*注
本作品は、ちーたー氏の、Muv-Luv板にある「【マブラヴ・ACFA・オリ主・ネタ】ちーとはじめました」にかなり影響を受けております。ポイント制チートシステムは、ちーたー氏に倣っております。但し、ガンダム世界であり、完全なチートとするのではなく、色々と制限が加えられているところを表現してみたいと思っております。
何卒ご寛恕の程、よろしく御願い申し上げます。
*2010/1119/1830 チラシの裏より移動いたしました。
皆様、よろしく御願いいたします。
*2010/1127/1410 60話到達をもって、【チラシの裏より】の記述を削除しました。
*2014/0727/1859 修正を行いアップロードしました。
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人間にとって、自己の概念というものは希薄ではなく明確である。少なくとも、自分にとってはそうであると考えていた。しかし、現実、モニターを通して自分にとっては未来、または妄想であったはずの光景を見ていると、それが果たして本当のものであったかに疑いを持たざるを得ない。
「2039年2月のスーパーチューズデー、地球連邦次期首相にリカルド・マーセナス候補がアメリカ、オセアニア、太平洋および欧州諸州の支持をもって当選確実となりました」
「スメラギさん、マーセナス候補の当確はどのような幕開けでしょうか?」
「候補の掲げる、人口爆発に対する解答としての宇宙移民は……」
テレビを消す。現在時間、西暦2039年2月14日水曜日。そしてテレビに映ったニュースの内容はここが、機動戦士ガンダム、少なくとも機動戦士ガンダムユニコーンに関連する世界であることを示している。
消したモニターに文字が映る。丁寧なことに日本語で、しかも簡潔明瞭に要求を伝えてきてくれている。
『転生作業無事終了。ジェネレーションシステムは、候補者に人類種の政治的要因に基づく減少の抑制を要求します』
ここは月。地球からすると不相応に巨大な衛星の北極、地軸点直下20kmにあるらしい。
「Warsのアレ、とは……はぁ」
ため息をつくしかなかった。
第01話
「で、いったいどのようにすればこの要求にこたえられるのだろう」
誰も聞いていないということは確かそうだが、さすがにコンソールに話しかける趣味は無い。ただ、ここまで技術的に隔絶しているならば、何らかの反応があるかもしれない、と口に出してみる。無駄ではなかったようだ。コンソールに新たな文字が生じる。
『候補者に連絡。当システムは候補者に従属し、様々な点で援助を行い、改変を可能とするものです Y/N』
どこのDOS時代のモニターだ、と思いながら、コンソール前のキーボードのYキーを押す。
『システムは減少が抑制された人口、改変された歴史の結節点、候補者が獲得した人員・資源を数値化・運用することで援助を行います』
つまり、人口減を抑制すること、各作品の基本的な流れに影響を与えらること、何らかの方法で資源・人員をえることで、自分の勢力のパワーアップをしていくらしい。Yキーを押す。
『人口減抑制、歴史改変でGPを獲得。人員・資源の獲得でRPを獲得します。人員の場合は獲得した人員の重要度によって獲得値は変化し、資源であれば純粋重量に基づく獲得値となります。また、RPは一定のレートに基づき、GPとして運用可能です。GPのプラスマイナスの基準は史実どおりの人口推移か否か。候補者のミスにより減少が生じた場合には減点します。それらとは別に、システムの起動初期段階にあるため、SPを提供。SPに基づき、初期戦力を調整していただきます。SP獲得に関しては、初期戦力の調整以降も使用可能で、値は候補者の行動によって変化します。初期調整後は、様々なTPOで用いることが可能です』
3種のポイントを運用はするが、現在考えるのはSPで良い、と。レートがわからないし、選択肢も今は不明だから考えようが無いな。
『現状はGP:0、RP:0です。SPは30000。SPを用いて獲得できるのは以下の項目です。質問があれば音声にてどうぞ』
表記が終わると同時にコンソール右上に30000の数字が、中央にリストが広がる。項目が色々分かれているな。身体強化、勢力伸張、部隊確保などなど、様々な項目が並ぶ。どうやら、大項目を選択すると小項目が選択できるようになるらしい。
「既にこちらが持っているものを減少させる場合、SPの獲得は可能か?」
疑問は音声で、ということなので早速やってみた。たとえば、自分の持っているフランス語知識をペイに出せば、何かもらえるかもしれないと思ったのだ。身についた能力を失うのはコレまでの経験からするともったいなく思えるが、こんな場所に追い込まれたのであればなりふりはかまっていられない。
『良質問と判断、ポイントプラスします。可能です』
ポイント欄を見ると1000ポイントの加算。どうやら、話すだけ話した方がいいみたいだ。
「良質問だ、なんてお知らせはいらない。なぜ私を選んだ?」
『知識がそれなりにあり、ある程度の識見を持った人間から無作為に抽出した結果です』
「趣味志向は問題ないと?」
『システムの目的達成に困難、もしくは障害となるような趣味の場合は当然抵触します』
「だろうな。この、大項目リスト欄外に、カーソルが反応を起こしている部分があるがそれは?」
ピッ、という音と共にポイントが数万……7万2千へと上昇した。どうやら、いいところをついたようだ。
『本システムは候補者が「機動戦士ガンダム」として認識する作品世界に存在しますが、作品世界内の自由度だけで目的達成が困難な場合を考慮し、候補者の既知の世界に関する項目も支援対象として含めています』
「つまり、ガンダム世界だけで対応が不可能な場合は、他の作品から戦力をもってこい、と?」
『可能です。ただしその選択肢を選択される場合にはいくつかの制限がつきます』
「たとえば作品数が限定されるだとかもってこれる戦力に限定がついたり、ポイント数の制限に基づいたりする、というわけだな」
『その通りです』
良い解答だったらしく、ポイントがまた増える。
「質問。私の場合、すばやくこの状況になれたが、他の候補者が存在した可能性がある。他の候補者に関する情報を閲覧することは可能か?」
『詳しい情報は無理ですが、書面でならば可能です』
「この世界に対してシステムが介入を決断した理由は?」
『人類種は介入が無い場合、所定の歴史を進み、最終的にはターンタイプにより原始時代に戻ります。その後、技術的優位にあるムーンレイスとの接触し、技術的向上を享受、旧世紀、数次の産業革命以上に産業は発展いたします。しかし、工業面での発達は精神面での発達を無し得ません。充分な時間、かつて中世期に経験した諸科学の発展経路を経なかった人類は、精神的にはかなり遅れたまま、宇宙に進出することになります。これは、システム的に種族の自滅傾向を増す以外の可能性を示さないため、修正を要すると判断しました』
「つまり、どのような産業的発展があろうと、人文・社会科学に対して注目を払わないため精神的発展が阻害されると。そしてそのような精神的発展無き発展は種族維持に悪影響であるというのだな」
『その通りです』
「しかし、ターンタイプによる原始時代化を経たとしても、人文諸科学の発展は可能では?」
『いいえ。技術的向上はマウンテンサイクルなどの発掘により進んでいますが、旧世紀、近代期人類の精神的発達の基礎である、人権概念が充分に発達しません。外宇宙に存する知性体との接触において、人権概念―――それに類する観念の発達は、銀河、超銀河的に種が拡散する際に必要となります』
「宇宙に存在する他の文明においても似たような考え方があると?君―――便宜的な言い方だが―――には、そのような認識や知識があると?」
『申し訳ありません。本システムに許された候補者に対する情報提供に関する制限条項に抵触します』
ため息を吐く。どうやら、このシステムとやらは確かに、誰か―――『誰』という呼び方は正確ではないかもしれないが―――によるものらしい。
「了解した。では何故、ターンタイプによる原始時代化の時点ではなく、ここに私を送り込んだのか?―――大体答えの予想がついてきたが」
『システムは、精神科学の低廉化傾向が人類種に発生したのは』
システムがそこまでコンソールに文字を映した段階で私はいった。
「宇宙世紀0079年に起こった一年戦争における、大量の一般市民の死亡」
『その通りです。なぜ候補者はそう判断しましたか?』
面白い。システムという癖に質問をぶつけてきた。
「作品の歴史を見ても、極端な人口減少の主たる要因は一年戦争にあることは確かだ。それに一年戦争で戦死した人口を考えると、青年および壮年層のかなりの人口が減少しているだろうことが予測できる。また、一年戦争での連邦軍の受けた被害は、将校・下士官においてもっとも大きかったもの、と推測できる。まぁ、これはMSや航空機、艦船に配属される人員を考えると妥当な推測かもしれないが」
システムは沈黙したまま。どうやら先を話せと促しているらしい。
「連邦軍がいくら巨大とはいっても、一週間戦争で死亡した人員で、恐らく数年分の正規将校・下士官を失っている。その損害を埋めた上にさらに巨大な艦隊戦力を一年戦争では構築し、それをソロモン、ア・バオア・クーで失い、戦後も0083年のコンペイトウ奇襲やグリプス戦役、ネオ・ジオン抗争で失い続けている。となると、将校に任用可能な知識階級に属する青壮年層が払拭した可能性があり、戦争さえ無ければ、その層が育成したであろう後発の人材が育たなくなった可能性につながるからだ。それに、システムを作成した存在は、少なくとも2045年当たりまでの人類の精神的発達は、許容範囲に収まるものと認識しているらしいね」
『理知的です。納得しました。後半の質問に関しては制限条項に抵触します。申し訳ありません』
ポイント欄の数字が良い感じで増え、25万ポイントで止まった。どうやら、この考えはシステムを充分以上、納得させたらしい。
「そうなると、一年戦争での介入が基本となるし、基本、一年戦争での介入に基づき、グリプス戦役やネオジオン抗争を戦うことになる。しかし、ここで問題になるのが連邦政府の一部が起こしたラプラス事件だ」
さらに切り込んでみる。最初に見た映像がリカルド・マーセナス次期連邦大統領の選挙戦のニュースだったことは偶然ではないし、一年戦争での介入を基本とするなら、どんなに早くても俺が送られるのは50年代のはずだ。宇宙世紀開始以前に送られる必要は無い。
「システムは、そこまで考えて私の転送をこの時代にセッティングしたと私は考えるのだが、いかがだろう?」
『正解です。あの事件の直接的影響は少ないものですが、今後100年の地球連邦政府―――少なくとも、宇宙に関する行政に強い影響力を持つ、連邦移民問題評議会の基本姿勢を固めた点は間違いありません。候補者がどのような行動をとるかは候補者の自由意志に属しますが、候補者が事件への介入を考慮する可能性を考え、このような設定としました』
「そこで質問。これまでの候補者に介入したものと介入しなかったものがいるならば、それらについてのデータがほしい」
『了解しました。先ほどの質問の答えにもありましたとおり、書面で提供いたします』
そこまで考えたところで、時間を確認する。熱が入りすぎたようで、開始から2,3時間ほど経過しているようだ。そこで気づく。
「さらに質問。この初期設定に時間制限はあるか?」
『肯定。残り時間は16時間45分32秒です。表示しますか?』
ほっとした。20時間の中で考えるらしい。この時間に関する質問で、ポイントはさらに上昇。どうやら、いわないままで時間きっかりに切るつもりだったらしい。シビアなことだ。質問を続ける。
「出現時期が宇宙世紀開始以前ということは、年齢に関する問題は?」
『初期設定として不老項目が既にあります。そのため、転送された段階でのあなたの年齢、地球時間換算で満28年4ヶ月23日のまま、基本的には推移します』
確かにコンソールを確認すると、自分の写真の下に「不老」との表示がある。
「初期設定として私が持っているものはそれ以外にはどんなものがある?」
『当システムを収めるこの基地に対する命令権、基地の基本的保守に用いられるバイオロイド兵の生産・命令権、および、黒歴史に存在する全機械文明に関するデータです』
なんというチート。苦笑した。となるとMSの開発に関しては問題がなさそうだ。いやいや、チェックは怠るべきではない。開発項目をチェックしていくと、どうやら、全データとはいいつつも、自由に投入できるのは宇宙世紀以外の作品に関するMSのみらしい。他のMSや技術に関しては、ポイントを消費した上で製造年代に達していなければならないらしい。解除にはポイントが必要。
さらに気づく。宇宙世紀とくればビーム・爆発での即死がデフォルト。となれば、自分の設定についても確認しておかなければならない。
自分に関する項目を開くと、結構すごいことになっている。不死を項目につける場合には15万ポイントの消費。死亡後1年での復活が5万ポイントを下限として、1日後まで累積で拡大する、と。さらに、MSの攻撃に対しての不死、などの限定項目が10万で、現在自分の持っている32万ポイントを考えると、出せない範囲ではない。ただ、ずっとこの外見で介入するわけにもいかないので、変装や年齢変更の項目を見ると、こちらも3万ポイントずつと割高だ。不死設定に年齢変更で18万は痛い。これについては、他の初期設定の余剰ポイントを当てはめるしかないか。
「連れて行く面子が問題だな」
仲間・勢力の項目を見ると、宇宙世紀以外のガンダム登場人物が無条件選択可能で、強いキャラに分類される(たとえばドモン・カッシュなど)ものたちが、10000ポイントを上限として設定されている。これに、他作品のキャラクターを選択可能にすると5000ポイントごとに作品が拡張され、一人ずつにポイントを支払うようだ。
意外に安いようにも思えるが、宇宙世紀のMSとたとえばコズミック・イラのMSでは操作系統が違う。コーディネイター専用OS下や、モビルトレースシステムでの運用から通常MSへの機種転換には、別途ポイントが必要になる。さらに、初期保有MSや艦船のことも考えると頭が痛い。また、自身でデザインしたキャラクターを生成することも可能だ。こちらは、生成時点で持つ能力や、成長性などの項目があり、項目ごとに設定する形になっている。
「この基地の使用権についてだが、詳しく」
『MSの生産ラインが現在4本、艦船のドックが8空いています。拡張にはRPを要します。RPは、この基地の外郭にある直径10km、深さ6kmのプラントへ、適当な小惑星や工業製品を安置していただければ、工業用ナノマシンにより分解、資源として備蓄されRPへ変換されます』
「資源収集については自動化は可能か?それに、基地の運用や保守に必要な人員についてはどうだ?」
『保守・運用に関する人員については、初期設定項目にあるバイオロイド兵に委任しています。候補者はプラントへ資源を供給する必要があります。資源収集に関しては、適当な宇宙用艦船をバイオロイドに委任することで自動化可能です。バイオロイドの増員に関しては、RPを要します』
やはり、資源をもとにして動く以上、かなりのRPを介入が本格化する0079年、つまり85年後までに用意しておく必要があるらしい。これから宇宙開拓時代に入ることになれば、コロニー建設用の資材との競合を起こす可能性もある。
あれから数時間、悩みながらポイントの配分を行ってみた。
悩みに悩んだが、結局、一年戦争が始まるまでにMSを使用した本格的介入は不可能そうだという結論に達したので、MS開発に関する制限こそ取っ払ったが、初期戦力として保有するのはペガサス級強襲揚陸艦(グレイファントム・タイプ)1隻と、現在、地球連邦で運用されている共通規格の汎用宇宙輸送船を5隻と、資源回収用のモビルポッドとした。MSはポイントでいくらか取得作品の拡大を行ったが獲得はせず、『重装機兵ヴァルケン』よりパワードスーツ、『ハイッシャー』を12機、獲得した。基本、一年戦争が始まるまでは特殊部隊によるか、政治的介入が基本となると考えたので、MSは基本、不要だと思う。ハイッシャーは小銃弾程度しか弾けないし、武装も短砲身20mm機関砲だが、これから長く使うことになりそうだ。
グレイファントムとハイッシャーで使ったポイント、26000。モビルポッドと輸送船で10000ポイント。資源回収を加速させたいが、まず基地機能の拡大が必要だろう。これから長い期間については、MSの必要性は薄い。小惑星やデプリ群を集め、RP化する作業が中心になるだろう。
まだ満足な月面恒久都市も出来ていないこの時代、これから半世紀の時間を掛けて、月はおよそ30億の人口を養う、巨大な植民地になっていく。その月面開発計画にまぎれ、この基地の表面部を都市に偽装することまでは考えた。しかし、月面は制限が多いのでは、と思い立つ。
「月面は連邦から見られていることが多いと思うのだが、この基地そのものの場所を移動させることは可能か?たとえば、火星などに」
『可能です。現在の本基地をそのままポーテーションすることが出来ます。ただし、その場合、本基地が現在存在する月面極冠部には、巨大なクレーターが出来ますが』
「たとえば、火星の極冠に移動した場合は?」
『火星極冠部、同緯度同経度の地底には巨大なドライアイスの塊が存在します。基地機能維持にかなりの労力を必要としますが』
「火星の他の部分へのポーテーションは可能か?」
『可能ですが、さらにポイントを消費します』
「RPへの変換は、この基地内のプラントに物体を持ち込む必要があるのだな?」
『はい。ただし、基地機能の拡大をしていただければ、許容限度のある小プラントであれば、他の基地に構築することが可能です』
仕方が無い。色々面倒臭いことになりそうだが、基地機能の拡大が出来るまでは、こそこそとはいまわるしかないわけか。この後、木星、金星、水星と土星についても確認したが、
そこで、資源収集基地を火星の衛星、フォボスとダイモスに設けた。RPに換算するためにはこの基地まで運ぶ必要があるが、宇宙開拓時代を迎えるコレからを考えると、RP欲しさに小惑星を次々にナノマシン・プールに放り込むことは、月を監視する連邦政府の監視網を考えると難しいのではないかと思ったのだ。月が監視されている以上、派手な形で小惑星を持ってくると、政府側の疑念を呼ぶことになる。
ナノマシンの解説の項目を良く見ていくと、ナノマシンは陽子クラスまで物体を分解した上で、RPか別の物質に変換する方式を取っているらしい。つまり、純然たる重さが重要なのだ。たとえば小惑星10tを放り込んだ場合、同重量の資源、もしくは同レートのRPに変換される。RP、ナノマシンはプラントによる管理を受けているらしいので、プラントの性能をRPやGPを消費してあげていくことで、効率が改善されるらしいこともわかった。
そこまで考えてからはっとなったが、外側から見て難しいなら、内部拡張で搬出される土砂をプールに放り込むのも手だと考えた。それに、内部を拡張し、別クレーターなどと地下で連結させてしまえば、搬入した総量をごまかせる可能性もある。地軸点を中心にいくつかの恒久都市を連結させるタイプを模索するのも手だし、他の恒久都市開発の際に出た土砂を引き受けることで、RPを獲得できる可能性もある。
火星基地の設営に50000ポイント。残り約24万ポイント……おかしいな、30万ポイントほどある。
「ポイントが上昇しているが、これは?」
『初期設定内での会話もポイント換算の対象です。これまでの方は、地球圏以外の場所というと、火星か木星にしか目を向けなかったものですが、候補者は他の太陽系天体への可能性を模索しました。また、小規模プラントの可能性について、前もって想定した方は少数です』
どうやら、疑問はすべて口に出したほうが良いようだ。
次に人員のチェック。基本的に呼んだキャラクターには基本項目として不老設定がつくとのこと。ただし、これについては候補者―――つまり私だ―――が判断を下した段階で加齢することも可能だという。よかった。どこの無双キャラを量産することになるかと思った。
さて、宇宙世紀の人材が使えないとなれば他作品、つまり平成ガンダムのキャラクターがまず候補になるが、そこまで考えたところで頭を抱えた。
平成ガンダム最大の特徴と私が思っている大問題。それは……
『登場するキャラクターの能力とコミュニケーション能力が反比例しすぎている』
たとえばGガンダム。主要キャラクター中、一番の常識人といえばレイン・ミカムラ嬢が思い浮かぶが、ライジングガンダムの操縦は別としても、一介のエンジニア・設計者にとどまる。特に彼女の場合、その技術はモビルトレースシステムを導入したMFだから、運用を考えた場合、KYで熱血で人の話しを聞かない(キャラクターとして見ている分には、島本キャラは本当に面白いが、付き合うとなると別だ)彼を使う必要が出る。
システムによると、採用キャラクターは基本的に私に従ってくれるらしいが、『従う』ことが『理解した上で』、『いうことを聞』いてくれたり、『思った通りの行動』をするかどうかは別問題だ(そのことを指摘するとポイントになった。少し悲しくなった)。
悩みに悩んだ挙句、まずカトル・ラバーバ・ウィナー氏を獲得。経済感覚に優れているし、ゲリラ戦の経験も豊富。小隊戦闘も(平成ガンダムのキャラクターにしては珍しく)上手いし、オプション項目の「ウィナー家」をオンにしたら、実際にアラブに富豪としてウィナー家が出現した。ちなみに某主人公や「ごひ」氏などに対する印象を口にしたところ、苦笑しながら同意してくれた。素晴しい少年だ。ポイントに余裕が出来たら、マグナアック隊を呼ぼう。彼には合計5000ポイント以上の価値が絶対にある。
次に特殊部隊運用が基本となるので、5000ポイントで作品拡大を行い、総員合計25000ポイントを使用し、ホテル・モスクワのタイ支部遊撃隊と、の方々にお出で願った。原作でのバラライカ女史の状態が任務の際に問題になる可能性を考え、ポイントを別途消費してアフガンでイスラム過激派に捕虜となる前の段階まで肉体を戻したところ、本人含め遊撃隊全員に狂喜乱舞されてしまった。が、同時に護衛として呼び出していたロベルタ嬢と遭遇した瞬間にCQCを始めていた。
と、ここまでは順調だったが、やはりMSパイロットが悩みだな……カトル氏はMSよりも経済面で役に立ってくれそうだし……