◆Fate DS night◆
「D.S。私も行きたい所があるのですが、構いませんか?」
メディアとD.Sが立ち上がり帰ろうとしたのを見て、ライダーが何処か行きたい所があったのかD.Sに言い出した。
D.Sは別にどうする事もなく、分かってるような顔をして。
「ああ別に構わねえぜ・・・だが、その前に寄ってきてえ所があるんだけど構わねえか?」
「別に構いませんが、何処に行くのですか?」
「ちょっとな・・・」
D.Sが歩き出してギリシャの町場に繰り出して行った。
そんなD.Sの様子を二人のサーヴァントは見守るのだが、D.Sを見る人の目が如何せん多すぎるのだった。D.Sの容姿はすごく目立つのだった。
真っ黒い法衣に太陽に輝く気品のある銀髪。D.S自体が神秘を隠す事を否定しているかのような佇まいである。
そして、メディアとライダーを引き連れているD.Sは人々の注目の的であった。
「ハァ・・・」
溜息を吐いて、そんな自分たちを見かねてメディアは人避けの魔術を行使するのだが・・・
ピッとD.Sが魔力を行使して、その魔術を無力化してしまうのである。
そしてメディアはまた人避けの魔術を行使する。
すると、またD.Sがそれを無力化する。例えるなら彼らは、点いたり消えたりする電球の様なものであった。
姿を消そうとしているのに現れたり消えたりして、逆に目立っていた。
本末転倒とはこの事であった。
「Τα π?ντα?(何だ?)」
「Ti?(何?)」
当りの周囲がザワザワと騒ぎ出した。
そしてその余りの傍若無人ぶりにメディアの怒りが爆発した。
「D.S!!貴方は何を考えているの!!折角目立たないようにしてあげてるのに!!これじゃアベコベじゃないのよ!!」
「私が人避けの魔術を行使しているのに、貴方が無力かするから余計目立ってるじゃない!!」
メディアがD.Sに癇癪を起こして怒鳴り散らしていた。
ライダーは傍観を決め込んで何も語らずに様子を見ていた。最早人々の注目の的であった。神秘の秘匿も何もあったものではなかった。
そこでD.Sがフフンと鼻を鳴らして、自分の顔を揺らして語りだす。
「いいかメディア。メデューサ。自慢じゃねえがこの俺様は完璧に美しいそうだ」
「俺様には人間の美貌は良くわからねえ。だが色んな奴が言うにはこの俺様は完璧に美しいんだそうだ」
メディアとライダーは黙って聞いているが、この時点ではまだD.Sが何を言いたいのか理解できなかった。
そして言葉を続けるのを黙って聞いていた。
「百獣の王のライオン。そして幻想種の頂点のドラゴン。あいつ等がわざわざ姿を隠す真似なんてしねえだろう。威風堂々としているだろう」
D.Sは自分に指を刺して言う。
「そして完璧な美しさを持つ、この俺様が何で姿を隠さなきゃいけねえんだよ」
ピンと来ないメディアに指を刺して言った。
確かに生物で、どれか一つの頂点に立っているものは、わざわざ姿を隠すなどという真似はしない。
むしろ堂々と姿を現して、他者にその存在感を示している。それが王者に立つもの義務でもあるライオン然り、猛禽類の頂点の鷲もそうである。
大空を羽ばたく翼を見せ付けるように飛ぶから、その姿が美しいしライオンはその鬣の姿を堂々と晒しているから王者の風格を有しているのである。
D.Sが言っているのはそういうことである。
そして完璧な美しさを持つ自分が、何故姿を隠すような真似をしなければならないのかD.Sには疑問であった。
此処にいたってようやくメディアとライダーはD.Sの考えが理解できた。
理解できたが余りにも単純で、子供っぽくて呆れたのだ。何故ならそれが美しい自分の姿を見せ付ける為だったとは呆れて物も言えなかった。
メディアは溜息を漏らして。
「付き合っていられないわね」
霊体化して姿を消して空に上っていった。ライダーはクスっと笑って。
「貴方らしいと思いますよ。D.S」
だがそんな霊体化をしているメディアを人間扱いしていたD.Sは気に入らなかったのか、令呪を輝かせて言った。
「この俺様と契約しているサーヴァントに命ずる、今後全てのサーヴァントは霊体化を禁止する」
D,Sの左手が輝いて令呪が発動した。
その瞬間、空に浮かんだメディアの姿が人々の視線を集める事になった。
そうしていたたまれない視線を浴びて、余りの恥ずかしさにメディアは空間転移の呪文を実行した。
◆◆
そしてさっきの丘に戻って来た。
「何を考えているの貴方はーーーー!!」
「何を考えているのですか貴方は・・・」
一人の怒鳴り声と静かな怒り声が山彦となって辺りに響いていた。
「折角、この俺様が人間扱いしてやってるのに霊体化なんてしやがるからだ」
フンっと悪いのはメディアとライダーの方だと言わんばかりにD.Sは腕を組んで言った。
メディアは頭を抱えていた、ライダーも頭に手を抱えてうーんと唸っていた。
(馬鹿だと、思ってたけれどコレほどとはね・・・)
(子供が大人になった様な人間ですね・・・)
「令呪って奴を使って見たんだけどよ、本当に効果があるらしいな」
「まさか、本当に霊体化できなくなるとはよ・・・そして注目の的になっていたお前の顔は見物だったぜ・・・」
笑いが止まらないと言ったばかりに、口を歪めてD.Sは口を開けて笑っていた。
D.Sは本当に令呪とやらが効力があるかを試してみたのだ。D.Sは別に令呪とやらの効果を信じていない理由ではないが使ってみない事には効力が分からないのだ。
D.Sにとって令呪とは三回しか無いのではなく、三回も令呪があるのだった。
此処にいたって、D.Sが令呪の効力を試す為に使った事はライダーとメディアは分かったが、余りにも使い方が馬鹿らしくて呆れていたのだった。
「呆れて物も言えないわね・・・」
「私も同感です」
空いた口が塞がらないとはこの事を言うのか。
だが、D.Sにとってはそんな事はどうでもいいのか、踵を返して二人を置いてさっきの場所へ戻っていった。
「さてと、さっきの場所に戻るとするか」
「ちょっと、お待ちなさい」
「待って下さい」
そう言ってD.Sはメディアとライダーの二人を連れてさっきの場所に戻っていくのだった。
そこでギリシャの市場で着いた場所は花屋だった。
D.Sは花屋に言った。
「Παρακαλ? να μου δ?σει ?να λουλο?δι (その花をくれ)」
そうしてD.Sは懐から金貨を取り出して花屋に純金の金貨を渡した。
最初は花屋は戸惑っていたが、それが本物の金だと分かるとすぐに態度を入れ替えてD.Sが指し示した花束を渡した。
そうしてライダーに花を渡した。
「おらよ、墓参りするのに花束が無いなんて格好がつかねえだろう」
「・・・これは、百合の花ですか?」
「ああそうだぜ、カサブランカ。たしか花言葉は純潔、無垢、威厳、壮大な美だったけか」
「オマエの姉達には、ぴったりじゃねえのかよ」
D.Sが悪戯っぽくライダーに笑みを見せるその無邪気な笑顔は見るものを魅了するほどの物があった。
純潔を守りながら散っていった。ステンノとエウリュアレのとって百合の花は正に相応しいであろう。
「・・・どうして、貴方は此処までしてくれるのですか?」
ライダーには良く分からなかった。どうしてサーヴァントの為に此処までしてくれるのかが、ライダーにとっては自分は機械と同じである。
唯、戦う為だけに存在して、マスターを勝利に導く為の道具にすぎないのだ。
そんなライダーにD.Sはただなんでもないように言う。
「気にいらねえからだ」
「・・・何と言ったのですか?」
「オマエ等の何もかも諦めているかのような、表情が気にいらねえ。だからぶち壊してみたくなった、それだけだ」
「貴方はそれだけの理由で、こんなにも手間をかけたのですか?」
「・・・ああ」
D.Sはどうでもいいような口調で言葉を吐く。
ライダーはフッと笑い
「やはり、貴方は愚かですね」
「どうでもいいけど、行くのならさっさとしないと日が暮れるわよ」
ライダーとD.Sの会話に水を挿したのはメディアであった。
「何だよメディア、妬いてんのかよ」
D.Sの冷ややかな声にメディアが肩を震わせて、大声で叫ぶ。
「妬いてなんかいないわよ!!馬鹿じゃないのかしら!!」
「フーン、ならメデューサと二人だけで行くとするか」
D.Sはどうとでもいいように口を開いてライダーに話しかける。
「オイ、メデューサ。メディアが機嫌を直すまで暇だから、二人で墓参りに行かねえか?俺もオマエが何処で祭られているか興味があるしな」
D,Sがそう言ってライダーの腰に手をやり、何処かに行こうとするとメディアが子供の様にD.Sの服を掴んで涙ぐんでいるではないか。
「どうして、貴方はそんなに意地悪するのよ、いいじゃないのよ、やきもちの一つや二つぐらい焼いたって」
メディアは子供の様に涙ぐんで、尖った耳をたらしながらD.Sの服を掴んでいた。
D.Sもコレには弱った。
最愛の人と同じ香りを漂わせながら、しかも涙ぐむその仕草が愛娘に似ているのだった。
こうなったら折れるのはD.Sである。どれだけ女性には慣れていても涙には勝てないのである。
D.Sは罰が悪そうに頭をガシガシと掻いて。
「あー悪かったなメディア、一緒に連れて行ってやるから機嫌を直せよ」
D.Sが謝っていた。これはD.Sを知る者がいたら驚く光景である。
もし盟友のガラがいたら隕石が降って来るのではないかと言いそうだ。
「そうね、今回は許してあげるわ」
メディアの顔に光が射して機嫌が直ったかのような顔つきになった。
「それじゃいくか」
D.Sは暴風を撒き散らして、空を飛翔した。
感想
最近スランプです。
一応キャラに沿って書いていますが、本当にこれでいいのか・・・?
と悩んで書いています。
アニメもゲームも小説もhollowも全部コンプリートしていますが
それだけでキャラが立つとは限らないし、イメージとはかけ離れていくような気がします。
スイマセンが皆さん一文字だけでもいいから、かけるぐらいの元気を下さい。