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No.21186の一覧
[0] 【チラ裏から・処女作・駄文】「マギステル・テレッテ」(ネギま×P3)[鉄兎23号](2010/09/21 21:53)
[1] 第一話[鉄兎23号](2010/09/21 21:46)
[2] 第二話[鉄兎23号](2010/08/15 22:02)
[3] 第三話 前編[鉄兎23号](2010/09/21 21:55)
[4] 第三話 後編[鉄兎23号](2010/09/21 21:45)
[5] 第四話[鉄兎23号](2010/08/22 10:15)
[6] 第五話[鉄兎23号](2010/08/30 05:24)
[7] 第六話[鉄兎23号](2010/09/05 01:17)
[8] 第七話[鉄兎23号](2010/09/21 21:42)
[9] 第八話[鉄兎23号](2010/11/14 04:35)
[10] 第九話[鉄兎23](2011/06/22 23:14)
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[21186] 第三話 後編
Name: 鉄兎23号◆f955939b ID:a882e3c8 前を表示する / 次を表示する
Date: 2010/09/21 21:45


第三話 後編











「氷爆!」



少女がそう唱え両手に持ったフラスコと試験管を投げつける
二つの容器に入っていた液体が空中で混ざり合い化学反応のように反応を起こし周囲へ氷の爆発が広がる



「のわぁぁぁ!?」


爆風が広がり、順平の服を端から凍らせつつもその勢いは止まらずに体を木に打ち付ける



「つつ……ブフーラか?」


腰をさすりながらもしっかりとした足どりで立ちあがる
だが、その視線の先には先ほどから自分を追い立てる二人の少女
片方は自分に銃を構え、もう片方はなんと空に浮かびながらこちらを見下ろしている


「ふん、なかなかにタフだな。
 だがいいのか?いい加減に本気を出さねばこのまま氷漬けになるだけだぞ
 もっとも、抵抗しようが許しを請おうが貴様は生かしてはおかん」


依然、順平を見下ろしたまま
少女エヴァンジェリンは冷酷に、ただただ事実を伝えるように
感情を込めずにそう告げた


「い、いや~……なにを怒ってらっしゃるんでしょう?そんなに睨まれても……オレッチお手上げ侍!」


氷のような眼差しに、京都で体験した処刑という名の拷問時に見た女性陣の目つきがフラッシュバックしてしまい
一層戦意を失い、襲われているはずなのに何故か下手に出てしまう順平……
彼の中ではもはや、女性とは戦っても色んな意味で勝てない対象としてインプットされているようだ。


「はっ、惚けおって!私を狙えば良いものを……わざわざ関係ない者を襲っておいて、我が身が危なくなったら知らぬ振りか……悪の風上にも置けぬな!それならいっそのこと、無様に命乞いでもすれば楽に死なせてやったものを……
 貴様にはこの闇の福音を狙った事を後悔し、殺せと哀願するまで苦痛を味あわせてやる!茶々丸!」


エヴァンジェリンは怒りを露わにしもう一人の少女へと指示を出す


「イエスマスター」


ライムグリーンの髪が美しい少女、茶々丸が順平へと銃口を向ける


「どわっ!?ちょっ待てって!闇のなんたらって何だよ!?オレは無実だぁぁぁぁ!!」


木を登ったりジグザグに走ったり、またもや命を賭けた鬼ごっこが開始された














「マスター、このまま行くと学園結界の外に出ます」

「ちっ、逃すかっ!」


茶々丸の後ろを飛んでいたエヴァンジェリンが空を切る様に加速し、順平を逃すまいと前に回り込む。


「なぁっ!?」


今まで何とか逃げ回っていた順平だが、突然目の前に現れたエヴァンジェリンに驚き、その脚を止めた


「くっくっく、逃げ回る振りをして結界の外に出ようとするとは……
 なかなか演技派じゃやないか、ええ?」


先ほどから情けない声ばかりを出していた間抜け面に、出し抜かれかけたと思ったエヴァンジェリンはさらに機嫌が悪くなり


「いやいやいや!?全然そんな気は無くてですね!?」

「ええぃ!御託は聞きあきた!今こそ、その首掻き切ってくれる!」

「ちょっ!?待てって!」


もはやイラつきがピークに達したエヴァンジェリンは、順平の言葉に耳を貸す事も無く
文字通り、首を切り裂こうと爪を伸ばし襲い掛かる

しかし、順平も愛する人に授かった命を投げ捨てる訳にもいかず
躊躇いながらも両手で太刀を握りなおし、エヴァンジェリンの攻撃から身を守ろうとする


二つの影がぶつかり、二人の力が拮抗したように見えたその時
この場で唯一冷静さを保っていた者がその声を上げた


「マスター!侵入者が……後ろです!」

「むっ!?」


先ほどまでは冷静だった少女が急に大声を出したことに違和感を感じ、切り付ける力を利用し順平の頭上を一回転しながら飛び越え、茶々丸の横に降り立った。


「ヤツの増援か?」

「状況からしてそう考えられますが……」

「ん?どうした?」


突然の制止に幾分か冷静になったエヴァンジェリンが茶々丸が言い淀んだことを疑問に思い、問いかける


「いえ……生命反応、感知できる魔力反応、共に微弱でして……いわゆる瀕死の状態です。
 この状態で援軍に来る意味がありません」

「大方タカミチあたりにやられた残党が迷い込んだのだろう」

「いえ、結界の外からの進入です……
 1時の方向!来ます!」



茶々丸に言われた方向に顔を向けるエヴァンジェリン

二人が同じ方向を見ているので、戦闘中にもかかわらず同じ方向を見てしまう順平


この場にいる全員が一点を見つめる中、闇の中から人影が現れた




「闇……の……福……」


闇の向こうから現れたのは先ほど逃げたはずのフードの男だった
しかし、その足取りは重くフラフラと今にも倒れそうで、その目は何を見るでも無くただ虚空を見つめ
ブツブツと何かを呟いている


「茶々丸気をつけろ、何かがおかしい」


茶々丸にだけ聞こえるように小声でそう呟き
自らも精神を集中させ、体に魔力を廻らせていく

その瞬間だった

今までうつろな表情でふらついていた男が何かに反応するように、急にエヴァンジェリンに向き直り


「マスター!」


油断したわけではない、むしろ相手を警戒していた
だが、予想外の行動と順平にも注意を払っていたほんの僅かな隙を付かれていた

目の前には男が片腕を振り上げ、今まさに振り下ろさんとしていた。


「しまっ!?」


しまった、そう言い切る前に視界が横にぶれる
何者かに付きとばされた、気づいた時に目にした物は

男の手がライムグリーンの髪がなびく少女に、襲い掛かろうとしていた






「おらぁ!」


茶々丸に男の手が触れる寸前、順平が男に対して体当たりした
ほんの僅かに軌道のずれた手は、茶々丸の左腕から腰にかけてを引き裂いた
男はそのまま近くに生えていた木へと衝突した


「茶々丸!!」


左腕は千切れ、体もかろうじて繋がっているような状態の茶々丸へとエヴァンジェリンは駆け寄る

「マスター……ご無事ですか?」

「ああ、お前のお陰で無事だ。損傷はどうだ?」


「……メモリー、コア、共に無傷です。ボディさえあれば戦闘も可能です。
 しかし、今は歩行、戦闘行為は困難です」

「そうか」
(茶々丸としての死はメモリーとコアの破損、それが免れただけでも御の字だ
問題はこの後どうするかだが……)

「おいそこのヒゲ面」

「ひどっ!?ヒゲってオレ!?」

「貴様以外に誰がいる、……なぜ助けた?あのまま放っておけば私を殺す事もできたぞ」


エヴァンジェリンは疑問に思っていた、なぜ自分を殺すために他者を巻き添えにするようなやつが
わざわざ従者を助けたのか、確かに茶々丸は戦え無くなっているが
もしかしたら運良く無傷で助かっていたかも知れない、そうなれば自分の分が悪くなり
下手をすれば自分が死んでいたかもしれない、それがエヴァンジェリンには理解できなかった。


「まぁ、女の子を守るのがヒーローの役目だからな」
笑いながら順平は答えた


「は?それだけなのか?」


「へへっ、まぁな。それにオレッチ、エバなんちゃらも闇のナントカも知らねぇって」


「うん?私を殺しに来たのではないのか?」

「だぁから違うって、全然信じてくんねぇんだもんなぁ」

「では、一体なにをしに「ちょっとまった」?」


突然話の腰を折られたエヴァンジェリンは順平を怪訝な目で睨みつけるが
彼の見ている方向を見て納得がいった、先ほど順平が吹き飛ばした男がこちらを見つめている

いや、こちらへ視線は向いているが見てはいない
虚ろな瞳が一瞬動いたかと思うと、突然男は苦しみ出した


「なにが起きている?」

「おいおいおい、マジかよ……」


男が苦しみだし、頭を抱えたかと思うと……粘性の高い液体のように男の体は崩れ
さっきまで立っていた場所にはコールタールのように黒くてドロドロとしたものが残った

かつて一度だけ見た、人間がシャドウに食われる瞬間
心を食われた人間は動く気力も話す気力も、生きる気力も無くなる無気力症になってしまう


自分たちが命を賭け、大切なものを失ってまで戦って抗い続け
消し去ったハズの無気力症、その犠牲者が目の前に生まれた

様々な思いを抱きながら、そこに生まれた黒い水溜りを見つめる順平


そして、その液体から白く太い手が現れた瞬間、すさまじい威圧感が二人を襲う


「ぐっ!?上位の悪魔召喚か!?」

「なぁ、さっき使った凍るやつとかまだ使えるか?」

「まだ使えるには使えるが、2~3回程度だろうな」

「じゃあ、ソッチの子運べるか?」

「それくらいなら、出来るが……戦う気か?見たところ上位の悪魔くらいはあるぞ?」


二人が会話をしている間に、手だけでなく全身を現していたそれは、体から滲みでる禍々しさとは反対に純白の体を持つ隻腕のミノタウロスだった。
順平は帽子を被りなおし、太刀を握りなおす


「あぁ、コイツなら初めてじゃないし。相性も良いからな
 それに言っただろ?かわいい女の子を守るのがヒーローの役目なんだよ」

「ふん!それより、何か知っているようだな……」


順平のかわいいを聞いて若干頬を染めるエヴァンジェリン


「まぁいい任せたぞ、終わったら話を聞かせてもらう。いいな?」

「オッケーオッケー、いくらでも聞いちゃってオレッチいくらでも答えちゃうぜ?」


そう言い放つとエヴァンジェリンは茶々丸を抱え空へと上って行く



「闇……の……福……音……」

「まだ言ってんのかよ、それってあの金髪の子だろ? ほんとおっさん趣味わりぃな」

「クソ……ガ……キ……!」

「おっさんに覚えられててもなぁ……まぁ怨みはねぇけど、行くぜ!」













一気にミノタウロスへと駆ける

近づいてくる順平に対しミノタウロスは乱雑に手をふり下ろす
駆けぬく速度をそのままに、ギリギリで腕を避けた順平は体勢を崩したミノタウロスの腕目掛けて太刀を振り下ろした

「だりゃぁぁぁ!!」

隙を付いた順平の一撃はミノタウロスの残っている腕を肘から切り落とした



「ふん、やはり先ほどまでは本気では無かったか。
 しかし何者だ?上位悪魔ほどの腕を一刀で切り落とすなど容易ではないぞ……
 む?距離をとったか、なにか大技でも使う気か?」

上空からは順平の人物像を掴み切れずにいたエヴァンジェリンが、眼下で繰り広げられる戦いを見ていた


「うっし!ちゃっちゃと片付けちまうか」

腕を切り落とし、返す刀で横一文字に切りつけた順平はそのまま後ろに跳び下がり
痛みに怯んでいるミノタウロスを睨みつけながら、腰のホルスターに手を伸ばし召喚器を取り出す。

「ペルソナァァァ!!」

この世界に来て三度目の召喚、3mはありそうな赤い巨人がその姿を現した

「アギダイン!!」

唱えた瞬間にペルソナから以前とは違う力強さをまたも感じた

(なんだ?こっちもいつもと違う?)

順平がそんなことを考えていると、トリスメギストスから力が解き放たれ業火が真っ直ぐと標的に向けへと飛来する

突き進む炎の奔流はミノタウロスを捉え、あっというまに消し炭へと変え近くに生えていた木々もまとめて焼き尽くした
収まった後には、ミノタウロスの残骸と燃えカスすら残らずに消え去った木々の根だけだった


(だから何でだよ!?威力ありすぎて怖ええって!これは新手の嫌がらせなのか!?)


本日二回目の心の葛藤を終えた辺りで飛んで行った少女の事を思い出し辺りを見回してみる、すると丁度空中に浮かんでいる少女を見つけた


「お~い!もう大丈夫だぞ~!」

太刀を置き、両手を大きく振ってアピールをする
するとしばらくして気づいたのか、もう一人の少女を抱え降りてくる

丁度、順平の目の前に降りたところで

「よーし、もう怖くないぞぉ。お兄さんが「貴様! 今のは一体何なんだ!? あれほどの魔力をなぜ人間が扱える!? いや!! それよりもあの赤いのはなんだ!? ゴーレム……いや! 召喚術か!? ならばどこで手に入れた!? 教えろ! 今すぐ! さぁ! 早く!いや、よこせ!」 おぶふぅ!」

突然押し倒され、襟首を掴まれた上に
少女とは思えない力で思いっきり前後にシェイクされ後頭部を地面に打ち付けられながら、興奮したエヴァンジェリンに質問攻めされる順平

「答えぬか!?ならば貴様の体に聞いてやろうか!?」

「ちょっ……タンマッ……襟が伸びっ……る……うぷっ」

そろそろ順平が限界を迎えようとした時、救いの手が差し伸べられた


「マスター、そんなに揺らしては答えられないと思われます」

「うん?」

少し正気に戻ったエヴァンジェリンの手にはビロビロに伸びたタンクトップと顔色の悪くなった順平がいた……


「うおっぷ……リバース侍……」

「それと、学園長から連絡で、学園長室に来るようにとの事です。もちろん、そちらの方もご同行願えますか?」

「ちっ! 詳しい話は向こうで聞くぞ! 着いて来い!」

「ちょぉ! 横暴! 強引! ハイハイ! 弁護士を要求しまーす!」

「いいから来い!」

「アウチッ!」

少女に思いっきり足の甲を踏みつけられ涙目になりながらトボトボと後ろを着いて行く順平

がんばれ順平!負けるな順平!明日はきっといい日になるさ!








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