UC0079年12月24日。史実より一週間早いア・バオア・クーでの決戦が始まった。
午前8時、
21日の22時、サイド3へ向かうレビル将軍の第一連合艦隊を分けようとしていたときに起こったソーラ・レイの照射は、サイド3を目前に降伏交渉に赴いたデギン公王とレビル将軍の会談中、待機していた第一軌道艦隊を襲った。第一軌道艦隊と第一連合艦隊の間をすり抜けたソーラ・レイの照射は両艦隊に甚大な損害を与え、この攻撃によって戦艦16、巡洋艦67隻他多数を失い、満載2600機を数えたMSも400を失う大損害となった。
しかし、レビル将軍はすばやく艦隊の再編成を命令。デギン公王の降伏の申し出に応じると、公王を随伴してのサイド3進駐を決定。次席指揮官である第一軌道艦隊のビュコック大将に、抗戦派であるギレンを降伏させるべく、再編成の後にア・バオア・クーへ向かうように命令した。
照射による混乱はことの他大きく、サイド3でデギン派のロートレック少将率いる本国防衛師団がソーラ・レイの制圧を行ったことともあり時間の余裕が出来たため、再編成に時間を割き23日夜、第一軌道艦隊は、第7艦隊および第5艦隊を伴ってア・バオア・クーへの進路をとった。
24日朝8時、ア・バオア・クー近海に到達した先鋒部隊に向かって無人の防御衛星が攻撃を開始。これに過反応したコリニー提督指揮下の第7艦隊が突出して戦端を開き、ここにア・バオア・クー攻略戦が開始された。
「我が忠勇たるジオン勇士達よ。今や地球連邦艦隊の半数が我がソーラ・レイによって宇宙に消えた!この輝きこそ我らジオンの正義の証である!決定的打撃を受けた地球連邦軍にいかほどの戦力が残っていようと、それはすでに形骸である。あえて言おう!カスであると!」
ギレンの演説が戦闘開始を控えたア・バオア・クーに響く。ギレンは既にデギン公王とレビルの接触を情報として受け取っており、また本国防衛師団のクーデター、および首都防衛大隊によるズム・シティでの市街戦の情報を得ていたがこれを黙殺していた。ことここにいたっては、勝利して余勢を駆り、サイド3を再制圧するしかないと判断していたからだ。演説は続く。
「それら軟弱の集団がこのア・バオア・クーを抜くことはできないと私は断言する。人類は我ら選ばれた優良種たるジオン国国民に管理運営されてはじめて永久に生き延びることができる!これ以上戦いつづけては人類そのものの危機である。地球連邦の無能なる者どもに思い知らせてやらねばならん!今こそ人類は明日の未来に向かって立たねばならぬ時であると!ジーク・ジオン!」
要塞全域を揺るがすジーク・ジオンの連呼が響き渡る中、予想外の展開にギレンは内心、焦りを感じていた。ズム・シティの反動勢力を叩き潰すため、総帥府にレギンレイヴ計画を持ち出させたのは彼自身だが、その推移は予想を遥かに超えて、本国師団の反乱にまで発展している。
……ガラハウめ、裏切ったか?
ギレンの脳裏に、一人の男が浮かんだ。
第31話
連邦軍の攻撃は第一軌道艦隊がSフィールド(地球側)、第7艦隊がWフィールド(月の反対側)、第5艦隊がNフィールド(サイド3側)を担当戦域とし、第7艦隊の突出はあったものの、基本的には三領域よりの同時飽和攻撃で始まった。パブリク突撃艇がビーム撹乱幕形成のための大型ミサイルを発射し撹乱幕を展開すると、それによって形成された回廊を通じてMS部隊が侵攻を開始する。これが基本方針だ。
巡洋艦は回廊の護衛に当たり、護衛任務についたMS隊、支援砲撃のボールや戦闘機群がこれを援護する。戦艦は長距離砲撃戦を展開し、要塞の防御砲台や出撃ハッチを破壊するものと定められた。
しかし、Nフィールドでは的確な防空管制で撹乱幕の回廊を形成するはずのパブリク隊が全滅。ドロス級空母ドロスを展開し砲撃戦を行い、その砲撃力で第5艦隊を押さえ込んでいた。同様の光景はEフィールドでも見られたが、こちらは回廊を途中であるが形成でき、そこからのMS隊の接近が始まった。
シャア・アズナブル率いる独立300戦隊旗艦ザンジバル。艦内はSフィールドから攻撃を仕掛ける第一軌道艦隊の背後を突くべく、出撃の準備に余念が無い。出撃に向かう通路でララァを見つけたシャアは、彼女を通路沿いの隔壁に呼んだ。軽く抱きしめる。
「出撃だぞ、ララァ」
微笑む仮面の男にララァは呆然とした顔を向けた。その表情からは何を思っているかはわからないが、漠然とした不安が伝わってくる。シャアは内心に湧いた不安を押し込めると言った。
「これまでは訓練のようなものだ。いよいよ実戦だ。大丈夫、お前は私が教えた以上にやってくれた。ララァの命令で私が動きたいぐらいだ」
そういわれたララァの顔に微笑みが浮かぶ。
「敵は艦隊ごとに戦域を決めて攻撃をかけてくるだろう。大量のモビルスーツがこれを援護する。……それを、叩く」
「大佐も一緒に?」
「そばにいる。自信を持て、ララァ」
そういうとシャアはララァに口付けた。年端も行かぬ小娘に出撃前にキスする士官は珍しい。唖然とした表情で、しかし後方からの兵に押されてデッキに向かう兵士達。
「……今日からは、ノーマルスーツをつけて出撃なさってください」
「……うむ。ララァがそういうなら、な」
そういうとシャアは着替えに隔壁を出る。
「ありがとうございます」
後姿に礼を言ったララァの顔は、どこか沈んでいた。
脇にシャアのザンジバルを確認しながら、MS隊の発進を見送る。前衛のコッセル中隊が発艦した後、それを追う形で出撃の予定だ。出撃の順番が来るまで、と駄々をこねてコクピットに入り込んでいるハマーンが先ほどから何かを確認するように体を摺り寄せているが、気にしない。
先発したシャア・アズナブルとララァ・スンのコンビは、既にSフィールドに形成されつつある撹乱幕回廊を、更に伸ばそうとする部隊に向けての攻撃を開始している。出撃したばかりのジムがビットの光に貫かれ、次の瞬間爆発。同時にジムが発進したサラミスも爆発する。
「そろそろか。ハマーン、いいな。前にいった事を忘れるな」
そういうとハマーンをプルサモールに押しやり、出撃準備を整える。
「あたしらはこのまま、コロイドを展開させてア・バオア・クーに近づく。合流地点はわかってるね?」
艦橋からシーマ姉さんの通信。頷くと同時に整備員が発進許可を出した。
「トール・ガラハウ。RFゲルググS型、出る。ハマーンは後ろに。三人娘、V字でついて来い」
了解の応答。
「出撃!」
整備員の呼びかけと共にカタパルトが押し出され、ゲルググが出撃する。前方を見ると、早速ガンダムと接触したらしいシャアたちの姿。三人娘とハマーンに決して手出しをするな、決められたとおりに動け、と命じると、三機が戦闘をしている宙域に接近した。ん?戦闘と言う割にはビーム光が見えない?
「良いところで会った!連邦のニュータイプ!」
早速か。接触したのに戦闘をしていないから変だと思えばこれだ。
「アムロ君とかいったな、君はいい少年だ!私の同志になれ、ララァも喜ぶ!私の本名はキャスバル・レム・ダイクン!知っての通り、ジオン・ズム・ダイクンの子だ!ザビ家への復讐を誓ってこれまで生きてきたが、もう、全てではなくなった!これからは、ニュータイプの時代だ!退廃したオールドタイプを、我々が凌駕する時代なのだ!」
援護のために近づこうとするジムが次々とビットに沈む。邪魔がいなくなったと判断したシャアは、ガンダムに近づいた。
「いいか、アムロ君。人は、解りあわなければならない。解りあえないまま人類は争い続け、地球と宇宙を汚し続けている。その歴史は、オールドタイプには変えられない!スペースノイドが切り開いた宇宙に生まれたニュータイプのみに、それが出来る!人の革新とザビ家は言う、お笑い種だ。人に人が変えられると思うか!?」
シャアのゲルググがガンダムに接触する。ノイズ交じりの音声がクリアになったようで、アムロの息遣いが聞こえてくる。
「人を変えられるのは宇宙の摂理だけ。ニュータイプこそが今、それを体現して世界に登場しようとしている!」
「まて、シャア」
アムロは言った。
「僕にはわからない。あなたの言おうとしていることが解らない」
シャアの表情が引きつるのが手に取るように解る。これ以上ない全否定だ。理論だけが先行して実現の能力が無い、か。どこまでも父親似なのか?父親のほうが女癖悪くなかったと思うが……。
「そこの女性……ララァから感じるものを、あなたから感じない。あなたはニュータイプなんかじゃない!」
「私こそニュータイプだ!私はジオン・ズム・ダイクンの子だからな!だから私には解るのだ!この戦争の行く末も、生き残るべきものとそうではない者も!」
「解らない!」
アムロはそういうとシャアに向けてライフルの銃口を向ける。ララァが反応した。ビットがガンダム向けて移動をし始めるが、アムロはすぐさま銃口の向きを変えてビットの撃墜を始めた。一つ、二つ。それはすぐに4,5,6と数を増やす。
「あなたは危険よ!」
ララァは叫ぶ。
「あなたがいると、シャアが死ぬ!守るべき人も、守るべきものも無いのに、あなたはこんなに戦える!危険よ!」
「いけないのか、それが!」
ララァのビットがビームライフルを貫く。ガンダムはすぐにビームサーベルを構えると、ジェダイの騎士でもあるまいに、ビームサーベルのビームでビットのビームをはじき始めた。なんていう、なんていう技量だ。アレと戦闘したのか、俺。
「私は、私を救ってくれた人のために、戦っているわ!それは、生きる人の真理よ!」
ララァのエルメスがガンダムに激突した。衝撃でガンダムが弾き飛ばされる。
「じゃあ、ぼくたちの出会いはなんなんだ!どんなに君が否定しても、出会ったことだけは、認めなくちゃいけないんだ!」
「認めてどうなるの!?出会ったとしてもどうにもならないのよ!」
「ララァ!」
シャアの叫び。
「奴との戯言はやめろ!」
ガンダムにビームライフルを向けるシャア。ガンダムはすぐさま反応するとビームライフルを切り落とす。
「アムロ君……君は危険だ。今!ここで!殺してやる!」
ビームライフルを捨てビームナギナタに代えたシャアは、シールドを背中に背負い、両手にナギナタを持ってガンダムに迫る。シールドを切り落とし、続けざまにナギナタを繰り出すが避けられる。しかし、ガンダムの反応には追いつかない。旧来の二号機なら追いついただろうが、今乗っているのはNT-1だ。
シールドをゲルググに向け、ゲルググの視界から機体を隠す。視界を空けるためにシールドを両断したシャアの前に見えたのは、今まさにサーベルを突き出そうとするガンダムの姿だった。
「大佐!」
「いまだ!」
「ゲルググ!?ガラハウか!?」
「兄さん!」
宇宙に、一筋の光が走った。
UC0079年、午前9時。月軌道側Nフィールド。
「敵艦隊反転!防御体制で展開!」
「面白い」
キシリアは言った。口元には笑みを浮かべている。トール・ガラハウが姿を見せぬうちに本国艦隊から奪い取ったドロス級三番艦ミドロの背後に浮かぶ、「パープル・ウィドウ」の艦橋だ。
「右舷備砲を以て敵艦隊を攻撃!有効射程内に敵艦隊を捕捉次第、一斉射を開始せよ!各艦に伝達!砲撃開始と共に突入開始!」
キシリア艦隊は第5艦隊の後方から攻撃を仕掛けるとドロス級の大型メガ粒子砲を以て射程外から攻撃を開始。反撃が出来ないまま連続して沈む連邦軍を蹴散らし、ア・バオア・クーNフィールドへの突入を開始した。
同時にミドロ内部よりMS隊が出撃。艦隊から一定距離を保ちつつ、攻撃範囲内の艦船に対して攻撃を行う。今までグラナダに秘匿しておいたMS隊はその戦力を遺憾なく発揮。特に、先頭で敵艦隊に切り込んだ、マレット・サンギーヌ大尉のアクト・ザクは続けざまにマゼランを2隻、沈めている。
そのままマレット中隊が援護を行い、突入を開始するキシリア艦隊。しかし、そのキシリア艦隊の横腹に、隣接するWフィールドから、三機の機影が接近しつつあった。
「何だアレは!?はははっ、俺にふさわしい相手が来たようだ!」
喜びに震えるマレット。無理も無い。キシリアに心酔する彼にとって、キシリアの面前での活躍は望むところだ。新型のアクト・ザクをあてがわれた誇りもあり、迫る三機を一人で撃墜しようと、機体を接近させる。
充分に近づいたところでマシンガンを放つが、それは彼の望むところだ。散開した所を一機ずつ撃墜するつもりで、ビームサーベルを抜いて一気に迫る。どうやら、噂に聞くガンダムタイプらしい。これでまた一つ、自分に輝かしい勝利が加わると決めたマレットは、近づけた機体にビームサーベルを振り上げた。
一閃。
予想した手ごたえは無く、マレットのアクトザクは姿勢を崩す。消えた敵機を確認しようとしたとき、背後からの熱を感じてマレット・サンギーヌの意識は消えた。
背後からの一機と同時に両側から二機が同じ場所―――コクピットにビームサーベルを突き立てている。ガンダムタイプであり、機体の構成はRX-78であるが、カメラアイがジムと同じゴーグルアイに変更され、機体の色は赤い。両肩が大きく膨らみ、恐らくスラスター類が強化されていることがわかる。そして、そのゴーグルアイは鈍い赤色を放ち、赤い光が一閃すると消えた。
午前10時過ぎ、キシリア艦隊は第5艦隊の突破に成功するが、側面から受けた第7艦隊の攻撃により空母ミドロ他の部隊を喪失した。Nフィールドの第5艦隊は戦艦4、巡洋艦6に渡る被害をこうむり、艦隊は一時退いて再編成。出撃したMSが前方に取り残される形になったが、旗艦「アマギ」撃沈直前に出されたトーゴ提督の強襲揚陸命令に基づき、MS隊の強行突入が始まった。
それを確認した隣接するWフィールドの第7艦隊は、まだ前面のジオン艦隊戦力が優勢だったこともあり、MS隊の一部を第5艦隊の支援にまわして突撃を支援する。キシリア艦隊の突入後には第12独立MS旅団がその穴を埋めるために要塞内部から出撃したが、連邦軍の圧倒的な数と、前線で隊形を切り崩す三機のMSによって穴をふさぐことが出来なかった。
それは、バズーカを構えた、ミドロを撃沈した三機のガンダムだった。
UC0079年9時10分。
「ガラハウ……きさまかっ!」
「大佐ああああああああああっ!」
蹴りつけられたエルメスは、シャアのゲルググをかばって突き刺さるはずだった軌道をそれ、コクピット脇を掠めながら右側エンジンを貫く。爆発を起こしたエンジンによって生じた加速で、戦域から離れていくエルメス。その姿が見えなくなったかと思い、誰もがエルメスの向かった方向に視線を向け、一分ほど経った後。
爆発。
「ララァ!?……ガンダム!ガラハウ!」
シャアはゲルググのナギナタを邪魔をしたガラハウ機とガンダムに向ける。その瞬間、後方からビーム光。振り向いたシャアのゲルググに白いMSが映った瞬間。下から迫ったガンダムがシャアのゲルググの右足から右手を一気に切り裂いた。
「兄さん!?」
先ほど割って入った通信がもう一度響く。見ると、後方からジムの改造機が一機向かってくる。おそらくセイラ少尉か。シャアのゲルググをア・バオア・クーの方向へ蹴ると、ハマーンのプルサモールがセイラのジムの両腕両足をサーベルで切り落とす。余計な邪魔はされたくないのか、同じようにア・バオア・クーへ蹴り飛ばす。しかし、予想したガンダムの追撃は無かった。
振り返ると、シャアを切った体勢そのままで、ガンダムNT-1が第一軌道艦隊のほうへ流れていく。どうなっているかと通信を開くと、すすり泣くような声が聞こえた。
「僕は……僕は、取り返しのつかない事をしてしまった……」
そこに迫るビーム光。敵味方関係無しに砲撃を仕掛けている。しかも、砲撃の射線はこちら向きだ。連邦の新兵器かと思ったところ、通信から狂気を含んだ笑い声が響く。
「連邦のニュータイプかああああああああっ!」
女性の声と共にこちらに向かうビーム。何?シムスか!?強化されて見境がついていないのか!?
射線を向けてくる以上敵だ。ハマーンに合図すると離れて別の任務に当たってもらった三人娘に周囲の警戒と自機の防御を行いながらの一時撤退を命じてハマーンと共にシムスのブラウ・ブロへ向かう。強化した自身の能力が不安でならなかったが、まだ反応できる。どうやら、パイロットとしての経験が上昇しない限り、どんなにポイントで素質を強化しても意味が無いらしい。ガワとタネは豪華だが、肉がついていっていないのだ。
「しかし、まだこれなら何とかできる!」
「ひゃはははははっははははあっ!」
シムス中尉の強化を行った担当者は、キシリアの密命を受けてある種のMSを目撃すると同時にトラウマが発動し、そのMSを中心に隊形を組んでいるMS隊を狙うように刷り込みを施されていた。後方に似たようなブラウ・ブロ―――但し、大きさは半分ほどで、分離するブロックの数も少ない―――いや、ブラウ・ブロの小型版らしい。
「トール!」
ハマーンが次々と有線ビーム砲を落す中、ブラウ・ブロの本体部分を包み込む四枚のブロックにビームを注ぐことだけに集中する。フォトン・ライフルから放たれた高出力電磁波――光子レーザーがブロックを次々にはがす。まずい!
コクピットブロックを狙った射撃を外してしまった。それに勢いを得たのか、こちらに激突するコースでブラウ・ブロが動く。しまった!焦りが混乱を生み、動作を遅くさせる。先ほどまでの光る宇宙に介入できたという気のゆるみが、ラースエイレムを発動させることすら忘れさせていた。
しかし、ブラウ・ブロはゲルググに激突する事無く、下から走ったビームによって撃墜された。こちらに死の間際のシムス中尉の思いが流れ込んでくる。ハマーンにはシャットアウトできるようにさせたが、こちらはまだ出来ないらしい。死の苦しみを、シムス中尉が息絶えるまでの数秒間感じ続けた私は、流れ込む意識が消えると共に大きくため息を吐いた。
「無事!?トール!?」
ハマーンからの通信。モニタに映る彼女の顔に、なんだかとても自分を情けなく感じた私は、ぎこちない様子で手を振った。あんだけ大口ほざいてこの様かよ。自分が情けなくなってきた。私はハマーンに礼を言うと、機体をア・バオア・クーに向けた。
さて、間に合うか。