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No.2211の一覧
[0] こんなかたち[RF](2007/11/22 19:56)
[1] こんなかたち[RF](2007/12/01 17:00)
[2] こんなかたち[RF](2007/12/16 14:29)
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[2211] こんなかたち
Name: RF◆10908014 ID:5c21def3 次を表示する
Date: 2007/11/22 19:56
                  


オラクル騎士団特務師団長私室

「これで終わる―――いや、始まるのか・・・」

 呟いた言葉にはこの世界に生まれてから今に至るまでの全ての想いがこめられていた

「ヴァン、私は―――」
         こんなかたち


宗教都市ダアト オラクル総本部

 一人の兵士が慌しげに廊下を駆けている
 もちろん彼にはある目的――報告があってこうして走ってるのだが

「謡将!クリスト謡将!」

 報告を受けるべきの軍部統括で騎士団トップのアッシュ・クリストが何処を捜しても見つからないのだ

「どうした?騒々しい」

 そんな彼に救いの女神が現れる
 容姿の美しさ、戦場での苛烈さ、普段の面倒見の良さから騎士団で最も人気のある女性でありアッシュの副官のリグレットだった

「ハっ!クリスト謡将に緊急報告があります」

「緊急?閣下には私から報告しておく、話せ」

「八!ダアト港近辺にて大型の海棲系モンスターが出現!キムラスカより航海していた定期船がこれに襲われ難破しました!現在難破した船のクルー及び航海客の救助のための捜索隊を編成しておりますが二次被害の事を考え護衛艦として海洋装甲艦ポセイドンの使用許可をいただきたいのですが」

「許可する。アリエッタも同行させよう。飛行系のモンスターに救助を手伝わせればそれも迅速に行えよう」

「ありがとうございます!失礼します」

 兵士は一礼し去っていく

「・・・最近この手の事件が多くなってきたな」

 呟いてここにいないアッシュへの報告は後に回し海洋装甲艦の正式な使用許可証の発行と妖獣騎士団への出撃命令を下すためリグレットは己の執務室へ急いだ。
 その途中で、そういえば自分の上司は一週間前からキムラスカに入城しており、昨日の昼に戻るはずだったのを急遽一日滞在を延ばし、そろそろ港に着くはずの定期便に乗っているはずだった事を思い出し――その時点で早足だった歩みは駆け足をすっ飛ばし全力疾走に変わっていた


 一方その上司はというと

「・・・何があった?」

まだ状況がよくわかってなかった

 イカのようなタコのようなよくわからんモンスターが襲撃してきた時に彼は二日酔いと船酔いのダブルパンチでノックアウト状態だったのだ

 げに恐ろしきはファブレ公爵の飲みっぷり。
 最初は公爵の子息で順当にいけば次期王になると噂されるルーク・フォン・ファブレを――オリジナルを見てみようというただの好奇心からだったのだが、ファブレ公爵がどうしても顔をみせたくないのか、病気で伏せっていると言われ追い返され――その話をしている時「親父ー、客かー?」という声が聞こえた――ルークとは会えなかった。

 だがアッシュは「三顧の礼、三顧の礼」などと、ここまで来たら意地でも会ってやろうと連日面会を求めた。

 それが功を奏するはずもなく、追い返される日々だったが滞在を延ばしてまで足を向けた彼に公爵が宴を催したのだ

 そこで重ねられる杯、杯、杯にもともとお酒に耐性の少ない彼はあっさり潰れてしまったのだ。その一因にまるで水でも飲むかのような勢いで酒を呷る公爵がいた。

そんなこんなで彼――アッシュはピンチに陥っていた。

「・・・酔い死ぬ」

「総長!大変です!」

「モンスターがこの船を、ってなにやってんです?」

「・・・・・」

 すでに答える気力もなくしている彼ではあったがここまで同行してきた二人の部下の言葉でおおよその事態を察し命令を下す

「客の避難を急がせろ。脱出艇が付いていたはずだ」

「しかしまだモンスターは・・」

「俺が抑える、急がせろ」

 部下の懸念に答えを返しぐらつく頭をかかえながら甲板へ急ぐ

 待っていたのは奇怪な容姿をしたモンスター。うねる触手もあいまって気色悪さは五割り増しだった

 いかん、本当に死ぬかも

 そう思わせるぐらい体調は悪かったが退く気は無かった
 ここで退けば犠牲になるのは自分だけではないのだ

「・・・いや、やはりここで討つ!」

 弱気になっている自分を奮い立たせるため気合を入れ剣を抜き放つ

「魔神拳!」

 衝撃波が甲板を走り触手の一本を吹き飛ばす
 
 喰らえ――

「襲爪雷斬!」

 最初に吹き飛んだ触手に気をとられたモンスターに高速で近寄り全力の一撃を叩き込んだ。
 体調は最悪で技のキレもいまいちだったが

 仕留めた

 そう思わせるくらいの手応えだった
 
 だが

「生きてる!?」

 焦げ臭い臭いはこちらの攻撃が有効だったことを知らせており、見てもやはり瀕死に近い。だがそれでも動いていた。

 そこで攻撃された怒りから凶暴になるならわかる、怯んでくれるならありがたかった。だが変わってない。最初にこのモンスターは船に触手を巻きつかせ圧壊させようとしていたが、それ以外には興味がなさそうだったし、今もそちらを優先しているようである。攻撃したアッシュすら無視してだ。

 いや、邪魔されると判断したのか触手が数本こちらを狙ってきた。しかし船の破壊を優先しているのかどこか散発気味だ

「こいつ――!!」

 なんとかしなければという焦りと体調の悪化がアッシュの身体の動きを縛っていく。

 そして遂に触手の一本がアッシュの身体を打った

「ぐあっ!」

 くそっ、こんな

「アッシュー!」

「アリエッタ!?」

 フレスベルクと呼ばれる飛行モンスターに乗っているのは六神将の一人で妖獣の二つ名を冠する彼女だった

「フレスベルクお願い!」

 彼女の願いを聞き入れ怪鳥は氷の吐息を打ち出す。
 狙い過たずアッシュを狙う触手に直撃し凍らせる。続けて撃ちだされた次弾も船体に絡みつく触手を直撃する。

今度こそ仕留める!

「飛燕瞬連斬」

 凍った触手を斬り砕き本体へ走る。そして

「これで終わりだ!絶破烈氷撃!」

 凍らせると同時に衝撃波を打ち込み砕く
 触手のように氷ごと身体を砕くことは出来なかったが致命打にはなったのか動きを止めて徐々に海中に没していく

「アッシュ!大丈夫ですか!?」

 フレスベルクから少女が降りてくるが

「も、むり」

 とだけ呟いて彼は倒れた

「ア、アッシュー!?」

 薄れ行く意識の中で

「アリエッタ、状況を報告しなさい!」

 遅れてやってきた副官の焦った声が聞こえてきた気がした
「ご無事で何よりです、閣下」

「・・・嫌味か、それ」

「嫌味と取られることをしたのですか?」

 あの後モンスターから毒でも受けたのかもという憶測から慌ててダアトの医療班を引っ張り出し診させたら

「二日酔いと船酔いですね」

 という診断結果を聞いてリグレットは安心するより呆れてしまった

「本当に心配したんですからね」

「悪かったよ、反省してる」

「・・・けれど少し安心しました」

 体のことではあるまい。では何だろう?

「一年前から閣下は――アッシュは笑うことが少なくなっていましたから」

「・・・・」

「お酒を二日酔いするまで飲むなんて信じられなかったわ」

 わざわざ名前に言い直してつづく言葉は気安い口調にするのは家族として心配しているのだろう

「大丈夫だよ。きつかったらちゃんと言う」

「そうしてちょうだい」

 そして二人で笑いあう
 こんなやりとりさえ懐かしく感じるのはそれだけ疲れていたのだろう
そして心配させた

「ゴメン」

 小さな声で謝罪を口にする

「ん?何か言った?」

「いや、それより今回の件、何が原因だと思う?」

 話は公的なものへ移り口調も改める

「・・・推測ですが、やはり魔界の瘴気が原因かと」

「やはりそれしかないか」

これまでに見たことのないモンスターであったこと
痛覚などないように動いたこと
調べたモンスターの亡骸から分かったことだが、最初に吹き飛ばした触手は完全に再生していた――異常な回復力

 瘴気が原因というのは状況だけならいやというほど整っていた

「外郭大地も限界が近づいているということか」

「・・・一人で抱え込んじゃ駄目よ」

「わかってるって、空席の六神将もなんとかしなきゃいけないし、仕事が多いよ」

「本当ね」

 ああ、本当に――

「問題は山積み、か」


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