あとがきであります。
長らくお付き合いいただきましてありがとうございました。
カップ麺を材料に作って来た謎のコース料理。これを持ちまして最後のコーヒーまで終了です。
おかげ様を持ちまして、SS執筆2作目にして初めてピリオドを打つ事となりました。
冗談から始めて、思い付きと勢いで進めてきたこの作品。
医療です。ロリババアです。ディルムッド・オディナです。
納豆とドリアンとシュールストレミングを合わせて作ったようなキワ物料理。
探偵ナイトスクープの林シェフだって嫌がるでしょう。
それを改変して『ふざけたネタ話』を『大真面目に書いたネタ話』にしたのが本作品です。
本来はキワ物系創作料理専門の料理人が、精一杯の力を注いでお送り致しましたフルコース。
お味のほどがどうであったかは、読者の方々の舌に委ねたく思います。
正直、最初は完結まで書き続けられるとは思いませんでしたし、今でも良く書けたものだと思いますが、これも一重に感想と言う燃料をくべて下さった読者の方々あっての事でした。
これはガチでマジです。
いただいた身に余るほどの感想、本当に力になりました。
拝読しながら、
「うむ、うまく伝わったな」とか
「ここでそれ出しちゃつまんないから、もうちょっと引っ張らせてよ」とか
「いや、こいつそこまですごくないから」とか
「やべ、それ書くの忘れてた。あとで混ぜなくちゃ」とか。
お褒めの言葉をいただくと、やはり「お客さんの期待を裏切る訳にはいかねえ」とキーを打つ手にも熱が入りました。
本当は個別に感想返しをしたかったのですが、それをやるとネタばれなどの影響が出るので失礼させていただいていたことにつきまして、この場でお詫び申し上げたく思います。
各キャラの感想。
・ティファニア
乳神様。実はあまり好きなキャラではない原作テファ。もうちょっと主体性持とうよと思っていたので、本作では育ちが違うこともあって少々性格改変しました。何気に書いていて一番表現が難しい人物でもありました。
・マチルダ
実は作者にとって非常に好きなキャラである原作マチルダ。ワルドなんぞにくっつけるなどもったいないキャラかと。本作についてもそういう嗜好が出ていると思いますが、極論すればこの作品の裏のヒロインと言った感じになりました。
・ルイズ&才人
主人公組。何だかんだでこの二人は好きなキャラです。多少は見どころのあるルイズが書けていれば幸いです。才人は油断するとすぐにレギュラー化しそうで困ったこともありました。
・カトレア
主人公の天敵。いきなり治ると言う形にはしたくなかったのですが、病気と対処法とリアリティの3点で彼女の病名設定は頭から煙が出るほど悩みました。最終的にはもっと百合系に持ってけば良かったかな、と思うことも。未だにカトレア編を書いた際の苦悩はトラウマレベルです。本当は一体何の病気なのやら。
・無根侯
変態としてもっと書きたかった不遇のオリキャラ。本当はもっと活躍する予定でしたが、うまくいきませんでした。劇中で主人公がこの人に蹴りあげられるシーンがありましたが、実は、本来はあそこは着衣を引き裂かれたあげくに「さっすが~、侯爵様は話がわかるッ!」な展開にすることも考えていました。しかし、着衣を剥かれる場面を書いてみれば侯爵の手下がこういうことを言うのです。
「ヒューッ…見ろよやつの筋肉を。まるでハガネみてえだ。こいつはやるかもしれねえ」
「まさかよ。しかし侯爵様には勝てねえぜ」(以下略)
ゼロの使い魔の世界でサイコガンを出す訳にはいかないので軌道修正となりました。
・ディルムッド
本作をネタたらしめている存在。ZEROにおいてあまりに不憫だった彼に救済を、という良くある安易な発想から書き始め、『混ぜるな危険』を身をもって体験させてくれたキャラ。本来であれば方針変更にあたって排除すべきだったかもしれませんが、そもそもの執筆動機が「ゼロランサー救済SS」でもあったので、無理を承知で残したイレギュラーでもありました。それだけに「その36」を書けた時は感無量でした。
ZEROの原作でも日常の描写がほとんどないので、掘り下げる事がものすごく難しかったとです。二度とクロス物はやらないと心に誓いました。
主人公の自信と戦略の根幹をなす存在ですが、見せ場を作ろうにも方針変更に伴い複合クロスというキワ物要素を除外してしまったのでハルケギニアのどんなものを持ち出しても彼を倒す術が思い浮かばず、最後までしっくりなじまなかったキャラでした。当初考えていたタルブに落着したBETAのハイヴ(飛行ユニット?)にカチコミをかけて蹴散らすシーンなどはどっかで書いてみたいと未だに未練。
元がそんなお遊びだったので、劇中ではついに書けなかった彼の召喚の触媒は謎のままと言うことで。
「忠義の道を全うする事と、主に勝利を捧げること」というのが彼の行動理念ですので、それを知る主人公との関係がうまく書けていれば幸いです。
ちなみに、彼については一つだけ嘘がありました。ゲイ・ジャルグの能力は魔力循環の遮断であり、完成された魔術や呪いには効果がないものと思います。そうなると、ゼロ魔世界の魔法もまた消すのは難しいような気がしますが、そこはこの世界のディルムッド・オディナの力と言うことでご了承いただきたいと思います。
それにしても、もうちょっとこいつの人間くさいところ書いといて下さいよ虚淵さん。二次が書きづらいっすよ。
・ヴィクトリア
アルビオンの貴族あたりで簡単なものを書きたいな~という思い付きから生まれた完全なぽっと出のキャラ。
決してノイ先生やクレイン先生がモデルだった訳ではありません。本当です。
そもそもこのロリババア、本来ならキュルケの使い魔になって彼女の援助で病院を建て、多重クロスを起こす作品舞台の中で社会的な基盤を固め、最後はニューカッスルの攻防戦にジェームズ1世を助けに介入して祖国に帰る構想で生み出されたキャラでした。クロスが起こるたびに『何故お前がここにいる!?』という突っ込みを入れるためにこの世に生を受けた存在。
しかしながら、いろいろ叱咤ご指導いただきまして方針転換し、何となく考えた初期設定はこんな感じ。
シスコン。
スクウェアと言っても王族の血筋ゆえの下駄履きなので、スゴ腕というほどではない。
メイジとしては水魔法以外はからっきし。
アルビオン王家との関係の清算が最終目的地。
名前は王族っぽいと言うことで超適当に決めました。
原作にもいたかもしれない立場のキャラですが、転生現象が起こらなかった原作では、恐らく侯爵の手にかかって悲惨で短い生涯を閉じたであろう人物と考えています。
外見はダークウィスパーのコヨミのイメージでいましたが、書いて行くうちに台詞のことごとくが田村ゆかりで再現される等、徐々に梨花ちゃま化が進行しました。当初の発育不良と騒動後の時間凍結については明確な病気としては設定しておらず、ストレスからくる水メイジゆえの魔力循環不良が原因とか考えておりました。素人なのに殺し合い上等な性質もこの辺りの影響があると言うイメージで。
才人たちの距離感ですが、仮にゼロの使い魔がRPGだったとすると、学院内のアドベンチャーパートが終了し、移動モードに入った際、『王都へ』をクリックすると『王宮』『武器屋』『秘薬屋』『「魅惑の妖精」亭』等のアイコンが並び、その中の一つに『診療所』がある。そこをクリックするとウィンドウの中に顔絵が出て来て
『おや、今日はどうしたね?』
⇒治療
解毒
話す
アイテム
『*おおっと*』
みたいに受け答えするキャラをイメージしていました。2周目以降はCGが取れるとか。
一番頭痛の種だったのがキャラのチューニング。第2部以降はうまく『ゼロの使い魔』のストーリーラインの裏街道に溶け込ませるのが難しく、ちょくちょくストーリーを裏返してルイズ・才人の物語の側面で見た場合、要所要所で主人公組に茶々を入れて来る猫夫人のような怪しい人物としてうまく馴染んでいるかどうかを考えながら書いておりました。登場人物でレギュラーのオリキャラを主人公だけにしたのは、こういう視点で考えた時に二人目以降を丁寧に描写するだけの技術がないからです。
チート主人公のようでチートと言うほどでもなく、人間的には決して強くなくて、自己完結して自滅しやすい、そんな人間くさい、ハルケギニアのどこかにいそうなキャラを目指してきましたが、上手く書けていたら幸いです。
そんなこんなで紆余曲折を経て、ようやく辿りついたエンドマーク。
『トリスタニア診療院繁盛記』、これにて完結でございます。
この作品を少しでも見どころのある物語であったと思っていただける方がおられましたら、制作者として無上の喜びであります。
今後につきまして、DISC3を書くとしたら原作『ゼロの使い魔』が完結した後で始めることになると思います。ただし、その場合はタイトルに『その後の』とか『続』と付けるか、はたまた『王立トリスタニア病院繁盛記』と言った感じで名前を変えた作品とさせていただきたく思います。
作品の分量としても、この辺りで筆を置いておくのが新たに読んでいただける方にとって程がいいかとも思います。
ともあれ、拙い作品にお付き合いいただきましてありがとうございました。
全ての読者の方々に、ありったけの感謝をこめて御礼申し上げます。
そして、ゼロの使い魔という作品を世に送り出してくれましたヤマグチノボル氏にも心より感謝を。
及ばずながら、今なお病床にあり、病魔と奮闘中のヤマグチ氏の快癒を心より祈念いたします。
陳腐な言葉で恐縮ですが、頑張れ、ヤマグチ氏。
少なくとも一人、ここに貴方の帰還を待っているSS書きがおりますゆえに。
ではまた、いずれどこかで。
FTR