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No.2104の一覧
[0] マブラヴ~鎮魂歌~[うり坊](2006/09/19 12:40)
[1] Re:マブラヴ~鎮魂歌~プロローグ[うり坊](2007/01/11 20:40)
[2] Re[2]:マブラヴ~鎮魂歌~第一話[うり坊](2007/03/23 21:10)
[3] Re[3]:マブラヴ~鎮魂歌~第二話[うり坊](2007/01/11 20:42)
[4] Re:マブラヴ~鎮魂歌~社霞の考察[うり坊](2006/09/19 12:51)
[5] Re[2]:マブラヴ~鎮魂歌~社霞の考察[うり坊](2006/09/19 12:51)
[6] Re[4]:マブラヴ~鎮魂歌~第三話[うり坊](2007/01/11 20:43)
[7] Re[5]:マブラヴ~鎮魂歌~第四話[うり坊](2007/03/23 21:17)
[8] Re[6]:マブラヴ~鎮魂歌~第五話[うり坊](2007/03/23 21:21)
[9] Re[7]:マブラヴ~鎮魂歌~第六話[うり坊](2007/01/11 21:38)
[10] Re[8]:マブラヴ~鎮魂歌~第七話『BETA上陸』[うり坊](2007/03/23 21:23)
[11] Re[9]:マブラヴ~鎮魂歌~第八話『BETA上陸』[うり坊](2007/03/23 21:25)
[12] Re[10]:マブラヴ~鎮魂歌~第九話[うり坊](2007/01/11 21:41)
[13] Re[11]:マブラヴ~鎮魂歌~第十話『南国サバイバル編』[うり坊](2007/03/23 21:29)
[14] Re[12]:マブラヴ~鎮魂歌~第十一話『南国サバイバル編』[うり坊](2007/03/23 21:32)
[15] Re[13]:マブラヴ~鎮魂歌~第十二話『南国サバイバル編』[うり坊](2007/01/23 17:04)
[16] Re[14]:マブラヴ~鎮魂歌~第十三話『南国サバイバル編』[うり坊](2007/01/23 17:07)
[17] Re[15]:マブラヴ~鎮魂歌~第十四話『南国休暇編』[うり坊](2007/02/02 15:58)
[18] Re[16]:マブラヴ~鎮魂歌~第十五話[うり坊](2007/03/21 05:55)
[19] Re[17]:マブラヴ~鎮魂歌~第十六話[うり坊](2007/03/26 10:55)
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[2104] Re[16]:マブラヴ~鎮魂歌~第十五話
Name: うり坊 前を表示する / 次を表示する
Date: 2007/03/21 05:55
『明■の■スト……う■く行って欲■■なあ■…』

『テス■が成■して『■■皇■型』が正■配備■れたら……弟■は戦■なく■済む■な……』

『孤立■た者の■助が任■で障害■■る場■、そ■は切■捨て■行くべ■■ん■よ』

『私■自■が■のために戦■のか……そ■順番って■つ■、ちょ■と考え■■るよ』

『身■手で■ょ……私っ■……』


・・
・・・
・・

11月22日

白銀side
横浜基地、兵舎

「また…………夢か…………」
今度のも見たことのない夢だった。
暗い夜に大きな船の上……誰かと会話をしていた記憶が朧に浮かぶ
『アレ』は何なのだ……?
頑張り過ぎて疲れているのか?
まあ、演習が終わった直後に太平洋で遭難なんかすれば疲れるのも当然だろう

だけど……心の隅では『何か』が訴えかけている。
「はぁ……考えてもしかたないか……」
時計を見る、まだ起床時間に余裕がある

コンコン・・・

「ん……?」
部屋にノック……こんな時間に来るとすれば……
「おはよう、霞」

「………………!」

彼女の顔が僅かに驚き、そして直に元に戻った。
「ど、どうした……?」
新鮮なリアクションである
「起こすのは………………もう、いりません?」
「へっ……?」
「まさか……オレが起きていたから拗ねているのか?」
「…………」
無言は肯定
―あ~……拗ねているな…………
「悪いな……明日は霞に起こしてもらうよ」

プイッ

「機嫌直してくれよ~」
と言ってもご機嫌斜めなお姫様……ここは謝り作戦を変更して……
「そうだ!霞にお土産があるんだ!」
取り出すのは総合戦闘技術評価演習が終了した際に島の浜辺で入手した貝殻である。
出発する際に『お土産を持って帰る』と約束したのだ。
その貝殻を彼女へ手渡す
「…………ありがとうございます」
それを耳へと当て、彼女の頬が僅かに綻ぶ
「明日は……起こしてくれるか?」
「はい……」
貝殻を包み込むかのように大切に持つ
「ありがとうな……」
オレは霞の頭に手をやり、ナデナデする
「いえ……」
それをくすぐったく感じるのか、彼女は体を僅かに縮こまらせて頬をほんのり赤く染める
―ん~……こうやって見るとウサギみたいだよな…………
ウサギの耳みたいなヘアバンド、それに白く丸い尻尾が丁度良い
―アニマルセラピー(?)ってやつか?
と癒されていると……

「あの…………」

「あっ、悪い悪い……」
「明日も……起こしに来ます」
「ああ、そうしてくれると嬉しいな」
「ばいばい……」
「さてと……時間はとッ!!?」
時計の針は既に起床時間を過ぎ、点呼する時間帯になろうとしている
結局のところ、早く起きても規律を守れなかったら意味がない
それはともかく・・・遅れればまりもちゃんからお叱りを受けるだろう
更に、本日は戦術機の適正テストが行われる
そんな日に遅れて下手すれば『弛んでいるッ!!お前はそこで見ていろッ!!』なんて言われたら最悪である。
「間に合うかッ!!?」

走るが…………もう少し洞察力を磨いた方が良いと思う

彼の部屋に置かれていた時計は昨日の晩に止まっていた。

そして『無駄骨』という言葉を噛み締める事になるのはそれから数分後のことである。




香月side

「フェニックス計画の機体を拝借してサポート役に回せばなんとかなるわね……残る問題はシステムかしら………最新型のIFSを搭載すれば・・・でも、それだと「失礼します」
そこで思考が中断して来訪者に目をやる
この部屋に立ち入ることが可能な人間の一人……『社霞』がそこにいた。

「あら、どうしたのソレ?」

指差すのは先程、白銀から貰った貝殻である
「武さんに貰いました……」
「ふ~ん……なんなら、絶対に割れないようにコーティングしてあげましょうか?」
「結構です」
「冗談よ……本気でする訳ないじゃない」
頷いていたら本当にするかもしれないのが香月夕呼なのだ。
「駒はほとんど揃ったわ……あと足りないのは量子電導脳の理論だけ……」
「その為の装置も製作中……完成は数日中よ」
「そうですか………」

「残念だったかしら?」

霞の肩がピクリと震える
「…………何が?」
今の『彼女』は至って『普通』の表情で夕呼に聞き返す

「『鑑純夏』を殺してしまう事が………」

「どうして……そんな事を聞くのですか?」
無闇にそんな事を聞く筈がない……何かを思っての行動
「ディスクに量子電導脳の理論だけを入れなかった本当の理由………そうじゃないのかしら?」
「………………」
社は無言を貫く
否定はしない……いや、出来る筈が無いのだ。
全ては『事実』、どんなに『ウソ』をついても……この人には見破られる
「アナタの方法なら『自分』の知っている通りに歴史が動いてくれるでしょうね………でもね、その方法は『別の世界』をも巻き込むのよ」
「その結果……どうなるか知っているくせに、同じ事を繰り返すつもり?」
その程度で済めばいい方かもしれない……だけど、『この世界』は特別なのだ。
『白銀武』同様に『世界の断片』から構築された世界……転移した際に何を齎すのか不明である。
「何かを得るには………踏みにじらないといけないものがあるんです。」
それは『香月夕呼』と同じ思考……Give And Takeは必要なのだ。
「我侭も大概にしとかないと…………痛い目を見るわよ?」
それを聞いた霞は部屋を後にした……おそらくシリンダーのある部屋へと向かったのだろう
「社………そんな方法でやっていると最後に傷付くのは自分なのよ?それを理解して頂戴……」
『彼女』の場合、理解していても進むと解かっている。
その事は夕呼も理解が………今の夕呼では『彼女』を止めるのは難しいのだ。

『無力』……まさにその通りなのかもしれない





白銀side
男子ロッカールーム

前半の戦術機についての講義も終了
お待ちかねの『伝統』ある犠牲……もとい、京塚おばちゃんの超特盛メシを頂いたのは冥夜である。
まあ、あれだ…………よく夜に運動しているからエネルギーがいるだろう?
昔の人も『腹が減っては戦はできぬ』と言うではないか………決して悪意はない………………『前回』の事を根に持ってはいませんよ?
「相変わらず凄いフィット感だよな………」
この辺の技術は凄いと今でも思う
こんな薄い膜みたいなモノが耐衝撃性、防刃性に優れており、更には温度調整も可能なんて信じられない
だけど………これが開発された経緯はBETAとの戦闘で帰還率を上げる為なのだ。
『この世界』の軍事力と『元の世界』の軍事力では比較にならない……………それでも人類は後退している。
それだけBETAが強大ということなのだろう
「覚えている『記憶』じゃ……一度もBETAとは戦ったことがなかったよな…………………」
本当は戦ったかもしれない、けど『記憶』は覚えていない
「難しい事を考えるのはオレの性に合わないな………」
そろそろ皆が着替え終わって集合しているだろう

・・

まあ、なんと言うか………………約一名を除いて照れながら立っている姿は……実に初々しい
初めて皆を見たときは少し前屈みになってしまったのを思い出す
―若いって……………素晴らしいよな……………
「これからおまえ達の戦術機特性を調べるが、その前に待機室でこれらについて説明を行う」

・・
・・・
・・

やっと長い説明とヘッドギアの網膜投射の調整が終了した。
「では、これよりシミュレーターに入ってもらう。入る際にはこれを持て」
そう言ってまりもは皆に紙袋の入ったビニール袋を渡していく
―あ~……吐きそうになった場合のか?
吐くとしても余程の量を食べないといけない……たとえば京塚おばちゃんの超特盛メシなど……スマン、冥夜
「榊一号機、御剣二号機、残りはその場で待機!」

・・
・・・
しばらくお待ちください……
・・・
・・

「ううっ………」
「……さすがは………人類の英知の結晶……」
「…………………さすがに……キたね……」
「はぅ~お花畑が~~~」
皆、イイ感じに精神が『別世界』に逝きかかっているよ……タマは手遅れか?
「次、一号機鎧衣、二号機白銀」
やっとオレ達の番だ。
「ぼ、僕達も……ああなるのかな……?」
鎧衣が指差すのは屍達である。
「オレは余裕だな」
「つ、強気だね」
それは彼が『経験者』が故である。
まあ、『最初』の時も白銀は無惨な醜態を晒したりしなかった。
軽い足取りでシミュレーションデッキへ向かう

「タケル……」

「ん?どうした冥夜?」
「無理するではないぞ……」
「あ、ああ………」
酔って吐くと思っているのだろうか?
けど……冥夜の言葉には『それ以外』も含まれているような気がした。

「久しぶりだな……この感触………」
シミュレーションとはいえ、久しぶりの戦術機のシート感触である。
『白銀、鎧衣、聞こえるか?聞こえるのなら返事をしろ』
「聞こえます」
『鎧衣、もう少し深く腰掛けた方がいいな。白銀はそれで楽ならそのまま』
「はい」
―美琴は身長が低いからな……それに胸も…………関係ないか?
『では、これからテストを開始する。おまえ達はただ15分そこに座ってればいい。気分が悪くなったら横の非常停止のボタンだ。』
『では始める』
風景が網膜投射され、シミュレーションがスタートする。

・・

『続いて駆け足前進』
今の現状をはっきり言えば…………………

退屈である

『前回』は初めて戦術機に乗ったから興奮していたが……今回はその興奮はなく、逆に『退屈』である。
ガシャン!ガシャン!とリズム感のある振動が体を揺らし、そのお陰で睡魔が襲い掛かってくる。
だけど、皆の場合はそれどころじゃなかったのだろう……こっちは戦術機に乗るのは初めてでもないし、適正テストだって『前回』は一位を取ったのだ。
それに実機での操縦はもっと辛いのだ。Gは掛かるし、縦横前後に激しく揺れる
―この適正テストより、あの恐怖のジェットコースターの方が何倍もキツかったよな……
思い出すのは『元の世界』での記憶、純夏と一緒に遊園地に行って…………………

―『ウリその1!高低差50メートル!!』―

―『ウリその2!10連続回転!!』―

―『ウリその3・・・』―

落ちる・揺れる・振られる・回る……………思い出すだけでも恐ろしい
今なら前の様に叫ばずに乗れる………と思う
ボケッとしているとモニターはいつのまにか市街に突入していた
『では全速力』
「あっ、そうだ。確か、ここで………」
そう呟いた時

ピーッ!ピーッ!!

管制ユニット内に鳴り響く警報音、網膜に投射される『ENAMY』という表示

『敵』が現れた

『ソイツ』の体は……サソリみたいな体をしているが、生物的にありえない構造している。

尾は醜い顔がついて見る者を不快感に貶める存在、たった一振りで戦術機を強固な装甲をも粉砕する巨大な腕……地球上に存在する『生き物』を根絶やしにする『敵』

『Beings of the Extra Terrestrial origin which is Adversary of human race』

『人類に敵対的な地球外起源生命』

通称『BETA』

「ッ……!!!」
心臓が一際、大きく震え上がる
―ああ、糞ッ!やっぱりビビってしまうよな……!!
網膜に投写されているのは要撃級と呼ばれているBETA
「はぁッ……」
肺の酸素を全て吐き出し、深呼吸して気を落ち着かせる
―落ち着け……この要撃級は『映像』だ。
もう一度、正面を見据える
写るのはやはり醜いBETAである。
「くッ……!」
映像を見ていると『頭痛』が襲ってきた。
コイツを見ていると『オレ』は………………

『こ■野■ォ■ッ!!■して■るッ!!殺■て■■ッ!!』

―タールの様なドロドロでドス黒い感情が心に渦巻く―

『て■えら■せいで!!■■えらの■いでッ!!■し■やるッ!!』

―オレから………■■を奪った奴等が憎い―

『地■を返■ッ!!■■を■せ■ェ■ッッ!!う■■あ■■■あッ!!』

―オレから………全てを奪った奴等が憎い―

『オ■じゃて■えらな■■に負け■えんだッ!!■レ■■球を■うんだッ!』

―奴等を……■■■■■―

『死■じま■■ろ!動■!■けって言っ■んだ■■がッ!!』

―■■ないと……オレは奴等を■■せない―

―そうだ……『オレ』は奴等を……―

『急停止ッ!!』

ガクンッ!!

「ッ…!!」
管制ユニットが止まった際の振動により深い『闇』から現実へと引き戻される
―今……オレは『何』を思っていた?
ほんの数秒……その間の記憶が欠如している
だけど……あの瞬間、『自分』であって『自分』ではなくなった。
―駄目だ。思い出せない……
思い出そうと、もう一度モニターを見るが既に停止していて、目に見えるのは管制ユニットのコンソールと無機質の壁だけである。
『運転停止、搭乗中の訓練兵は降りてよし』
ハッチが開くと外の空気が急速に己の『感情』を冷やしていく
気分が優れない・・・・吐き気はしないが、『何か』が自分の中で渦巻いている
『どうした?気分でも優れないのか?』
「いえ、大丈夫です。」
『そうか……』
ウソだ……本当は気分が悪い
だが、それを口に出す訳にはいかない
―こんな事で……オレは弱音を吐く訳にいかないッ!この世界を救う為にッ!!
脅迫的な執念が彼を推し進める
だけど……………その『台座』が非常に脆く、儚いのことを……………彼は知らない





まりもside

「これが夕呼の言っていた『特別』なのね」
計測されたデータはどれもが信じ難いものばかりである
心拍数、脈拍、脳波などのデータは全てが『正常値』なのだ。
全てが『正常値』と言う事は……それは普段と何も変わらない様子

ありえるだろうか?

訓練様のシミュレーターとはいえ、それなりの揺れはする。
彩峰でさえ、その際には多少なりとも興奮したりしたのだ。
だが、彼を……『白銀武』を207に入隊させる際に香月夕呼は『彼は『特別』な存在だから……多少の事は見過ごしなさい』と言った
その意味は理解しているつもりだった。身体能力、座学、兵科のどれもが成績優秀……確かに『特別』だった。
だからといって戦術機適正までもが『特別』とは信じられない
高い可能性で『白銀武』は兵役に就いていた筈である。それだと全ての辻褄が合うのだ。
けど、そこで新たな疑問が浮かぶ

兵役に就いていた経験があるのに何故、訓練兵をしているのか?

思い当たる理由は一つだけである
この横浜基地で極秘裏に進められている第四計画・・・・オルタネイティヴⅣ
それもかなりの『深部』に『白銀武』は位置する筈だ。
―私は……その『領域』に立ち入ることは無理なのね
まりもは僅かに苦笑する
別にその場所にいてもどうこうするつもりはない……だが、彼女の……『香月夕呼』の支えにはなりたいと心の底から思っている。
彼女は立場上、誰にも相談出来ない……それがどんなに信頼できる友人であってもだ。

「ん……?」

カメラに写っている白銀の様子がオカシイ事に気づく
吐きそうな顔をしている訳じゃない……だが、まるで何か耐えているような……
直ぐにバイタルデータをチェックするが異常は見られない
―心理的なストレスかしら?
しかし、今の『彼』はそれらと少し違うような感じがする。
―この記録で心理的なストレスを感じるのも妙ね
計測されている白銀の適正データはどれもが平常時とあまり変わらない様子である。
とりあえず、そろそろ15分経つのでシミュレーションの停止ボタンを押す
「急停止ッ!!」
「運転停止、搭乗中の訓練兵は降りてよし」
コンソールを操作してシミュレーションデッキを開放させる
「どうした?気分でも優れないのか?」
『いえ、大丈夫です。』
―そんな訳ないでしょう……その顔で……大丈夫だと言えるの?
本人は気付いていないようだが、その顔は少し青くなっている
それでもバイタルデータに変化は見られない
「そうか……」
―どうなっているのかしら……?
顔色が悪いだけでもバイタルデータには反映される筈なのだ。
機器の故障……そんな筈はない、他の者を計測した時は正常だったのだ。
―ここで考えても仕方ないわね……
まりもは管制室から出て白銀達の前に行く
「10分後に結果を発表する、それまで休憩だ。」
「「「「「了解ッ!!」」」」」

・・

白銀side

10分の休憩なんてあっという間だった…………その間、皆はグロッキーな状態を回復すべく静かにしていたわけだ。
オレも………気を落ち着かせるために一人、休憩していた。
まりもちゃんが再び前に現れて委員長が慌てて整列させた。
―いよいよ結果発表か……
『前回』は誰も問題なかった
そして今回も同様に誰も問題はない
「…………白銀……キサマは以前、戦術機に乗った事があるのか?」
「いえ、ありません」
「ふむ……」
まりもは不に落ちない顔している。
それもそうだ。いきなりこんな記録を叩き出されては機械が故障しているのでは?と疑いたくなる
「教官、白銀の成績はそんなに凄いんですか?」
「ああ、適正検査だけだが………歴代記録1、2位を争う程の記録だぞ」
「「「「「ええっ!?」」」」」
皆が驚くのも無理ない
―ん…?
「初めて乗るのに興奮もしていない、極めて冷静な状態……最後には僅かばかりだが、心音が上がった程度だ。普通そんな人間はいないのだがな……」
―なんだ?凄く違和感が…………?

「これが白銀の適正結果?」

突如、まりもの背後から現れた夕呼は彼女が持っていた記録を後ろから取り上げる
「博士!?」
「ふ~ん、なるほどね………」
白銀の記録を繁々と読み、それをまりもに放り返す
「まりも、明日はコイツに動作教習応用課程Dをやらせなさい」
「そんなッ!?昨日今日で戦術機の操縦なんて出来る訳ないでしょう!?」
「仕方ないわね……じゃあ、別のプログラムは私が用意するわ。動作教習応用課程Dは複数の球型のドローン(標的機)との仮想戦闘でしょ?それを変更して1対1の仮想戦闘が出来る様に変更するのよ」
「わかりました……」
「それに……コイツは『特別』だって言ったでしょう?『特別』って意味はそういうことなのよ」
「それは…そうですが………」
その事はまりも自身も承知している。
「それと明日から207にはシミュレーターを最優先で使用出来る事になったから」
「最優先!?」
皆が驚くのも無理はない
なにせ、一介の衛士の訓練兵が最優先でシミュレーションを使用できるのは『異例』なのだ。
「時間が勿体無いでしょ?さっさと衛士になって貰う方がいいのよ」
確かにその通りである。
今の衛士と戦術機の数はバランスが取れていないのだ。
消耗して新たに戦術機を製造すれば良いが、衛士はそうもいかない
「いいの……?司令の許可は「取っているわ」
反論する余地もない
「良かったなキサマ等、明日からこのシミュレーションが最優先に使えるぞ」
皆の目が輝く
「本日はこれにて解散する」
「「「「「了解」」」」」
さて、PXにでも行くと…………
「………正直、白銀の正体が気になるわ」
ここで心臓がドキッとなるような事を委員長に言われ、PXへと向かう足が止まる
「私も……」
更にドキッとなる
「タケル、本当に兵役に就いたことないの?」
「えッ…?」
心臓の鼓動が早くなる
この状況……割と最近、同じような事になったような………
「知識も独学、体力も自己鍛錬だって言ったよね?その割には素人の域を遥かに超えていると思うな」
ドキッを通り越して、美琴の『言葉』が胸にグザリッと突き刺さる
「それもそうね……『普通』はありえないものね?」
良い感じに場を掻き混ぜてくれる香月夕呼、アンタは悪魔か?
―って!一番、『事情』が知っている人が何を言っているんだよ!?
「そうだね……ひとりじゃ無理」
さあ、どうする?四方は愉快な仲間達が包囲している。

「よせ……あんまり詮索するものではない」

「……あ、そうか……そうだね……ごめん」
冥夜の言葉で皆が退いてくれた。
―けど、また同じ事が起こるかもしれないよな……
となると先手を打つしかない
「わかった……君達に『真実』を話そう」
「無理して話す必要はないぞ……」
「いや……コレは皆に知って貰いたいんだ……」
皆の視線が白銀に集中する

「俺は……普通の人間じゃなんだ。」

先生の目が射殺すかというぐらいに鋭くなる
おそらくは自分の『正体』をバラすのでは危惧しているのだろう
「「「「「………………は?」」」」」」
他の皆が呆気に取られているが、一人話を進める白銀
「米国、ネバタ州の砂漠にエリア51っていう秘密基地があるんだ。国連軍はそこで極秘の計画を進めている」
「米国って……」
興味の目はやがて白くなり、周囲の気温が僅かに下がる
だけど、それでも白銀は構わずに続ける
「スーパーエリートソルジャー計画・・・通称SES計画だ。俺はそこで生まれた9番目のスーパーエリート、SES009なんだ!」
「SES009?」

「そう、ゼロゼロナンバーを持つ最後のスーパーエリートだ!!」

周囲が静かになる……まさか信じたのか?
「………今日は焼きそば……」
彩峰がその場を後にする。
オレよりも焼きそばを取るか?
「あれ…?」
「そうだわ……早く着替えないとPXが混んじゃうわッ!!」
榊もその場を後にした
委員長、少しは人の話を聞こうと思わないのか・・?
「あの…?」
「………白銀さん、4月はとっくに過ぎているよ?」
珠瀬は苦笑しながら離れていく
エイプリルフールですか?
「いや…ですから……」
「タケル……悩みがあるのなら聞くぞ?」
冥夜、一体何を心配しているのですか?
「悩みって……」
そんなに哀れにみえるのか?
「タケル……他のナンバーズはどうなったか今度にでも教えてね」
信じている…………のか?
「おい…」
皆が彼から離れていく
「そうだ!教官ッ!」
「記録を纏めないといけないな……」
無視ですか!!?
そんな与太話に付き合うほど、まりもは暇ではない
「くッ!やっぱりゲームガイがないから…!」
アレがあれば話を信じてくれるだろう……何せ、『この世界』には無い代物なのだ。
だけど、残念ながらないので誰も信じてくれない
「先生ッ!」
唯一の理解者(?)であろう、香月夕呼ならば少しは話を聞いてくれる筈である!
「っていない!?」
先程までいた筈の夕呼もあまりの馬鹿馬鹿しさに白銀を見限ったのである。
いや、割と普通の反応かもしれないが……
「………」
ポツンと立ち尽くす


嗚呼…………心が寒い


悲しきかな………


~to be Continued~





後書き

相変わらずの遅筆・・・・ごめんなさいorz
本当はもっとあっさり、短く書くつもりでしたが・・・・気づくと長くなっていました


ゲーム版の適正テストではBETAはシルエット(重光線級?)でしたが、漫画版は要撃級だったので登場させました。
この話を読んで少し疑問に思う方がいるかもしれないので説明をします。
疑問:何故、適正テストの時点で白銀は要撃級を知っていたか?
本編ではBETAの詳しい説明は伊隅大尉の講座でしか説明されていません、しかし『前の世界』でオルタネイティヴⅤ発動後に衛士になった白銀はBETAの種類や姿形、名前を知っているのでは?と思います。
もっとも・・・・その辺りの『記憶』抜け落ちていた可能性は高いですけどね(苦笑
今回は、白銀の心理的内面を書きたかったので出してみました。


オルタではSESネタを出すのは動作教習応用課程D後でしたが、今回は適正後に出すことにしました。
ここで出さないと次に出す機会がなくなるというか・・・・・まあ、色々とあるので・・・・


少しばかり、TEネタを出してみましたw
フェニックス計画・・・第二世代型戦術機を安いコストで第三世代型戦術機と同レベルの能力を付与する計画(例:F-15E→F-15ACTV)
TEキャラを出すには・・・・資料不足&現時点ではお話が終わっていないので出すには慎重にしないといけないので検討中
タリサは私のストライクゾーンなので是非とも出演させたい・・・彼女はツンデレだ!!(勝手な妄想)


待っていて下さった方には大変、遅くなった事に深くお詫びします。

そして読んで下さった方に心より感謝を・・・・


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