本作の時間は、アシュタロス戦のすぐ後ぐらいで考えております。
主人公は、我らが横島忠夫です。
俺は、彼のこと好きだなぁ。
(ホモい意味ではないっす、注意してくださいっす。ああっ信じてっす!)
ここは、東京都練馬にある俺のアパートの一室。
六畳一間で風呂なしの部屋である。
しかしながら、狭いながらも大切な俺の城なのだ。
今はまだ、外は薄暗い。
ふと目を覚ました俺は、布団にもぐりこんでまどろんでいた。
昨日の夜も寒くてたまらんかったが、
今朝もさみーなぁ。
うう、ここんところ美神さんが「仕事よ、仕事ーっ。金儲けよー!」
と張り切りまくっとるから、
こちとら身体のアチコチがボロボロやしなぁ。
アシュタロス戦の時は、ほんと仕事どころやなかったもんなぁ。
仕事の方はまた軌道にのってきたけれど、アルバイトの俺はしんどいわ。
あの人、俺をとことんコキつかうしな。
うう、眠い、だるい、しんどい。
まだ暗いし、もう少しは寝ていられるな。
うう、さむさむ。
俺が、ペラペラの掛け布団と毛布を自分に丸め込んで、
もう一眠りしようとした時、いきなり敷布団が引っこ抜かれた!
「起床ーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!!」
俺が寝ている敷布団が、光速で引っこ抜かれた反動で、ギュイーンと空中で4回転した後、
畳に落下。ドスッと後頭部を強打した。この後頭部着地は、かなりの高得点が予想される。予想されるんか!
今の俺は、新春かくし芸大会のマチャ○キのテーブルクロス引きの技のあと、倒れないワイングラスみたいにな感じになっているのか。
失敗したワイングラスのように割れなくて良かったよな、俺の頭。
俺の布団を引っこ抜いた相手は、まだ薄暗い部屋の蛍光灯を点け、畳の上でゴロゴロと悶絶する俺を下ろしながら言い放った。
「横島っ!貴様たるんどるぞ!戦士たるもの、いかなる場合でも、緊張感を持ってなければ
ならんのだ、肝に命じておけっ!」
俺が見上げると、そこには上下に黒のジャージを着たワルキューレがいた。
あいかわらず厳しい顔してんなー。
う、金色の瞳が俺をニラみ倒してるっ。
でも、めっちゃ美人さんなんだよなー、この人。
この切れ長の目に長いまつげ、小さめの唇もぞくぞくするっす。
しかもスタイルも抜群で、モデルとかやったら誰もかなわないんじゃないやろか。
美人のおねーさまは、大好きやわぁ。
ああ、俺はっ、俺はっ~。
俺の思考がハフンハフンしてふと我に返ると、そのワルキューレは、すぐさま俺が丸まっている毛布を引っ剥がそうとする。
「あ、こ、こらー!あんたなぁ、いきなり心臓に悪い起こし方すなーっ。まだ外は暗いし、寒いやろがっ!
あんたらは平気かもしれんが、俺は疲れとんのじゃー!寒いんじゃー!眠いんじゃー!」
必死に抵抗する俺だが、ワルキューレは平然としている。
「何をいう、これは貴様のためを思ってのことだ。規則正しい生活こそが、戦士たる勤めだぞ。
貴様も早く軍のやり方に慣れた方が良いぞ、分かったか?」
そういって、グーンと強引に俺の最後の砦、毛布をひっぱがす。
うぐぅぅわ、寒っ、寒いぞおいーっ。