宇宙世紀0078年2月。開戦の一年前である。
本来ならこの年、ミノフスキー博士が連邦への亡命を企てて失敗するのだが、この歴史ではそんな事はなく、ミノフスキー博士が無事、連邦(というか、フォン・ブラウン市のアナハイム社へ)に亡命しました。
キシリア機関をいじめすぎたおかげで、どうやらキシリア機関、亡命計画を入手するのが遅れてしまったようで、月で起こるはずだったシャア(ジオンの軍籍簿にはこの名前で登録されているので以後、この名前で)と黒い三連星VS連邦のプロトガンキャノン隊との戦闘は起こっていません。けれど、連邦に入っているシトレ大将からの連絡によると、ア・バオア・クー宙域でのMS-04の試験飛行の映像だけではなく、様々な映像データ(グフまであった)が、やっぱり諜報部によって漏れているとの事。バランスを取るのが難しくなってくる可能性が出てきました。
ジオンの外交政策はマーズィムの目玉である火星のテラフォーミングが、第一段階の太陽光反射ミラーの設営および、技術者の居住コロニー設置工事に入った事でなぜか安定化しています。どうやら、ジオニズムはともかくコントリズムの提唱国として、貴重な無重力工業製品の産出サイドとしてジオンの立場が地球圏の中で安定化して来た事によるものらしく、完全に連邦よりなサイド2ハッテとはまだ険悪ですが、それ以外のサイドとは(特に歴史どおりサイド6とは)友好関係が生まれてきました。
これを受けてギレン閣下は優生人類生存説の発表を控えてくれました。来るべき戦争においての兵員供給源として、友好的なサイドからの義勇兵を受け入れる準備を命令しています。おかげで、それら義勇兵の訓練を担当する事になったデラーズ大佐の親衛第二艦隊はおおわらわです。
かくいう私はといいますと、年齢が20になり、MSの操縦もベテラン・パイロット並にこなせるようになった事で、ギレン親衛隊のMS部隊の隊長を拝命しました。ギレン閣下いわく、「前線に出る事は無いが、新型MSの戦力化を優先して行え」との事でした。
目前に迫った一年戦争を前にしたジオン公国軍の戦力は、史実と比べて後方戦力が充実化してはいますが、主力艦艇であるグワジン、ザンジバル、ムサイ、チベなどの各艦はおおよそ史実どおりの戦力です。これは、戦力の拡充を行えなかったというよりも、これらの艦艇を格納していたダーク・コロニーの許容量の問題でした。
けれど、これらの戦闘艦艇を支援する輸送船舶の方はかなり層が厚くなっています。一年戦争時、これらの支援艦艇は合計208隻、パプワ級が80隻ほど、パゾク級が100隻ほど、他がヨーツンヘイムに代表される貨客船改装型でしたが、これにくわえて箱型輸送船(準コロンブス級)が50隻ほど加わっています。
MSの方は、MS-04が予定通りツィマッド社のEMS-04ヅダとのトライアルに勝利しました。改良発展型のMS-05、ザクⅠが公国軍制式MSとして生産されていましたが、昨年から改良型のザクⅡへと生産の主力が変更されています。
さて、ジオン軍のMS生産が開始された事で、私たちの勢力もそろそろ本格的な戦争参加準備を整えるべく、戦力の整備を開始しています。親衛隊第4大隊が私、トール・ガラハウ中佐の率いる部隊ですが、ギレン閣下の言うとおり、この部隊は完全に新型MSの試験運用部隊として用いる事にしました。
具体的には第一中隊にプロトタイプグフ、プロトタイプドムを配備。コロニー内に設営した地球環境そのままの演習場で実験を行い、ここでの実験結果はジオニック、ツィマッド両社にフィードバックされます。特にペイロードが多く発展の余地があるドムは、宇宙空間運用型(リック・ドム)が既に試験段階です。残り二個中隊ではザクⅡの武装強化案を現在進めています。
第06話
あまり、技術的な発展を無視したMS投入をして戦争を混乱させたくない、というのが本音です。しかし、目の前に広がる『N1』地下の開発ブロックでは、現在の技術段階を考えると恐ろしい形の部隊が出来つつあります。
「中佐!」
声をかけてきたのはアサギ・コードウェル少尉。既にギレン閣下から「親衛隊の第4大隊とお前の私兵(PMCガラハウ社)は好きにして良い」、というお墨付きも戴いていますし、連邦軍の作戦本部長にまで昇進したシトレ大将閣下からは、第17独立部隊という名前で軍籍を頂きました。混乱するので、両軍共に階級は同じと言い渡してあります。
「どうしました?アサギさん」
「プラズマ・リアクターの出力向上に成功しました!これで、ゲシュペンストシリーズはすべて再現可能です!ご機嫌に動いてくれるMSですよ!」
MSではなくPTなんですがね。こちらもうれしくなってくるくらい、明るい声。やっぱりこのアストレイ三人娘には癒される気持ちがします。なでなでもふもふするとセクハラですが。技術者兼パイロットで、しかもそんなレアな組み合わせを持つ人が三人いるのは、正直とても有難い。この3人に扱えるMSということは、当然、訓練次第でオールドタイプも戦果を挙げられるMSということになります。開発に際しても、視点の持ち方がそれぞれ異なりますから問題点の洗い出しも早い。三人寄れば文殊の知恵、とは良く言ったものです。
真面目な話。ジオニズム最大の欠陥と私が考えているニュータイプの特別視を排除するためには、ニュータイプをオールドタイプが打ち破る必要がある、と思っています。確かに人の革新というものは非常に魅力的な考え方ですが、それは内面や思想の段階で成されるべきで、決して敵MSの撃墜で証明されてはならないからです。それでは、ニュータイプに対する認識は、カーディアス・ビストの言うとおり、単なる撃墜王でしかありません。
かといって、ニュータイプを打ち破ったのが別のニュータイプや強化人間、果てはデザインベイビー・コーディネイター、別の生き物イノベイド、被爆者イノベイターではもっとたまりません。先天的にそうなるのは論外ですし、後天的にそうなるのは改造人間と変わりません。「特殊な力を持っている者」を否定するためには、「持ってない者」がやるしかないのです。とかなんとか考えたところで、結局のところ人外設定なんて付け加えるのがむかついていただけだったと思いなおし、反省しました。ちくしょう。チートならチートと言い切ったほうがすっきりするのに。
ああ、だからみんなGガンダムは好きなんだ。
さてそんなわけで、誰にでも汎用可能なもの―――技術で、しかも人体に手をくわえないで行う制限を自分に課してみました。これも縛りプレイ?まぁ、それはさておき。
まず機体の高性能化が必要になるわけですが、単純にMSでそれをやろうとなると技術的に模倣されかねませんし、鹵獲された場合、ある程度の道筋をつけてしまうことになります。ある程度の道筋をMSでつけてしまえば、最悪、一年戦争はともかく、グリプスやネオジオン抗争での流れが読めなくなります。気づいたらティターンズがジェガン使い、エゥーゴがガンイージ、ネオ・ジオンがバタラだとぅ!?なんて目も当てられません。
となると、MSとは別系統の技術でそれを実現する必要があるため、私が手を出したのがPT、パーソナルトルーパーでした。
ある程度までMSと同じ技術(エンジン周りが核融合炉)であるものの、介入を行い、特にニュータイプ同士の戦闘に割り込むとなると、MSとは隔絶した性能、別個の開発経路が必要になります。これをあくまでMSという枠内でやろうとすれば、最低限、スモークラスの機体を投入する必要がありますが、縮退炉なんて渡せません。
ということで、私たちの部隊―――月面に本拠地がありますのでルナ・ジェネレーションズ(略称LG)と名づけてみました。液化ガスかよ、とか言う突っ込みは無しの方向で―――は、PTを運用することとしました。ゲシュペンストでも、運用環境の広さや取りまわし、それに「究極キック」が可能な運動・装甲などの性能を考えれば、グリプス戦あたりまで活躍できると考えています。
ただ、顔がジム系統なので連邦側での運用しか出来ませんが……ジオン側でやるときは如何しよう?
そのため、アサギさんの報告で次にやる事はジオン側で介入する際に用いるPTの開発、ということになりました。あ、ジュリさん?なんでしょう。
「中佐、宜しいですか?連邦のヤン・ウェンリー大佐がいらっしゃいましたが……」
「あ、すいません。時間ですね」
忙しくなってきました。ちなみに、彼女ら三人を最初に呼んだ動機の一つが、眼鏡っ子好きなのはここだけの秘密です。考えてみたら眼鏡キャラって使える人多くないか。うん、参考にしよう。
「すいません、遅れました」
「いや、好きにさせてもらっています」
副官のグリーンヒル中尉と共に、紅茶を楽しんでいたらしい魔術師が言った。グリーンヒル中尉の表情を見るに、どうやら、お邪魔をしてしまったらしい。
「こちらの工廠からのサラミス級の受け取りがそろそろ始まりますので、それにあわせてきましたが、どうしました?」
「いえ、連邦軍が考えるジオン軍の迎撃作戦がどうなっているかを確認したかったのです。さすがに連邦の目もありますので、シトレ閣下との電話だけではどうにも行きませんので」
なるほど、と魔術師はうなずいた。
「現在、地球のジャブロー工廠などで建造・格納されているサラミス、マゼラン両級には90mm対空砲の増設工事が始まっていますよ。連邦軍の頭の固い人たちも、既にある戦訓を使う分には文句が無いようですし」
「じゃあ、MSの認識も?」
「ええ、ゴップ大将でしたら、専門は軍政や兵站ですので難しかったと思いますが、シトレ閣下の音頭とりなので、ビュコック中将から『占領の出来る飛行機』やら『歩兵+戦闘機』なんて言葉を出してもらいました。一部パトロール艦隊ではコンバット・ボックス陣形の訓練も始まっていますから、被害は抑えられると思いますが、レーダーが使用不能なのはやはり、まずいですね。ジオンの状況は如何でしょう」
私はうなずいて、親衛隊士官として知る情報を開陳した。
「公国軍のムサイですが、オプション装備として艦体後方のスペースに、対空砲付のMSの追加搭載用カーゴが増設できるようになっています。可動式の90mm対空砲が両舷12基、MSの搭載量は8機増えます。MSの生産量自体は来年までに月産400機程度にまで増えるでしょうし、極冠都市連合は占領を避けるために部品単位、もしくは政治的にまずければ完品で大体月に50-100機は供出させられると思います。グラナダが占領下に置かれれば、数はやはり増えます」
魔術師はうなずいた。
「難しいですね。コロニー落とし、仕掛けますか?」
「恐らく。サイド2自治政府の外交態度が改まらない限りは歴史どおりに行われると思います。これについては如何し様もありませんでした。せめて、サイド1、4、5が最初の攻撃目標から外されたことと、これら3サイドの自治政府が中立宣言を出しますので、戦域と人的被害が制限できるのは有難いところです」
「サイド6はどうでしょう。サイド5は連邦側とジオン側に真っ二つに分かれていますが」
「正直、ルウム戦役は歴史どおり起こると思います。シトレ閣下が第一軌道艦隊の増強をしましたし、新型砲艦の配備を進めましたから、ジャブローから打ち上げられる艦艇と合わせれば、ギリギリで阻止、もしくは一部構造体の落下になると思います。落下場所が問題ですが……。ただ、サイド建設の際に、コロニー8基単位で小行政区をつくるようにさせましたから、最悪、十数基ほどの損害でどうにかなると思っています。サイド6は?」
ええと、と考えるそぶりを見せ、数秒逡巡したのちに魔術師は困ったようにフレデリカを見た。ため息と共にフレデリカが報告を開始する。
「ランク政権は当初の予定通り、もし開戦するなら開戦と同時に中立を宣言する旨、連邦に通達がありました。恐らくジオン側にも」
「ええ、来ています」
やはり、サイド2に対する宣伝工作を強める必要があるな。小行政区ごとに仕掛けていって、首都島行政区を孤立させるような形に持っていけば被害が抑えられる可能性がある。その後いくつか確認事項をチェックした後、ヤン大佐は予定通り、『Nシスターズ』を離れました。
「坊ちゃん!」
魔術師との話し合いから部屋を出ると、けたたましい野太い声が私を呼んだ。デトローフ・コッセル中尉だ。
「中尉……流石にこの年で坊ちゃんは……」
「あ、すいやせん坊ちゃん」
謝るが、直っていない。
「どうしました?」
「いえ、艦隊の奴らを代表してお礼を言ってこいといわれやして。ほら、新型の」
私はああ、とうなずいた。PMCガラハウ社は先月、正式にジオン軍へと組み入れられ、第二艦隊のデラーズ大佐の下で独立部隊となっている。編成はザンジバル級「マレーネ・ディートリッヒ」およびムサイ級3。PMC出身者たちは「ジオン海兵隊」という便宜的な名前を与えられているが、やはり傭兵上がりだけあって礼儀だとかには疎い。そこがデラーズ大佐はともかくとしても、その下の幕僚たちと仲が悪い結果となっている。
扱いに困ったらしいデラーズ大佐が相談を持ちかけてきたので、独立部隊編成にして分けて運用する事を提案してみた。特に、戦争が始まれば扱いに苦慮するだろう月面自治都市群の駐留・警備の戦力として用い、私の第4大隊も使わせてもらうことを話すと喜んでくれた。よほど困っていたのだろう。けど大佐、それってこっちも望むところなんですよ。
表情は硬いし厳格であるが、それ以外のところではかなりデラーズ大佐は人気がある。ジオン軍創設以前、ムンゾ自治共和国警備隊以来の軍人で、民兵たちをまとめてきた手腕は確かだ。ギレン閣下に対する狂信ぶりは流石にこまるが、それだけが欠点なら、所詮民兵上がりのジオン軍では出色の、軍人らしい軍人と言える。
「私の第4大隊も居候させてもらいます。サイド3に戻り次第、ムサイにはカーゴ連結作業に入ってもらいますのでよろしく御願いします」
ムサイ級の欠点と考えている対空砲皆無という状況を変えるため、艦体後部、両舷のエンジンの間。Ms出撃ハッチの下のスペースに、対空砲およびMS格納庫となるカーゴを設計してみました。これで、MSが4機しか搭載できず、対空砲の無さを補おうと考えたのです。長距離航行に備えた推進剤タンクが格納スペースと選択できますので、ドズル閣下からは喜ばれました。
「わかりやした!シーマ様も喜びます!」
そう、この決定を下したときのシーマ姉さんのあの勝ち誇った顔と来たら!テキサス・コロニーからキシリア機関相手に三合会と交代でサイド3に戻ったソフィー姉さんのやることが今から怖い。髪を切り落としてもろにアフガン時代演出していらっしゃるから相手が悲惨極まりない。姉さん、やりすぎてジオンの防諜までどうにかしないでください。まだキシリアさんには舞台があるんですから。
自室に戻った私のところに、地球に派遣した部隊からの報告が入っていた。
「トーニェィ、確保したよ。結構暴れてくれたけどさ」
モニターに映るのは遊撃隊の面々。そしてそれを率いるバラライカ女史だ。
「ソフィーヤ・ガラハウ少佐。どうでしたか?」
「ジオンに戻る事は同意した。ビデオは見せたけれど、反応は薄いね。元々父親に対しちゃ嫌ってるらしい……あんなビデオ見せて効果あるのかい?」
そうだった。この時点でのシャアはララァとあったとはいえ、まだニュータイプに対する認識が固まっていない。父親の人品性格をともかくとして、思想の方を理想化しているから、人品性格疑わせるのは却って逆効果だったかもしれないな。本物のシャアを殺したことなどなんとも思っていないし。
アレか、グリプス戦役の時のシャアの考え方は、ララァ、ナタリー、ハマーンと続けざまに女の子をノックアウトして言った経験の賜物とか言う気か。なんて迷惑な能力。女食って能力上げるとかどこの鬼畜王だよ。しかし、これまでの経緯を考えるとあの男が本当の意味で変わるためには、妊娠していたナタリー中尉の死が必要と言うことになる。
「……仕方ありませんね。効果あるかと思ったんですけど。その様子だと、私たちの勢力に関する情報を与えただけ失敗だったかもしれません。申し訳ありません」
ナタリー云々はともかく、流石に原作の中でも重要キャラ。そうそうこちらの思惑通りには動いてくれないか。こりゃ、下手に原作の流れに手を出すこと考えるよりは、原作キャラとのかかわりが低い事件を中心に介入していって、介入せざるを得ない事件だけに限定していった方が、主目的の人口減抑制にはいいかもしれない。なんのかんのいって、シャアもブリティッシュ作戦やルウム戦役では虐殺をしていないわけだし。
それに、アストライアの死がザビ家への憎悪の引き金になった、じゃあアストライアを助けて変わるかと言えば、ジオンの後継者を以て任じる彼の性格からすると、そもそも自分たちが身分を変え、当然受けるべき処遇から外されている時点で変わりようが無いのかもしれない。下手に才能あって頭張れる分、本当の意味で泥啜った経験が無いと。
……うわぁ。困った。こちらの体制整うまで、下手に関わるべきじゃないな。
「ありがとうございました。ソフィー姉さん。帰還してください。あ、インド人の少女はシャアさんと一緒ですか?」
「みたいだね。今、うちの奴らが宇宙港まで警備してる」
「了解しました。下手な監視は見破られますから、別途こちらで用意します。ご苦労様でした」
色々様々な勢力が、これから始まる戦争で最大限の利益を得ようと蠢く中。果たして自分の取った行動が利益をもたらすものかを念じつつ―――未来を知ってい介入できるからとはいえ、その介入が自分の思うような結果をもたらすと決して言えないところがもどかしいですが―――
宇宙世紀0079年1月3日。
「父上、本日7時20分を以て、我がジオン軍は地球連邦政府に対して宣戦を布告いたします。既にドズル指揮下の艦隊は、攻撃を仕掛ける手はずを整えております」
かつて、アニメで何度も聞いた事があるセリフ。実際に聞くとやはり違う。ただ、聞いた事があるためか、事前に考えていたほど緊張する事は無かった。隣に立つセシリア・アイリーン秘書官長が涼しい顔をしているのが不思議だった。
ギレンの野望でのムービーどおりのセリフが延々と続く中、色々と変更点が出ていることに胸をなでおろす。
グラナダを占領したキシリアは、占領軍を残したままサイド2首都行政区を確保。確保したコロニーの移送準備を進める。サイド3、月近辺のパトロール艦隊を撃滅したドズル艦隊はサイド2でキシリア艦隊と合流。連邦軍の反撃に備える。
既にサイド1、4、5、6からは中立を宣言する旨が届き、連邦軍の行動が許容範囲内であればこちらから攻撃を仕掛ける事はない。宇宙での優位が確保できた段階で、自治政府と交渉を開始してこちら側に引き込む。
こうするのが一番良い、というところまで準備を完了して尚、この言葉がギレンから出るまで安心できなかった。まったく、不機嫌で無口な冷たい独裁者と言うものは本当に恐ろしい。常識が通用しない可能性もあるし、原作で無慈悲に虐殺をしているのだからなおさらだ。
デギン公王は提出された作戦案に了承を与えた。
「地球連邦政府ならびに、地球に住むすべての者たちに告げる」
宣戦布告演説が、始まった。