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No.21322の一覧
[0] とある転生者の麻帆良訪問(ネギま!×とある魔術の禁書目録 オリ主憑依)[カラーゼ](2010/10/31 15:16)
[1] 第1話[カラーゼ](2010/09/04 00:26)
[2] 第2話[カラーゼ](2010/09/04 00:28)
[3] 第3話[カラーゼ](2010/08/21 12:48)
[4] 第4話[カラーゼ](2010/09/04 00:29)
[5] 第5話[カラーゼ](2010/09/04 00:32)
[6] 第6話[カラーゼ](2010/09/04 00:33)
[7] 第7話[カラーゼ](2010/09/04 00:35)
[8] 第8話[カラーゼ](2010/09/04 00:38)
[9] 第9話[カラーゼ](2010/08/24 20:46)
[10] 第10話[カラーゼ](2010/09/04 00:41)
[11] 第11話[カラーゼ](2010/08/25 23:45)
[12] 第12話[カラーゼ](2010/09/04 00:42)
[13] 第13話[カラーゼ](2010/08/28 20:02)
[14] 第14話[カラーゼ](2010/08/28 18:04)
[15] 第15話[カラーゼ](2010/08/29 12:30)
[16] 第16話[カラーゼ](2010/09/04 00:43)
[17] 第17話[カラーゼ](2010/08/30 18:21)
[18] 第18話[カラーゼ](2010/08/31 22:41)
[19] 第19話[カラーゼ](2010/09/04 00:24)
[20] 第20話[カラーゼ](2010/09/03 22:22)
[21] 第21話[カラーゼ](2010/09/04 17:48)
[22] 第22話[カラーゼ](2010/09/05 23:22)
[23] 第23話[カラーゼ](2010/09/05 20:24)
[24] 第24話[カラーゼ](2010/09/06 20:43)
[25] 第25話[カラーゼ](2010/09/08 00:52)
[26] 第26話[カラーゼ](2010/09/11 21:59)
[27] 第27話[カラーゼ](2010/09/13 12:53)
[28] 第28話[カラーゼ](2010/09/15 14:10)
[29] 第29話[カラーゼ](2010/09/16 03:25)
[30] 第30話[カラーゼ](2010/09/19 00:34)
[31] 第31話[カラーゼ](2010/09/24 21:39)
[32] 第32話[カラーゼ](2010/09/30 00:28)
[33] 設定集[カラーゼ](2010/09/29 00:48)
[34] 第33話[カラーゼ](2010/09/28 00:13)
[35] 第34話[カラーゼ](2010/09/30 17:36)
[36] 第35話[カラーゼ](2010/10/04 23:06)
[37] 第36話[カラーゼ](2010/10/14 12:10)
[38] 第37話[カラーゼ](2010/10/14 23:18)
[39] 第38話[カラーゼ](2010/10/31 15:29)
[40] 第39話[カラーゼ](2010/11/07 15:05)
[41] 第40話[カラーゼ](2010/11/08 01:44)
[42] 第41話[カラーゼ](2010/11/10 01:14)
[43] 第42話[カラーゼ](2010/11/12 01:21)
[44] 第43話[カラーゼ](2010/11/21 20:08)
[45] 第44話[カラーゼ](2010/11/21 20:12)
[46] 第45話[カラーゼ](2010/12/06 16:45)
[47] 第46話[カラーゼ](2010/12/06 16:48)
[48] 第47話[カラーゼ](2010/12/05 13:38)
[49] 第48話[カラーゼ](2010/12/19 02:01)
[50] 第49話[カラーゼ](2011/01/17 16:43)
[51] 第50話[カラーゼ](2011/03/29 01:58)
[52] 第51話[カラーゼ](2011/05/29 01:44)
[53] 第52話[カラーゼ](2011/08/18 15:44)
[54] 第53話[カラーゼ](2011/09/03 18:05)
[55] 第54話[カラーゼ](2011/11/04 21:57)
[56] 第55話[カラーゼ](2012/08/27 00:24)
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[21322] 第6話
Name: カラーゼ◆68f6dca0 ID:11f779aa 前を表示する / 次を表示する
Date: 2010/09/04 00:33
SIDE 一方通行

ありがちな表現だが、俺が麻帆良にやってきて……または一方通行の体に転生して一ヶ月という時が過ぎた。
この一ヶ月はいわゆる調整期間のようなものだ、と俺は思っていた。

実際その通りだった。

学園長は俺を麻帆良に慣れさせ、俺を警戒している教員達に俺という存在がどんなのか見極めさせるのが目的だったらしいが、それは見事に成功した。
まず、最初はギスギスしていた魔法先生からの視線がほとんどなくなった。
俺が初仕事の時などに魔法生徒を助けたのが受けが良かったらしい。
それに、俺と愛衣の騒ぎの噂まで流れているらしく、危険な魔法使いから小生意気なガキというようにランクアップだかランクダウンだかわからん評価の変動が起こっていた。

ちなみに、ガンドルフィーニやタカミチとは仲が良くなっていることも大きい。

この二人はかなりの実力者なのでそれに影響される事も大きいのだ。
ガンドルフィーニは初仕事の一件で俺を信頼してくれるようになったらしい。
なんでも、『一緒に戦った戦友は信頼するものだ』という理論らしいが、本当は北○の拳のネタがわかったからというのが本音のようだ。
タカミチは言うまでもなく、とある友人と俺が非常に似ているから付き合いやすい、とのことだ。
まあ、たいてい想像はつくのだが。
この前ピザマンの人とかシャツがだらしない人とかに会ったが、反応は結構友好的だった。
一部、刀子のような警戒心がある人物の受けは悪いようだが、贅沢は言っていられない。
エヴァのような孤軍にはなりたくないのだ。
そういえば俺はまだ幼女吸血鬼と会ってないな。
いずれ出会うと思っていたが、あんなビッグネームとこれまで出会ってないとは……意図的にエヴァと出会わせることを避けているように思える。
確かに、俺とエヴァが出会えばどうなるか俺にもわかる。

どーせ、喧嘩になるだろう。

客観的に見ても主観的に見てもそれは明らかだ。
茶々丸は止めないだろうし。
んでもって決闘でも挑まれたら目も当てられない。
彼女の魔法では俺を倒す事はできないからだ。
『おわるせかい』などといったリョウメンスクナを一撃で倒すような強力な呪文を使えるのは停電の時のみ。
停電の時にできるかどうかも少し怪しいが。
更に、既に二回目の停電は終わっているため、次は春を待たなければならない。
もしかしたら幻想空間なんて場所で戦うかもしれないが。
ちなみに、『おわるせかい』などの放出系の魔法は俺には効かないし、体術なんて物理法則を無視する俺には通用しない。

俺の反射には限度がない。

例え闇の魔法を使われたとしても負けるとは思わない。
結果としてコテンパンに倒すことになるだろうが……面倒だ。
真祖の吸血鬼としての力を発揮しているのならどれだけフルボッコにしても死なないだろうが、万が一死なれてもらっては困る。
ネギを誰が鍛えるんだ。
ご都合主義的なオリキャラが出てくるんじゃないだろうな。

―――まさかクウネルか?

十分にありえるが、ネギが小型クウネルのようになってもらっては困る。
クウネルのようなタイプは俺が絶対に苦手だろうからだ。
舌戦でネギに負けるなど、想像もしたくない。
まあ、そんなエヴァとの戦いはマイナスしか生まないのであわさずにいるだけなのだろう。
やけに取り繕った笑みを浮かべている魔法先生が強引に俺の歩く道を変更した事も何度かあったし。
後変わった事は、高音や愛衣、そして龍宮とある程度仲良くなった事だ。

女性ばかり?

文句言うな。
俺が会う人間なんて魔法関係者でしかもガンドルフィーニ、刀子の管理下にある生徒なんだぞ?
四人しかいねェじゃねェか。
高音は言うまでもなく初任務の時から仲が良い。
ただ、よく自分の正義の理想を語るのはやめて欲しい。
論破する事もできるが、面倒なのでやらない。
そして愛衣だが、彼女はこう、なんというか、やりづらい。
純真で圧倒的な表向きの世界の住人の思考だからだろうか。
アクセラレータもラストオーダーを心の支えにしてたしな。
あんな純真なタイプに弱いのかもしれない。
次に龍宮。
彼女とは以前、俺と刹那を交えて戦い方の討論をした事がある。
その時に意見が一致したので、それから気があってしまったのだ。
麻帆良四天王の龍宮、刹那と知り合っているので、古菲や長瀬楓も時間の問題だと思ってきている。
さて、それでいてどうして刹那と仲良くなっていないのか。

その理由はズバリお嬢様である。

彼女は何よりもまずこのかを重視する。
どうやら俺を悪人とは思っていないようだが、まだ警戒している。
この辺りは刀子に似ている。
一緒に仕事をするときにギスギスしていては空気が悪いので改善しようと思っているが、何しろ一緒にいるのは刀子、刹那、龍宮と来たもんだ。

どないせーっちゅうねん。

三人とも仕事だから、と割り切るところがある為になんとか助かっているが、それぞれ個人の技量が高すぎる上に団体行動に向かない攻撃力を持っているので愛衣のようなイベントが起こる事もない。

……困ったものだ。

とある彗星の台詞を吐きながら、俺は早朝にランニングをしていた。
そう、俺は体を鍛え始めたのである。
なにしろアクセラレータの体は貧弱にも程がある。
せめて素で殴り合ってカミジョー君に勝てるくらいにはなりたい。
そして気を使えるようになりたい。
何故かって?
おま、素で斬岩剣を使って更にベクトル操作してみ?
斬岩剣が決戦奥義並みの威力になるのだ。
もちろんたった一年で斬岩剣を使えるようになるとは思わないが、ある程度気を使えるようになりたいのだ。
そのためにはどーしても刀子か刹那の協力が要るのだが……。

「無理だな」

ぼそりと断言する。
少なくとも、今の状況では。
というわけで、健全な体作りから始めました。
おそらくこの体は十五歳か十六歳。
この頃の体でひょろくてもまだまだ急激に成長する事もある。
肉体的にみれば数ヶ月で常人の体を作り上げる事も可能だ。
大人とガチで殴り合って勝ちたい。

とりあえずはそれを目標に。

ネットで学んだランニング走法でリズミカルに走っていると、後ろから声がかかった。
「おはよーございます」
俊足で横に並んで新聞を手渡して来る。
オッドアイに鈴の飾りをつけたツインテール。

神楽坂明日菜だ。

何故か俺は彼女とも気が合うらしい。
毎朝早朝ランニングをしていたら、お互いの名前も知らずに愚痴やらなんやらを言い合える仲になってしまった。
ちなみに、俺はフードを被って更にバイザーをつけているので素顔を見られたことはない、はず。
容姿に突っ込まれた事はないから。
俺は手渡された新聞を背中のリュックに放りこむ。
「おゥ。いつもより遅ェんじゃねェのか?」
「実は今日ちょっと寝坊しちゃって。おかげでちょっと息が切れちゃってるのよ」
ちなみに俺がナチュラルにタメ口だからか、こいつは最初は敬語だったが次に会った時はタメ口だった。
この馴れ馴れしさは賞賛に値する。

嫌ではないが。

愚痴をいえると言うのは、存外楽なモンだ。
ちなみにガンドルフィーニの格闘漫画オタクっぷりは既にバラしてある。
あれの論議に長々と付き合わされた翌日だったからな。
思いっきり不満をぶちまけてやった。
すると、数日後に例のパパラッチの耳に入ったらしく、ガンドルフィーニの格闘漫画オタクが麻帆良中に発覚した。
ガンドルフィーニは怒るのかと思えば、それの愛好家達に話しかけられ、現在は非常に充実しているとか。

悔しい。

こないだなんて『なあアクセラレータ君!ペガ○ス流星拳と北斗百○拳のどちらが強いか論議してるんだが、君も加わらんかね!?』とハァハァ言いながら迫ってきた。
問答無用で殴り飛ばしてやった。
ちょっとは気分が晴れた。
アスナは昨日珍しくこのかの新作料理が失敗したらしく、どんな料理だったか、味はこんなんだったと事細かに説明してくれていた。
このかは和風だけではなく中華もやるのだと知った。
「俺ァ和洋中のどれがいいかって言われたら洋だな。ボリュームが欲しい」
「そうなの?……前から思ってたんだけど、走り込んでるのって痩せた体を鍛えたいからなの?」
「そォだよ。太るのは御免だが、痩せたまんまってのもやなんだよな。アバラなんて浮き出てンだぜ?」
「うは。そりゃあまずいわね」
鍛え始めて現在二週間目。
ようやく筋肉がつき始めたと実感できた。
毎日続けたかいがあったと思っている。
ちなみにタカミチに筋トレの仕方を教えてもらっているので体を壊したりはしない……はず。
まあ、一方通行がどれだけ肉体に対して惰眠を貪っていたのかわかる二週間だった。
体内電流を操作できる一方通行はその気になれば色々と成長に関して干渉できるっぽいのだが、なんだか筋肉の寿命とかが縮まる気がしてそれはやめることにした。

無意識的にやっているかもしれないが。

そのせいか、俺の筋肉のつき方は常人に比べて速いらしい。
タカミチの指導が良い、といったら笑って照れていた。
そういえばアスナはタカミチに惚れてたな。
今度ブロマイドでも作って売ってやろうか。
「あ、じゃあ私こっちの道だから。さよならー」
「あァ、じゃあな」
手を振ってアスナと別れる。
それから俺は広場に向かい、いろいろと筋トレを行う。
この体、運動は嫌いではないらしく、一人だけで黙々と鍛えていてもそれなりに楽しかった。
まあ、生前の俺が運動が好きだったのもある。
黙々とトレーニングをしていると、辺りが騒がしくなってきた。
もう登校時間か……知らぬ間に二時間近くやっていたようだ。
俺の体もびっしょりと汗で濡れている。
そろそろ帰るか、と思い、俺は立ちあがろうとすると……。
「…………!」
後ろを振り向き、視線を固定してじっと視線の先を凝視する。

教室の屋上。

一番高い給水器の傍。

そこから誰かが俺のことをじっと見ている。
流石の俺も何キロも離れている建物の上にいる人影が誰か判別する事はできないが・・・その人影が小さい事はわかった。
その建物を見て、俺はポツリと呟く。
「……エヴァンジェリンじゃねェだろォな……」
その建物は良く見たことがある女子中等部の校舎だった。
こんな早くから登校する優等生だったか、彼女は?
他に超人的な目をしているのは茶々丸か龍宮くらいしか知らない。
俺はパーカーを着て素顔を隠しながら、そこからランニングモードになって走り去る。
ちらりと校舎の方を見て、もうそこには人影がいないことに気付いた。
まさか、俺の存在を伝えてないとは言わせねェぞ、学園長。






SIDE エヴァンジェリン・A・K・マクダウェル

暇だった、と言うのもある。
たまたま今日は早く起きれた、と言うのもあった。
理由はただそれだけなのだが、今日は私は早めに登校しようと思った。
家にいてもやることなんてないしな。
登校地獄の呪いのおかげでかれこれ十三年も麻帆良に閉じ込められると、登校するのにも違和感はなくなった。

一つ変わった事といえば、最近私の従者になった絡繰茶々丸の存在だ。

麻帆良工学部が作り上げた機械人形らしい。
科学というのはどうもわからんが、ここまで人間に似ている精巧な人形を作ると言うのは素直に感心した。
今日も茶々丸は私の後ろをついて来る。
なかなか世話を焼いてくれるので私としては楽なことこの上ない。
良い買い物をした物だ。
戦闘についてはそれほど問題ない。
茶々丸の製作者の超鈴音と葉加瀬聡美が共同開発したおかげであらかたの武器の使用方法はインプットされており、超の体術をプログラム化したデータを積んでいる。
茶々丸は機械人形だから機械人形独特の戦い方もできるだろうから、そういう体術は後々教えようと思っている。
最初はロケットアームや目から光線なんていう馬鹿げた装備を見たときは呆れた物だが、あれはあれで便利だしな。
私達が教室につくと、通称本屋と呼ばれている宮崎のどか、理屈っぽい話し方をする綾瀬夕映などといった真面目な面々がそれぞれ談笑していた。

くだらん。

私はいつも通りサボタージュすることにし、鞄を机にかけるとそのまま教室から出ていった。
向かうのはいつも通り屋上。
屋上から外を眺めて見ると、まばらに人が学校に登校して来るのが見えた。
いつもは見れない光景だが、私にとっては興味がない事だ。
太陽とは逆の西の空をぼーっと見やっていると、私の視線に妙な物が映った。

あれは、誰だ?

世界樹の近くにあるここから数キロ離れた開けた広場。
そこでひたすら腹筋をしている者がいる。
学校をサボタージュして体を鍛えている筋肉馬鹿かと思うが、どうやらそうではないらしい。
かなり遠い距離にいるが、その目つきは裏の者特有のギラついている目つきだった。
よくよく観察して見ると、奴は気も魔力も一般人並みで、裏の者とはとても思えない。

体つきも貧弱そのもの。

喧嘩に慣れた男子高校生と戦えば負けてしまうほど貧弱だ。
なのに、何なのか、あの目つきは。
あれは何度も死線をくぐり抜けた目だ。
私にはわかる。
正義正義と温い麻帆良の空気を拒絶されたような存在が、私のほかにもいたとはな。

面白い。

特徴はアルビノだったな。
それに、あんな雰囲気を放つ生徒なぞそういない。
ジジイなら何か知っているだろう。
私はそう思って奴を視線から外そうとすると、強引に戻された。

奴が、こちらを見たのだ。

間違いない。
今もじっとこちらを見ている。
そんな馬鹿な。
ただの人間がこの距離で私を確認できるというのか?
視線を合わせていたのはほんの数秒だった。
奴はパーカーを羽織ると頭を覆い隠し、その場から軽やかなランニングスタイルで走り去って行った。
偶然じゃない。
奴は私の視線を感じて、私を見たのだ。
正直に言うと、そんな事ができる奴はジジイかタカミチ、そして龍宮真名くらいしかいないだろう。
それ相応の実力者と言う事か?
魔力や気を必要以上に抑えているという事か?

……くく、尚更面白い。

学校にも通っていないようだから、呼び出させてやる。
私はもはやいつ浮かべたか忘れた凶悪な笑みを顔に貼りつけながら、ジジイの部屋へと向かった。






SIDE 一方通行

来たというか、やっぱりか。
俺が自宅でシャワーを浴び終わった後、携帯電話を確認してみると学園長とタカミチからの着信記録があった。
いつもの長ズボンをはきながら、俺は首と肩で携帯を挟み、学園長に電話をかけた。
今の時刻は八時三十五分。
タカミチはショートホームの時間か、授業中だろうと思ったのだ。
ワンコールですぐに出た。
「なンだよ、学園長。朝っぱらから鬼でも出たか?」
『アクセラレータ君、魔法使いのルールは教えたと思うんじゃが』
律儀に答えやがる学園長。
こっちは冗談のつもりなのにマジに捉える。
律儀だ。
「冗談に決まってンだろ?で、用件は?」
『うむ。いますぐ学園長室に来て欲しいんじゃ。五分くらいでつくじゃろ?』
ほら、呼び出しだ。
ってか、この距離を五分?
いけないことはないが、能力発動してたら一般人のバレると思うんだが。
大方、エヴァに急かされているのだろう。
待つのは得意な吸血鬼の癖して。
「あァ、ダラダラ行くから二十分くらいはかかると思うしヨロシク」
『ふぉ!?いやいや、それはちょっと困―――』
ブチッ。
切ってやった。
せいぜい困れクソジジイ。
俺の朝の安眠を妨害しやがった罰だ。






SIDE 近衛近右衛門

切りおった。
困るのう、今目の前にはマジでうずうずしている吸血幼女がいるんじゃが……。
「おい、今とても失礼な事を考えなかったか?」
「はて、何のことかのう」
とぼけ、ワシは内心でため息をついた。
どうしようどうしようと迷いに迷ったツケがここで来よったか。
早めにカチ合わせてしまうとガンドルフィーニ君達が文句を言うため、一度彼らが沈静化してからアクセラレータ君を紹介しようと思っていたのじゃが、最悪のタイミングでバレてしまった。
彼も彼で不機嫌なようじゃったし、まさかここで殺しあうことはないじゃろうが……困る。
既にタカミチ君という道連れの用意はできておるから、ちょっとは気が楽なんじゃが……気が重いのう。
「で、奴は五分でくるのか?」
「二十分はかかると言っておった……言っておくが、ワシのせいじゃないからの。ワシはちゃんと五分って言ったんじゃ!」
「……く、くくく……そうか、私を二十分も待たせるのか。これは相応な出迎えの仕方をしてやらねばな」
にやぁ、と不吉な笑みを浮かべるエヴァちん。
ワシ、もー知らねっと。






SIDE 一方通行

結果的には十分くらいで校舎にはついた。
ま、流石に二十分っていうのは寄り道に寄り道を重ねないと時間が稼げないので、眠い俺はさっさと用件を終わらせるためにやって来たというわけだ。

それにしても、エヴァはどうするか。

たいていのSSじゃエヴァは転生者にとって安全圏ということは知っている。
最初に生命の危機にさらされるのもたいていエヴァだが。
麻帆良でも1,2を争う実力者であるエヴァと敵対しても百害あって一利なし。
と俺の明晰な頭脳は判断しているのだが、あのエヴァの性格と俺の性格がマッチするとはとてもではないが思えない。
一方通行と俺の性格がいい具合に混ざっているのだが、そのせいで一方通行と俺の欠点も浮き彫りにしているのだ。

まず、一方通行は学園都市最強というプライドがある。

反射は健在。

故に、彼は例え600年も生きている吸血鬼が相手でも馬鹿にされたら間違いなくキレる。
今のエヴァは一般人並みの力しかない。
アクセラレータがキレれば彼女を一瞬にしてひき肉にする事も可能だ。
なにしろ、エヴァを初めとする魔法使いは俺のような魔力も気も使えない一般人を舐めてかかる節がある。
600年も生きてきた最強の魔法使いを自称するエヴァなら尚更だ。

だから、彼女は油断している。

アクセラレータは容赦なくそこを突くだろう。
俺も自制してはいるのだが、どうしてもキレやすくなっているし、性格がアクセラレータに似てきているのも自覚している。
波乱が起きそうだ。
自分で言うのもなんだが。
汗くさいパーカーは洗濯機にぶちこんできたので、今の俺の服は麻帆良にやってきたナチュラルな一方通行スタイルだ。

モノクロが好きらしい。

女子中学校の中を私服で歩く男子高校生というのは非常にアレだが、場合が場合なので仕方がない。
まぁ、何度か入った事はあるのでもう緊張感の欠片もないが。
俺は校舎の中を歩いて行き、学園長室の手前にやって来る。
なんだか扉が禍禍しい気配を醸し出している。
エヴァがいるのは間違いないだろう。
ハァ、とため息をついてから、俺はドアをノックせずに扉を空けた。
「何の用だ、学園長……あァ?」
早速だ。
早速、俺の体が糸により拘束された。
なるほど、武道会で刹那が受けたのはこれか。
確かにまともな力技では脱出できない、か。
「糸……魔法使いならもうちっとファンタジーな拘束の仕方をしろよ」

「悪いが私は魔法は使えなくてな」

俺が声がした方に視線を向けると、そこには腕を組んで仁王立ちしている幼女の姿があった。
なんだか間近で見てみるとそれは子供が背伸びしているようにしか見えないので、思わず吹き出してしまった。
「き、貴様、何がおかしい!」
「いィや、なンでもねェよ。オイ学園長、このクソガキは誰だ?なんで中学校に小学生がいンだよ」
ぬがッ……!?と言葉に詰まるエヴァ。
それを見た学園長と傍にいたタカミチは顔を引きつらせた。

まあ、そりゃそうだろう。

エヴァにまともに初対面でこんな事を言えるのは俺かナギ、ラカン、アルビレオ・イマくらいしかいないだろうからな。
しかし俺もスラスラと良くこんな事が言えるな。
良くも悪くも一方通行の身体に馴染んできた、と言うことか。
学園長はため息をつきつつ言った。
「彼女はエヴァンジェリン・A・K・マクダウェルというこの学校の一年生じゃよ。中学生じゃ」
「もっと言うと、彼女は600年生きている真祖の吸血鬼だ。……エヴァ、そろそろ彼を開放してやってくれないか?彼、そうとう頭に来てると思うんだが……」
「ふん、私を待たせたんだ。これくらい当然だろうが」
おお、流石タカミチ、察しが良い。
実を言うと、今にもこの糸をブチ切って飛び出しそうだ。
俺なら糸が肌に食い込んで来るベクトルを反射して糸を強引に引き千切る事も可能だからな。
さて、俺は当然の疑問をこいつ等にぶつけることにする。
「吸血鬼ィ?なんで吸血鬼が昼間動いてンだよ?っつか、なんで吸血鬼が中学一年生なンだ?」
「彼女は吸血鬼の真祖……つまり始まりの吸血鬼じゃ。ハイデイライトウォーカーと呼ばれる彼女は昼間、太陽の光を浴びても平気なのじゃよ。まあ、夜に比べれば力は劣るがの。後者については色々と事情があるのじゃ」
「色々ねェ……」
登校地獄の呪い、か。
不便なもんだな。
「で、そのエヴァンゲリン・A・K・マクスウェルが何の用だ?」
「ワザとだな貴様!?」
「ワザとだが、それがどうしたンだ?」
開き直ったかのように俺が言うと、エヴァはますます不機嫌そうな顔で俺を睨みつけてきた。
「貴様、今の状況がわかってないのか?その気になれば貴様の首の一本くらい、すぐに刎ねてやれるのだぞ?」
「やれるもンならやってみやがれ、クソガキ。ま、俺を殺したらテメェの末路がどうなるか、わかんねェ筈ねェだろ?」

「……死にたいらしいな」

エヴァの空気が硬化する。
こんなになめられた事は彼女の過去の中でも全くなかったのだろう。
しかも、俺は魔力も気も使えないただの人間(と、エヴァは思っている)。
本気でキレるとは思っていなかったが、かなり頭にきているようだ。
まあ、それと同じくらい俺も頭にきているわけで。

「クソガキが何言っても戯言にしか聞こえねェよ」

キュッ、と糸が狭まってきた。
流石にそこまでするとは思っていなかったのか、学園長とタカミチが目に見えて焦り始める。
短気な上司を持つと部下は苦労するな。
俺もここまでされて大人しくしているタマではないが。
「がッ!?」

ドン!!とエヴァの背後で爆発が起こった。

それは瞬時に凝縮させた空気を解き放ち、爆風を作り出したのだ。
当然、エヴァはこちらを向いているのでこちらに吹き飛ばされる。
俺は反射を使い、エヴァの糸をブチブチと引き千切るとその首を掴み上げた。
「ぐ、がッ……!?」
エヴァは何か喋ろうとしているらしいが、苦しくて何も言えないようだ。
俺はエヴァを睨みつけながら、ハッ、と鼻を鳴らした。
「真祖の吸血鬼だかなンだか知らねェが、自惚れてんじゃねェぞクソガキ。ほれ、謎の吸血鬼パワーでなンとかしてみろよ。それともやっぱり昼間は人間なのか?人間じゃァ俺にも勝てねェのか?あァ?」
「や、やめるんだ、アクセラレータ!」
流石にタカミチが止めに入り、俺の腕を掴むが……その程度では俺の腕を動かす事はできない。
俺は依然としてエヴァの視線を受けとめながら、告げる。
「虚勢張って何が楽しい?威張って何が嬉しい?他人の上に立って喜んでンのか?それでテメェは自己を形成してンのか?」
「…………!!」
「テメェがここで中学生してるのも何か理由があンだろうが、600年も生きてりゃ少しは聡明にもなってるもンじゃねェのか?こんなことして俺を脅して、力で屈服させて従える。でなけりゃ排除すンだったら、テメェはただワガママなクソガキに過ぎねェよ」
エヴァは糸を使って俺の腕を切断しようとしたようだが、その糸は俺の腕を締めつけようとして千切れる。
「600年も生きてきて得た答えが今のテメェか?クソガキとして生きていくのがテメェの道か?テメェみてェな強者なら、それ相応の王道があンだろォがよ。光なら光。闇なら闇。貫きとおせる道は一つしかねェ。交わる事は決してねェ、ってな」
そう言って、俺は腕を振ってタカミチごとエヴァを投げ飛ばす。
タカミチはエヴァを受けとめ、窓に激突した。
うっすらと激突した場所には魔法陣のような物が浮かんでいた。
学園長室は魔法による防弾処理がしてあるようだった。
エヴァは受けとめてくれたタカミチを押しのけて立ちあがる。
彼女は憤怒と困惑をゴチャゴチャに混ぜた顔をしていた。
「貴様に……貴様に私の何がわかる!?」
「テメェも俺と同類だ。だからわかる。闇に生きて、光に出会い、光を守るために闇の底に堕ち、それでもまだ光を諦めきれねェ。そうだろ吸血鬼」
俺はピクリとも笑わずに言った。

「テメェみてェな闇の象徴が光に憧れたことがないたァ言わせねェぞ」

そう言って、俺はエヴァを睨みつけた。
キレている俺が言うのもなんだが、彼女にはキツい言葉だと思う。
エヴァは600年生きてきているが、基本思考は十歳の女の子なのだ。
それでいて彼女は訳もわからぬうちに追われる身となったのだから、流されるままに生きてきた。
次第に彼女は時代に抗う力を失っていったのだ。

何もかもが嫌になって。

闇の中で沈んでいた彼女は、ある時光を見つけた。
それがサウザンドマスターだった。
だが、光は散々自分を照らした後にどこぞに去り、二度と自分を照らす事はなかった。
約束を破り捨てて。
その時彼女は疑心暗鬼になっただろう。
だが、今は持ち直している。
俺が見たところ、彼女は『闇の福音』としてのプライド、そして強さを心の支えにしている。
それが叩き折られたらどうなるか。
まあ、この程度で潰れる女とは思っていないが。

「つまンねェな」

その一言に、エヴァはびくりと震えた。
俺はエヴァから視線を外し、学園長を見やる。
「……学園長、俺ァ放課後にもう一度ここに来るぜ。今のままじゃ、ここにあるモン全部ブッ壊したくなっちまうからな」
それは嘘ではない。
まったくもってイライラする。
やはり、俺とエヴァは会うべきじゃなかった。
闇に染まった似たもの同士が出会うとこうなるのか。
後学のために覚えておこう。
俺はそう思いながら、騒然とする学園長室を出ていった。






~あとがき~

第6話を投稿しました。
エヴァとの出会いは、まあこんな感じです。
どうしてもアクセラレータとエヴァを争わせたくて、こういう展開になりました。
無理矢理感が溢れてますwww
ちなみにアンチエヴァではないのでご安心ください。


皆さまのコメントを見て考えた結果、ネギま板に移動することを決定いたしました。
次回の第7話を投稿した時にネギま板へ移動させます。
これからも応援、よろしくお願いします。


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