◆Fate DS night◆
ここ柳洞寺のD.S達に与えられた和室の一室で一人の男は廊下に出ていて日向ぼっこをして太陽を見つめており、髪を足元まで伸ばした妖美な女性とそれに劣らない美しさを持った
元王女は驚愕の表情をしていた。
「・・・信じられませんが・・・受肉しています」
「・・・嘘でしょう」
「・・・考えられる事は・・・一つあの男が何かしたのでしょう」
二人の女性は太陽を見ながら欠伸をしている銀髪を背の中程までに伸ばしているD.Sをバッと見た。
恐らくライダーがD.Sの血を飲み込んだのが原因だろう。
その存在が悪や闇で反救世主(アンチ メシア)とはいえ、この世に奇跡を起こせる力を悪魔の神から与えられた人間である。
なればこそ、D.Sの血の効果には聖杯を飲み干す以外に唯一つの例外としてサーヴァントを受肉させる効力、死者を蘇生させる力があるのであろう。
だが、ライダーもメディアもD.Sがまさかメシアだとは及びもつかないのであった。
そしてそのD.Sは日向に当っており悠々としていた。
(フアー・・・いい天気じゃねえか・・・そういえば何処の国を滅ぼしても、何処の世界でもアイツだけは眩しく輝いてやがんな)
D.Sは黄昏を感じながら頭上に輝く太陽を見ていた。数多の国を滅ぼしてきた男にもノンビリしたい時はあるのかもしれなかった。
だがそれすらもD.Sには許されないのか彼のサーヴァントの二人の女性がD.Sを問い詰めようとしていた。
「D.S貴方に聞きたい事があります」
「私も聞きたい事があるわ」
「・・・なんだよ、折角のいい天気なのによ」
日向ぼっこをして黄昏ていた。そんな中、この世の物ものとも思えない美人とも言える二人が顔を近づけて質問をしてきた。
「・・・どうして、私は受肉しているのですか?」
「・・・そうよ、どうしてライダーが受肉しているのかしら?D.S。貴方、私たちが寝ている間に何をしたのかしら?」
「別に何もしてねえよ」
「嘘おっしゃい!!このデカ女が受肉しているのが証拠でしょう」
メディアが金切り声を上げて、D.Sに講義をしていた。
だが『デカ女』と呼ばれたのが気に食わなかったのかライダーはその質問に杭を刺して、メディアとライダーの口論が始まりを告げた。
「『デカ女』とはまた失礼ですね。そもそもそんな暑ぼったで重苦しい格好をしている貴方に言われたくはありません」
「ふん、みすぼらしい怪物風情には、高貴な貝紫の美しさは理解できないようね。全くそんな姿で戦闘をするなんて貴方には恥じらいというものが
ないのではなくて・・・」
「悪名の高さは貴方も同じでしょう。神殿にいる私にも貴方の悪名の噂話は届いてきましたよ・・・それに私のコレは戦闘服ですから・・・」
「ええ、貴方の巨体にはお似合いね。全く何を食べたらそんなに大きくなるのかしら・・・神酒や神果を食しても、そんなにウドの大木のようにはならないはずよ。
それじゃ恋人の一人もいないのではなくて・・・」
「・・・ええですが・・・そんな私でも貴方のマスターは私を助ける為に抱いてくれました」
「――――――ッ」
フッと勝ち誇ったようにライダーは微笑を携えた。それが悔しかったのかメディアは胸元に手を当てながら悔しさを露にした。
(ったく、うるせえ馬鹿どもだな付き合っていられるか)
さもあらんという風にどこかに行こうとするD.Sであったが、それを遮るようにライダーはグイっとD.Sの襟元を掴んだ。
「何処に行こうというのですか?」
「あら、私も聞きたいわ、何処に行くのかしら?」
D.Sが口を尖らせた。そもそも何処に行こうが彼の勝手なのだがそれは目の前の女性二人が回答を得てからでないと駄目なようだった。
「俺様が何処に行こうと勝手だろうがよ」
「いいえ、そもそも誰の所為でこうなったと思っているのよ!!」
「それは、私も同感です」
D.Sは五月蝿い女どもだなと考えていた、口論するのは勝手だが何もそんなステレオで騒がなくともいいのでは無いかと彼は思っていた。
「貴方も何かあのデカ女に言ってあげなさい!!そんなレバノンみたいに大きくなってどうなるのかしらとか?なんとか?」
理不尽な理論がD.Sの前に捲くし立てられる、そもそも論点が違うのではないか・・・・・・どうやって”受肉“したかを話ていたのに何故?
身長がデカイ事で話になっているのだろうか、それとも身長で何か不利になる事があるんだろうか古来より戦いとは身長の大きい方が有利ではないのか。
「・・・いちいち下らなねえ事で、うるせえ野郎だな~~。
大体よ俺様から言わしてみればメディア。オマエの格好の方がどうかと思うぜ、オマエはよ女の癖に少しシャレっ気が足りねーよ」
「それに比べたらよ、まだメデューサの方が女らしい格好だぞ」
「・・・・・・」
ライダーはその言葉が嬉しかったのか瞳を少し輝かせているように見えた。
D.Sがまともな事を言う、身長が大きいなどそんなのは万人の好みによるものだが、そしてどんな服を着ようともそれぞれの自由なのだが目の前の男がそれを言ったのは問題だったようだ。
「大体よ、あのフードが辛気くせえんだよなぁ~~そんなもん真昼間から被っているから幸運がBでも運(ツキ)が逃げていくんじゃねえのかよ」
D.Sが思った事を口にするそれはそれでいいのだが、目の前の女性に何も考えずにストレートを投げるのは問題があったようだ。
D.Sが踵を返し去って行こうとすると其処には、項垂れた後に―――息を吹き返したかのようにメディアがD.Sの背中を思いっきり押した。
「バーカー」
ザバーンと音がして柳洞寺の庭の池が大きな波紋を浮かべた。メディアがD.Sの背中を魔術で強化して思いっきり押したのだ。
ちなみに今の季節は冬である、池の温度は十度をきっているであろう。
そしてD.Sの属性というか得意魔術は炎である。彼は水や氷とは相性が悪いのだが・・・そんな事はまだ付き合いの短いメディアが知る由もなかった。
プハっと陸から上がった魚のように顔を上げるD.Sではあったが、容赦が無いとはこの事か。
「テメエ!!何しやが―――ビビビビビ」
池にマスターがいるにも関らず雷撃を撃ちはなった。主思い?のサーヴァントがいた。
「・・・・・・」
「ああ、すっきりしたわ一度マスター相手にこういうのやって見たかったのよね」
「よろしいのですか、彼は”メディア“貴方のマスターなのでしょう。そのマスターにこんな仕打ちをするとは・・・」
すっきりした表情をするメディアに対して困惑しているのかライダー何とも言いがたい表情をしていた。
「あら、大丈夫よ威力は抑えているから」
「いえ、そういう問題ではないと思うのですが・・・」
「良いのよ、あの男の命は私の物のようなものなのよ。あの男が死に掛けていて倒れているのを拾ったのは私なのよ・・・だからD.Sの命は私の物のなのよ」
「本来なら立場が逆なのだけれどD.Sと私にとってはこの位置が逆転しているのよ」
その屁理屈は一体なんなのでしょうかとライダーが問いかけたくなる所をメディアがその手を掴んだ。
「何処に行くのですか?」
「決まってるでしょう。服を買いに行くのよ、ええ勿論。あの男に言われたからじゃないわよ」
(・・・やはり、さっきの言葉を気にしていたのですね)
ライダーは分かったような表情を浮かべるとメディアの手を握りかえした。
そうして二人は街中へ繰り出していった。
後に残されたのは感電したD.Sだけだった。
「・・・あんの~~アマ~~。日に日に扱いが酷くなってねえか・・・」
ちなみに受肉している事は、どうでもよくなったのか忘れたのかその事については触れずに二人は去っていった。
◆◆◆
D.Sは読書に更けていた。滅ぶ前の文明の時代の書物があって―――それはそれで面白くつい読みふけってしまい、別の世界に旅立ってしまいたくなるのだが、
一人の女性の声によって現実に戻ってきたのである。いや戻らされたと言った方が正しい解釈であった。
「D.S・・・これは似合うかしら・・・」
帰ってきたメディアがD.Sの背後から気にして欲しいのか見てくれといわんばかり姿勢を決める。
振り向きもせずにD.Sは本を見ながら。
「いいんじゃねえのか」
全く無関心といった感じで応対する。そしてすぐさま本の続きを見ようとし始めるのだが、D.Sの本は急に燃え出した。
「でえ!!!」
其処には、手の平から魔術を駆使してD.Sの持ってる本を燃やした。微笑んでいるメディアがいた。
「何しやがる!!このアマ~~!!」
ガァーとD.Sが捲くし立て様とするが、あいも変わらずに微笑みを崩さずに笑っているメディアがいた。
「D.S。私は似合っているかしら?と聞いたのだけれど?」
D.Sは不機嫌そうにしょうがねえなあと自慢の銀髪を掻き揚げた後に、メディアとその後ろにいたライダーの姿をジロリと見た。
メディアの服装は、青と黒を強調とした黒のシャツとそれにデニムのボレロの深い青のジャケットを羽織ってそれに薄い茶色のスカートを身に着けていた。
ライダーは黒のタートルネックのセーターに青いジーンズとまたシンプルな格好をしていた。
D.Sは何処となく二人の衣装を見ると、やはり最初の台詞を繰り返すのであった。
「フーン、ま。いいんじゃねえのか」
少しばかりの沈黙が流れて。
「・・・それだけかしら」
「・・・それだけですか」
メディアとライダーの二人が口を開いた。ちなみにD.Sにとって人を褒めると言うのは滅多に無い事でこれでもかなりの褒め言葉ではあるのだが
ライダーですらもそれが気に入らないらしく、文句を言うのだった。
「・・・んだよ・・・なんか文句がありやがるのかよ」
罰が悪そうに口を尖らせる、D.Sに何を言っても無駄と悟ったのかメディアは溜息を吐いて。
「そうだったわね、そういう男だったわね貴方は・・・ライダーも何を言っても無駄よ、この男の自分勝手で無頓着な所はどうしようもないわ・・・」
「・・・それは、私も分かる気がします」
メディアとライダーもD.Sとは付き合いが短いが、自分勝手な男だと考えている。だからこそ自分達が何とかしなければならないと思っているのだが、
いかんせんD.Sの考えと言うものが、良く分からないのだ。
パートーナーとしては、それは問題でもあるのだが、もう戦争は始まっていると言っても―――サーヴァントが二人いてD.Sもそれに匹敵するほどの使い手である。
これならばその程度の事は問題では無いのかとメディアは思っている。
そんな中D.Sはライダーの眼帯が気になっていたのか、ライダーに近づいていき指を刺して命令をしていた。
「おいメデューサ。その時化た眼帯をはずしやがれ」
ライダーはD.Sが何を言うのかと思っていたのだが、まさか眼帯を外せなどと言われるとは考えてもみなかった。
D.Sが魔術師である事を差し引いても、自分が眼帯を外せばどうなるのかをD.Sは分かっているはずだが、それを知っていて何故それを言うのかがライダーには分からなかった。
「・・・何故そんなことを言うのですか・・・貴方ほどの魔術師ならば分かる筈です、私が眼帯を外す事の意味が・・・」
「何言ってんだ。そんなもん。俺様が気にくわないからに決まってんだろうが・・・」
「・・・しかし私がコレを外せば、どうなるのか分かってて、言っているのだとしたら貴方は残酷です」
「アン?何言ってんだ、俺様は外せと言っただけで石化させろとは言ってねえだろうが・・・・・・ほらよ」
そう言って、D.Sは丸渕の石化の魔眼を抑制する眼鏡をライダーに渡した。
「・・・これは」
ライダーが驚いてそれを受け取とると、其処にD.Sが説明を促していく。
「それは、メデューサ。オマエの魔眼を抑制する魔力が籠もっている一種の道具だ。それを着けてれば石化の魔眼に苦しむ必要もねえだろうが」
「・・・D.S。貴方は私が”コレ“を着けているのが気にいらないと言いましたね。其の為だけにこの様な道具をを作ったのですか?」
ライダーが眼帯を外してD.Sの作った眼鏡を手の平にとり、感情の籠もっていないような声色で問いかける。
「・・・ったく。サーヴァントってのはどうしてこう石頭ばっかなのか・・・俺様が何をしようが勝手だろうが・・・」
何か悪い事でもあるのかとD.Sはライダーに言い放った。
「・・・メディア、さっき貴方が言った言葉が分かるような気がします」
納得した様にライダーは眼帯を取って、D.Sから渡された眼鏡を掛ける。
良く見ると、彼女の灰色の目は真珠の様な不思議な輝きがあった。
この目を見ればD.Sが彼女の眼帯を外せと言った理由も成る程と納得できるのかもしれなかった。
<救世主の血> RANK ■■■■■ EX
サーヴァントを生き返らせて受肉させる効力がある。
この効力を持っている人間はメシアと呼ばれている人間だけだと考えられ、
そして奇跡を起こせる事が許されている者だけだと思われる。
ちなみにD.Sは文字通り―――悪の救世主なのでメデューサを受肉させる事が出来たのは必然だと思える。
感想
地震が起きて大変ですが、そんな中でもエンタメは必要なので
続きを書いていきます。
そして、仕事ですが・・・こういう時にコックさんは頑張らないといけません。
美味しい料理を作るんだ。ちなみに仕事はコックさんです。
心配なのは漁業が今回の地震で壊滅的な打撃を受けて、仕入れの値段が
上昇することです。
しかし値段を上げる事は、多分しないと思います・・・
それでは、又次回・・・