初めは、夢かと思った。
そして……やっぱり夢だと肯定し続けた。
それが初日の出来事である。
日記にしたら1、2行で終わる。夏休みの宿題に出したら居残り間違いなさそうなぐらいの思い出しかない。
ようするに、一日まるまま現実逃避した。
……。
しかし、そんなのも1日限定。二日目あたりで流石に現実だと悟るのだ。
涙に濡れた枕を背に、自身の置かれた環境と境遇に順応……と、みせかけ三日目にまさかのホームシック。
その後、四日、五日と堕落と惰性のニート生活を送った少年は、六日目で遂に社会復帰を遂げ、七日も経つと完全に“この世界”に慣れきっていたのだった。
人間、一週間もあればどうにでもなると実証されたわけだ。
さっきから何を言っているのか……。
流石に頭のおかしい奴と思われたくないので、さくっと答えを提示してしまうとする。
この七日間は、僕が異世界に飛ばされてから七日間である。
僕は、世界を飛び越えた。
あー、いや、これだと僕が能動的に“こちら”へ来たみたいだ。訂正。
僕は呼び出されたのだ。
被害者である。
時は遡り、一週間前。
その日、僕はいつもどおり学校にいた。
普段と変わりなく授業中に落書きをしたり、惰眠を貪ったり、好きなあの子とデートの妄想などに勤しんだり。
最初はやっぱり遊園地かな~、とか。
それとも水族館かな~、とか……ね。
男子高校生であるならば、一度や二度くらいしたことのあるシミレーションではないだろうか?
こういうことは、ゆくゆくは役に立つ時が来るのだ……と、思う。
さて、事が起こったのは、時計の長針が30を指してから8、9分程経った頃。そろそろチャイムがなる時分。授業もまとめに差し掛かり「お腹が減ってきたなぁ」だなんて思っていたその時だった。
突然、教室が暗転した。
な、何を言っているかわからねーと思うが、気づけば僕は全く見たこともない場所にいたのだ。
そんな馬鹿な。と、呟く。
僕は教室にいた筈だ。少なくとも、つい今しがたまではそうだった。
ええと、確か化学の授業の最中の出来事だったと記憶している。
なぜなら、そのとき僕がペン回し専用のシャープペンシルを持っていたからだ。 僕は、化学の授業中はペン回しの練習をすると決めている。
先生、あなたの教師精神は素晴らしかった……ただ、面白くなかったのだ。
キョロキョロと辺りを見渡す僕。
白を基調とした壁面。
神殿……聖堂か?いや、僕にこれを判別する知識は無い。
剥き出しの柱がいくつか見える。イオニア式か、ドーリア式か。
どうでもいい。
僕は再度辺りを見渡した。
日の光に目が細まる。ええい、鬱陶しい。
周りを囲むは老若男女諸君。仕事はどうした。
くそ、焦った。
何で僕は囲まれているのだ。
見渡し、見渡し、目線を飛ばし。
ふ、と動きが止まった。止まってしまった、というほうが正しいのかもしれない。……が、わざわざそこに頓着する必要も無い。
突然の出来事に慌てふためく僕の目の前には、白髪の少女が一人いた。
「今まで一度も切ったことがないのだろうか?」と思えるほどに伸びた髪をした少女だった。
ふむ、美少女とも言っていい。
どれほどかと言えば、パニック状態だった僕が、瞬間的に硬直してしまうくらいに美少女。
何処までも白い肌。病的に
不純をいっさい感じさせない透き通った目。恐ろしく清い。
そして、綺麗なピンクをした小ぶりの唇が音を紡ぐ。
「始めまして、勇し」
「違います」
……。
…………。
「はじ」
「違います。断じて」
さて、わざわざ過去の説明するのも疲れてきた。
話を一週間前へと遡らせてもらうとする。
◇
始めまして“義理妹萌”と申します。
ご覧のとおりふざけた名前ではありますが、自分にはこれといったペンネームというものを持っていないため「好きなこととか書いたらよくね?」と、いうことで自分の嗜好を名にさせていただきました。
読んですぐにわかったと思いますが、初心者です。
非常に拙い文で、更新も遅くなると思われますが、どうぞよろしくお願いします。
次回はもっと書こう……と決心しつつ、失礼します。