貴方は魔術障壁を使わないだったわね。後は勝負は一人ずつだったわね・・・」
「ああ、解り易くていいだろう」
「私たちも随分と馬鹿にされたものですね・・・」
その台詞を零したのはライダーだった。十分の間サーヴァントの猛攻を凌ぐなどサーヴァンと中最速の速度を持ってるかもしれない自分でも可能性が無いわけではないが、不可能に近い。
それでも目の前の男なら何とかするのでは無いかと思える物がライダーにはあった。
「何をしているのですか・・・?」
D.Sは地面に半径三メートル程の円を書いていた。
「ああ、お前等にハンデをやろうと思ってな、俺様が此処の円から出たら問答無用で負けでいいぜ」
そう言って、D.Sは自身が書いた円の中に入っていった。
「とことん馬鹿にされた物ね」
メディアは心の中で色々と考えていた。
(ああ、やっと・・・今までの鬱憤を晴らす事ができるわ、覚悟しなさいよ。マスターに公然と攻撃できるなんて・・・癖になるかもしれないわ」
メディアは天邪鬼な笑みをフフフと上げていた。その様子にライダーは若干引いていた。
最初の勝負はメディアであった。立会人はライダーである。
二人の距離は約十メートル程離れていた。
「それでは、始めますがいいですね?」
D.Sはニヤニヤと笑いながら、余裕の構えをしている一方でメディアはフードを被って表情は分からないが集中をしているのであろう。
だが、彼女の態度から窺えるのは何とかしてD.Sの笑みを崩すかという一点である事がわかる。
「いつでもいいぜ」
「私も構わないわ」
「初め!!」
先手を取ったのはD.Sであった。すぐさま集中を開始して魔印を行使してミスティクマークを空間に作り魔術を行使して
呪文の詠唱を開始した。
「ジ・エリオ・フィル・アレ 我は求める 太古より継がれし 神秘なる象徴を以って為されん」
メディアは一瞬D.Sに見とれてしまい機を逃してしまったが、それでも構わずに魔中の集中を開始したがワンテンポ遅れてしまった。
そこで勝負はついてしまった。D.Sの魔術が発動したらメディアに勝ち目は無いのである。
「減極渦雷球!!(デフ・レイ・バー)」
柳洞寺の中庭に漆黒の球体が浮かび上がった。
そのワンセコンド後程にメディアの魔術が発動した。
「Ατλασ(アトラス))圧迫」
普通ならD.Sは重力の塊に押しつぶされて、ダメージを受けるはずなのだが何も起きないのである。
不可思議に思ったメディアはD.Sに問いかけた。
「何をしたのよ・・・?」
「ひ・・・み・・・つ(^o^)」
ブチッとメディアの血管が切れる様な音が聞こえた。
「Κεραινο疾風(ケライノー)」
暴風が吹き荒れて、D.Sに衝突するはずの疾風は全てD.Sが生み出した漆黒の魔力球に吸い込まれていった。
ここに来てメディアは頭を冷やして、冷静にD.Sの生み出した魔力球を見つめる。
「D.S。貴方まさか・・・?」
D.Sは息を漏らして、遅すぎるといった感じで説明を促していく。
「ようやく分かったかよ、あの漆黒の魔力球はなあ、周囲の魔力を瞬時に無力化して吸収して無効にするんだよ!!」
「つまりだな・・・オマエの行使する魔術は全て、俺様が生み出した漆黒の雷球に吸収されるんだよ!!」
「まっ。その間は俺様も魔術を行使できねえから、諸刃の剣だがな・・・」
「しかし、魔術を行使できない魔術師なんて俺様の敵じゃねえぜ!!ちなみにその雷球は三十分は消えねえぜ」
ニヤリと笑って、D.Sは余裕の笑みを崩さなかった。
確かにこれはD.Sにとっては諸刃の剣である。もしもこんな魔術をランサーやセイバーの前でやったらD.Sは嬲り殺しにされるであろう。
三十分魔術を行使できないなどとは戦闘において致命的であるからだ。これは恐れく魔術の使用できない戦士などを援護するために開発された魔術なのであろう。
そしてその効果はキャスターのクラスである。メディアには絶大であった。
「っつ、そんな事が」
メディアは自身の使用できる、あらゆる魔術を行使するがその全てが無駄であった。
いくらD.Sから無尽蔵に魔力を供給されていると言っても、その全てがD.Sの生み出した漆黒の魔力球に吸収されていくのでは意味がなかった。
もしもメディアがD.Sの行使する魔術を知っていたなら打つ手はあっただろうが、それを知らない現状では打つ手はなかった。
「ああ、無理無理、それは俺様でも苦労したからな」
やがて、五分ほどメディアが魔術を行使してその全てが無駄と分かると。
遂にメディアはペタンと地面に座り込み、ヒックヒックとシャックリを上げて顔を手で覆って泣き出してしまった。
それをライダーがジト目で見つめていて呟いた。
「泣かせましたね」
「いやだってよ、しょうがねえだろうが」
「貴方は容赦がなさ過ぎるのです。たまには負けてあげるなどの優しさを見せたほうがいいのではないですか?」
「挑発に乗ったやつ等が、何をいってやがる」
この展開はD.Sも予想していなかった様である。まさか泣き出すとは思っていなかったのである。
(・・・なんでこうなるんだよ、めんどくせえなあ、これだから女ってのは・・・)
ハアと溜息を吐いて、頭を掻いて自分が書いた円から抜け出してメディアを慰めにいった。
メディアは泣きじゃくりながら言葉を続けていた。
「・・・ようやく・・・今までの鬱憤・・・痛ぶろうと・・・どうして素直にやられないのよ・・・」
途切れ途切れの言葉を聞いて、D.Sは同情心がなくなっていく気がした。
「あー、今回は俺様の負けでいいや」
D.Sにしては珍しい台詞だった。
「もう一回よ・・・」
「めんどくせえなあ」
「今度はさっきの魔術はなしよ・・・」
「ああ!!??」
「なしよ」
「はぁい」
なんとも情け無い男であった。
其処にライダーがやって来て、今度は私の番だという表情をしていた。
「次は私ですね」
(めんどくせえなあ)
D.Sは心中で呟いていた。
更新が遅れました。
スイマセン