~前書き~
この作品はいろんな神話を参考に作っているので世界観はまだ確定していなく不安定になっています。タイトルはまだ未定なのでおいおい決定させて頂きます。
内容は大学生のスポーツマンが異世界に召喚されるところから始まります。
頑張りますので生温かい目で見守ってください。
では、よろしくお願いします。
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「アッシリア様いけません、私が怒られるのですよ」
いつもの口うるさいメイドがあたふたしながら付いてくる。
「少しだけなら平気よ」
「少しって、その少しのせいで別荘を吹き飛ばしたのは誰ですか?」
先日、城からほんの少し離れた所にある旅人を旅泊させる別荘を探検しているうちになんか不手際か私が爆発させてしまった。その時に別荘は誰もいなかったからよかった。
「・・・私に堂々とそんな嫌味が言うなんて貴女ぐらいよ」
「私がアッシリア様を止めないと誰が止めるのですか。いつも言っていますが元気に遊ぶのはよろしいですけど、危険なことはいけないと・・・・・って、アッシリア様!? アッシリア様はどこに!?」
ミレーユにいつも言っているけどあまいのよ。
さて、やっとあの部屋に入れる日が来たのね。
昔からあの部屋にはお父様、お母様にはいっていけないと言われていたけれど、やっと鍵を手に入れることに成功したんだから入るしかないわ。
兵士は・・・いないっと。
薄暗い地下への階段をトントンと軽やかに鼻歌をしながら下りていく。
階段を下りると少し広い空間に威圧感のある大きな扉があった。
私は王家の血筋しか使用できない魔法の鍵を使い重い扉を開けた。
・・・・驚くほど簡単でつまらない。
しかし部屋の中を見ると私が見たことのない物ばかりで溢れていた。
「これは、もしかして本で読んだことがある異世界の物!!?」
近くに黒い箱があり中を見ようとするが蓋がない。黒い箱にボタンがあることを見つけ押すが反応がない。
「ん~、壊れてるのかな。あれは?」
白い布を外すとそこには鏡があった。
「わぁ、なにこれ。すごい綺麗に映ってる。こんな鏡があるなんて」
青銅などピカピカに磨いてもこんなに綺麗には映らないし大きさも私ぐらいのサイズの鏡なんて初めて見た。
白いよく跳ねる球や鉄の棍棒。服。靴。袋。布。飾り物。私が見たことない物ばかりで好奇心が止まらない、抑えられない。この場所に来られて本当によかった。
「ん、あれ? これって」
気付かなかったけれど床に魔法陣が描かれていた。この魔法陣も見たことがなかった。魔法陣の上にある道具を全部どかすと微かに輝き始めた。
反射的に魔法陣に手を乗せた。
「―――!!?」
魔法陣が眩いばかりに輝きだす。
頭に何かが侵入してくる。何かが。分からない何かが。身体中が痺れる。魔法陣から出る事はおろか手を離すこともできない。
何かが召喚される感覚。何かが来る。すぐそこまで来ている。
頭が痛い。首が。胸が。
来た。
来た。来た。来た。来た。来た。来た。来た。
そして、魔法陣の光に包まれた。
「・・・・・・ん、あ・・・れ?」
少しの間気絶していたのか床に倒れていた。
立ち上がろうと右手を床につくと、ジャラ、と金属音がした。
「なにこれ?」
右手首に鎖が繋がれていた。それも黄金のような鎖が部屋の壁に続いている。
壁を確認するが特に問題はない。この鎖はおそらく魔法の鎖であり壁の向こう側へと繋がっていてその最終点に召喚したモノがいるはずだと確信する。
急ぎ部屋から出て階段を上っていく。部屋に鍵をし忘れるほど急ぎ心では慌てていた。
鎖を辿り廊下に出ると兵士達が廊下を走っていた。続いてミレーユが前方から慌てた様子で来た。
「アッシリア様!!御無事で」
「どうしたの、ミレーユ。皆慌てて」
「侵入者です。暴漢です。いきなり更衣室に現れて」
ミレーユはあたふたしながら手振り身振りしながら伝えようとするがよく分からない。
「落ち着いてミレーユ。それでも私専属のメイドなの?」
「はい、すみません」
大きく深呼吸して、一つ、こほん、と咳をして落ち着きを取り戻した。
「侵入者が更衣室に現れたのです」
「変態が現れたのね」
こんな時に変態? それに変態一人ごときにうちの兵士は慌てすぎ。鎖を辿り再び歩もうとすると。
「それと、皇子殿下かが侵入者に敗れたと」
振り返り目を見開いた。驚愕。この驚きは隠せなかった。兄様が、敗れた?
皇子でありウヌグ帝国屈指の強さを誇る兄様が敗れた?
そんな、馬鹿なことが。ならば侵入者は敵国の強者か・・・・
「・・・・まさか、それで兄様は!?」
「命に別条はないと」
「よかった・・・・!!」
何故思いつかなかった。そうだ、侵入者は私が召喚したモノだ。おそらく、いや、絶対にそうだ。
この鎖の先にそのモノがいるのか。私は凄いモノを召喚したのだな。
しかし、そんなモノが私に扱えるかどうかわからない。とにかく急ぎそのモノの所へ行かなくては。
ピーーーーーッッッ!!!!
笛の音が聞こえる。侵入者が発見された合図だ。窓から外を見ると庭園で兵士に囲まれている人間がいた。鎖もその人間の方へ向かって続いている。
「アッシリア様!!危ないです!!」
ミレーユを振り切り、私は窓から飛び出した。