虚無の海に浮かぶ世界の一つ「エルスフィート」・・・
その両脇に存在している「神樹界」「魔樹界」・・・
この三界がいつどのようにできたのか誰も知らない・・・
ただ・・・
遥か昔、エルスフィートでは神族と魔族が争っていた・・・
人間たちは地上を追われ、地中深くで暮らし・・・
神族は西方より・・・
魔族は東方より・・・
神魔共に中央に存在す悠地の領土を獲得しようとした・・・
この争いは、そのあまりの残虐さから「神魔滅戦」と呼ばれた・・・
しかし、両者共に領土を獲得できず百年もの月日が流れ・・・
ある時、一柱の神族と一柱の魔族は共に行こうと話し合った・・・
結果、二柱の神魔はついに悠地に辿り着いた・・・
そして、交わらざるべき神族と魔族が手を取り合ったことにより・・・
天からの怒りをかい・・・
天より、「 」が悠地に降り注がれた・・・
その際の衝撃は、悠地と二柱の神魔は消滅させた・・・
それだけに止まらず、その余波で大半の神族と魔族も巻き込み・・・
神族は神樹界に・・・
魔族は魔樹界に・・・
それぞれ、生き残った者たちは引き返し・・・
また、人間たちも少なからずの被害を受けた・・・
「 」が何なのか、誰にも分からず・・・
その後、どうなったのかも分からない・・・
ただ・・・
神魔たちはエルスフィートからいなくなり・・・
人間たちは地上に戻って来れ・・・
村を作り、町を作った・・・
そして、一つの審国と四つの判国が出来た・・・
審国は大地の中央に、判国はその四方におかれた・・・
大地の中央に存在する審国のさらに中央には悠地があったとされるが・・・
神魔滅戦の終戦よりその地に立ち入ったものは誰もいない・・・
創世話「神魔滅戦」より抜粋
これより2千年、新たな物語が紡ぎ出される・・・
{プロローグ}
「 ・*****」
一本の木がある。十年二十年程しか生きた木ではなく、千年二千年は生きているであろう大樹である。
その大樹の周りには草が生えているだけで、他の木々は見当たらない。
いや、遥か遠く向こうに木々が見える。
おそらく、上空から見れば雄大な森林の中央だけ円状に何も存在しないように見れることだろう。
この地はまるで、天に愛されてかのように空気が澄んでおり、不浄なものは一切ないような清々しさを感じさせる。
耳を澄ませば聞こえてくるのは、風の吹く音、木々の触れ合う音ぐらいだろうか。
ザッ、ザッ
『音』がする。
誰かが歩いている『音』だ。
この地でこのような『音』が聞こえるはずがない。
ザッ、ザッ、ザッ
しかし、『音』は聞こえてくる。
『音』は草原にいきなり現れ、ただ真っ直ぐに大樹に近づいていく。
ザッ、ザッ、ザッ、ザッ、・・・・・・、ピタッ
手を伸ばせば大樹の幹に触れることが出来る位置までくると音は止まり、音の持ち主が姿を現した。
その姿は『人』だ。顔も性別も分からず、体格さえも分からない。
いや、分からないのではなくただ認識できないのであり、『人』だということだけは認識することが出来る。
スゥ~
『人』は左腕をゆっくりと持ち上げると、その指先が大樹の幹に触れた。
するとどうだろうか、大樹は触れられた所からまばゆい光を放った。
ついには、大樹全体が輝き出し安堵さえも感じさせた穏やかだった暗闇を切り裂いた。
・
・
・
・
どれほどの時がたっただろうか、大樹の夜を切り裂いたほどの光は消え去った。
そこにいるものは、人だけだった。
「やっと、やっとたどり着き終わらせられた。封印も破れ” ”は開放され、あと十数年だ。俺 は、二千年もまったのだ” ”よ 待っていろ!!」
人はそう言い放つと、ここに来た時のようにいつの間にか消え去っていた。
後に残るのは、いつも通りの風景だった。
「塞釆国・レニア北部・深影の森」
暗い闇、いつ獣や魔獣が出てもおかしくない。
木々は乱雑に並び、子供ならすっぽりと隠れてしまうほど草が覆い茂っている。
ガサッ、ガサッ
そんな所をかきわけて一人の男が森の奥へ奥へと進んでいく。
男は24、5歳ぐらいだろうか、街へ行けば女性がほっとかないぐらい顔は整っている。
左手にわ鞘に入れたままの剣、いやおそらく刀を持っている。
鞘にも柄にも装飾は特に無く、実用本位の造りである。
グゥガァ~~~~
魔獣が男の左側から飛び出してきた。
サッ
シッ
ドサッ
一瞬だった。
男はそちらに目も向けなかった。魔獣は男まで2mちょっとの所まできた瞬間その首を切断され、何をされたのか気づくことなく還された。
「ウシルか・・・、一体どうなっているんだ。こんな浅い所にいる魔獣ではないぞ」
と男はつぶやき森のさらに奥へと進んでいった。
魔獣-ウシル-はけして弱い魔獣ではない、それどころか上階位の魔獣であり『還す』ためには複数のチームが協力しなければならないほどである。
それを一刀のもとに切り伏せた男の腕はどれほどのものか分かるだろう。
・
・
・
・
あれから4時間ほど経っただろうか。
「ここか・・・」
男は森の最奥と思われる場所にいた。
ここまでにいったいどれほどの魔獣と戦ってきたのか、男の服は所々破け、そこからは血が流れ出ており服を赤黒く染めている。あの男がここまで傷ついている様子から恐ろしいほどの数だったのだろう。
それでも、男はここまで辿り着いた。
そして、
「な、何なんだこれは!?まさか・・・」
男は見つけた。全ての存在から愛されているような存在を・・・。
『それ』は見る者に母の両腕の中に抱きかかえられているような安心感を与える。
「赤ん坊・・・なのか?そんな、まさか!!ここに『深影の森』の最奥にどうして!?」
『それ』は赤ん坊だった。目を閉じているため瞳の色は分からないが頭髪は男と同じ色だった。
ウギャー、ウギャー
「ハッ!!」
赤ん坊は男の気配に気づいたのか、突然泣き始めた。
男はそれに気づき警戒しながら、しかし素早く近づいて赤ん坊を抱き上げた。
キャハハハハッ、キャハハハハッ
するとどうだろうか、赤ん坊は今までの泣いていたのがうそのように笑い出したではないか。
それと同時に今まで男の感じていた神聖な空気は無くなり、男は腕の中の小さな存在がとても大切に感じられるようになった。
「お前は・・・、よし!俺が育ててやる!!リンネもきっと喜んでくれるだろうからな」
男は赤ん坊の笑顔につられるように、うっすらとだが確かな笑顔を浮かべ
「そうだな、お前の名前は・・・」
と言いながら、『風』の精霊術法- SA-を使い森からきえさった。
(あとがき)
どうも、初投稿どころか初めて小説を書かせていただいたシディアです。
初めて尽くしで誤字脱字が多いかもしれませんが生暖かい目で見守っていてください。
もとは中2の英語の授業中に
「英語なんてできるか~!」
と思い先生に対する当て付けとして、配られたプリントの裏に書き出したのがこの小説の始まりです。
でも、これが思いのほかはまってしまい下手の横好き並みにだらだらし書いていたら高校入試のために
「ちゃんとしないと合格できないのでは・・・」
と気付き、いったんプリントのうらに小説を書くのを止めました。
そこからは必死で英語の勉強をし今では立派(?)な高校2年生となり机の引き出しを漁っていたら、出てくること出てくること
「よくこんなに書いていたな~」
と懐かしい思い出を読み直して、それに書き足したり直したりと四苦八苦し、まずその最初の部分だけ投稿させていただきました。
投稿したのはいいけれども、やっぱり次は大学入試がありますわけで
「この小説の続きが読みたい」
と思って下さったとてもありがたい方には申し訳ないのですが、受験勉強やタイピングの遅さなどの理由から2,3週間の投稿のつもりにしたいと思います。
では、最後にこれを読んで下さって本当にありがとうごさいました。