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No.21322の一覧
[0] とある転生者の麻帆良訪問(ネギま!×とある魔術の禁書目録 オリ主憑依)[カラーゼ](2010/10/31 15:16)
[1] 第1話[カラーゼ](2010/09/04 00:26)
[2] 第2話[カラーゼ](2010/09/04 00:28)
[3] 第3話[カラーゼ](2010/08/21 12:48)
[4] 第4話[カラーゼ](2010/09/04 00:29)
[5] 第5話[カラーゼ](2010/09/04 00:32)
[6] 第6話[カラーゼ](2010/09/04 00:33)
[7] 第7話[カラーゼ](2010/09/04 00:35)
[8] 第8話[カラーゼ](2010/09/04 00:38)
[9] 第9話[カラーゼ](2010/08/24 20:46)
[10] 第10話[カラーゼ](2010/09/04 00:41)
[11] 第11話[カラーゼ](2010/08/25 23:45)
[12] 第12話[カラーゼ](2010/09/04 00:42)
[13] 第13話[カラーゼ](2010/08/28 20:02)
[14] 第14話[カラーゼ](2010/08/28 18:04)
[15] 第15話[カラーゼ](2010/08/29 12:30)
[16] 第16話[カラーゼ](2010/09/04 00:43)
[17] 第17話[カラーゼ](2010/08/30 18:21)
[18] 第18話[カラーゼ](2010/08/31 22:41)
[19] 第19話[カラーゼ](2010/09/04 00:24)
[20] 第20話[カラーゼ](2010/09/03 22:22)
[21] 第21話[カラーゼ](2010/09/04 17:48)
[22] 第22話[カラーゼ](2010/09/05 23:22)
[23] 第23話[カラーゼ](2010/09/05 20:24)
[24] 第24話[カラーゼ](2010/09/06 20:43)
[25] 第25話[カラーゼ](2010/09/08 00:52)
[26] 第26話[カラーゼ](2010/09/11 21:59)
[27] 第27話[カラーゼ](2010/09/13 12:53)
[28] 第28話[カラーゼ](2010/09/15 14:10)
[29] 第29話[カラーゼ](2010/09/16 03:25)
[30] 第30話[カラーゼ](2010/09/19 00:34)
[31] 第31話[カラーゼ](2010/09/24 21:39)
[32] 第32話[カラーゼ](2010/09/30 00:28)
[33] 設定集[カラーゼ](2010/09/29 00:48)
[34] 第33話[カラーゼ](2010/09/28 00:13)
[35] 第34話[カラーゼ](2010/09/30 17:36)
[36] 第35話[カラーゼ](2010/10/04 23:06)
[37] 第36話[カラーゼ](2010/10/14 12:10)
[38] 第37話[カラーゼ](2010/10/14 23:18)
[39] 第38話[カラーゼ](2010/10/31 15:29)
[40] 第39話[カラーゼ](2010/11/07 15:05)
[41] 第40話[カラーゼ](2010/11/08 01:44)
[42] 第41話[カラーゼ](2010/11/10 01:14)
[43] 第42話[カラーゼ](2010/11/12 01:21)
[44] 第43話[カラーゼ](2010/11/21 20:08)
[45] 第44話[カラーゼ](2010/11/21 20:12)
[46] 第45話[カラーゼ](2010/12/06 16:45)
[47] 第46話[カラーゼ](2010/12/06 16:48)
[48] 第47話[カラーゼ](2010/12/05 13:38)
[49] 第48話[カラーゼ](2010/12/19 02:01)
[50] 第49話[カラーゼ](2011/01/17 16:43)
[51] 第50話[カラーゼ](2011/03/29 01:58)
[52] 第51話[カラーゼ](2011/05/29 01:44)
[53] 第52話[カラーゼ](2011/08/18 15:44)
[54] 第53話[カラーゼ](2011/09/03 18:05)
[55] 第54話[カラーゼ](2011/11/04 21:57)
[56] 第55話[カラーゼ](2012/08/27 00:24)
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[21322] 第16話
Name: カラーゼ◆68f6dca0 ID:11f779aa 前を表示する / 次を表示する
Date: 2010/09/04 00:43
SIDE 一方通行

それから開始された鬼ごっこ。
まあ、一般人を捕まえる事は俺にとって容易いことである。
表だって瞬動は使わないが、それでも常識外の速度で移動しながら次々とタッチアウトしていく。
だが、なんというか、そういう一般人の中でも俺には扱いにくい人種がいる。
子供である。
俺が一番困ったのは、勝手にこけて勝手に泣いている子供をタッチアウトにすべきか悩んだことだった。
結局、俺ができた事はと言うと、

「…………飴、欲しいか?」

仏頂面で飴を差し出すことくらいしかできなかった。
だがどうやらその子供は飴が好きだったらしく、一応泣きやんではくれた。
捕まったためタッチアウトになったものの、飴がもらえてご満悦らしい。
やってきた魔法生徒らしき実行委員にその子供を預け、俺は再び出撃する。
そして、またもや見つけたくない集団を発見する。
「アクセラレータさァん!!今日こそ俺たちを弟子にしてくださいッ!!」
「いー加減鬱陶しいンだよドM共ッ!!」
10数人で構成されている男の群れだった。
何が悲しくてこういう叩き潰されたい連中が集まるのか俺にはわからない。
嫌だと言ってるんだから、さっさと諦めてほしい。
一応カメラがあるので自重しつつ、俺はその男たちに瞬動で踏み込んだ。
古菲ほどの連中ではないらしく、俺の速度に反応することができずあっという間にそのゼッケンは赤色に変わった。
「アウトになっても構わねえ!俺たちを弟子にしてくれるんなら!!」
「誰がそんな事言ったァ!?クソッ、やっぱブチのめさねェと止まらねェンだなコイツらは!!」
とは言われてもブチのめすのはご法度なので、俺は高速でその場を離脱する。
無論追いかけてこられるような速度ではないので、そいつらを撒くことに成功する。
レーダーを見て確認し、再び獲物に向けて突貫する―――と、他とは違う動きをする一団があった。
なんというか、待ちかまえている?
不自然に思ったその集団に近づいてみると、
「きっ、来たよゆーな!」

「大丈夫!このゆーな様に任せなさい!」

……いや、まあコイツ等がこういう行事大好きなのは原作で知っていたが。
そこにいたのは2-A運動部の面々だった。
鳴滝双子の姿もある。
明石の娘が異様に自信満々な笑みを浮かべているが、何か秘策でもあるのだろうか。
そう思いつつ接近すると―――


「今だ!必殺ッ、ビー玉地獄ッ!!」


「―――ッ!?」
流石にそれは予想外……というか誰も予想できねえっての!?
街中でいきなりとんでもない量のビー玉をブチまけられ、加速して突っ込んできた俺は思いっきり足を取られ―――ベクトル操作で持ちこたえた。
ベクトル操作サマサマだ……なかったらおもいっきり後頭部をぶつけていたかもしれない。
まさかこんな行事でこんな姑息な小学生ネタをブチまけてくるとは……いや、鳴滝双子が主犯ならありえるか。
「ぎゃーっ!?結局ダメじゃんゆーな!!何が今世紀最強の思い付きだよ!?」
「ううっ、いきなりビー玉の奇襲というのは絶対誰でも転ぶと思ったのにーッ!!BB弾にしとけば良かったか!?」
「そう言う問題じゃないでしょー!?」
「っていうか怖ッ!!アクセラレータさん怒っちゃったみたいだよ!?どーすんのゆーな!!」
「いやゆーなのせいというよりもあの人の動きが変じゃ?」
一部俺の不自然な動きに気づいた奴がいるが、トンデモ武術によるバランス神経の良さ、ということで納得してもらおう。
俺は思い切り足を踏み込み、ベクトル操作でビー玉を跳ねあげる。
転がったビー玉の逆襲に、運動部の面々が腕で顔を覆って被弾に備えた。
そんな事をしても痛いもんは痛いのであり、ビシビシとビー玉が直撃しては痛い痛いと叫んでいた。
まあ……しょーもない秘策の結果、と言ったところだろう。
俺は瞬時にその連中の背後に回り込み、タッチアウトにしていった。
流石2-A、一筋縄ではいかないか……。
俺は一般人よりもブッ飛んだ生徒たちの方を警戒しながら、更なる得物を求めて突き進んでいった。






結局、俺は気分が悪いまま無事3000人を捕まえるに至った。
……気持ち悪い。
いや、ネタではなくリアルに。
やはり回転して気絶させるのは穏便な方法ではあるが、こっちにもありえねーくらいの被害が出るな……。
今度からはもうちょっと考えて気絶させることにしよう……。
さて、古菲と長瀬であるが、復活したら
「今度はもっとちゃんと試合を申し込むアル!」
「拙者はもう戦いたくないでござるな……どーせアレでござろう?」
何故かチャイナはピンピンしてやがった。
根本的な肉体的耐久力が違うってわけか。
長瀬の方は懲りてるっぽい。
どうやら酔ったのがそれほどつらかったらしい。
今でもちょっと青い顔をしている。
俺としては長瀬のように俺に挑むのを嫌がらせる意味で回転させたのだが……このバカイエローは長瀬以上に脳筋らしい。
その耐久力が羨ましい。

俺にくれ。

そんな戯言を呟きながら、俺はフードをかぶってバイザーをつけ、素顔をさらさないようにしながら夕焼けの大通りを歩いて行く。
あちこちから聞こえてくる雑音の中には俺やタカミチの事もあるし、更には正体を明かせば取材陣が殺到してくるのである。
しかし、なかなか効果は高い。
こっちを見て『あれ、あの人アクセラレータじゃね?』と指さす人がいないのだ。

ブラブラと大通りを徘徊していると、世界樹がぼうっと光るのが見えた。

漫画では二日目から大規模に光っていたが、やはり基本的には最終日にしか光らないと言うのは本当のようだ。
おおおおおおおおおおーッ!!と盛り上がる群衆の中、俺は路地裏へと入り、その壁を蹴って屋根の上に上がった。
とんでもない身体能力を持つ者の特権である。
今の時刻は午後六時四八分。

世界樹の方を見てみると、俺のいる方角からだと夕日と重なり、緑色の光は赤い夕陽の光を受けて、若干黄色に見えなくもなかった。

青々とした緑色の葉をつけている世界樹が、まるで黄葉したかのように見えるのだ。
無論、それはただの目の錯覚であり、現実的に考えて世界樹が黄葉するなんてありえない。
そのせいか、その光景を幻想的だととらえる事はできても、美しいと表現する事はできなかった。
何故だろうか、そう思うのは世界樹の光が強すぎるからなのか。
世界樹の光は美しいと言うよりも幻想的だと表現することが正しいと思う。
巨大な樹が緑色に発光する非現実的光景。
何度見ても、それは幻想的だった。
非現実的光景そのものが幻想的と表現できるわけではないが、俺はそう思う。
だが、夕日というものは美しい。
それら二つが重なり合う光景というのは、俺としてはほんの少し違和感があった。
それが何故なのか、俺にはわからない。
ただ、そのちょっとした違和感がその光景を良いモノとして捕える事ができず、俺は黄葉した世界樹を憮然と見上げていた。

やがて、夕日が沈む。

赤が弱くなったせいか、緑が強くなってきた。
夜闇に投影される緑の幻想的風景を心の中に描きながら、俺は大通りを進む。
その中にある何の変哲もない喫茶店に入った。
いらっしゃいませ、と素人感満載のバイト少女が言ってくる。
それを無視しながら、俺はとある席を見つけた。

「ふむ。一応時間前には来たネ。約束はきちんと守るという噂はホントだったカ」

超であった。
彼女は入ってきた俺を見つけるとドリンクを一気飲みし、ぷはっ!!となんともオヤジ臭い仕草で息を吐く。
注文したのはそのドリンクだけだったのだろう、ちゃらりと小銭を払ってから、超は俺の前にやってきた。
着ている服装は漫画の時とそう変わらないようだが、ところどころ違うようである。
胸にデカデカと『超包子』と書かれている悪趣味な服だ。
「どンだけ宣伝してンだ人の店の中でよォ。許可取ったのか?」
「別にこれくらいじゃ宣伝とは言われないヨ。よくあるじゃないカ、別に野球ファンでもないのに球団のユニフォームを着ている人とカ。それと同じ感覚ネ」
「……テメェのそれは有名選手がユニフォーム来て敵軍のベンチに居座ってンのと変わらねェよ」
そんな軽口を叩きながら、俺と超はその喫茶店を出た。
すたすたと、別に無言のまま歩いて行く。
「で、俺はなンで呼ばれたンだ?」
「世界樹の魔力溜まりの位置を再確認しに行くネ。それに付き合ってほしいだけヨ」
「はァ?なンでンなことしなきゃなンねェンだ?」
「私とアクセラレータの仲じゃないカ。ちょっとばかり付き合うネ」
それから立ち寄る広場の数々は―――とは言っても六つしかなかったが、なんというか、非常に居づらかった。
世界樹の発光という幻想的な風景、つまりはロマンチックなシチュエーションで告白するなんてことが流行ってるらしい。
あちこちで手やら腕やらを組んでいるバカップルどもがイチャイチャしていた。
それを見てイラつくのはしょうがないだろう。
こっちは今日散々な目にあってンだぞ。
なのにドイツもコイツも幸せそうな顔しやがって。
という自分本位なイライラがほとんどである。

腹いせに、今にも告白しそうなカップルを三組特定し、告白する直前に暴風を吹かせてスカートを舞い上げてやった。

「きゃああああああ!?」
「ぐっふぉあ!?ちょ、今のは風のせい―――!?」
思わずその太ももやらチラリと見える絶対領域やらを凝視してしまい、平手打ちを食らう男たち。
ニヤニヤとそれらの悲鳴と怒声を聞いて笑っていると、横から呆れたような声が聞こえてきた。
「趣味が悪いヨ、アクセラレータ」
「俺の周りでイチャつこうってのが間違いなンだよ。仮にも広域指導員だからな」
「……ふぅん」
超はチラリとその光景を見て、

「なら、私がアナタにイチャつけばアナタは満足するのカナ?」

「……はァ?」
なんかさっきも言った事がある気がする。
いやそれよりも、コイツは今何て言った?
「テメェ、フザけるのも大概にしろ」
「別にふざけてなんてないヨ。乙女の可愛らしい自己主張をないがしろにする気カ?」
「テメェみてェな事言うのは乙女じゃねェ。ただのクソガキだ」
「まーまー照れなくても良いヨ!ああっ、アクセラレータは初心なのカ!なんか異様に照れ隠しがかわいく見えるネ!これが前世紀の文化、ツンデレという奴なのカ!?」
「おいクソガキ、ちょっと面貸せ。本日大公開のリアルミキサーにかけてやる」
「ムフフ、ミキサーにかけられるのは嫌だから逃げるネ」

そう言った瞬間、超は俺の目の前から消え去った。

文字通り、跡形もなく。
一瞬唖然とした瞬間、俺の背に何かが乗っかってきた。
反射のせいで重さは感じないが、これらの現象から何が起こったのか俺は素早く察知した。
「驚いたカ?驚いたカ?実はこれが一番の目的だったりするネ」

―――タイムマシンだ。

じゃらりと言う音がして俺の目の前に差し出されたのは、漫画で見た事がある懐中時計。
カシオペアだ。
外装は粗雑な作りであるが、まぎれもなくそれはカシオペアであった。
「お?あまりの驚きに言葉も出ないカ?」
「……ンなワケねェだろ。テメェが未来人なら想像がつく事だ。今のは頭の中を整理してただけだっつゥの」
人目は大丈夫なのかと思ったが、いつの間にか広場ではなく人気のない路地に来ていたので、目撃者はいないようだった。
そこまで計算して仕掛けてきたか、コイツもやるな。
俺の言葉に、超が驚いたように目を丸くする。
「ホントにわかったのカ?別にテレポート装置じゃないヨ」
「時間跳躍だ。あるいは時間を止めたンだろ。テメェのそれが未来から来たタイムマシンなら、の話だがな」

これはモロ原作知識による知ったかである。

無論、その事を知らない超は感心するわけで。
「おお、流石アクセラレータ、私を三下呼ばわりするワケネ!今度どっちが天才か勝負するヨ!」
「遠慮しとくぜ。俺は料理もできねェし茶々丸を作ることもできねェからな」
ある一点、計算分野でなら負ける気はしないが、流石に完璧超人と自分で言うだけあり、異常なまでの才能を持っている。
特に俺の言った二つの点では絶対に負ける。
杖を改造することと茶々丸を作ることじゃあえらい違いだからな。
というか、コイツいい加減下りてくれないかね。
さっきからずっと背中にまとわりついて離れないのだが。
「おい、サッサと離れろ」
「そこで重いと言わないくらいには乙女心はわかってるみたいネ」
「重い。クソ重い。潰れるからさっさと降りろ」
「……コナキジジイになってやるヨ」
「何?フリじゃねェってのか?」
スタスタと歩く俺の背中にがっしりしがみついているコナキジジイ。
俺と超の歳の差を考えるとやはり妹が兄気にジャレてんじゃねえか、くらいにしか周りには取られないわけで。
人気のある所に来るとクスクスクスクスと一般人どもが俺を見て笑いやがる。
「これ以上恥さらすつもりか麻帆良最強頭脳」
「注目されてることは慣れてるヨ麻帆良最凶」
クソッ、コイツ楽しんでやがる。
なんなんだその上機嫌そうな顔は。
何故か周りにピースをして更に笑いを誘う始末。
このクソガキが、振り落としてやろうか。
重みを反射しているからまったく重くないが、羞恥感がハンパじゃない。
「しかしこの乗り心地は中々良いネ。妙に安定感があるヨ」
「あァそォかい。いい加減にしねェと頭をコンクリートに突き刺すぞ」
「ワォ。ただの人間をどうやってコンクリートに突き刺すか興味があるネ!普通ならトマトみたいにプチュッてなるはずだガ?」
「テメェのその科学者魂はどォにかなンねェのか!?あと人の頭が潰れるときはそンな小せェ音じゃねェっての!!」
ベクトル変換して超を頭からコンクリートに叩きつけようか思案し始めた時、前方から声が。

「あれ、一方さんじゃない」

あァ!?という声を内心で絶叫しつつそっちを向くと、そこには神楽坂がいた。
暢気にもソフトクリームを食っていて、それがやけにムカつく。
またクソ面倒くせェ奴につかまった、と思いつつ、そちらに向き直る。
そういえば今の俺はヒトカタミチユキスタイルだったか。
神楽坂は俺の背中に居座っている奴を見て、驚いて叫んだ。
「超じゃん!?なんで一方さんと一緒にいるの!?ていうかいやに親しそうだけど……」
俺と超が一緒にいるのがそれほど信じられないらしく、手元のアイスクリームを落としそうになるほど動揺している。
やがて、神楽坂は深呼吸した後、神妙な顔でひそひそと、

「もしかして付き合ってるとか?」

「キャッ☆」
「月が落ちてくるって言うくらいそれはねェ!!っていうかコナキジジイ何両手を頬にあてて変な声出してやがる!?」
「チャ、超が彼氏を!?科学に魂を売ったマッドサイエンティストが彼氏を!?」
「アスナさんそんな褒めないでヨ。照れるネ」
「いや今のは褒め言葉なのか?っつか勘違いしたまま走り出そうとするンじゃねェ!?チクショウさっさと叩き落としときゃァ良かった!!」
アスナの襟を引っ掴んで爆走を止めながら、俺は盛大にため息をつく。
超の奴が『ハハハ、冗談ヨ。チャイニーズジョークネ!』とか抜かしてた。
流石に我慢の限界が訪れる。
俺は背中に手を回し、超の背中を軽くタンっ、と叩く。
ベクトル変換。

グルン!と超がその叩いた所を軸として回転した。

「お?―――ごブッ!?」
呆気にとられた超は、そのまま思いっきり地面に叩きつけられた。
武術をやってる完璧超人だからか、頭と顔だけは打たなかったようだ。
チッ。
「なにそれ?新しい曲芸?」
「ンなわけねェだろ。スーパー武術だ」
ベクトル変換による回転は流石に不自然であったが、アスナはそれで納得したようである。
なまじ古菲などといったトンデモ少女が傍にいるせいか、なにやら『それっぽい体術』ということで納得したらしい。
バカなりに『合気道とかそういうのかな?』とか予想しているが、ただの超能力である。
……どっちも一般人からすればトンデモねェがな。

「アスナアスナー、お待たせ―――あれ、超りんに……そこの人は?」

と、向こうからトコトコ走ってくる影があった。
妙におっとりとしたその口調。
なんとなく自分の想像通りの人物だと思いながら、俺は歩いてきた影―――近衛このかを見やる。
バイザー越しの俺の視線が怖かったのか、少し引き気味だ。
ちなみに超であるが、意外とモロに打ったらしく『おぅふ……』と悶えていた。
「あ、このか。この人が一方さんよ。新聞配達の時に会って話をするって言う」
「あー!ホンマにフードでバイザーなんやなぁ」
納得したように両手を打った近衛このかは、俺に向き直って頭を下げる。
「どうも、近衛このか言います。アスナがいつもお世話になってます」
「私の親!?」
「一方だ。コイツの世話は大変だろ?同情するぜ」
「ってなんでそこまで言われなきゃなんないのよ!?」
「家事も料理もしねェ同居人ってのは大変そォだからな」
「ぐっ……」
実際家事については近衛このかに任せっきりだろうしな。
近衛このかもクスクス笑っている。
「ええんです。ウチが好きでやっとることですから」
「そっちが納得してるなら俺は何も言わねェよ。良かったな神楽坂、もうコイツを嫁にしてしまえ」
「私は女よ!っていうか、このかがいなかったらいなかったでちゃんと私だって家事とかするわよ!」
「え?そうなん、アスナ?ならウチ、今から一週間ハルナの部屋に泊まってもええん?」
「そっ、それは……あーーっ、なんなのよこのダブルコンボはーッ!?」
頭をグシャグシャグシャーッ!!と掻き毟る神楽坂。
それを見てクスクスと笑う近衛このか。
……どうやら近衛このかと俺は波長が合うようだ。
うむ、少しはイライラが晴れる。
やはりイライラを晴らすには人をいじるに限るようだ。
イライラと言えば、超はまだ蹲ってんのか?
傍らを見下ろすと、
「…………」

何やら乙女フィルターがついたキラキラ目で俺を上目使いに見上げてきていた。

傍らに花とか咲き誇ってるが、超お得意のトンデモ技術による立体映像だろうか。
しかし何だこれは?
ツッコミ待ちか?
俺が不可解な超の行動に思考を停止させていると、超はフッと笑いながら身体をはたいて立ち上がる。

「私の魅力に呆然カ。上目使いというのは前時代でも通じるものダナ」

「本気でそう思ってンならテメェの頭は沸いてるっつゥ烙印を直接脳味噌に押してやる」

カチッ、と腰にあるスイッチを押して立体映像を切りながら、超はカラカラと笑う。
ていうか、本気で立体映像だったのかよ。
謎の技術だな……学園都市もそうだが。
「ていうか、超りんはどうして一方さんと一緒におるん?もしかしてデートなん?」
「デートネ」
「何当然な顔してやがる。ていうか腕組むのはやめろ気味悪ィ―――ああ、本気にすンじゃねェぞ」
ええっ!?という顔をしたので釘を刺しておく。
超の様子を見て『そうなんかー』というどっちつかずの返事をする近衛このか。
……わかりづらい返答を。
「……で、結局のところホントはどういう理由なの?一方さんと超に接点があったことに驚きなんだけど」
神楽坂が首をかしげて聞いてくる。
超はウム、と頷いて、
「実はこの一方サン、こう見えて物凄い頭脳を持ってるネ。工学部とすれば是非欲しい逸材だったりするヨ」
「えー?一方さんが頭良いなんて思えないんだけど」
超がアクセラレータではなく一方という名前を使った事に密かに驚きながら、俺は神楽坂に言う。
まあ、超らしいでっち上げた理由ではあるので、俺もそれに乗ることにする。
「ナメンじゃねェぞ。計算分野なら超にも負ける気がしねェくらいには頭が良いンだ」
ほほう?という顔をした神楽坂は、お決まりの小学生のようなセリフを吐く。
「じゃあ、1148×357は?」

「409836だ」

「「…………え?」」
唖然とする神楽坂と近衛このか。
まあ、俺……一方通行の頭脳にとって、これくらいの事は雑作もないことだ。
「えええっ!?ちょ、ちょっと電卓電卓!」
「アスナ、今何て言うたん?」
「え、えっと……適当言ったから覚えてない……」
「式は1148×357だ。答えは409836」
なんというか、俺にとっては当たり前すぎて自慢する気にもならなくなる。
頭の中ではこれよりも複雑な数式が躍っているわけで。
こういう現実をみると、一方通行の演算能力ってすげえなあ、と思う。
やがて携帯の電卓機能で計算が終わり、それがあっているということがわかって二人は感心した目で俺を見やる。
「すごっ!?ホントにぴったり合ってる!?」
「はぁ~、一方さんって頭ええんやな……」
「まァ、これくらいはな」
「見てくれは全然頭良さそうに見えないけど」
「一言多いンだよテメェは」
二人に詰め寄ると、『ひゃあああ』と言いながらフザけて逃げ出す二人。
そのまま別れるつもりらしく、二人とも手を振って別れを告げてきた。
最後に笑っていたのが気に食わず、舌打ちしながら手を上げた。

そして俺の視界の端に、チラリと黒いサイドテールが見えた。

忠実に護衛やってるようで、何よりだ。
やがて二人が雑踏の中に見えなくなると、超がズイッと詰め寄ってきた。
「さて、アスナサンとはどういう関係カナ?」
「ジョギング仲間に過ぎねェよ」
「ふーん、ジョギング仲間カ……ふーん」
「……なンだよ」
「別に。何でもないヨ」
そのまま歩きだす超。
しかし、がくんっ、とつんのめる。
俺の腕を組んで引きずろうとしていたらしいが、悪いがそんなことはできないんでな。
「ぬぐっ!?アクセラレータ、アナタの体重は何キロなんダ!?」
「テメェ+20キロくらいだろォよ」
ぐいぐい引っ張ったくらいで動くと思ってもらっちゃ困るな。
反射ナメンな。
しばらくぐいぐい引っ張ろうとする超をからかった後、歩き出す。
もう五つ回ったから、次が最後のポイントになる。

世界樹前広場。

最早ムカつきしか覚えてねェそこに、俺たちは向かっている。
もう既に明かりは街灯とイルミネーションくらいになっており、俺たちの顔を虹色に照らす。
空は暗く、西の赤みはもう消えた。
ぼうっと光る世界樹は、俺の思った通り幻想的な雰囲気を醸し出している。
そろそろ腹が減ったな、と情緒の欠片もないことを考えていると、ふと超が何もしゃべらなくなったことに気づく。
見下ろしてみると、世界樹の方を見て表情を硬くしている。

―――ああ、計画の事か。

俺たちはそのまま世界樹前に広場にやってくると、立ち止まった。
そこでもう一度世界樹を見て、超は俺を見てくる。
今までにない、真剣な表情で。
「アナタは、私の計画は失敗すると言ったナ」
「あァ、そォだ。テメェの計画は失敗する。予言は変わらねェぜ?」
「フ……だからこそアクセラレータ。意見を覆さないのはアナタらしいヨ。今ではそれが少々憎々しいガ」
「そォかい。好きなだけ憎ンでろ。それで何が変わるワケでもねェしな」
今からの徹夜に向けてテンションが上がっている世界樹広場の中、俺たちだけが隔離されている空間にいるような錯覚を感じる。
周りの雑音が聞こえなくなり、俺と、超と、世界樹しかないように感じる。
超は暫し間を置いた後、呟くように言った。
「アナタはズルいヨ。そうやっていつも凪のように受け流す。明確な主張を持っているように見えて、どうでも良い事は本当にどうでも良いと思っている。おそらく、アナタの脳内は私が把握しきれない世界が広がっているのだろう」
「俺の現実は俺だけのモンだ。個人それぞれが個として確立するためにはそれが必然だろォがよ。テメェ如きにわかってたまるか」
「“如き”と来たカ。“三下”と言い、私を真っ向から下だと告げるのはアナタくらいヨ」
「年下でもあるな」
「それは意味が違うヨ。混ぜっ返すな」
そこから訪れる沈黙。
俺はしばらく経ってから、超に尋ねた。

「で、結局六つの魔力溜まりを回らせて、俺をここに来させた理由はなンだ?」

「…………」
超は沈黙を守った。
コイツが俺の事をわからないと言うように、俺もコイツの事はさっぱりわからない。
今何を考えているのか、その思考が読み取れない。
それは当然だ。
相手の考えている事が逐次わかれば、それは個として存在している意味がない。
思考を共有していると言う事は、一つの個なのだ。
だが、どうにも超は相手のことがわからないのは不満だという。
俺の事はさっぱり分からない、と。
無論、超は卓越した頭脳を持ち、ある程度の『裏』を見てきたので相手の性格をある程度把握する、ということはやったこともあるのだろう。
超が俺に接しているのは、わからない俺の事が気になるのかもしれない。
ただの興味として。
その思考が、嫌になる。
チッ、と俺は舌打ちした。
「帰る」
踵を返し、家の方向に向かう。
これからただでさえやかましいドンチャン騒ぎが起こるのだ、音を反射して寝るに限る。

「アクセラレータ」

そこに超の声がかかった。
振り向かず、そのまま立ち止まる。
超は一泊の間をおいて、静かに言った。


「私と一緒に、来ないカ?」


その短い文にどれだけの意味が込められているか、俺は知らない。
知りたくもない。
首だけで後ろを振り向くと、超は硬くなった表情で手を差し出してきていた。
その手はほんの少しだけ震えている。
俺を前にした恐怖を思い出したのか、それとも何かが怖いのか。
その内心はわからない。
俺は超の目を見た。
いつもは強い意志で支えられているはずのその目は、いつの間にか弱弱しいそれに変わっていた。
フザけていない、真剣な意思が伝わってくる。
心臓が変に重い。
それにムカムカした気持ちを覚えながら、俺は断言した。
「悪いが、断る。……ま、そのタイムマシンとやらで、今の俺の心境を変えることができるかもしれねェぜ?」
腰にぶら下がっているカシオペアを見ながら、俺は言った。

やはり、超と一緒に行く事はできない。

未来を変える?
凄惨な光景を見たくないから?
それは逃げだ、と『俺』は考える。
俺は逃げたくない。
自分がアクセラレータだという現実からもそうだし、そのせいで一方通行に進むことしかできない人間だということからも。
曲がる事は絶対にしない。
曲げる事なんざしたくない。
俺は、『一方通行』だ。
「……そう、カ。アナタらしい答えダ。不可能だと知っているくせに。イジワルな人ダ」
「今さら気づいたのか。存外、俺の事がわかってねェンだな」
「他人の事はわからないと言ったのはアナタじゃないカ」
「ハッ、そォだったな」
俺のポケットから手は出る事はなく、ただ俺は夜空を見上げた。
麻帆良祭の莫大な光が夜空を浅いものに見せている。
星が一つもなく、のっぺりとしたプラネタリウムのようなそれを見て、俺はため息をついた。

「腹が減ったな」

それを聞いた超は呆気にとられた後、くすくすと笑う。
「この状況でその台詞。やっぱりアナタはズバ抜けているヨ」
「人とは違う精神なモンでな。ネジの五つくらい外れてるのは自覚してるつもりだ」
超は俺の後ろからやってきて、勝手に俺にのしかかる。
「じゃ、タクシーになってもらおうカナ」
「高ェぞ」
「超包子の肉まんと餃子なら奢るヨ」
「足りねェな。炒飯もつけろ」
そんな戯言を吐きながら、俺はポケットに手を突っ込みつつ歩き出す。
しがみ付いてくる超にイラつきながらも、振り払う気は起きなかった。






おまけ
「いやぁ奇遇だなアクセラレータさん!さあ飲め飲め!これはおじさんの奢りだ!!」
「悪ィな。―――っつか何で商店街の打ち上げにテメェがいるンだ、瀬流彦?」
「アクセラレータ……もうこの際君で良い聞いてくれ。僕はもうガンドルフィーニ先生の濃さに耐えられないんだ……ようやくペガ○ス流星拳と北斗百○拳についての考察が終わったと思ったら、今度はガオガ○ガーとグレ○ラガンのどっちが熱いかって話になってね。もう最早これは漫画研究会のそれじゃない上に明石教授と弐集院先生もノリノリで……もう飲まなきゃやってられないんだよッ!!」
「(……俺のせいじゃねェ、よな?)」
そう思いながら、ドガァン!!と後方援護の魔法先生とは考えられない腕力で机に拳を叩きつける瀬流彦の愚痴には付き合う俺だった。
泣く瀬流彦を嘲るように、世界樹からは生徒がハッチャける声と、それを鎮圧するタカミチの『豪殺・居合拳』が炸裂する音が響いていた―――。






おまけ2
超包子の屋台の調理場にて―――。
「超さん、どうでしたか?」
「魔力溜まりについては問題ないヨ、ハカセ。現在の術式でも十分に対応可能ネ」
「違いますよ、アクセラレータさんの方です」
「ああ、彼カ。取りこむのには失敗したネ。本当に惜しいガ……しょうがないヨ」
「でも、アクセラレータさんは中立の立場を取るって言ってましたよね?これ以上強引にするとかえって逆効果なんじゃないですか?」
「その危険というリスクを負っても、彼を仲間にすれば世界に対して十分に通用する戦力になるヨ。学園長が慎重になっていることからそれは明らかネ」
「その力ですけど……そんなに凄まじいものなんですか?流石のアクセラレータさんも世界を相手にするのは難しいと思いますけど……あ、そういえばその常時展開の正体不明障壁はどうだったんですか?」
「今回アクセラレータに触ってみたけど、やっぱり不自然だったネ。触れているようで触れていない感覚、それに引っ張っても全く動かないし、それに対してアクセラレータが何か力んでいる様子もない。しかも昨日の特殊警棒も効かなかった。純粋物理攻撃は無効化するらしいとは聞いていたが、まさか電気も通さないとは思わなかったヨ。その結果、あれは明らかに物理法則を無視していることがわかったネ。『鬼ごっこ』でも握力だけでクーと長瀬サンを逃がさないようにするとかやっていたしネ。気も魔力もなく、あの二人を押さえ込むなんて不可能ヨ。おそらく、あの意味不明障壁やそれが作り出す理解不能力場とかが関係してるのだろう」
「気や魔力でもない反物理法則現象……あの人の脳波とか測定したいですねー」
「そうしたいのは山々だガ、彼自身こちらを警戒しているからネ。それについては諦めるしかないヨ」
超は野菜の下ごしらえをしながら、ふと窓の外の世界樹を見やる。
少し、忌々しげにその口元を歪める。
「……アクセラレータ、か。本当に、何もかもわからない男ネ」






~あとがき~

第16話をお届けしました、作者です。
超です。ほとんど超です。
そして学園祭なのにシリアスになっていまいました、すみません。
アスナとかこのかとか出てきましたけど、この回はあくまで超が主役です。
アクセラレータはツンデレです。これはこの世界の真理ですwww
『おまけ2』でありますが、彼女はアクセラレータを仲間にできないと見るとその正体不明な障壁の研究を始めました。
彼女は完璧超人ですから、色々と気づき始めてるかもしれません。
腹黒いですね、超らしいです。
ただ、ああやってじゃれついていたのが純粋な好意なのかどうかは不明としておきます。
あれはアクセラレータに対しての好意であり、情報収集はおまけか、それとも逆か、それは読者様の解釈にお任せします。

『おまけ』ですが、一番に出ているのは電気屋のおっちゃんですwww
裏設定として、彼は以前まで外の企業のサラリーマンで、麻帆良での技術格差に唖然とし、その技術に惚れて麻帆良で電気屋を始めました。
その時に苦労してるので、人情に厚いです。
瀬流彦の愚痴もちゃんと聞いてあげてました。
独特で豪快なおっちゃんなので、商店街でも人気が高かったりします。
でも独身です、ここ重要。
瀬流彦さん?彼はガンドルが変わった犠牲です。
いつの時代も苦労するのは下の者なのですよ。
彼は犠牲になったのだ……。

次回ですが、予告通り主人公の独白……みたいなものになる予定です。
おそらくかなり短くなるかと……いつもの文量はまずないと思います。
ただ更新はします。明日に。


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