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No.24230の一覧
[0] 舞HiME 後日譚[一兵卒](2010/11/11 22:49)
[1] 舞HiME 後日譚②[一兵卒](2010/11/14 21:32)
[2] 舞HiME 後日譚③[一兵卒](2010/12/07 22:50)
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[24230] 舞HiME 後日譚
Name: 一兵卒◆86bee364 ID:e2f64ede 次を表示する
Date: 2010/11/11 22:49
※舞HiME終了後の話です









かつて、チャイルドと呼ばれる異形の物を手にし
己の大切な人の力を、そして、その者の命をかけて戦った少女たち。
そんな彼女たちの戦い【蝕の祭り】を乗り越え、新しい学年にと進学する。

戦いは終わっても、彼女たちの生活は進んでいく。




舞-HiME 後日譚①結城奈緒編

~シスター奈緒の懺悔室~



私の名前は、結城奈緒。
赤毛の耳までかかる髪をしたそこそこの容姿を持っている女の子。
あの戦いの後、シスター紫子(真田紫子、かつてはチャイルドの力を持つHiMEの一人)の産休のため、アンドロイドである無表情お化けの深優・グリーアと生意気な子供、アリッサ・シアーズとともに、この風華学園にある教会に従事する羽目になっていた。

「それでは、結城奈緒、後はお任せします」
「はいはい、さっさと帰って子供をあやしてあげんなさい」

 さっさと帰れという口調で私がいってやれば、深優は目を細める。

「その言葉は、アリッサお嬢様を馬鹿にしているという風にとらえますが?」
「してない、してないから、早く帰んなさい」

 いちいち、あのアンドロイドは突っかかってきて面倒な奴だ。私はため息をつきながら、授業終了後のタイミングである16時から、18時までの時間を教会の懺悔室に閉じこもり、様々な迷える子羊……の相談を受け付けなくてはいけないという面倒な仕事がある。深優・グリーアは、物事を正確に、計算し、可能性をパーセンテージで現すということもあってか、紫子に感情をもう少し学んでから懺悔室担当にするということが決まり、結果、自分が、この面倒な仕事を引き受けることとなったのである。

 狭い部屋の中、イスに座り、誰かが来るのを待つ。
 しばらくすれば、誰かが部屋にと入ってくる。狭い仕切りがされているその部屋。向こう側にいるであろう迷える子羊に、私は話を切り出す。

「『迷える子羊……今日はどうなさいましたか』……簡潔に、言ってね」

 私は、向こう側にいる奴に淡々と答える。

『どうか、私の罪を聞いてください』

 その声は、どこか聞いたことがある。


『私、実は……彼がいて。それで、その……すごい好きなんです!好きなんですけど、最近、なんだか……物足りないっていうか。刺激が足りないっていうか。嫌いじゃないんです!好きなんですけど、なんていうか……もっとその人に触れたいというか、一緒にいたいって思っちゃって。彼の名前は、カズ君っていうんですけど』

「……」

『なんでなんでしょうか?日曜日とか、休みの日にデートをしているとき、手をつないだり……帰り際の駅の前でき、き……き、キスをしたりとかぁ……は、恥ずかしい!恥ずかしいんですけど、で、でも……そ、それだけじゃ、なんだか、足りなくて、胸が高鳴るんです』

「……(イライラ)」

『ドクンドクンっていっぱい音が鳴って、痛くて、苦しくて、カズ君のことを考えると、どうにもなくなっちゃうんです。キスとか、手をつないだりとか、そういうのだけじゃ、その胸の高鳴りが、止まらなくなっちゃってて……』

「……(イライライライラ)」

『こんなこと、カズ君に言ったら、きっとカズ君困っちゃうって思うんです。それに、私、こんなこといったら嫌われちゃうんじゃないかって、他の友達も、カズくんのことを知っているし、相談なんてなかなかできなくて、それで、それで……』

「……(イライライライライライライライラ)」

『「アカネちゃん、そんなに顔を赤くしてどうしたの?」って、この前聞かれちゃって、何も言えなかったんです。私、自分が何か変な病気にもかかっているんじゃないかって、一体どうしたらいいのか……』





「エッチすれば?」





『え?』

「だから、エッチすればいいじゃん」

『え?え……っち?』

「キスとか、手をつないでるだけじゃ、男は喜ばないよ。だから、そこはホテルに連れて行ってもらって、しっかりとやることやれば、満たされるよ。そんじゃ、それで」

『え!?そ、そ、そんなの……』

「っさいなぁ、こっちはあんたのノロケ話を聞くところじゃないんだよ!それに~~、そこまで固くなに、拒むなら、私がそのカズ君、寝とっちゃおうかなぁ~」

『や、やめてくだい!人権侵害です!!か、カズ君は、カズ君は……私が!』


 バタンと部屋から出ていき、走りさっていく音。

 日暮あかね……。

 延々とノロケ話を聞かされるのは勘弁してほしい……だいたいウブすぎる。あんな純粋な恋に恋しちゃっている!みたいな女は今の世の中、絶滅危惧種だろう。




 再び入ってくる次の迷える子羊。



『あの、俺っ!実は、ある女の子が好きで!』

「……」

『そ、その、あれ、あれなんだ……。向こうも俺にはある程度気があるらしいことは分かっているんだ、なんせ、俺に、の、ノー下着姿をさらけ出したことがあったぐらいだから。い、いや、それはミスだな。きっと事故だったんだなと思う!』

「……」

『と、とにかく、残り、後二年間でなんとかこう、つ、付き合うためには俺はどうしたらいいのか教えてほしい!』

「……お答えしましょう」

『おお!お願いできるか!?』


私は、少し間を開けて口を開ける。



「あんたが、一番恐ろしいものと感じるものを想像して。それを片手に握る薙刀で真っ二つにできる奴がいるとする。その相手を倒せるほどの度胸があるなら、頑張りなさい」



『は?』

「これは忠告、下手なことをしたら命がないわよ、本当に……命を失った私が言うのだから間違いないね」


 唸りながら、部屋を出ていく男……武田。

 だいたい、この手の話は多い、玖我なつきが好きだ~なんていう輩には、己の相手をしている奴がどれだけヘタレであるかをよく伝え、そしてそれでも引き下がらない奴には、彼女に好意を持つことにより、寿命を縮めるということを教えてやっている。事実だからだ。






『シスター、お金貸してほしいんだけど~~』
「生徒に金を借りに来るな!自称17歳のアホ教師!」

『奈緒ちゃん、今日の食事はなににする?』
「あ、あおい?えーと……カレーで」

『奈緒ちゃん、今度のカラオケ同好会の日程なんだけどさ』
「なんで、わざわざここに話に来るのよ!!」

『奈緒、ここで寝ていいか?』
「帰れ」





「あ~~~~!!まともな相談がこない!!」

 私は、部屋の中で愚痴りながら、壁にもたれかかる。むしろ私が相談を受けてほしいくらいの気分だ。どいつもこいつも、ここを何だとおもっているのだろうか。金をたかる杉浦碧、一緒の寮の部屋である先輩、瀬能あおい。カラオケ同好会、部長の鴇羽舞衣。そして美袋命……。


 コンコン……


『すいません……お話、聞いてもらってもいいですか?』
「どうぞ」


 私は面倒そうな声をだしながら、その相談者、迷える子羊の話に耳を傾ける。今度、あほな相談だったらこのまま、向こうに行って殴ってやろうかという気持ちで…。



『私、好きな人がいたんです』

「……」

『とっても好きなお兄ちゃん……じゃなくて、男の人で。大切で、何度もアタックしたんですけど……その人、好きな人がいて。ふられちゃったんです』

「……」

『でも、私……あきらめられないんです。でも、お兄ちゃんは、彼女がいるし。私がお兄ちゃんのことを想っていたとしても、それは決して叶わないこと。だけど……私、お兄ちゃんを見ると、どうしても、気持ちが高鳴って。こんな気持ち……私、きっとお兄ちゃんは迷惑に想うとおもうんです。私、どうしたらいいのかなって』

「なるほどね」


 私は少しの間をおいて、口を開ける。


「その相手に、自分の体を差しだせばいいのさ」

『え?』

「男なんて、所詮動物。そういう奴には、言ってもわからないんだから、行動でしめしてやらなくちゃ」

『そ、そんなことできないです!だって……』


 私はため息をつきながら、壁の向こう側の人物を想像しながら


「好きな奴って、そんな簡単にあきらめきれないから、好きなんでしょ?」

『……』


「だったらさ?やるだけやってみればいいじゃん。自分の気持ちが届くまで、いや、自分の気持ちが相手に受け取ってもらえるまで、必死に足掻けばいいじゃん。そうしたら、きっと、少しはいい結果がでてくるかもしれないよ」


『……わ、私頑張ってみます!』



 そういって部屋を出ていく女……宗像詩帆。

 私は、懺悔室の部屋の中で笑みを浮かべる。誰かのために夢中になること。それは、面倒なんだろうけど、すごく大変なこと……それはあの、蝕の祭りとかいう出来事でいやというほど思い知った。あの宗像詩帆は、少しばかり、臆病になっているだけ。


「ふぅ、そろそろ時間かな。今日も仕事した~~」


 私は背伸びをしながら部屋を出ていこうとした。そこで新しい懺悔のものが部屋にと入ってくる。私は内心舌打ちをしながら、イスにと座り直す。



「はい、迷える子羊さん。なんの相談?」

『実は……うちと仲良くなってくれへん子がいるんやけど、赤毛の可愛らしい子なんやけど』



 血の気が引く『音』がした。



「……いや、あきらめたほうがいいんじゃない?」

『もっとスキンシップがしたいんどすなぁ』

「いやいや、やめておいたほうがいいと思う!」

『やっぱり、うちから積極的にいったほうがええどすなぁ』

「人の話聞いてないでしょ!!」



 コンコン……。

 私の部屋の扉にするノックの音。



「え?」

『どうせなら、外で面と向かって相談、聞いてもらえへんやろうかぁ?シスター?』

「え、ちょ、ちょっと、あ、あの、か、神はそういうことは言ってなくて……あ、ど、ドア無理矢理開けようとするんじゃないわよ!藤乃!」

『うちは迷える子羊どすぇ?』



「だ、だから懺悔室はいやなのよぉ~~~~~~~~!!!!!!」













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