<このWebサイトはアフィリエイト広告を使用しています。> SS投稿掲示板

SS投稿掲示板


[広告]


No.21322の一覧
[0] とある転生者の麻帆良訪問(ネギま!×とある魔術の禁書目録 オリ主憑依)[カラーゼ](2010/10/31 15:16)
[1] 第1話[カラーゼ](2010/09/04 00:26)
[2] 第2話[カラーゼ](2010/09/04 00:28)
[3] 第3話[カラーゼ](2010/08/21 12:48)
[4] 第4話[カラーゼ](2010/09/04 00:29)
[5] 第5話[カラーゼ](2010/09/04 00:32)
[6] 第6話[カラーゼ](2010/09/04 00:33)
[7] 第7話[カラーゼ](2010/09/04 00:35)
[8] 第8話[カラーゼ](2010/09/04 00:38)
[9] 第9話[カラーゼ](2010/08/24 20:46)
[10] 第10話[カラーゼ](2010/09/04 00:41)
[11] 第11話[カラーゼ](2010/08/25 23:45)
[12] 第12話[カラーゼ](2010/09/04 00:42)
[13] 第13話[カラーゼ](2010/08/28 20:02)
[14] 第14話[カラーゼ](2010/08/28 18:04)
[15] 第15話[カラーゼ](2010/08/29 12:30)
[16] 第16話[カラーゼ](2010/09/04 00:43)
[17] 第17話[カラーゼ](2010/08/30 18:21)
[18] 第18話[カラーゼ](2010/08/31 22:41)
[19] 第19話[カラーゼ](2010/09/04 00:24)
[20] 第20話[カラーゼ](2010/09/03 22:22)
[21] 第21話[カラーゼ](2010/09/04 17:48)
[22] 第22話[カラーゼ](2010/09/05 23:22)
[23] 第23話[カラーゼ](2010/09/05 20:24)
[24] 第24話[カラーゼ](2010/09/06 20:43)
[25] 第25話[カラーゼ](2010/09/08 00:52)
[26] 第26話[カラーゼ](2010/09/11 21:59)
[27] 第27話[カラーゼ](2010/09/13 12:53)
[28] 第28話[カラーゼ](2010/09/15 14:10)
[29] 第29話[カラーゼ](2010/09/16 03:25)
[30] 第30話[カラーゼ](2010/09/19 00:34)
[31] 第31話[カラーゼ](2010/09/24 21:39)
[32] 第32話[カラーゼ](2010/09/30 00:28)
[33] 設定集[カラーゼ](2010/09/29 00:48)
[34] 第33話[カラーゼ](2010/09/28 00:13)
[35] 第34話[カラーゼ](2010/09/30 17:36)
[36] 第35話[カラーゼ](2010/10/04 23:06)
[37] 第36話[カラーゼ](2010/10/14 12:10)
[38] 第37話[カラーゼ](2010/10/14 23:18)
[39] 第38話[カラーゼ](2010/10/31 15:29)
[40] 第39話[カラーゼ](2010/11/07 15:05)
[41] 第40話[カラーゼ](2010/11/08 01:44)
[42] 第41話[カラーゼ](2010/11/10 01:14)
[43] 第42話[カラーゼ](2010/11/12 01:21)
[44] 第43話[カラーゼ](2010/11/21 20:08)
[45] 第44話[カラーゼ](2010/11/21 20:12)
[46] 第45話[カラーゼ](2010/12/06 16:45)
[47] 第46話[カラーゼ](2010/12/06 16:48)
[48] 第47話[カラーゼ](2010/12/05 13:38)
[49] 第48話[カラーゼ](2010/12/19 02:01)
[50] 第49話[カラーゼ](2011/01/17 16:43)
[51] 第50話[カラーゼ](2011/03/29 01:58)
[52] 第51話[カラーゼ](2011/05/29 01:44)
[53] 第52話[カラーゼ](2011/08/18 15:44)
[54] 第53話[カラーゼ](2011/09/03 18:05)
[55] 第54話[カラーゼ](2011/11/04 21:57)
[56] 第55話[カラーゼ](2012/08/27 00:24)
感想掲示板 全件表示 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

[21322] 第15話
Name: カラーゼ◆68f6dca0 ID:11f779aa 前を表示する / 次を表示する
Date: 2010/08/29 12:30
SIDE 一方通行

俺はそのままブラブラと時間を潰していたのだが(あの異常な光景を忘れるために)、やがてタカミチからメールが届いた。
なンだなンだと開くと、

『高畑です 世界樹前広場に集合です』

というメールが送られてきた。
魔法関係の話かどうかは分からないが、俺に送られてきたとなると行かないわけにはいかない。
やれやれと思いながら世界樹広場の前に向かうと、

「おお、来よったか。来んかと思ったぞい」

ジジイがいた。
いつもの気楽な姿ではなくスーツでキメている。
妖怪のくせに妙に似合っていたりする。
「なンでテメェがいンだよ、ジジイ」
「フォフォ、そりゃあ実況席がここに設置されるからの。お主を呼んだのは他でもなく、この『鬼ごっこ』についてのルールを伝えるためじゃ」
ルール?
ンなモン、追いかけてゼッケンにタッチすればいい話じゃねェのか?
俺はそう思ったのだが、ジジイが言いたい事はそう言う事じゃないらしい。
「この『鬼ごっこ』は年齢無制限じゃが、そのせいで小さいお子様も参加しておる。アンケートを取った所最年少は7歳だそうじゃ」
「……だから何なンだよ」
「できればそういうお子様には是非『オトナ』な対応を取ってくれると助かるというわけじゃ。少なくとも風で吹き飛ばすのはアウトじゃぞ。お子様に限らず参加者に怪我をさせるのもアウトじゃ」
「チッ」
「何その舌打ち!?もしかしてやる気満々じゃった!?」
舌打ちはしたが、そんなことは百も承知。

これはあくまで行事である。

つまり、危害を与えたりするのは禁止。
怪我などする行事など即中止、処分が当然である。
怪我でもさせて批判が来れば雪広コンツェルンにもそれが行くしな。
そうなれば俺もジジイも立場がヤバくなる、か。
……めんどくせェが、これが社会と中間管理職の悲しき運命、とやらですかね。
「自重すりゃァいいのか?」
「というわけでもなくての。ある程度自重しつつ好き勝手やってほしいのじゃよ」
はァ?と俺は眉根を寄せる。
またなんでそんなややこしい事を?
好き勝手やればいいんなら自重する必要もねえと思うのは俺だけか?
「いやね、とある先生がこれを利用して君の脅威を見せつけることで事件の検挙数を減らす、ということを伝えてきたんじゃよ」
……つまり、何か?
俺にせいぜい派手に暴れまわってもらい、それを馬鹿でかいモニターにでも映して実況することで麻帆良でチャラい事を起こしたらどうなるかを宣伝するわけか?
なんともまあ、複雑な要求を叩きつけてくる。
「無論テレビ放送はせんぞい?流石に君やタカミチ君の身体能力を公にしたらまずいからのう」

それは当然だろう。

何となく納得してしまう麻帆良大結界がなければ長谷川千雨みたいな奴に気づかれかねない。
一応、世界で一番早く走れる人間はオリンピック短距離第一位の人間なんだろうし、それ以上の速度を出してしまうのはどうなんだよってことだ。
俺がため息をついていると、ジジイが俺の肩に手を置いて、
「なあに、報酬は上乗せさせてもらうぞい」
「……チクショウ」
背に腹は代えられない。
やるしかないだろう。
要するに、カメラにはバレない程度に『異常』を発生させても良いということだ。
流石に瞬動なしで3000人を追いつめるのは無茶ってもんだろうし。

ん?待てよ。

「なァ、ジジイ。俺たちにはゼッケンがいる位置を掴む探知機みてェなモンはねェのか?」
「んむ?もちろんあるが、それが何じゃ?」
「……テメェ、聞いてねェぞ。地道に3000人探し出さなきゃならねェと思ったじゃねェか!!」
「ふおっ!?い、言ってなかったかのう?」
「言ってねェよ!!」
このクソジジイが……マジでこのアトラクション潰してやろうか。
よりによって大事なことをすっぽかしやがって。
殴りかかろうかどうか思案していると、俺の肩にポンと手を置かれた。
そっちを見上げると、そこにはタカミチが立っていた。
「まあまあ、アクセラレータ。学園長にはよくある事じゃないか。そこは僕たちで対応していくしかないよ」
「タカミチ君……そこはかとなく酷くないかの?」
「事実です」
とりあえずその事実はタカミチにも伝えられていなかったらしく、タカミチもちょっとはご立腹らしい。
いつもは学園長の援護をするが、それも一瞬だった。
タカミチに見捨てられたら終わりだな、とか思いつつ、俺はとりあえずタカミチが持ってきたコーヒーを受け取った。
「おォ、サンキュ。……で、俺たちァ3000人の参加者をタッチアウトすりゃいいンだな?途中見つけた『アクシデント』はどうすンだ?」
「カメラを切り替えさせるわい。全力で対処せい。そのために二人なんじゃからな」
このために魔法先生や広域指導員を総動員しとるんじゃからな、とジジイは言った。
「迷子も怖いですが、そちらの方は?」
「そちらは魔法生徒や実行委員に任せようかと考えておる。なにせこの麻帆良の広さじゃ、初めてここに来るお客様が無事にここに戻ってこれるかもわからんわい。既に地区ごとにわけて散開中じゃ」
「抜け目ねェな」
「トラブルが起きたらちとまずいからの、そりゃあ真剣じゃ」
その割には来年は抜け目ありすぎたわけだが……やれやれ、いつもその調子であれば良いものを。
俺がため息をついた時だった。

「おぉーっとぉ、そこにいるのは我らが高畑先生じゃないですか!?」

そんな興奮した声が聞こえた。
その声に振り替えると、俺は速攻で視線をそらした。
朝倉和美。
ガンドルフィーニを増長させた情報源である。
自力で魔法に辿りつく危険性のある生徒としてブラックリストに載っている生徒の一人だ。
俺はジジイに視線を向ける。
ひそひそと、小声でジジイは言った。
「(認識阻害はしておる。向こうにはタダの世間話に聞こえとったはずじゃ)」
流石にそれはしてある、か。

コイツに魔法を知られたら記憶を消すか、そのまま『消す』か。

ま、過激な手段なンざ取りたくねェわな。
俺が言うのもなんだが。
マイク片手に迫っていく朝倉のポケットの中には、おそらくテープレコーダー。
マイクは無線式のようだが、ポケットのふくらみですぐにわかった。
マイクについては持っているもの以外にアクセサリーのようにつけているものが二つ。
ちっ、麻帆良新聞に載せようって腹か。
ジジイ以上に面倒くせェな……。
「(オイ、音声テープに撮ってやがるぞ。機械にも認識阻害の効果あンのか?)」
「(…………)」
「(そこで冷や汗流すンじゃねェ!肝心な所で頼りにならねェなテメェは!!)」
ジジイの浅知恵に呆れながら、俺は朝倉を見る。
今は何やらタカミチに矢継ぎ早に質問をふっかけていた。
「今日の学園全体鬼ごっこですが、勝算は?」
「あー、まあ3000人だし、半分くらい捕まえられたらいいなという所だよ」
「一方さんとは麻帆良祭で一緒にいたそうですが、関係は?」
「彼は友人だよ」
「一部ではコアな意見も上がっていますが、そういう関係については!?」
「……誤解を招く質問はやめてくれないかな……」
あはは、と苦笑しながらタカミチは質問に答えていた。
オイオイ、俺とタカミチの関係はそんな腐った連中が喜ぶモンじゃねェぞ。

……っつか、あれが次俺に来るのか……やべェ、ブッ殺しそうだ。

「アクセラレータ、抑えるんじゃ」
「抑えられる気がしねェ」
しばらく後、ようやくタカミチが開放されたようだ。
タカミチも担任になった当初は苦労したんだろう、ちょっと老練した顔になっている。
そして朝倉の目が俺を捕える。
俺にガンつけるたァいい度胸だなオイとにらみ返してやったが、それでも構わずに突き進んできた。
……怖いモンってのを知らないのか、コイツ。
「あなたが高畑先生と一緒に学園全体鬼ごっこの鬼になる一方さんですね?」
「……あァ」
「質問、よろしいですか?」
「全部ノーコメントで良いなら」
「では質問させてもらいます!」
人の話を聞いちゃいねえ。
「まず、一方さんは『ホワイトデビル』と呼ばれているアクセラレータご本人で良いですね?」
「…………」
「次に、そんな一方さんがこの鬼ごっこに参加することになった理由は?」
「…………」
「えーと、高畑先生は半分くらいと言っていましたが、一方さんはどれくらい参加者を捕まえると考えていますか?」
「…………」
「時速60キロで走るとかいう噂ですが、本当ですか?」
「…………」
「不審者を検挙した数はもう100人以上という話を聞きましたが、本当ですか?」
「…………」
「これは私のクラスメイトからの質問ですが、何か武術を習得されているのですか?流派まで詳しく」
「…………」
しつけェ。
イライラが止まらない……『一方通行』がイラついてるのか?
いや、これだけしつこければ誰でもイラつくだろうが……。
ていうか最後のは褐色の方のチャイナ娘だろ。
余計な質問しやがって。
ジジイがアイコンタクトで『抑えるんじゃ、抑えるんじゃアクセラレータッ!!』と絶叫しているのがわかるが、マジでいつキレるかわからんぞ、これは。
ぶるぶると俺の腕が震えているのに気づいてこれはヤバいと思ったのか、間にタカミチが割り込んでくる。
「ほら、朝倉君、彼はノーコメントということで」
「それじゃあ記事にならないんですよー」
朝倉がゴネると、タカミチは厳しい口調で。
「いいから。僕たちも忙しいんだ」
「ぶーぶー」
ブツクサ言いながら朝倉は漸く離れていった。
俺がキレる前に離れていってくれて、何よりである。
しかしイライラは収まらない。

……高音はいねェのか。

「ほらほら、アクセラレータ。落ちついてくれ。その形相で追いかけられたら一般人の人はトラウマになるから」
何とか俺をなだめようとするタカミチを見て、俺はひとつため息をつくと、踵を返す。
「アクセラレータ君?どこに行くんじゃ?」
「コーヒー買いに」
それにほっとしたようにため息をつく二人を背に、俺は自販機に向けて歩いて行った。
現在時刻、午後二時三十四分。
『鬼ごっこ』は、近い。






『さあ、麻帆良学園全体行事、鬼ごっこの開始が近付いております!現在、そのスタート位置である世界樹前広場に人が続々と集まっています!改めてみるとすごい人数ですね、学園長先生』
『学校丸ごと一個あたりの生徒人数よりも多いからのう。こりゃ壮観じゃ』
『確かにそうですね。大人も子供も一つの目的のためにこれだけの人数が集まるのは麻帆良祭でもこの全体行事だけです!』
世界樹前広場ってそんなにスペースがあっただろうか。
そう疑問に思えるほどそこには人が集まっていた。
これはアナウンサーの言う通り、集まってきている連中の幅は広い。
ぎゃあぎゃあ騒ぐクソガキどもから、何故か筋骨隆々なジジイまでたくさんである。
物陰からチラチラと窺っていると、何やらとんでもねー連中がいるのに気づいた。
いや、テメェら参加しちゃいけねえだろ!?という類の連中だ。

2-Aの麻帆良四天王どもである。

「(なンでゴザル口調の似非忍者と格闘馬鹿がいるンだ!?)」
くそう、様子を窺って見ても『アイヤー、アクセラレータや高畑先生と戦えるのはワクワクするアル!』『拙者もでござるよ。お二人の実力はいかほどのものか、確かめるには良い機会でござるからな』とか言ってるに違いない。
俺はギロリとタカミチを睨みつける。
携帯を取り出すとタカミチに電話をかけた。
「おい、あそこに麻帆良四天王の内の二人がいるンだが」
するとタカミチは慌てたように首を振る。
『そんなこと僕に言われても……魔法生徒と魔法先生は参加禁止というのは聞いたけど、彼女たちは一般人に分類されるということは間違いない。参加できないという理由にはならないんだよ』
「クソッ、あいつ等捕まえるのは骨が折れそうだ……」
『どうしてだい?君なら簡単に捕まえられると思うけど』
「だから困るンだよ」
俺はため息をついた。
「そうなったらあの野菜星人の末裔ども、俺に戦え戦えとか言ってくるに違いねェ」
『……でも、それなら君に弟子入りをせがんてきた人たちと同じように―――あ、そうか、カメラがあるか……』
「だろ?正直あんな面倒くせェ奴らは一度も相手したくねェンだ」
あんな奴らに追い回される悪夢なんて御免である。
だが、あそこにいる以上は参加しているのだろう。
現実から目をそらすな、アクセラレータ!

いざとなればタカミチに全部押し付ければ良いんだから!!

「っつーわけでタカミチ頼んだ」
『いやちょっと待ってくれよ。僕に振るのかい?ここはお互い公平にであった時に対応すると言う事で―――』
「俺は嫌だ」
『そんなワガママ言うなよ』
構わず俺は電話を切った。
向こう側にいるタカミチが渋い顔をしているが、そこは腕を組んで無視をすることにする。
それからしばらくして、カウントダウンが始まる。

『鬼ごっこ開始5分前!と、ここで御集りになった皆さんに発表です!皆さんが集まっているこの世界樹前広場ですが、ここに鬼に来てもらうことになりました!逃げる方も鬼の顔を知らないと逃げられませんから、当然ですね!』

……オイ、ちょっと待て。
タカミチと俺の待機位置がなんかおかしな位置と思ったら、こういう事か?
俺とタカミチは世界樹前広場にある階段を挟んだ両脇にいる。
俺たちの横には即席で作られた壁があり、俺たちを作為的に隠すものである事がわかる。
クソジジイめ……俺たちを見世物に―――いや、そういう企画だったな、これは。
観念するしかない、か。
俺ががっくりと肩を落とす先で、タカミチも疲れたように煙草を吹かせていた。
タカミチはどうやらこうなることが予想できていたようで、少しは落ち着いているようだった。
煙草をくわえている口はこう動いていた。

『あきらめろ』

……ここまできたらそうしかないよな、タカミチ。
後で超包子で飲もう。
ちょうど超との用事もあるしな。
俺が頷くと、白々しいアナウンスが流れてくる。
『では、鬼のお二人に登場してもらいます!まずは高畑・T・タカミチ先生に出てきてもらいましょう!』
「「「「おおおおおおおおおおおおおおッ!!」」」」
外野もノリノリだな、オイ。
タカミチは携帯灰皿に煙草を押し込み、一つだけため息をついて前に出た。
流石に何年もここにいた経験はあるらしく、その動きは堂々としていた。
諦めればスッパリしたもんだな、タカミチ。
その辺りは尊敬するよ。
『今出てこられたのは高畑・T・タカミチ先生です!元は『悠久の風』と呼ばれるボランティア団体に所属しており、外国にもその名を轟かせている有名人です!麻帆良に赴任されてから広域指導員という学園の治安を守るボランティアをされておりまして、街の治安を脅かす不良どもからは『デスメガネ』と呼ばれている実力派の指導員です!それでいて性格は温厚で教え方も上手く、生徒たちからも非常に人気が高い先生でもあります!』

は、恥ずかしいッ!!

何だ、プロフィールまで発表されんのか!?
なんという晒しモノ、これじゃ完全に珍獣の紹介ショーじゃねーか!!
俺とタカミチは珍獣じゃねーぞ!!
『次の鬼は一方通行さんです、どうぞー!』
チクショウ、ベクトル操作で全部ブチ壊してやりてェ……ッ!!
法外な追加報酬を吹っ掛ける事を決定しながら、俺はポケットに手を突っ込みながらズカズカと前に出た。
タカミチの隣に並んで、観客の方に向く。
『一方通行さんは自分でも名乗っておられますが、アクセラレータという愛称で呼ばれています!その由来は不明ですが、そう呼ばないと返事しないそうです!また、高畑先生と同じく広域指導員をやっておりまして、彼も若年ながら学園の治安を守る仕事をしています!高畑先生に比べて『時速60キロ以上で走る』『後ろに目がついている』『鋼のように硬い肉体。いやむしろダイヤか何か』という都市伝説を持っています!それは本当なんでしょうか!?それらとんでもない都市伝説から不良たちに恐れられ、『ホワイトデビル』という二つ名がついています!見た目は怖いですが、心は優しい商店街のヒーローです!』
オヤジ、勘弁してくれ。
俺の脳裏に浮かぶのは炊飯器などの電化製品を揃えた電気屋のオヤジだった。
今時いないような性格をしたオヤジだったのでよく覚えているが、こんなキャッチフレーズを書くのはあのオヤジしかいねえ。
それとも商店街のオバサマ方がやったのか!?
誰だこんな紹介文を書いたのは……。
内心で激怒しながら、しかし叫び出さないオトナな俺は感情を露出する事がないようになるべく無表情で観客を見下ろした。
ガキどもはビビったようだが、大人は『こんな若い人が学園の平和を守ってるのかー』というような温い感じだ。
麻帆良大結界で反応が鈍くなってるみたいだな……。
『この麻帆良祭最大企画、鬼ごっこで鬼になってもらうお二人です!拍手をお願いします!』
わああああああああああーっ、と拍手が起こるが、嬉しくもなんともない。
出来る限りこの晒しが早く終わってくれと願うだけだ。
『では、協議内容を説明します!』
ここで機械的なモーター音がして巨大モニターが下がってくる。
俺たちの前方斜め上の辺りで止まった。
『参加者の皆さまには青色のゼッケンが渡され、鍵で固定されていると思います。しかしご安心ください!鬼がそのゼッケンにタッチすることで鍵が外れるようになっています!また、制限時間である午後五時になると自動的に外れるようになっております!それまで鬼に捕まらないように逃げ回ってください!ただ、移動手段は徒歩に限り、麻帆良学園内の屋外のみとします!流石の超人達も麻帆良の外までは探しにいけません!』
そこで軽い笑いが起こる。
ええいさっさと終われ。
『ゼッケンにタッチされると色が赤に変わります。その時点で参加者は鬼にタッチされたとみなされ、その方はゲーム終了となりますのでご注意ください!また、もしもタッチされることなく試合終了となった方には自在に色が変わるゼッケンをプレゼント致します!参加できなかった皆さまにも抽選でチャンスがありますので、この競技の後に行われる『麻帆良学園超巨大ビンゴ!限定品をゲットだぜ!!』に是非参加してください!また、この競技は雪広コンツェルンの全面協力によって行われます!』
黙れ雪広コンツェルン。
どこまで宣伝するつもりだ。
『おっと、開始時間が残り30秒となって参りました!カウントダウン終了後、参加者の皆さんは鬼に捕まらないように逃げてください!また、鬼は最初の1分間は動きません!その間にどれだけ逃げられるかが鍵になりそうです!』
はあ!?
更に俺たちに一分間晒しモノになれと!?

―――クソジジイ、後でその頭を真っ平らに矯正してやる。

そのテレパシーが伝わったのか、『ふおっ!?』『うわっ、なんですか学園長先生!?』『い、いや、今壮絶な悪寒が……気のせいかの?』という会話が聞こえてきた。
カンは良いみたいだな……。
やがてアナウンサーのカウントダウンが始まり、それが進んでいく。
ここにいる全員が『10!9!』と数えているのだから、そのテンションの高さがわかるだろう。
そして―――。
『1!0!麻帆良全体行事、鬼ごっこ、開始ーッ!!』
盛大な電子音の笛の音が鳴り響き、一般人はそれぞれ四方八方に散って逃げていく。
まったく、骨が折れそうだ―――と考えていた俺は、目の前にある光景を見てげんなりした。
「さあ、一分間なんて待たずに私と勝負するアル!」
「生憎『おほほ、拙者を捕まえてごらんなさーい』という展開をするつもりはないでござる。一番に戦ってもらうでござるよ」
目の前には、青色のゼッケンをつけた二人の馬鹿が体術の構えを取りながら立っていた。
……最初からタカミチに任せる案はパァ、か。

―――その時、俺の中の何かがキレた。

最早限界だったのだろう。
俺の口が無意識的に横に裂けていく。
それが壮絶な笑みに変わったことに気づいたタカミチは、青くなって俺に言った。
「アクセラレータ、あまり暴れては―――」
「タカミチ、あの二人は俺が潰す。テメェはこのフザけた行事をサッサと終わらせるために一般人を掃討しろ」
「いや、あー……僕の教え子だから、手加減してくれよ?」
「せいぜいつけて掠り傷だ」
「……ありがとう」
最早タカミチは諦めたようだった。
ちなみに俺たちの近くにマイクはないため、この声が観客に聞こえる事はない。
右手の指をゴキゴキ鳴らしながら、俺は一分間が経過するのを待つ。
待つ。
待つ。
『……一分間経過!鬼、出撃ーッ!!』
景気良い出発の合図をアリガトウよ女子アナ。
この時だけ感謝してやる。
俺は一段一段階段を降りながら、広場となっている所で待つ二人に近づく。
同じく、タカミチも俺と一緒に降りていく。
それに圧迫感を感じているのか、古菲がジリ、と後ろに下がった。
長瀬も同じく、猫目を更に細めて身体を固くしていた。
そんな状況が手に取るようにわかる俺は、この顔のまま言った。

「さァ、やろォか、クソガキども」

ドンッ!!と俺が数メートルある距離を踏み込んだ。
狙いは古菲。
忍術を使う長瀬は後回しにし、単純にちょっとした気を使えるだけの拳法少女をまずブッ潰すことにしたのだ。
しかし、古菲の認知能力を甘く見ていた。
この瞬動とも言える速度に対応して見せたのだ。
俺が突き出した拳はするりと古菲の横を突き抜ける。
その拳を見て、古菲は眉根を寄せたのがわかった。
すぐにわかるのだろう、素人の拳なんか。

俺だって素人の拳だってわかってるよ、クソッたれ。

「ふッ」
俺の腕を取る。
そして懐に踏み込む。
この流れはどこかで―――ああ、ネギが茶々丸にしようとした技か。
それを理解した俺はベクトル演算。
「攉打頂肘―――ッ、なにっ!?」
バンッ、という音と共に、俺は垂直に跳ね上がっていた。
その時に古菲の腕を掴んでいたのでそのまま原作の茶々丸のように弧を描くようにして回る。
そのまま蹴っても良いのだが、何分人の目がある中で女の子を蹴るのはまずい。
いくら人外みたいな強さを持っていても、対外的には『女の子』なのだから。

必要以上の悪意を買う必要はないだろう。

そのまま後ろに着地してベクトル操作、一気に古菲の腕を捻り上げようとして、横から来た長瀬の一撃を受け止めるハメになった。
「むっ、これは……!?」
一発殴って俺の異常な『硬さ』を感じたのか、長瀬が一歩下がろうとして―――拳が掴まれたままであることに気づく。
ここで長瀬の拳が壊れていない理由を説明すると、まず長瀬がジャブ程度の威力で様子見の攻撃をしてきたから、というのが理由になるだろう。
気で強化もされてるしな。
……というより気で強化されていない人間に対して容赦ないな、長瀬。
「くっ、な、なんという握力アル……ッ!?」
二人とも俺に掴まれたまま抜け出せないようだ。
ま、それもそうだ。
二人が引っ張る力はベクトル操作で掌の方に向けられ、俺の方へ引き込まれる力となっている。
結果、張り付いたように動けなくなる、と言うわけだ。
「まァ、おイタをしたお嬢ちゃんには現実を知ってもらおうか。こんな大衆の面前で吐くンじゃねェぞ」
「え、吐くアルカ?どういうことアル?」
それに応じることなく、俺はつま先で地面を軽く叩く。
反射ではなく、ベクトル変換。
直下になるベクトルを横に変換し、自分を回転させる。
俺に腕と拳を握られている二人も自然とそれだけ回転することになる。
タン、タン、タン、タン、とリズミカルに地面を叩き、だんだんと俺は加速していく。
「も、もしかしてこれは『めりーごうらんど』という奴でござるか?」
「その“20倍”は速いがな。まあ、簡易的ではあるが遊園地を楽しんで来い。クソガキらしくな」

ドウッ!!と俺は急激に加速した。

古菲と長瀬の悲鳴は巻き起こる爆風に巻き込まれて消え、そのまま残像がつくような速度で回転させる。
それがきっかり10秒間。
やがてゆったりと回転は戻り、二人を開放する。
最早目が回ったとかそういう状況ではない古菲と長瀬ががっくりと崩れ落ちる。
古菲は目が回って気絶し、長瀬はまだ意識を持っているようだが吐きそうだ。
かく言う俺は―――。

「……おえっ」

「お主も吐きそうなんでござるか!?」
古菲達ほどではないが、酔っていた。
流石に自分を回転させるのはヤバかったか。
今度は傷つけない上で拘束する方法ってのを考えなきゃならないな。
俺は長瀬に近づくと、立ちあがろうとして倒れた長瀬のゼッケンにタッチする。
すると、ゼッケンは一瞬で赤色に変化した。
どんなトンデモ技術使ってんだか。
気絶した古菲もアウトにし、俺はフラフラと歩いて行く。
―――とりあえず便所はどこだ。





おまけ
「……むっ」
「どうしましたか、神多羅木先生?」
「いや……さっき通った路地から早朝の駅前によくある臭いがしてな」
「……真昼間から誰が飲んでるんでしょうか……せめてトイレで吐いてほしいものです」
それが誰のものであるか、顔を青くして走り回っているアクセラレータを見れば一目瞭然であるが、神多羅木と刀子は知らなかった。






~あとがき~

第15話をお届けしました、作者です。
皆さまのご指摘や感想にへし折られそうになりながらも、精進していこうと思う毎日です。
筆の進みが遅い……前の週ならもう二連続投稿してもおかしくないのに。

カッコよくフルボッコしたのに、結局最後は決まらないアクセラレータ。
回転させたのに腕ちぎれないのはどうしてか、という質問については気でなんとかした、と思ってください。
アクセラレータが酔った件についてですが、おそらくベクトル操作で酔うことを避ける事はできたと思いますが、敢えて酔わせました。
ちなみにアクセラレータは我慢できずにブチまけました。
カメラは映してません。
空気読んでタカミチを映してましたwww

朝倉登場です。
朝倉ファンの方すみません、ただウザいキャラとしか表現できませんでした……。
彼女は近いうちにもう一回登場するかも……損な役回りで、ですがwww
アクセラレータが絡むとどうしてもあんな表現になってしまうんですよね……彼が学園長のボケにイライラが絶好調であったのも原因ですけど。


次回、登場するのは超、ハカセ、アスナです。
新登場キャラは例によって明かせません。
それと、次回で麻帆良祭は終了します。
次回はシリアス予定かな?超いるし。


前を表示する / 次を表示する
感想掲示板 全件表示 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

SS-BBS SCRIPT for CONTRIBUTION --- Scratched by MAI
0.02714991569519