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No.22119の一覧
[0] わたしの幼なじみがこんなにモテるわけがない(俺の妹がこんなに可愛いわけがない)[うどん](2010/09/27 23:59)
[1] ベルフェゴールの呪縛[うどん](2010/09/28 00:00)
[2] わたしの幼なじみがこんなにモテるわけがない その1[うどん](2010/09/28 00:02)
[3] わたしの幼なじみがこんなにモテるわけがない その2[うどん](2010/09/28 00:03)
[4] わたしの幼なじみがこんなにモテるわけがない その3[うどん](2010/09/29 18:14)
[5] わたしの幼なじみがこんなにモテるわけがない その4[うどん](2010/10/03 23:25)
[6] わたしの幼なじみがこんなにモテるわけがない その5[うどん](2010/10/15 01:13)
[7] ベルフェゴールの呪縛 開発チャットログ[うどん](2010/10/19 23:48)
[8] わたしの幼なじみがこんなにモテるわけがない その6[うどん](2010/10/25 15:34)
[9] わたしの幼なじみがこんなにモテるわけがない その7[うどん](2010/11/03 07:01)
[10] わたしの幼なじみがこんなにモテるわけがない その8[うどん](2010/11/12 12:49)
[11] 堕天した獣の慟哭[うどん](2010/11/14 23:17)
[12] お兄ちゃんの彼氏がサークルクラッシャーなはずがない その1[うどん](2010/11/22 22:04)
[13] お兄ちゃんの彼氏がサークルクラッシャーなはずがない その2[うどん](2010/11/26 00:49)
[14] お兄ちゃんの彼氏がサークルクラッシャーなはずがない その3[うどん](2010/12/06 15:34)
[15] お兄ちゃんの彼氏がサークルクラッシャーなはずがない その4[うどん](2010/12/14 23:47)
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[22119] お兄ちゃんの彼氏がサークルクラッシャーなはずがない その2
Name: うどん◆60e1a120 ID:684a1f32 前を表示する / 次を表示する
Date: 2010/11/26 00:49
「……す、スマートフォンくれたぐらいで、アンタのこと許したりなんかしないんだかんね!」
 桐乃ちゃんは、待ち合わせのドーナツ屋で大大大好きなお兄ちゃんを親友に取られたツンデレ妹丸出しのような勢いで、五更さんから顔を背けた。
 そう言いながらも、ちゃんと呼び出しに応じたのは偉いかな。

「……あ、ありのままに起こったことを今話すわ。わたしが2日ぶりにゲーム研究会部室に来てみたら、部室がゲーム開発会社みたいになっていた。お遊びの同人サークルとかそういうレベルでは断じてないわ」
 五更さんは、桐乃ちゃんの怒りに思うところがあるみたいだけど、をとりあえずはスルーしていきなり本題から切り出す。

「まず部室のパソコンがことごとく新しい機材に変わっていた。次に、全員が高性能Android端末を持っていて、しかもいつのまにかiPhoneとのクロスプラットフォーム(同時開発)環境まで完成している。そしてわたしには、Mac miniとAndroid端末とiPod touchが支給されていた」
ここまで言い切ると、五更さんはウーロン茶を啜った。
「それどこのスクウェア絶頂期?」
 桐乃ちゃんは、半分馬鹿にした調子で応える。
「……ついでに、なぜか部室にwiiも5台あるの」
「なんでそんなに資金力があんの? あの甲斐性がなさそうな部長に」
 そういえば、ゲー研と桐乃ちゃんは今年の夏コミで面識が出来たのでした。
「桐乃ちゃんの幼なじみのロックマンという男の子が、スマートフォンを使った錬金術で手に入れたものなんですよ」
「ロックマン……っていわお? 地味子の弟の? なにそれせなちー、意味わかんないんですけど」

「……特定のスマートフォンをゼロ円で買うと、なぜか1台につきお金が3万円づつ貰える&2台以上同時に買うと漏れなく1台wiiも付いてくるという錬金術よ。しかもそのタダケーが、ゲーム開発には最適の機種だった……そういうことよ」
「なにその世界の矛盾! ご都合主義? なんかそれ超ご都合主義じゃない?!」
 桐乃ちゃんは普通にツッコむ。そりゃそう思うよねえ……。
「そんなご都合主義、ムシが良すぎて思いついても使う人間なんていませんよ。そもそも事実なんだからしょうがないですか。なにより、そのムシのいい話の利益を一番受けたのは他ならぬゲー研なわけだし……」
「……もしかしたら、メーカーはこういう若い真性のハッカーにこの機種をバラ撒きたかったのかもしれないじゃない。そして見事この機種をゲットしたロックマンは紛れもなくハッカーだし、最低でも赤城さんと同レベルのプログラミングスキルがあると思う」
 五更さんは、私の感想を引き継いで話を続ける。 
「いやいや、同レベルなんてとんでもない! 私はロックくんの作ったものがかろうじて理解できるというレベルで、とてもあんな前衛的なコードは書けません……」
 実はロックくんのプログラムは、私の目をもってしてもソースコードレベルで奇天烈すぎて『とりあえず目的どおりに動いている』ということしか分からなかったりする。
 要するに、『バグってない』ということしか分からないのだ。

「わたしだって多少はプログラミングをかじっているのだけれど……確かにあれはコンピュータにしか理解できないタイプのプログラムだわ」
 独学でかじった程度の五更さんや、多少は本腰を入れているけどまだまだ半人前の私ですらそう思う。
 このコードは私たちが産まれる前のプログラマのイアン・ベルやナーシ・ジェベリが書いてたような『呪文』そのもので、現代の『誰もが理解しメンテナンスできる』というプログラミングの哲学とは明らかに対立してる。
「しかも、それをわざとやっているんですよ! パフォーマンスを上げるために! く、くやしい……! でもロックくん自作のグラフィックエンジンに換装したら3倍以上軽くなったから使っちゃう!」
 ナーシ・ジェベリが作ったゲームは『本人以外には移植できない』ことでも有名だった。他人には、何がどういう機能を果たしているのか理解できなかったからだそうだ。だからファイナルファンタジー3は、見ながら仕様を書き起こして完全に1からプログラムし直した別モノのDS版まで移植されたことがなかったのだった。
 ロックくんのプログラムは、仕様を必要充分以上に満たしていることしか理解できない。

「あと、彼のネットワークエンジンのおかげでwifiや無線のマルチプレイにも対応したわ……正直これの実装は諦めていたのだけれど」
 マルチプレイ実装の煽りでシナリオの大幅追加と改変が発生した五更さんが、溜息混じりに脱帽する。彼女が時速6キロバイトで書いているスクリプトを、それを上回るスピードで実装して追い立てているのだ。
「うそ! このゲームの自由度でマルチプレイ出来るの?! まじ神ゲー……あわわ、まあまあ、すごいじゃん?」
 しばらくの沈黙の後、桐乃ちゃんが切り出す。
「言葉の意味は半分ぐらい分かんないけど、だいたい分かった。ねえ黒猫、せなちー……つまり、現状は『いわおTUEE! いわおSUGEE!』のいわお無双状態ってワケ?」

「うん……」
 私は認めた。
「……そうね」
 五更さんも認めざるを得ない。

 いわお君の一騎当千というか、冗談抜きでアメリカの一流大学院出のリードプログラマ10人分ぐらいのプログラミング能力により、ゲームに対する夢や希望が自分たちの実力を超えて実装されている。特に、五更さんの書いた超分厚い設定資料集が、全部ゲーム内に『世界の謎を探求する断片』として実装され、完全に飲み込まれた。あの電波設定を全部飲み込んたうえで私のガチホモRPG『強欲の迷宮2』の設定まで貪り食われ始めている。
 私が書いてたのはBLゲーなのに、実装すると丁度世界の足りない部分をほぼ補完する形にぴたりと納まるのだ。
 部長は五更さんの百合と私のガチホモで中和できると思っていたけど、実際に出来たのだ。ただし、ロックくんという触媒を経て。
 まるでゲーム開発というより、私や五更さんの煩悩や毒電波をゲームという形で際限なく吸い込まれていくブラックホールみたいだった。

「ロックくんのおかげで、システムは従来の5倍以上の効率で組みあがっていってます。この特にネットワークエンジンは秀逸です……ただ、設計思想自体が理解不能で謎の機能が内包されてるんですけどね」
「謎の機能って、なに?」
「……ひとつとして、同じ展開にならなのよ。そのうえ通信した先には自分そっくりのNPCが現れて、自分そっくりの行動をするようになるの。これは、そういうRPG。いまだかつて存在したことがない形態のね」


「おーい麻奈実、ロック。行くぞ!」
「はーい、きょうちゃん」
「待ってくれよ、あんちゃん。今いいところなんだよ!」
「俺の彼女の黒猫と赤城のゲームを手伝ってくれてるのはありがたいが、おまえじゃ足手まといになってねえか?!」
「大丈夫だよ、きょうちゃん。ロックはすーぱーはかーなんだもんね」
「オイラとしても、渡りに船だった。作りたいものを五更&赤城先輩のゲームに実装できそうなんだ」
「ロックの作りたいものって、何だよ」
「聞いて驚けあんちゃん!『神様ツクール・デウスとエクスとマキナ』ってんだ」
「そっか、それどんなギャルゲー?」
「すげえギャルゲー、さらに言うなれば、超すげえギャルゲー」
「わかんねーよ、アホ」
「ロックはいつでもそうなんだよ、きょうちゃん。絶対五更さんとも赤城さんとも『仲良くする』から安心して」


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