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No.22770の一覧
[0] 【完結】ハッピーエンドを目指して(とある科学の超電磁砲Xスマガ)[モブ](2011/05/01 21:29)
[1] プロローグ[モブ](2010/10/30 23:37)
[2] 01[モブ](2010/10/31 07:33)
[3] 02[モブ](2010/10/31 22:07)
[4] 03[モブ](2010/11/02 23:25)
[5] 04[モブ](2010/11/04 00:45)
[6] 05[モブ](2010/11/06 22:15)
[7] 06[モブ](2010/11/09 21:58)
[8] 07[モブ](2010/11/14 20:08)
[9] 08[モブ](2010/11/20 20:50)
[10] 09[モブ](2010/11/23 22:45)
[11] 10[モブ](2010/11/28 23:01)
[12] 11[モブ](2010/12/06 00:17)
[13] 12[モブ](2010/12/12 23:09)
[14] 13[モブ](2011/01/04 00:13)
[15] END[モブ](2011/02/20 23:23)
[16] Sister's and Mikoto Good ending[モブ](2011/02/22 22:29)
[17] 番外編 01[モブ](2011/04/30 19:35)
[18] 番外編 02[モブ](2011/05/01 21:29)
[19] 番外編 03[モブ](2011/11/23 22:09)
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[22770] 05
Name: モブ◆6d8124a1 ID:00d6c168 前を表示する / 次を表示する
Date: 2010/11/06 22:15



 最早慣れたといっても良いくらいの白い部屋。
 私はテレビの前で呆然としながらただ座っていた。


『…………うんこマン・レディ…………』


 いつもは人が死んでもニコニコ笑っていた神様(幼女)も心配そうな顔つきで私を見ていた。
 神様(幼女)はどこか泣き出しそうな顔をしていた。泣きたいのは私の方だっての。
ちょっと、なんて顔してんのよ神様(幼女)。私、また生き返っていいんだよね? もう行っていい?


『…………もちろん行ってもいいでち。でも、今のうんこマン・レディには無理でち』


…………無理? なんでよ? 自殺じゃだめだっての?


『そうじゃないでち。死に方は問わないと言ったでち。うんこマン・レディ。気がついてましゅか? 今自分の身体が動かないのを?』


 何をバカなことを。動くに決まってんじゃない……………アレ?
 私は気がつけば指一本動かせないでいた。ただ石像のように固まって座っているだけ。なんで? どうして?


『今のうんこマン・レディは生き返りたいという気持ちがつよくありまちぇん。限りなく弱いでち。きっと、初めて感じた死の恐怖の他に、前回の死に後悔や絶望があったからだと思うでち。自覚はありましゅか?』


 ――――お姉さま、お姉さま!!


 あんな切り裂くような叫び声をあげる黒子の声は初めて聞いた。
 私はよりにもよって自分を慕う後輩に、自分の最悪の姿を見せてしまったのだ。
 あの時の黒子の顔と、叫び声が、耳に、目に、脳に焼きついて離れない。


 ――――怖かった。
 生き返って黒子に会うのも、アイツに会うのも。どんな顔をして会えばいいかわからない。
 でも、生き返らないと。私はまだ何もできていない。妹も救えてないし、一方通行も倒していない。
 そして、その倒すべきはずの一方通行。あんな情報なんて見なければ良かった。ただ悪人として私の前に現れ、憎むべき敵としてただ存在して欲しかった。


 私は1万もの妹達を殺した一方通行が憎い。


 ――――『俺に挑もうと思うことすら許さねえ絶対的なチカラ『レベル6』が欲しーンだよ』


 許さない。絶対に許せない。そんな独りよがりな理由で、あの子達が死んで良いはずないんだ。アイツはクズ。ただの敵。それでいい。
 なのに、なのに………………………………。


 ――――『彼は人を傷つけるのを恐れている』


 どうして私はアイツの気持ちを理解できてしまうのか?
 ダレも自分の側にいてくれない。ダレも自分を理解なんてしてくれない。ダレも素の自分を受け入れてはくれない。
 こんなこと、自分の思い込みだってことくらい分かってる。私には黒子を始めとした友人が、支えてくれる人が何人もいる。
 でも、ダメなのだ。受け入れて欲しい。自分を。素の自分を。ありのままの自分を。


 一方通行にはそんな自分を見てくれる相手はいない。
 ダレもが彼を恐れる。『最強』としての一方通行。学園都市の誰もが彼を見ている。しかし、学園都市の誰一人としてカレを見ていない。
 矛盾。そんな彼の気持ちを、私は理解してしまった。
 

『死は重い。例えうんこマン・レディのように何度も生き返れたとしても、それでも死は重い。たった一つしかないものというだけではない。一人の死は、たくさんの人の人生をも左右する。だから死は重い。だからキミにもう一度問おう』


 気がつけば画面は犬神様に変わっていた。
 犬神様も、真面目な表情で言う。いや、表情はいつもと変わらないが真面目な声で言う。


『キミはこの『死』という重さを乗り越えて、それでもまた生き返りたいと願うかね?』


 …………なぜだか、この前と違って、私はすぐに頷くことはできなかった。
 指一本動かせない。声を上げることもできなくなった。その代わりに、私の頬を一筋の涙が零れ落ちた。









* * * * * * * * * * * *




 どのくらいの時間私はここで座っていただろうか。
 私はまだ動けないでいた。目の先には生き返るための扉。しかし今回はその距離は果てしない。
 ダメだ。生き返らないといけない。私は絶対に、生き返らないといけない。でないと、9982号も、他の妹達も……。


『使命感や義務感だけじゃあ絶対に生き返れないぜ』


 聞き覚えのあるその言葉に、私は弾けるように顔を上げた。
 この声…………このムカツク声……………まさか!!?


『よ。おまえが新しいうんこマンなんだってな。ちょっと変り種だけど、今まで頑張ってたらしいな。でも大丈夫。誰だってつまずくし、転んだりもする。大事なのは、もう一回立てるかどうかなんだ』


 …………何やらいきなり説教かましてきた。
 あのバカの声に似てると思ったが、考えてみたらこんなところにいる訳もない。画面に映っていたのはクセ毛が特徴のただの男子高生だった。


『悪かったな、来るのに時間がかかって。伝言聞いたか? こっちの協力もなんとか済んだ。まあどうなるか分からないけど…………種はまいた。あとはおまえ次第だ』


 そしていきなり意味のわからないことを言ってきた。
 なんなのよ、アンタッ!! 何をそんなに偉そうにしてんのよ!?


『俺か? 俺は……そうだな。うんこマンだ。つまり、おまえの先輩。でもって、年も上。だから偉いってことに…………ならないか?』


 ならないわよ!! 大体うんこマンなんて変な名前のヤツ尊敬できないでしょーが!! 全っ然偉い名前じゃないし。むしろ侮辱言葉?


『…………なんで俺にだけはそんなに口が悪いんですかね? 俺なんかしたか?』


 ……う!! いや、してないけど……なんかつい言葉が……ごめんなさい。


『まあいいけどな。ところで、だ。え~と、御坂。おまえは何のために生き返る?』


 何のためって……。
 ただ私は、妹達が一方通行にただ殺されるのが許せなくて、だからそれを止めたくて。
 あの子達に、生きてるともっと良いことがあるって教えてあげたくて。


『……そっか。優しいんだな、おまえ。じゃあ何で今そこに座ってるんだ?』


 座ってたくなんてない!! 今すぐにでも生き返りたい!! あの子達を助けたい!!
 なのに……なのに……身体が動いてくれないのよ!!


『……違うんじゃないか? 今までは生き返れた。でも、今回は生き返ることを拒否している。なぜか? 御坂、おまえ、次生き返ったら何する気だ?』


 何するって……まずはあの木原数多ってやつの研究所調べて一方通行の能力を詳しく知る。それで時間があれば妹達の研究所も見てみたい。対策方法あるかもしれないし。


『……おまえ凄いな。俺なんて、生き返るとき何も考えずに生き返ってたけどな。そんな綿密に計画なんて練ったキオクがない』
『それはうんこマンが頭悪いからでち!!』


 一瞬パチッ、と映像が変わり神様(幼女)が映ったが、すぐにまたチャンネルが変わり再びうんこマンが画面に映る。


『正直、俺はおまえが生き返るのを拒否している理由は死ぬのが怖いからだと思う。生き返らないと死なないからな。まあ、当たり前なんだけど』


 一瞬ドキリと心臓が震えた。
 死ぬのが怖い? そんなことはない。だって、私はすでに何回も死んでいるんだから。今更そんなことは……ない。


『そうか? 初めてじゃないのか? ……ちゃんと死を明確に意識したのは』


 ……………………………………。


『まあ俺も自慢じゃないけど……何回も死んだ。気がつけば死んだ時もあれば自殺したこともある。化け物に意識を乗っ取られて味方に撃たれたこともある。だからおまえの気持ちは分かる。もう一度訊くぜ、御坂』


 ……………ヤメテ。キカナイデ。


『死ぬのが…………怖いか?』


 …………ソレヲミトメタラ私、サイテイダカラ。











 単純な理由だった。
 次に生き返れば黒子もアイツも私が死んだことなんて覚えていない。
 私は多少気まずいだろうけども、普通に接すればいいんだ。いずれ慣れる。


 一方通行のこともそう。確かにアイツを一方的に敵視できなくなりつつはある。
 でも、次に生き返るのと一方通行を敵視するのはまた別の話。次生き返ったら、私は戦わないで情報収集をしようと思っているのだから。


 つまり、私が今生き返れない理由。それは簡単。
 妹達を救おうとする気持ちよりも、ただまた死ぬことが怖いという感情のほうが強いというだけである。


 身体の自由が利かなくなり、自分が闇に解けそのまま消えてなくなってしまうような感覚。
 ただ怖くて、震えが止まらなくて、そんな感覚。それが私にはたまらなく恐ろしかった。


「違う!! ……私は! ……私は!!」


 認めたくなんてなかった。救いたいと意気込んで、ヒーローが演じるハッピーエンドを軽く見て。
 なのに、初めて感じた死という実感は、簡単に私の心を折ってしまった。そんな感情なんて、そんな弱さなんて、認めたくなんてなかった。


「あの子達の……タメに……………」


 気がつけば、私は泣いていた。
 弱弱しくも泣く私。まるでヒーローでなく助けてくれる王子様を待ち望むお姫様。そんなポジションを私は望んでいるのだろうか?
 分からない。ただ、痛いのはイヤ。怖いのはイヤ。暗いのはイヤ。なんで、私はこんなに弱くなってしまったんだろうか?


『そんなの誰だって嫌に決まってるだろ? ヒーローが望んで苦しみたいなんて思うと思うか? ヒーローはそんなに変態じゃないぜ?』


 …………でも、でも、私にはできない。
 やっぱり怖い。一回でも認めてしまったらもう立ち上がることもできない。
 怖い、コワイ。嫌だ……もう、あんな苦しい思いなんてしたくない!! 私はヒーローなんかじゃない!!


『……俺だってヒーローなんかじゃない。ただ、俺はさ……護りたい人がいたんだ。幸せになってもらいたい人がさ……。そのためなら何度だって立ち上がる。これまでも……これからも!!』


 そう言い切った彼と目が合った瞬間、私の中にキオクを流れてきた。


 ある日、空から落ちてきた何の力もない普通の男。
 エトワールと呼ばれる魔女。そんな彼と魔女が描く物語。
 ある時は男は悪魔の力を振るい、ある時は魔女になって。
 またある時は皆と力を合わせゾディアックと呼ばれる絶対的な力を持つ悪魔と戦う。
 そんな戦いの中、彼は何度も死んだ。それでも彼は諦めなかった。
 歯を食いしばり、足を大地に踏みしめて。その両の足で踏み出していった。


 震えて動けない日もあった。
 絶望の果てに、自らの命を絶ち続ける日もあった。
 それでも彼は走り抜けた。ただ、護りたい人がために。
 私の……私の護りたい人はダレだ?


『気がついてまちか? うんこマン・レディ。さっきから普通に話せているのを』


 ……あ、そういえば声が出る。あれ、手も動く。足も動く!!


『やっぱうんこマンと話してもらったのは正解でちた。やっぱりうんこマンの言葉は凄いでち。運命すらも変えるでち!!』


 動くようになった足は、鉛のように重たかった。
 一歩一歩に苦痛が付きまとう。まるで、私を進ませないように重さを増す。


『運命を変えるのは俺じゃない。うんこマン・レディ。おまえだよ。おまえの心が、運命を変えるんだ』


 顔を上げる。
 扉はまだ、遥か向こう。それでも私は一歩づつ歩みを進めた。


 ――――お姉様からのプレゼント……………これが嬉しいという感情なのでしょう。


 本当にバカね。あんな安物で子供向けのバッジ。ちょっと嫌がってたくせに。


 ――――ミサカはボタン一つで生み出せる存在なのです。


 そう。私のせいで。私がDNAマップなんて簡単に提供したせいで。


 私の何倍も妹達は死んでいる。
 もっと酷い殺され方もあっただろう。苦しかっただろう。痛かっただろう。
 恨まれても仕方なかった。でも、あの子は私をお姉様と呼んだ。


 一緒にアイスを食べた。一緒にネコを助けた。一緒にゴハンを食べた。
 こんな私と、一緒にいてくれた。


「…………ゴメン、情けない姉で。本当に……ゴメン」


 流れ出る涙なんていらない。怖いなら勝手に流れればいい。それでも私は止まらない。
 震える足も、手も、脳も。生き返るのを拒否しても、私は行く。
 ガチガチと震える歯が音を鳴らす。うるさい、ジャマしないで。私を行かせて。


 重い足取りで、一歩一歩私は進む。どのくらい時間が経ったかなんて分からない。
 それでも私は歩く。こんなダメな姉を慕う、妹を助けるために。


『御坂、忘れるな!! 味方はたくさんいる!! ここにいるみんながキミを応援している!! だから……頑張れ!!』


 アイツの声が聞こえる。いや、あの男子高生の声だと思うんだけど、でもなんかアイツの声みたいで何か笑える。


 亀のような歩みで、私は扉の前にたどり着く。
 そして私はそのまま、躊躇もせずに扉の中に飛び込んだ。


 ――――ただ、ハッピーエンドを目指して。











 続く




 あとがき


 おお、感想が増えてきて嬉しい限りです。ありがとうございます。
 書いてる自分自身も「美琴頑張れ!!」って言いたくなります。

 
 あ、スマガの内容をダイジェスト以下の短い文章で書きましたが、スマガを知らなければ当然分からないものになっていると思います。
 ので、もし分からないという意見が多ければ外伝てきなものでも書こうかな、なんて思ったりもしています。

 それよかはよ一方倒せやと思う人もいると思う人。多分まだ戦いません。まだしばらく。

 と言う訳で、また次回もよろしくです。





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