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No.22119の一覧
[0] わたしの幼なじみがこんなにモテるわけがない(俺の妹がこんなに可愛いわけがない)[うどん](2010/09/27 23:59)
[1] ベルフェゴールの呪縛[うどん](2010/09/28 00:00)
[2] わたしの幼なじみがこんなにモテるわけがない その1[うどん](2010/09/28 00:02)
[3] わたしの幼なじみがこんなにモテるわけがない その2[うどん](2010/09/28 00:03)
[4] わたしの幼なじみがこんなにモテるわけがない その3[うどん](2010/09/29 18:14)
[5] わたしの幼なじみがこんなにモテるわけがない その4[うどん](2010/10/03 23:25)
[6] わたしの幼なじみがこんなにモテるわけがない その5[うどん](2010/10/15 01:13)
[7] ベルフェゴールの呪縛 開発チャットログ[うどん](2010/10/19 23:48)
[8] わたしの幼なじみがこんなにモテるわけがない その6[うどん](2010/10/25 15:34)
[9] わたしの幼なじみがこんなにモテるわけがない その7[うどん](2010/11/03 07:01)
[10] わたしの幼なじみがこんなにモテるわけがない その8[うどん](2010/11/12 12:49)
[11] 堕天した獣の慟哭[うどん](2010/11/14 23:17)
[12] お兄ちゃんの彼氏がサークルクラッシャーなはずがない その1[うどん](2010/11/22 22:04)
[13] お兄ちゃんの彼氏がサークルクラッシャーなはずがない その2[うどん](2010/11/26 00:49)
[14] お兄ちゃんの彼氏がサークルクラッシャーなはずがない その3[うどん](2010/12/06 15:34)
[15] お兄ちゃんの彼氏がサークルクラッシャーなはずがない その4[うどん](2010/12/14 23:47)
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[22119] お兄ちゃんの彼氏がサークルクラッシャーなはずがない その3
Name: うどん◆60e1a120 ID:eade24a7 前を表示する / 次を表示する
Date: 2010/12/06 15:34
 私は自分の部屋で、ロックくん作成のネットワークエンジン『マキナドライバ』を解析する。
「……うん、まったく分からない」
 ゲームデータ以外の何かが頻繁に送り出されているが、そもそもこれの解析が出来ない。
 ゲームプレイによって発生した、暗号化されたされたパケットデータは他のPC内で何らかの処理に使われているらしく、それにより、何かが評価されている。
 このゲームのマルチプレイ化は、実質ロックくんが主導されている。
 その際に、私と五更さんが思わず広がりんぐして口走った超壮大な妄想は、恐ろしいことに少なくともシステム的にははほとんど実現されてしまった。
 私は究極のシングルRPGを作っていたんだけど、ロックくんはそのプログラムを含めたあらゆる素材を利用してマルチプレイ化している。
 ポリゴン素材の発注作業もいつのまにか五更さんから原案が上がって来たと思ったら、1日2体ぐらいの速度で携帯ゲーム用のローポリゴンモデルが仕上がってくる。キャラクターの輪郭や陰影が強調されてアニメ調になるオリジナルトゥーンシェイダー自体は私が書いたけど、それに対応したモデルを量産できる沙織さんも常人ではない。

「いやいや、美少女や美少年は『統計的に平均化された顔』ゆえ、既存の素体データを加工すれば新キャラ完成になるでござる。味のある顔なんかより、よっぽど簡単なのでござるよ」

とは言っていたけど、それでも凄い。
 どうやるか全く考えずに口走った「ひとつとして同じシナリオにはならない」も、五更さんにも私にも理解できない仕様で実装された。仕組みの説明はされたけど、『エクスコア』というAIプログラムがゲームプレイやシナリオ自体を制御しているということ以外は理解できなかった。
 
「どうしたんだ、瀬菜ちゃん?」
 お兄ちゃんが、パソコンの前で唸る私の机にホットミルクとクッキーを運んできた。
「年下の男の子が書いたプログラムが難し過ぎて、分かんないの!」
 お兄ちゃんにはパソコンについて詳しいことを言っても分からないから、大ざっぱに説明する。
「大丈夫だよ、瀬菜ちゃんならきっと分かるよ」
 お兄ちゃんが、私の机の上のBLアンソロジー本『アラフォー受 漢全攻略(田亀源五郎ほか著)』をどかしながら、ホットミルクを置く。
「エクスコアとマキナドライバってプログラムなんだけどね、ぜんっぜん意味が分かんないのよ」
 お兄ちゃんは、にこにこ笑いながら『アラフォー受 漢全攻略』を、私の本棚に戻す。
「……ちょっとお兄ちゃん! それはVol16でしょ。なんで『肉体派』アンソロジーの11と12の間に仕舞うのよ!」
「ご、ごめんな瀬菜ちゃん!」
 お兄ちゃんは、私が『ちゃんとしてない』ことが大嫌いだって知ってるのに、なんでこんなに大雑把なのかな。
「え、えーと、ほらなんだっけ、エクスとマキナだっけ?」
 私はいつもどおりお兄ちゃんに『ちゃんとしなさい』『ずぼらな性格を治しなさい』『そろそろ彼氏を作りなさい』の3点セットの文句を言おうとするのを遮って、お兄ちゃんが言った。

「ちょっと待ってお兄ちゃん! 『エクスマキナ』って、なんか聞いたことがある感じがする!」
 なんだっけ? とても有名な言葉だった気がする。
「よし、瀬菜ちゃん! 早速ググってみるんだ!」
 私は早速ググってみる。エクスマキナ……と。
「日本製CGアニメ映画……評価65点。CGは頑張ってた、らしいね」
「なるほど。意味が分からんことは分かったよね、瀬菜ちゃん」
 どこかで聞いたことがあるような気がしてたのは、気のせいじゃなかったのか。


「……ねえロックくん、エクスコアとマキナドライバって結局なんなの?」
 ロックくんが、お姉さんに用があるとかで学校に来たついでに、部室に直接遊びに来た。普段はスカイプで会議が中心になるから、会うのは久しぶりだったりする。この機会に私は、恥をしのんで直接聞いてみることにした。
「……なんのことかしら? 聞いたことがない名前ね」
 たまたま居合わせた五更さんが、横から口を挟む。
「あれ? 説明しなかったっけ。エクスコアはプレイ動向を判別してプレイヤーの趣味趣向やゲームの腕前を分析し、そのつどゲーム内容を作っていくんだ。マキナドライバはエクスコア用の評価データも込みで送り出すんだぜ」
 ロックくんは、得意げに説明する。
「難易度は勝手に自動調節されてるっていうの?」
 そういえば、開発者のうえにゲームの腕にはちょっと自信がある私が『やりごたえがある』と思うレベルが、普通のプレイヤーにとって『無理ゲー』に近いのは想像に難くない。
 しかし、難易度に関しては、誰からも文句が出ていない。
「柔軟かつ流動的にプレイヤーの腕前や好みに合わせる、と言ってくれよ」
 ……確かに、誰に聞いても一様に「ちょっと手ごたえがある」と答えている。私や五更さんのようにゲームが得意な人でも、高坂先輩や桐乃ちゃんみたいに下手な人でも同じように答えるというのは、本来ならば有り得ない調整だ。

「……このゲーム、そこまでリアルタイムに難易度を調整してるのね」
「難易度だけじゃないぜ? ゲーム時の入力の癖やプレイスタイルから、プレイヤーの人格まで評価抽出してるよ。でなけりゃ『性格がそっくりなNPCのAI』を作れないじゃん。あと、2度と同じ展開にならないシナリオも」
 ロックくんは、元来一本道だったシナリオを全部イベントレベルにまで分解して、それを毎回プレイごとに替わるけどそれでも筋道の通ったシナリオに見えるような造りに変えていた。
「……ということことはつまり、ゲームそのものが行き当たりばったりになってるのかしら?」
 さすがの五更さんも、自分のストーリーの順番や配置がバラバラにされて毎回再構築されるように改変がされたことを静かに怒っている。
 五更さんは、いくらテストプレイしても自分の立てたシナリオどおりに進まないことに苛立っていたから、無理もないかな。
「……なんでこんな複雑なシステムにしたのかしら?」
「え? だって言ったとおりのことを全部一番マトモな形で実装したらこうなっただけだし。難易度どころかシナリオまでが実はプレイデータを参照しながらリアルタイム生成されてることも、誰も気づいてないじゃん?」
 私と五更さんを含めて、という言葉をロックくんは省略した。正直、シナリオだけは最初に生成してると思ってた。

「そ、そんなことまでできるんだ……」
 ゲームを作ったことがあるならば、これがどんな離れ業か分かると思う。プレイヤーが望むシナリオ・展開をAIが推測して繰り出してくるってことなんだから。
「まあ、プレイ時間が長ければ長いほど、詳細なプレイヤーの人格分析が出来る。逆に言えば、短時間のプレイだったら大まかなことしか分からないってことだな。プレイすればするほど、人格がはっきりと分析できて、それがゲームに反映される……って言ったの、黒猫さんじゃん?」
「そ、そんなこと……言ったかしら」
 ……私は覚えてる。なぜならばそれは、私が『ムリ』と即答した仕様だから。なにこの『漠然とした制作意図から自分で設計を進められる人』! あなたスクエアエニックスならスクリプターの契約社員になれるわよ! よその会社だったら開発スタジオくれるだろうけど。


「ロック、げーむはちゃんと出来てるの?」
「おうよバッチリ! 『デウス』モジュールももうすぐ完成だぜ姉ちゃん!」
「『でうす』ってなーに?」
「へへっ! ……俺たちが、神様になるゲームだよ。姉ちゃん」


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