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No.22507の一覧
[0] 機動戦士がんだむちーと【多重クロス】[Graf](2014/07/27 19:00)
[1] 第02話[Graf](2010/11/08 12:16)
[2] 第03話[Graf](2010/10/18 06:59)
[3] 第04話[Graf](2010/11/08 12:16)
[4] 第05話[Graf](2010/11/21 08:24)
[5] 第06話[Graf](2010/10/21 09:52)
[6] 第07話[Graf](2010/10/23 23:30)
[7] 第08話[Graf](2010/11/08 12:17)
[8] 第09話[Graf](2010/10/23 08:33)
[9] 第10話[Graf](2010/10/23 17:06)
[10] 設定集など(00-10話まで)[Graf](2010/11/06 11:04)
[11] 第11話[Graf](2010/10/27 05:15)
[12] 第12話[R15?][Graf](2010/10/27 05:16)
[13] 第13話[Graf](2010/10/25 21:22)
[14] 第14話[ネタ][Graf](2010/11/08 12:17)
[15] 第15話[Graf](2010/11/08 12:17)
[16] 第16話[Graf](2010/10/30 21:19)
[17] 第17話[Graf](2010/10/30 15:05)
[18] 第18話[R15][Graf](2010/10/30 21:24)
[19] 第19話[Graf](2010/10/30 21:21)
[20] 第20話[Graf](2010/10/31 14:30)
[21] 設定集など(11-20話まで)[Graf](2010/11/06 11:04)
[22] 第21話[Graf](2010/10/31 14:31)
[23] 第22話[R15][Graf](2010/11/12 11:21)
[24] 第23話[Graf](2010/11/12 11:21)
[25] 第24話[R15?][Graf](2010/11/08 12:18)
[26] 第25話[Graf](2010/11/02 16:55)
[27] 第26話[Graf](2010/11/06 10:59)
[28] 第27話[Graf](2010/11/08 12:18)
[29] 第28話[Graf](2010/11/06 11:01)
[30] 第29話[R15?][Graf](2010/11/03 12:00)
[31] 第30話[Graf](2010/11/08 12:19)
[32] 設定集など(21-30話まで)[Graf](2014/07/27 07:34)
[33] 第31話[Graf](2010/11/06 11:08)
[34] 第32話[Graf](2010/11/06 21:39)
[35] 第33話[Graf](2010/11/07 16:59)
[36] 第34話[Graf](2010/11/08 02:01)
[37] 第35話[Graf](2010/11/09 05:33)
[38] 第36話[Graf](2010/11/09 05:32)
[39] 第37話(R15 一年戦争終了)[Graf](2010/11/10 21:11)
[40] 設定集など(31-37話まで)[Graf](2014/07/27 07:34)
[41] 第38話(R15 戦間期前半)[Graf](2010/11/12 11:25)
[42] 第39話(R15)[Graf](2010/11/11 10:20)
[43] 第40話[Graf](2010/11/11 23:02)
[44] 第41話[Graf](2010/11/12 11:41)
[45] 第42話[Graf](2010/11/15 04:51)
[46] 第43話[Graf](2010/11/14 12:40)
[47] 第44話[Graf](2010/11/15 04:52)
[48] 第45話[Graf](2014/07/29 19:39)
[49] 第46話[Graf](2010/11/15 04:53)
[50] 第47話[Graf](2010/11/14 12:44)
[51] 第48話[Graf](2010/11/15 21:23)
[52] 第49話[Graf](2010/11/17 12:03)
[53] 第50話[Graf](2014/07/29 19:39)
[54] 設定集など(38-50話まで)[Graf](2014/07/27 07:35)
[55] 第51話[Graf](2010/11/20 12:13)
[56] 第52話[Graf](2010/11/19 21:13)
[57] 第53話[Graf](2010/11/20 12:18)
[58] 第54話[Graf](2010/11/20 18:20)
[59] 第55話[Graf](2010/11/23 16:11)
[60] 第56話[Graf](2014/07/29 19:39)
[61] 第57話[Graf](2010/11/23 16:12)
[62] 第58話[Graf](2010/11/25 23:37)
[63] 第59話[Graf](2010/11/27 14:09)
[64] 第60話[Graf](2010/12/02 03:42)
[65] 第61話[Graf](2010/12/05 19:08)
[66] 第62話[Graf](2010/12/05 20:11)
[67] 第63話[Graf](2010/12/09 23:45)
[68] 第64話[Graf](2010/12/20 04:54)
[69] 第65話[Graf](2010/12/20 06:47)
[70] 第66話[Graf](2011/02/09 20:31)
[71] 第67話[Graf](2011/02/24 22:50)
[87] 第68話[Graf](2014/07/27 03:12)
[88] 第69話[Graf](2014/07/27 07:31)
[89] 第70話[Graf](2014/07/27 07:31)
[90] 第71話[Graf](2014/07/27 07:32)
[91] 第72話[Graf](2014/07/27 07:32)
[92] 第73話[Graf](2014/07/27 07:33)
[93] 第74話[Graf](2014/07/27 18:50)
[94] 第75話[Graf](2014/07/27 18:51)
[95] 第76話[Graf](2014/07/27 18:52)
[96] 第77話[Graf](2014/07/29 19:40)
[97] 第78話[Graf](2014/07/29 19:40)
[98] 第79話[Graf](2014/07/27 18:53)
[99] 第80話[Graf](2014/07/27 19:00)
[100] 設定集(51-80話)[Graf](2014/07/27 07:36)
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[22507] 第22話[R15]
Name: Graf◆36dfa97e ID:00f883d5 前を表示する / 次を表示する
Date: 2010/11/12 11:21
 襲撃の夜から一晩明けた11月2日の朝。連邦軍樺太基地からはいまだ、黒い煙が立ち昇っていた。破壊されたMSの撤去が終わっておらず、潜水艦のミサイルから分散した子弾の中に仕込まれた時限装置が、時折、予定の時刻となり爆発しているからだ。そのおかげで樺太基地地上部の機能は完全に回復せず、現状、司令部近辺のエリアのみが安全地帯となっている。

 もっとも、樺太基地はジャブローに倣ってか、基地機能の大半は地下化されており、艦艇ドックもMS工廠も開発部も、そして当然無事で、居住区も被害は少ない。地下搬入口近辺の施設だけが被害を受けているが、こちらは地上のようにミサイルが降って来た訳ではないし、最優先で復旧が進められているため、むしろ地上よりも活発に人が動いていた。

 司令部近辺に作られた、士官用の宿舎の一室で私は目を覚ました。室内に男女の着衣が散乱し、ベッドから少し離れたテーブルには蒸留酒らしき酒瓶が転がっている。グラスは絨毯に落ち中身をこぼし、窓のブラインドの隙間から入る朝の日差しを反射してきらめいていた。

 浴室からシャワーの音が聞こえる。先に目を覚ましたのだろう。隣にいるはずの彼女の姿がない。体を起こした瞬間、頭痛が走るが、意識を向けると頭痛はだんだんと治まっていく。体内のナノマシンが意識を向けたことで、体の不調を修復すべく、体内に残ったアセトアルデヒドを分解したのだろう。

「あら、お目覚めですの?」

 シャワーを浴びすっきりしたようだが、まだ体には昨日の残滓が残るミツコ・ミューゼルが言った。なんだろう。改めて考えると、俺ってするときには縛るほうが好きだけど、関係としては縛られるほうが好きなのか?あ、頭痛い。二日酔いか。ミツコさんは快調そうだ。二日酔いに苦しんだこちらとは違って気分爽快そのものらしい。体にタオルを巻きつけたまま、鏡台前のイスに座ると、別のタオルをつかって念入りに髪の水気を取っていく。

「……昨日はありがとう。……おかげで、いくらか楽になった」

「わたくしね、夢でしたのよ」

 鏡台を向いたまま、こちらを振り返りもせずに彼女は言った。

「前に話しましたでしょ?リン・マオのこと」

「ああ」

 髪の水気を充分取ったのだろう。まだドライヤーは使わず、別な吸水性の高いらしい布をさらに当てながら彼女は言葉を続ける。脇に櫛を用意しているから、これは時間がかかりそうだと苦笑した。これはもう、女性にとっては性の領域らしい。

「あの子の周りには恋人のイルムガルト・カザハラがいて、理解ある部下のユアン・メイロンがいて、取引先もお人よしばかり。ああいう世界にいたのでしたらああいうふうに世界を見るのも当然でしょう?あの子自体が何をしましたの?あの子と私のどこが違いますの?ただ、生まれた境遇が同じでも、周りにいる人間が違っただけで、どうして、……なんてね。バカでしょう、わたくし?」

 バカになど出来ない。生まれ―――自分が如何何処に生まれるかなど、自分ではどうしようもないのだ。そして自分がどんな人間と出会うのかもそうだ。まぁ、出会うべき人間に出会ってもそうでない人間もいるが。自分の努力不足なら同情の余地は無いが、あの関係を抜け出すのは無理に近い。

「まわりの人間がいい人なのに、それを自覚できない阿呆には腹が立ちますわ。だって、それが出来ないひとがいるのですもの」

「何が言いたいんだ、ミツコさん?」

 ミツコさんはほほを膨らませながらこちらを向いた。どうやら、私の答えに不満らしい。ドヤ顔といつも見せる取り澄ました顔、少し前に見たあわてる顔は見たことがあるが、こういう表情ができるとは思わなかった。しかし、やはり中の人がセツコ・オハラと同じなのに……

「どこみてますの?朝っぱらから色気づかないでいただきます?」

「……胸の大きさで女性を判断するのは流石に趣味じゃない。だからといってステータス云々でもないけどね?……ごちそうさま」

 言葉に顔を赤らめるミツコ。しかし、言いたいことはわかった。彼女も熱血と愛を理由に正義と悪が大混乱のスパロボ世界の出身者だけはあるということだ。経済的利益だけが判断基準だったのは、周囲にいた人間を判断基準になど出来ないから。人間を見るにはその人間の友好関係を見ればよいとは言うが、それでは友好関係を築いた瞬間に人間の価値なりランクなりというものが下がるとしたら、何を以てすれば良いのか?彼女の行動は、あの人間関係の中で彼女にできる最良の判断をしていただけだった、という話なのだろう。

 だからこそ、元の世界と全く関係のないこの世界で、0から人間関係を築くことが出来ると知った瞬間こそ、本物のミツコ・イスルギという人格の誕生だった、のかもしれない。そしてそれは幾多の世界で"悪役"とされた人物全員に共通するのかもしれない。ソフィー姉さんしかり、シーマ姉さんしかり、そしてハマーンしかり。まぁ、ジジババになっても悪役でいるのは、もうどうしようもない気がするけど。でも、もしかしたら、アギラ・セトメやクラックス・ドゥガチにさえ。

 実は結構……と思ったところで、自分の考えに自嘲する。人間、そんなに多く重くは背負えない。それは昨日、思い知ったばかりではなかったか。本来なら一年戦争を乗り切る可能性のあった人間――ラリー・ラドリー、アニッシュ・ロフマン――の死。それは、おそらく絶対に私の介入が原因であることを思い出す。

 結局、人死にが少なくなっただけなのかもしれない。開戦から10ヶ月。本来なら60億を超える死者は8億ほどに抑えられ、52億の人口が残り、地球圏の総人口は、いまだ112億人を数えている。コロニー落しも、地球に残った人口密集地域である北大西洋沿岸と太平洋沿岸部が避けられたことであまり被害を受けていない。もっとも、ジオン軍の占領地域である欧州やアフリカでは、連邦軍の反撃態勢が整うにつれて食糧難が叫ばれているが。

 しかし、顔の見えない52億を救っても、もしこの先、自分に近い人間が死んだら?もしかしたら、シャアの隕石落しも、ララァのいない世界に見切りをつけたからかもしれない。いや、バカなことを考えるな。そう考えたのなら自殺でも何でも好きにすればいい。周りの人間を道連れにしての死など……いかん、本格的に思考がネガティブになってきた。

 目の前が暗くなると、女性特有の香りが包んだ。ベッドの上にひざ立ちになったミツコさんが、優しく抱きしめてくれている。ナナイっぽいな。苦笑すると彼女の背中に手を回し、優しく抱きしめ、ベッドに倒れこんだ。

「……ありがとう」

「落ち着きまして?」

 体を包むタオルが崩れるが、気にはしない。香りは強まり、なんだかおちついた気分になる。

「もう少し、このままで……いさせてほしい」



 いきなりのノックで正気に戻った後当然のごとく赤面し、時計を見て戦闘要員の休息時間とした24時間を越えていたことに気づき、急いで服を調えて部屋を出た。後ろからは顔を赤らめたミユ・タキザワ伍長が歩いてくる。まったく、とんだ失態だ。

「鍵もかけずに寝るなんて正気ですの!?」

「昨日のあの状態で鍵をかけるところまで考えれん!」

「少将!中佐!夫婦仲が宜しいことはわかりましたから、さっさと司令室に向かってください!」



 第22話


 
 基地機能が一定の回復を見せた11月3日、オデッサ作戦への出撃と合わせ、樺太基地では合同慰霊祭が執り行われた。あの後、更に負傷者の中で助からなかったものを含めると、被害人員の総計、軍人軍属102名、民間人8名。合計110名となった。

 G-1部隊からの死者は3名。港湾部でサイクロプス隊により撃墜されたラリー・ラドリー、アニッシュ・ロフマン両少尉。新型技術試験機試験中隊、通称ウィスキー隊よりコールドウェル少尉の3名。

 負傷者はゲルググ小隊との激戦を演じた本部小隊のパトリック・マネキン中尉が肋骨を折る重傷。港湾部での戦闘で改造型ズゴックに弾き飛ばされた、第2小隊サマナ少尉が機体からの脱出時に二度の火傷を負い、現在皮膚移植手術を受けて無菌室入り。第5小隊ヤザン少尉は乗機のジム胸部破損の際に頭部に裂傷の軽傷。

 他には入院加療を要するほどの怪我こそなかったものの、部隊全員があの日の戦闘では何らかの傷を負った。MS部隊以外の戦死者は、MS対後退、敵後方からの奇襲に尽力した対MSミサイルランチャー装備の高機動車の運転手、砲撃手だ。

 空砲が空に響き、連邦国歌の吹奏が始まる。連邦旗が半旗となり、棺が遺品と共に安置されている。この後、オーストラリア、アデレードの連邦軍軍営墓地へ輸送の予定だ。しかし、MS隊の3人の遺体はない。機体ごと散ったアニッシュ少尉は勿論、コクピットをビームサーベルに貫かれたアニー少尉も、ガーフィールド中佐のグフに、ヒートソードを押し込まれたコールドウェル少尉も遺体は残らなかった。核が、粒子が、高熱が彼らの存在を文字通り消してしまったのだ。

 慎ましやかに、しかし荘厳丁重に行われた指揮の後、私はマネキン准将、ミューゼル中佐と共に司令室へ入り、オデッサ作戦参加のため、部隊の再編に着手した。樺太基地防衛に戦力を残す必要もあり、また当然被害を受けた戦力では不足も考えられるため、テレビ会議という形でゴップ大将も参加している。

「まずはミューゼル少将。ほぼ同数、それもモビルアーマーを含む戦力を撃退し、敵に対し、味方に倍する損失を強要したことは上出来だ。君が如何思っていようとも、な」

 ゴップ大将は言った。いつもの福々しい、人をリラックスさせるような姿は見せない。彼も軍人であり、敵の攻撃によって被害を受けた部隊の指揮官がどのような心境になるかは知っている。本来、そうした気持ちは前線から昇進によって遠ざかるにつれてある程度、感じずに済ますことが出来るようになるものだが、前線という概念が旧世紀よりも希薄になってしまった―――あるいは意味が変わってしまった―――この戦争ではまた違ったものとなっている。

 それに、目の前の男はほんの数ヶ月前まで、中佐という佐官でしかなかったのだ。

 ゴップ大将の見せた、男らしい不器用な心遣いに内心で感謝すると、私は口を開いた。

「都合、戦力の5分の1を失いました。基地機能は40%ほどにまでは回復しましたが、オデッサ作戦の出撃前にこれだけの被害を受けたとなると、正直、厳しいものがあります」

 軍隊の場合、「壊滅」と判断する基準は、戦力の40%を失った段階をさす。戦力が前線で編成できず、後方に後退させて完全な再編成を要する段階に入るからだ。5分の1、つまり20%とということは、戦力が半壊したことを示す。

「人員かね」

「はい」

 ゴップ大将はため息を吐いた。理由が痛いほどにわかる。オデッサ作戦を前に戦力の補充など、どこの戦線を見ア渡しても戦力が不足している現在、まわしようがない。

「閣下、半壊した部隊を何の対策もなく前に出すわけにも行きません。それに、部下の中には小隊総員を失ったものもおります。……そこで、御願いがあります」

「……想像が付くが、言ってみぃ」

「人事権を」

 ゴップ大将は深くイスに寄りかかるとため息を吐いた後に頭をごしごしと掻いた。人事権とはつまり、民間人を軍人として徴集する権利をよこせといっているのだ。補充兵をまわせない以上、そう考えるのは当然だが、流石に将官とはいえそれを無制限に許した場合、私兵集団の形成を許してしまう。連邦軍設立当初、居住権戦争(0017-22)では、そうした私兵集団を擁したアジア系将官が、ユーラシア大陸東部を群雄割拠のような状態にしていたことさえある。

「難しいぞ。人事権に関しては幕僚総監部、つまりわしだな。わしの下が握っていることになる。わしは君を信頼しておるが、部下までそうとはいえん。それに、またぞろコリニーが突っ込んでくる可能性もある。あの男、君が今回の戦闘で敗退し基地機能を失った場合に備えて、色々と考えておったぞ。キンゼー少佐から報告があった」

 眉を上げる。ガディ・キンゼーか。Zでアレクサンドリアの艦長の。まさかゴップ大将の肝煎りとは思わなかった。

「まぁ、バスクのバカはスペースノイドさえ殺せれば何でも良いだけである意味扱いやすいが、ジャマイカンなどご機嫌取りにも程があるぞ?コリニーの阿呆を調子に乗らせ、ジャミトフが制止しておったからな」

 ゴップは笑った。しかし私は笑えない。ゴップ大将が、決して見かけどおりの人間ではないことを改めて思い知らされたのだ。気が付くと親しげに肩に手を乗せているミツコさんの姿。まぁ、何をおっしゃりたいかわかりますけど。

「そういうわけだから人事権はやれん。しかし、少将のところから書類が回ってくれば、そして書類の要件が整っていれば問題はなかろう。こちらで処理しておく。勿論、日付に関しては前後してもかまわんが、あとで問題になるような処理は……まぁ、なかろうな。マネキン准将の書類、見させてもらったがととのっとる」

 マネキンが一礼する。

「どうだ?ジャブローにこんか?穴倉の中で快適とはいえんが、君の能力は買いたい。むしろ、タチバナより向いておるんじゃないか?」

 ピン。視線が私とミツコさんの間で交わされる。うん、ゴップ大将が言いたいことは良くわかった。

「閣下、申し訳ありませんが、私は――――」

「ゴップ大将。彼女、高いですよ?」

 私は言った。マネキン准将が一体何を考えているのか、という目で私を見る。

「まず、問題児で空気を読まないエースパイロットの旦那がいます。腕前は折り紙付ですが、少々、性格に難アリです」

「……むしろ、エースで性格に問題がない奴というのが珍しいとわしゃ思うが」

 よし、いける。

「彼女がそちらに赴けば、人事案などの件も通りやすくなりますよね?」

「兵站総監部とのつながりもな」

 ゴップ大将の口元がゆがみ、それはすぐにミツコさん、私へと伝染した。

「了解しました。これから大変なことになるかと思いますので、早速マネキン准将と事務官、それに旦那さんを送ります。旦那はエース用の改造機に乗せて、新兵の訓練にこき使ってやってください」

「わかった。人事案をまっとるよ。マネキン准将、君の力がジャブローで発揮されることを楽しみにしとる」

「はっ、了解いたしました」


 マネキン准将のジャブロー勤務が決まったということは、連邦軍上層部に確固たる協力者を送り込めるということにつながる。基地司令として呼ばれたと理解していたマネキン准将はいきなりの話の流れに驚いたが、現在の、そして後々の連邦軍において兵站総監部を握ることの重要性をミツコさんが目を輝かせながら話し始めると頷いた。

 ……違法取引の臭いがぷんぷんしてくるが、まぁ、深く突っ込まないようにしよう。アナハイムではなく太洋重工がこの世界の軍需を仕切りそうだが。しかし、ミツコさんは意外に経済にも明るく、「全部を一手に握ってしまえば面白くありませんわ。ライバル企業があってこそ、サービスは向上するんですのよ?」とか言われてしまった。

 まぁ、それはともかく。マネキン夫妻がいなくなってしまい、また今回の襲撃によって戦力が激減したG-1部隊の再編に取り掛かる。まずマネキン夫妻を送り込むと共に、20名の事務官を送る。全員がバイオロイド兵で、ジャブローでの対コリニー派、のちのち対ティターンズ諜報任務に精を出してくれるだろう。マネキン准将には、基本的に職務に精励してもらい、要所要所で配置人員や軍備関連の問題についてこちらの要望を通してくれるよう御願いした。

 部隊に関してだが、まずマット中尉の第3小隊を白紙に。マネキン中尉とネオ少佐が外れるため、ウィスキー中隊を小隊編成に変更し、本部小隊を編成して私、ミツコさん、ロックオンを配置。但し、私は単独行動で、また基本的にミツコさんとロックオン氏は援護が中心となるため、MS隊の総指揮官としてセルゲイ・スミルノフ中佐に御出馬願い、G-1大隊総指揮官となってもらった。

 また、新しい基地司令にOGシリーズよりレイカー・ランドルフ予備役少将を迎え、現役復帰の少将として配置し、その下に新兵訓練部隊の指揮官としてマット・ヒーリィ中尉をおいた。精神面の回復が付かないまま、オデッサに送り込むわけにも行かないと判断したからだ。

 欠番となった第3小隊に新たに呼び出そうかとも思ったが、宇宙に上げるまではと思い放っておくこととした。恐らく、オデッサ作戦では輸送能力は多いほうがいい。現地で大隊や中隊規模で投入されるはずの連邦軍を同行させる形を取ればよい。

 戦闘による獲得とプラント能力の更なる拡大でGPについてはまだ余裕がある。プラント能力を拡充したところ、いままでは月に限定された値しか変換できなかったが、それが外された。その代りに技術、人員と兵器獲得レートが上昇してしまったが。しかし、更なる戦力向上を技術や技能などをあわせて考えると、これは仕方がない。むしろ、技術をかなり獲得した今の段階からすると、自分や他のキャラクターの能力向上や、RPそのものの方を用いた方がいい。

 既に連邦政界にはカナーバ下院議員、グリーンヒル上院議員と二名を送り込んでいるが、コリニー派、そして恐らく結成される可能性が高いティターンズを相手にすることを考えると、連邦議会、および軍に勢力の維持拡大は不可欠だ。ゴップ大将が兵站総監部を離れれば、後任にマネキン准将が推されたとしても、現在と同様の支援は見込めない。

 私は、マネキン准将以外に、また既に上層部にいるヤン、シトレ、ビュコック以外にも人員を送る必要があると判断した。まず、MS開発以来友好的な関係を続けている欧州軍のパウルス大将宛に、特務作戦集団出身で、MS連隊長として2名を送ることの了解を得た。これにジャミル・ニートとランスロー・ダーウェルを中佐として派遣する。勿論、連隊の兵員はすべてバイオロイド兵で固める。実は、既に兵員レベルではバイオロイド兵の連邦への志願兵としての浸透は始まっており、樺太基地やサイド7、ルナツー、日本、欧州、ジャブローなどを通じて送り込んである。それらの兵員をまとめ、今回、連隊として発足させるというわけだ。

 さらに、連邦議会へターンエーガンダムよりミラン・レックス執政官を呼び出し、グリーンヒル上院議員事務所に投入。来期(0080年)の連邦下院議員選挙で当選させるつもりだ。既に下院議員選挙の月面第二区(Nシスターズ選挙区)から送られる16人の下院議員はうちの友好派閥で固めてあるから、そこから出馬させて連邦議会での勢力を固めることとする。もしもグラナダの支配権を争うことになるだろうアナハイムとの暗闘に勝利することが出来たなら、そこにさらに人員を加えられる。

 動向が見えない移民問題評議会も、来期辺りにグリーンヒル議員が食い込めそうな勢いのため、とりあえずこの戦争中は放っておいてかまわないだろう。欧州軍に二人を送れば地歩も固められるはずだから、あとは北米軍などに送る人材を考えるとしよう。

 ということで、まず北米軍のMS戦力向上のため、カイ・キタムラ少佐を派遣。MS部隊教官として派遣し、戦力向上を御願いする。アジア軍は、人員の制限数に近くなってきたこともあるし、そもそも戦線が縮小傾向にあるから、問題はないとして呼び出すのは中止した。ここで呼び出すと、宇宙での戦力展開に問題があるかもしれない。

 人員制限の発生によって本年度、つまり0079年に呼び出せるキャラクターは今回呼び出した者たちを除くとあと4名。一年ごとに決まった人数というわけではなく、介入する期間に応じて制限が課せられるようで、システムを良く見てみると、来期の名前が「戦間期前半」として、0080-0083となっている。人員はこの一年戦争の出来次第だそうだ。


 オデッサ作戦が終わったあたりで、戻るか。「トロッター」に関しては、本部小隊で私とミツコさんを外せばいい。そろそろ、この戦争も大詰めだ。ソロモン戦以降は、気が抜けない状態になるだろう。



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