ミケに外交や軍事、国際情勢方面の知識は全くないです。
あくまでなんちゃって外交ものである事を承知したうえでご覧下さい。
西暦二〇一〇年、九月一日。
エンタープライズ号は、広い、広い大日本帝国跡をゆったりと航行していた。
いや、それは日本国と名を変えていたのだったか。
第二次世界大戦終結後の、9月1日。正しく講和条約に調印する直前、アメリカにとって全てがこれからという時に、日本は忽然と島ごと姿を消してしまった。
それだけでなく、海外にいた日本人も消え失せ、代わりに日本に滞在していた外国人は近くの陸に纏めて出現していた。
今、この海域には見渡す限りの海が広がるばかりだ。
何が起こったか全くわからなかった。それは神、もしくは悪魔の仕業とされた。
エンタープライズ号の艦長のマイケルは、この海に来るといつも神に祈った。それはマイケルだけではない、この海域を通る船乗り達全員の風習だった。
マイケルは祈りの言葉を唱え、目を閉じ、十字を切る。
再度目を開けた時、陸が間近となっていてマイケルは激しく驚いた。
「どういう事だ、現在地を調べろ!」
マイケルが指示を出すのと同時に、船員が驚愕の叫びをあげた。
「艦長! 後方の映像をご覧ください!」
悲鳴こそあげなかったが、マイケルもまた、それを見て驚愕に目を見開いた。
薄い殻のような物に包まれた日本が、そこに初めからあったかのごとく、自然に存在していたのだ。
それだけではない。何か鳥のようなものが日本の上空を飛んでいた。
「本国に指示を仰げ! 日本が、日本が帰ってきた! 悪魔に浚われていた日本が帰ってきた! カメラをズームアップしろ!」
マイケルはそう叫び、カメラをズームアップさせて、呻いた。
日本の上空を飛んでいるそれは、どうみても火を吹くドラゴンにしか見えなかった。
日本はやはり、悪魔に浚われていたのだ。