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No.21322の一覧
[0] とある転生者の麻帆良訪問(ネギま!×とある魔術の禁書目録 オリ主憑依)[カラーゼ](2010/10/31 15:16)
[1] 第1話[カラーゼ](2010/09/04 00:26)
[2] 第2話[カラーゼ](2010/09/04 00:28)
[3] 第3話[カラーゼ](2010/08/21 12:48)
[4] 第4話[カラーゼ](2010/09/04 00:29)
[5] 第5話[カラーゼ](2010/09/04 00:32)
[6] 第6話[カラーゼ](2010/09/04 00:33)
[7] 第7話[カラーゼ](2010/09/04 00:35)
[8] 第8話[カラーゼ](2010/09/04 00:38)
[9] 第9話[カラーゼ](2010/08/24 20:46)
[10] 第10話[カラーゼ](2010/09/04 00:41)
[11] 第11話[カラーゼ](2010/08/25 23:45)
[12] 第12話[カラーゼ](2010/09/04 00:42)
[13] 第13話[カラーゼ](2010/08/28 20:02)
[14] 第14話[カラーゼ](2010/08/28 18:04)
[15] 第15話[カラーゼ](2010/08/29 12:30)
[16] 第16話[カラーゼ](2010/09/04 00:43)
[17] 第17話[カラーゼ](2010/08/30 18:21)
[18] 第18話[カラーゼ](2010/08/31 22:41)
[19] 第19話[カラーゼ](2010/09/04 00:24)
[20] 第20話[カラーゼ](2010/09/03 22:22)
[21] 第21話[カラーゼ](2010/09/04 17:48)
[22] 第22話[カラーゼ](2010/09/05 23:22)
[23] 第23話[カラーゼ](2010/09/05 20:24)
[24] 第24話[カラーゼ](2010/09/06 20:43)
[25] 第25話[カラーゼ](2010/09/08 00:52)
[26] 第26話[カラーゼ](2010/09/11 21:59)
[27] 第27話[カラーゼ](2010/09/13 12:53)
[28] 第28話[カラーゼ](2010/09/15 14:10)
[29] 第29話[カラーゼ](2010/09/16 03:25)
[30] 第30話[カラーゼ](2010/09/19 00:34)
[31] 第31話[カラーゼ](2010/09/24 21:39)
[32] 第32話[カラーゼ](2010/09/30 00:28)
[33] 設定集[カラーゼ](2010/09/29 00:48)
[34] 第33話[カラーゼ](2010/09/28 00:13)
[35] 第34話[カラーゼ](2010/09/30 17:36)
[36] 第35話[カラーゼ](2010/10/04 23:06)
[37] 第36話[カラーゼ](2010/10/14 12:10)
[38] 第37話[カラーゼ](2010/10/14 23:18)
[39] 第38話[カラーゼ](2010/10/31 15:29)
[40] 第39話[カラーゼ](2010/11/07 15:05)
[41] 第40話[カラーゼ](2010/11/08 01:44)
[42] 第41話[カラーゼ](2010/11/10 01:14)
[43] 第42話[カラーゼ](2010/11/12 01:21)
[44] 第43話[カラーゼ](2010/11/21 20:08)
[45] 第44話[カラーゼ](2010/11/21 20:12)
[46] 第45話[カラーゼ](2010/12/06 16:45)
[47] 第46話[カラーゼ](2010/12/06 16:48)
[48] 第47話[カラーゼ](2010/12/05 13:38)
[49] 第48話[カラーゼ](2010/12/19 02:01)
[50] 第49話[カラーゼ](2011/01/17 16:43)
[51] 第50話[カラーゼ](2011/03/29 01:58)
[52] 第51話[カラーゼ](2011/05/29 01:44)
[53] 第52話[カラーゼ](2011/08/18 15:44)
[54] 第53話[カラーゼ](2011/09/03 18:05)
[55] 第54話[カラーゼ](2011/11/04 21:57)
[56] 第55話[カラーゼ](2012/08/27 00:24)
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[21322] 第24話
Name: カラーゼ◆68f6dca0 ID:11f779aa 前を表示する / 次を表示する
Date: 2010/09/06 20:43
SIDE 一方通行

あまり良い眠りではなかった。
ミサカのことが気になって眠れなかったというのもあるし、『軍用ミサカ』というのは俺にとってかなりショックなことだった。
『一方通行』もショックを受けているだろう。
この胸の奥にあるイライラはおそらくそういうことだろうから。
詳しいことはミサカに聞かなければわからないが、ため息がつきたくなることばかりだ。
俺は音の反射を解除して起きあがり、時計を見ると朝の九時だった。
昨日就寝したのがおそらく二時ごろなので七時間しか寝てないことになる。
七時間も!?と思うかもしれないが、カロリー消費がかなり多い俺の体は最低でも十時間寝ないと体力が万全まで回復しないのだ。

何度も不便だと思うが、アクセラレータの欠点はそこかもしれないな。

俺が着替えて寝室から出ると、リビングには何時の間にか入りこんだミサカがいた。
もう何時の間にか誰かが部屋にいるという状況には慣れていたのでまったく驚かずに、俺は今日のニュース番組を眺めているミサカの前を歩いて通り過ぎる。
スルーと言う奴だ。
ミサカは俺の歩いている様を眺めながら、ポツリ。
「放置プレイなのですか、とミサカはおはようも言わないのかと注意します」
「家主の承認も無しに勝手に入って来るのはどォなンだ?」
「学園長という方に許可は取ったので問題ないかと、とミサカは胸を張ります」
「そう言いながら身じろぎひとつもしねェでチャンネル変えてンじゃねェ。全ッ然気にしてねェじゃねェか」
ふてぶてしい奴だな、と心の中で呟いてから、俺は顔を洗いに行く。
適当に洗って戻ってくると、ピョー、という慣れ親しんだヤカンの蒸気音が聞こえてくる。
それを聞いて火を止め、カップラーメンに湯を注ぐ所を見た俺はため息をついた。
「……ふてぶてしいどころじゃねェな。ドコでその順応能力身につけやがった」
「私を二〇〇〇一号以前のミサカシリーズと思ってもらっては困ります、とミサカは前にも増して胸を張ります。私たち『新妹達』からは最新の『洗脳装置』とミサカネットワークから情報を統合し、前にも増して一般常識や知識などが詰めこまれているのです、とミサカはわかりやすく説明します」
どこがだ。

一般人には理解できない単語が過半を占めてんじゃねえか。

「言っとくがわかりやすい説明ってのは万人に理解されるモンじゃねェとダメだからな―――俺の分はねェのか?」
「ありません、とミサカは三分を計りつつ冷淡に告げます」
しょうがない。
もともと朝食は起きてから作るものだ。
俺は立ちあがると台所に向かい、調理器具を取り出すと朝食を作り始める。
ミサカは俺の手際に驚嘆したらしい。
まじまじと次々に料理ができていく様を眺めながら、
「ますますあなたがアクセラレータであることが信じられません、とミサカは調理方法を記憶しながら問い掛けます」
「インスタントじゃ物足りねェからな。自分で作った料理が一番満足すンだよ」
それに、一時期は体を鍛えるためにカロリーバランスも考えていたからな。
味はともかく、そうやって栄養を補給するのは自分で作るのが手っ取り早く、わかりやすかったし。
一方通行の頭脳なら料理本を買ってきてその通りに食事を作ることなんて簡単な事だった。
味の方もそこそこ改善できたので、人前に出しても文句は言われないはずだ。
よくある壊滅的な腕ではなかったのでホッとする。
ここは漫画の世界、何が起ころうとおかしくはない。
ミサカがズルズルとカップ麺をすすっている横で、俺は朝の定番シャケ定食を食べる。
それをちょっと羨ましそうにミサカが見てくるので、
「……太るぞ」
太るの一言でピタリと動きが硬直したことから、それなりに女の子としての自覚もあるようだ。
その感情の発露の様子からすると、時期的には衣替えの直前……と言った所か。
いや、それもアテにはできない。
俺がいない時点で向こうの世界の未来がかなり変わってきてるんだ、もしかしたら大覇星祭の前からきたのかもしれない。

まあ、それも朝食が終わってから聞くだけだ。

一方通行とミサカには御存知の通り、殺し殺されていた異常な関係が構築されている。
殺される予定だった二万人の『妹達』とは『番外』の検体だとしても、ミサカネットワークを繋いでいる以上は俺のやったことは認知しているだろうし、憎まれても嫌われても仕方がないと思っている。 
それにしてはミサカの対応が普通に見えるのは何故だろうか。
……いや、それよりもそういう異常な関係を学園長達に暴露するのは嫌だ。
誰にだって話したくないことはあるものだ。
だから、それを隠すために口裏を合わせなければならないと思っている。
ミサカの方はよくわからないが、あの過去を知られて良い物とは思わないだろう。
俺は食器を片付けた後、やはりニュース番組を見ていたミサカとは違う辺のコタツに入った。
コタツは上から見たら長方形なので、俺のほうが狭いというのが納得いかないが。

最初に口を開いたのは、意外にもミサカだった。

「まずはそちらの事情を話して下さい、とミサカは事情聴取を開始します」
「事情ってのは、俺のこれまでの経緯でいいのか?」
「はい、とミサカは肯定します」
「じゃァ説明すンぞ。二度は言いたくねェから一度で覚えとけ」
俺はこの一年と少しの期間にあったことを淡々と話した。
改めて色々な事があったものだと思う。
まずこの世界にやってきて、いきなり鬼をぶっ殺したこと。
それから学園長達に会い、その戦闘力を警戒されて一ヶ月の監視が義務付けられた。
その過程でタカミチ・T・高畑、ガンドルフィーニ、桜咲刹那、高音・D・グッドマン、佐倉愛衣と知り合いになる。
順調に見えた学園生活だったがその後一悶着あり、その際に揉めたのが真祖の吸血鬼と呼ばれるエヴァンジェリン・A・K・マクダウェルだということ。
「この世界にはそういう類の魔物も実在するのですか?とミサカはまだ見ぬリアルなファンタジーを予想します」
「ケンタウロスやらサイクロプスみてェなレアものは存在しねェみたいだが、悪魔やドラゴンとかは普通にいるって話だ」
そのエヴァが謝ったことで一応和解し、それからも良好な関係を続けている。
次にであったのは超とハカセであるが、彼女達のことは名前以外伏せておいた。
彼女達のことを詳しく話すには計画の事を話す必要がある。
それの許可を得るまで、彼女達のことはあまり話さない事にした。

ミサカを信用していないわけじゃないが、彼女達には他言しないと約束してしまった。

向こうはこちらを信用してくれているようなので、その信頼を裏切る真似はできる限りしたくないのである。
更に麻帆良祭、夏休み、ウルティマホラなどの経緯を話し、ここに至るという事だ。
それを聞いたミサカは非常に不思議そうな表情で俺の事を見やる。
「……聞けば聞くほど不可解です、とミサカは首を傾げます。あなたほどの人物がそう簡単に友人関係を構築できるとは思えません、とミサカは判断します」
「向こうよりもこの世界のほうが遥かに温かい。それだけだ」
事実、ここは甘ったるいが……嫌いじゃない。
近頃、そう思う事ができるようになってきた。
精神も安定してきたし、良い具合に『俺』と『一方通行』が混じり合ってきたのだろうか……まあ、その考察は今ここですべきことではない。
最初は生ぬるい地獄だ、というエヴァの一言に同意していたものの、やはりここの暖かさは捨てがたい。

向こうに戻るか、この世界にとどまるかと言う選択を迫られた時はとりあえず間違いなくこの世界に留まる事を選択できるくらいには。

「ところで、あなたは私の視覚情報よりも非常に体格がよくなっているようですが、それは単なる成長だけではないと思います、とミサカは予想します」
「トレーニングしたンだよ。どォも、この世界じゃ俺達の常識なンざ通用しねェ連中がわんさかいるようでな。呪文一発で山を吹き飛ばしちまう連中もいるらしい」
実際、ラカンやサウザンドマスターに敵うのは聖人か学園都市の超能力者、あるいは異常な能力を備えた『神の右席』や『原石』達だろう。
「俺ァ『反射』を破られたらほぼ無力だ。それに備えるために力をつけた。向こうに戻りゃァ以前ブッ飛ばされたクソ野郎に肉弾戦で勝てる自信もあるぜ」
上条当麻は所詮、路上の喧嘩で負ける相手には基本的に勝てない。
『幻想殺し』と呼ばれる能力も、ただの喧嘩に勝つには役にたたない能力なのだ。
「努力をしたのですか?とミサカは意外そうに尋ねます」
「ッたり前だ。この世界じゃ俺は学園都市最強ってことは誰も知らねェ。俺の反射は力を見せつけることには不便だから、最も単純な身体能力で力を見せる必要があったンだよ」
実際ベクトル操作を使うので体格はあまり関係ないのだが……男として少し見栄を張りたいのは事実だ。
これでも長瀬楓や龍宮には身長で負けてるからな……。
少し悔しい。

改善しようとしても無理だが。

「……俺の事は以上だ。また聞きたいことがありゃァ順次聞け。答えられる事なら答えてやンよ」
「ということは答えられない事があるのですね、とミサカは痛い所をつきました」
「別に痛くねェが……誰だってそォだろォがよ」
俺もこれからミサカのいう事はあまり鵜呑みにするつもりはない。
次にこんな連中が出てきた時のために参考にさせてもらう程度だ。
俺はコタツの中で足を組み直すと、俺のとっての本題に入ることにする。
「テメェの世界で起こった事を話せ」
説明を求めると、ミサカはすらすらと答えた。
俺が消失したのは八月二十七日。
俺が上条当麻に負けたのが二十一日だから、約一週間後って所か。
上条当麻が介入しなくても、俺がいなくなれば実験は中止していたため実験の進行自体はあまり影響しないようだ。
問題はその後だ。
アレイスターの計画に俺という存在はそれほど重要視されていなかったらしく、計画には『第二候補』として垣根提督を使う腹らしい。
重要なのは量産すべきミサカシリーズと『打ち止め』。

そして『ヒューズ・カザキリ』だ。

しかし、俺という存在の消失はアレイスターの計画に大打撃を与えたのは間違いないことであり、外部勢力との戦力差を埋める為に本格的に量産型能力者の計画を立ち上げた、というのが彼女達が生まれた経緯らしい。


それが『第二次量産能力者計画』(ニューシングル)。


確かに、第三位ほどの戦闘力がある能力者を量産できるのなら、これほど心強い存在もいない。
強力な磁力はフルメタルジャケットの銃弾を跳ね返し、それ以前に銃器やレーダー類を使用不能にする。
雷撃の槍は文字通り雷の速度、聖人など驚異的な身体能力の保持者ではない限り防ぐ事はできない。
代名詞である『超電磁砲』は戦車砲どころではない威力を発揮する。
兵器を量産するのとは訳が違う単価で生産できる彼女達は、従来の兵器よりもよほど優れた兵器だと思う。
少なくとも、原作の『六枚羽』に数億かかっていることを考えると、彼女たちの方がよっぽど安価だろう。
彼女の話によると『妹達』よりもかなり金もかかっていて使い捨てでは色々と困るため寿命についても調整である程度改善されているらしい。

だからと言って運用するのは虫唾が走るが。

このミサカ達の前の二〇〇〇一号以下のミサカシリーズは兵器として新たに生み出されたミサカ達の存在を知っているが、軍事的かつ組織的な問題であるので上条当麻に助けを求められずにいる。
流石に上条当麻だけで学園都市の闇に立ち向かえるわけがない。
返り討ちにされて終わるのが自然だ。
一方通行のような物理的攻撃力がほとんど一般人と変わらない上条当麻では銃を持つ一般人ですら脅威になる。
そんな人間に助けを求めたとしてもどうにもならないだろう。
更に、このミサカ達『軍用ミサカ』が生まれたのは上条当麻のせいでもあるらしく、それで負担をかけたくないとのこと。

一方通行が上条当麻に敗れた事は『実験』が中止になったことから明らかである、ということは上層部も知っているはずだ。

つまり、レベル0がレベル5の最強に勝てる、と言う事を意味している。
どれだけ脆弱な雑魚であろうとも最強に牙をむく、という事実を学園都市上層部に示してしまった。
それだけならまだ良かった。
アレイスターという絶対の存在がいたからだ。
しかし、突如として一方通行が消失するという緊急事態が発生した。
すぐさまアレイスターが対応するかと思ったが、彼が対応を起こしたのはその一日後。

『第二次量産型能力者計画』の立ち上げだった。

アレイスターが怖いと言うよりは自分たちに不幸が降りかかる方が怖い上層部は、アレイスターの指示が遅れた事が彼の『想定外』であることを意味していることに気づくだろう。
新たな戦力を保持して安心するために、『軍用ミサカ』製造を始めた、というわけらしい。
既に『新妹達』と呼べる彼女らは『二〇一三三号』まで製造が完了しており、例え本家本元の『超電磁砲』が来ようとも相手にはならないほどの戦力差らしい。
ただ、『超電磁砲』を生産するためには並々ならぬ犠牲と金を必要としたらしく、薬や寿命延長などといった処置を全て受け、尚且つレベル5として成功した個体は『二〇一〇九号』が最初らしい。
俺の目の前にいるミサカはかなり初期の段階に生産され、最古参とも言える存在のようだった。
脳内や経験としてブチ込まれた戦いにおいての経験は他の『新妹達』に比べても多くあり、その分強い。
だが、投薬されている量にも微量の違いがあり、それぞれのミサカには能力の出力の違いがあると言う。
レベル5として完成するためには相当量の薬をドバドバ投薬される必要があったようで、成功したとしてもオリジナルほどの出力を出せるほど完全なるコピーとして生産するのは難しいらしい。
出力として見れば最新型の『二〇一三三号』が優れているらしいが、体術という一点においてならば最古参に位置する『二〇一一二号』はミサカシリーズでも最強クラスだが、能力を使えば平均程度であると言っていた。
能力の出力は最大出力6億ボルト。
オリジナルの約半分であるが、最新型は8億までこぎつけているらしい。
どうも薬の分量や新しい薬を試した結果そうなっているようだが……日に日に学園都市が進化している証だろう。
「っつゥか、テメェらはどう頑張ってもレベル2か3程度の電撃が限度だったンじゃねェのかよ?どォやってレベル5にまでなりやがったンだ?」
「それについてはミサカ達は情報を与えられていません、とミサカは説明します」
機密事項、か。
しかし、『樹形図の設計者』による計算が全てだった科学者がいきなり態度を翻してその計算を上回る結果を出してるのかが気になるな……。
すらっと頭を回転させてみると、俺はふと簡単な事を思いついた。


もしも、『樹形図の設計者』のプログラムを、あるいはその演算結果をアレイスターが操作できるとしたら?


『超電磁砲』を百人ほどではおそらく世界中にミサカネットワークの構築はできないだろう。
ネットワークの構築には数が必要だろうから。
となると、必然的にその数を増やすことになる。
敢えて能力を劣化させることで2万という人数を生産し、その半分くらいを生き残らせることにより1万人のミサカを世界中にバラ撒くという計画だったのではないだろうか。
本来ならその路線で突っ走る予定だったのだろうが、そこで一方通行が消失。
一方通行と言う莫大な戦力が消失したことで、何かそれに匹敵するような戦力が必要になった。
学園都市の技術レベルでレベル5を量産できるのかはわからないが、試してみる価値くらいはあると思ったのではないだろうか。
それがレベル5の量産計画。
アレイスターも安易な手を伸ばしたと思うが、それが現実的にかなりの戦力になることから、間違ってはいないのだろう。
実際、成功しているわけだし。
しかし、それにより犠牲になったミサカの数は計り知れないものだろう、と俺は思う。
流石に俺が殺した数を上回る犠牲は出ていないだろうが、新薬の開発には実験台がつきものである。
少なくとも百人、千人単位で試作体のミサカは闇に葬られてきたことだろう。
俺は小さく、ミサカに気づかれないようにため息をついた。
俺がいれば何とかなったかもしれないが、いないものを言ってもしょうがない。
……ふと見てみると、彼女達はどこか自立しているように見えなくもない。

上条当麻には頼れない。

だから自分達で解決するしかないと思い始めている、と俺は考えた。
もしかしたら最終局面でアレイスターに反旗を翻すための鍵になるかと思うと少しは気が晴れた。
「……『実験』のことについてはどうする?」
俺の本当の本題はこれだ。


『絶対能力進化計画』


一万人以上を殺戮した現実だ。
コレの事を考えると、俺の心臓の下辺りがグンと重くなる。
舌打ちしたい気持ちを抑えながら、俺は目の前を見た。
案の定、ミサカは無表情を多少冷たくしながら答えた。
「これに関しては今更という感が否めません、とミサカは告げます。あなたが話すというのなら話しますし、話したくないと言うのなら話しません、とミサカはあなたの意見を尊重します」
過去は過去か。

俺はテメェらみたいに割りきれねえよ。

「……話すな」
「わかりました、とミサカは返答します」
やはり、こればかりは許容ならない。
彼女にとっては受け入れて先に進むべき問題なのだろうが、俺は彼女ほど強くない。
殺してきた存在が目の前にいて、その存在を前にしてそのことを話すというのはあまりにも『俺』の心が耐えきれそうになかった。
罪悪感と罪の意識に押し潰されそうで。
おそらくそれを感じるのは俺が『アクセラレータ』だからだろう。
こんなにもアクセラレータの罪は重いのか、と再認識する。
彼女が来たという以上、その罪は一生俺に付きまとう事になる。
二度目の人生はとんでもない籤を引いてしまったらしい。
俺は自分の落ちこんだ雰囲気を悟られたくないので、話題を変える事にした。
「何月何日に来たンだ?」
「それは良く覚えていないのです。ただ、大覇星祭は過ぎていたと思いますが……とミサカは言葉を濁します」
「まァ、俺もその辺りは不鮮明だったンだ、気持ちはわかる」
そう、実は俺もいつこっちに来たのか、その辺りは良くわかっていなかった。
それは世界の移動による副作用なのかはよくわからないが……まあ、これで俺が打ち止めに出会っていないことがわかったし、とりあえずよしとする。
彼女を寂しがらせていると不味いからだ。

……いや、ちょっと待て。

「オイ、『打ち止め』はどうしてる?」
「何故あなたがその存在を知るのかはわかりませんが……二〇〇〇一号はとある警備員の家にお邪魔しながら、時折上条当麻の家にお邪魔しているようです、とミサカはアクセラレータから圧迫感を感じながらボソボソと述べます」
あのフラグ野郎、小萌先生だけならず事実上最年少にまで手を出しやがったか。
インデックスと同居してるからロリだと思ったが、まだ一歳にも満たない奴に手を出すペド野郎とは思ってなかったぜ。
え?俺が言うな?いいじゃないか別に。
『0831事件』で打ち止めの身柄がどうなったのか気になったのだが……どうも件のフラグメイカーが解決したようだった。
どうやったのかは知らないが。
というか、知りたくない。
「……その件については聞くな。まァ、大方予想通りだから」
「よく一〇〇三二号は『カミジョー属性』について苦々しく話していました、とミサカは本人がいないことをいいことに不満を暴露します」
「(『御坂妹』か。更に御坂本人までいるンだから……双子の上に妹までお買い上げってか。わ、笑えねェ)」
本気でいつか後ろから刺されるんじゃないか、と俺は遠き世界の熱血主人公をまともに心配してみた。

心配なんざ柄じゃねェのですぐにやめたが。

その後、ミサカはミサカネットワークのせいで言えなかった愚痴がたくさんあったためか、ブツブツと呟いていたので俺はそれに相槌を打っていた。
会話で判明したが、どうやら彼女にとって『二〇〇〇一号』までのミサカシリーズと『新妹達』とはどこか違うという解釈をしているようだ。
我々は選ばれた―――みたいな宗教的考えに陥っていないからよしとするが、やはり軍用である以上、差別化は必要らしかった。
また、そのせいか俺の事をさほど嫌悪しているわけでもなさそうだ。
軍用のせいかちょっとは裏の事情がわかるようだし、俺が『妹達』を殺してきたのは事実だが、あくまでそれは起こってしまった事実だ。
しょうがない、という一言で許されるものではないが、彼女等はどうやら割り切っている様子。

素直に、それがありがたかった。

ホッとすると、俺は学園長がミサカをどういう扱いにするか頭を働かせていた。
おそらく……いや、十中八九あの2-Aへ編入する事になるだろう。
あの学園長のことだ、絶対そうするに違いない。
となると、まずカンの良いエヴァ、刹那、超辺りには説明する必要がありそうだった。
龍宮は興味なさそうだし、説明はいらないだろう。
その説明の時間が取られると思うと、ホントに深いため息が出る。
まさか、原作発動前にこんな事態になるとは思っていなかった。
「そこで二〇一一九号がミサカネットワークから拾い上げた最新の痩身テクを披露していて―――もしもし、私の話を聞いていますか、とミサカは帯電しながら愚痴を聞けと酒飲みのように言います」
「あァあァ、聞いてるぜ。二〇一一九号がなンだって?」
まあ、とりあえず俺はミサカの愚痴につきあわされることになりそうだ。
そういや、初詣に呼ばれてたかもな。
俺は現実逃避気味にそんな事を思い出しながら、正月の午前中は過ぎ去っていく。
こんな午前中も悪くねェな、とほんの少しだけ思った。






SIDE 近衛近右衛門

まさか正月早々こんなトラブルが起こるとは思わんかった。
除夜の鐘が鳴り響くとほぼ同時に出現した、強力な電気を司る『超能力者』であるミサカという少女の事じゃ。
彼女の言い分やアクセラレータ君の対応から考えると、彼女は彼と同じ世界……麻帆良とは違う巨大な学園都市に住まう存在だと言うことがわかった。
アクセラレータ君が帰りたがったのでそれくらいしかわかっていないが、それも今からわかることじゃ。
わしは待ち合わせの時間から五分ほど経った後にやってきたアクセラレータ君とミサカ君に向けてため息をついた。
「老人を待たせるというのはいただけんのう、アクセラレータ君」
「テメェは老人の枠に入らねェよ。労わる必要なンざねェ」
ふむ?
少々アクセラレータ君のノリが悪いようじゃな。
昨日よく眠れなかったのかの?
それとも、この場にミサカ君がいるからか……彼女とも知りあいだったようだし、その辺りの関係も話してくれればいいんじゃが。
わしはどこかピリピリとした気配を放つアクセラレータからミサカ君に視線を移す。
「では、昨日説明できなかった私の事情というものを説明します、とミサカは宣言します」

それにしてもこのヘンテコ口調はどうにもならんのかの?

わかりやすいといえばわかりやすいのじゃが、慣れんと対応するのがちょっと難儀じゃ。
わしはそう思いながら彼女の話を聞いていると、やはりアクセラレータ君と同じくどうしてここに来たのかはさっぱりわからないようじゃった。
それからわしは彼女の過去を聞く事になったのじゃが、流石のわしもシリアスにならざるをえん状況になった。
アクセラレータ君からそれとなく学園都市の闇について知っておるつもりじゃったが、まさか学生のDNAを使ってクローンを作り、兵器として作り上げるとは。
わしは一人の教育者として、またこの麻帆良という学園都市の最高指導者として怒りが湧き上がるのを抑えきれんかった。
アクセラレータ君はわしの様子を見て肩を竦める。
「この程度で怒るンだったら見通しが甘ェぞ。学園都市じゃァいつも人が死ンでるようなモンだからな」
「表はともかく、学園都市の裏は世界の半分程度を掌握している勢力の本山ですので内包する闇の濃度は常人では知れば廃人になる可能性もあります、とミサカは捕捉説明します」
「言っただろ?もともと俺達超能力者はマトモじゃねェンだよ。俺も脳を開発されたし、薬だってガバガバ投与された。脳だけ残って人間やめてる奴なんていたしなァ」
まるで世間話でもするように軽い感じでとんでもないことを暴露する二人。
わしにはとても信じられんが、これが彼等にとっての日常なのだろう。

殺し、殺されるのが当たり前。

人間を人間として見ない連中が死ぬほど集まっているのじゃろう。
その怒りをなんとか抑えて話を聞くと、ミサカ君はそのクローンの中でもより戦闘に特化された存在らしいのじゃ。
昨日もタカミチ君が尋ねていた『第三位』というのは、学園都市に七人しかいないとされる超能力者の三位にいる存在らしい。
強力な『発電能力者』で、良く知られている能力の中では最強クラスの力を持つ天才のようじゃ。
その力を量産しようとして生み出されたのが目の前にいるミサカ君というのじゃ。
ううむ、見た目には中学生にしか見えんのに、この子は生まれて何カ月も経っていないという。
体にかなりの無茶をせんとそこまで成長できんというのはなんとなくわかったのでそれを訪ねてみると、色々と調整する事で寿命などは改善する事ができるらしい。
科学もある種の魔法と超君が言っておったが、まさにそれじゃな。
話がそれたが、もともとクローンというのはやはり劣化版しか作り上げられんかったようで、超能力者に対して強能力者程度の力しか保有しておらんかったようじゃ。
それを改善して、『軍用ミサカ』と呼ばれる彼女達が誕生した。
より戦闘に適したアドバンテージを得るために、オリジナルである学生よりも身体能力を上げた体、そして戦術論を記憶させる事により効率的に敵を攻撃する術に長けているという。

ふざけるな、と思う。

よりによって子供を兵器に作り上げる奴らなど、わしはとてもではないが許してはおけん。
紛争では子供兵士など珍しくもないらしいが、これはそれ以上に質が悪い。
ただ戦いをするために生まれて来るなど、哀しすぎるじゃろうに。
もしも向こうの世界に行けるのであれば、その責任者をわしの手で叩き潰してやりたい気分じゃ。
わしが怒りに拳を震わせていると、その考えを読んだのか、アクセラレータが言った。
「悪いがアレイスターはテメェが力ずくでどうこうできる相手じゃねェ。実際に見たことがねェが、サウザンドマスターレベルでも無理だ」
「どうしてそんなことが言いきれるんじゃね?」
アレイスターというのは学園都市の最高責任者の名前じゃろう。
わしは怒りを隠し切れずに、イラだった調子でアクセラレータに尋ねた。
アクセラレータは淡々と答える。
「アレイスターの支配に抗おうと考えた連中がいなかったとでも思うのか?アレイスターはそれら全てを叩き潰してきた。その気になれば、奴らは『ヒューズ・カザキリ』も召喚できる。いくらテメェやサウザンドマスターでもあれはまずい」
「『ヒューズ・カザキリ』?」
「天使のなりそこないだ。俺達の世界にとって天使は世界を簡単に滅ぼす事ができる力を内包している。『天使の力』と言ったか。『神の力』ってホンモノの天使は一度世界を滅ぼそうとして世界に火の雨が降り注ぐ術式を世界中に展開した事があるからな」
「……そんな事件があったのですか、とミサカは驚愕します」
「テメェが生まれる前の話だ、無理もねェ」
信じられん話じゃが……『ガブリエル』といえばキリスト教やユダヤ教、イスラム教では四大天使の中に入る大天使。
天使が召喚されたという例は聞かないが……そうなると、異界の魔王に匹敵する魔力量を保有している事は間違いない。
そう判断すると世界を滅ぼす事もできるのも納得がいく。
「その『ヒューズ・カザキリ』というのはその力を扱うのかね?」
「どォいう原理で動いてンのか知らねェが、多分な。んでもって、それの首輪をアレイスターが握ってる。俺も敵うかどうかわからねェ」
物理攻撃を相手にそのまま跳ね返す彼でもかなうかどうかわからない、か。

相当な相手なのじゃろうな。

怒りの沸点は通り越してしまったらしく、わしの頭は逆に冷えてきた。
落ち着きを取り戻すために一呼吸をいてから、普段のおちゃらけた雰囲気に戻る。
やれやれ、年寄りには堪えるわい。
「話がそれてしまったの。で、ミサカ君はこれからどうしたいのかの?」
それを聞いて、ミサカ君はピタリと動きを止めた後、顎に手をやる考える人のような仕草をした。
考えてなかったのかの?
それに対し、アクセラレータ君がフォローを入れる。
「ミサカには一般常識が欠如してンだよ。軍事訓練ばっかだったコイツがまともな常識を持ってると思うのか?」
「む、ミサカはミサカネットワークにより一般常識についてはそれなりに学習したつもりです、とミサカは抗議します」
「それなりじゃ困るンだよ。それに、テメェはネットワークからも切り離された完全に孤立無援の状態だってことを忘れたのか?上に頼るにしてもずっとそういうわけにはいかねェだろうが」
アクセラレータ君にしてはもっともな意見じゃな。

ま、彼の言いたいこともわかる。

もともとそのつもりでここに呼んだのじゃしな。
「と、いうわけでミサカ君には学校に通って欲しいのじゃが」
「学校、ですか?とミサカは困惑します」
「一応ここは麻帆良という学園都市じゃ。肉体年齢が中学生の君は日本の法律上学校に通わなければならん。どうじゃ、これを機会に同年代の他の女の子達と触れ合って見るのはどうかね?アクセラレータ君もいつまで君の助言をするのかわからんことじゃしの」
のう?とアクセラレータ君を見ると、舌打ちして殺気を飛ばしてきた。

図星じゃな。

彼は自分が思っているほど冷徹ではない。
途中でミサカ君を見捨てる事など絶対にしないじゃろう。
わしが見たところ、ミサカ君とアクセラレータ君は何らかの因縁のようなものがあると覗えるし、だからこそ彼も気にかけるのじゃろうが。
ミサカ君はハッとしたようにアクセラレータ君を見た後、わしの方に向き直った。
「……正直に言いますと、心の準備の時間が欲しいのですが、とミサカは自分の心中を吐露します」
「今は正月、元旦じゃ。これから三学期が始まるまで一週間もある、それまでにゆっくり考えてくれい」
彼女が動揺する理由は簡単に思いつく。

彼女はクローン人間。

彼女が表に出ると困る人間はたくさんいるのじゃろう。
だから、決して学校に通う事はできないのだと思っていたに違いない。
学校に通うと言うことは大切な時間を共に過ごす友人を作ることができる。
彼女の社交性のなさを改善できるかもしれない。
アクセラレータ君もそれを考えていたのじゃろう、腕を組んで不機嫌そうにしながらも、どこか満足そうに見える。
なんだかんだ言って面倒見が良い所は間違いないようじゃの。
ミサカ君は丁寧にお辞儀をした。
「ありがとうございます、とミサカは感謝の言葉を述べます」
「いいんじゃよ。わしみたいな者にできることといえばこれくらいじゃしの」
わしがいつもの笑い方で笑うと、ミサカ君の無表情が少しだけ柔和になった気がした。
美人になりそうじゃのう。
暢気に思っていたわしはうっかり忘れそうになっていた事を思い出し、慌ててミサカ君に尋ねる。
「おお、そうそう。ミサカ君の戸籍を作ろうと思っておったんじゃが、流石にミサカだけではまずかろう。名前を決めてくれんか?」
すると、ミサカ君は迷わずアクセラレータ君に振り向いた。
「あなたはどう名乗っているのですか、とミサカは訊きます」
「あァ?なんでだよ?」
「あなたはどう名乗っているのですか、とミサカは再度訊きます」
ミサカ君、なんか恐いんじゃが……。
アクセラレータ君も無言の圧力を感じたのか、ぼそりと『一方通行(ヒトカタミチヨシ)だ』と言った。
するとミサカ君はこちらに向き直り、告げる。


「では、私は一方ミサカにします、とミサカは爆弾発言を投下します」


自覚してるんじゃな。
実際、アクセラレータ君はこれ以上ないほど驚いておるし。
目を見開いたまま固まっておる。
ふぉふぉ、彼のこんな顔は滅多に見られん、実に面白い。
「……ちょ、待てェ!?なンでテメェ俺の名前を勝手にパクってやがるンだ!?」
「いけませんか、とミサカは逆ギレ気味に言い返します」
「いけねェも何もそれじゃ後々面倒なンだよ!兄だとか妹だとか勘違いされると困るだろォが!!」
「ミサカ一〇〇三二号は通称『御坂妹』なので妹である立場に不満はありません、とミサカは断固として自分の意志を主張します」
「こんな所に普段薄い自分の意志を主張すンじゃねェ!!ヒトカタミサカなんざ絶対ェ偽名だと思われンだろうが!!」
「一方という名字は珍しいですがアリだと思います、とミサカは折れる事なき鋼の意思で主張します」
「なンでそこまで意固地になってんだ!?別にいィだろ他の名前で!例えば近衛とか!!―――いや、それはナシだな」
「何気に酷くないかお主?」
わしの方を向いて一気にクールダウンするアクセラレータ君にため息をつく。
全国の近衛が名字の人に謝れ。
わしの言葉なんぞ気にした風もなく、アクセラレータ君は抵抗を続けていたが、結局ミサカ君の主張に折れたようじゃった。
どこか上機嫌そうに見えるミサカ君の隣で、アクセラレータ君はげんなりとしている。

いい気味じゃ、と大人げない事を思った。

「では、一方ミサカで登録しておくぞい。ちなみにミサカ君、今日は元旦じゃから色々と店もお休みの所があるかもしれんが、アクセラレータ君にいろいろと尋ねてみるといいじゃろう。これから住む場所になるんじゃからな」
「わかりました、とミサカは礼をします。いつまでそうしてるんですか、とミサカはアクセラレータを叱咤するという快挙を成し遂げました」
「……もォ何も言わねェ」
脱力したように学園長室を出ていくアクセラレータ君と一礼して出ていくミサカ君を見て、アクセラレータ君は意外と尻にしかれるタイプかもしれん、と一人で呟いて笑った。






~あとがき~

説明会、そして後始末でした。
『二〇一一二号』改め『一方ミサカ』の設定、そして『とある世界』の状況、一方通行の情報と、色んな事を明かしました。
ちょっと補足を。長くなりますのでご注意ください。

『樹形図の設計者』についてですが、私は『量産型能力者計画』は『樹形図の設計者』により『超電磁砲』をそっくりそのままクローンして量産することは不可能だと出ていましたが、それはもしかしてアレイスターが改竄したのでは?とか思ってます。
彼女ら『欠陥電気』はアレイスターの計画では『絶対能力進化計画』へ移行させなければならないでしょうし、あの時期の研究者にとって『樹形図の設計者』の言葉は絶対です。
本気になれば学園都市のトンデモ科学力で『超電磁砲』を製造できると私は考えました。
『樹形図の設計者』の改竄はちょちょっと細工すれば遠距離から操作もできるんじゃないかなー、とアホみたいな思考による幻想です。

また、このミサカですが彼女はそれほど一方通行に嫌悪感を持っていません。
軍事的な知識や学園都市についての知識、そしてミサカネットワークによる雑学も少しは学習している彼女たちにとって、一方通行は悪意を持って彼女らを殺していたというわけではないことに最初から気づいているからです。
それに、上条当麻に負けた結果彼女らが生まれたのですから……その辺りは原作でも言ってましたね。
『打ち止め』などといった彼女らからも考えてこの考えに至るのは御坂美琴のDNAによる力かもしれませんが、そういうことです。
かと言ってその罪を許すと言えばそうではなく、『妹達』を1万人以上殺した一方通行に恨みを持っているのは確かです。
しかしそれが『ミサカワースト』のように必要以上に顕著なものではない以上『一方通行にぞんざいに振る舞う、あるいは彼の言う事をシカトする』という異色のミサカが出来上がってしまいました。
……原作でも腹黒っぽい描写がありますから、いいですよね?
しかし、この世界で彼女が頼れるのはアクセラレータのみです。
学園長のことは善人だと判断しましたが、いざとなればアクセラレータの罪悪感に訴えかけるのが最善だ、と腹黒くミサカは考えています。
とはいえ、完全に腹黒キャラじゃないです。
ミサカは純粋で染まりやすいです、これ重要。
時期としては衣替え直前のミサカとなります。

このミサカを登場させた理由ですが、これもきちんとあります。
制作当初からアクセラレータを苦悩させるためにミサカ登場は決定してました。
『一般人』と『一方通行』の違いを表現するには精神的に揺さぶるのが一番ですからね。
以前に感想で言ったかもしれませんが、これがアクセラレータの強固なる『目的』の確立です。
ぶらぶらと生きてきたアクセラレータですが、これから良く考えて生きなければなりません。
これから彼は罪悪感とミサカを守らなければならないと言う使命感を背負って頑張っていきます。
―――かと言ってミサカがメインヒロインだと確定したわけではありませんので。



え?どうして『打ち止め』じゃないか、って?
だって……そうなったら2-Aの行事に介入できなくなるじゃないかっ!!
流石にエヴァならともかくあの無邪気系幼女を2-Aに編入させる事は…………あれ、なんか2-Aに小学生が―――。
という冗談は置いといて、登場させても能力を失う前の一方通行と特に接点がない上に、彼女だと私生活に介入しすぎてヒロインが決定されてしまうと思うんです……彼女ほど無邪気なのはネギまでもあまりいないので。


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