俺の名前は孝
死んだ人間が生き返るという地獄のような世界を仲間たちと生き抜いて
名も無き島にたどり着いたはいいが現代社会の文明の利器はすぐに使えなくなった
もう江戸時代くらいからやり直しているような感じ
毒島先輩は子供十人生んで人類再生とか燃えているし麗は十一人とか言うし
高城は自分の知識を次世代に伝えるとかいって英才教育にはまっているのである
平野?は噛まれた所を切り落としたら感染する前に助かったとか手首から先のカギ爪をワサワサさせながら壮絶な笑みを浮かべられても困る、うん。
鞠川先生は平野を介護しているうちに心のメンタルケアがどうのこうのでくっついてしまった。
そんなある日、高城がみなを集めた。
苦労して本土でヤツラのサンプルで実験した結果、神経ガスによりヤツラの行動活性が抑えられ腐敗する事がわかった。
島には生物兵器や中国から回収した戦時中のVXガスなどが保管されていた。
「音に反応するのは鼓膜の振動を神経が捉え、脳に神経パルスが送られ何らかの情報処理の出力が筋肉に送られるからと推測されるわ」
「そうかつまり神経ガスでパルスが阻害されればやつ等は身動き取れなくなると」
「ただこのガスがどの程度動きを止めるのかわからないし、通常の生物にはかなり有毒なの。一歩間違えればヤツラ以外の生物が絶滅するわ」
「うーん」
「お久しぶりですね皆さん さようなら」
ガス弾頭を脇に抱えた年をとった紫藤が玄翁で弾頭をたたく
ばっかーん ぱしゅー ガスが当たり一面に広がる
「っく」ぶくぶくぶく 口から泡を吹き目から涙が止まらない 神経が痙攣し呼吸も心臓も止まる
紫藤はあの時生き残り、泥水をすするような溝鼠のように生き延びていた。
そしてある日、島に生き残りがいるとききボートで漕ぎ出したのだ。
島に上陸すると保護を求め、しばらくおとなしくして復讐の機会をうかがっていたのだ。