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No.21322の一覧
[0] とある転生者の麻帆良訪問(ネギま!×とある魔術の禁書目録 オリ主憑依)[カラーゼ](2010/10/31 15:16)
[1] 第1話[カラーゼ](2010/09/04 00:26)
[2] 第2話[カラーゼ](2010/09/04 00:28)
[3] 第3話[カラーゼ](2010/08/21 12:48)
[4] 第4話[カラーゼ](2010/09/04 00:29)
[5] 第5話[カラーゼ](2010/09/04 00:32)
[6] 第6話[カラーゼ](2010/09/04 00:33)
[7] 第7話[カラーゼ](2010/09/04 00:35)
[8] 第8話[カラーゼ](2010/09/04 00:38)
[9] 第9話[カラーゼ](2010/08/24 20:46)
[10] 第10話[カラーゼ](2010/09/04 00:41)
[11] 第11話[カラーゼ](2010/08/25 23:45)
[12] 第12話[カラーゼ](2010/09/04 00:42)
[13] 第13話[カラーゼ](2010/08/28 20:02)
[14] 第14話[カラーゼ](2010/08/28 18:04)
[15] 第15話[カラーゼ](2010/08/29 12:30)
[16] 第16話[カラーゼ](2010/09/04 00:43)
[17] 第17話[カラーゼ](2010/08/30 18:21)
[18] 第18話[カラーゼ](2010/08/31 22:41)
[19] 第19話[カラーゼ](2010/09/04 00:24)
[20] 第20話[カラーゼ](2010/09/03 22:22)
[21] 第21話[カラーゼ](2010/09/04 17:48)
[22] 第22話[カラーゼ](2010/09/05 23:22)
[23] 第23話[カラーゼ](2010/09/05 20:24)
[24] 第24話[カラーゼ](2010/09/06 20:43)
[25] 第25話[カラーゼ](2010/09/08 00:52)
[26] 第26話[カラーゼ](2010/09/11 21:59)
[27] 第27話[カラーゼ](2010/09/13 12:53)
[28] 第28話[カラーゼ](2010/09/15 14:10)
[29] 第29話[カラーゼ](2010/09/16 03:25)
[30] 第30話[カラーゼ](2010/09/19 00:34)
[31] 第31話[カラーゼ](2010/09/24 21:39)
[32] 第32話[カラーゼ](2010/09/30 00:28)
[33] 設定集[カラーゼ](2010/09/29 00:48)
[34] 第33話[カラーゼ](2010/09/28 00:13)
[35] 第34話[カラーゼ](2010/09/30 17:36)
[36] 第35話[カラーゼ](2010/10/04 23:06)
[37] 第36話[カラーゼ](2010/10/14 12:10)
[38] 第37話[カラーゼ](2010/10/14 23:18)
[39] 第38話[カラーゼ](2010/10/31 15:29)
[40] 第39話[カラーゼ](2010/11/07 15:05)
[41] 第40話[カラーゼ](2010/11/08 01:44)
[42] 第41話[カラーゼ](2010/11/10 01:14)
[43] 第42話[カラーゼ](2010/11/12 01:21)
[44] 第43話[カラーゼ](2010/11/21 20:08)
[45] 第44話[カラーゼ](2010/11/21 20:12)
[46] 第45話[カラーゼ](2010/12/06 16:45)
[47] 第46話[カラーゼ](2010/12/06 16:48)
[48] 第47話[カラーゼ](2010/12/05 13:38)
[49] 第48話[カラーゼ](2010/12/19 02:01)
[50] 第49話[カラーゼ](2011/01/17 16:43)
[51] 第50話[カラーゼ](2011/03/29 01:58)
[52] 第51話[カラーゼ](2011/05/29 01:44)
[53] 第52話[カラーゼ](2011/08/18 15:44)
[54] 第53話[カラーゼ](2011/09/03 18:05)
[55] 第54話[カラーゼ](2011/11/04 21:57)
[56] 第55話[カラーゼ](2012/08/27 00:24)
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[21322] 第20話
Name: カラーゼ◆68f6dca0 ID:11f779aa 前を表示する / 次を表示する
Date: 2010/09/03 22:22
SIDE 桜咲刹那

なんでバレたのか。
いやそもそもなんでこんなことになっているのか。
私とアクセラレータさんの対話から一週間くらいが経った。
この一週間で……確かにアクセラレータさんとお茶をした。
まあ……その、相談があって、私が誘ったのだ。
一回だけ、だが。

ただ、どうしてそれが朝倉さんに感づかれる!?

しかも見事なまでに新聞に写真が載っている。
その時は思わずなりふり構わずに朝倉さんを問い詰めたものだ。
それがいけなかった。
私のその仕草によって私に彼氏がいるという疑惑が限りなく真実に近い物であると思わせてしまったのだ。
このごろ迂闊な事が多い。
もうちょっと考えて行動したほうが良いかもしれない。
というか、あのアクセラレータさんが朝倉さんの気配を察知していないなんておかしい。
自分に向けられた意識はどんな遠くからでも察知できるのに。
おそらく、あの人は知ってて見逃した可能性が高い。

こうなることを見越して。

それほどまでに私が困る姿を見たいのかあの人は!!
次に会ったときにはこの事をキチンと問い詰めなければ……。
「刹那、眉間に皺が寄っているぞ」
「うるさい。今は考えさせてくれ」
おお怖い、と龍宮も肩を竦める始末。
その仕草もいちいちムカつく。
元凶は朝倉さんだと気づいているので、授業中、休み時間問わずに殺気を向けて地味に消耗させてやっている。

私に手を出したことを後悔するといい。

胃薬を飲んでいるのを見た時には思わず小さくガッツポーズを取ってしまったほどだ。
おそらくその時に浮かべた笑みはアクセラレータさんのそれとよく似ていたことだろう。
私がその事についてからかわれたのも初日だけ。
このクラスは話題が盛りあがるのも早いが、冷めるのも早い。
龍宮は私の発するオーラが怖いからだと言っていたが、彼女のからかいに付き合うつもりはない。
何故か剣道部でどんよりとした雰囲気を漂わせている者が何名かいたが、あれはなんだったのだろう?
とにかく、今日はアクセラレータさんとの見まわりの日だ。
きっちりと問い詰めて、場合によってはただじゃ済まさない所存だ。
朝倉さんと一緒に私を罠に落としたのなら彼との縁を切ってやるというくらい本気で考えていた。

学園長の命令?

それがどうした。
私はお嬢様の護衛が本職。
夜の仕事はついでに過ぎない。
これを機会に断らせてもらおう。
それにしても色々と規格外なアクセラレータさんを懲らしめるにはどうすればいいか……。
「な、なんか今日の桜咲さんって一段と怖くない?」
「やっぱからかい過ぎたのかな?」
「だから麻帆良四天王はやめとけって言ったのに……あ、和美また胃薬飲んでる」
「毎時間飲んでない?」
「ていうかその隣で平然としていられる龍宮さんスゴくね?」
「それよりも席が隣で精神状態が普通な私を誉めて」
などという戯言が私の耳に入って来るが、知った事じゃない。
今の状況を作り出した張本人、アクセラレータさんを何とかして懲らしめる方法を思いつくまで、私は朝倉さんの背中を睨み続けることにしたのだった。
そして私は授業が終わると教室を出て、誰にも気付かれぬようにとりあえずお嬢様を尾行……ではなく、護衛をしようと思ったのだが、その前に私に声をかけて来る人がいた。

「あのぅ、桜咲刹那さんですよね?」

気配遮断の術式を使う前だとしても、気配を消している私に気付くとは……何者だ?
私が声がした方向を向くと、そこには見覚えのある気弱そうな少女がいた。
確か、名前は……。
「……佐倉愛衣さん、でしたか?」
「はい。覚えていてくれたんですね。私、クラスメートとかアクセラレータさんに『キャラがカブってるし影薄い』って言われてて名前を覚えられてもらってる人が少ないんです」
ちょっと共感できるかもしれない。
さて、魔法生徒である彼女なら、私の気配に気付けるのも道理だ。
それにしても一体、何の用だろう。
どこか自分の台詞に落ちこんでいる彼女をささやかにフォローしてから、私は尋ねた。
「何の用ですか?私にも仕事があるのですが」
「その、夕方五時にここに書いてある喫茶店に来て欲しいんです」
佐倉さんから渡された紙切れに書いてあったのは、私も知っているわりとメジャーな喫茶店の名前だった。
「ここでは話せない事なのですか?」
できればそんな時間はあまり取りたくないのだが。
そう思っていると、彼女はプルプルと頭を振った。
「ち、違います。私じゃなくてお姉様が呼んでるんです。なんでもお話したい事があるとかで」
「……高音さんが?」
魔法生徒としては優れた影系統の魔法を扱うらしい高音さん。
現在高校一年生で、2-Aと仲が悪いウルスラの生徒らしい。
非常に正義感が強い人で、アクセラレータさんの行動や言動にはほとほと悩まされていると疲れた表情で言っていた。
彼女みたいな生真面目な人間はアクセラレータさんがからかう格好の的なのだろうな。
その真面目な高音さんが、いったい私に何の用なのだろうか。
「内容は知らないんですけど、重大な事件が起こったわけじゃないはずです。あ、私のメルアド渡しておくので、何か予定が入ったら連絡をください」
あまり目立たないが、佐倉さんは中学一年生なのにえらくしっかりしている。
内気だからあまり大胆に出れないのだが、いざ知り合いになると彼女の内面が非常にしっかりしているのが良くわかる。

アクセラレータさんに高音さんと一緒になってからかわれている所を見ると、彼女も生真面目に変わりはないのだろうが。

私は佐倉さんとメルアドを交換すると、佐倉さんに別れを告げてお嬢様を追った。
言っておくが、私は機械はあまりくわしくないが、携帯のメルアドの交換くらいはできる。
ちょっと佐倉さんに手伝ってもらったが……ちょっとだけ。






そして私は今、とある喫茶店に向かっていた。
十月の末にもなると、半袖の人もまばらに見えていた大通りでも半袖の人はいなくなった。

合服の季節である。

服を着込むと言う事はお洒落の幅が広がると言う事なのでそれぞれ着飾ったりする人達が多い中、私は制服だった。
やはり、私服を着てきたほうが良かったか?
でもお洒落なんて私は良くわからないし、変に思われるよりはこっちの方が良いだろう。
制服で変といわれることはないだろうから。
私が喫茶店にやって来ると、既に高音さんは待っていた。
その隣には何故かわくわくした感じの表情をした佐倉さんもいる。
何故そんな表情をしているのかわからないが……私と何の話をするつもりなのだろうか。
私は二人の前に行くと、一礼した。
「こんにちは」
すると、二人も礼をして迎えてくれた。
「私がどうして呼んだのか気になっているようですけど、とりあえず中に入って話しましょう。外が冷える頃ですし」
という高音さんの勧めにより、私は二人と共に喫茶店に入る事になった。
朝倉さんという前例もあるので、広範囲に且つ最大限に警戒範囲を広げておく。
怪しげな行動をした人は睨みつけるだけだ。
その顔を覚えて、後で検索すれば良い。
そう思っていると、ウェイトレスさんの案内で席についたようだ。

集中し過ぎたか……。

私は二人の対面に座ると、とりあえずウーロン茶を頼んだ。
高音さんはオレンジジュース、佐倉さんはクリームソーダだった。
その注文の品が来る前に、私達は他愛もない事を話した。
と言っても、私達の共通の話題なんて一つしかない。

アクセラレータさんだ。

お嬢様の護衛をしている時も考えてみたのだが、今回の話は重要な件でないのならアクセラレータさんがらみの可能性が高い。
あの人は何もしなくても厄介事をもたらしてくれる稀有な存在だ。
一度本気で殴りたくなって来る。
そんなことをしたら鬼達と同じく私の手首が折れるだろうが。
いざこの二人とアクセラレータさんのことについて話した事がなかったので、お互いのアクセラレータさんに対しての認識が良くわかった。
と言っても、臆測の域を抜けないが。

高音さんはアクセラレータさんを生意気で手におえない弟の様に思っているようだ。

高音さんは年齢以上に大人びている(老けている、と言う意味ではない)所があるし、最初にアクセラレータさんと行動を共にした班の班員だから、世話を焼いた彼を年下に見るのはしょうがない事なのだろう。
それでいて高音さんはアクセラレータさんにさんざん振りまわされており、学祭でもその醜態をさらしてクラスメートにからかわれているとか。
しかし、それでもアクセラレータさんを嫌う事がないのは、きっと私と同じでそれが彼のコミュニケーションの在り方だと気づいているからだろう。
リードしようとするのが空回りするのはアクセラレータさんがそうするように調子を狂わせているのだろう。
おそらく、アクセラレータさんが最も信頼している人だ。

佐倉さんは頼りになるお兄さん的な存在として認識しているらしい。

初任務の時にアクセラレータさんに危ない所を救ってもらって以来、高音さん以上に彼と仲が良い……というよりは弄られ存在となっているようだ。
最初の頃はされるがままだったらしいが、最近はやり返したりもするようになったらしい。
元々のトロさから失敗に終わったり自滅する事が多いらしいが、彼女は秀才らしく、失敗から徐々に成功率を高めていく作戦を組みあげていくのが得意らしい。
とりあえず高校卒業までにアクセラレータさんに一杯食わせてやるのが目標のようだ。
日常生活で悩みがあったらまずお姉様である高音さんではなくアクセラレータさんに相談する事もあるくらいアクセラレータさんを頼りにしていることがわかる。
心の中に土足でズカズカ入り込んできて無理矢理に不安を取り除いて行くような彼の言動に救われている者の一人のようだ。
おそらく、アクセラレータさんを最も信頼している人だ。
私は……だいたい佐倉さんと意見は変わりません。
違うことが在るとすれば、彼は私達とは全く違う価値観をもち、バケモノである自分を受け入れてくれた希少な人という認識だろうか。
後、ちょっと優しい所もある。

ちょっと、だけど。

そんな風に私達が会話していると、私達が注文していた品が運ばれてきた。
話したことで乾いた喉を潤しながら、いよいよ私達は本題に入る事になった。
「今までの話は楽しかったのですが、ここからが本題です。もちろんただだべりに来たわけじゃありません。私にとって、明確とした目的があるのです」
いきなりシリアスな顔つきになった高音さんにあわせ、私もキリッと顔を引き締める。
その緊張感が感じられたのか、佐倉さんも背筋を伸ばした。
高音さんが一拍置いてから、言った。

「―――あなたは、アクセラレータのことをどう思っていますか?」

その言葉がいくつもの意味に捕えられて、私は眉を寄せる。
「……どう、とは?」
「ぶっちゃけた話、彼に好意を抱いているかどうか、それを知りたいのです」
高音さんはおちゃらけた様子は一切なく、真剣な顔で聞いて来る。
私もその顔に応じて、真剣に答えた。
「好きか嫌いかと問われれば、私は間違いなく彼を好きと答えます。ただ、それが恋愛感情なのかどうかと問われれば……少し答えに窮します」
「じゃあ、好きなんですか!?」
「身を乗り出さないでください佐倉さん顔が近いです。……私もよくわからないんです。おそらくそのことは新聞沙汰になってるから知ったんでしょうが、明確な恋愛感情がない以上ここは否と答えておいた方が良いでしょう。お互いに迷惑だと思いますから」

これは本音だ。

私としても、いまいち恋愛と言う物はわからない。
彼といると心が温かくなる。
彼と一緒にいると楽になる。
それは間違いないのだが、それが恋愛感情に直結するとはどうも思えないのだ。
どちらかというとそれは『安らぎ』であり、胸がドキドキするような『熱』ではないのだ。
恋、ではない。
私が冷静だからこそ、これは真実といえるだろう。
「ふーん……恋愛感情じゃない、ですか。はっきり否定するんですね」
「これはちょっと恋とは違う気がするだけです。もしかしたらそうかもしれませんけど」
あそこは居場所だ。

麻帆良で初めてできた、私の居場所。

居場所にいる人が必ず恋人とは限らない。
だから、私は否定する。
言い訳かもしれないけれど。
そう思っていると、高音さんが冷静な顔で……いや、口元に僅かに笑みを浮かべながら尋ねてきた。
「じゃあ、あの夜に何があったんですか?」
あの夜……ああ、アクセラレータさんの家に行った時か。
何があったって、それは―――。

思い出すのは、彼の握った手の大きさと、その温もり。

ぶっきらぼうだが、僅かな暖かさが篭る不器用な言葉。

それらを思い出した瞬間、私の顔は一気に赤くなってきた。
ボッ、という擬音が一番似合うだろう。
しまった、と思って慌てるが、もう遅い。
高音さんはコホンと席払いしてるし、佐倉さんは目をキラキラさせてこっちを見て来ている。
「……誤魔化すの、下手ですよ」
「恋ですね、LOVEなんですね!?ああもう何が恋愛感情がうんぬんですか!?完全にそれは恋ですよ、恋!」
「あ、ああああの、これは、その、違います!違うんです!!」
「何が違うのか懇切丁寧に説明してくれますか?」
「いえ、あう、あ、アクセラレータさんはその、好きとかそう言うのじゃなくて頼りになってスゴい人だというしか……」
「それが好きだって言う事じゃないんですか~?」
「誘導尋問です佐倉さんッ!!それよりも、お二人はどうなんですか!?」
私が苦し紛れに返した言葉が、いきなり空気を変えた。
高音さんが突然そっぽを向いて赤い顔でブツブツ言い出す。
「いえその別にいいんですよ?いいんですけど彼の場合その、向こうから言ってくれないとその、一生私をイジメ倒しそうな気がしてその、というより彼は記憶がないんですし彼にも恋人がいたのかもしれませんしその、横からパッと掠め取る泥棒猫みたいな真似はちょっとその」
「お姉様戻ってきてくださいッ!!それじゃあバレバレも良いところですよ!?」
「え?何、愛衣?私何か言ってた?」
「自覚症状なしッ!?」
この人、人の事言えない。
この分だと、おそらく高音さんも私と同じか、それ以上の気持ちのはず。
佐倉さんもちょっと怪しい。
高音さんがラリったから良かったようなものだと思う。
多分、高音さんがああいう状態じゃなかったら佐倉さんがああいう状態になってたんじゃないだろうか。
周りが混乱していたら自分が冷静になると言うし。
私の呆れた視線に気付いたのか、二人はハッと正気に戻った。
どこか気まずい沈黙が訪れる。
その沈黙を破ったのは、意外にも佐倉さんだった。
「好きって言うより、家族という方が近いかもしれません。あの人って遠慮がありませんから、建前とか全然いらないんですよ」
「あー……そう、かもしれません。親しみやすい……というわけじゃありませんけど、一度打ち解けてしまうとかなり親密になりやすい人かもしれません」
「わかります。それ、すごくわかります」
うんうん、と三人で頷いてから、私達はドッと笑った。
なんだ、私達みんなアクセラレータさんが好きなんじゃないか。

恋人としてではなく、それを通り越して家族の段階で。

居場所というのも家族に置きかえると納得できる。
普段は問題児っぽく粗雑に振舞っているが、いざとなると誰よりも頼れて、誰よりも仲間を大切にする事をここにいる三人は知っているのだ。
彼の持つ凄まじい力をもって。
「結論はこれで良くないですか、お姉様?」
「まあ、こういうことにしておきましょう。本当はあなたがアクセラレータの口車に乗せられていないか調べるためだったんですが、愚問だったようですね」
「あの人は本当に人が嫌がることはしないと思います。それに、あの人が私を欲しがるならもっとストレートに来ますよ」
「あー、あの人って単純な所もありますからね」
また三人で笑いあった。
この二人とは今日だけでとても親密になれた気がする。
同じ、アクセラレータさんと触れ合って苦労を体験している者だからこそわかる共有感だろうか。

なんだか、気持ち良い。

今日はアクセラレータさんにこの事を話そうか。
うん。
そうだ。
そうしよう。
あの人がどんな顔をするか、楽しみだ。
喜んでくれるだろうか。
それとも、照れるのだろうか。
未知数な彼の百面相を思い浮かべて、私は更に笑った。






SIDE 一方通行

今の時刻は夜八時だ。
麻帆良ではもうそろそろおねんねする時間であり、この時間帯では寮の門限に追われる生徒や既に諦めて開き直って歩いたりしている生徒もいる。
俺は寮なんて関係ないので門限なんぞ関係なく夜に出歩いたりしている。
別に用もなくブラブラするわけじゃない。
普段、夜はさっさと寝てしまうのだが、今日はコーヒーがなくなっていたことを思い出して動き出したと言うわけだ。

一方通行に侵食されていることを実感するのが、俺の好みの変更である。

服はどちらかというと俺は暖色を好むタイプだったのだが、今ではモノクロが好きになっているし、コーヒーなんて言うまでもない。
アニメなどについてはロボットものが好きということに変更はなく、この世界に存在するアニメを見たりして楽しんでいる。
一方通行と好みが一致すると違和感なく好みを楽しめるため、好みが一致することもあるんだなと思いつつDVDを借りたりしている。
もしかしたら一方通行がおとなしくしているのは今の現状で満足してしまっているからなのだろうか。
そんな殊勝な人間だとは思えないのだが……意外と、目標がなかったら人間は廃れていくもんだしな。
一方通行もダルく感じているのかもしれない。
そんな事を思いながら、俺は夜道を歩いていく。
十月末にもなると、夜に現れる不良の数はあっという間に姿を消していく。
暴走族も然り。
というわけで、案外冬の麻帆良は安全だったりする。
まあ、俺のおかげで生徒による喧嘩騒ぎや乱闘の数は減ったらしいが、それでもなくなったわけじゃないからな。
俺に見つかるかどうか賭けをしている場所もあるらしい。
見つけ次第片っ端からブッ壊してやるが。

そんな事を思いながらコンビニに行く。

ここのコンビニは何故か刀子みたいな感じの美人が店員をやっているので人気なのだが、夜は刀子目的の学生がこないためか、それとも彼女の事情のためか普通のおばさんが店員をやっている。
とりあえず店内に入り、俺はコーヒーを物色した。
このごろはあったか~いが出てくれて助かる。
自販機はまだつめたいまんまなんだよな。
売る気あんのかあの自販機。
そう思いながら俺は十本のコーヒー缶をレジに置いた。
おばさんに引かれながらもコーヒーを手にした俺はコンビニの『ピンポーン』という音と共に外に出る。
外に出て……俺にしては珍しく『うっ』と声に詰まった。
ネギまをご覧の方はよくわかると思うが、俺的には相坂さよフラグだと思うのだ。
狙ったわけじゃないが、夜のコンビニに漂っているというのは原作で知っていたし、本当に見えないのか一度確かめてみたかったと言うのもある。
しかし。
しかしだ。

流石にザジ・レイニーデイはないだろう?

確かにコンビニで相坂と一緒にいたことはあるが……。
……マテ。
ってことはここが例のコンビニ?
目線だけで辺りをキョロキョロと見まわすが、目立たない幽霊はいなかった。
そんな挙動不審な俺をちらりと見ることもせずに、ザジはスタスタとコンビニに入って行った。
何やらその後ろに『タベテモイイ?』『ナメルノハ?』としきりにザジに聞いている変な黒いバケモノどもがいるがそれを完全スルーし、俺はコンビニから離れた。
あんなややこしい奴に関わりたくない。
ただでさえ面倒そうな奴なのに。
そう思いながら家路につき、いつものアパートの扉を開いた。
「……あァ?」

靴を脱ごうと足元を見ると、そこには三足の靴があった。

足の大きさもまちまちでローファである以上俺のものではない……というより、俺は一足しか靴を持っていないのだ。
頬を引きつらせながら向こうを見ると、俺の鋭敏な聴覚が聞こえなくても良い事を聞かせてくれる。
「あ、こんばんは、アクセラレータさん」
「お邪魔してます」
「お、お帰りなさい」
聞こえてきたのは高音、愛衣、刹那の声だった。
まあ、俺の部屋に無断で入る奴らといったらこいつ等かエヴァくらいしかいないのであるが。
俺は盛大にため息をつきながら、買い溜めしてきたコーヒー缶を冷蔵庫にブチ込む。
その間にも何故か妙に親しげな三人が話しこんでいる。
しかも本人を前にして俺の愚痴らしい。
俺は冷蔵庫にコーヒー缶をブチ込みながら尋ねる。
「……で?何テメェ等は人ン家で堂々とくつろいでやがンだ?」
「え?だってこの間はいつでも邪魔して良いって言ってたじゃないですか」
「常識的に考えて家主がいねェのによく言うなオイ。っつか鍵はどォした?」
「かかってませんでしたよ?不用心ですね」
「だからって勝手に入るンじゃねェ!!」
コイツ等も随分図々しくなったもんだ。
この場合二人がいてテンションが高くなったから、と言うのもあるかも知れないが。
我が物顔の三人にため息をつくと、突如として愛衣が俺を指差してきた。
「それよりも聞きましたよアクセラレータさん!桜咲さんの恋人疑惑の写真、あなたがワザと撮らせたっていう話じゃないですか!」
「は?なンだそりゃ?」
俺は惚けたが、今度は高音がグイイッと俺に向けて新聞をつきつけてきた。
「これです、これ!」
俺は新聞を受け取ると、その一面を読み進めて行く。
しばらく読むと、俺は吹き出した。
この新聞、巧妙に事実と想像を入り交えて嘘である事実を公表している。
当事者である俺が読んでいても本当かと思うくらいに巧妙なのだ、一般人が信じるのが普通だろう。
「何がおかしいんですか?」
「いやァ、この記事だけ読んでたらこの文章が事実に思えてきて仕方ねェンだよ。その無駄な文章力の高さに笑わせてもらったぜ。オイ、この写真を撮ったのは誰だ?俺も気配は感じていたンだが、名前までは知らねェからな」
「やっぱり撮らせてたんですかーっ!!私そのせいで散々な目にあったんですからねーッ!!」
うーっ!と涙目で詰め寄って来る刹那を『あァあァわかったよ悪かったな』となだめ、俺は写真を撮った生徒の名前を聞き出す。
朝倉和美。
やはり、彼女だった。
原作キャラの朝倉の情報収集能力などが尋常ではないことはよく知っていたが、それにしてもここまでとは。
超が仲間として引き入れたがっていたことはある。

ま、それはさておき。

俺は缶の蓋を開け、そのままガスコンロの火をつける。
俺的にはまだぬるいあたたか~いのコーヒーを、そのままかざした。
ベクトル操作。
熱の向きをまんべんなく缶の全体にいきわたるように操作する。
イメージとしてはガスコンロの『熱』が缶を包んで温めている感じだ。
それを数秒行った後、開けた所から湯気が出てきたのでガスコンロを止め、ベクトル操作を停止する。
反射のおかげで缶を持っていても熱さを感じないとは、まったくもって便利なモンだ。
ちなみに、三人が座っているテーブルにはいくつか均等な円形の跡があるが、それはこの缶が異常なまでに高熱だったと言うのにテーブルに置いて放置してしまったせいで焦げ目がついたのだ。
油断をしているとヤバいことになると実感した瞬間であった。
沸騰したコーヒーを再びベクトル操作で程良い温度までに冷ましながら、俺はテーブルの所に行く。
よっぽど俺がワザとあの写真を撮らせた事に怒っているのか、まだ刹那はギロギロと俺のことを睨んでいる。
高音と愛衣に視線を向けても、二人とも視線を逸らしていた。
完全に刹那の味方らしい。

やれやれ、今日は刹那の機嫌取りをしなければならないらしい。

俺はこんな状況でも眠くなって来る図太い精神に感謝しながら、どうやってこの状況を引っ掻き回してやるかを悩んでいた。






~あとがき~

皆のアイドル、ザジ・レイニーデイの登場です。
今はちょこっとしか出てきませんけど、彼女はそこそこ出てくる予定です。
すみません、好きなんです、ザジ。

高音、愛衣、刹那は同盟を組みました。
一人で敵わないなら三人で群れてやろうと言う人間の考えだったりします。
ま、ここら辺は女の子ですねー。
ですが怒られてもやっぱりアクセラレータは変わらないっていうwww
この程度で折れてはアクセラレータじゃないですもんね。


次回、超、エヴァ回です。
彼女らが出てくる割にはほのぼのとした展開になる予定です。
この頃戦闘がないなあ……出てきても鬼くらいですしねえ。
やっぱり修学旅行編に行かなきゃ過激な戦いは描写できませんね。
そちらの方を期待している方はそちらにご期待ください。


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