「ハッ」
雪広あやか流という合気柔術なのですが、武芸百般というのは本当の事のようで
「やっ」
オリジナルの技まで開発しているんですから凄いです。
「相坂さん、なかなかやりますわね」
古さんとの相手をしてもらうのと違って私が怖がって防戦一方になることもないので
「いいんちょさんが相手の練習は楽しいです」
「さよ、ワタシとやるのは楽しくないアルか」
「古さん、そんなことはないですよ。私の実力だとまだまだ古さんの相手をするには早いと思うんです」
「それなら良かたアル。強くなるよう練習するアル」
ウルティマホラが開催される時は体育祭の時期と重なります。
学園都市にある学校が同時期に体育祭を行い施設の都合、人数の多さの問題のために、各生徒は自分の出場する競技をクラス内で決める必要があります。
ただ学年毎に参加できる競技に割り振りがあるので、得意な競技があるとは限らないのですが。
例えば徒競走では1-Aからは陸上部の春日さんと毎日新聞配達をしている神楽坂さんが出るといったような形です。
基本的にウルティマホラが開催される日は一般の競技は行われないので気兼ねなく参加したい人は参加できます。
ウルティマホラの予選は年齢の近い者同士行われていき、勝ち残って行けば徐々に年齢が離れた人達との相手となるのですが、つまり今この施設で練習している人同士で本選のための予選を行わなければならなくなるということです。
「いいんちょさん達はウルティマホラに出るんですか」
「武芸は護身術として嗜んでおりますので大会には出ませんわ」
「拙者も修行ができるだけで結構でござるよ」
意外にも楓さんは出ないそうです。
忍者だと聞くと「拙者は忍者ではないでござる」といつも言っていますから一応隠すつもりなのでしょうか。
こうなってくると結局出場するのは古さんと鈴音さんと私の三人ということになりました。
鈴音さんはここでの練習に毎日来てはいないんですけどね。
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精霊やってると壁とか床というものに本当に縁がない。
《クウネル殿、わざわざ超鈴音を連れてここまで降りてくるのに時間がかかるのですがもっと近道ありませんか》
「いつ言い出すかと思っていたんですがね。ここの奥に地上への直通エレベーターがあるんですが気づいていないのですか。超さんを面倒な方法で連れてくるあたりわざとやっているのかと思って私も道を用意したのですよ」
《あの奥ってただの空洞ではありませんでしたか》
「いつも色々無視して突き抜けてくるものだから空洞だと思ってるだけだと思いますよ」
こういう事だ。
半透明の姿に慣れすぎているとそういった乗り物というかこの類の物の事を失念しやすい。
《どうやらその通りのようです。次からは使いますよ、便利な乗り物。ところで私から言うのも何ですが超鈴音は魔法を世界に公表しようとする計画を持っていたんですよ。要するに本来はクウネル殿とこうして会うということには絶対にならなかった筈なのですがね。代替案が見つかって現在進行形ですから》
「そんなことまで私に話して良かったのですか。最近本当に口が軽くなりましたね」
《真面目に協力してもらいたいというのもありますが超鈴音は正真正銘ナギ・スプリングフィールドの子孫ですからクウネル殿も何か思うところがあるのではないですか》
「それまた爆弾発言ですね。私がここで果たす約束よりも先に更にその先の血縁者ということですか、面白い。なるほど、火星人で未来人ということですか」
《色々と代償を払ってたった一人でここまでやってきたんですよ。私はナギを見たのは10才のまほら武道会の時がほとんどですが、無茶なところは似ていると思います》
「あの頭の良さや話し方、苗字など大分似ているかと言われると同意できかねますが、確かにたまに仕草が似ているかもしれませんね。しかし、未来を変えてしまえば彼女は結局…」
《既にこの時間軸にやってきて定着している時点で、未来が変わったからと言って身体が私みたいに薄くなって消滅なんてことはありえませんよ》
「彼女は未来には戻らないのですか」
《戻らせるわけには行きません。超鈴音が未来に戻れば長時間跳躍に身体が耐えられず反動で死にますから。少女がそういう事になるのは世界の損失なのでしょう。安全に未来に送るならば100年冬眠させる方法がありますけどね》
「私としても美少女の死というのは避けたいですね。しかしその方法は時間跳躍と言えるのですか」
《クウネル殿も似たようなもの使ってるんですから気にしてはいけませんよ。過去を変えるのは大変ですが未来に逃げるだけなら簡単ということです。今日が嫌なら明日になるまで安全な場所で寝ていればいいだけなのですから》
「確かに今の私のようなものですね。時間旅行者としては、方向は違いますが同じようなものということですか」
《そろそろ超鈴音が図書館島に着くので先程の近道で連れてきますよ》
「私としても今の雑談で彼女とはただの他人という訳ではなくなりましたし楽しみにしていますよ」
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《超鈴音、ウルティマホラも近いですが待っていましたよ。今日はエレベーターで行きましょう》
《翆坊主、何故前回それを使わなかたネ》
《一度ぐらい冒険を、と言いたいところなんですが忘れていただけです》
《昨日茶々丸のメンテナンスで翆坊主の親戚みたいのが実体化していた映像を見たがそんな非常識では世間でやていけないヨ》
《もうご存知ですか。あれもただの容器なので使ったら放置するだけなので今のところ困ってないんですよ》
《あの神木は本当に木なのか気になてくるヨ…》
《やりましたね》
《わざとネ》
他人がこのネタを使うとは思わなかった。
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「クウネルサン、前回来た時も思たが滝が周りにある空中庭園というのは風流なものだナ」
「そう言ってもらえたのは数年振りですよ超さん。精霊殿はこれよりずっと良い映像を見すぎていて特にコメントした事がありませんし」
《実際幻術の効果貼りつけてるだけなんですから、実物と比べられてもと思いますよ。空洞なのは事実ですけど》
「翆坊主、どんな映像見たことがあるネ。火星は荒野だたから興味あるヨ」
《超鈴音、クウネル殿、少し私の近況報告といきます。既に第二世代の神木は火星に到着しテラフォーミングを開始しています。しかし重力、大気組成、魔分の問題がありますから数ヶ月と言うところだったのですが実際もっと掛かりそうです。海だけは用意したいので氷が溶けるまで時間がかかりますし、これにも重力が関係ありますから。最速でも一年以上というところです》
「キノ殿、早い方がいいとは言っていましたが既に始まってるんですか」
「宇宙船使い終わたのなら研究させて欲しいネ」
《少しいきなり過ぎました。まあ遅かれ早かれということで納得してください。色々終わったら使っていいですが地球に戻すのがまた面倒なので当分お預けですし、公然と使えるようにするためには世界征服して下さい。火星と魔法世界の同調が現実化してきたということは人間と亜人との接触という新たな問題が起き、結果として魔法が世界に公表されるのも近いということですから。ファーストコンタクトは重要ですよ》
「それは確かに失敗できませんね。しかし、こちら側に同調させる必要はあるのですか」
《クウネル殿は知らないかもしれませんが、魔法世界は第二世代の神木がなければ今から11年程で崩壊します。それが完全なる世界やメガロメセンブリアが動いている理由でもあります》
「翆坊主、クウネルサンに教えてしまていいのカ」
《重力魔法の問題が大きいですが、どちらにしろ、いずれは話さなければなりません。それに超鈴音、いくら一人で大抵なんでもできる無敵超人であっても、少なくとも裏切らない味方はできるだけ多くいた方が良いですよ。少し他人に協力をしてもらうだけではなく頼る事も覚えてはいかがですか。そろそろ心の底から此処で生きたらどうですか。納得できるかどうかはともかくとして私は歓迎しますよ》
「失礼ながらナギの遠い血縁者だと聞かせてもらいましたが、先程の話はこのための前振りだったのですね。超さん、最終的に決めるのはあなた自身ですが、私がいることを言いふらさなければ、ここには来たい時にいつでも来て構いませんよ」
「……」
流石に超鈴音は黙った。
わかっていてこういう会話の流れに持っていったのは悪いとは思うが、これもある側面の事実だ。
《超鈴音、別に返答を求めているわけではありません。無意識に今の時間が夢のようなものだと感じているのではないかと思ったのです。超鈴音は今ここにいるんです。事実1-Aというクラスに友人もいます》
「…わかたヨ。その言葉は受けとておくネ翆坊主、クウネルサン」
「あなたの中で何か意識が変わると良いですね」
《精霊のおせっかいということで心のどこかに留めておいて下さい》
「しかしキノ殿、さらりと流してしまいましたが魔法世界の崩壊とは穏やかではありませんね。私の仲間もあちらにいます」
《そういう訳でクウネル殿も積極的に協力する理由ができましたね。因縁のある完全なる世界も含めて》
「この前は巻き込まれたと言いましたが、今巻き込まれて当事者になれて良かったですよ。少し話が長引きましたが前回の続きと行きましょう」
こうして少しだけ明るくなったように見える超鈴音と図書館島の司書、精霊は重力魔法の研究を続けたのだった。
そして時間が限界を迎えたところでクウネル殿が徐に
「蒸し返すようですが、超さん、本当の名前はスズネ・スプリングフィールドなのではないですか。音をシェンと呼ぶのは変わっていますし、超という苗字も所属名という感じがします。そうであれば屋台の名前にも付けるというのも自然な気がします」
世界の歴史では超鈴音で統一されているがどうなのだろうか。
言われてみると本名を隠しているという可能性は高いな。
「ははは、勘が良いねクウネルサン。本当に、予想外な事が起きすぎだナ。本名は火星でも隠す必要があたから私も殆ど印象にはないがその通りだヨ」
「もしやとは思いましたがなるほど。事情があるようですしこれまで通り超さんと呼ばせて貰いますよ」
《私もそれは知りませんでした。超鈴音が超家家系図という資料を持っているのは知っているので本名だと思っていましたが》
「翆坊主、覗いたのカ」
元々知ってるのは覗いているのを含んでいるような気もするが、睨まないで欲しい。
《元々知っていたんです。何度も言いますが超鈴音は今ここにいる、ただそれだけです》
「まあいいヨ。色々終わたら宇宙船貰うネ。少女のプライバシーを侵害した罰ネ」
「キノ殿はイタズラも程々にした方がいいですよ」
イタズラではない、これは。
ここにいる三人は割と性格が悪いかもしれない。
《もう好きにしてください。私たちはなんというか性格が悪いという点で似ているかもしれません》
「おやおや、私は違いますよ」
「翆坊主と一緒にされるのは心外ネ」
間違いないと思う。
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「茶々丸姉さん、運搬ありがとうございます」
「妹の為ですから」
四葉さん並の優しさを感じる。
しかしマットを用意してくれと言ったのは確かだが、あれからいつの間にか大きめの猫用の丸い寝床に小動物のように寝かせられているのを見た。
茶々丸さんの認識では猫のようなものという事なのだろうか。
エヴァンジェリンお嬢さんはその辺り全く興味ないらしい。
二週間程警備に参加しているが、召喚術師の数がやはり減少傾向にある。
裏は裏で情報が流れるのは早いということだ。
関西呪術協会に接触するのももう少しという所だろうか。
そうこうしている間に神多羅木先生の所に到着である。
「神多羅木先生、茶々円を連れて参りました。よろしくお願いします」
「ああ、いつも悪いな。それでは茶々円行くぞ」
「神多羅木先生今日もよろしくお願いします」
この二週間で君付けは取れた。
戦闘中に念話する際にわざわざという事らしい。
合理的だ。
《噂が広がったのかわかりませんが、最近直接侵入者があたって来る事が少なくなりましたね》
《数自体が減少しているからな。効果が出ているというなら良いことだろう》
《一番近いところで隣の葛葉先生の所ですが行く必要ありませんね。その反対で葛葉先生の剣術の生徒さんが無駄に突出していて囲まれていますから行ったほうが良いかもしれません》
《葛葉を心配する必要はない。ここは生徒に加勢するべきだろう。誘導を頼む》
《了解です》
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《本当にうんざりする程数が多いですね。教師が居ないところを一点突破するつもりなのでしょう》
《動くから落ちないようにな》
そう言っていつものように射程圏内に距離を詰め無詠唱の気の衝撃波を死角から打ち出したのだが
「「「「出たな緑のグラヒゲ!!!討ち取れー!!!」」」
と元々こちらを向いていた奴らに叫ばれ
《神多羅木先生、二つ名ですよ嬉しいですか》
《少し黙っててもらえるか。片付ける》
それからはあっという間だった。
納得のいかない呼ばれ方をした神多羅木先生は容赦が無く、孫娘の護衛も体勢を立て直し、龍宮神社のお嬢さんもやってきたとなっては一方的なものだった。
「お三方、術師が逃げ出しました。追跡お願いします」
その後もあっさり術師二人は捕まえたのだが
「おい、緑のグラヒゲとはお前らが伝えてるのか」
神多羅木先生は意外と気になるらしい。
「鬼達が勝手に話題にしているだけだ、我々はそんな事は知らぬ」
との事。
速攻で気絶させられました。
しかしやはり奴らは意外と暇らしい。
そもそもこちらで倒されても還るだけだなんて虫が良すぎる。
「神多羅木先生、封印処理実行します」
「ああ、頼む。桜咲、いくら神鳴流が前衛だからと言って突出して窮地に入ってしまっては意味が無いぞ。葛葉にその辺りも鍛えてもらうんだな」
「はい、ご迷惑をお掛けしました。精進します」
龍宮神社のお嬢さんがこっちを凝視してるな…。
「龍宮神社のお嬢さん、麻帆良の警備ありがとうございます。何か私にご用でしょうか」
「いや、済まない。少し違和感を感じただけだ」
中に入っているのが精霊体の大きさとずれているのがバレているらしい。
「良い目をお持ちですね。神多羅木先生封印処理終りました。行きましょう」
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「刹那、あの光景は最近よく見るようになったがどう思う」
「さっき注意されたが笑いそうになって大変だった。真面目に先生が話かけてくるのにあの子が頭にしっかりつかまって一緒にこっちを見てくるんだから」
「だろうな。私も頭に乗せてみたいよ。いや、しかし注意されていたこと自体は心に留めて置いたほうがいい、私もはぐれた時は肝を冷やした」
「分かっている。済まない龍宮」
「次から気をつければ良いだけだ。やれやれ、肩車している親子が少し過激な散歩をしているようにしか見えないな」
という会話があったとかなかったとか。
△▼△▼△▼△▼△▼△▼△
明けて翌日。
近衛門の所に来ている。
クウネルに話したなら個人的に話す分には同じだろう。
《近衛門殿、二つほどお話があります》
「おおキノ殿、警備に参加してもらえるお陰で大分負担が減ってきて助かっとるよ。して今日は何かの」
《先に口外して欲しくない事から言いますので結界を張らせて頂きます。超鈴音ですが結果から言えば彼女の当初の計画は中止になりました》
「ふむ、超君の計画がなんじゃったのかも良く解らんが違う計画はあるという事かの」
《その通りです。ですが新たな計画は麻帆良で行う物ではありませんので監視の目はもっと違う所に回したほうが効率的です。その計画は私から頼んだものでもあるので、広い目で見れば最善なのですが、やはり魔法使いの立場からすれば異端かもしれません》
「監視の目を他に回せと言うても、もう少し具体的な事を言ってもらえんと動きにくいの」
《…分かりました。魔法世界は後11年程で世界を維持できずに消滅し、火星に地球出身の人間が投げ出されます》
「そ、それは本当なのかキノ殿。本国からはそのような知らせは受けておらんぞ」
《本当です。この事実を知っているのは前大戦を起こした完全なる世界の残党と本国の一部の人間です。この本国というのとこちらの繋がりが問題なのでこうして結界を張っているわけです。超鈴音はその未来の火星からたった一人でやってきたのです》
「確かに本国での極秘情報がこちらに漏れていたら問題になるの。超君はそういう素性じゃから昨年以前の情報が掴めず、あんなにも技術力が高いんじゃな」
《今はこれぐらいしか、と言ってもほぼ核心と言えるのでご理解頂きたい。因みに違う計画には既に図書館島のアルビレオ・イマ殿にも協力頂いていますので確認をとることができます。食料などを提供していた所からすると近衛門殿は彼の事をご存知だったのでしょう》
「何じゃ、アルも協力しておるのか。ふむ、図書館島に超君が行くのにも監視が強いと確かに困るじゃろうな。その辺りはなんとかしておこう」
《ありがとうございます。くれぐれも口外しないように願います。事態が本格的に動き出すのは早くても1年、もしくはそれ以上かかると思います。精霊の予想から言うと、A組という舞台から起きる奇跡の物語と重なるかもしれませんね》
「わかっておるよ。あの学年のあの子達は歴代の中でも恐ろしいほどに濃くての、儂としてはクラスを決める際に反対されたんじゃが、勘が働いての、一つにまとめたんじゃ。キノ殿も何か起こると思うという事は間違いではなかったんじゃな」
《私は人間ではありませんから、近衛門殿が私よりもいたずら好きでたまに問題を起こすのも気にしません。大体何か起きても最後は丸く収まるのですから良いと思いますよ。あのクラス編成は本当に、昔からの事ですが近衛門殿の勘の良さと言いますか人を見る目がどれほどなのか分かりますね。恐らく他人には全く理解できないと思いますが》
「そう言ってくれるのはキノ殿だけじゃよ。最近はしずな君やタカミチ君が厳しくての」
《恐らく見ているだけなのが地味にストレスになっているのでは無いですか。近衛門殿の昔を思えばもっと自分から動くタイプでしたよ。ストレス解消というのは何ですが、警備で暴れてみてはいかがですか》
「それは自覚しとらんかったかもしれんのう。確かに久しぶりに動いてみるのも悪くないかもしれんな。ところで二つ目というのは」
《失礼しました、忘れてしまいそうでした。一つめの口外できない事の問題から前回も言いましたが東と西の争いをさっさとやめて貰い問題を減らしてしまおうというのが目標です。そこで私が警備で行っている封印処理を受けた陰陽術師も増えてきている事ですから、時期を見て、この封印を解くという条件から麻帆良の手出しを控えてもらいたいと思っています。当然あちらはそれを無視して攻撃するという手段がありますから、この際それを切り口にして麻帆良に呪術協会の支部を何らかの条件付きで建てさせてしまえば良いのではないですか。実際この地に対する興味を諦めさせるというのは無理な話なのですから》
「そういう思惑じゃったか…。確かにここ数日あの封印処理は一体なんだと向こうから苦情も入っとるから絶対に無理とはいわんが…。割と精霊殿は気楽に言うがかなり難しいじゃろうな」
《それでも、近衛門殿なら不可能ではないのでしょう。私も詠春殿には近いうちに会いに行きますし。それに超鈴音なら「麻帆良最強頭脳のこの私に任せるネ」と必ず言いますよ》
「…キノ殿は本当に超君を気に入ったのじゃな」
《正しくは待っていたというところなんですがね。近衛門殿にも同じような人物が少ししたらきっと現れますよ》
「…ふむ、分かったわい。この近衛近衛門、一肌脱ぐとしようぞ」
《久しぶりにその生き生きとした姿が見られて嬉しいですよ。ご協力感謝します》